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生物はなぜ死ぬのか
生物はなぜ死ぬのか
小林武彦/講談社
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総合評価

168件)
3.7
28
63
47
5
3
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    タイトルの命題を進化学、生物学の面から描き出している。 「生まれてくるのは偶然だが、死ぬことは必然」という一文が印象深い。 ただ一方で「なぜ死ぬのか、死ななければならないのか」についてはあまり驚きはなく「生命や進化の連続性を支えるため」とされており、それに伴う痛みや悲しみ、喪失感はヒトは共感力を得た生命なので逃れる方法は無い…とのこと。 ラストに「死なないAI」についての言及がある。 宗教の価値観は信じるも信じないも、個人で選べるが、AIの合理性には服従してしまうかもしれないと述べているが、個人的には宗教の教義にも地域や時代における合理性があったから信じられたのであり、それはAIも同じではないか?と感じた。 著者の主張である「ヒトが人である理由を理解する」ことが必要というのは全くその通りで 例えば将棋の藤井聡太より将棋AIは合理的な判断ができる。では藤井聡太がAIに服従しているかというとそんなことは全く無い。 AIの出現により将棋がつまらなくなったとする向きもあるが、これから生まれる世代は優秀なAIがあるのが当たり前。 その上で勝ち負けに加えて、どう将棋と向き合っていくかまで考えている。 本書を読んで、死ぬことへの恐怖は無くならないが(不幸な事故などで無い限り)理不尽なものではないと思えることができた。

    0
    投稿日: 2022.04.28
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    生命の誕生は、25メートルプールに機械式時計の部品をバラバラにして入れて、それが組み合わさって正常に動くくらいの、確率。。奇跡!!

    0
    投稿日: 2022.04.23
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    面白いというか興味深い本です。 生物としての死を考えることから、人としてどう生きていくかを考える機会を与えてくれる本です。小林せんせの考え方が興味深いので他の著書も読もうと思います。

    0
    投稿日: 2022.04.16
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    なかなか面白い。生物が死ぬことに一定の理屈が欲しい人は読むべき。そこが解明されるのが面白い。 タイトルでもある「生物はなぜ死ぬ」という問いに対して、生物学の観点で知見が述べられている本。結局の所、死は必然だから死ぬ。死ぬから生きている。

    0
    投稿日: 2022.04.15
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    このレビューはネタバレを含みます。

    生物は「進化が作ったもの」そして、「死」も進化が作った生物の仕組みの一部(選択されてきた) 生物はミラクルが重なってこの地球に誕生し、多様化し、絶滅を繰り返して選択され、進化を遂げてきた。その流れの中でこの世に偶然にして生まれてきた私達は、その奇跡的な命を次の世代へとつなぐために死ぬ。命のたすきを次に委ねて「利他的に死ぬ」(生物学的に定義、肯定的な捉え方) ヒトが死に感じる恐怖=自分という存在を失う恐怖、この恐怖はヒトが「共感力」を身につけ、集団を大切にし、他者との繋がりにより生き残ってきた証。 ヒトにとっての「死」の恐怖は、「共感」で繋がり、常に幸福感を与えてくれていたヒトとの絆を喪失する恐怖なのだ。

    0
    投稿日: 2022.04.09
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    重そうなタイトルだか、生物学的視点から興味深く読むことのできた一冊です。 死は現在生きているものから見ると、「終わり」だが、進化が作った重要な仕組みで、長い生命の歴史から考えると、新たな変化の「始まり」でもあるのだ。

    10
    投稿日: 2022.03.30
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    遺伝子の変異と、その結果生じる環境による選択といった現象を紹介することで、生物が多くの世代を重ねて”進化”を遂げるプロセスを説き、本書のタイトルである「生物はなぜ死ぬのか」という命題に結び付け、回答する形を採っている。 また、がん細胞ができる要因についても、変異のメカニズムを用いて大変分かりやすく説明している。 ただ全体を通して見た場合、ところどころ素人には平易とは言えない用語等が頻出するくだりがあったり、一冊を通して貫かれる本筋の大きなうねりが薄かったりして、フックの強さやキャッチー度合については、福岡伸一氏にはやや及ばずといったところか。 ウイルスは生物か否か、という問いはよく俎上に上るが、それに対して「生物と無生物の大きな違いは、単独で存在でき、それ自身で増えることができるかどうかです。」と明快に述べ、つまり宿主が必要なウイルスは生物ではない、と断言していることに感動した。 最後、ぬるっとしたAI論に帰着してしまった点については、若干残念というか。 "個"の意識が"種"のそれを遥かに凌駕してしまっている人間という生物が持つ業の深さ、功罪について、改めて考えさせられる機会にもなった。 大脳新皮質の発達は果たして幸か不幸か?

    0
    投稿日: 2022.03.28
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    学問的な細かい知識は深く読み込むまでいっていませんが、おおまかな進化の一般論部分は授業や雑学として知っているレベルでした。 それを復習しつつ、様々な生物の「死に方」を紹介されており非常に興味深く読めました。 「死に方」まで含めて進化の結果なのだと。 最終章ではハダカデバネズミに倣って長寿命化のために人間社会が制度を取り入れるとすると、としていくつかの案を提言されてましたが、これも興味深い内容でした。

    0
    投稿日: 2022.03.20
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    なぜ死ぬのか、というタイトルは哲学的なものをイメージしがちですがそうではなく、本書は生物学的に死の意味を考えた本です。 生物の生き残りの仕組みは「変化と選択」であり、地球に生命が誕生して以来ずっと、より環境等に適応したより効率的に増えるものが生き残り、死んだものが材料を供給する「正のスパイラル」、常に新しいものと入れ替わる「ターンオーバー」が現在までの地球を支えてきました。 例えば小型のネズミは食べられて死ぬことを想定し、食べられる前に出来るだけ早く成熟したくさんの子を残す道を選びました。 そのトレードオフとして、人間を含む大型の哺乳類が持つ長生きにかかわる機能、抗がん作用や抗老化作用に関わる遺伝子がないんだそう! こんな風に自分が、種が、生き物が後世まで続くようにすべての生き物が今も淘汰進化しています。 しかもこれは、生物自体の進化だけでなく、私たち生き物の細胞一つ一つをとっても同じことが言えるそう。 細胞が分裂を繰り返すとゲノムに変異が蓄積し、ガン化のリスクが上がります。 これを避けるため細胞自身がある一定の分裂の後は死ぬよう、老化の仕組みを獲得し細胞の入れ替えが可能になったそうです。 ただしそれは人間の場合55歳くらいが限界で、それ以降はゲノムの傷の蓄積量が限界値を超えはじめ、細胞が急速にガン化しやすくなるそう。 別の言い方をすれば、進化で獲得した想定の55歳をはるかに超えて人は長生きになったということみたいです。今のところ人間の進化はココまで。 こんな感じで様々な動物の進化の過程の豆知識を増やしながら、死が、生命の連続性を維持する原動力であることを実感しました。 (ここには書きませんでしたが、ハダカデバネズミの生態はめっちゃユニークです。) 死は悲しいことではあるけれど、すべての生き物が死なず、進化した生物とそうではない生物がいつまでも同居していたら地球は生き物で溢れかえり、結果的に進化した生物まで絶滅してしまうでしょう。 そう考えると、様々な環境に適応できるよう、多様性を奨励しながら死んでいくことはその先の未来に役立つ行為なんだなあと、なんとなく壮大な気持ちになり、死が不条理で哀しいもの、だけではないと感じることが出来ました。。

    1
    投稿日: 2022.03.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

     ヒトはなぜ死ぬのか?  そもそも「死」に意味があるのか?  生物学者・小林武彦氏が生物の仕組み、自然界の仕組みの観点から説く、新しい「死生観」の新書。  専門的な部分はよくわからず飛ばしてしまったが、要点は次のようになると思う。 ●「死」という仕組みも、生き物の進化が作ったもの。 ●変化する環境へ適応するための生き物の戦略が「変化と選択」。 ●「変化と選択」のためには「多様な試作品作り」が重要。 ●試作品作りに必要なこと①「材料の確保」、②「多様性を生み出す」 ●①「材料の確保」のため、古いタイプを壊して再利用することが最も効率的。→「死」の理由① ●②「多様性を生み出す」ため、「性」という仕組みを導入。雌雄の染色体を組み合わせて多様性を生み出す。多様性に満ちている「子」の方が「親」よりも生物界においては価値があり優秀で、親は死んで子が生き残った方が種を維持する戦略として正しい。→「死」の理由②  つまり生物学的には、私たちは「ヒト」という種の存続に欠かせない「多様性」を確保するために、次の世代に道を空けるため死んでいくのである。  色々と難しい話をしてきた割に、結論はそれほど斬新な切り口ではなかった、というのが正直な感想…。    ただ、この考え方は組織にも当てはまると思う。  変化の激しい現代社会の中で、会社や学校はその社会の実情に合わせて変わっていかなければならない。しかし実際、特に学校現場は現状維持を常とし、いつも時代遅れというのが実態である。その原因の一つに、長く勤務する職員による硬直化がある。つまり変化を好まず、多様性を奪っていくのである。これは種における個体の「不死」を意味する。いつまでも古い個体が居座り、新世代の多様性を認めず、結果として種の多様性を奪って減衰に追い込む。同じことが日本社会のあらゆる組織の中で起こっているのではないだろうか。  変化をもたらすものは「若者・馬鹿者・よそ者」だと言われてきた。若者はヒトという種の中で最も多様性に満ちた価値のある存在である。馬鹿者とよそ者は、年齢を問わずその組織に多様性をもたらす救世主である。  水は流れるから常に美しい。流れの滞った水は、必ずいずれ腐る。  ヒトも組織も、次の世代のために道を空けてあげることが何よりも大切だ。そんなことについ思いを馳せてしまった。

    0
    投稿日: 2022.03.08
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    生物学の本。 一言で言えば、多様化を実現して進化するために死ぬことを選択した、という感じかな。 読書メモ: 生物はなぜ誕生したか 度重なる偶然→より効率的に増えるものが生き残り死んだものが材料を提供する正のスパイラル→多様な生き物と新しいものへの入れ替え(ターンオーバー) 生物はなぜ絶滅するのか 多様化-絶滅 変化-選択 進化が生き物を作った。 生命の誕生と多様性の獲得に、個体の死や種の絶滅が重要だった。 死も進化が作った生物の仕組み 生物はどのように死ぬのか 細菌 老化はなく自然死はない。飢餓か被食、環境の変化などによるアクシデント死。 原生生物=単細胞の真核生物の中で菌類に属さないもの 老化する。他の個体と接合するとリセットされる。 粘菌=集合体を形成し一時的に多細胞生物のように振る舞う。 酵母=菌類に属する単細胞の真核生物 昆虫 生殖で死ぬ。 死に方は進化の過程で選択された。死に方でさえも何らかの意味がある。 ヒトはどのように死ぬのか 旧石器〜縄文時代 日本人の平均寿命は13-15歳 2019年 女性87.45歳、男性81.41歳 ヒトは老化して病気で死ぬ。 細胞はなぜ老化が必要か→活性酸素や変異により異常になりそうな細胞をあらかじめ排除してがん化のリスクを抑えるため 幹細胞も老化 生物はなぜ死ぬのか 多様性のために死ぬ

    1
    投稿日: 2022.03.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

    生物はなぜ死ぬのか(講談社現代新書) 著作者:小林武彦 発行者:講談社 タイムライン http://booklog.jp/timeline/users/collabo39698 私たち人間が死ぬ事も「重要な意味」があるのだ。その意味はいったい何なのか?人類の生み出した死なないAIと死ぬべき人類は。

    1
    投稿日: 2022.03.06
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    生物を個ではなく種として大局的に見たら、多様性を高め進化していくために個が死ぬことは必然、という本 生物としての命を考えた先でAIの話に帰結するのは面白い なるほど「AIは死なない」ということから思考を始めると、AIとどう付き合うかが見えてくるのかも

    1
    投稿日: 2022.03.06
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    なぜ「死」があるのかを生物学を通じて考察していくもの。生物の進化の過程から変化と選択の為に死ぬプログラムがあると言う。生物が生物たるために死があるのだなと感じた。それが答えというより、そうなってきたという事。極度に死を恐れず、生物としての多様性を理解し生きていきたい。 自然の領域を超えたテクノロジー、AIが与える影響の問題提起もあり。地球の物質から出来ている限り、それもまた生物の進化と言えるのだろうか。哲学的。

    0
    投稿日: 2022.03.01
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    アナイアレイションというSFホラー映画で、遺伝子の進化が個体の中で止まらない異常な世界が登場して、生物学に興味を持ち手に取った。 生物学者の視点から ・地球のちょうど良さがすべてのきっかけ ・効率と適応から自己複製として生命が生まれた ・死ぬことも適応(進化)の一環 ・人間も多細胞生物の中で最も複雑な遺伝子構造をもつが、他の生物と同じサイクルの中にいる ・数ある生存戦略の結果として全生物の今があるが、人間の活動は100年以内にその過半数のサイクルを止める可能性があり、そのサイクルは人知を超えていて把握ができない ・「死なない」AIは人間にはコントロール不能で従属することになるかも みたいなことが書かれてる。 人間が今も絶滅してないのは協調なので、これをアップデートしていきたいよねという結び。 すごくわかるけど、どうすれば…という。

    0
    投稿日: 2022.02.26
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    これを読んでも死生観は一変しませんでした。 死生観が変わるという意味なら『死にゆく人に寄り添う』(玉置妙憂さん)に勝る本はないです。 生物について考えるなら『生物と無生物のあいだ』(福岡伸一さん)が一番です。

    2
    投稿日: 2022.02.26
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    「体細胞は50回分裂すると死ぬ」って。。。そうなんだ。 時々、専門的な”仕組み”の記述があって、そこはちょっと読みにくかった(ほぼ理解できない)のですが、それ以外のお話はとてもわかりやすく、生物学のみならず、いろんな視点で生物の進化や「死」に至るあれこれが語られていてとても面白い。既に”55歳”を過ぎている自分を再認識! キーワードは「ターンオーバー」。 最後は、現代の社会問題やAIへの警鐘も取り上げらえて、なるほどと思わせる良本、さすがのベストセラーでした。

    0
    投稿日: 2022.02.26
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    偶然、書店で見かけた本書。細胞レベルで考える死。多様性を生み出すには、元となった細胞は死滅し、新しい細胞の進化に期待する。そのように選択的に生き残ったものが、今ある細胞であり生物であるのだ。著者は、抗老化作用のある薬の効果を調べるのは人間には不可能だろうと言うし、そんな薬が開発されないことを望む。

    0
    投稿日: 2022.02.24
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    生物学的な話(遺伝、DNAなど)はそれなりに難しく、専門的な知識を要する箇所があった。 生物の多様性の実現のために生物は死ぬ(変化と選択)という話はまあそうだなと思った。 死の定義について哲学的な議論も同時に展開すればより多角的に生物の発展を捉えることもでき、「death-死とはなにか」と一緒に読みたい

    1
    投稿日: 2022.02.23
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    専門家でない人向けに分かりやすく解説する著者の文章の巧みさ、また自分自身の知識・理解レベルに合っていることもあり、とても興味深く読んだ。こんな本を中高校生で読んでいたら、この方面を勉強したいと思ったかもしれない。 遺伝子の変化が多様性を生み出し、その多様性があるからこそ、死や絶滅によって生物は進化してきた。そして、生物は環境などの要因でさまざまな死に方を獲得し、死に方の特徴によって生き延び、進化してきた。そして性が多様性を生み出す仕組みを担っている。 基本的に、子は親よりも進化しているので、子孫を残したら死んだほうが良い、ということになる。ただし、ヒトのような高度な社会を持つ生き物は、社会で生き残るために親が子を教育する役割がある。 ヒトは進化の過程で、襲われる危険が少なくなり、寿命が延びた。今の日本で寿命を決めているのは、「老化」。ヒトの細胞は大きく3つに分けられる。1つ目は組織や器官を構成する体細胞。約50回で分裂をやめ、死んでいく。失われた体細胞を供給するのが幹細胞。最後は卵や精子を作る生殖系列の細胞。幹細胞と生殖細胞は生涯生き続けるが、老化する。また、老化した体細胞がバラまく毒が病気を引き起こす。 多くの生き物は、食われるか、食えなくなって餓死する。昆虫や魚は、プログラムされた寿命できっちり死ぬ。 ハダカデバネズミの長寿。ハツカネズミの寿命が2〜3年なのに対して、ハダカデバネズミは30年ほど生きる。天敵のいない地下で、低酸素でも活動でき、そして女王のみが出産する仕組みもあり、特異的な進化によって長寿となった。

    1
    投稿日: 2022.02.20
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    生物学者の著者による、「生物はなぜ死ななければならないのか」をテーマとした一冊。生物の出現から進化の歴史、老化・絶滅のメカニズムまで解説は多岐に渡る。 生物にとって「死」は究極の利他行為である。生物が今持っている性質は須く進化の歴史の中で選択されてきたものであり、今も死ぬ生物が殆どであるということは「死」もまた進化が選択してきた生物にとっての不可分のピースであるといえる。「死」とは固体における終焉ではあるが、同時に種全体の多様性獲得と繁栄をもたらす行為なのだ。 トピックは非常に面白く興味深いものだったが、若干話が横に逸れがちで中々結論が出てこないため読みにくさはあった。

    0
    投稿日: 2022.02.17
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    人間は老化することで寿命が尽きます。老化しない生物も存在するため、人間は老化するということ自体を進化の過程で選択した、という見方も出来ます。有性生殖により、子は親の遺伝子を元に多様化し、親よりも可能性を秘めて生まれてきます。表情や反応がないものに好奇心を示せないように、変わり続けるということの意味を考えさせられます。自己の生に執着するよりも、子の可能性を信じて、より良い未来に投資する考え方の必要性を感じました。

    0
    投稿日: 2022.02.15
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    人間(≠ヒト)はなぜ死ぬのか、ではなくて、飽く迄も、生物はなぜ死ぬのか、であるところは外さずに読むべきだろう。

    0
    投稿日: 2022.02.14
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    この本を読むと新型コロナウィルスも可愛いなと思えました。 まずは地球上で生命が生まれた事が奇跡であり、果てしない数のトライアンドエラーを繰り返し、今の人類が産まれた事には感動しました。 今の時代、生命を大事にしすぎる風潮に嫌気をさしていた私の疑問を解消するような内容になっていました。 例えば、老人のワクチン接種が先で若者が後など、種族全体の生命でなく、今の生命だけですね対応しているようでは人類も近いうちに絶滅しいてしまうのではという警告をしているように感じました。

    0
    投稿日: 2022.02.04
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    ヒトは次の世代に多様性が生じるための基盤を作り、その効果を見届けて、死に至る。死が怖いのは、共感力を持って生きている結果、絆から断然される恐怖。ハダカデバネズミが他のマウスより長生きなのは、地下に天敵が少ないせいもあるが、分業が機能し、ストレスなく集団生活が営めていることはヒトにも参考になるのではないかといった記載も面白く思いました。共感力を持って集団で進化を遂げてきたヒトに対し、より個人を大切にする現代に死なないAIが加わってヒトの進化の方向が変わるのか。そういう次世代基盤を整備することが死ぬまでの役割であっているのか、いささか心配もあり、ハダカデバネズミの生き方を忘れないでおこうと思いました。

    0
    投稿日: 2022.02.01
  • 始まりがあれば終わりがある。

    死は現在生きているものから見れば「終わり」だが、将来の世代にとっては新たな「始まり」だ。 生命の誕生と多様性の獲得に、個体の死や種の絶滅といった「死」がいかに重要だったか。 死も、進化が作った生物の仕組みで、選択されたものだ。 面白いのは、"死ぬのは必然で壊さないと次が出ない"、"偶々にせよ生まれてきたのだから、次の世代のために死ななければならない"と言いながら、長寿のハダカデバネズミを真似ていかに長生きできるかも問うている所。 "多様性のために死なねばならない"が結論じゃないんだな。 我々はみな自分が死ぬことを知っているが、不可避の終わりを自覚している生物は人間以外にいない。 ましてや死を恐れ、心配している生き物はいないこと、屠畜場に向かう牛や豚、運悪く車にはねられ虫の息の猫や狸でさえ、死について知りもしないのだということは、考えれば考えるほど無情を感じさせる。 「ヒトは悲しみを共有する"感情の動物"であり、死にたくはないと思うもの」だが、体内での多発的なエントロピーとの局地戦に破れ、不可避的に倒れる運命にある。 少しでも利他的になりたいが、未来ではなく現在を懸念し、公益より私益を気にかけてしまう。

    0
    投稿日: 2022.01.31
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    人間はなぜ死ぬのか?というのを生物学的観点から知れる良書。 DNA、染色体と言った生命科学の基礎をある程度勉強していると話がより入って来やすいと思う。 生物が死ぬのは、より多様性を生み出し繁栄するため。つまり死ぬことは次の世代に繋がるために絶対に必要なプロセス。なので死ぬ意味は、生まれた意味でもある。

    0
    投稿日: 2022.01.30
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    生き物が生まれるのは偶然。死ぬのは必然。 壊れないと次ができない。 つまり死は、生命を次世代に繋げていくための原動力。 少しは死ぬ事への抵抗が弱まった?

    0
    投稿日: 2022.01.29
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    書かれた文章の大半は専門用語が多く理解出来ずに飛ばし読みとなりましたが、細菌からヒトなどの哺乳類、鳥や魚などの動物、植物など実に多種多様な生物が存在するこの地球が、宇宙の中で奇跡的な存在である事、その生物達は、何億年という長い時間の中での変化と選択をして来た結果であるという事など、大変興味深く読みました。 著者は、相当意識して平易を目指して書かれたと思われ、心に残る説明が随所にありました。例えば「生命が地球に誕生する確率の説明としての引用"25メートルプールにバラバラに分解した腕時計の部品を沈めぐるぐるかき混ぜていたら自然に完成し、しかも動き出す確率に等しい"」とか、「生物はミラクルが重なってこの地球に誕生し、多様化し、絶滅を繰り返して選択され、進化を遂げてきました。ーこの世に偶然にして生まれてきた私達は、その奇跡的な命を次の世代へと繋ぐ為に死ぬのです。命のたすきを次に委ねて「利他的に死ぬ」というわけです」「死は生命の連続性を支える原動力」などなど。

    0
    投稿日: 2022.01.29
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    「死は現在生きているものから見ると、生きた「結果」であり、「終わり」ですが、長い生命の歴史から考えると、生きている、存在していることの「原因」であり、新たな変化の「始まり」なのです。」(p216) うんまぁ、分かるんだけどね。。。 生物の仕組みから、生きること、死ぬこと、を書いた本。 小さい頃から生物という科目が好きで、興味があって。 だからそんなに新しい発見はなかった。 仏教とかの方が、興味深い今日この頃。 歳かなあ… 「子育て改革ですが、(中略)産むことを選択したカップルに社会全体としてのサポートを手厚くします。(中略)産みたい方はたくさん産めるような仕組み作りはどうでしょうか。」(p200) うーん。 生きものとしての人類は、子孫を持つことを快とする特質のあるものが選択された結果存在していて、現在の人類は皆、生来そう感じるようデザインされている。 しかし、不幸にも子孫を持つことが、なんらかの理由、事情で叶わぬ人が多い。ということだと思う。 で、その「恵まれない人々」が、子を持つことができる「恵まれた人々」に「サポートする」なんていうことが、社会制度として成立すると思う気持ちが全く理解出来なかった。 そこは、ナイーブだと感じた。 ちょっと残念。

    2
    投稿日: 2022.01.28
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    生物学苦手なのを思い出した。何故か入ってこないんだよな… あらすじをなんとなく知ってから読めたので、前半はちょっと手短に済ませてしまった。 生物は、わざわざ「死ななければいけない」プログラムが組み込まれているが、それは何故か。 生物はそもそも時代毎の環境に合わせて、多様な生命体を作って取捨選択することで結果的に「進化」してきた。 多様な個体があることが、時代にあった種を残す選択肢を拡げ、種の保存に役立つ。 より多様性のある子孫が生まれた後に古い個体は無くなる、という新陳代謝が種を繁栄させるため、死が必要となる。 死が必要なもので、とても意義のあるものだと分かっても、死が怖い・悲しいものであることは、「共感性」もまた人間が繁栄するために備えた武器なので仕方ない。 我々が死をネガティブに捉えてしまうこともまた、肯定せざるを得ない。 死という結末の意味を肯定的に受け入れることで、今生きている事を理論的に肯定できる、気持ちの良い読後感。

    0
    投稿日: 2022.01.28
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    “死ぬ”ほど面白かったです やっぱり圧巻だったのは、最終章のAIとヒトの未来を考察した箇所でしょうか。AIの初期から触れ合ってきた親世代の著者と生まれた時からiPadなので勉強をしている孫世代とはAIそのものに対する価値観が違うと提示して、その危険性を警鐘しています。 なによりも、怖いのがAIは死なないという事実。 生物(人類)は死という「選択と変化」をもってして進化してきました。それを最終章までの章で詳しく述べているのですが、その帰結がAIは死なないという恐怖でした。 我々が虫(1週間で死んでしまうセミ)などの儚い命に対して優越感を抱くのと逆のベクトルでAIに偉大さ(劣等感と言っていいと思うのですが)を感じてしまうのではないか。それゆえに人がヒトであるための「考える」という行為を放棄してしまうのではないか。 最後のAIがとる行為を含めこのあたりが個人的に死ぬほどおもしろかったです。

    0
    投稿日: 2022.01.17
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    項目ごとにまとめられていて読みやすかった 第一章そもそも生物はなぜ誕生したのか 第二章そもそも生物はなぜ絶滅するのか 第三章そもそも生物はどのように死ぬのか 第四章そもそもヒトはどのように死ぬのか 第五章そもそも生物はなぜ死ぬのか

    2
    投稿日: 2022.01.09
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    食べられて死ぬか、食べられなくなって死ぬか。 寿命で死ぬのは人間だけ? (生物から学ぶ未来に向けての提案) ・産む人を社会全体で支援する。 ・構成員全体で仕事をシェアする。 そして、不死のAIとどう付き合う? よいAIは人間と共に死ぬAI?

    1
    投稿日: 2022.01.08
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    このレビューはネタバレを含みます。

    自然科学 (天文学、物理学、化学、生物学)がそれぞれ扱う時間領域の違いを示してくれた箇所が本当に面白かった。 腕時計を部品にバラして、25メートルプールに入れて かき混ぜたら部品が近寄ったり離れたりするが、 とてつもない小さな確率で、かき混ぜたプール内で時計が組み上がり、それが作動する それくらいの小さな確率で星に生物が登場する、と書いてあった箇所はしびれました。 進化が生き物を作った。ただしそれはたくさんのプールがあって、たまたま有利で生き残ったから進化となった、と何度も繰り返して書かれている。 生物学の視点から死に方の分類が提示されていたのも目から鱗が落ちるようだった。

    7
    投稿日: 2021.12.31
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    面白いエッセンスが散りばめられていました。生物学的アプローチなので、どちらかというと進化と淘汰の話ですね。最後のAIの話がやや唐突感があったのと、正直挿入されている図がわかってない素人には分かりにくい!!

    2
    投稿日: 2021.12.19
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    このレビューはネタバレを含みます。

    生物は変化と選択の繰り返しにより多様性を形成し進化してきた。生き物が生まれるのは偶然だが、死ぬのは必然である。「ターンオーバー」すなわち死は生命の連続性を維持する原動力なのである。生物は次の世代のために死ななければならない。 生物学の視点から人の社会を見ると、親だけでなくコミュニティとして子孫の多様性(個性)を育む教育が必要だということがわかり、考えさせられた。

    2
    投稿日: 2021.12.07
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    生物の死とは変化と選択が繰り返される。これは生物の事だけではない。企業も組織もビジネスも国家もすべて当てはまるという意味で奥深い。たいていの生き物はプログラムされた積極的な死に方をするというところに死は悲壮的なものではなく良いものだという考えに変わってくる。生まれるのは偶然、死ぬのは必然、自己複製で生命誕生、変化と選択、RNA:自己複製や編集、50回分裂すると細胞は死ぬ、生き物が死ぬのは多様性のため、生き物は有限だから価値がある等考えさせられる一冊であった。

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    投稿日: 2021.11.28
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    哲学的なタイトルですが中身は生物学からみた人間の寿命について。 興味深いテーマでした。 「人は必ず死ね」当たり前のことですがこの事実に正面から向き合って生きていくのか、目を背けて生きていくのかでは全く違う人生になりそうですね。

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    投稿日: 2021.11.18
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    https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000351419

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    投稿日: 2021.11.17
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    生物は非常に稀な偶然から生まれ、DNAの変異により多様に分岐し、そして、環境に適合したものが生き残ったことを進化と呼ぶ。そして、生物が死ぬということは、そのこと自体も進化の中で残ってきているのだから、生物が死ぬことにも進化上の意味がある。といったことが様々な生物の生態やDNAレベルの発見も含めて説かれている。著者によれば、その1つの答えはターン・オーバーということになるのだろうか。

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    投稿日: 2021.11.15
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     死ぬことも、生物の「進化」の要素の一つというのは、なるほどと思った。  その他、生物学的な見方・考え方を学ぶ。死に方の二種類なんていうのもそうだ。

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    投稿日: 2021.10.24
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    とても筋の通った本、というか主張の通った本というか、演繹的に話が展開されていて、理解しやすかった。生物はなんで死ななきゃいけないか、生物はどうやって進化してきたか、生物の授業の復習にもなった。 それらを理解した上であれば、著者がAIに対して危惧する理由も、とても納得できるものであった。 軸がしっかりしていて主張の強い本は、読んでいて面白い。ランダウ=リフシッツの力学の本を読んでいるような感じ。

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    投稿日: 2021.10.22
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    このレビューはネタバレを含みます。

    結論に子供の多い家庭への公助が多いとなっていたが、そこまでの道筋が面白かった。なるほど、そういう導き方もあるのか。色々な生物を例に取って、遺伝子などの知識も交えつつ(生物や遺伝子の基礎的な勉強をしていれば理解できる程度)人間の生の始まりと終わりについて説いている。面白い講義を聞いているみたい。面白く、すぐ読み終えてしまった。再読すると思う。

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    投稿日: 2021.10.14
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    素晴らしい、大変面白く、勉強になりました。 再読しようと考えてます。 生物学は、哲学の回答だな、と考えます。

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    投稿日: 2021.10.12
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    導入が分かりやすく、語り口も平易で一気に読めた。しかし、ところどころ(多々?)、細胞、遺伝子、タンパク質云々の話が続き、そのあたりの理解は全く困難。変化と選択が繰り返され、今の生物ができている、いまの生物が有する特徴はその変化と選択の結果、という説明は、進化論でも語られていることであろうが、その概念を分かりやすく説明してくれていると思う。タイトルである、生物はなぜ死ぬのかの結論については、分かったような分からないようなで、再読しないと私には理解できない。最終盤で、人の社会への応用やAIについても触れられているところは、その結論としての提言自体には既視感があるが、生物学者であり、本書において変化と選択を論じてきた筆者が言うと、説得力を持つ。ひとまず評価は保留。

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    投稿日: 2021.10.10
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    名著の予感。サイエンスを越えた人生如何に生きるべきかにも踏み込んだ奥行きのある一冊。 生物の進化から、生物の死が何故必要か、その意味についてを段階的に考察していく一冊。 「死を受け入れよう」といったような一元論に陥らず、死への恐怖や喪失感にまでも踏み込んでいるように思う。 生態系、進化論など分かりやすくまとまった良著である。

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    投稿日: 2021.10.05
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    DNA、染色体、遺伝子と、生物が死ぬ理論以前に、生物が存在する仕組みの段でほとんど理解か及ばぬのは情けない。まあ、使い慣れない脳細胞を酷使するならば、活性酸素が排出され、タンパク質を酸化させて寿命が縮む可能性あり。ましてや55歳を過ぎるとゲノムの傷の蓄積量が限界を超え、病気との闘いになるという。あと、栄養の摂取量を減らすことが延命に通じるようで、耳の痛い証しのオンパレードだ。と、今さら手遅れの現実を認識させられるも、最後に記された不死知能AIと、死を必然とする生命体との将来の関わり方の考察、お見事でした。

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    投稿日: 2021.09.24
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    当たり前ですが「死」とは恐ろしくて悲しいもの、と受け止めていました 生物学的観点からその「死」にどう言う意味があるのか、についてまとめられています 時折、非常に専門的な内容が出てきて、ついていけない部分がありますが、そこをほどほどに読み進めて行っても、それなりに理解できるかな、という印象です 生物の種類によってさまざまな死に方があって、それぞれに意味がある、というお話が一番印象的でした 最後に、死ぬことのないAIとの付き合い方、死ぬことがない故に、なんか恐ろしいよね、と言うお話で締めくくられたところなんかも、「死」の必要性をすごく感じました

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    投稿日: 2021.09.20
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    『多様化と絶滅』≒『変化と選択』のおかげで、現存の生き物が誕生し現在に至っている。『進化が生物をつくった』、現存する生物はたまたま生き残ったということ。

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    投稿日: 2021.09.19
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    進化やに関する本やLIFE SPAN, WHAT IS LIFE?を読んいるので予備知識があったものの、専門的な内容が所々あり、なかなかイメージがつきにくい部分があった。 ヒトも太古の昔に発生した原始生物の子孫で、環境に適合して存続してきたことは、どの生物の細胞にも共通してある遺伝子が、ヒトの遺伝子にも残っていることからわかる。 生き物にとって死とは進化、つまり変化と選択を実現するためにある。死ぬことで生物は誕生し、進化し、生き残ることができた。生き物にとって重要なのは、多様性。 科学的な視点では、細胞の劣化とがん化を防止するために細胞死する事がプログラムされており、それが進むと死に至る、また進化の中でその生命システムが残っていること自体に意味があるようだ。 最後の「ヒトの未来は」、それまでの科学的なアプローチではなく、作者の希望や予想が書かれているけど、少し物足りなさを感じた。

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    投稿日: 2021.09.09
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    「生物はなぜ死ぬのか?」といった根源的な問いに生物学的に答えた話題本。生物の誕生から、生物が絶滅する意味、様々な生き物の死にざまをとおして「死」について語られる。内容は難しい部分も多いが、アンチエイジングまわりの話だったり、「宇宙人はいるのか?」などなど、コラム的なおもしろ話も差し込まれているので、飽きずに最後まで読むことが出来た。読むと死生観が変わる人もいると思う。

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    投稿日: 2021.09.02
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    生物は長い時間をかけ進化してきたから、連続性という意味で捉えれば死を理解するのは簡単だ。細胞の老化を促進させることは、多様性を獲得しより良い遺伝子が残っていくのに合理的な仕掛けであることがよく分かった。 死は避けられず、しかし決して後ろ向きなものではない。本書を読んで、今生きていることをもっと楽しもうと少し明るくなれた。

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    投稿日: 2021.08.16
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    「生物」という単語を、生物の一個体、ではなく、「国」、とか、「生物の種」、に置き換えても読める。  ○○はなぜ死ぬのか、死ななければならないのか。日本人のテロメアはもう短いのか、それに気づいて抗うことはできないのだろうか。  最終章に「ヒトの未来」という節があるけれど、ちょっとはぐらされた感じでした。

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    投稿日: 2021.08.13
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    遺伝子に組み込まれた「死のプログラム」の意味とは? ■主な内容 ・私たちは、次の世代のために“死ななければならない” ・恐竜が絶滅してくれたおかげで哺乳類の時代が訪れた ・宇宙人から見た「地球の素晴らしさ」とは ・地球上で最も進化した生物は昆虫である ・遺伝物質DNAとRNAの絶妙な関係 ・「死」も、進化が作った仕組みである ・ヒトだけが死を恐れる理由 ・"若返る"ベニクラゲの不思議 ・超長寿のハダカデバネズミは、なぜがんにならないか ・ヒトの老化スピードが遅くなっている理由とは? ・「若返り薬」の実現性 ・少なめの食事で長生きできる理由 ・老化細胞は“毒”をばらまく ・テロメアの長さと老化は関係ない? ・生物学的に見ると、子供が親よりも「優秀」なワケ ・ヒトが生きる目的は、子孫を残すことだけではない ・“死なないAI”を生み出してしまったヒトの未来 ・有限の命を持つからこそ「生きる価値」を共有できる ――生命の死には、重要な意味がある。 第1章 そもそも生物はなぜ誕生したのか 第2章 そもそも生物はなぜ絶滅するのか 第3章 そもそも生物はどのように死ぬのか 第4章 そもそもヒトはどのように死ぬのか 第5章 そもそも生物はなぜ死ぬのか

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    投稿日: 2021.08.10
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    タイトルに惹かれて手に取ってみたのだが…最初に断っておくとかなり分かりやすく説明してくれているのだけど生物の成り立ちを説明してくれている前半は正直なところピンときたとはいえない。リボゾームがどうとかDNAの構造がどうとか。なんかいまいちピンと来ないんだけどこれには作者に責任は全くなくこちらの前提知識の問題だと思う。しかしなぜ地球上にはこれだけの種類の生き物が存在しているのか、なぜわざわざ生殖のために性行為みたいなめんどくさいことをしなければならないのか、など不可思議に思っていたことにある程度の回答を頂けたような気がした。多くの魚類や昆虫などはだいたい生殖が終わった瞬間にそれまでピンピンしていたのがころっと死んでしまうようでそれはそれで羨ましいことではないかと思ったりした。生まれてからある程度成長するまで世話を必要とする哺乳類、特に人間は老化してから不具合が諸々出てきたのちに死ぬわけだが、どうやら老化とはどういう要素で起きるのかなどもかなり研究が進んでいるようで不老不死とは言わないまでも老化とそれに伴って起きる癌などの不具合についてもかなりのところまで解明されているような印象を受けた。これだけの研究者がこのまま何もしなければ人類はあと百年程度で滅びるかも、とさらっと書かれていたりして恐ろしい。かなり興味深い内容でもっとよく理解したいのでまた読み返してみたいと思います。よく分かっていないなりにそれはそれで面白かった。

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    投稿日: 2021.08.09
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    なぜ、生物(=人間)は死ぬのか? ということを生物学の観点で説明してくれるんだけど、そこにエモいエッセンスも散りばめられていてイイ。 所々に遺伝学について専門的な解説もあるけど全体的には読みやすくて、久しぶりに読み応えのある新書でした。 福岡伸一さんの「生物と無生物のあいだ」を再読したくなりました。

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    投稿日: 2021.08.09
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    理解があっているかはわからないが、ざっくり言うと、変化と選択という進化の流れの中で、現在存在する生命は何らかの優位性があるから残ってきており、寿命があることもそれが多様性を獲得していくために有利だったから、ということか。 本書で最も面白いと思ったのは、本論ではないのだが、ヒトの色覚に関する遺伝子は変化しやすいということである。騒動組換えというらしい。 もともと色をどう感じるかということには個人差がある、というか自分が赤だと思っている色の質感が他の人にも同じように感じられているかは疑問に思っていたのだが、そもそも色をとらえる遺伝子にかなりの多様性があるようなのである。そうなると視覚で捉える世界というのは人によってけっこう差があるのかもしれない。

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    投稿日: 2021.08.07
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    書店の新書コーナーで見つけて購入。 生物をあまり勉強してこなかったので、苦労したところはたくさんあった。テロメアとか。まだよくわからない。 でも、面白いところはたくさんあった。 「死」が、進化した生物の作った仕組みの一つであるというのは、新しい発見。 細胞の老化が「がん化」しないためというのも面白いし、老化しない生き物の存在も初めて知った。 多様性や生きる尊さにつなげているけれど、たとえばこの知識が違う時代に発見されていたら、また都合のいいように解釈されるんだろうな、と、ふと思った。

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    投稿日: 2021.07.14
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    死のシステムとその意味を生物学的に、進化という脈絡において解明してくれる。その意味を理解した上で、自分の一生は長い進化の時間軸においてはほんの一瞬の出来事であるが、どのように生きていったら良いかを考えてみるのも良いかも。

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    投稿日: 2021.06.22
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    このレビューはネタバレを含みます。

    生物学的に死を解説した本。 なので死生観が変わるというよりも、人間も進化の歴史の中で獲得したプログラムの上にいる生物に過ぎず、増えるため・生きるために持っている機能の中に死という仕組みがある、ということがわかった本。 情緒的な視点で「死」をどう捉えるのか、はこの本の対象外。そういう本はもうたくさんあるか。 --- ここからは巻末のAIについての感想。本書の数%しかない部分に対するコメントです。 ラストに"死なないAI”と"死ぬ人間”について考察がある。ここで仮定されているAIはシンギュラリティを迎え人間を超えた知能を持つもの。著者はAIによって人間が人間らしくなくなると恐れを抱いているようだが、人間が人間よりも優秀なAIを生み出せたら、もうそれは人間が進化したと考えていいのではないか。 もしAI自身が子AIを生み出せるようになれば、もうそれは生命と言っていいだろう。 ここまで来るとSFだが、巻末のAIを憂慮する指摘はそれくらい突飛である。 それに、今の人類も進化の到達点にいるわけではない。人間の世代交代の速度と技術の進歩による生活環境の変化が全く釣り合っておらず人間の機能と環境がずれている。 なのでいずれ遺伝子操作等によって人間を改良していくことになるだろう。これは人間を超えたAIを考えるよりもはるかに身近なテクノロジーだ。 AIの心配は杞憂であると思う。 (2023年3月 追記)本書読了時は「AIの心配は杞憂であると思う」と考えていた。昨今のAIの進化は目を見張るものがあり、全く杞憂ではない。恐怖すら覚える。 AIが新しいAIをプログラムするのも遠くなさそうだ。 対して人体の遺伝子操作は全く耳にせず私の予測を見誤っていた。 ただ、知性と生命を兼ね備えた、昔の映画で見るようなAIが誕生したらそれは人間の進化した先だという考えは変わってない。何が知性で何が生命なのか哲学的でもはや曖昧だが。

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    投稿日: 2021.06.07
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    生物とは何なのか、死ぬこともまた生物の本質であることが理解できる。 なぜ人間だけが死を恐怖するのかについての考察は一読の価値ある内容であった。 福岡伸一博士の書籍とあわせて読むと、より深い生物観の形成に資すると考える。

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    投稿日: 2021.06.07
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    自然に発生した有機物が、もとから持っている「増える」という性質に従って増えた結果が、現在の人、虫、草花なのではないだろうかと空想する。死ぬのも効率よく増えるための仕組み。生にも死にも大した意味などないのかもしれない。

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    投稿日: 2021.05.30
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    タイトルに惹かれて手に取った。生物学の専門的な内容が平易に書かれているとは思うが、高校時代生物を選択していなかったためか、理解できないところが多かった。しかし、専門的ではない話は読みやすく、興味深かった。

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    投稿日: 2021.05.27
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    さまざまな生物の死について、あれやこれやと解説した一冊。同じ出版社とは言え、ブルーバックスよりは“文系脳”でも理解しやすい平易さで書かれている(分かりやすさを優先して、かなり割り切っている部分もあると思われるが…)。 生き物の死に方を「寿命死」「アクシデント死」と分類するのは、ちょっと新鮮だった。考えてみれば人間もそうか。 昆虫は、交尾の後にバタバタと死んでいくものが多いのだとか(カゲロウは有名だ)。人間が交尾の後に死ぬと「腹上死」とか言われて、ヒソヒソ噂になったりするものだが、昆虫の場合は「究極にプログラム化された死」なのだ。 本書に秦の始皇帝が部下に作らせた不老薬(水銀入り!)で逆に寿命を縮めてしまったエピソードが記されていたが、現代でも似たような話はあるなあ。 ガンの民間療法で寿命を縮めるとか、「○○にいい」をやりすぎて不健康になるとか、美容整形のやりすぎで顔が崩れちゃうとか(ちょっと違うか…)。 このところ年を取ったせいか、子どものころから知っている芸能人や親せきが亡くなるようになって、急に死が身近かつ自分の問題に感じられるようになってきた。逆に死ぬことを客観視するには好適な本かもしれない。

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    投稿日: 2021.05.21
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    ハダカデバネズミに関心が湧いた。私は出産していないので、子孫を残すことができない。それでも生きて死ぬわけだ。読み進めていくうちに、では何故私は生きて死ぬのだ、との疑問がふつふつと出てきた。その答えはハダカデバネズミのはたらきネズミの生き方にあるように思った。子孫を残す人がいて、それを支える人がいて、みんなが自分のできることを淡々と行うことで社会が保たれる。出産をしなくても、子孫を残せなくても、沢山の子孫を残しても、何かしらの役割はあり、その役割を遂行して死ぬことができる。まだ上手く言葉にできていないが、私もちゃんと進化の過程で存在していて良いのだ、と思った。今生きている人たち、死んでいく人たちは皆、進化の過程で選ばれ、生き残ってきた結果の人なのだとわかった。 安心とも違うが、ほっとした気持ちになった。

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    投稿日: 2021.05.05
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    これは読みやすかった。7割くらいは理解できたように思う。(この手の本だとこれで結構いい方)連休に入っていることもあり、ツイートしながら読んだので、かえって時間がかかってしまった。で、それを引かずに、覚えている範囲で振り返ってみよう。まずは生命誕生のシーン。今まで読んだものの中でもかなりリアルに描かれているのが印象的だ。想像かそれとも次第に判明してきたのか。ハツカネズミとハダカデバネズミ。ハツカネズミはちょこまか動き回って捕食されないようにする。そして速く成長し、子孫を残して、短い寿命を終える。長生きするための遺伝子機能を失ってきた。それに対して、ハダカデバネズミは地下に潜り、低体温、低酸素濃度で代謝を押さえ、ハツカネズミの10倍以上の寿命を得た。真社会性を築き、繁殖は女王ネズミにのみ依存し、他のメスは働きネズミとして一生を終える。しかし、女王ネズミが死ぬと、他のメスが繁殖を始める。すごい仕組みができているのだなあ。ヘウレーカでも見ていて、おもしろい生き物がいると思っていた。名前は見た目そのままなのだが、なんともかわいげがないというか、不思議な存在だ。しかし、これが人間の長寿のヒントになるかもしれない。たしかに多くの子どもを産むことに決めたカップルにはより多くの援助があればいいのだろう。まあ、そういうインセンティブがはたらけばいいのか。定年退職後も続けて同じ職場で働きたいとは思わないが、何らかの形で社会とは関わっていきたい。生物はなぜ死ぬのか――それは、死が生命の連続性を維持するための原動力になるからである。ターンオーバー、入れ替わりつつ、動的平衡を保ちつつ、次の世代にバトンタッチしていくのだなあ。なんだか「恩送り」ということばにもつながるような気がする。「利他的に死ぬ」という表現もなかなかいいなあ。

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    投稿日: 2021.05.03
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    小林武彦(1963年~)氏は、九大大学院医学系研究科博士課程修了、基礎生物学研究所、米国ロシュ分子生物学研究所、米国国立衛生研究所、国立遺伝学研究所を経て、東大定量生命科学研究所教授。前日本遺伝学会会長。 本書は、生きている我々にとっての根源的な問いである「なぜ、私たちは死ななければならないのか?」について、生物学的視点から考察したもので、著者は、その謎を解くカギは「進化が生物を作った」という事実にあるとする。 本書の構成および概要は以下の通りである。 第1章:そもそも生物はなぜ誕生したのか・・・生物を定義づける「自己複製(自身のコピー、子孫を作ること)」の仕組み。これによって、「ターンオーバー(生まれ変わり)」が可能となった。 第2章:そもそも生物はなぜ絶滅するのか・・・生物の進化、多様化の仕組み。変化(変異)と選択(絶滅・死)の繰り返しを経て、我々を含む現存の生き物が結果的に誕生し、存在している。即ち、「進化が生き物を作った」のである。 第3章:そもそも生物はどのように死ぬのか・・・(老化しない)細菌的死に方、単細胞真核生物的死に方、(生殖で死ぬ)昆虫的死に方、(大きさで寿命が決まる)ネズミ的死に方、(超長寿の)ハダカデバネズミ的死に方、大型の動物の死に方、等、生き物によって違いはあるものの、それぞれの死に方は共通して、生き残るために進化していく過程で「選択された」ものである。 第4章:そもそもヒトはどのように死ぬのか・・・老化の仕組み。細胞分裂に伴うゲノムの傷の蓄積(がん化)が、それを抑えるために進化で獲得した免疫機構や細胞の老化の仕組みの限界を超えると、老化を主因とする病気との闘いが始まることになるが、その限界年齢(進化で獲得した、ヒトの想定年齢)は55歳くらいであり、ヒトはその想定を超えて長生きになってしまった。 第5章:そもそも生物はなぜ死ぬのか・・・上述の進化(変化と選択)の仕組みの通り、生物学的に見れば、子供の方が親よりも多様性があり、生き残る可能性が高い存在である。よって、ヒトにとっても、全生物にとっても、生れて来たものは、より進化した次の世代に命のたすきを委ねて、利他的に死ななければならない。 「我々は、自分たちよりも進化・多様化した次世代のために、死ななければならない」という結論は極めてロジカルであり、目から鱗である。それによって、この世界から自分がいなくなることへの恐怖が即座に薄れるわけではないが、死の意味、延いては生の意味を大局的に考えるきっかけになる一冊と思う。 (2021年4月了)

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    投稿日: 2021.04.20