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ペストの記憶
ペストの記憶
ダニエル・デフォー、武田将明/研究社
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総合評価

10件)
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     架空の語り手H・Fが記録した、ペストに襲われた1665年のロンドンの様子。著者自身の直接の経験ではなく事実との相違もあるようだが、その内容は2019〜2022年の新型コロナウィルス感染症のパンデミック時の日本及び世界と酷似。  感染確認初期の市民の楽観的な態度、被害が拡大し始めた頃に登場する自称“専門家”ども、真偽不明で未検証の感染や予防/治療法の情報の流布、都市住民の地方避難と地方住民による拒絶遮断、行政府による市民の保護と抑圧、一部感染者の無分別な行動による感染拡大、災厄下の人々の自省と互助、感染が小康状態になった際の緊張緩和による行動が齎す感染再拡大……。厖大な記録はいずれも実際に見られた現象ばかり。ペスト被害が忘却されることに対する危惧は著者が本書を著したきっかけの一つであるそうだが、コロナ禍を経験した私たちもあの災厄を単なる過去にしてはならないだろう。

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    投稿日: 2024.02.07
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    1665年にロンドンを襲ったペストについて、ルポルタージュ半分、フィクション半分に記したもの。ニセ医者や呪術者の混乱に乗じた商売、貧困層を直撃する経済危機、死の恐怖のなかでくり返し訪れる絶望とユーフォリアなど、17世紀ロンドン市民とイングランド人の心理と社会状況が読む者に迫る。

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    投稿日: 2022.08.19
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    【琉球大学附属図書館OPACリンク】 https://opac.lib.u-ryukyu.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB2447825X

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    投稿日: 2021.10.15
  • さて誰が書く?コロナの記憶

     読むきっかけになったのは、NHKの100分de名著という番組でありました。ノンフィクションのルポではなく、この手のものを記録文学と言うそうです。しかし、どなたかが書いているように、小説の体を成していないのはその指摘通りで、話には矛盾があったり、展開があっちにいったり、こっちにいってます。しかし、カミュにも影響を与えて、長年読み継がれてきただけのことはあります。また、デフォーと聞いて、最初はピンとこなかったのですが、「ロビンソンクルーソー」の作者だったんだね。  さてその内容は、ペストが猛威をふるった時期にロンドンに残った架空の人物による覚え書きといったスタイルです。その状況、人々の思いが、現在のコロナと同じであるのにビックリします。ただ都市封鎖ではなく、感染した家族の家そのものを封鎖してしまうという荒技だったようです。そして、行政が大変頑張っていたとの記述の他に、教会や教区という区分けが重要な要素として出てきます。いずれにせよ、ワクチンがあるわけでもない時代、ただただ終息するのを待つしかないのは、確かに恐怖だったでしょう。  かなりのボリュームがある冊子ですが、最後の100ページほどは解説となっています。この物語は、ペストの記録ではなく、記憶としているところがミソですが、とすれば、これから何年か後、コロナの記憶という記録文学をどなたかが書くのでしょうか? おそらく記録としては、今ならば、しっかり残るでしょう。しかし、一般の人がどのような感覚でいたのかを、公式記録とは別に、後々の人に伝えていくことは、とても重要になるかもしれません。

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    投稿日: 2021.03.02
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    1665年にロンドンを襲ったペストの被害について、H.F.という架空の人物の視点による記録。 H.F.はペストから逃れるため疎開する者も多い中、ロンドンにとどまり、混乱する市民の様子を語る。 時代は違えど、今のコロナ禍と通ずるものが多かった。 感染を恐れて田舎に逃げ出す者、周囲の目を気にして疑わしい症状を隠す者、根拠のないインチキ薬を売る者、感染を自覚しながらわざと周囲の人にうつそうとする者、絶望のあまり自ら死を選んでしまう者… いつの時代も得体の知れない疫病を恐れる人々の心の動きは変わらないものなんだな… このコロナ禍も収束がいつになるかはわからないけれど、『それでも私は生きている!』と言えるように自分も家族もまだしばらくはがんばらないと!

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    投稿日: 2021.02.02
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    「ペスト流行の都市の記録 1665年の最後の大いなる厄災に襲われたロンドンにおける 公的及び私的な最も驚くべき出来事の報告あるいは覚書 その間ずっとロンドンに留まっていた一市民による未公開の著作」  ↑ この長いのがフルの題名かな? 同じ著者のデフォーの「ロビンソン・クルーソー」も、正式な題名は「自分以外の全員が犠牲になった難破で岸辺に投げ出され、アメリカの浜辺、オルーノクという大河の河口近くの無人島で28年もたった一人で暮らし、最後には奇跡的に海賊船に助けられたヨーク出身の船乗りロビンソン・クルーソーの生涯と不思議で驚きに満ちた冒険についての記述」という長ったらしいものなんですよね。 ===  時は1665年  恐怖のペスト、ロンドンを襲う  消えされた命はざっと十万  それでもぼくは生きている! 1664年12月ロンドンでペストにより死者が出た。 感染はあっという間に広まった。 本書は、ペスト禍にロンドンに留まった男が書いた、ペストの感染の広がり具合、ロンドン市民の様子、当局の対策法、新聞発表の死者の数、そしてその翌年のロンドン大火事のことなどの手記という形式の小説。 物語性はあまりなく、目立った登場人物もほとんどいない。語りも淡々としているがこのそっけなさがこのそっけないような書き方がむしろまさにその場にいた人間のギリギリの精神状態の様子を感じさせられる。なにしろ著者自身もこの手記が出版されたときにはすでに墓地に入れられていることがわかるのだから、まさに明日は我が身だったのだ。 デフォー自身は、1665年のペスト流行時は5歳で家族と別の場所に避難していたらしいのだが、ロンドンに残った親戚から聞いた話や、自分たちがロンドンに戻ってから感じた雰囲気などを表しているのか、淡々とした語り口にむしろ当事者としての緊迫感と身に迫るような閉塞感とが感じられる。 こちらの版では、「ペストの記憶を読むための地図」が収録されていたり、原文にはない章わけがされていたりと読みやすい。 以下印象的だったこと。 ・ペストに罹った家族はできるだけそれを隠した。周りから白い目で見られたり、家を閉鎖されて健康な家族も一緒に閉じ込められてしまうから。 ・ペストが出た家は閉鎖され、監視人がついた。だが人々はなんとか家を抜け出そうとした。そのために、監視人と暴力沙汰が起きたり、地方に感染を広げてしまったりした。 ・家の閉鎖は当局の失敗。健康な家族も閉じ込められるので、家族のペストを隠したり、なんとかして家を抜け出そうとしたから。 かといって、初期の頃はペスト患者にお見舞いに行った人たちが罹患したりしたので、ペスト患者の家を閉鎖したことは確かに有益だったという面もある。  この手記においても「家の閉鎖」問題は何度も語られている。 ・ペストに罹った人たちは、膿で苦しみ狂乱状態に陥ったり、元気に散歩していて疲れて休息してそのまま死んだり、家族の死に発狂してペストそのものではなく恐怖で死んだり、そしてどの家からも家族を失った嘆きの声が聞こえてきたという。 ・比較的裕福な人達は早めに田舎に逃げたり、広場の小屋に籠もった。行き場所がない人たちは、徒歩でロンドンを出て、野宿をして過ごした。広場のテントに籠もっている生活はそれはそれで安全を保てていた。 ・避難した人たちが、公共の乗り物に乗ったり、宿に泊まったりしなければ、あんなに感染が広まらなかっただろう。 ・怪しい医療やまじないが流行った。詐欺行為。 ・ロンドンに遺体が転がり、住人がいなくなった家からは略奪が行われた。  遺体問題は徐々に回復して、日中遺体が放置されることはなくなっていった。 ・当局は秘密主義だったし、非常時に守るべき規則を定めてもいなかったので食料貯蔵がなく、貧民たちは困窮した。 ・食料対策は、ロンドン市の対策として食料品の商売人をロンドン市内には入れずに市の入り口の広場で品物を広げた。そのため感染が防げたり、食料も揃った。 ・失業者は、製造、流通、水上交通に関わる人々、家の建築に関わる人々、商売家庭に奉公してた人たちなど多種に渡る。 ・市長や行政官は、貧民たちに仕事を与えた。ペスト患者の看護、死者をカートで運搬して共同墓地に放り込む仕事、閉鎖された家の監視人。  危険な仕事であっても貧乏な人たちは仕事があればなんでも就いた。 ・多くの犬猫が殺された。 ・人々は「絶望のために感染から逃げるのぞみを失い、このペストを生き抜くのを諦めた」 ・ロンドンから逃げた医者や聖職者への風当たりが強かった。 ・イギリスは海外との貿易を禁じられた。 ・貧民たちへは、金銭的に余裕のある人達が積極的に助けた。イギリス国民の素晴らしさ。  だがペストが終息した後も貧民に仕事が戻らず苦しんだのだが、寄付は減ってしまった。 ・ペスト終息の翌年にロンドン大火事が起きた。だがこれらのためにイギリスでの商売は繁盛した。 ・著者が例として出した、ロンドンから逃げた三人の男たちがいる。  彼らは他の逃げ出した人たちと合流し、なんとか田舎の人たちの理解を得て広場で小屋を作り安定した生活を送ったというエピソードが語られる。 ・終息のはじめの頃は、死者数は減らなかった。だが重症者が減ったり、回復者が増えていった。 そして徐々に死者も減っていったのが見えるようになった。

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    投稿日: 2020.11.10
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    https://r.nikkei.com/article/DGXKZO60332710S0A610C2MM8000?s=5

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    投稿日: 2020.09.24
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    デフォーの伯父をモデルとした架空の書き手が1665年のペスト流行時のロンドンの状況を語る。 読む前は資料的な作品かと思っていたので、退屈な本だろうなと覚悟をして読み出しましたが、その臨場感あふれる語り口につられて一気に読み終わりました。 約350年前の話ですが、ニュースを見ているような臨場感。病に対する恐れと行動は現代とかわりませんが、いまと違うのは、人間にどうにもならない時に宗教に頼ることができた点でしょう。 あと、現代と変わらないといえば、1ページ目にあった「そのころは新聞みたいにさまざまな事件やうわさを広めるための印刷物がなかった。つまり、後の時代に見られるように、誰かが事実を好きなように書き換えることもなかったわけだ。」という、当時最新のメディアであった新聞への批判と取れるような記述が、現代のネットニュースに対する批判と重なって興味深かったです。

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    投稿日: 2020.04.26
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    まさか『ロビンソン・クルーソー』の作者だったとは。 訳は平易でわかりやすく、内容のわりにページは進む。訳者解説にもある、頻出する「後で記すことだが~」にはちょいと辟易したけれど。 疫病という大過に対して、人々はどう対処し、どう行動すべきだったのか。読む限り、そうそう変わるもんじゃないやねぇ…とため息が漏れてしまう。

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    投稿日: 2020.03.25
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    5/2~10/7 長かった。 とはいえ途中数ヶ月中断してしまった。 1665年にロンドンを襲ったペストだが、 その影響というか、渦中の人間の行動というのは21世紀の現代も変わらないもんですね。 大震災という展示のあとの放射線騒動、出ていく人、帰る人。 昔の話とは思えなかった。 訳者解説にペストツアーのぺーじがあり、かなり興味深かった。 NHKラジオすっぴんで紹介された本、やっと!読了。

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    投稿日: 2018.05.02