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シークレット・ペイン 夜去医療刑務所・南病舎
シークレット・ペイン 夜去医療刑務所・南病舎
前川ほまれ/ポプラ社
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総合評価

20件)
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    最初は、主人公の高圧的な態度が、なんだかとてもキツく感じられました。でも話が進むに連れて、色々な真実が明らかになり、鎧を脱ぐように柔らかく自然になっていく姿に、惹きつけられました。 冷酷な現実だけど、優しさを感じる、そんな話でした。

    0
    投稿日: 2025.03.12
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    受刑者の医者として働く主人公の態度がどうなのかと思ったが、この物語を通して、主人公の心の変容が見られる話だった。

    0
    投稿日: 2024.11.03
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    夜去医療刑務所は、病院の機能に重きを置いた矯正施設。 半年後、新設予定の刑務所に合併される。 そこへ登庁することになった精神科医の工藤。 罪を犯した者へ医療を提供することに抵抗を覚える。 しかし、受刑者の中に幼馴染がいることがわかり 彼と関わることで工藤の思いも変わっていく。 少しずつ、気持ちが解けていく過程が丁寧に描かれる。 重くなりがちなテーマだが 海岸線、向日葵など、描かれている自然を頭の中に思い浮かべ ほっとひと息つくことができる。 工藤と幼馴染の対話劇が心に静かな広がりをみせる。 今作も読み応えありだった。

    0
    投稿日: 2024.02.06
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    医療刑務所に半年間という期限付きで勤務する事になった精神科医の工藤。 税金を使って犯罪者の医療を行うことが正しいのか?工藤の考えや態度、言動は辛辣で頑なです。 犯罪者と医師という関係で幼馴染と再会し、工藤の心に変化が… 工藤の過去に何かがあったのは間違いないですが とにかく話がなかなか進まない(>人<;) とても静かに流れるストーリーに睡魔が… 「真ちゃん」「守」ラストに2人が夜の海で釣り糸をたらす景色が浮かんでホロっとなりました。 この作品を収筆するにあたっての参考資料の膨大さにびっくりです。 デビュー作の特殊清掃でも感じたけど、とても誠実な方だと作品から伝わってきました。 そしてイケメン(●︎´艸`)ムフフ

    34
    投稿日: 2023.06.15
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    1.羽根と体温/ 2.動物たちの咆哮 / 3.下を向いて / 4.檸檬の夜 / 5.塀の中の子ども / エピローグ 医療刑務所では無料で医療を受けられることは知らなかったです。 とても重いテーマだったけれどこの作品を読めて本当に良かった。 また、参考文献の量が多かったので著者の努力を感じました。

    3
    投稿日: 2022.10.01
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    医療刑務所で治療に当たる医師が、「受刑者に(国民の税金を使って)医療を提供することは正しいのか?」という悩みを抱きつつ、刑務所での勤務を始めるところから物語は始まります。 半年という限られた期間だから、という理由で勤務を引き受けた工藤医師でしたが、通常の病院と同じように治療をしたり緩和ケアをしたりする同僚に不信感を抱いたり、精神疾患からくる症状も相まって被害者への悔恨の情を抱かない受刑者に嫌悪感を抱いたりと、精神的に負担を感じながらの勤務が続く中、幼なじみが収監されてきます。 幼なじみとの再会を通して、悩みはさらに深まり、工藤医師自身の過去の「キズ」も明かされることになります。 幼なじみに会い、揺れ動く工藤医師は医者として未熟であるのかもしれません。実際の刑務医官としは不適切なのでしょう。こんなに、登場人物全員がつらい過去を秘めている、という事も現実にはないかもしれません。 それでも、読後には人間の「崇高さ」のようなものを感じさせてくれます。

    0
    投稿日: 2022.05.19
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    医療刑務所の矯正医官として半年間勤めることになった精神科医の工藤守。 罪を犯した者に、税金を使って医療を行う必要はあるのか?受刑者は本当に自分の罪を悔いることがあるのか? 病院の人事によって、一時的に派遣されてきた工藤は、医療刑務所というものに納得できない思いを抱えている。 そんな工藤の言動は、読んでいて気持ちがザラザラするが、知らなかった世界へと引き込まれた。 登場人物が不幸な人ばかりで、気は滅入る。 だが、工藤が最後に自分なりの答えのようなものにたどり着いたことに、少し光を感じられた。

    9
    投稿日: 2022.01.24
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    医療刑務所で昔の友だちに出会ってしまった 医者と患者 嫌々来ていた派遣医 彼の心の動きが丁寧に描かれていました。

    0
    投稿日: 2021.11.20
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    医療刑務所に精神科医として働くことになった工藤、アル中で働かない父親が交通事故を起こすなど、生い立ちが彼を精神科医にした。受刑者に税金を使って医療を提供する事に反対の気持ちでいる彼は、幼馴染か受刑者として目の前に現れる。

    0
    投稿日: 2021.09.21
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    医療はあの高い塀を越えて、鉄扉を通り抜けなければいけないんだ。はからずも医療刑務所へ期間限定の配属となった精神科医の工藤。矯正医官となった彼が見たのは、罪を犯しながらも民間と同等の医療行為を受けている受刑者たちの姿。自身の過去から受刑者たちに複雑な感情を抱く工藤。さらに彼の気持ちをかき乱したのは、医師を志望するきっかけを作った男との鉄格子を挟んだ邂逅だった…。

    0
    投稿日: 2021.09.20
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    医療刑務所という、正常に生きていたら思うこともない世界を描いた物語というだけで価値あると思う。でも、精神を病んだ者を抱えた過去があると、読むのしんどい。

    0
    投稿日: 2021.08.09
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    前作に続き、あまり知ることの無い仕事をベースにした重い作品。特に前半は読むペースもあがらなかったけど、最後まで読んでよかった。

    0
    投稿日: 2021.03.09
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    罪人に医療を提供することは是が非か。 その葛藤の狭間で揺れ続けながらも、医師という職業柄、受刑者に対しても治療を続ける主人公。彼が抱え続ける過去の傷が、受刑者である患者との関わり合いの中で鮮明になる過程、そしてその想いが少しずつ変化していく様子が読んでいてじっくりと心に沁み渡ってくる。 罪を犯し、他人を傷つけた者は、本当に医療を受ける価値のない、死すべき存在なのだろうか。被害者側の立場に寄り添えば言語道断だろうが、その間違いを犯した人間が更生する場を与えないことは、あまりに非情ではないだろうか。 どちらの考え方も誤ってはいないと思うし、だからこそ答えは見えてこない。それでも今、目の前に苦しむ患者がいれば手を差し伸べざるを得ない。きっと永遠に囚われ続けるこの葛藤に、真正面から向き合い、自分の答えを見つけ出す主人公の姿に胸を打たれる。

    1
    投稿日: 2020.11.28
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    正直、前半は読み進めるのに時間がかかりました。 工藤の顕にする真っ直ぐすぎる嫌悪感のような感情がしんどいなぁっていう印象で。 でもそれぞれの先生が抱える背景や、そこからうまれている診療スタイル、また、工藤自身の抱える過去、そういうものが見えてきてからは、気づけば止まらなくなってしまい、一気に読み終えていました。 医療刑務所という、極限の選択をしてきた人たちだからこそ、見えにくいけれど、根本に抱えるものを見つけてあげる、それぞれの従事者のそれぞれの経験からの考え方や視点が散りばめられていて、とてもおもしろかったです。

    0
    投稿日: 2020.09.14
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    医局人事で仕方なく半年の期限を切って医療刑務所に登庁することになった精神科医・工藤守。そこには、税金で医療を施される受刑者たちの姿があった。 自らの過去のトラウマから、受刑者たちに複雑な思いを抱く彼は診療する受刑者に必ず聞くことば「今、被害者に対して何を思いますか」。 彼らの答えに絶望する工藤は、塀のそとでも貧困で満足な医療が受けられない人たちがいるなかで、受刑者に税金で医療を施すことへの疑問を隠さない。 彼らをあくまで「受刑者」として扱おうとする工藤と、「患者」として扱おうとする同僚医師たちとの違い。 そんななか、少年時代を共に過ごした男が移送され、20年ぶりに鉄格子越しの再開を果たす。最初は彼を避けていた工藤だが、いつしか彼を気に掛けるようになり、彼とのやり取りを通じて自らのトラウマと正面から向き合うこことになる。 刑務官・西川、同僚精神科医・神崎、内科医・愛内、それぞれの事情を抱えたものたちとの関わり、そして受刑者たちとのやり取りのなかで工藤が最後に至った境地とは・・・ 受刑者への医療についての感情は、正直私も工藤と同じだった。矯正医官の不足、ただで医療を受けたいために罪を犯して塀のなかに入ってくる受刑者、犯した罪への反省もなくのうのうと医療を施される受刑者・・・矯正医療の抱えるさまざまな問題が浮き彫りにされるなか、それでも揺るがない理念。「矯正」の観点から施される医療の目的。 自分自身と深く向き合い、被害者の痛みに思いを馳せる時間が、病で塗りつぶされないようにするために、受刑者は健康でなければならないということ。 最後はちょっとウルっと来て、色んな意味で考えさせられる作品でした。

    0
    投稿日: 2019.12.17
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    医療刑務所に勤務することになった精神科医を中心に物語がすすむ。犯罪者でありながら、無料で受けられる医療。もちろんそこには贖罪の意識が低いものもいる。それでもきちんとした医療を施さなければならない葛藤。 登場人物たちの人生が伏線となって様々な想いが絡んでゆく。 考えさせられる作品。

    0
    投稿日: 2019.11.14
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    看護師なんですね、とても詳しく書いてあるので、ドクターかと思った。 医療刑務所、税金で医療を受けられる、年間いくらかかるのか。 受刑者に医療が必要なのか。 ここで働く人は、日々これに葛藤するのだろう。 難病持ちで医療費が負担な私にとっては、考えさせられるテーマだった。

    0
    投稿日: 2019.11.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    シークレット・ペイン夜去医療刑務所・南病舎 著作者:前川ほまれ 登場人物達の物語りに興味を引かれながら、受刑者に医療が必要かというテーマを考えられさせる本である。 タイムライン https://booklog.jp/timeline/users/collabo39698

    0
    投稿日: 2019.10.17
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    医療刑務所というのは知らなかった。そこでは罪を犯していても無料で医療が受けられるのだ。そこにやってきた新人精神科医の視点で、入院する精神を病んだ患者、背景のある病気の囚人たち、彼自身の過去などが複雑に絡み合い、色んなことを考えさせられる作品となっている。贖罪の意識を求める工藤医師は、そういう意識の希薄な囚人たちに落胆するが、かつての友人が入所しており、その男と深く関わっていくうちに、彼もまた成長していくという話しだった。

    3
    投稿日: 2019.10.09
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    「サスペンスドラマや映画じゃ、犯人が逮捕されて終わりだ。それから彼らがどんな風に生きていくかなんて描かれていない。」ましてや、病気になった受刑者がどのような処遇を受けるかなんて情報が入ってくることもない。 主人公、精神科医の工藤守は医局人事により半年間の期限付で夜来医療刑務所に派遣される。そこで、幼なじみの滝沢真也と再会する事で物語は回り始める。滝沢は殺人罪で服役していたが自殺企図を繰り返し医療刑務所に収監されていた。 物語の興味は、医療刑務所に収監されている受刑者のプロフィールや医療刑務所が抱えるジレンマ。多大な公費=税金を使って受刑者に医療を提供する事の是非であるが、そんなテーマを背景にしつつ、工藤自身や滝沢、先輩医師の神崎、内科医で医療刑務所内にて緩和ケアを試みる愛内、処遇部の西川刑務官、登場人物達の過去が物語られていく。 登場人物達の物語りに興味を引かれながら、受刑者に医療が必要かというテーマを考えられさせる本である。本書の中では、受刑者の治療にかかる費用がひとり四百万円だとしている。手術などするとさらに経費は跳ね上がる。医療費の高額化、高齢者問題等の社会問題は塀の内側でも同じである。 「自分自身の身体の苦痛が酷ければ、本当の意味で被害者の痛みを考える余裕なんてないはずだ。だから・・・受刑者は健康じゃなければいけない。犯した罪のために、傷つけた被害者のために、そして長い時間を掛けてでも自分自身の人権を回復するために」と主人公は結論づけるが、自分もそのような結論になるのか、本書を読みつつ考えさせられるのである。

    3
    投稿日: 2019.10.07