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日本史の法則
日本史の法則
本郷和人/河出書房新社
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総合評価

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    なあなあでやってるハイコンテキスト文化。日本はポジションを明確に定義しない、自然と形成された権力に後からポジションを与える。権力を握ろうとするひとがあまり出てこない。実効性というか、そこそこ楽しく生きてればいいやみたいな感じがする。

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    投稿日: 2025.07.07
  • 日本の歴史はぬるく、まったりでなあなあ

    読後感は、たまたま立ち寄った居酒屋で日本史の偉い先生に出会って歴史談義を聞いていたら思いのほか面白かったっていう感触に近い。 一方では強烈な違和感も芽生えていて、いままで意識してなかった疑問点が明確になってくる感覚も。 本を読んでるとたまにあるんだけど、出会った本で答えが見つかる時と、問題が見えてくる時がある。 今回は後者で、当然いい話が聞けたと、その店の主人なら「お代は結構です」と言っちゃいそうになる。 前回読んだ『日本史のツボ』と重複する部分は多い。 それにタイトルに『日本史の法則』とあるが、"これこれこういう法則があります"なんていう記述は一切ない。 著者は日本の歴史を一言で表現すれば「ぬるい」と断言する。 まったりしてるとか、なあなあだとも言えるが、『ツボ』ではこのキータームは出てこなかったんじゃないかな。 時系列的には本書が後になるので、このワードがしっくり来たのかも。 これはピンカーの『暴力の人類史』を読んでいた時から感じていたことだけど、日本の古代の争いがやけにあっさりしているなと。 ピンカーによれば見つかった古い遺骨を調べると、ほとんどがどこかに暴力的な損傷箇所があったと指摘している。 それは想像を絶するほどの暴力の痕跡で、仔細に調べれば調べるほど、無惨きわまりないのだが、世界的にはそれはどうもノーマルらしいのだ。 しかし日本では著者の述べるとおり、権力者の遺骨にほとんど矢や刀傷がない。 そりゃ権力者は闘わないでしょうと言ったらそうなのだけど、権力者は同時に武人でもあったわけで、そう考えるとおかしな話。 政変や代替りの際にもほとんど血が流れず、争いも起こらず、あっさりしている。 他国では前時代の外戚は排除され、一族皆殺しが当たり前なのに。 日本では藤原氏にしても、鎌倉北条氏にしても、外戚の地位自体が安定し世襲化されて受け継がれている。 天皇も最初は武人だったはずだ。 戦って戦い抜いて最後に勝者となったのが大王であり、それが後に天皇になった。 権力と軍事は密接な関係にあったはずなのに、なぜか日本では国が安定すると途端に穏やかでまったりする。 女性が権力のトップになったり、都にも周囲を囲む防壁が作られていない。 そもそも古代の日本は、白村江の敗戦に起因する外圧によって日本が形作られている。 なのにと言うか、面白いと言うべきか、当時のリーダーはそんな大失敗をやらかしたのに、それに取って代わろうとする勢力が現れなかったのだ。 国内には敵がいない状況だったのか、じっくりと日本の国のかたちをつくることができ、天皇という称号、日本という国号も定められ、律令の編纂も行なわれた。 日本では、内発的な革命や大変革が起らず、外圧頼みとよく言われるが、こういう性向の民族なのか内々ではまったりしちゃう。 もともと戦いが好きではなく、既存の秩序に従順で、なあなあですませちゃう。 やがて危機感は薄れ、天皇も軍人である必要もなく、なんなら子供でもいいとなる。 藤原氏が実権を握って影で操るようになるが、面白いのは自分が天皇になろうとはしないこと。 なぜならその方が権力が安定するし、世襲化して永続化できるから。 それはその後の権力者でも同じ。 国の転覆を考えたり、命をかけて大博打を打ったりする発想がない。 ときどき権力闘争はあるが、ほとんど人が死なない。 討伐令が出ても一年で許されたり、失脚してもよほどのことがなければ腹も切らされない。 考えてみれば菅原道真も大宰府に左遷されただけ。 政争に負けたのに一族皆殺しどころか、大宰権帥に任命されて行くだけ。 「これは九州を統括する長官ですから、相当に偉いのですね。それで恨んで祟るというのだから、日本史はどこまでぬるいんだ、日本人はどれだけ甘いんだという話です」 その意味で鎌倉北条氏だけが唯一の例外。 鎌倉で起った権力闘争は、日本史のなかでも唯一といっていいほど、血を血で洗う苛烈なものとなった。 それでも「天皇や貴族を打倒する」とか「自分が将軍になる」などのスローガンは出てこない。 執権という抜群の権力を手に入れても、北条氏は分をわきまえた出世にとどまる。 京都にも近づかず、将軍にもならない。 ましてや天皇になろうなんて話は全く出てこない。

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    投稿日: 2024.09.24
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    2024.02.24 なるほどね、と思うことも多くあるが、いろんなところにケンカを売るような書き方には閉口する。もっとおおらかな気持ちで書かれていればいいのに。

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    投稿日: 2024.02.24
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    日本って、皇室以外は血よりも家、なんですね。 そこが面白い。 そーいや、実家は一族で住んでいます。 本家がダメになったら、すぐに分家があとを継げるように。 でもこれは、血が優先されてるのかしら…?

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    投稿日: 2024.02.01
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    通史ではなく、個々のテーマに沿って日本史を読み解く。歴史好きな自分には教科書に出てこない、こういう「歴史」(著者の推論含めて)が面白い!

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    投稿日: 2023.03.03
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     オーディオブックで再読したが、題名と中身がイマイチ一致していないと思った。従来の通説に対してのテーゼとしては面白い

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    投稿日: 2023.03.03
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    令和4年のGW後半の中日、天気も良くどこかへ出かけようかと思いましたが部屋の大掃除が途中でもあり、読み終わった本の整理をすることにしました。レビューを書きたい本が50冊以上部屋の片隅にありますが、半分を目標にしたいと思います。従って、付箋をつけた箇所全てを書いていると処理しきれないので、各々10箇所程度に絞ることにしました。 以下は気になったポイントです。 ・天武天皇の時代に関所を整備した、北陸から都に至る北陸道には、現在の福井県に愛発関、美濃国(現在の岐阜県)には不破関、三重県には鈴鹿関をおいた、この三つの関を閉じてしまえば、北陸道・東山道・東海道を押さえることができた、福井・岐阜・三重を縦に結ぶラインで日本列島を東西半分に分けた、このラインからの西が「こちら側」(p20) ・関東に土着した武士たちは元を辿れば平家、だから鎌倉幕府を支える有力御家人はみな平家である、源平の戦いとは、源氏と平氏の権力争いではなく在地領地の独立戦争であった(p29) ・承久の乱の場合は鎌倉幕府は3000箇所の荘園(西国中心)を得た、そこに東国の御家人が入って行ったので幕府の勢力は西へと延びていった(p35) ・1392年に室町幕府は南北朝合一を行い、幕府ほ京都への課税が実現した、その上で東北を直轄領から切り離して、鎌倉公方の管理下においた(p37)また、都と鄙(ひな)に分類した、都に分類されるのは、近畿・中国・四国、残りの関東と東北、九州は鄙であった(p39)守護大名(近畿、中国、四国)は京都に集まった(p40) ・皇統を二つに分けるメリットは、徳川幕府が本願寺を東と西に分けてしまったのと同じ、巨大な力を持っている勢力を二つに割ってしまえば大きな力を発揮できなくなる(p81) ・前方後円墳という不自然な形状は、奈良の王権と吉備の王権が連合し、それぞれの古墳の形が複合するとあの形となる(p99) ・邪馬台国において神を祀る神事がトップで、政治はその下に置かれていた(p134) ・700年くらいの時期に、単婚小家族から、直径相続への家族形態の移り変わりが重なる、それまでは天皇は兄弟の間で相続してきた(p215) 2022年5月8日作成

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    投稿日: 2022.05.04
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    各時代を貫く時代背景を1つのテーマで捉え、同時代では政治・経済・文化を横断的に、各時代を縦断的に掘り下げる。表面的な歴史しか見れてなかったが、本質がとても良く分かり、その時代の新たな視点・気付きを与えてくれる。歴史が楽しくなる。

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    投稿日: 2021.12.01
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    このレビューはネタバレを含みます。

    <目次> 第1章  日本は一つ、ではない~この国は西高東低 第2章  歴史も一つ、ではない~もしも、あのとき… 第3章  日本の歴史はぬるい~変わるときは外圧 第4章  信じる者は、救われない~信じると大虐殺が… 第5章  地位より、血より家~世襲が、強い 第6章  日本社会は平等より平和を選び、自由をはぐくんでいた <内容> 日本の歴史学者としては、かなり勇気を持った本だと思う。個々の事件などを緻密に論証するのではなく、俯瞰して、創造力を使って、そして勇気をもって「日本の歴史は…」と語った本。従来の歴史好きや学者には、好まれる書き方でもない。ただ、こういう本はもっとあってもよいと思う。もちろん書き手を選ぶ。一般のライターやジャーナリストではだめだ。ちゃんと歴史の中で学んだ人が書かないと信憑性に欠ける。そこは評価する。今回の内容については、ちょっと荒っぽいかな?と感じた。

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    投稿日: 2021.08.26
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     広く社会に向けて歴史学の知を発信していこうとする著者の姿勢が良く現れている一冊だと思う。  著者の専門とする中世史、ーそれは武家が力を握っていった時代であるがー、を主たる題材として、日本の歴史全体を貫いているものは何かとの問題意識から、大きく6つの"法則"について論じられる。  一般書という性格上詳しい論証は省かれているので、本当にそうか疑問に思われる箇所も少なくないが、日本の歴史を考えるに当たってヒントとなる論点が随所に示されている。著者の語り口の妙もあり、読んでいて楽しい。

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    投稿日: 2021.07.23