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美術館の舞台裏  ──魅せる展覧会を作るには
美術館の舞台裏  ──魅せる展覧会を作るには
高橋明也/筑摩書房
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総合評価

26件)
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    美術館の展示会準備・プロモーション方法・経営についての解説。 展示会は絵の商談など会社員でいう営業のような仕事が主になるのは意外だった。

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    投稿日: 2025.05.03
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    展覧会、作品の輸送、買い付け、真贋……といろんな角度から日本の美術館の現状を解説してくれていて面白い。 運搬にはクーリエと呼ばれる付添人が同伴する(美術品を物理的に守るためというよりは、事故が起きた時の責任の所在を明らかにするため)、中国は美術品を政治的外交の駆け引きに使っている、など、知らないことがたくさんあった。 何より文章がすごく読みやすくて、もっとこの方の著作を読みたいと思った。

    0
    投稿日: 2024.03.14
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    2023.12.10 長いこと美術館の現場にいる方からのメッセージは、やはり奥深く心に響くものがある。経験の素晴らしさを再確認することができた。

    0
    投稿日: 2023.12.10
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    展覧会にじゃぶじゃぶお金を使えた、円も強く、経済実体の強さもあった時代と違い、これからの日本は知恵が必要と痛感。 何かにつけてお金がかかる展覧会・美術館状況らしいが、品良く、知性を生かして発展させて欲しい。 むしろお金があった以前の日本の展覧会事情こそ決して褒められたものでもなかったようだが・・・

    0
    投稿日: 2023.09.11
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    本書のあとがきにある通り、美術館側の人間が見聞きし経験したことを一般の人々に向かって語りかける機会はあまりない。 かつて学芸員を志した私でさえ、美術館の裏側を知る術はウワサ程度しかなかった。 そういう点で、この著書は学芸員という生業を広く知ってもらうための良書だと感じた。 ただ、できれば美術館展示ができていくまでの、もっと実務的な裏側(具体的に誰がどのように美術館に企画を持ち込み、それがどのように吟味されて展示の決定がなされ、どのくらいの期間や時間をかけて展示会にこぎつけられるのか、など)も知りたかった。 第二弾を待ちたい。

    0
    投稿日: 2023.09.10
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    美術館を知って50年、国立美術館の学芸員・三菱一号館美術館長として専門職35年の経験から語る。美術館の仕事、日本と西洋の違い、展覧会づくりの裏側、美術品を守ること、これからの未来のこと。 いつもいろいろなところで、沢山の展覧会が行われていますが、続くということが、すごい企画力だと思います。

    1
    投稿日: 2023.08.23
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    美術館の舞台裏(ちくま新書) 著作者:高橋明也 発行者:筑摩書房 タイムライン http://booklog.jp/timeline/users/collabo39698 facecollabo home Booklog https://facecollabo.jimdofree.com/ 魅せる展覧会を作るには美術館の見え方が変わる。

    5
    投稿日: 2023.05.30
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    日本と西洋やアメリカ、新興の中国まで、それぞれ美術館のなりたちから運営の違いまでバラバラで、相補的に関わり合いながら、美術史と同様、美術館にも時代の流れがあるのが面白かった。作品の見せ方やコンセプトに学芸員のワザや想い、水面下での努力があって、似たようなテーマであっても見せ方でかなり変わるんだなーと感心した。今後はもっと丁寧に展覧会見てまわりたいです。

    0
    投稿日: 2022.11.29
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    著者は、丸の内の三菱一号館美術館の1代目館長である高橋明也氏。 (先ほど調べたところ、去年、高橋さんは館長を退いているようだった。) タイトルの通り、美術館が作られる舞台裏が様々な切り口が語られている。 美術好きとしては、美術館のこともぜひ知っておきたい。タイトルに惹かれて図書館で借りた一冊。 高橋さんは、パリのオルセー美術館の開館準備に携わり、また、国立西洋美術館で研究員として働いた実績のある人物。 美術の知識のみならず、世界各国の美術館、そして美術館館長や、そこで働く人々との交流も深いようだ。 まず、勉強になったのが、学芸員(キュレーター)の仕事内容だ。 国によってその仕事内容、求められるレベルも異なるようだが、共通するのは、美術館にいてただ監視しながら座っている、というだけではすまない、ということだ。 仕事内容は、収蔵品の保存、研究。展覧会の開催による研究成果の展示、発表と実に様々。 原田マハさんの本に、頻繁にキュレーターが登場するが、なるほど、その仕事内容は広く、様々な知識や、企画力、コミュニケーション力などのスキルが必要な仕事であることがわかる。 そして、作品の展示の工夫(オルセー美術館では長年悩まされていた自然光による作品の見え方の問題を、壁の色を一新することで解消した、というエピソードも面白かった)、 作品の管理方法(繊細な材料を用いることが多い日本美術の作品は、物理的な脆弱さゆえ、展示期間が一ヶ月未満であることが多いということを初めて知った)、 展示の際の輸送手段、修繕の仕事内容にも触れていて、本当に様々な美術の一面を知ることができる。 東京藝大での学生時代では、マネの研究を続けてきたという高橋さん。文中からマネへの並々ならぬ愛情も感じられた。 2010年、「マネとモダンパリ」という展覧会を開催したときの喜びがひしひしと伝わってきた。 当時タブーとされた女性の裸体を描き、西洋絵画の約束事やしがらみに真っ向から挑んだ挑戦者。近代絵画の創始者、印象派の父と呼ばれたマネ。 マネは画家としての功績が日本では、弟分のモネやルノワール、同僚のドガ、ゴーギャン、セザンヌと比べると認知が低く、そこに高橋さんは歯がゆさを感じていたようだ。 (確かに、私もずっと前、モネとマネは名前が似ていて混同していた) また、今まで印象的だった展示に、2013年にヴェネチアで開催された「マネ、ヴェネチアへの期間」を挙げ、 ティツイアーノの「ウルビーノのヴィーナス」とその作品の構図を踏襲して描かれたマネの「オリンピア」が対に並べられた光景に息を呑んだと述べている。 美術に関わる専門家の、淡々とした解説本に終わらず、自分の思い入れのある画家や作品、展示にも言及しているところにも好感を覚えた。 本当に美術が好きなんだな、と、著者のその想いが伝わってきた。 三菱一号館美術館、実はまだ行ったことがありませんでした。 只今緊急事態宣言により休業中。さらに2023年から大規模修繕工事のため休館するらしい。 開館になったら、タイミングを見て行ってこようと思います。

    0
    投稿日: 2021.04.25
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    日本における美術展の成り立ちから、世界の美術展との違い、そして美術展開催に纏わるインサイドストーリなど、新書じゃなくてもっと知りたいと思える様な内容でした。 魑魅魍魎とまでは言わないけれど、なかなか癖のある人間が多そうで、ディグりたくなってくる。

    0
    投稿日: 2020.12.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

    三菱一号館美術館・館長さんのお話。何度か言及されていた「ヴァロットン展」が唯一行ったことあるものだったようなそうでないような気がしつつ、興味深く読んだ。 絵の後ろの壁の色まで気にしたことなかったなぁ。でも、たしかに美術館に行って残念な気分になるときって照明と壁の影響はとても大きい気がする。今度行くときにはもう少し注目してみたい。

    0
    投稿日: 2019.10.23
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    この間『美術館で働くということ』というエッセコミックを読んだ時、この本のことが頭にあった。 そこでいよいよ読むことに。 著者はオルセー美術館の開館準備室、国立西洋美術館の学芸員を歴任し、三菱一号館美術館館長に収まった、エリート中のエリート。 そういう立場から垣間見た、欧米のキュレーターの世界の華麗なことといったら。 『美術館で…』とはまた違う印象。 企画した展覧会のために作品を貸し借りしたり、コレクションを充実させるために買い付ける。 こういう仕事柄、学芸員同士はもちろん、画商、コレクターらとの人脈がものをいう。 そのため、大富豪ともそつなく付き合える教養や社交性も求められる――というのだ。 それだけではない。 美術展のために、額装や修復の職人さん、専門の運送業者さんなど、プロフェッショナルをまとめ、率いるコミュニケーション力と、リーダーシップが求められる。(このあたりは『美術館で…』にもある。) まったくもって、「情熱大陸」か?と思われる刺激的な世界。 取り上げているのは、美術館の建物や内装、贋作事件や盗難、輸送での事故など、多岐にわたる。 「個人蔵」や「伝○○」の持つ含みというか、裏事情も紹介される。 こういったところも面白い。

    1
    投稿日: 2019.06.08
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    これまでにも何冊ものアート関連の本を読んできましたが、小難しくて頭を抱えるものが多かった。でも、これはアート初心者にもやさしく解説されているのでさらっと読める。本著は「現代アート」よりも著者が強みとしている近世の「西洋アート」を中心に語られている。 でも、美術館ってこういうふうにして運営されていて、日本の美術館市場がどのような状態なのかを把握できるのでとても興味深かった。これで、展示や企画展の見方も変わる気がする。

    0
    投稿日: 2018.04.04
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    美術館はよく訪れるけれども、裏事情は全く知らなかったので勉強になった。一つの展覧会を手掛けるのには、こんなにも色々な方々が携わって成り立ってるのだなあと思うと、感慨深いものがあった。これからは一つ一つの展覧会をもっともっと大切に見て回りたい。

    0
    投稿日: 2017.04.09
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    ジョルジュラトゥールやヴァロットン KATAGAMI、著者のキュレーションの展示を見てきて、不思議と強く印象に残っているので、それを反芻しながら読んだ。やっぱりそうかと思うことも多いけれど、ヘェ〜となることも。 オルセー展へいくのが楽しみ。2017 4.7

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    投稿日: 2017.04.07
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    普段見ている美術展の裏側を見れる楽しい一冊。知らない世界を知ることが出来る。へぇーそうなんだー、と言わされてしまう。丁寧な文体と、読み進めやすい話題の推移で、おすすめの一冊。

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    投稿日: 2017.03.13
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    三菱一号美術館の館長の著作。 美術や美術館事情に詳しい人には物足りないかもしれないが、 私のように「そんなに詳しくないけど興味はある。時々美術館にも行く」という人にオススメ。 一通りのことが簡潔に分かりやすく書いてある。 いちいち「へぇ~、そうなんだ~」と思いながら楽しく 読んだ。

    0
    投稿日: 2016.11.02
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    丸の内にある落ち着いた雰囲気を持つ美術館である、三菱一号館美術館。同館の館長が書き綴る、日本の美術展と美術館の実態と現状。日本の美術館に対する公的援助が少ないことは、以前から重々承知していた。自前で用意できるコレクションに乏しく、海外にネットワークを張り巡らす新聞社・メディアの力なくしては、日本の美術館で海外芸術の展覧感を開催することは難しいのだ。そのことが、日本の美術館とメディアの関係に悪影響を及ぼし、日本に真っ当な美重点の評論が存在しないことを、筆者は心から憂えている。「寄付」と「寄贈」の違い、美術品を巡るドロドロの世界、美術品と光(太陽光、室内照明問わず)の関係…。「学芸員」の地位が、海外と日本とでは全く違うことに、驚く人も多いだろう。大学の講座で簡単に取得できる日本に対し、高度な試験を突破しないとその座につけない海外。自前で用意できるコレクションがない(少ない)が故に、日本独自で発展した様式が、海外の美術関係者から奇異の目で見られていることは、日本人美術愛好者の一人としては肩身が狭い。そしてここ数年の世界的不況で、海外の美術館も経済的苦境に陥っているのは、美術ファン、美術展覧会好きには気がかりな状況である。美術というのは、このまま「金持ちの道楽」になってしまうのだろうか。

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    投稿日: 2016.09.17
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    展覧会を開く苦労、工夫などが分かりやすく書いてあった。 学芸員さんの仕事内容への理解が深まりました。

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    投稿日: 2016.09.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    三菱一号館美術館館長による、まさにタイトル通りの本。 文章はバランス悪いところもあり、一章一章短いから読みやすいんだけど、もうちょっと深いところまで書いて欲しいなという点もあるけど、興味深かった。

    0
    投稿日: 2016.04.29
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    <目次> 第1章  美術館のルーツを探ってみると… 第2章  美術館の仕事、あれやこれやで大変です! 第3章  はたして展覧会づくりの裏側は? 第4章  美術作品を守るため、細心の注意を払います 第5章  美術作品はつねにリスクにさらされている? 第6章  どうなる?未来の美術館 <内容> 元国立西洋美術館在籍、現在丸の内の三菱一号館美術館館長による美術館の仕事や美術界のことを語った本。話の主は西洋美術(主に絵画)なのですが、ご本人の専門のマネのことやヨーロッパの美術館(パリの話が多いかな?)のことも語られます。近年の大家の作品展よりも視点を代えたテーマ展、マンガやファッションなどの現代アートなど、未来の美術館や展覧会の話が面白かった。むろん、画廊やオークションの話、美術館の裏話も「なるほど」と読めました。

    1
    投稿日: 2016.02.11
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    美術ファンとしては各美術館で様々な企画展が開催される事は行きたい展示が多すぎて選べない!という贅沢な悩みだと思っていたけれど、関係者から見ると美術展の商業化という意味で良いことばかりではないのだと知って驚いた。 海外から作品を集めれば集めるほど輸送費や保険料で莫大な費用がかかり、それを回収するため新聞社やテレビが宣伝しグッズを作り‥いわゆる日本で開催される「企画展」は失敗が許されない、ハイリスクハイリターンの一大ビジネスに(良くも悪くも)なったとのこと。関係者は大変なプレッシャーの中で準備に追われているんだろうな‥ 今後美術館に行く時は心して行こうと思いました(笑) あと個人的には日本の美術品は主に紙のものが多く展示中のダメージが多い事から展示期間が短いという話が印象的だった。もっと会期を延長してくれれば良いのに‥と不満だったけれどそんな理由なら致し方ない。

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    投稿日: 2016.01.24
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    このレビューはネタバレを含みます。

    まさに「舞台裏」。ここまで明らかにしていいのか!?あとがきで明らかにされた著者の決断に感謝したい。本書の位置づけは難しいが、美術展ファンならば、きっと最高に楽しめるはずだ。 〈以下、備忘録〉 ・お金で美術品を借りる習慣を世界で作ったのは日本の新聞・放送局 ・デパートの催事場での展示開催は日本独自 ・デベロッパー系の美術館の存在も日本独自 ・フランスのコンセルバトワール試験は弁護士より難しい。合格率2,3%。 ・イギリスでは学芸員はkeeper。アメリカがcurator。 ・ルーブル、オルセー級の館長は大統領の任命。 ・個人所蔵の名前を明かさないのは、税金対策が絡んでいる。 ・壁の色と照明

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    投稿日: 2016.01.22
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    日本の美術館・美術展の成り立ちから、美術館運営の裏側、今後の美術館の展望までを書いた本。作者の高橋氏は丸の内にある三菱1号館美術館の館長であり、彼がこれまで経験したエピソードも交えて描いており、非常に面白かった。 この本は年に1回か2回、興味のある展覧会が開催されている時だけ美術館に行く、私のようなビギナーが最も楽しく読めるのではないかと思う。 この本を読んで、自分が知っている画家・アーティストのみならず、未知の展覧会にも足を運んでみようと思うようになった。

    1
    投稿日: 2016.01.19
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    高橋明也『美術館の舞台裏 魅せる展覧会を作るには』(ちくま新書、2015年12月)税別780円 三菱一号館美術館館長(初代)の高橋明也(1953-)による、美術館運営および展覧会企画の裏側で働くスタッフの仕事、西洋美術界の力学の紹介。 【構成】 第1章 美術館のルーツを探ってみると  1 明治の西洋美術コレクター、松方幸次郎と大原孫三郎  2 国家の格、コレクションの持つ力  3 美術館の起源は古代ギリシア?ルネッサンス?  4 ルネッサンス期、注文主と売れっ子芸術家との緊迫関係  5 パブリックスペースとしての美術館  6 日本の美術館のルーツ 第2章 美術館の仕事、あれやこれや大変です!  1 日本独自の海外美術展の作り方  2 そもそも学芸員(キュレーター)の仕事って?  3 マネジメント力の重要性  4 お国柄が出ます  5 作品キャプションが教える展示品のもう一つの表情  6 ほかにも学芸員の仕事はたくさん 第3章 はたして展覧会作りの裏側は?  1 展覧会づくりのの王道路線と貫いた『ラ・トゥール』展  2 学芸員はプロデューサー的手腕を発揮する  3 学芸員は映画監督、演出家的手腕を発揮する  4 展覧会もプロモーションが命です  5 展覧会の収支バランスとは?  6 動員数は次なるステージへの推進力 第4章 美術作品を守るため、細心の注意を払います  1 美術館の壁の色、おぼえていますか?  2 膨大な輸送費、保険費  3 作品はどんなふうに保存・修復されているの?  4 運搬の付き添いも楽じゃない 第5章 美術作品はつねにリスクにさらされている?  1 カタログ・レゾネの信憑性  2 日本美術、グレーゾーンへの執着  3 善意の贋作  4 ルノワールのお値段、決定権はここにあり  5 有名贋作事件  6 盗難事件、まさか日常茶飯事? 第6章 どうなる?未来の美術館  1 美術館情報最前線  2 美術品の値段はこうして決まる  3 ルーヴル美術館のロゴ使用料だけで600億円?  4 ファッションブランドが美術館を変える?  5 ルールが変わる。現代美術はフレキシブル  6 美術館、展覧会でつながる作家たち  7 日本の美術展に最も欠けているのは批評性  8 ファッションブランドにマンガ  9 美術鑑賞の原点に立ち返る 2015年1月、イギリスのナショナル・ギャラリーを題材にしたその名も『ナショナル・ギャラリー 英国の至宝』という映画が上映された。3時間におよぶ大作で観るのも疲れてしまったが、そこで描かれていた美術館の仕事、使命は本書のテーマはかなり重なる。 映画のように「来場した鑑賞者や子供にいかに絵画を楽しんでもらうのか」といった啓発活動までは触れられていないが、企画展の企画・立案・運営といった実務が中心となっている。 絵画の買い付け、企画展の海外美術館からのレンタル契約、作品の輸送、展示のレイアウト、キャプション付けなど、名のある企画展を実行するには綿密な計画と段取りが必要となる。そういった実務の面で、日本ならではの事情を欧米の大美術館と比較しながら、語られる。 著者が館長を務める三菱一号館美術館は、東京丸の内にあって非常にアクセスしやすい立地もさることながら、印象派のロートレックやヴァロットンという少し変わったコレクションを擁している。特に「ヴァロットン 冷たい炎の画家」という2014年の企画展は、視点が非常に面白く、同館の企画のユニークさが前面に出ていたと感じる。 客の入りや収支を横目で見ながら、鑑賞者に発見してもらえるような価値のある作品を展示するという仕事の難しさと面白さが著者の言葉から見て取れる。 第4章で取り上げられている「作品の真贋」についてのテーマは、全体の中では主要テーマではないかもしれない。が、自分でフェルメールの模倣をしてナチス・ドイツにそれをつかませ、大金をせしめたハン・ファン・メーヘレン事件など痛快きわまりないエピソードで面白い。 印象派を中心とした企画展に数度足を運んだ経験のある人にはかなり面白い内容だと思うけれど、図版等の掲載はないので「フェルメールってどんな画家だっけ?」という人が読むと、いまいち面白くないのでは、という印象。

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    投稿日: 2015.12.29
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     言われてみれば気になるものがある。それは美術館の行っている展覧会がどのように企画されて運営されるかということだ。その点で今回の本はぴったりだ。今回の著者は、丸の内にある三菱一号館美術館の初代館長。  よく展覧会のパンフレットに主催者の欄に必ずと言っていいほど載っている業界の名前がある。それは新聞社だ。戦後の海外展で海外の美術館から貸してもらうための交渉をするには海外駐在員や特派員はうってつけの存在だった。何しろ1ドル360円という時代で、誰もが手軽に旅行できる時代ではなかった。そのうえ新聞社にとっても自社の存在をアピールできる。アピールも文化に関心があるというお上品なやりかたで。需要の供給の一致が今日の海外展の基礎になっている。  1980年代以降、放送局が美術展開催の参入するようになったとある。TBSの世界ふしぎ発見を見ているとたまに展覧会の宣伝を兼ねたテーマを取り上げていることがある。その後、「商業化への道をたどる海外展」と著者が述べているように、海外の美術館は資金繰りが苦しくなってきて、日本の海外展を金の生る木にせざるを得なくなったそうだ。茶者がある美術館の名誉館長にチクリといわれた一言が載っている。それは「作品をお金で集める習慣をつけてしまったのは日本人なんだよ」と。その付けが今どっしりと響いてきているようだ。  読んでいてびっくりしたのが美術品の扱い。日本に届いて中を開けてみたら、フレスコ画の表面の顔料がはがれ落ちていた。それに対してナポリの美術館からのもので、付き添ってきたクーリエがはがれた顔料を掌にとってごみ箱に捨てたと書かれている。さらに、「イタリア人はジオットのフレスコ画を雑巾でふいてるんだよ」という著者の恩師の言葉。「あまり細かいことは気にしない傾向が強いのです」とあるように、日本人では考えられないことをする。フランス人も同様の傾向が強いそうだ。  美術館や博物館で働く場合も、商社で海外勤務をする人に求められる「神経の図太さ」が必要だ。可憐な一輪の花では心もとない。  展覧会を企画、運営していくことが大変なのが分かる。今度展覧会を見に行くときは、どんな風に企画して運営しているのか注目してみるか。展覧会の公式ガイドを見るとどこかに何かしらの形で書かれている。

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    投稿日: 2015.12.12