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声を聞かせて(1)精霊使いサリの消失
声を聞かせて(1)精霊使いサリの消失
河上朔、ハルカゼ/新書館
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総合評価

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    このレビューはネタバレを含みます。

    すばらしくよかった! この作者さんの書く主人公は、何かしらの秀でた能力を持っていながらも、満たされていない「持たざる者」が多い気がします。 サリも優秀な精霊使いでありながら、迫害されて育ち、現在も周囲に馴染めないという陰陽でいえば陰に属する者です。 対するパートナーのラルフはエリート街道まっしぐらの陽キャラ。 加えて精霊使いに対し見下していることを隠しもしない尊大な男で、いろんなところの感想から噂には聞いていましたが、本当に初期のラルフは嫌なキャラでした。 ここまでお互いに対して冷めきってる主人公たちはめずらしいくらい。言い争ったりするシーンも、ケンカするほど仲がいいんでしょって感じではなく、好意が微塵も感じられない。 仕事だけ!のリアルなビジネスライクの関係でした。 だからこそ2人の能力が入れ替わってから、なし崩し的に始まる少女とふたりの旅の中で、ラルフが変わってく姿がうれしくて、温かかったです。 そしてサリの抱える冷たい孤独がバクという存在を通じて描かれていくさまは、痛々しく切なく印象に残りました。 クライマックスで内心を吐露したサリの姿は、普段彼女が雄弁に語るキャラクターでないせいか余計に胸にグッとくるものがありました。 そのサリを受け止めるラルフには、最初が最悪だったせいもあり、すごく感動させてもらいました。 全体を通じて恋愛色は薄めというかほぼなかったのですが、それ以上に人の心そのものを描いた綺麗な作品でした。 と思ったら、続編が雑誌で描かれていて、そちらは恋愛メインでした。ああ感無量。 この作者さんのお話は優しくない世界で優しい人が描かれていて好きです。

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    投稿日: 2021.08.30
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    精霊の声を聞く力を持っていたために生まれ故郷で迫害を受けて育ったサリは、現在ランカトル王国の公安局に所属する優秀な公安精霊使いとして、傲慢な公安魔法使いラルフをパートナーに王都ザイルを守護している。人はおろか精霊使いからも異端扱いされることは多いが、サリは自分の力が受け入れられる場所を離れるつもりはなかった。ところが、王弟デューカの“鑑賞会”に魔物の子として連れてこられた少女をかばおうとした際、サリとラルフの力が入れ替わってしまい・・・? 河上先生の作品に出てくるキャラクターって、最初びっくりするくらい馬が合わないというか仲悪いですね(笑)それでも事件に巻き込まれて互いに知らない面を思い知って、きっとこれから変わっていくんだろうけれど。ラルフの傲慢なところは鼻につきますが、それでも自分の力を誰かの為に使うために仕事をしているのは事実で、だからこそカルガノもサリと組ませたのでしょう。サリと育ての親の関係もまだ明かされず、物語は始まったばかりなので楽しみです。リュウいい奴だーー!

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    投稿日: 2020.06.27