
総合評価
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powered by ブクログ昨今の米国を覆う、従来の保守主義でもない、なにか。なにがトランプを生んだのか。なぜトランプは従来の常識ではありえない行動をとっても支持され続けるのか。本書が紹介する、米国における白人ナショナリズムは、日本にいる我々にとって不可解な現在の事象の背景を説明するものである。本書により、これまで異端に思えた思想が裾野を広げている現実や、突拍子もない陰謀論の発端となる思想への理解が深まる。 白人至上主義といえば、KKK に知られるように素頓狂な格好をする非常に尖った思想である、といったイメージはもはや古い。筆者が取材した会合では、ネクタイやジャケットの着用が義務で、参加者はみな社会的地位をもち不自由ない暮らしをしながら、白人を守るという思想に駆り立てられている。本書は白人至上主義者と呼ばれるのを嫌う彼ら (※ほとんどが男性) を「白人ナショナリスト」と呼ぶ。彼らは主張をソフト化し、またイデオロギを直接表面に出さず、インターネットやネットミームを駆使して、「オルトライト」と呼ばれる層を形成して裾野を広げる。 白人ナショナリストが理想とするのは、第二次世界大戦後が終わり公民権運動が始まる前の1950年代の、白人ミドルクラス中心の社会秩序である (Paleoconservative)。グローバリズムや「行き過ぎた多様性」により、本来の米国の魂を理解しない移民たちが白人たちの築いた社会を「侵略」し、白人たちの誇りを奪っているとして、“It's okay to be white.” をスローガンに活動する。日本社会のことを、移民・難民が少なく人種的均一性が高い社会として高く評価する。生理的な理由によって白人以外を差別しているわけではなく、知能指数や脳容量などの表層的なデータによって理由を作り白人の優秀さを誇る。強烈なユダヤ人差別感情を持ち、グローバリズムはユダヤ人の策謀であるという論を中心に、様々なユダヤ系陰謀論を唱え、ナチズムを支持する。 彼らは旧来は公民権運動、最近では Affirmative Action を契機に白人ナショナリズムに流れ、Political Correctness に反対し、連邦政府や二大政党制に不信感を抱いている (その点で Libertarian に誤解されることもある)。 本書で特に勉強になったのは、トランプの「米国第一主義」「メキシコ国境に壁を」といった主張はすべて、トランプによる唐突なアイデアではなく、それまでに白人ナショナリストが打ち出していた論であることである。彼らはトランプを支持しているわけではなく、信念のない政治屋だと考えているが、共和党を変えてくれるとして投票する。トランプは彼らの界隈のミームを投稿するなど迎合し、カジュアルなオルトライト層を取り込む。 これらの層は今や異端と軽視できない。世論調査によれば、ナチズムやオルトライトを明確に支持する者は米国人の1割に満たないが、それらを明確に否定しない者は米国人の3割近くに及ぶという。第二次トランプ政権の異常な DEI 排斥は、こうした現状を映し出しているものと考えられるだろう。 以上のような、日本で過ごしているだけではどうしても理解できない大衆的な変化を、筆者は取材も駆使して丁寧に説明していた。章分けが情報源ベースで話の行き戻りの多さが若干の読みにくさを生んではいるものの、その分重要な内容の繰り返しも多く、かつ平易な文章で読みやすい。日本における参政党の躍進の理解にも役立つかもしれない。読んでおいて損はない一冊。
0投稿日: 2025.04.30
powered by ブクログトランプが支持される理由がよく分かる本。単に白人ナショナリズムだけで支持されてるわけじゃなく、アメリカでこれまで連綿と続いてきた反権威主義と反知性主義などが悪魔合体したキメラみたいなものとして具現化している。
0投稿日: 2024.10.03
powered by ブクログアメリカ研究の第一人者。今、最も良質なアメリカウォッチャーといえばこの方になるのかな。 白人ナショナリズムはリバタニアリズム同様、現在も生成過程にある概念で、その在り方は多様であり、実に様々な団体が発生しているとのこと。 これらが、個別的で断片的な事例の記述にとどまっているのは、現段階では学問的体系にまとめられるような状況ではないからであろう。そのことがアメリカ社会が混沌としていることを示唆しているかのよう。 私なり大きくまとめてみる。白人ナショナリズムは優生思想からくる他人種への蔑視という側面ももちろんある。だが、一方で、白人自体がマイノリティ化する中で、白人の権利が侵害されているという被差別意識が白人ナショナリズムを台頭させているという面もあるという点が重要だと思われた。差別は被害者意識が生む。すべからくどのような差別にも、それを行う当人に加害者意識はない。
6投稿日: 2024.07.03
powered by ブクログ白人ナショナリズムとは、白人至上主義と自国第一主義が結び付いた反動思想である。 反多文化主義である一方、軍備拡張や対外関与、グローバル資本主義は否定している。 アメリカはどこへ向かおうとしているのか、考えさせられる。
0投稿日: 2023.08.17
powered by ブクログアメリカ(さらにヨーロッパ)では、保守とリベラルを超え、またリバタリアニズムと権威主義とが複雑に絡み合って、白人至上主義が台頭している現状と、その社会的・文化的な背景が実地研究を踏まえてわかりやすく解説されている。 白人ナショナリストは、自らの民族・文化的なアイデンティティがリベラルな多文化主義、国際協調主義によって脅かされていて、むしろ自分たちこそ「被害者」であると考えている。この点に、問題の根深さがある。このことがよくわかった。 文化的に同質性のある日本人には理解しづらいが、今後、外国人の入国・在留が増えてくる中で、日本人はなお多文化・多様性の尊重を唱えることができるのか。これを鋭く突きつける一冊。 本書は2020年コロナ感染拡大の直後に書かれているが、コロナ禍によって、米国ではグローバリズムよりもナショナリズム、国際協調よりも自国第一主義の助長が予想される旨を示唆している。これは見事に当たってしまったと言わざるをえない。もっとも、この予想は、アメリカだけではなく、ヨーロッパ、さらにもはや日本にも妥当してしまっているような気もする。
0投稿日: 2022.10.02
powered by ブクログ「白人ナショナリズム」が、欧米で広がりつつある。白人至上主義と自国第一主義が結びつき、ネオナチや極右など、様々な勢力が連なる、この反動思想の動向を報告した書籍。 現在、米国において白人至上主義の指導者的存在とされるのは、雑誌『アメリカン・ルネサンス』主宰者のジャレド・テイラーである。彼の支持者は、自分たちはリベラルな社会秩序の「犠牲者」だという意識が強い。 白人ナショナリストの政党として「米国自由党」(AFP)がある。「米国人を第一に」をモットーに、「自由、主権、アイデンティティ、伝統」を重視する。その考え方は、トランプ大統領が掲げる「米国第一主義」に近い。 近年、欧州で極右・右派勢力が台頭している。これらの勢力は、自国第一主義やグローバリズムへの反発などを共有しており、米国と欧州で互いに共鳴し合う関係にある。 白人ナショナリズムの拡大に伴い、極右の過激派によるヘイト犯罪やテロが増えている。これまでのテロ対策はイスラム過激派に偏重していたが、今後は白人ナショナリストによる過激主義の脅威が安全保障の重要な課題になってくる。 米国では、白人人口が減るにつれ、白人ナショナリズムが増大している。今後、白人が過半数を割り込むとされる2040年代半ばに向け、さらなる過激化の可能性がある。 白人ナショナリズムの隆盛は「米国の分裂」を招く。昨今の米国社会は、トライバリズム(政治的部族主義)の様相が濃い。特定の部族=支持基盤の利益だけ重んじ、抗う部族を敵視する。他の民主主義国家でも世論の分断は進み、人権、多文化主義などに基づくリベラルな国際秩序が揺らいでいる。
0投稿日: 2021.09.08
powered by ブクログBlack Lives Matter 運動が起こるきっかけになった白人警官による黒人男性の射殺事件。 それまでも同様の事件が頻発し、とうとうこの運動が大きな波となった時、まだ運動の根底にある問題やアメリカの実情は全く知らなかった。漠然とイメージにあったのは、人種差別、反移民、白人至上主義、白人ナショナリスト=暴力的な集団。。 この”白人ナショナリスト”について当初は暴力的で理解しがたい別世界の人たちだと思っていたのに、読み進めるうちに理解できることが多くて驚いた。 アメリカの人口の大半を占め、アメリカの礎を築いてきた白人は、今や移民の流入等により米国に占める割合がどんどん減っている。そして、これに対して、自国を乗っ取られたくないという思いがある人たちがいる。。白人ナショナリストの人にとって日本は、同質性の高い社会として尊敬されているとのこと。 もし日本で移民や外国人労働者の受け入れが大幅に増加した時、自分はどんな考えを持つだろう?コロナ前に訪れた観光地が、中国からの観光客で溢れていた時、マナーの違い等から少なからず不快な気持ちがあった。また道ですれ違う外国人労働者に対するちょっと距離をおいてしてしまう気持ち。。 勿論、暴力を擁護することは決してないけど、白人ナショナリストの人たちの考えを自分も持つ可能性は大いにある。本当は、そもそも人種や出身国で人を見ずに個人として捉えなければいけないのかもしれない。。 とにかく、この本を読んで、遠いアメリカの出来事だと思っていた問題が日本でも起こりうる問題として自分ごとで捉えられました。
0投稿日: 2021.06.05
powered by ブクログ白人至上主義と自国第一主義が結びついた「白人ナショナリズム」 「どうしてそういう思想を持つに至るのか」という疑問から読み始めたのだが、第1章のジャレド・テイラーの言葉「もし日本に外国人が数百万単位で入ってきたら〜」に衝撃を受けた。中国人観光客が大量に押し寄せてきただけで、我が町の商業施設はその様相を変えた(具体的にはドラッグストアや安売り店だらけになった)これが移民ということになったら、町はさらに形を変えるに違いない。それを受け入れるのか拒むのか。白人ナショナリズムを極々小さな規模まで落とし込むと、こういう話になるのだと思った。 一方で、白人至上主義者が日本に対して好意的なのにも複雑な気分になった。クールジャパンと言われている文化や行動に対する好感触が、実は単一民族による文化保護への評価(中身の良し悪しは関係ない)ではないかとさえ思えてきた。 考え方は色々で、今すぐに自分の中で答えは出せないが、引き続きこの問題について考えていきたいと思わされた一冊。
0投稿日: 2021.02.13
powered by ブクログなるほど、アイデンティティポリティクスやら加速主義やら暗黒啓蒙やら、あれやこれやはそういうことか!っていう本。みんな読みなさい。
0投稿日: 2021.01.19
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
コロナ禍、トランプ政権、大統領選挙と今読むには打ってつけの内容。 排斥する側の歴史から見る思想だったり、今まで起きた事例をびっしり書かれていて読み応えがあった。 本書でも何回か書かれていたが、この事象(何百万単位の移民がくるようなこと)が日本でも起きた場合、リベラルな立ち位置を保持しできるか、甚だ疑問が残るという考えだ。 とりあえず、より、大統領選挙は注目したくなる本だった。
0投稿日: 2020.11.15
powered by ブクログでてくる人,団体が多すぎて,学術的には必要かもしれないが,読んでいてフォローしきれない.団体にいちいち略語(アルファベットの頭文字で略したもの)を付けているが,一般の読者にはいらないのではないかと思う.全般に羅列すぎて,では著者の立場はどうなのか,があまりない.
0投稿日: 2020.11.14
powered by ブクログアメリカ、そしてヨーロッパで起きていることの一面の理解に。ルポルタージュ的内容で、著者自身はどちらかというと反トランプ的なようですが、中立的に書かれていると思いますので、参考になりました。
0投稿日: 2020.10.04
powered by ブクログ興味があって読み始めるも理解が追いつかない自分の不勉強さを恥じることになった。 またいずれ読み返したい
0投稿日: 2020.10.03
powered by ブクログ米国で広がる白人至上主義。「人種」間の分断と対立が深まる移民大国はどこへ行くのか。トランプ政権誕生後の実情を現地から報告する
0投稿日: 2020.09.08
powered by ブクログナショナリズムはグローバル化する世界への反動なんだろうけど、文化的同一性の高い日本人が批判するのは簡単よね アメリカは大変だろうと思う。コロナ禍によってグローバリズムとナショナリズムの関係はどうなっていくのか
2投稿日: 2020.08.16
powered by ブクログ20200725ー0801 題名の『白人ナショナリズム』とは、白人至上主義と自国第一主義が結びついた反動思想だと言う。著者はトランプ政権下での草の根のリアルな動向を伝えている。コロナ禍に世界中が見舞われているなか、アメリカではBLM運動が炎上している
0投稿日: 2020.08.03
powered by ブクログBLMが正義であり、KKKに代表される白人至上主義が悪である、という単純な理解がまかり通る日本において本書が刊行される意義は大きい。読後に、白人ナショナリストたちが理想とする「単一民族」日本の実態とは?白人から見れば同系民族である朝鮮人を差別するのはなぜなのか?移民が確実に増加していく将来のあり方は?、と自問することになる。
0投稿日: 2020.07.25
powered by ブクログまた渡辺靖氏の現代アメリカ研究に耽溺した。 最後のコロナ影響への言及まで、止まることを知らないアメリカの変化と懸念が、白人ナショナリズムを通じて明確に浮かび上げていく。 そして日本への眼差しも忘れない視点が素晴らしいです、毎回。 自分達がこれまでグローバリズムの恩恵を受けてきた事とこれからのナショナリズム勃興への危惧を感じ、その前提でどのように行動すべきか問われていると自覚した。
0投稿日: 2020.07.23
powered by ブクログ自由主義の盟主である合衆国が反動思想に揺れている。トランプ政権支持の有無に関らず、白人至上主義と自国第一主義が結び付いた “白人ナショナリズム”の現地からの報告書。▷米国の白人ナショナリズムの起源は、先住民(インディアン)の制圧の理論(先住民は生物学的かつ文化的に白人より下等である故、自分たちの支配下に入ることが幸福であるという優越主義的発想)にあり、今日も消えていない。▷「私は人種差別主義者ではない。白人として、ごく当たり前の権利を主張しているだけです」(元kkk幹部)▷社会の分断が顕著に・・・。
2投稿日: 2020.07.18
powered by ブクログ渡辺靖(1967年~)氏は、上智大外国語学部卒、ハーバード大学大学院博士の、国際政治学者。慶大SFC教授。専門は現代アメリカ研究。 本書は本年5月25日に発行され、著者は本書を著した動機を、「異形のトランプ政権、そして米国の今後を理解するうえで、「白人ナショナリズム」の問題は避けて通れないと思った」と書いているのだが、まさにその出版当日に、ミネアポリス近郊で黒人のジョージ・フロイド氏が白人警察官4人に殺される事件が発生し、「Black Lives Matter」をスローガンとした人種差別に抗議する動きが、瞬く間に全米・全世界に広がった。 私はもともと、近年欧米で拡大している右傾化、自国第一主義、人種差別の流れに強い危機感を持っているのだが、こうした問題についての米国の現状を知る目的で本書を手に取り、大きく以下のような理解を得た。 ◆白人ナショナリストといわれる団体・集団は、KKK、オルトライト(新極右)、ペイリオコン(「黄金の50年代」と称される第二次大戦直後の米国社会を理想とする集団)、米国自由党など多様であり、それぞれの主張・立場は必ずしも同じではない。 ◆白人ナショナリストにとっては、オバマ氏が米国史上初の黒人大統領になったこと、学校や職場でアファーマティブ・アクション(積極的差別是正措置)が続いていること、南北戦争の英雄の銅像などを撤去する動きが広がっていること、女性の社会参加が進み、LGBTへの寛容度が高まっていることなどは、白人であることの否定(彼らに言わせれば、侵略・虐殺・乗っ取り)に映り、「「多様性」は白人大虐殺の隠語だ(Diversity is a Code Word for White Genocide.)」のようなスローガンが生まれる。 ◆白人ナショナリストの多くは、「人種」について、現代世界において主流となっている、人種概念は「所与」ではなく「構築」されたものと考える「社会構築主義」ではなく、人種間には遺伝子によって規定され、継承される明確な差異があると考える「人種現実主義」の立場であり、人種ごとに能力や社会の作り方に違いがある以上、人種に固執することよりも、むしろ人種の違いに目をつぶることこそ「人種差別」だと考える。「反人種差別主義者は反白人の隠語だ(Anti-Racist is a Code Word for Anti-White.)」というスローガンもある。 ◆1971年に作られた「ノーラン・チャート」によると、現代の政治的思想は「個人の自由」と「経済的自由」の2軸のマトリックスで捉えられる。現在の多くの民主国家の考え方は、「保守」(共和党)と「リベラル」(民主党)に区分され、「保守」は、個人の自由は軽視(キリスト教的価値観重視など)/経済的自由は重視(グローバリズム礼讃など)、「リベラル」は、個人の自由は重視(LGBT賛成など)/経済的自由は軽視(国民皆保険賛成など)である。しかし、実際には、個人の自由も経済的自由も重視する「リバタリアン」と、双方とも軽視する「権威主義」という考え方が存在し、両者は、正反対の考え方でありつつ、二大政党制は「ポリティカル・コレクトネス」(政治的タテマエ)に支配されていると考えている。白人ナショナリストは、上記マトリックスの「権威主義」に含まれる(権威主義者は、共同体主義者、ナショナリスト、ポピュリストなどとも称される)。 読了してなおというか、やはりというか、この問題は難しい。 人種間における遺伝子による差異は、確かにあるのかも知れない(身体能力にはほぼ間違いなくある)。また、同質性の高い社会の方が居心地はいいのも事実かも知れない。しかし、現実の世界には、人種に限らず、民族、宗教、ジェンダー等に差異のある人びとが暮らしているのだ。とすれば、差異のある集団が共存する道を探る以外に方法はない。トライバリズム(人種・民族・宗教・ジェンダーなどの差異に沿って、各自が自分の属する集団に閉じこもること)を能動的に打破していく以外、未来を拓くことはできないのだ。 BLMの運動が世界に広がる今こそ、読んでおきたい一冊と思う。 (2020年7月了)
2投稿日: 2020.07.07
powered by ブクログ「彼らと同じ言い分」を、最近、日本でもほんとうに多く見聞きする。トランプ大統領の誕生とヘイト犯罪の増加の関連性は、安倍政権の存在が引き起こしている数々の事態と決して無関係とは言えない。読んでいて、そんな薄気味悪い感覚に襲われた。白人ナショナリストの「人種思考の強さ」を指摘した第4章は、人種の本質を考える上で必読!
1投稿日: 2020.06.17
powered by ブクログ白人ナショナリズムが米国だけではなく、世界情勢にも大きな影響を与えることを危惧しつつ書かれた一冊。もっとも、その筆致は白人ナショナリストに対しても超越的ではなく、それゆえにかえって著者の危機感が伝わってくる。白人ナショナリズムにはダイバーシティですら否定的な言葉として受け止められていることに、衝撃を受けた。
1投稿日: 2020.06.03
powered by ブクログ彼らが強まっている力学、というよりは内部からの声に真摯に向き合ったという印象で、どういう理論で彼らが発言しているのか、というのが判断抜きで語られる。 その点、とても中立的で真摯な印象をうけるし、その上での筆者の判断もそれとわかる形で明示されているので押し付けがましくなく、とても読んでいて気持ちがいい。 この本を選んだ問題意識はなぜ白人ナショナリズムの高まりがこれほどとなっているのか、だったがそれ自体の答えは明示されず、筆者も考えている、という印象。 現在進行形の問題に対してはこういう態度が実は一番紳士的で、読者にとっても、考えて今を分析するツールの一つになるのだなぁと気がついた
0投稿日: 2020.06.02
