
総合評価
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powered by ブクログ●感想要約: 読書を通じ,富士山の宝永噴火が桜島50年分の火山灰を半月で噴出した規模の大きさに驚き,溶岩流による交通網の長期麻痺や噴石・火砕流の破壊力に強い恐怖心を覚えた.東海空白域を持つ南海トラフ地震との連動性や,火山活動誘発の可能性といった切迫した課題が示唆される.一方で噴火予知の可能性は十分にあると感じた. ●科学博士の書評指数: 楽しみ度:★★☆☆☆ 共感度 :★☆☆☆☆ 学び度 :★★★★☆ 話題度 :★☆☆☆☆ お薦め度:★★☆☆☆ ●概要: 富士山を中心とした日本の火山活動を,多角的に解説している.富士山は「火山のデパート」と呼ばれるほど多様な噴火様式を持つことを紹介する.次に,火山灰は広範囲に影響し交通や農業を混乱させ,溶岩流や火砕流は局地的に甚大な被害を及ぼし,特に火砕流の破壊力は致命的であることを述べる.また,南海トラフ巨大地震との連動により,地殻変動が火山活動を誘発する可能性も示唆される.火山予知の現状と課題も紹介され,防災の重要性を強調する一冊である. ●感想: (1)富士山が噴火しているのを見たことがないので,富士山が「噴火のデパート」と言われる程,色々な形式で噴火してきたというのは意外に感じた.火山の時定数と人間の時定数の違いを感じます. (2)富士山が噴火した際の火山灰の量について最初にシミュレーションしている.自分は実家が鹿児島なので桜島の噴火を実体験している.その桜島の噴火で噴出される火山灰の50年分が,半月で噴出されたのが富士山の宝永噴火だったとのこと.ちょっと規模が違うなと感じます. (3)次に,溶岩流について分析している.富士山の火口は山頂を中心に北西から南東の方向に分布していて,その火口の配置にそって溶岩が流出すると推定されている.御殿場市から富士市のあたりで東名自動車道とぶつかる予想.東海道新幹線とも富士市あたりでぶつかるとの予想が示されている.交通機関は長期に麻痺するのだろうと感じます. (4)次に噴石の事を述べていて,御嶽山での60名に上る登山者の犠牲は突然降ってきた噴石が原因とのこと.富士山でも噴石の被害が想定されている.ここまで読むと,富士山に対して恐怖心が沸いてきて,あまり近づかない方が良いかなと思いました. (5)そして,火砕流.この様子は雲仙普賢岳の災害でイメージされる.起こってしまったら高速で襲われるので大変恐怖な現象. (6)後半部分は,南海トラフとの関連での富士山の歴史や今後の予想.そもそも富士山は4階構造の火山で構成されているとのこと.これはようやく最近わかったことらしい.富士山はまだ「若い」火山との位置付けらしい (7)南海トラフの地震の歴史をみると,東海部分は地震の空白期間が170年近くあるのが目立ち,地震の発生確率が高いのかなと感じさせられる.そして,富士山噴火との連動する可能性も述べられている. (8)最後に噴火の予測について議論されている.桜島では,山体膨張がリアルタイムで観測されているので,噴火警報につながっているとのこと.地震予測よりは,信頼性がありそうだと感じた.多分,富士山噴火の際は噴火予測が出来るのではと期待させる内容です. (9)いずれにせよ,富士山が噴火して,あの優美で綺麗な風景が無くなるのは,日本人として残念なので,できればあまり噴火してほしくないと思うのでした.
0投稿日: 2025.10.26
powered by ブクログ富士山が噴火したら。南海トラフ地震との関連など。興味深く、自分事としてとらえないといけない時代に入って来たのだな。
1投稿日: 2025.03.29
powered by ブクログ自然災害時のハザードマップを作るのを富士山麓など観光地は嫌がるが、20万以上の麓住人だけでなく多くの観光客の避難のために様々な事態を想定して避難経路の想定は不可欠。 火山灰は粉末ガラス類似で、空中にあると航空機の飛行が不能、道路上にあるとクルマの走行が困難となる。噴火の空電で電波障害も起こり携帯通話もネット接続など通信も困難になるかもしれない。 放射能という見えない脅威「だけ」の原発事故避難でも数々の不手際があった。噴煙、火山弾、溶岩流、火砕流、に加え通信障害により混乱、道路渋滞、交通途絶など地震被害が加わり想定上限以内でも首都機能が麻痺する事態が考えられるが、対策は想定されているだろうか?
9投稿日: 2024.02.18
powered by ブクログ文章は一般向けに分かり易く、図も豊富でこれをベースに行政が発表するハザードマップをアップロードしていけば、富士山噴火に対する防災対策はある程度取れるのではないだろうか。 静岡や山梨、関東に住んでいなくても、活火山の周辺に住む人にとって読んでおいて損はしない一冊だと思う。 ジュンク堂書店草津店にて購入。
2投稿日: 2023.05.14
powered by ブクログ2030~2040年の間に確実に南海トラフ大地震が起こると思っておいた方がよい。 地震に対する対策は東日本大震災の経験もあり、ある程度できるだろう。しかし富士山噴火に対する対策は現在のところ逃げることしか思い付かない。 富士山は噴火しないだろうというのは根拠のない楽観的観測だ。富士山も過去の歴史を見ればいつか確実に噴火する。しかも南海トラフと連動する可能性が高い。最悪、山体崩壊もあり得る。経済損失は計り知れない。 常に対策を考え続けることが大切だ。考えているか考えていないかが生死を分ける。
3投稿日: 2023.02.24
powered by ブクログ地学の専門家がこれから起きるであろう富士山噴火さらには南海地震について詳細に述べた本。影響範囲を幅広く記載してるあたり、非常に有用な本ではないだろうか。下手なハザードマップより参考になると思う。 私は鹿児島の人間でもなければ、噴火に立ち会ったことはないが、この本を読んで、自然災害には備えたいと思った。
2投稿日: 2022.09.07
powered by ブクログhttps://elib.maruzen.co.jp/elib/html/BookDetail/Id/3000086336
1投稿日: 2022.09.05
powered by ブクログ息子が地球科学科を受験するというので、読んでみた。科学の入門書はやはり定番ブルーバックスでしょと、中でも出版年が新しい物を選択。著者は地学のみならず科学の伝道師として広くご活躍されている先生のようです。確かに読みやすく分かりやすかった。 仕事上、国の防災会議が出す地震発生確率の長期評価や津波の被害想定、自治体のハザードマップや地域防災計画に目を通してはいて、自然災害については一通り分かったつもりになっていたが、こうして体系的に噴火や地震という事象について読んでみると、表面的な結果だけをなぞっていたんだなという自らの浅学さが分かる。専門家ではないので、すべてを知る必要はないが、専門家たちがどのようなモデルや調査手法を用いていることは知っておくべきかなと。予測や想定の数字を小難しい解析をして出してはいるけど、そもそも論としてモデルや調査精度がどうなのよ?という事実もありそうだし。 地学だけの話じゃなくて、コロナ絡みで医学に対してはそれってどうなのよと疑ってみる人が増えたんじゃないか(あくまで科学的にね、感情的ではなく)。そしてそれは健全な方向性だと思う。 ひとつ疑問だったのは火山灰でコンピュータが壊れ、車のフィルターが詰まるとあったが、桜島から火山灰が日常的に降ってる鹿児島はコンピュータの故障率やエアフィルターの交換頻度が高いんだろうか?それとも建物や車が対策済みだったりする? 被災すればそれどころじゃないんで不謹慎ですが、地学ってホットな分野で面白いかもね。息子も面白いと思って学んでくれればよいなー。ま、その前に受かってもらわないとだけど。 →後日談:無事合格。ヘルメット買ってあげないとな
1投稿日: 2022.02.19
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
2019年発行の本書は、「自分で知識を得て、自分で守る」意識を持つように説明されている。富士山は現在、噴火スタンバイ状態になり、南海トラフ地震は2030年代に高い確率で発生すると予測し、警戒と準備を呼びかけている。
1投稿日: 2021.05.02
powered by ブクログ基礎的な部分からかなり専門的な部分にまで踏み込んで火山と地震について述べられていた。 3.11はそれだけでインパクトが大き過ぎて、その4日後に富士山直下でM6.4、最大震度6弱の地震があったことは知らなかった。それ以降、山体が側火口のある北西ー南東ラインと直角の北東ー南西方向に伸びているらしく、宝永噴火から300年の沈黙もどうなることやら…。 2030年プラスマイナス5年のうちに南海トラフ地震が起きる可能性が高いとあったので専門家にはその被害をできるだけ少なくする対策を練ってもらい、一個人はそれに備えてやれることをやっておくしかないように思いました。「正しく恐れる」ことが大事なのだね。 7000年前の縄文日本人は鹿児島沖の薩摩硫黄島のカルデラ型巨大噴火で絶滅したらしいし、自分が生きているときにそんな日本の危機が起きちゃうのだろうか…。 新型コロナもなかなかだけど、そんな時代の変遷を冷静に目撃できる準備を物質的にも心理的にも用意しておこう。
1投稿日: 2021.04.25
powered by ブクログ地震がまた増えて来ています。おそらく近々大きな地震は来るのでしょう。 ただ世間的に対策を根本的に考えられているとはあまり思えないです。 もっと広く多数の人が正しく理解して備えることが必要だと思うのですが…
1投稿日: 2021.03.21
powered by ブクログ小学生が感想を書かせていただきました。 とてもわかりやすい本ですこの本の紹介文を学校で書いてみました。これはしっかりと火砕流や火山灰について詳しく書かれているのでとてもわかりやすい本になっているのでぜひ購入して読んでみて下さい。 ブルーバックス様の本が私は好きです。私は鎌田さんの書いている本がとても分かりやすいと思います。最近は電子機器ばかりやっていて本を読まない小学生がたくさんいます。なので私はたくさん本を読んで知識をつけていきたいと思います。
4投稿日: 2021.03.16
powered by ブクログこの本を読んだ後、富士山の写真を見た時、美しいと思う前に怖いと感じた。山の稜線に、火口がぱっくりと顔を出すように思えた。地理的には、富士山の爆発を見る前に、南海トラフにやられてしまいそうな所に住んでいるので、もう少し、こちらも詳しく取り上げて欲しかった。
1投稿日: 2020.12.29
powered by ブクログ首都圏にも深刻な被害を及ぼすと言われる富士山噴火。これまでに分かっているメカニズムや災害の予測などを著者ならではの分かりやすい文章で綴られています。 いつか必ず起きる富士山噴火。 今の日本でビジネスする人全員の必読書かもしれません。
1投稿日: 2020.11.29
powered by ブクログ富士山は「噴火のデパート」そして、必ず噴火はおこり、それは南海トラフの巨大地震と連動する可能性が高い。我々は自分で知識を得て、自分を守るという意識を持つことが大切。激甚な被害が予想される次回の噴火に備えていこう!
1投稿日: 2020.10.04
powered by ブクログーー2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震は、富士山の様相を決定的に変えてしまった。津波や原発に隠れてこのとき、富士山内部のマグマだまりに「ひび割れ」が生じたことに、火山学者たちは青ざめた。以後、富士山は「噴火するかもしれない山」から「100パーセント噴火する山」に変容してしまった。そのとき何が起こるのか。南海トラフ巨大地震との連動はあるのか。火山の第一人者が危機の全貌を見通す!ーー 本書は、2007年の「富士山噴火」を最新のデータを付加して加筆したものです。そもそも日本列島には活火山111個もあり、多くの学者からも南海トラフ地震は2030年代に「必ず」起こると「予言」されています。またあえて、富士山なのは、日本の象徴であり首都圏に近く想定被害が甚大だという2点にあります。火山活動はマグマだまりの刺激から起因することから、大地震との連動は必然で、南海トラフ地震が起こればかなりの確率で富士山噴火も起こりえるわけです。その被害は噴火自体の近隣地域への直接的なもの以外にも首都圏を含め広範囲な火山灰による交通マヒや通信遮断によるライフラインまでもの影響が想定されています。そこまでわかっていながら、首都機能を東京へ一極集中している政治の怠慢は目に余ります。有事に富士山周辺で東西の物流が断絶される危険性もあるのに無策な状況は、「見たくないものは見えない」愚かな態度ですが、国を統治する政治家が「ダチョウ(危険が迫ると砂に頭を突っ込んでみないようにする)」では困ります。 では、有史以来記録に残っている富士山噴火についてみてみましょう。 最近では、江戸時代の1707年までさかのぼります。(信ぴょう性の高い記録では800年前後に3回、900年代に2回、1000年代に2回、1400年代と1500年代に1回づつの計9回)つまり、現時点で313年の休止ブランクがあるわけですが、一度起これば噴火サイクルが早くなることも言えそうです。 また3.11から地下地震が活発となった20山(阿蘇山や箱根山、白山、乗鞍岳、焼岳、浅間山、伊豆大島、新島、丸山など)の動向も気になります。 菅新政権は喫緊の武漢ウィルス対策も必要ですが、目先の問題ばかり対処するのではなく、直前に迫る危機にも余裕をもって準備し、国民を安心させてほしいものです。
2投稿日: 2020.09.19
powered by ブクログ富士山噴火が近いことはわかった。噴火したら致命的な打撃を受けることもわかった。なんで東京集中が変わらないかがわからない。
2投稿日: 2020.08.03
powered by ブクログ2030年には南海トラフ地震が発生し、富士山も影響を受ける。噴火につながるかも知れない。現在、地震の兆候は1ヶ月程度前に分かるようになったが、やはり1人1人の意識の持ち様で被害が抑えられる。
2投稿日: 2020.04.11
powered by ブクログ火山の噴火による様々な被害。例えば、火山灰、溶岩流、噴石、火砕流、泥流。こうした被害はどこの火山でも起こり得るが、富士山が噴火した場合、その山体規模や東側に首都東京があることなど、日本に与える影響は計り知れない。富士山はここ300年ほど噴火していないが、いまも活火山であり、近いうちに噴火する可能性も十分あるという。著者は、東日本大震災や、近く起こるであろう南海トラフを震源とする東南海地震によって富士山の噴火が誘発されるという。実際、過去にもそのような関係性が見られる。 そのリスクに警鐘を鳴らすとともに、他方で、火山の恵みは噴火の被害よりもずっと長期にわたって恩恵を与えるという点にも留意を促し、いざという時のための準備を怠らないことが重要だと主張する。なるほど。
2投稿日: 2020.03.28
powered by ブクログ◯地学や火山に関する知識のない初学者でも非常にわかりやすい。東日本大震災の後に、何故、政府内の議論で南海トラフが盛り上がったのかがよく理解できた。 ◯富士山の噴火に関する危機の裏に、しっかりと富士の恵みを紹介していることや、日本人が愛してやまない富士山のまさに文化的な面まで網羅されている。 ◯形が変わる前に富士山に登ってみたくなるし、形が変わっても愛し続けたくなる。
6投稿日: 2019.12.03
powered by ブクログ第1部 富士山噴火で起こること(火山灰―都市を麻痺させるガラスのかけら;溶岩流―断ち切られる日本の大動脈;噴石と火山弾―登山者を突然襲う重爆撃;火砕流と火砕サージ―山麓を焼き尽くす高速の熱雲;泥流―数十年間も続く氾濫と破壊) 第2部 南海トラフと富士山噴火(地理と歴史からみた富士山噴火;「3・11」は日本列島をどう変えたか;南海トラフ巨大地震との連動はあるか;山体崩壊のおそるべきリスク;富士山の噴火予知はどこまで可能か;活火山の大いなる「恵み」) 著者:鎌田浩毅(1955-、東京都、地球科学)
2投稿日: 2019.11.15
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
富士山が噴火したら?その影響を淡々と予想していく。富士山噴火は単体では起きず、その前後に南海トラフ地震も起きる、という認識から富士山噴火が起きたら、という内容にもなかかわらずこのタイトルになっている。 【火山灰】富士山が吹き上げる火山灰は風に乗り遠くまで届く。成層圏まで達すれば偏西風に乗り地球を一周する。灰と名がついているので誤解されるが火山灰は灰ではない。軽石などが砕かれた、細かいガラスのかけら、が実態。このため人間の肺に入れば呼吸障害を起こす。目に入れば炎症を起こす。マスクやゴーグルが必須となる。 パソコンなど精密機器に入れば故障の原因となる。車両や航空機も火山灰の中では動けなくなる。工場の機械類、電力会社の発電機なども動かせなくなる。 火山灰がつもり固まるとコンクリートのように硬くなる。また水で流そうとしてもドロドロになるだけで流れていかない。屋根に火山灰が積もると重みで家屋は倒壊する。これに雨が降り、水の重さが加わるとほとんどの家屋はひとたまりもない。 火山灰や泥流、などで高速道路や新幹線が分断される可能性も高い。 富士山が噴火すれば相当期間に渡り首都圏は機能を失う。 【溶岩流】富士山から流れ出す溶岩流の範囲は比較的狭いが、流出してから数ヶ月から1年は熱が冷めない。噴出したてであればほとんどのものを発火させる温度がある。狙ったところに流す、という制御は非常に難しい。 【噴石と火山弾】噴火の形態(ボルカノ式、ストロンボリ式、プリニー式)により飛距離が変わってくるが予測が難しい。火口付近にいた場合避けるは困難である。 【火砕流、火砕サージ】形成原因はいくつかあるが高温の火山ガス、火山灰が時速100キロ高速で山肌を下っていく、というのが特徴。富士山山頂を中心とする半径7ー8キロのほぼ円形の範囲が被害を受ける可能性がある。 【泥流】一旦火口付近に堆積した火山灰などが雨や噴火の熱で溶けた氷雪を伴い斜面を下るのが泥流。これは噴火後数十年もリスクが続く。これが到達する可能性のある範囲は富士山の裾野を超え、富士吉田市、富士宮市、御殿場市などにもかかる。 【噴火予測】噴火の前には火山性微動や山体の変化(マグマが吹き上がってくるときに山を押し拡げるため傾斜が変わる)、水蒸気が漏れ出すなどの前兆が必ずあり、それは観測できる。 【富士山が特異な理由】 世界でも珍しい、3枚の大陸プレートが重なるところに位置している。このため、平坦な場所がひらけ、そこに地下からふんだんにマグマが供給されることであの山体ができた。 【地震と噴火】地震で火山直下のマグマだまりに水が入ったりマグマに溶け込んだ二酸化炭素が気泡化することで火山噴火が誘発される。富士山もその法則が当てはまる。宝永の富士山噴火は2週間続き江戸に5ー10センチの火山灰を降らせたが噴火の数十日前に宝永の大地震があった。地震で倒壊した家の立て直しをしようとしていた矢先に富士山噴火があったということになる。この関連は現在にも当てはまる。南海トラフ自身は2030年代までには必ず起こる、と言われている。それが高い確率で富士山噴火を引き起こすことになる。 【短期の災いと長期の恵み】このように富士山噴火は日本に甚大な被害を与える。しかし、最後の噴火から300年、我々が富士山から受けていた恵み、も厳然としてある。癒しのある美しい外観。火山性の細かい穴の空いた地層を年月をかけて通ってくる澄んだ水。泥流も厄介だが扇状地を形成し農業の発展に寄与した、という側面もある。被害を恐れるだけではなく長い目で自然と付き合うという目線も必要である。
2投稿日: 2019.11.02
powered by ブクログ火山噴火災害についてのアウトリーチ(研究成果を広く一般に告知すること)に取り組んでおられる鎌田氏による、富士山噴火の可能性と南海トラフ地震の関係について解説している本です。 前半部分は火山灰、溶岩流や火砕流といった火山災害の例を富士山が噴火したケースを想定して解説しています。 そして後半部分では富士山の噴火と、近い将来に発生が予想されている南海トラフ地震との関係について触れています。海溝型地震とその震源近傍に位置する火山の噴火とは極めて連動性があるというのが結論で、その理由について最新の研究成果を紹介しています。 富士山というと美しい稜線と日本を象徴するような存在として「静」のイメージでとらえがちです。しかし地質学的には非常に若い火山であり、今の富士山の姿に至るまでには日本全域に影響を与えるほどの爆発的噴火や山体崩壊といった非常に激しい噴火を起こしており、いつ激しい噴火が起こっても不思議ではない「動」の火山であることなど、興味深い切り口が満載です。本書でも言及されていますが、あの美しい稜線の姿は富士山の生涯のうちでも限られた期間でしか見られない貴重な姿なのです。 津波などの南海トラフ地震に関わる被害想定がマスコミでは頻繁に言及されていますが、実は富士山の大規模噴火はそれに匹敵するほどの被害が出る自然災害であることを読者に強く訴える1冊です。
2投稿日: 2019.08.30
powered by ブクログ日本列島の中には3枚ものプレート(北米、ユーラシア、フィリピン海)が重なり合う地球上でも極めて珍しい場所がある。 そんなプレートが引き裂かれる場所に富士山はある。 こんな場所だから噴火を繰り返し造られたのが富士山だ。 「日本を代表する」と言われる富士山は、実は特異な性格を持つ「巨大」な活火山だということを忘れてはならない。 富士山噴火の影響を受ける東京に住んでいると、最も長期的に被害をもたらす火山灰に怖さを感じる。 火山灰は細かいガラスの粉で、積もれば雪のようには融けてくれない。 水を含めば粘土のように固まる。よって洗い流そうとすると下水管が詰まる。 エアコンや車のフィルターが詰まり故障する。 気管や肺が傷つけられる。農作物がやられる。太陽光が遮られる。、、、などなど。 300年前の宝永噴火の時代とは異なり、複雑に発達した現代のインフラが機能マヒに陥る恐れがある。 しかしながら危機管理に過剰なコストはかけられないので、起こってから「想定外」と言い訳するしかない役所や企業が大多数なのだろうな。 今日も、明日も、明後日も、大地震と大噴火が起きませんように!
7投稿日: 2019.07.14
powered by ブクログ南海トラフについて知りたかったんだけど、 やっぱ 富士山!ほとんど富士山! やがて霊峰 が荒ぶる時が来るのかと思うと、怖い。 世界の活火山に被災した街がどうしたか教えてくれる。 来るとわかっているなら備えないと。
2投稿日: 2019.06.30
powered by ブクログ南海トラフ地震と富士山噴火は連動する 可能性が大きいらしい。 経済にしても自然にしても、僕らは極めてリスキーな 稀有な時代に生きているんだな‥
2投稿日: 2019.06.16
powered by ブクログブクログの抽選に見事当たり、早速読みました。 とても面白かった! 火山などの事に詳しくなくてもどんどん読み進めることが出来ました。 自分の身に起こりうることを分かりやすく解説してくれて 良かったです。 やっぱり自然の力には抗えない。現代の社会は形だけで、 実はとても弱いんだと思った。
2投稿日: 2019.05.31
powered by ブクログ2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震は、富士山の様相を決定的に変えてしまった。津波や原発に隠れてこのとき、富士山内部のマグマだまりに「ひび割れ」が生じたことに、火山学者たちは青ざめた。以後、富士山は「噴火するかもしれない山」から「100パーセント噴火する山」に変容してしまった。そのとき何が起こるのか。南海トラフ巨大地震との連動はあるのか。火山の第一人者が危機の全貌を見通す!
1投稿日: 2019.05.10
