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偉大なる失敗 天才科学者たちはどう間違えたか
偉大なる失敗 天才科学者たちはどう間違えたか
マリオリヴィオ、千葉敏生/早川書房
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総合評価

21件)
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    決して"失敗学"ではない世界を変えた超天才達の偉大なる失敗の原因とそこへ至る信念、そしてその失敗が産んだ発展。一級品の一冊。

    0
    投稿日: 2023.10.12
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    偉大な科学者達も自分のミスに気付かずに見過ごすことがあった。或いは当時の考え方(科学的常識)に合わせて修正したり、事実とは相容れない自説に固執したり、科学的な発見の裏にはミスや失敗もあった。この本で、著者は彼らの業績と共に失敗の事例を紹介する。取り上げた事例として、ダーウィンと遺伝学、ケルヴィンと地球の年齢、ポーリングとDNA、ホイルと定常宇宙、アインシュタインと定常宇宙など。 どれほど優秀な科学者でも間違いはあるということだが、彼らも充分検討した上での主張であって、後世の科学的視点で正誤を判断されるのは少し気の毒な感じもした。

    0
    投稿日: 2022.05.19
  • 天才の失敗は偉大だ。

    非常に興味深い内容だった。 どんな天才でも、必ず失敗はあるということがわかったが、天才は「転んでもタダでは起きない」を地で行くのかもしれないと感じた。本書で紹介される有名な科学者の失敗は、単なる間違いに留まらず、周りに強い影響を与えるものだと紹介されている。 本書で紹介される科学者はいずれも馴染みがある名前だが、ダーウィン、ポーリングは分野にあまり詳しくないので、読んでいて新鮮だった。また、ケルヴィン卿といえば、物理学者だと思っていたが、地質学者でもあったのだなと知らないことがわかって良かった。 ホイルとアインシュタインの話は、割とその方面の書籍などを読んでいたので、復習の感じで読んでいたが、本書が「進化」をキーワードとして3つのテーマでまとめられていて、前とのつながりを意識しながら読むと、また違った面がみられた様な気がする。 天才たちの失敗は、「偉大なる」失敗なのだと実感した。

    0
    投稿日: 2020.10.07
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    大変読み応えのある内容。 宇宙物理学者である著者が、5人の偉大な科学者である、ダーウィン、ケルビン、ポーリング、ホイル、アインシュタインの偉業と、それぞれの偉業に伴って生じた彼らの「ミス」に着目し、その意義と貢献についてまとめた一冊。 彼らのミスは単純な誤りなどではなく、次の世代の研究にモチベーションとなるようなヒントを与えて、現代科学の進歩に大きく貢献してきたんだということがよくわかりました。 科学者どうしの当時の手紙のやりとりや、関係者への取材、著書や論文の内容など、著者がそれらを丁寧に調べてまとめており、事実関係をまとめるだけでも大変な手間がかかっている本でもあるなと思いました。

    5
    投稿日: 2020.05.05
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    逸話だけでおもしろいのですが、もう少し人間の認知バイアス等にからめてくれるとなおよかったかなという感じです。 あと、天才たちではなくふつうの研究者たちの間違いについても少しは触れて欲しかったところです。

    1
    投稿日: 2019.07.24
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    偉大な先達たちの失敗を通じて感じることのできる科学の進歩の話。アインシュタインの間違いながらも最終的には正しい結論に到達する。直感を大事にしているからだというくだりは、特に印象的だった。

    4
    投稿日: 2018.11.12
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    ★科学道100 / めくるめく失敗 【所在・貸出状況を見る】 http://sistlb.sist.ac.jp/mylimedio/search/search.do?target=local&mode=comp&materialid=11500283

    0
    投稿日: 2017.07.05
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    チャールズ・ダーウィンやケルヴィン卿、ライナス・ポーリング、フレッド・ホイル、アルベルト・アインシュタイン。偉大な科学者が犯した失敗を偉業とともに紹介している。失敗といっても寝坊して学会に遅刻したとか、そんなレベルではない。あくまでも仕事(研究)での失敗だ。高度な失敗であるため、科学に疎い人は、何が失敗なのか分からないと思う。それでも、種の起源のダーウィンから相対性理論のアインシュタインまで、異なる分野の科学者だと思っていたが、どんどん繋がっていく様は意外性を感じられる。一般人が楽しみで読む本ではないが、科学史に興味がある人は読んでおいて損はない。

    0
    投稿日: 2017.04.15
  • 失敗を学ぶ

    ダーウィン、ケルヴィン卿、ポーリング、ホイル、アインシュタインという一流科学者達の失敗。 独創的な発想力が裏目に、ひとつのことにこだわってコツコツ研究することが頑固さに、社交性や政治力がデータに影響し、専門外の分野に目を向けてしまったことも失敗へと繋がる。とはいえ、失敗だった論文も学会内外とわず研究者達に影響を与え、新しい発想の助けになったりもする。偉大な発見があった前後のワイワイガヤガヤした感じが描かれていて面白いものの、専門的な知識不足とバッドエンドを知りながら読む辛さで読み終わるのに時間がかかった。 ジャック・ダニッツがライナス・ポーリングから言われた言葉「いいかいジャック、名案を思いついたと思ったら、とにかく発表しなさい!間違いを恐れちゃいかん。科学では、間違いは何の害も及ぼさない。科学界には、すぐに間違いを見つけて訂正してくれるような優秀な人間がたくさんいるのだ。恥をかくかもしれんというだけで、害は何もない。プライドは傷つくがね。しかし、もし名案なのに発表しなければ、科学が損失をこうむるかもしれんのだ。」にグッとくる。

    2
    投稿日: 2016.10.06
  • 間違いこそが、科学を導く

    科学的なものは、いつも正しい。そんな風に僕たちは思いがちだけれども、本書を読めば科学が常に間違いを犯し、それを更新してきたんだということがよく分かります。 『偉大なる失敗』は、天才科学者と呼ばれる者たちが犯した過ちに焦点をあてた1冊。ダーウィンは進化論を発見していながらも間違った遺伝論を採用してしまい、化学者のポーリングは二重らせんであるDNAの構造を""三重""だと勘違いしてしまいました。 しかし、本書はそうした彼らの失敗を面白おかしく紹介するのではなく、なぜこうした過ちが起きて、どうやってそれが撤回されたのか、そうした科学の歩みを丹念に追っていきます。 常に新しい事実が発見され、それに基づいて今までの理論が修正されていく科学。アインシュタインが「わが生涯で最大の過ち」と読んだ""宇宙項""と呼ばれる理論も、今では逆に再評価されつつあります。失敗をテーマにしつつ、科学の正史を語る真っ当で面白いノンフィクションです。

    4
    投稿日: 2016.10.05
  • 歳をとって自説に固執すると最先端にはついていけなくなる

    天才科学者も間違いは起こす。その多くの間違いの中から選ばれたのがダーウィン、ケルヴィン卿、ポーリング、フレッド・ホイルそして「最大の過ち」が有名なアインシュタインだ。ダーウィンとアインシュタイン以外は普通の人は知らないような気もする。 ダーウィンの過ちとは自然選択が働くための条件についてだ。種の起源の発表は1859年、メンデルのエンドウマメの実験は1853ー1868で発表は1865-66のマイナーな学会でだった。メンデルは種の起源を読んでいたがダーウィンがメンデルの実験結果を知っていたかは微妙だ。メンデルの実験結果が書かれた本をダーウィンは持っていたが、そのページは閉じられたままだった。 ダーウィンの考えた遺伝は融合遺伝というもので突然変異は次世代に受け継がれるがそこに遺伝子の概念はなく、獲得した形質がそのまま引き継がれる。ススだらけのロンドンでは黒い蛾が生き残っていたのだが、融合遺伝の場合100匹の白い蛾の集団の中で1匹の黒い蛾が生まれて子孫ができたとしても2代目は灰色になる。1匹の黒い蛾は100匹の中で薄まっていき元と比べて少しだけ黒い集団になる。遺伝子と優性遺伝の考えを取り入れないと黒い蛾の集団は生まれない。ダーウィンは融合遺伝のもとでは自然選択がうまく働かないことを充分に考慮しなかった。 ケルヴィン卿は絶対温度のkに名を残し、熱力学第二法則を生んだ物理学者だが地球の年齢を計算した地質学者でも有る。ケルヴィンは岩石の熱伝導率などを調べ、溶融状態の原始地球が現在の温度に冷えて固まるまでの時間から地球の年齢を計算した。ケルヴィンは岩石が凝固した時点であらゆる場所が同じ温度だったと仮定したのだった。その結果は約1億歳だ。一方で核融合が知られてない当時太陽の熱源を重力として計算するとやはり1億歳が出てくる。 地質学者達は地球内部の構造が一定でなかった場合に何倍も伸びる可能性を指摘したがケルヴィンは取り合わなかった。この話でいまいちよくわからないのが均質で熱伝導率が一定の地球が1億歳だとした場合にマントル対流がありより熱伝導率が高い実際の地球の方がなぜ何十倍も年寄りになるかだった。 ポーリングは二重らせんの発見にあと一歩のところにいながら有名なロザリンド・フランクリンの写真を機会がありながら見なかったためにワトソン・クリックに先を越された。 そしてアインシュタインの最大の過ちとは一般相対性理論に美しくない宇宙項を付け加えたことというのがよく知られる話なのだがこの本の結論は間逆で後に宇宙項をなくしたことが最大の失敗だったと結論づけている。最近の研究から宇宙の膨張は加速していることがわかってきた。重力が働けば普通は膨張は減速するはずだ。加速するということは斥力が働いているということであり、これがどこから来るかというと真空にゆらぎがありそこにダークエネルギーという莫大なエネルギーが隠れている。宇宙項はこのダークエネルギーを表すのにちょうどいいのだ。宇宙学者や物理学者がどういってもこのあたりの理解はいつまでたっても追いつかない。 この本から読み取れるのは歳をとって自説に固執すると最先端にはついていけなくなるということだが、それを失敗と呼ぶのか?

    1
    投稿日: 2016.05.29
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    チャールズ・ダーウィン、ウィリアム・トムソン、ライナス・ボーリング、フレッド・ホイル、アルベルト・アインシュタインという、天才科学者が犯したと思われる失敗を宇宙物理学者の著者が挙げた一冊です。失敗ではあるのですが、将来の人間たちに残された課題だと思えば、当時の人たち、そして私たち現代の人間にとって大きな業績を残した彼ら天才科学者の栄光は色あせることはないでしょう。

    0
    投稿日: 2016.05.21
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    ダーウィン、ケルヴィン、ポーリング、ホイル、アインシュタインという、歴史上の偉大な科学者たちの「世紀の過ち」を取り上げ、なぜ彼らが間違いを犯したのか、なぜそれは修正されなかったのかについて検証されたもの。技術の未発達や宗教的なバイアスも大きな要因だが、それ以上に競争、間違いを認めたくないという感情、単純な見落とし、過剰な礼賛など、実に人間ぽいことが積み重なっての出来事なんだなあ。これ、企業経営にもかなり当てはまることだと思う。ただ、後の世から見れば結果的に間違いだったことでも、それを検証しようとする動きは科学の発展に大きく貢献している。実力がないと「世紀の過ち」も起こせないのである。

    0
    投稿日: 2015.10.05
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    天才科学者たちの偉大なる失敗のエピソードはどれも読み応えがありました。 それにしても、私は相対性理論のことはな〜〜んにも知らなかった(他のこともだけど)ということが今さらですが、よくわかりました。

    0
    投稿日: 2015.09.17
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    ダーウィンの「パンゲン説」、ウィリアム・トムソン(ケルヴィン卿)の地球の年齢、ライナス・ボーリングのDNAの三本鎖モデル、ホイルの定常状態宇宙論、アインシュタインの宇宙項を偉大なる失敗と名付けて、その失敗を行った偉大なる科学者の偉業と失敗を巡るストーリーを順に紡いだもの。これらの「失敗」があまりにも偉大であるがゆえに一般化には向いていないので、「失敗」という観点でパッケージ化してみたものの思ったよりもエッジが立っていない印象を受けた。進化論、地球論、生命科学、宇宙論、といった現代科学の基礎を広くカバー(あとは量子論が足りないくらい)をしているところはいいところ。各科学理論に関する当時の論争に関する論証は丁寧。無理に「失敗」にこだわらなくても良かったかもと思う。

    2
    投稿日: 2015.07.20
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    150627 中央図書館 ダーウィン、ケルヴィン卿、ポーリング、ホイル、アインシュタインのそれぞれの「誤り」を分析している。それぞれが独立しているのではなく、「進化」の考え方を軸に、生物の進化論、地球の年齢推定、DNA構造の解明、宇宙核物理学による元素の起源、そして定常宇宙論の盛衰をキーに一般相対性理論の宇宙項、とシームレスに話が繋がっていくのが素晴らしい。普通の科学項目の解説書ではなく、科学の進化そのものについて、深い思考へと誘うような、一枚の思想が浮かび上がるようだ。

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    投稿日: 2015.06.27
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    レビューはブログにて http://ameblo.jp/w92-3/entry-12016895244.html

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    投稿日: 2015.04.24
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    新聞の書評で見て非常に興味をそそられたので早速読んでみたのですが、やはり正解でした。 ダーウィン、ケルヴィン、ポーリング、ホイル、アインシュタインという5人の科学者について、主要な科学的業績のわかりやすい説明とともに、特にそれぞれの晩年彼らが陥った、結果として誤っていた自説に対する固執を描かれており、科学の勉強になると同時に、非常におもしろい人間ドラマにもなっています。 ただ、自身科学者である作者の一貫した立場は、たとえ結果としては誤っていた説であろうと、世界の有様について深く考えた大きな仮説というのものは、それ自体として大きな意義のあるものであり、世の中に対する影響力の小さな「正しい説」よりもむしろ重要だということで、非常に納得させられるものでした。 アインシュタインの「失敗」に関しては、これまで「一般相対性理論に宇宙定数(宇宙項)を導入したこと」を本人自身が「人生最大の過ち」と言っていたというエピソードを何回か読んだことがあったので、てっきりそれだと思っていたのですが、むしろ逆に「せっかく宇宙定数を発見したのに、それを途中で撤回してしまったこと」だというのが、意外でおもしろいところでした。 進化論、遺伝、地球科学、宇宙論にわたる幅広いテーマを、簡明にドラマチックに知ることのできる、非常な良書だと思いました。

    0
    投稿日: 2015.04.22
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    遺伝のメカニズムを勘違いしていたチャールズ・ダーウィン。地球の熱伝導率が一定だと決めつけて地球の年齢を大幅に間違えたウィリアム・トムソン(ケルヴィン卿)。DNAが三重らせんだと主張したライナス・ポーリング。宇宙は定常であると信じたフレッド・ホイル。宇宙定数を自ら否定したアルベルト・アインシュタイン。科学史にその名を残した偉人たちがその業績の裏でどのような間違いを犯し、なぜそのような間違いをしてしまったのかを追求したノンフィクション。 偉人もひとりの人間であり、その間違いもまた至極、人間的でした。特にポーリングのエピソードがなかなか面白く、彼はライバルたちを出し抜くために思いついた「DNAの三重らせん構造」を深く検証もせずに堂々と発表しました。でもそれは化学の基本原理すら無視したトンデモナイ形状で、あのポーリングがどんなDNA形状を発表するのかと怯えていたライバルたちはそれを見て歓喜したとのことです。でも後に二重らせんを発見したジェームズ・ワトソンとフランシス・クリックがポーリングの考え方に影響を受けたのもまた事実なのです。 かのエジソンも「失敗は成功の母である」と言いました。知的好奇心を満足させてくれる良書です。

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    投稿日: 2015.04.19
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    科学史に名を残す著名な科学者5人の犯した失敗に関する本というと、いかにも揚げ足取りのように聞こえるが、その前提として、彼らがどのような発見をしたか、いかに偉大だったかということがきちんと記載されている。その上で、なぜ見落とし、誤解、自説への固執といった過ちに突き進んだのかを冷静に、存命者へのインタビューも含めて考察している。 対象範囲が生物学、理論物理学、宇宙論と多岐に渡っているので、人によっては難しいと感じる項目もあるだろうが、一般向けの本でもあり、何となくの雰囲気は感じられるだろう。

    0
    投稿日: 2015.04.19
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    偉大なる失敗 マリオ・リヴィオ著 科学者の試行錯誤の歴史 追体験 2015/3/29付日本経済新聞 朝刊  科学者は常に正しいという牧歌的な思い込み。全く逆に、彼らのほとんどは巧みに社会を騙(だま)し操っているのではないかとの疑心暗鬼。昨今の科学を巡って人々はこの不正確な2つの極論に翻弄されている。  しかし現実の科学の現場はずっと単純だ。一時的に誤った仮説が受け入れられようと、それは時間をかけて修正され、やがてより正確な理論に置き換えられる。膨大な試行錯誤と批判に堪え生き延びた、ごく少数の説だけが科学史に刻まれる。  本書は、生物・地球・宇宙の進化を巡って歴史に残る天才科学者たちが犯した失敗を通じて、科学が誕生する過程を追体験させてくれる。  進化論を発見していながら誤った遺伝の法則を信じていた生物学者ダーウィン。地球の年齢を実際の50分の1の一億年と推定しながら、その批判に全く耳をかさなかった物理学者ケルヴィン卿。DNAの構造が二重らせんではなく三重らせんであると思い込んで大発見を逃した化学者ポーリング。  宇宙には始まりも終わりもなく永遠に同じ状態であり続けるとする定常宇宙論を主張し続けた天文学者ホイル。進化する宇宙を避けるべく自らの一般相対論に宇宙項と呼ばれる不可解な項を追加したアインシュタイン。後に彼はこのアイディアを取り下げ、「宇宙項は我が人生最大の失敗」だと語ってくれたと、ビッグバンの提唱者ガモフは言う。本書のタイトルはこの有名な逸話をもじったものだ。  「科学では間違いは何の害も及ぼさない。すぐに間違いを見つけて訂正してくれる優秀な人間はたくさんいる。しかし、もし名案なのに発表しなければ科学が損失をこうむるかもしれない」はポーリングの言葉。  物理学者インフェルトは、アインシュタインの1917年の宇宙項の論文を評して「物事の根幹にかかわる問題に対する間違った解のほうが、些細(ささい)でつまらない問題に対する正しい解よりも比較にならないくらい重要な場合もあることを示す例だ」と述べたという。  ところが98年に発表された宇宙の加速膨張を示す観測データは、アインシュタインの宇宙項によって見事に説明できる。つまり宇宙項の導入ではなく、その撤回こそがアインシュタインの偉大なる失敗だったようだ。  ちなみに著者は丹念な文献調査の結果、「人生最大の失敗」というアインシュタインの有名な言葉はガモフによる創作だと結論している。これにはとても驚いた。その根拠を知りたい方はぜひとも本書をお読みあれ。 原題=BRILLIANT BLUNDERS (千葉敏生訳、早川書房・2400円) ▼著者は米国の宇宙望遠鏡科学研究所の科学部門長を務めた宇宙物理学者。 《評》東京大学教授 須藤靖

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    投稿日: 2015.03.29