
総合評価
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powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
戦時中の3人の女の子の物語。満州で出会い、別れ日本と中国でそれぞれの道を歩む。茉莉にとって、もう二度と戦争をしないということは、もう二度と、母や父たちが焼き殺されたりしないということだった。そんなことを子供に思わせてしまう。恐ろしい。ただただ恐ろしくて、悍ましい。それが戦争ということを思い知らされる。そして、異国から戦争の為に移らせれ暮らすこと。その難しさも。 力のない子どもに、戦争は容赦がない。そんな戦争がもう二度と起きてはならない。
4投稿日: 2025.06.16
powered by ブクログもう少しほのぼのした物語だと思ったから読み進めるのが辛くなるくらいに戦争による悲惨な物語だった。中国、朝鮮、日本と国をまたがって少女時代に出会った3人の生き様を体感したような気分になった。後半に伏線が回収されていくのでもう一度サラッと読み流していた前半を再読したくなった。戦争という黒歴史の現実を知り教科書では知り得ないものを得た気がする。
1投稿日: 2025.06.02
powered by ブクログこれを読むと大人の始めた戦争で罪のない子供たちが苦しい思いをしなくてはならないって、すごく感じます。中国残留孤児については、一時よくテレビのニュースで言葉を耳にしたので、知っている言葉だと思っていましたが、これを読んで私は全然わかってなかったんだって思いました。在日朝鮮人についても同じです。早く戦争のない世界になってほしいと思います。
4投稿日: 2025.03.01
powered by ブクログ2016年本屋大賞3位。第2次大戦中に満州で出会った3人の女の子たち。その後生き別れ、苦悩しながら懸命に生きる姿を描く。フィクションではあるが、膨大な調査をもとに、戦争の真実を語り継ぐ貴重な1冊。
14投稿日: 2025.02.05
powered by ブクログ戦時中に満州で出会った三人の娘達の激動の人生 以下、公式のあらすじ --------------------- 戦時中、高知県から親に連れられて満洲にやってきた珠子。言葉も通じない場所での新しい生活に馴染んでいく中、彼女は朝鮮人の美子(ミジャ)と、恵まれた家庭で育った茉莉と出会う。お互いが何人なのかも知らなかった幼い三人は、あることをきっかけに友情で結ばれる。しかし終戦が訪れ、珠子は中国戦争孤児になってしまう。美子は日本で差別を受け、茉莉は横浜の空襲で家族を失い、三人は別々の人生を歩むことになった。 あの戦争は、誰のためのものだったのだろうか。 『きみはいい子』『わたしをみつけて』で多くの読者に感動を与えた著者が、二十年以上も暖めてきた、新たな代表作。 --------------------- 私はこの時代に生まれていたとしたら、こんな過酷な状況の中、それでも生きていたいと思えただろうか?と考えた 戦中もさることながら、戦後も決して安心できるような社会ではなかったし、寧ろ更に過酷な生活の始まりでもあったんだよな 一方で、現地中国人の心境を思えば、先祖代々の土地を奪われ、日本軍の言いなりになっていたけど、日本軍が撤退したので奪われたものとその損を取り返したというものなのでしょうね 珠子視点では、戦後の中国のあれこれがわかる 中国残留孤児、文化大革命、大躍進政策などの実態など 日本語を忘れるような環境、そして日本に帰国してからの生活の大変さ むしろ、中国にいた方がよかったのではとも思える 私が子供の頃は中国残留孤児が帰国というニュースがたびたび目にした事があったけど、一概に日本に帰国できたことが幸せとは言えない状況でもあり得るのですね 美子視点は、日本の在日問題のあれこれが今までとは違った視点で見える 「祖国に帰れ」という暴言がどれだけ正確性があるのかどうか もしかしたら、祖国なんてものはもうどこにもないのかもしれない かと言って、日本に帰化という選択も躊躇われるのでしょうねぇ 茉莉の環境変化が一番ギャップがある 戦後は誰もが生きていくのに精一杯で、人のものを奪うのも自分のため家族のためというのはお互い様なんんだよな 子供の頃の約束のまま迎えに来てくれたけど、その手を取らなかった選択はなぁ 幸せになってもいいと思うだけどねぇ…… この本は読んでいて辛かった 内容もさることながら、眼の前ではないけれども、今もなお世界で戦争が起こっている事実があって そしてその被害を受けている人、そして子供がいる事を思い知らされる
1投稿日: 2024.11.25
powered by ブクログ2024/08/21 戦争の中で生きる子どもたちの様子。国籍や、その時の選択によってもたらされた状況がありそうだと思える。どこかの国を恨む感じでなく身の回りの出てくる人物目線で書かれているのがよかった。
0投稿日: 2024.08.21
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2016年本屋大賞第3位。 戦時中の満州で出会った珠子、茉莉、美子、3人の少女の、ほんのひとときの間、一緒に遊んで過ごしただけの3人の友情。 その後の壮絶な人生。 「中国残留孤児」言葉だけは何となく耳にしていたが、こうゆうことなのか、、と深く知る事ができた。 「死」が日常過ぎて、読んでいて辛く重く、悲壮な表情の読者タイムだった。 ただ、ラストに珠子が日本の産みの母との、、そのシーンは号泣、、。 北朝鮮拉致被害の横田さん夫妻を想起させた。 なんとも重みのある小説だった。
0投稿日: 2024.03.16
powered by ブクログ2016年本屋大賞三位。 過酷なエピソードばかりだったが、ラスト、また3人で穏やかにお茶を飲める、奇跡の様なひとときが眩しかった。 入念に取材し、丁寧に紡がれた素晴らしい作品でした。
0投稿日: 2023.11.01
powered by ブクログ最後は良い話に終わったけど、なかなか重たい話が続いて、読みながら辛かった。 いまもウクライナなどの戦地では、こういう話が実際あるんじゃないかと思ってしまったな。
1投稿日: 2023.10.15
powered by ブクログこれは良かった。 初めて行きの電車で読み耽って降りそびれたくらい。(暑い中走って疲れたけど…) 珠ちゃんとお母さんの感動の再会シーンだったから仕方ないよね。 言葉も名前も顔も忘れてしまっても、やっぱり分かるものなんだね、そりゃそうだよね。 日本で差別されていたよっちゃんと、中国で差別されたたまちゃんと、お嬢様だったのに家族を失い、施設暮らしだった茉莉ちゃんと。 もしかして戦争がなかったら出会っていなかった3人。でも、戦争のせいで大変すぎる目にあった3人。 八重ちゃんや武や、周りのいい人もいっぱい。でも名もない心無い人たちもやっぱりいっぱい。 たまちゃん、日本に帰って来ないほうが良かったのかもとも思ったけれど、みんなに会えて、それが一番だよね、きっと。
2投稿日: 2023.07.07
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それぞれの場所で生まれ、 それぞれの生き方をしてきた3人の少女の物語。 読んでいてつらい場面もたくさんありましたが、 今を生きる私たちだからこそ 知っておかなければならないことも たくさんあると改めて感じました。 私たちが生きている時代には、 様々な人が築いてきた過去があるからこそ 成り立っているということを忘れてはならないと 感じました。
1投稿日: 2023.02.08
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真ん中過ぎまで、とても読むのが辛い本であった。 3人の少女が主人公だけど、太平洋戦争下に満州へ行く子と、朝鮮人の子と、横浜育ちのお嬢様って、もう不穏な要素しかない設定。 特に、横浜で空襲に遭う時とその後、そして満州開拓団からの引き上げのくだりは本当に読むのが辛かった。 中盤を過ぎて少女たちが成長するに連れて彼女たちの人生が少しずつ上向いていき、ようやく安心して読み進められるようになった。 それでも満州からの引き上げ中に誘拐され、中国人の夫婦に買われてその子供として育てられた珠子の人生は、彼女が中国残留日本人孤児として故郷に帰ってからも辛いものだった。 こういう人がきっとたくさんいたのだろう。 とにかく言葉が分からないというのはものすごいハンデになると感じた。 帰らない方が幸せだったのではとも思うし、そういう選択をした人も多かったろう。 それでも、帰ってきたから、生涯の友を得た。 とにもかくにも、最期はハッピーエンドで良かった。
2投稿日: 2023.01.22
powered by ブクログ戦争の話か…と少し敬遠していたけど、読んでみたら、子どもが大人になることを描いた小説で、その子どもたちが生きた時代が戦争の時代だった。 幼い頃に、少しの時間を満州で共有した珠子と美子と茉莉。その時の「子ども」たちは、今の「子ども」たちと根本のところは何かが大きく違うわけでもなかったと思う。無邪気で、ただ遊ぶことが好きで、大人の作る時代の中であまりに無力だった。 それでも、その後の大きな時代の流れの中で、それぞれが懸命に生きていこうとしていた。
1投稿日: 2022.09.29
powered by ブクログ幼い頃、ひとつのおにぎりを3人で分け合った、やさしい記憶。 その記憶が再会へと導く。 少女たちがいとおしく、本を抱きしめた。
3投稿日: 2022.08.04
powered by ブクログ◆一つのおむすびを三人で分け合った思い出◆ 戦時下の満洲で出会い仲よくなった三人の少女。戦中~戦後の三人の歩みを辿りながら話は進みます。中国残留孤児、戦災孤児、在日朝鮮人について知っているようで何も知らなかったのだと愕然とするほど、その人生はあまりにも過酷なものでした。つらい過去を背負ってしまっても、幼い頃にわずかしかない食べ物を自分に分け与えてくれた親や友達がいた、愛されていたという記憶があれば、胸を張って生きていけるのだと希望を感じます。
3投稿日: 2022.08.02
powered by ブクログ満州孤児、戦後、3人の女性の生き方が書かれている。 満州からの引き上げの厳しさ、生存率の低さは教科書で見たことがあったが、ここまで生々しくせまってくる小説は初めてだった。
2投稿日: 2022.07.25
powered by ブクログ戦時中の満州で出会った3人の女の子の話。 全員が戦争に巻き込まれ戦後も互いに苦労し、何十年と時が過ぎてから再会する。再会出来た理由の1つに人の思いやる気持ちがそれを叶えた。戦争体験の話だけではなく、人を守る事の難しさ負の連鎖を断ち切るためにはどうすれば良いのか考えさせられる話。それは戦争中だけでなく今の世界でも抱えている問題。答えはいつか分かるのかな。
9投稿日: 2022.06.18
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
こういった原作がワンクールのアニメ化になってもいいと思うのだがなぁ。。(映画だと端折られるから難しい) 戦争の話やイメージはあるけれど 戦後どうだったかというのは割と知らない 昔 江戸川乱歩の「芋虫」を読んだときは設定に驚いたが当時はそういった人は勿論いただろうし ちばてつや氏や赤塚不二夫氏による満州引き上げについて既読であったが 7割が亡くなったというのは凄まじい また 関東学院 大岡川 黄金町など身近な地名での空襲 修学旅行が広島 沖縄とそれぞれ歴史を調べたけれど 自分の住む場所が戦時中どうだったかこそ知りたかったかも また在日韓国人の歴史についても無知であった 中国や日本にいる間に祖国が二分され 帰国したのが北朝鮮側とは。。 満州へも北朝鮮へも 先陣切った人が止めても向かってしまうというのは 本当に情報は大切だけれど 当時はどうやって情報を入手できるかが困難で。。 フィクションだけれど 彼女達が家族に恵まれて良かった こどもってある意味残酷でもあるけれど 反対に差別なく同じヒトとして接することも出来るのだなぁ と改めて
2投稿日: 2022.05.24
powered by ブクログ珠子、茉莉、美子、 戦時中の満州で出逢った3人の少女。 一時の出逢いの後、それぞれの地で戦争に翻弄され、それぞれの道を歩む。 ***ネタばれ*** 満州で中国残留孤児となり、それまでの記憶をほとんどなくしてしまった珠子。 横浜に戻り、空襲で両親を亡くして戦争孤児となった茉莉。 朝鮮で生まれ満州を経て日本に渡り、在日朝鮮人となった美子。 3人の歩む道に、胸を張って前を向く姿に、 一時も目が離せない。 ただの戦争小説じゃない。 あの先の大戦をあらゆる角度から描き、戦争に翻弄された3人の少女が、戦後、どのような人生を辿ったのかまで描かれていて、彼女たちの人生を通して、生きるとはどういうことかを考えさせられました。 解説でも書かれていますが、著者である中脇初枝さんが膨大な量の取材をし、たくさんの資料を読み込んでこの素晴らしい作品を書かれたことに、大変感銘を受けました。 今、ロシアがまた同じ事をしています。 この作品に描かれているみたいに、多くの人が凄惨な体験をされ、犠牲となっています。 なのに、何もできない自分が虚しく、誰も止めれないことに恐怖を覚え、未来に対する不安がましてやまない毎日ですが、この小説を読んだことで、前を向く勇気、人生に立ち向かう勇気をもらったように思います。自分ができる事は、このような作品を通じて事実から目を背けず、未来に伝えて行くこと。そうやって前を向いて歩いていきたいです。
10投稿日: 2022.05.13
powered by ブクログ3人の女の子が第二次世界大戦末期を生きる話 現在、起きている戦争や虐殺 80年経っても、何も変わらなくて、嫌になる 満洲引き揚げの話を、これだけ詳しく知ったのは初めてだった 作者の「やったら、必ず、やりかえされる」という思いが至るところから伝わってきた
1投稿日: 2022.04.16
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
描写があまりに辛くて読めない。けれど、読まないといけない。どれだけむごいことか、知らない世界を知って、もう二度と起こしてはいけないと心に刻まないといけない。 日本に戻って、空襲で家族を亡くして孤児となった茉莉。 人買いに攫われ、日本人であることを忘れ、中国人として生きていくこととなった珠子=美珠。 故郷は分断され、在日朝鮮人として過ごすほかなくなった美子。 三者三様、どの道もつらい。 私たち、特に日本人はすぐに「〇〇人」と言いたがるけれど、これを読めば、それがいかに人を傷つけるかが分かります。自分のルーツは自分だけが知っていればいい。どんな人でも幸せに生きるべき。 もう一度読むのはしんどいです。でも、見ずにいたことに目を向けるきっかけになりました。
2投稿日: 2022.03.21
powered by ブクログ夜中に読み出して止まらず朝になってしまった。中国東北部の地図を見ながら読んだ。山崎豊子の「大地の子」を思い出した。読後は長編映画を見終わったような疲労感はあるものの、主人公3人の逞しさと切なさと愛しさが胸に残る。
3投稿日: 2021.11.10
powered by ブクログ美子が茉莉と珠子に1個しかない自分のおにぎりを分け与え、自分は1番少ない部分を食べた場面には、子供なのに、自分もお腹が空いているのに、助けが来るかどうかも心配な状況で、神みたいだなと思った。 この3人は、それぞれ中国残留孤児、在日朝鮮人、戦災孤児という精神的にとても辛い状況にありながらも生きてこられたのは、幼い時に受けた家族の愛情と自身の精神力だと思う。 現代社会で考えてみると、子供時代に自分は愛されて育ったという自信があれば、例えば仕事や人間関係で嫌な事が起こっても頑張れる気がするし、周囲の人に優しくもできる気がする。でも世の中そんな良い環境で育った人ばかりではないから、いろんな人がいる。そんな心に余裕がない人にも、平等に愛を分け与えることができるような人になれたら素晴らしい。やっぱり世の中は、お金も大事だけど、最後は『愛』なのだと思う。 最後に、中国残留孤児と在日朝鮮人、戦災孤児について深く考える良い機会になった。
4投稿日: 2021.08.03
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幼いころ満州で出会った3人の女の子の、戦中・戦後の物語。 一人は貧しい高知の村から開拓団として満州に行かされた珠子。一人は生活のためにどちらかと言えば親日の考えを持っていた両親のもと(ただし母親は学校にも行っておらず読み書きができなくても、朝鮮人としての誇りは失わなかった)、満州で仕事をしていた朝鮮国籍の美子、もう一人は横浜で事業をしている父親が満州に視察(?)に来た時に連れてこられた、お金持ちのお嬢様の茉莉。 3人は短い期間だが満州で友情を育み、国籍や立場が違っても、お互いを思いやってかけがえのない思い出を作る。その時には、そのささいな思い出が、どんなに大切なものなのか気づかない。 終戦を迎え、満州の奥地で少ない田畑を耕していただけの貧しい珠子たち開拓団は何の情報もなく見捨てられ、筆舌に尽くしがたい悲惨な目に遭う。珠子は人身売買?で誘拐され、中国残留孤児に。貧しいが温かい養父母に育てられながら、だんだんと日本人としてのアイデンティティを失っていく描写が悲しくて悲しくてたまらない。 朝鮮人の美子たち家族は、日本の敗戦により、これまで日本に協力してきたことが糾弾されることを恐れ、日本に渡ることを決断する。その後の成長では、日本で生きる朝鮮人としてのアイデンティティが問われる。しかし自分の意思で何か決められるわけでもなかった、美子たちのような終戦時子どもだった世代は、日本人とか、朝鮮人とか関係なく、ただそこで、一生懸命生きているだけだ。 一番恵まれていたはずの茉莉は、空襲で家も家族もすべて失い孤児になる。このときの淡々とした描写も涙なくして読むことはできない。 立場も置かれた状況もまったく異なる3人だが、共通しているのは、「幼いころ自分は可愛がられ、愛されて育った」という記憶だ。そして「満州で友達に優しくされた」という記憶も心の鍵となって、何か重大なことに直面したとき、正しく誇りを持って生きるための役割を果たす。 戦争の悲惨さがもちろん伝わってくる作品だ。子どもにとって、幼少期に愛され、大切にされることがいかに重要かも伝わってくる。自分以外の誰かに思いやりを持つことの素晴らしさ(自分が大切にされてきていれば、困難な局面にあってもそれができる)。 どんな状況でも、正しく生きたい、と強く思わされる。(もし自分が同じ状況に置かれたら正しい行いができるかはなはだ疑問だ、人は弱いものだ、とも思わされる)。 在日朝鮮人にもさまざまな立場の人たちがいることもわかる。日本に来た経緯にもいろいろあるし、終戦時に朝鮮半島に帰るかどうかの判断もいろいろだ。 中学校で教える強制連行の歴史なんて、間違いではないにしても、本当になんて薄っぺらいのだろう(ジレンマ)。 ここに描かれた3人くらいの世代の人たちの記憶は、もう失われつつある。本書は「一番売りたい本!」という本屋大賞ノミネート作品だが、本当に、こんな物語がずっとたくさんの人に読みつがれてほしいと思った。
6投稿日: 2021.07.30
powered by ブクログおもしろくてあっという間に読み、最後のほうは感動した。 敗戦間際の満州の開拓村でほんの1~2日一緒に過ごした立場や生活の違う3人の少女のことが、その後の人生までずっと描かれていく。1974年生まれの著者という偏見のせいか、時代背景のからまり方がちょっと典型的に過ぎる感じがしないでもないけど、それ以上にこの物語のなかに込められたものの大きさが感じられた。 込められたものとは……。たとえば、空襲や満州からの引き揚げのような場面での人のふるまい、人の勝手さ、人の弱さ。人を守るってどういうことか、暴力的に闘わずして守る方法があるのか。物を分け合うとき、相手に大きいほうをあげられるか。 「わたしは、幸せにならなくていいの」と好きなはずの相手の結婚の申し込みを断った茉莉や、残留孤児になりながら肉親と再会し日本に戻れた後の珠子のことからは、悲しみ・苦しみや難題って、いろんなかたちでやってくるものだなと思わされる。それでも、きょうを生きていく3人の女性。何だか男性が主人公のダーッと人生を突っ走るような物語ではなかなかないような、女性的な重層的な人生を描いた佳作。
2投稿日: 2021.05.08
powered by ブクログこの作者、初読み。裏表紙に2016年本屋大賞第3位とあったけれど、それ以外はどういう本かも知らずに読み始める。 開拓団として満州に渡り、敗戦で日本へ逃げ帰る途中、攫われて中国人夫婦に買われた珠子。 横浜での何不自由ない生活から空襲で父母を亡くし養護施設に預けられる茉莉。 朝鮮半島で生まれて満州から日本へと流れ、終戦後もそのまま日本で暮らし続ける美子。 生まれも育ちも異なる3人が、一瞬だけ満州で交わり、その時の記憶を胸にその後の苛烈な人生を生き抜く。 大きな歴史の流れを辿りながら3人の生きた様を語る話は少し駆け足の感はあるが、それでも当時の過酷な状況が余さず描かれ、こうした人々の人生の上に今日があることが良く知れた。 中国残留孤児となった珠子や在日朝鮮人と呼ばれる美子を見れば、“○○人”とは、ということについて改めて考えさせられた。
4投稿日: 2021.03.27
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
昭和18年9月の終わり、珠子は満州についた。 ふるさとは貧しくて、国策としての満州開拓団に強制的に入団させられたのだ。 城壁に囲まれた土地ではあったが、地味豊かな満州の土地で、ようやく彼らはお腹いっぱい食べることができたのだった。 美子は朝鮮に生まれたが、日本の支配下にあった朝鮮で、朝鮮人が豊かに暮らすことはできなかった。 父が満州に仕事を探しに行っていた数年間、美子は母と二人で毎日働きづめに働いて、ようやくコーリャンの薄いおかゆをすすれるような暮らしだった。 やっと父が迎えに来て家族で満州に移住。 日本人たちのそばで日本人と同じように学校に通い、そこで珠子と友だちになった。 茉莉は横浜の貿易商の家に生まれ、着るもの食べるもの何一つ不自由をしたことのない暮らしだった。 欲しいと思う前にすべてを与えられ、愛情たっぷりに育てられた茉莉は、お産を控えた母が面倒を見られないので、満州を視察する父についてきて、そこで珠子や美子と出会った。 3人が大人に内緒で遠出をした時、疲れて眠りこけている間に天気が急変し、川が氾濫し橋は流され、そんな中、3人はたった一つのおにぎりを分け合い夜を過ごしたのだった。 それは彼女たちの長い長い生涯のなかのほんの短い時間だったけれど、この出会いが今後の辛い人生の中で彼女たちの精神的な支えになった。 終戦後、引き上げ途中で中国人にさらわれ売られた珠子。 終戦前に日本に戻ったけれども、いわれなき差別を受け続ける美子。 横浜大空襲で家も家族もすべてを失った茉莉。 読んでいて辛くて辛くてしょうがなかった。 戦争は子どもだろうと年寄りだろうと病人だろうとお構いなしに、というよりも弱者により激しく試練を与える。 大人が子どもを食い物にし、自分が生き延びるために他人を踏みつける。 抵抗できず、目を逸らすことも出来ずにそれを見る子どもたち。 戦争中よりも、戦後の生活の方が辛い。 日本人であることを忘れ、中国人として過ごしていた珠子が、後年、中国残留孤児として日本に帰って来るが、日本語を話せない彼女たちは働こうにも職種が限られる。 せっかく家族と再会できても、会話を交わすことすらできない。 空襲から一人生き残った茉莉は、近所の人たちに畑の野菜を奪われ、防空壕に隠していた家財道具いっさいも奪われ、手に握りしめていた一粒のキャラメルすら大人に奪われたことが一生残る心の傷となった。 しかし反面、戦争に巻き込まれて死んでいった家族のことを思う時、自分だけが幸せになることができず、プロポーズを断る。 戦争が終わっても、ずっとずっと戦争の影が彼女たちを追いかける。 どこまで傷つけられなければならないのか、苦しくて悔しくて、読みながら唇をかみしめる。 だけど彼女たちは、少なくとも家族に愛されて育った過去がある。 だから生きてこられたのだと思う。 そしてたった一度、3人がひとつのおにぎりを分け合ったこと。 一人占めせず、小さい子に多く分けて食べたおにぎり。 茉莉の生き方に頭が下がる。 戦後、弱者として虐げられながらも決して俯くことなく胸を張る。 同じ状況に陥ったら、私はこう強く生きて行けるだろうか。 真っ先に死んでしまうか、それともあさましい行いをしてしまうのか。 どんな大義名分があろうとも、弱いというだけで踏みつけられる世の中は間違っていると強く思った。 ネタバレし過ぎと思われるかもしれませんが、ネタではなく、この作品の世界すべてをまるごと味わっていただきたいと思いました。
5投稿日: 2021.03.19
powered by ブクログ途中読み進めるのが辛くなりながらも、 『読まなければならない』という気持ちに押されながら一気に読み終えた。 この本を皆が読めば戦争も差別もなくなるのにな。 自分の子供たちにも読み継いでもらいたい一冊。
2投稿日: 2021.02.17
powered by ブクログ胸を打つ。会社の休憩室じゃなかったら、電車の中じゃなかったら泣いてたな。 戦争を繰り返さないためにもこの読書体験は大切なこと。辛いんだけど読むのが止められない。 この本を作ってくれてありがとうと言いたい。この3人の少女を抱きしめたい。
2投稿日: 2021.02.05
powered by ブクログ珠子、茉莉、美子―。三人の出会いは、戦時中の満洲だった。生まれも境遇も何もかも違った三人が、戦争によって巡り会い、確かな友情を築き上げる。やがて終戦が訪れ、三人は日本と中国でそれぞれの道を歩む。時や場所を超えても変わらないものがある―。二〇一六年本屋大賞第三位の傑作。
1投稿日: 2021.01.30
powered by ブクログ重く、冷たく、苦しく、辛い。 「戦争に振り回された」、そんな言葉じゃ軽い。人々にとって戦いは戦争だけではなく、その後の混沌かつ激動な時代を如何に生き抜くかという点にあった。特に戦争で家族や故郷といった居場所を無くした子どもにとっては熾烈な課題であり、生きる力が弱い分悲惨だった。だけれども、そんな中でも友情の記憶は、彼女ら3人の子どもを支える朧けな道標となっていた。 久々に重い話を読みました。読んでいて心がしんどかったですが、読んで良かったと思っています。
1投稿日: 2021.01.27
powered by ブクログ戦時中、満州で出会った3人の少女を巡る話です。 高知から家族とともに来た珠子、朝鮮人の美子、横浜から来た茉莉。 国籍を超えた友情で結ばれる少女たちですが、戦争が激しさを増すにつれ日本は追い詰められていき… 3人はそれまで想像もつかなかった人生を送ることになります。 珠子は終戦後中国戦争孤児に、美子は日本で朝鮮人差別を受け、茉莉は空襲で家族を失い… 戦争という誰も逃げられない苦しみの中、必死で生き抜いた少女たちの人生とは。そして失った物と、そこから得た物とは? 日中韓の関係の悪さは今でも度々問題になっていますが、この本を読んだらその理由が分かるかと思います。 フィクションですが史実を基にしているため、当時の生活や貧しさがリアルに描かれています。 3人が日本で再開した時、日本語が話せない珠子に衝撃を受けた美子と茉莉。 母国の言葉さえ戦争で失われてしまったことはとてもショックでした。 「戦争さえ無ければ」と、当時を生きた人たちはどんなに願ったでしょうか。 今の平和な日本に感謝すると共に、二度と同じ歴史を繰り返してはいけないと思いました。
17投稿日: 2020.11.23
powered by ブクログ三人の女性の幼少期から晩年までを綴った、史実を基にしたフィクション。戦争について描いた小説はたくさんありますが、一人一人の人生について、徹底した取材を基に、ここまでリアリティをもって物語る小説には初めて出会いました。 中国残留孤児、戦争孤児、在日朝鮮人。知識としては知っていましたが、そういった人々が何を経験し、何を感じたのか、本当の意味では何も知らなかったのだと、この小説を通して改めて感じさせられました。作者の筆致は淡々としていますが、そこに語られる事実の壮絶さに圧倒されますし、胸が痛くなります。そして、戦争が個の人生を否が応にも変えていってしまうその無慈悲さを、ただそうであるものとして描き出そうとしている作者の覚悟にも、感服させられます。 三人の主人公の人生が一瞬交錯して、物語の最後にまた繋がる展開は、人と人が国籍や思想を越えて、繋がることができるかもしれないという希望を描き出しています。もちろん、その道のりは並大抵のものではないのですが…。戦争に翻弄されながらも、そこで生きていこうとする人々の人生を濃密に描き出した本作品。たくさんの人に読んでもらえるといいなと思いました。
5投稿日: 2020.10.14
powered by ブクログ満洲・朝鮮・日本をつなぐ大河ドラマのような物語。それぞれに生きた3人の少女の人生に、日本の現代史がにじみます。小学校の高学年ぐらいから十分読めます。
2投稿日: 2020.10.14
powered by ブクログ世界の果て「満州」で出会った子どもたち3人が再会するまで。 中国とも、韓国とも、いろんな問題があるしどっちが悪いのか分からくなってる感情論もあるけど、それでもこの本を読んだ後は「仲良くできたらいいのに」と思った。
2投稿日: 2020.10.04
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
涙と怒りしかない本でした。次のページが不安でずっとドキドキしながら読みました。生きて3人が再び会うことができて本当に良かった。 自民党の国会議員の方々や自民党支持者の皆さんは、この本を読んでも、憲法を改正して日本も戦争をできるように変えるべきだと言うのでしょうか。デモやTwitterでヘイトスピーチ、差別発言を続けるのでしょうか。我々日本人も、いつまで忘れることの得意な民族を演じ続けるのでしょうか。忘れて無かったことにしてしまうのでしょうか。
7投稿日: 2020.09.13
powered by ブクログ2019.02.09読了 450ページの長編。 私を見つけて→きみはいい子→と来ての 本作です。 内容は第二次世界大戦時に満州で出会った3人の少女… 朝鮮人の美子、四国の村から満州を目指した日本人の1人珠子、そして横浜に生まれ裕福な暮らしをしていた茉莉。 この三人が戦争によっておくらばざるをえなかった波乱万丈な人生とその顚末を綴った物語。 中脇初枝さんの作品は題材として重いものが多いが必ず最後に小さくても光を見出すことができるのでホッとできる。心と体に優しい作品
1投稿日: 2019.02.10
powered by ブクログ満州で出会った3人の少女が、戦争に翻弄された末にまた出会うまでの物語です。 悲しいです、とにかく悲しい。満州で誘拐され中国残留孤児となる珠子、在日朝鮮人として葛藤の中生きていく美子、空襲で家族を全て失い幸せになる事を拒み続ける茉莉。皆よく生き残ったなあ・・・。無数の珠子、美子、茉莉が日本国内外に沢山いた事を忘れてはいけないです。子どもの頃はお年寄りから色々な話を聞く機会が有りましたが、もう実際に体験している人から話を聞く事は難しくなりました。 広く皆に読んで欲しい本です。戦争反対。
1投稿日: 2019.01.15
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
珠子、茉莉、美子、それぞれが戦中〜戦後で、現代では考えられないような苦難を味わう。そんな中で3人を助けたのは、苦難の中で優しくしてくれた人たちの思い出だった。優しくしてもらえた記憶は、人が辛いときにも歩みつづける支えになるし、また他の人にも優しくなることができる。そんなテーマがこの物語には一貫して描かれている気がした。 実際にはそんなのは綺麗事で、辛い思い出の方がトラウマや恨みとして残ることの方が多いのかもしれない。今でも関連国間の問題は燻り続けているから、実際にそうなのだろう。 でも他人から受けた優しさの方を、また違う他人、次の世代にしていくことを意識的にしていきたいと思う。親からもらった愛情は自分の子供に与えていきたい。その子がまた他の誰かに優しくできるように願いを込めて。。 この先辛い思い出を抱えることになっても、優しさを連鎖させていくことができるようになりたいな。
3投稿日: 2018.11.04
powered by ブクログ戦時下の満州で出会った出自の違う3人の少女。 終戦を迎え、それぞれが数奇な運命を辿ることになる。 再読。 満州からの引き上げ時に残留孤児となった珠子、 日本に渡り在日朝鮮人として生きることになった美子、 家族を空襲で失い戦争孤児となった茉莉。 10歳にもならない子供の辿ることになった運命は、想像を絶するもの。 戦争に翻弄され、その被害者となった子供たちが沢山いた事を忘れてはいけないと思います。 多くの人が読でもらいたい本、 私も今後何度も手に取ると思います。 2021/11/06 再々読。 満州開拓団、中国残留孤児、在日朝鮮人、戦災孤児。 満州で出会った3人の少女は、それぞれの場所で残酷な運命を辿ることになる。 ・・・ 何度読んでも、辛いシーンに背筋が凍る思いがします。 戦争の悲惨さは、絶対に忘れてはならないし、ちゃんと知らないとならないとならないと思います。 多くの人に読んで欲しい本。 良作です。
2投稿日: 2018.10.16
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
少女達がどのように生きて行くのか気になり一気に読み終えてしまった。幼児の母として、子供のためには何としても頑張らなくてはいけない気持ちや、泣く赤子を泣き止ませなくてはならない辛さなど読んでて苦しくなった。
1投稿日: 2018.09.01
powered by ブクログ本屋大賞2016年3位。満州移民の悲惨な話は「闇に香る嘘」ってのがあったけど、この本も前半は重苦しい話が続く。朝鮮半島や中国の一部を第二次世界大戦までは日本が支配下に置いていたことが、今の反日感情のベースとなってるんだなってことを再認識させられる。かつてのヨーロッパの大国がいろんな国を植民地にしてたことによる根強い反感ってのもあるのでしょうかね。征服欲によって形作られた人間の歴史ってのはやっかいなものです。この小説はそんな悲惨な描写が細かいのと長いのでやや退屈です。それでも、人から優しくされた記憶が悲惨な状況に耐えて豊に生きていく糧になるってことや、そういった心のつながりの暖かさに心を揺さぶられます。最後の方は泣きました。なんか、生きる勇気を与えてくれる本です。
1投稿日: 2018.07.15
powered by ブクログ戦後の話。残酷な場面もあったけれど引き込まれるものがありすぐ読み終えてしまった。忘れてはならない時代の話。
1投稿日: 2018.07.04
powered by ブクログ私たちが出会ったあの頃は、戦争の真っただ中だった 珠子、茉莉、美子―三人が出会ったのは、戦時中の満州だった。何もかも違う三人はあることをきっかけに確かな友情を築き上げる。やがて終戦が訪れ、それぞれの道を歩みだす。二〇一六年本屋大賞第三位作品。
0投稿日: 2018.06.13
