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しあわせの理由
しあわせの理由
グレッグ・イーガン、山岸真/早川書房
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総合評価

93件)
3.8
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31
24
4
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    イーガンはもっと難解で何のこっちゃわからん感じかと思っていたが、文章自体が思いがけなく読みやすかったので、理系の専門知識部分以外は問題なく理解できた。 読んでいると人間という存在の悲哀を感じて、自分の人生を含めたこの世界をとても切ない気持ちで見てしまうようになる。 全編に通じるテーマとして、人間はどんなことでもやってのけられるし、やったことがなんであれ、「自分のしたことは間違っていない」と思わないと生きていけない、という真理を感じた。

    0
    投稿日: 2025.11.05
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    グレッグ・イーガンはハードSF好きの自分としては外せない作家。 のはずなのにもしかしたら所有したのは初めてかもしれない。今までは何かの短編集的なもので読んだだけだったのかも。 本短編集、SFなのだが、突拍子もない設定やかけ離れた未来の作品はそれほど多くはなく、時間軸としてもとても現代に近い設定のため、「あれ? これってSF?」となる作品も多い。 表題の作品『しあわせの理由』なんて、SFではなく人間を描いており、その設定のためにSFを利用していると言ってもいいくらい。というか、多分そう。それはタイトルに現れている通りで、自分が感じるしあわせも少し懐疑的に見てしまいそうになる。 現実の自分の認識を疑いたくなるという意味では、『移送夢』も怖い。自分の世界は自分の認識によってのみ構成されているんだよなと思うと、全てが信じられなくなる。 グロテスクと感じる作品もいくつかあった。『適切な愛』で表現されている愛は私の感覚からするとグロテスク。 その他『愛撫』『道徳的ウイルス学者』など、その発想はSFと呼ぶには自由すぎる。解説者はイーガンの小説は「哲学小説」と定義していたが、それに賛同するかどうかは置いておいて、そう言いたくなるのも理解できる。 さて。 早速だが本作の前に出版された『祈りの海』を注文した。 しばらくはイーガンの世界に浸ろうと思う。

    0
    投稿日: 2025.10.11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    全ての話で未来の話。例えば寿命がなくなった世界。例えば、感情のパラメータを自分でコントロールできる時代。そのなかで幸せってなにか考えていくものがたり。どの話もその人物なりに幸せを追い求め、それなりの幸せに到達する。そして、これって本当に幸せなのかと自問する。 これは今を生きる自分にも向けられた問いであり、果たして、いまの生活、そしてこれからの人生、幸せなのか?もちろん家族がいて、仕事もある程度安定していて、世の中的には間違いなく幸せ。ただ、自分のやりたいことを半分くらいは我慢しているし、欲望に正直かというと全くそうでない。何事も下には下がいるが、上には上がいる。 結局は、やりたいことをとるか、他の人を優先してやりたいことを我慢するか。人生短いから、やりたいことをやれ。明日死んでいいように生きろとか言うけど、そんな簡単にできたら世の中マッドマックスみたいになってる。 読後、思うのは幸せって何かはわからない。いろんなことの複合だし、文脈というか、前後関係があるからわからない。けど、一つ確かなのは、やはり1人ではなく、誰かと感情をわかり合えたときに幸せだと感じるということ。

    0
    投稿日: 2025.08.11
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    ★4.4 SF界の巨匠グレッグ・イーガンが贈る、9篇のの短編集。 神経系の異常により“幸福”を感じられなくなった少年が、治療の果てにたどり着く「しあわせ」のかたち。感情操作を通じて再び幸福を手にしようとすることは、果たして“本人の意思”と言えるのか。(表題作『しあわせの理由』) タイトルだけ見ると、宗教や自己啓発本に見えてしまう本書。中身は紛れもないハードSF、もっと言えばPF[Philosophy Fiction:哲学小説]だ。 生体操作・記憶・倫理・宗教・国家といった多様な領域を横断しながら、科学の視点で「人間とは何か」**を徹底的に解剖していく。 思考実験の連続は、めまいをもたらす。 特筆すべきは、すべての短編に“読む価値”があること。中にはとんでもなく難解なものがあったり、設定が主役のような短編もあるのだが、それすらも含めて思考に深く切り込んでくる。 脳が拒否反応を示しても、問いや雰囲気だけ持ち帰るのも一興だ。 「しあわせとは何か。」 普遍的で、断続的に起こる問いの一つだ。 イーガンはこの問いを、表題作『しあわせの理由』で鋭く突きつける。 テクノロジーによって感情すら再定義されるうるなら、自由に選べる幸福には本質はあるのだろうか。あるいは、テクノロジーというフィルターを通すからこそ拒否感が生まれるだけで、元来人間は能動的に幸福を選んでいるのだろうか。 その他の短編にもそれぞれ異なる哲学的問いが内包されている。 愛と記憶の再構築を扱った『適切な愛』は、本書の中でも異色の“ロマンチックな”一編。愛が科学で制御できる世界で、それでもなお揺らぐ人間の情動を描く。 芸術の創造と遺伝子工学が交錯する『愛撫』では、「美とは何か?」という審美的な問いが思いがけない形で浮かび上がる。 宗教と遺伝子倫理が衝突する『道徳的ウイルス学者』では、信仰と科学が皮肉な形で融合するさまが描かれ、ブラックユーモアの効いた倫理劇となっている。 『ボーダー・ガード』『血をわけた姉妹』では、ハードSFの枠を超えて倫理と哲学を深くえぐる内容で、イーガンの「哲学SF作家」としての一面が際立つ。 死の意味を冷ややかに照射する『闇の中へ』。不可逆の闇は、人生そのもののメタファーだ。数理的・哲学的というより、存在論的ヒューマニズムの色が濃い。 『移相夢』は日々別の身体に宿る男の視点を通し、「自己とは何か」「意識の一貫性に意味はあるのか」を問う。”テセウスの船のよう”といえばとっつきやすいだろうか。記憶だけが繋がる存在は、果たして自分と言えるのか? 自分の人生は、自分だけが覚えていれば、それで足りるのか? 巻末の解説も必読で、本書の構造や背景、イーガン作品に通底するテーマを理解するうえで大きな助けになる。むしろ読前に目を通すことで、本編の理解が一層深まるだろう。 “しあわせ”を感じるとは、どういうことか? “しあわせ”を選べるとは、どういうことか? その問いを胸に、しばらく余韻に浸ろう。

    12
    投稿日: 2025.06.06
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    短編集だが、意味がわかる話とわからないまま終わる話に綺麗に二分された。邦訳が読みやすいのがありがたい。 表題のしあわせの理由は面白いですね。しあわせを感じるのは脳内の反応なので、電気信号なり化学物質なりで操作できたとしたらそれはしあわせなのかと考えてしまった。 冒頭の「適切な愛」は夫の脳みそを胎内で育てるというグロい話。だけど、単にグロいと言い捨てられない倫理的な話で心が鷲掴みされる。本人の感情、周囲の反応が日本ぽくてスムーズに読んでしまったけど、世界的に似たような反応なんだろうか。リアリティある。

    2
    投稿日: 2025.02.27
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    SF短編集。好みの作品と好みでない作品がはっきり分かれた。全体的にはそうきたか〜となる展開が多く楽しいが、最後2編の「血をわけた姉妹」「しあわせの理由」が特に好み。いずれも違った形で読者に問題提起をしてくるような話なのが印象的。「しあわせの理由」では、自分とマークの違いはどれほどなのか、違いのグラデーションのどこまでが自分の人生といえるのか…というのを考えるとぞっとして楽しい。

    0
    投稿日: 2024.12.27
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    12歳の誕生日をすぎてまもなく、ぼくはいつもしあわせな気分でいるようになった…脳内の化学物質によって感情を左右されてしまうことの意味を探る表題作をはじめ、仮想ボールを使って量子サッカーに興ずる人々と未来社会を描く、ローカス賞受賞作「ボーダー・ガード」、事故に遭遇して脳だけが助かった夫を復活させようと妻が必死で努力する「適切な愛」など、全九篇を収録した日本版オリジナル短篇集。 あらすじを書こうとして難しすぎてそのまま引用してしまった……。 SFではあるけれど、世界観がその形をとっているだけで、読んだ後に心に残ったのは自分の持っている価値観のゆさぶられだった。 なにが面白かったかを説明しようとすると難しい。 だけれども確実に読んでいてページをめくる手が止まらなかった。

    1
    投稿日: 2024.11.23
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    このレビューはネタバレを含みます。

     ハードSF作家としてよく名が挙がるグレッグ・イーガンの短編集。自分にとって初めてのイーガン作品だ。ハードSFという言葉から予測していた難解で合理的な科学的描写で埋め尽くされたような硬いイメージとは違い、意外にも容赦無く万物を物質的に還元していく科学に引き裂かれる人間の、不合理で、不完全で、柔らかな"こころ"が主題になった短編が多かった。全体的な感想としては、その"こころ"の探求が見事で、科学を通じてなされる哲学的な思案が心地良かった。 ・適切な愛   女は、事故で死にかけた夫の治療の為に、彼の脳のクローンを孕む事になるが、妊娠に起因する胎盤ホルモンの分泌により、状況に"不適切な"母性を生理学的に呼び起こされ、それに理性でもって対抗することを迫られる。その戦いによって、生理学的な感情を無視できるようになってしまい、夫が完治したあとも、生理学的な反応によって生み出される彼に対する"適切な愛"をも無視してしまう。女はそれを非人間的な反応と自己嫌悪する傍ら、それの持つ独自の醒めた情熱や人を動かす力を「自由」や「洞察力」と結びつけて考えてしまう。  科学によって人間が物質的な存在に還元される過程で、唯物論的な真実に曝され、蒙が啓き、人間的な部分が戻れてないレベルにまで変容してしまう、というのはこの短編集で繰り返し語られるテーマだ。 ・闇の中へ 神出鬼没に世界各地に出現と消失を繰り返すワームホールと、それに偶然飲み込まれた人を救出すために奔走するランナーの話。ワームホールの入り口と出口には僅かな"時間"の差があるので、未来に位置する一方向にしか光を含めた万物が進めないという、超自然的で、暗闇を手探りで散策するような寄る辺ない世界観はSCP的な魅力がある。 ・愛撫  ハードボイルドな探偵小説のような話。この手の話の主人公は大抵、正にハードボイルドと形容すべき冷酷でタフな性格をしているが、その実内面の弱さを隠すための殻としてそうしたペルソナを利用していることが多い。『愛撫』もその典型例だが、ハードボイルドなペルソナを「”強化ドラッグ”によっていかなる時も平静で理性的な状態を保つ」ことで演出し、内面の弱さを「”強化ドラッグ”の効き目が無くなると途端にセンチメンタルになる」ことで演出している。この設定が面白い。  「芸術作品を”現実化”し、その”現実化”のアクターを現実世界に放ち、世界を変容させる」という思想を持ったリンドクイストが何を示しているのかは、よくわからなかった。 ・道徳的ウイルス学者  エイズは、キリスト教の価値観に則れば”道徳的”なウイルスだ。そう気づいた敬虔なキリスト教徒がエイズより道徳的に優れた真の”道徳的ウイルス”を作ろうとする。この発想は面白かった。 ・移相夢  お気に入りの短編。人間の脳をコピーし、ロボットの脳に転写する。その過程で組立て途中の脳は"移送夢"を見る。そうした作品内の事実を足掛かりに、かつて当たり前かつひっきりなしに行われていたコンピュータ内でのデータ化した脳の移動は全て移送夢を伴うものであった事が明かされ、更には物質世界でも脳が空間や時間を移動する度に移送夢を見続けているのではないかというホラーチックな仮説に至る。テーマだけでなく、入れ子構造を利用したどんでん返しのあるストーリーも良い。 ・チェルノブイリの聖母  科学的な要素は控えめだが、テーマが難解な作品。あとがきに書かれたイーガン本人の解説によれば、「あらゆる文化を〝尊重〟する義務はどこにもないが、そこには複雑なモラルの問題がある」「宗教を、人が心の中で価値を置いているものを外面化するプロセス(その価値あるものを自分の中からとりだして、”聖母”や”クーリエ”に帰するものであることにすれば、それを守れるというふりをすること)として描いた」らしい。作者は『道徳的ウイルス学者』の主人公や『しあわせの理由』のシティのキリスト教徒のように宗教を皮肉的に描くことが多いが、今作で(やや皮肉的ではあるが)なんだかんだ”宗教”も人間性の一つとして捉えていることが分かる。 ・ボーダー・ガード  かなりお気に入りの短編。不死が実現し、それどころか飢えや土地や肉体的苦痛といった物質的な問題がほぼ全て解決された世界で、不死第一世代が、不死と死について語る話。  人類の不死化にとって最大の障害となったのは、「死があるこそ人生は価値がある」と主張する"悲劇主義者"だった。彼らは「歴史上の価値ある戦いは死や苦難に対してのものだ。不死化が実現するとその戦いは失われる」と言ったが、"不死主義者"は「そうした戦いが無くなることはその戦いに真に勝利したということを意味する。理想の為に戦うのが素晴らしいのは理想の達成それ自体が素晴らしいからであり、その逆はただの偽善にすぎない」と反論する。  こうした「不死は良くないもの」、「死があるからこそ人生は美しい」といった普遍的で保守的な言説に真っ向から反論する様が、「これぞSF!」と思えて気持ち良い。  ただ話は此処で終わらない。結局不死化した第一世代らも、自らの世界は悲劇主義の影響から逃れられず、理想の為の犠牲や苦痛を伴う戦いに至上の価値を置いてしまうことに気付き、多くが死を懇願した。また、残された者は、死に満ちていた時代を知らない、次世代の世界には自らの世代の世界を持ち込まないことにした。彼らこそがタイトルになったボーダーガードだ。  一方で悲劇主義に毒されてない次世代の世界も、家を燃やして己が身一つで引っ越すという擬似的な死を取り入れないなければならないほど、停滞による窒息死という魔の手が控えている。  こうした不死の後ろ暗さを垣間見た後だと、前半の量子サッカーパートの描写が光る(量子サッカーそのものの描写は「日本語でおk」という感じの滅茶苦茶具合で、笑える)。すなわち量子サッカーというスポーツは死と苦難に満ちた戦いに成り代わるものだ。  短編冒頭にあるように、或る神経経路を進化の過程で得た血塗られた歴史を持つと突き詰める行為は、人間を物質的な存在に解体する事に等しいと考えてしまう。しかし、その神経経路を自分の目的に合わせて改良する事こそがイーガンの見いだした活路なのだ。物語の最後には、量子サッカーのチームメイトによって、第一世代の病んだボーダーガードが祝福されるようにして終わる。  不死の肯定というSF的で革命的な主張をしておきながら、意外にも古典的で爽やかな読後感がある。 ・血をわけた姉妹  互いの存在が”私という存在”の唯一性への反証に思えてしまい、距離をとっていた或る双子が、科学的な”三重盲検”に巻き込まれることで、図らずしも己の唯一性に気付く話。 しあわせの理由  本書を読むきっかけとなった作品であり、本書で一番のお気に入りの短編。  脳の幸せを感じる回路を何度も弄られ、最終的に自分を幸せにさせるものを、自分で意識的に選べる──個々の事象に対してコントロールパネルのパラメータを下げるように──ようになった男の話。  これもまた例に漏れず、人間の持つ様々な人間性は、還元していくと物質的なものに他ならないという真実に悩まされるというテーマで、今作で物質的であると突きつけられる人間性は"幸せ"である。先日読んだ『サピエンス全史』の幸福について論じている箇所とリンクするような内容である。  ”幸せ”ではないにしろ、似たような”愛”が解体される様は『適切な愛』の感想で触れたのでここでも触れることはしない。  注目に値するのは、主人公がドナー四千人の”多重露出”によって形作られた”幸せ受容器官”である義神経を入れられることで、森羅万象それぞれに対して最も普遍的な幸福感と不安感を覚えるようになってしまうことだ。すなわち彼は、アイデンティティを持たない、真に没個性的な誰でもない存在になってしまう。この短編では”個人”や”私”の解体をも扱っているのだ。これに彼は絶望してしまう。これは彼が自由主義社会に生きているからだ。  自由主義は個人の主観的感情を重視する。現代の映画やポップスは「自分に正直であれ」「自分の思うが儘に生きろ」「なりたい自分になれ」と主張し、現代のアートは鑑賞時に「美の基準は人によって違うから自分自身で作品の意味するところを考えろ」と釘を刺す。その価値観の中で”個人”や”私”が無くなるというのは正に絶望に値することなのだ(自由主義社会でなければ絶望していなかったかもしれない。例えば中世のキリスト教圏では聖書や神があらゆる物差しの絶対的な基準であり、例えば美においても神の中に存在するイデアが絶対的な基準である。尚、これらは『サピエンス全史』を参照した)。  また、前述した通り”幸せ”が物質的なものだと知ってしまった主人公は、街の住民が皆、脳の生化学的な作用による、空虚で病的な理由によって幸福感を感じていることに気づき、恐怖する。薬物を乱用する者と何が違うのか、と。  その後、主人公は、コントロールパネルを弄り、森羅万象に対する一応の好感の基準を定めながら、打算的な考えに基づいて、恋を試み、一度は結ばれるも最終的に破局を迎えた。彼はそうした過程を経て気付く。そもそも人は、身近な人や、過去の偉人や、遥か過去の原人を含めた遺産を頭の中に抱えて生きる。そしてそうした”普遍的な面と各人固有の面を半々にもち、容赦ない自然淘汰によって高い能力を、偶然にもてあそばれて柔軟性を獲得した遺産”から自分の人生を形作る。すなわち、アイデンティティは、天から個人に付与されるものではなく、その遺産の取捨選択と偶然の力によって、形作るものなのだ。主人公は”その過程を、ほんの少し具体的に意識せずにはいられないだけ”なのだ。  これはある意味で、没個性に悩む人間(殆どの人間がそうだ)にとって、「自分の思うが儘に生きろ」「なりたい自分になれ」と吹き込む自由主義との折り合いをつける方法でもあると感じた。  最後には、空虚な理由による意味のない幸福感と、同様に意味のない絶望感の境界線上を歩むことが人生だ、と結論づける。そして主人公は、境界線の両側に広がる、腫瘍による意味のない幸福感と、幸せ受容器官の欠如による意味のない絶望感を身をもって理解した為に、他人より幸運だ、とつぶやく。この短編を読むことで彼の人生を追体験した我々も同様だ。  

    1
    投稿日: 2024.11.12
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    #27奈良県立図書情報館ビブリオバトル「嘘」で紹介された本です。 2013.4.20 http://eventinformation.blog116.fc2.com/blog-entry-952.html?sp

    0
    投稿日: 2024.09.25
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    SFってちゃんと読んだことがなくて、最初は世界観についていけなかったけど、だんだん面白いと思えるようになった。 『愛撫』、『道徳的ウイルス学者』、『しあわせの理由』が特に好きかも。 作者の短編集第二弾だそうで、第一弾も読んでみたい。

    0
    投稿日: 2024.09.08
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    このレビューはネタバレを含みます。

    難しかった… YouTubeで取り上げられていて、『しあわせの理由』はオチまで聞いちゃったけど、読みたくて。 家にあったなあ…と思って読んだ。 SF短編集。全部難しい…半分くらい理解できず。悔しい。 人間と豹のキメラと生活していた女性研究者が殺されてしまった事件を追う、『愛撫』はミステリーとして単純に先が気になった。 表題になっている『しあわせの理由』、自分の感情は本当に自分から生まれている感情なのか?と、アイデンティティについて不安になる物語。 この物語の主人公は手術によって過去生きていた四千人の感情から影響を受け、自分の感情を作り出していた。でも主人公のように手術を受けてなくても、父や母から、遠い過去の人類も原人も含めた一千万の祖先からの影響を受けている。 その影響を受けた“自分”は“自分ではない”と言える根拠になるのだろうか?それを“自分ではない”と言ってしまうと、どこにも“自分”がいなくなってしまうのではないか? この論理を推し進められれ

    0
    投稿日: 2024.05.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    SFはハードでブラックなのが好みです。「ボーダー・ガード」を教えていただいたのがきっかけで読みました。面白かった。 「しあわせの理由」、これは幸せなのか?幸せを感じてるのはお前自身じゃない!と常に覚えさせれられるのはつらい気がします。知能じゃないですが「アルジャーノンに花束を」を思い出しました。 「闇の中へ」も…生き抜けないこの世界。世界を救うために最後の犠牲になるのかな彼らは。。 「愛撫」の絵画、検索して見ました。これを再現するって狂気の沙汰です。「道徳的ウイルス学者」も狂信的でした。

    1
    投稿日: 2023.01.18
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    このレビューはネタバレを含みます。

    初イーガン。どこから得たのか「グレッグ・イーガンは難解」というイメージがあって、SF歴3年目の中で読んだことがありませんでした。が、むちゃんこ面白いじゃん!!!と思いました。私好きだわこれは、と最初から思い、最後までそう思い続けられました(これは読みやすい本だということなので、この後他の本を読んでぐうの音も出なくなるかもしれませんが笑) 「適切な愛」発想が度肝を抜かれたというか、文章力と相まって度肝を抜かれた 【再読】子宮の中で夫の脳を孕む女性について。それを経ることで起きた変容。時間は流れていき、過去には戻らず、現在がある。 「闇の中へ」好きだったなー…アイディアもSFという感じでわくわく 【再読】助かるのだろうかどうかというハラハラを、そうそうこんな感じだったと思いながら読む。 …ワームホールは、生きることのもっとも基本的な真実を具現化している。人は未来を見ることができない。人は過去を変えられない。生きるとはすなわち、闇の中へ走っていくことである。だからわたしはここにいる。 …危険は増加しない とわかっていても感じる恐怖がよく描かれている 「そう。終わったら、きっと起こしてね」 イーガンのこういう終わり方がとてつもなく好きです。映画的というか、なんというか。 「愛撫」好きでしたこちらも。 クノップフは好きな画家のひとりだし、象徴主義も好きなのだけれど、豹見つけたところからこんなエンディングになるとは…度肝を抜かれました笑 それにこの絵を選んだのもイーガン!って感じだし、他の作品でも出てくる芸術のタイトルが、イーガン結構芸術好きでしょ?って思えるものだったので、作家としてもこれは好きなタイプとなったきっかけの一作。まじで面白かった。。 【再読】改めてクノップフの愛撫を持ってきたところが100点満点で、謎に満ちた終わり方も、象徴主義らしくて好き。スフィンクスはクノップフの妹がモデルとされているが、それ自体がクノップフ自身の現身だと彼が捉えていたとしたら、自分自身でさえ「見る側の条件がごくわずかに変わっただけで、徹底した再解釈が必要になる」なのではないだろうか?これもやはりイーガンならではの、アイデンティティに対するアプローチの一つなのだなと。それは…わたしを定義づけていたなにもかもが奪われていた。顔、体、職、通常の思考形式…というときのダンにも、クローンに自分の記憶と人格の大部分を移したアンドレアス・リングイストの語りにも表れている。 「道徳的ウイルス学者」 【再読】あまり覚えていなかったので初めて読んだ際はあまり刺さらなかったようだけど、二度目は普通に面白いし、こんなこと書いてイーガン刺されないかなって少し思ったりしていました。恩寵が与えられた結果がそれ笑という、宗教なんてそんな滑稽なものだと言っているかのような。 「移相夢」これってもしかして…って気づいたときの鳥肌ですよ… 【再読】 「夢からさめてすぐの数秒間が好きなの。夢の全体が心の中でまだみずみずしくて…でも、同時にそれに脈絡をつけることができるから。そして自分がどんな夢を見たかがはっきりとわかる」同じくすぎる! (わたしはだれなのだ?)ロボットの中で目ざめる男について、わたしがたしかに知っているといえることはんだろう?…すべては吟味してみると混乱と疑問にのみこまれてしまった…自ら美しい幻影をつむぎ、死をまったく別のなにかと誤解して。 こちらもアイデンティティの境界線の曖昧さと、夢の曖昧さとが、美しくも冷たく重ねて描かれている。再読して初読時よりもぐっときた作品かもしれない。 「チェルノブイリの聖母」トレチャコフにあるウラジミールの聖母かあ…とこれまた脱帽。話自体もこれまた面白いんだよなあ…傷がまさかそういうこと!?っていうことが分かった時もワクワクだしなあ… 【再読】オチを覚えていなかった笑 ー神は肉ではなく、情報から作られているのである すごいなこれ。震えた笑。そして本作も終わり方がかっこよくて好きだった。 「ボーダー・ガード」悲嘆を終えて四日目の午後早く…この出だしだけで結構やられた 【再読】ここまで力強く、不死が素晴らしいといいきるのは少し抵抗を持ってしまう笑。 「死が人生に意味をあたえることは、決してない。つねに、それは正反対だった。死のもつ厳粛さも、意味深さも、そのすべては、それが終わらせたものから奪いとったものだった。けれど、生の価値は、つねにすべてが生そのものの中にあるーそれがやがて失われるからでも、それがはかないからでもなくて」理解はできているが、心の底から信じられていないこの言葉。やはり終わりがあるからこそ、この生は意味があるように思えるので。 【再読】「血を分けた姉妹」こちらはオチまでなんとなく覚えていたのに初読時にはなんのコメントもない‥笑。双子だからと言ってもちろん別の人間であり、別の人生を歩む個人なのだ。全ての作品の根底に共通するアイデンティティのテーマと、その他人生に出てくるパートナーとの問題(意地の張り合い)や病気などが軽やかに絡んでいるのが、読みやすいし面白い。やっぱイーガンすごいなあ 「しあわせの理由」幸福の境界線とは?これは時々考えることだったので、えそうそうそう!ってなりながら読んでました 【再読】↑そんなこと思ってたの?と思わざるをえませんが…笑 「音楽、気が置けない仲間、アルコール、セックス…境界線はどこにある?幸福感の理由づけが、この男のような空虚で病的なものに変わってしまう、その境界線は?」この男とというのは、宗教を信じている男ですが、確かに自分が幸せだと感じるもの/こと/ひとの境界線を見つめようとすると、相対主義に陥って、自分の足元もぐらぐらするような。 再読時によりピンときたのは、「父から、母から、そして、想像を超えた遠い過去の、人類も原人も含めた一千万の祖先からうけ継いだものだ。そこにあらたな四千人分が加わったからといって、なにが変わるというのだろう?」というもの。高校時代に生物でDNAについて学んでからこの感覚はずっとあるんだけれどな笑。人生はうまくいったり、うまくいかなかったり、幸せだったり悲しかったりいろいろあるけれど、巡り合わせでそうなっているところもあって、その中で確固としたものはやはり自分自身でしかないので、自分がどうしたいか、どう捉えるかというのが大事ということなのではないだろうか。 次のイーガン早速読んじゃいますっ

    1
    投稿日: 2022.11.21
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    イーガンさんお初。タイトルから、テッド・チャンみたいな優しげな感情が見え隠れする、難解SFかと思いきや、人間の情緒が抱える残酷さが見え隠れする難解SFだった。後半はあってた。すごく難しい言葉ばっかり。短編集だがだいぶ積んでたし読むのも時間かかった。好きな残酷さではあるんだけど、あまり好みの文体ではなかったのと、確実に性癖に刺さってはいるんだけどどこか冷静に読んでしまっている自分がいる。今のジャンプを読むときの感情に似ている。もっと前のめりになりたかった。10代のころに読んでいればよかった。 脳死した恋人の脳を妊娠する女性、ブラックホールに飲み込まれる人たちを助けるレスキュー隊、過激なカトリック信者が浮気者と同性愛者だけを殺すウイルスをばらまく話など設定や倫理観が色々興味深かったけど、「ボーダーガード」のとある台詞がすごく考えさせられたのと、やはり表題作の「しあわせの理由」が一番気合が入っていたように思えた。 「しあわせの理由」は私たちは何をもって「しあわせ、好き、気分がいい」と思っているのか?という話(ざっくり)。脳の幸せを感じる部分が腫瘍の摘出によって欠如してしまった主人公を通して一緒に考えていく。「みんな興味ないかもしれないけど、俺はこれが好きなんだ!」ってもの、大体の人が持っていると思うけど好みとかツボとか性癖とか傾向というものは実際は周囲の人間、環境、様々な文化によって影響を受け、また与えてきたものであり、それに惹かれる情緒の根っこの部分も先祖から脈々と受け継いできたものなんじゃないか。「『好き』って自分だけの、特別な感情のようにみんな思っているけど本当にそうですかね?」みたいな、そんなちょっとシニカルな視点が新鮮だった。 「ボーダーガード」はだれもが不老不死の時代、量子サッカーを通して出会った女性が実は「死」を知っていて…という話。この重要そうで実はそうでもない「量子サッカー」の描写が本当~~~~に意味わかんなすぎて若干挫折しかけたんだけど、女性が語る「死が生に意味を与えることは、決してない。生はやはり生の中でこそ見いだせる。」という話が心の大事な部分に突き刺さった。少し逸れてしまうけど、私は桜の花を美しいと思いたくない、と思っている(どんな感情?)。花や葉や幹の形が云々、などどのように美しいかよりも「一週間しか咲かない」という部分に日本人皆踊らされているのでは、と思ってしまうから

    0
    投稿日: 2022.08.13
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    ゆる言語学ラジオより 本質本とだけあって、結構ハードでした。 翻訳本もあまり読まないから言葉遣いとか慣れてなくてだいぶ字が滑ったりしたけど、何とか読みました。 内容もあんまり触れたことのない切り口。これはスルメ本になりそう。

    0
    投稿日: 2022.08.11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    表題作『しあわせの理由』 脳の幸福を感じる部分が、脳内の腫瘍により過剰になりすぎた男の話。 手術で腫瘍を摘出しなければ命の危機という絶望的な状況にも関わらず主観的には幸福感と万能感で満たされた日々を送る。しかし手術が成功し命の危険が無くなり不自由のない生活が訪れた後、自身の生活において一切の幸せを感じることができなくなってしまう。 後の手術で、何に対して幸福を感じるかを自分自身で選択できるという状況になるが、幸福や興味の対象を自分でボリュームつまみを回すかのように選択することで得た幸福は本当の幸福なのか… 人間にとっての幸福とは極めて主観的なものであるということをストーリーを通して再認識した。

    4
    投稿日: 2022.07.11
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    ・適切な愛  ・闇の中へ ・愛撫 ・道徳的ウイルス学者 ・移相夢 ・チェルノブイリの聖母 ・ボーダー・ガード ・血をわけた姉妹 ・しあわせの理由

    0
    投稿日: 2021.12.26
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    想像することすら困難ないつものイーガンではなく、分かりやすい作品が大半の短編集でした。”量子サッカー”という競技はなかなかイメージ付きませんでしたが。人の意識とか命とか何か根源的なところを問うのはいつものイーガン。

    0
    投稿日: 2021.11.18
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    わたしには少し難しいSFだった。 ひどい事故にあった旦那さんのクローンができあがるまで旦那さんの脳みそを奥さんの子宮にいれて保護するはなしと、『スフィンクスの愛撫』そっくりの写真を撮るために整形させられるはなしがおもしろかった。

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    投稿日: 2021.10.04
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    ハードSFというジャンルに身構えていたけど、登場人物の心情や葛藤を描く物語が多く面白かった。 印象に残ってるのは、表題のしあわせの理由と、最初の胎内で保持する話、薬の実験の話、不貞者を殺すウイルスの話(多い)

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    投稿日: 2021.09.26
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    ほぼ全部の短篇でアイデンティティについて考え直させられる。テセウスの船みたいな話を無限にされてた。これをSFを使って寓話的に読みやすい面白い形に落とし込むのは本当に天才的。ずっと唸らされるしとっても面白かった!! 本末の解説って基本つまんないから期待せずに読んでたら東大教授でTRONの坂村健先生でギョッとした……。何なら、彼の解説だけでも本を買う価値があるくらい面白かった。こちらも文章上手くて、クスクス笑えるのにしっかりとした解説。

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    投稿日: 2021.08.14
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    ◯難しいSFのお話もあれば、普通の物語として面白いものなど、お菓子の袋詰めみたいな短編集。 ◯個人的にはチェルノブイリの聖母がSF感がなくて面白い。ハードボイルド探偵小説的な良さがある。 ◯一番気になっていたボーダーガード。出だしの量子サッカーでだいぶ痛めつけられたものの、後半は人類に普遍的なテーマである死と、それを乗り越えた人類の苦悩を描いていて興味深い。想像もつかない未来だから、登場人物の考え方に納得できないように書いているのか、あまり共感はできない。 ◯しあわせの理由は感情ですらコントロールできる場合、それはもはや人間の感情といえるのか、というテーマを読み取れる。ボーダーガード共々興味深い。 ◯理系の人たちは入りやすいというイーガンのSFだが、普通の小説としても読める…とあるが、設定として科学的な根拠があるものをSFというのか、それこそロボットアニメのようなそれっぽいものもSFというのか、よく分からないと思いながら読んでいたが、後者でしか馴染めない人でも割と読めると思う。面白かった。

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    投稿日: 2021.06.06
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    初イーガン。まさに科学小説で、ハードSFとはこういうことか。面白かったものをいくつかピックアップする。「適切な愛」発想がすごい。初イーガンとしては適切な作品だったのでは。「道徳的ウイルス学者」皮肉なユーモアが利いたラストが良い。「位相夢」自分の意識をコンピュータ上に移植することについて。「血をわけた姉妹」SF要素は控えめで、現代ミステリでもありそうな筋書き。物語としての完成度も高い。「しあわせの理由」人間の感情は、所詮脳内の化学反応に過ぎないのか。

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    投稿日: 2021.04.04
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    全9篇からなるグレッグ・イーガンの短篇集。SFを読み慣れてないと全体的に難しく感じる…という印象。 個人的には「チェルノブイリの聖母」「血をわけた姉妹」「しあわせの理由」がギリギリ理解できて面白かった。

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    投稿日: 2020.08.10
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    《目次》 ・「適切な愛」 ・「闇の中へ」 ・「愛撫」 ・「道徳的ウイルス学者」 ・「移相夢」 ・「チェルノブイリの聖母」 ・「ボーダー・ガード」 ・「血をわけた姉妹」 ・「しあわせの理由」

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    投稿日: 2020.07.23
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    初イーガン。オチまで読んでもわからなくて「?」となったりもしたけど、総じて面白かったし、予想よりずっと読みやすかった(なのにわからないという、ね)。 どうせ忘れてしまうから、1編ごとに簡単に感想を書いたけど、こうしてみるとやはり、人間の生の意味とか自由意志とか、思考(あるいは感情)とはなにかという、SFらしい壮大なテーマが流れているのを感じます。 「適切な愛」事故に遭って危篤の夫を救うため、摘出した脳を胎内で(!)保存することを選ぶ女性。その決断に至るのは、保険が下りるかいなか、経済的に見あうかどうか。それもリアルだし、保存に至る過程もリアルだし。新井素子の「あたしの中の」を思い出しつつも、もっとエグい。ちょっとつわり起こしそうになった。(ほめてます?)愛と欺瞞をめぐるその最後のひと考察がなかなか難しくて、手が届きそうで届かない。 「闇の中へ」地球各所に突然出現するワームホール。そのなかに取り残された人たちを救出するランナーの物語。わー、これは確かによくわからないかもしれん。 「愛撫」究極の活人画の話。昔からある遊びだけど、何かエロティシズムを感じさせる。そこに遺伝子操作によるキメラを導入するという、ね。 「道徳的ウイルス学者」同性愛者や不倫をしたものだけを殺す恐ろしいウイルスを作り出した、正義感でいっぱいの恐ろしいマッドサイエンティスト。エボラ様ウイルスなのがこわい。 「移送夢」脳をアンドロイドにコピーするとき、恐ろしい夢を見るかもしれない? 最後には、これは現実なのか夢なのかという悪夢のような話に。 「チェルノブイリの聖母」 聖母のイコンをめぐる殺人事件を追うハードボイルド。「いちばん面白かった」という感想が多いけど、オチの部分がよくわからなかった……なんか読み落とした? 「ボーダー・ガード」 出たー、量子サッカー!(笑)これ自体はまったくわからなかったのだけど、そのあとのマルジットとのいきさつはおもしろかった。ある意味で「しあわせの理由」にもつながっていくような。人間の生とはなんなのか?(「適切な愛」「移送夢」もその系統。) 「血を分けた姉妹」 これもウィルスがらみで、今読むとちょっと生々しい。「二重盲検法」もよく耳にするようになった語。ひとしきりウィルス――ワクチン――ハッキングなどが語られたのち、姉妹へ思いが還っていくラストがちょっと切ない。 「しあわせの理由」 ノーベル生理学賞を受けた利根川進博士がかつて、人間はあらゆる化学反応の集合体、という意味のことを言われていたのを読んだ記憶があるけど、そんな話を思い出した。命の危機に瀕しているときに多幸感を味わい、病を克服してからはうつのどん底という皮肉な形で。最後はユングの集合無意識をちょっと思い出した。

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    投稿日: 2020.05.27
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    このレビューはネタバレを含みます。

    初イーガン。 なるほどなるほど、これはハードルが高い。 自分はそれなりに科学技術好きな理系脳だと思うけど、興味ない人には苦痛がまさるんじゃないだろうか。 でも、解説にもある通り分厚いサイエンス成分を透かしてみれば、どの話もものすごく哲学的。 引き込まれました。それにしても、どれもこれもよくもまあこんな設定を思い付くなあ! 「闇の中へ」時間軸を物理的なベクトルに読み替えているんですかね、すごくスリリングでした。 「道徳的ウイルス学者」いま世界がコロナに揺れている中、ウイルスをなんらかの意図をもってコントロールできる可能性が示されており、そら恐ろしくなります。 「ボーダー・ガード」量子サッカーを始め、情景がさっぱりイメージできなかった…そもそも設定からしてイメージしようとすることに無理があるのか? 「しあわせの理由」現実はなにも変わることなく、自分の気分だけで世界はいかようにも変貌する。しあわせとは何なのか。考えさせられます。

    0
    投稿日: 2020.05.23
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    SEVENEVES以来のSFですが、すごいよかった。短編だからかな。でももうなんか、ジュンパラヒリあたりを読んでいる気分とあまり変わらないような短編もある。表題の「しあわせの理由」とかね。

    1
    投稿日: 2020.01.17
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    イーガンは難解なイメージがあって食わず嫌いだったのだけど、もっと早く読めばよかった。 解説にもあるように読者を観測者に見立てていることが、イーガンの本質なのかもしれない…と思って量子力学をちょっと勉強してみたくなった。しないけど。

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    投稿日: 2019.06.13
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    短編集。 表題作の「しあわせの理由」。 脳内の化学物質でしあわせを自分でコントロール出来るようになったら…。

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    投稿日: 2019.05.15
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    you have easy to image about the lady panther. but about Panther lady you can? however, , I can't easy understand. The caresses painted by Fernand Khnopff.

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    投稿日: 2019.01.07
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    日本版オリジナル短篇集。とても面白い。SFだが科学的な専門用語が非常に多く難解。ただSF要素がありつつ、人間の生き方や幸福などについて再考させられる内容のものが多い。専門的な部分はなんとなく流し読みしていても十分楽しめる…と思う。「闇の中へ」と「しあわせの理由」はとても好き。

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    投稿日: 2018.08.07
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    科学SF短編集。しあわせ感をもたらす脳内物質、クローン再生と脳の維持、不義が致命的になるウイルス、意識をロボットに移送、公正医療の偽薬試験、など。 ショートショートよりがっつりの科学小説でした。

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    投稿日: 2018.04.09
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    イーガンは私にとっては敷居が高い作者である 表紙   5点Rey.Hori    山岸 真訳 展開   5点2003年著作 文章   5点 内容 599点 合計 614点

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    投稿日: 2017.06.13
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    短編集。イーガンはハードSF作家として有名でなかなか手に取り難い。 本書は表題作「しあわせの理由」の設定(感情が脳の化学物質によって左右されてしまう)に興味を抱いて読んだ。 期待に違わず表題作はとてもおもしろかった。廃人のような時期と多幸感に溢れた時期が躁鬱病患者のようであるが、冷静な分析がそれに骨格を与えていて、ただの情緒不安定な人ではなく、ちゃんと希望が0の人と4千人の幸福を持った人として説得力がある。ただし、ストーリー最後はあまりにも「まとめ」的な形で、安っぽく思えてしまう。それほど直接的に語る必要はあっただろうか。 しかしこの直接的な、ある種の説教臭さは他の短編にもかなりある。とくに血を分けた姉妹は人間の命の功利主義への猛烈な批判で、寓話的であり、あまりに主張が激しすぎて(イーガンは病院で働いていたそうなので、説教臭さはそこに由来していると思う)、その主張のためにキャラクターを設定しているように感じた。私は読んでいて全然面白くなかった。 その他の短編はチェルノブイリの聖母・ボーダーガードを除いてどれもなかなか良い。 適切な愛はその中でも設定が良い。愛撫もスリラーで面白い。

    0
    投稿日: 2017.05.18
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    どこかのサイトで面白い本だと紹介されていたので、手に取ってみた。 おぉ・・!SFは嫌いじゃないけど普段読まない色の本だ。 今回は「適切な愛」と「しあわせの理由」を読んだ。 科学的用語がたくさん出てくる。そして科学の未来のある側面を垣間見た感じで、そこには科学の進歩に伴った、今とは異なる倫理観や価値観が生まれている。 そこは読んでても面白かった。 少し興味は持ったものの、あまりに科学的用語が出てきてムズイので、他は読書断念。

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    投稿日: 2017.03.05
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    愛とは、幸せとは。人間として当たり前の本能や感情を、科学の面から考えさせられるよう(といっても全然寓話的ではない)だった。やはり表題作が印象に残った。 世界観というよりは小さな設定ばかりだけれど、これらを元にした長編も作れそうな作り込みの良さだった。

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    投稿日: 2016.11.24
  • SF的マジックリアリズム

    イーガンが作り出した、テクノロジカルヘブンの一参加者としてあなたも、この世界の住人を眺めてみませんかー。 そんな感じです。 死の克服、情報学的社会の進展、科学のユートピアとディストピア、限定された科学的ギミックが作り出す閉鎖世界での合理的正気と狂気。新世紀の宗教観。 ほめればきりがありませんし、憎んでもきりはありません。 最良のSFを読むと思うことですが、お話が頭の中に残り、その作品をもう一度見た時、確信を持ってその作品を思い出せるようなインパクトと懐かしさを感じます。 このレベルの作者がゴールデンエイジが好んだ主題を描いたらどういった形になるのでしょうか。 ふとそんなことを思わせてくれます。 現実がSFか、SFの描いた未来が現実か。 そんな時代に読むべきSF上のキー作家ではあります。 星5つ。

    6
    投稿日: 2016.09.04
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    何て多才な人が存在するんだと唸らせられた短編集。生物学やら物理学など様々な理系分野に焦点を当てた作品だけでなく、ユーモア路線を突っ走った話も含めたりと、作者の懐の深さを感じられる。表題の「しあわせの理由」はどこか「アルジャーノンに花束を」を想起させる、自分自身の嗜好とは??思考とは何か??を考えさせる名作。

    0
    投稿日: 2016.07.26
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    どちらかと言うと後味は悪い。だが、読んで良かったと強く思える作品でもある。 SFとも哲学とも言える文章で、知識が無くても楽しめるがあったはほうが良い。 感想はと言うと、不思議だとか複雑なような感じが率直に思い浮かぶ。 考える機会を与えてくれる作品は多いが、 単にこういうのはどうだとテーマを投げるだけじゃなく、殆ど結論のような あるいは最終的な結末を見せつつも考えさせられる感じがある。 「中身が濃いが、分量は少ない」と言う短編のメリットを感じられる一冊。表題作だけでもいいので読んでみよう。

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    投稿日: 2016.07.03
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    この手のを読むのは初めて。 途中で飽きちゃって、全部は読んでないけど、表題作は分かりやすくて面白かった。哲学的。

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    投稿日: 2016.06.30
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    愛とは、人間とは、しあわせとは何か、を最も真剣に考えるジャンルがSFだと思う。ただし読むタイミングには注意が必要。

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    投稿日: 2016.03.21
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    表題となっている「しあわせの理由」を含む、9作品が収録されている一冊です。小説が好きな人なら、読んでみる価値があると思いますが、内容的に少し難しく感じる事もあります。 個人的に、一度でなく何度か読んでみて、少し理解できるような感じです。また、1作品の物語も長いので、全部読むには時間もそれなりに掛かります。 それでも、読み応えはあるので、読書に耽りたいと思うならお勧めの一冊です。

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    投稿日: 2016.02.27
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    文系にも読みやすい珠玉のSF短編集。「宇宙消失」よりだいぶ楽しめた。 不気味な「未来の愛」を描いた『適切な愛』、ホラーな『愛撫』、サイコな『道徳的ウィルス学者』など。 SFっぽさとサスペンスが見事にマッチした『血を分けた姉妹』、我々が物質であり化学反応の帰結であることを否応無く意識させる表題作『しあわせの理由』が特に好き。

    0
    投稿日: 2015.10.19
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    9編の物語から構成される短編集、医学、脳科学、量子力学、コンピュータなどの未来を見据えたシュツュエーションで展開するストーリーはとてもワクワク(ひとつだけ最後まで意味が良く分からないのもあった^^;)させられた。表題作「しあわせの理由」は脳外科手術により喜びや感動を失った男がそれを再び取り戻す話なのだが、人間の感情とは何なのかと、とても興味深く読めた。この短編集ではこれが最高♪

    0
    投稿日: 2015.08.09
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    ハードとソフトを兼ね備えたSF小説。すごくよかった!!  「適切な愛」・・・ ぐえ~。脳みそ子宮の中に入れるって、考えただけで吐きそう。ヒロインは健気だけど、やっぱりすっかり元元通りにはいかないよなあ。 「愛撫」・・・ モチーフに使われた「愛撫」の絵を検索して見てみたけど、キメラのしっぽの形が蛇みたいで意味深。芸術家と狂気という組み合わせがちょっと安直な気もしたけど、それが主題だからいいのか。 「道徳的ウィルス学者」・・・ 娼婦のお姉さんかっこいいよー。事細かにウィルスの仕組みを教えてくれるもんだから、子供はどうする? って盲点に全く気づかなかった。 「血を分けた姉妹」・・・ 二重盲実験! やられた! オカルティックな冒頭に騙されちゃだめだ、これはSF! それにイーガンのヒロインは強い。双子の姉妹が死んだからって泣いて終わらない。SFサスペンスっていう新しいジャンル開けそう。 やっぱり表題の「しあわせの理由」がベストかも。腫瘍によって欠損した脳神経を、義手ならぬ「義神経」でつなぎ合わせるって発想がもう面白いし、そこから義神経の副作用や義神経がもたらす感情は自分のものか? という深い考察まで至るのが、ただアイデアをぽんと出して終わるだけでなく、読者を納得させるその探究心こそSF、ありがとう作者って言いたくなる。 巻末解説にも納得! グレッグ・イーガンの小説って哲学とSFがうまくブレンドされてるんだなー、哲学のためにSFが使わているのでもその逆でもなく、どちらも欠かせない二本柱なんだってわかって、それ一粒で二度おいしいじゃん! と感激。 なんにせよ、Scienceとphilosophyを両立させちゃうのがすごい~、ほんとにありがたい小説だなあ。

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    投稿日: 2015.04.01
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    イーガンの日本オリジナル短篇集の2冊目。解説は坂村健。 これまで読んだ短篇集の中では、一番、作風に幅があった。サスペンス風のもの、センチメンタルなメロドラマ風のものなど。 印象的だったのは『道徳的ウイルス学者』『チェルノブイリの聖母』『血をわけた姉妹』、そして表題作の『しあわせの理由』。中でも『道徳的ウイルス学者』と『血をわけた姉妹』は、『ひとりっ子』で奥泉光が書いていた、イーガンの『身もふたもない』部分がかなり強いと思う。確かにこりゃあ笑うわ。あんまり良い意味での『笑い』ではないのだろうが……。対して『しあわせの理由』のラストが切ない。家族もののメロドラマ風でありながら、切り捨てられるような気持ちになる。 さて、この短篇集のシリーズのもうひとつの魅力が、各巻の巻末に添えられた解説。解説者がイーガンをどの部分に注目し、どのように読んでいるかをかなり丁寧に説明しており、『誰の真似をして読むか?』という些か横着な(笑)楽しみ方も出来てしまう。 本作の解説は、読み方の紹介のようなポイントも抑えつつ、ひとつのコラムとしても読み応えがあった。まさかSF小説の解説で『ソフィーの世界』に言及されるとは予想外。そういえば読んだなあ……多分、実家にまだあるよ、と余計なことまで思い出してしまったw

    0
    投稿日: 2015.03.19
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    バイオサイエンス的な要素が見られる作品が多いが、しがないバイオ院生にはその粗は見つけることができないくらいクオリティが高い。 想像もしなかった度肝を抜く設定で、見事に自分が生きているこの世界に違和感を感じさせてくれる。センスオブワンダー、SFの醍醐味。 中でも、「適切な愛」「移相夢」「ボーダー・ガード」「幸せの理由」が上の二つの項目について特に素晴らしかった。

    0
    投稿日: 2015.02.18
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    本編もですが、あとがきがハイレベル。 適切な愛、しあわせの理由の、話では科学の果てを考えさせられますね

    2
    投稿日: 2014.10.31
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    このレビューはネタバレを含みます。

    文系SF読みには「祈りの海」のほうが読みやすかったです。 ■適切な愛 クリントン大統領の時に”不適切な”って単語を覚えました。倫理的にはともかく、これって実現不可能なんですよね・・・まだ? ■闇の中へ ワームホールの理屈がサッパリわからんっ。 わからなくても話はわかるけど、なんか仲間はずれに された気分っ! ■愛撫 森村泰昌もびっくりですな。 クノップフのこの絵は好きな絵だったんですが これからは色眼鏡で見てしまいそう・・・ ■道徳的ウイルス学者 このオチは苦笑もの。イーガンってユーモアやアイロニーで勝負しないほうが良さそう。 ■移相夢 うーん。フィニイかスタージョンにこのネタはあげてくれたらまた違った話になったかも。 ■チェルノブイリの聖母 ハードボイルド仕立て、に無理があり。 中身だけでリライトしてほしい。 ■ボーダー・ガード 量子サッカーはチンプンカンプンでしたが、 後半の本筋は良かったデス☆ ※量子サッカーのシュミレーションがイーガンのサイトに↓ http://gregegan.customer.netspace.net.au/BORDER/So.. ■血をわけた姉妹 ■しあわせの理由 これらとか「貸金庫」がイーガンの短編の味、でしょう。

    0
    投稿日: 2014.09.30
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    SF界の巨匠、グレッグ・イーガンの、表題作含めた短篇集。最も印象に残っているのが、やはり表題作である「しあわせの理由」。若くして大変な病に冒されるが、死が近くなるに連れて病気の影響により、脳のしあわせを感じる分泌物(だったっけ?)が多くなり、しあわせを感じていく。両親は何とか息子を治そうと、大金をはたいて病院を移し、手術を行う。そのお陰で病気はだんだんと治っていくが、しあわせを感じることがなくなっていく・・・ 物語自体のネタは、現代では似たようなものが多々あるものの、話の流れ、テンポが良く引きこまれていく。 しあわせって一体何なのだろうと考えてしまう、人気のとおり面白い一作だった。

    2
    投稿日: 2014.08.17
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「適切な愛」★★★★ 「闇の中へ」★★★ 「愛撫」★★★★ 「道徳的ウイルス学者」★★★ 「位相夢」★★★★ 「チェルノブイリの聖母」★★★ 「ボーダー・ガード」★★★ 「血を分けた姉妹」★★★ 「しあわせの理由」★★★★

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    投稿日: 2014.07.31
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    SFを読む時には、自分の世界観が大きく揺さぶられることを期待する。イーガンは初読だが、残念ながらそうした期待を十分に満たすものではなかった。『しあわせの理由』は、「これがイーガン」なのか、「こういうイーガンもある」のか解らないのだが。いずれの短篇も近未来を舞台に描くが、テクノロジーの上からはまだ実現されておらず、その限りではSF的なのだが、物語の本質においては、むしろ現代社会と人間の問題を描く手段なのではないかと思われる。個々の世界は細部まで緻密に描かれてはいるが、SFに感じる特有の「ふるえ」がないのだ。

    2
    投稿日: 2014.04.19
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    初イーガン。 SFでありながら哲学的で文学的。 愛とは何か。 幸福とは何か。 「チェルノブイリの聖母」が一番好きだけど、これはSFジャナイ系。 「しあわせの理由」は幸福について考えてしまった。 自分でしあわせをコントロールできたら。 それはしあわせなのか、ただの選択の結果なのか。 でもしあわせってそんなたくさんの選択の結果でもあるよね? しれっとSF世界観な短編集。説明なしに展開するストーリーに、あ、これこういう世界なのね、と理解するのに数秒とまる。 おもしろかった。

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    投稿日: 2014.03.30
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    全9話の短編集。いずれも違和感なく未来世界を感じることができた。さまざまな科学ジャンルにおいてこんな小説をかける著者の深い知識を敬服する。ただ、科学背景のいくつかは難解でよく理解できなかった。言葉で表現するのは難しいですね。 また、科学背景だけではなく、登場人物の心理描写もしっかり描かれているのだが、ちょっと感覚が合わないところもあり、総じてのめりこんで読むほどの魅力を感じることができなかった。 そんな中でも一番面白かったのは「チェルノブイリの聖母」。未来感は薄いかもしれないが、ハードボイルドな探偵が登場するミステリーな話、この話のみ休みなしで一気読みした。

    2
    投稿日: 2014.03.03
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    ◆結論 ~ 星の数 ~ ★★★:「費用と時間」をかけても読んで欲しい、「内容」が非常に良い(30%) ◆感想文 ~ 読む前、読んだ後 ~ ◇読む前の感想  組込み技術者養成合宿の実行委員の方に「面白い本、ない?」という質問に答えて頂きました。そのときの二冊のうちの一冊がグレッグ・イーガン著「プランク・ダイヴ」、しかし、図書館に置いてありませんでした。(残念)代わりに、図書館にあって、且つ書評が高いこの本に挑戦してみることに。(楽しみぃ(^^)) ◇読んだ後の感想  断言します。著者は相当高い「組込みエンジニアマインド」を持っています。間違いありません。(なぜ「組込みエンジニアなのか?それは、私がそうだからです。それ以上の深い意味はありません。(^^;))  例えば「道徳的ウイルス学者」というお話。ここでは、ある天才科学者が性的にだらしない人間を滅ぼすため、秘密裏にウイルスを開発します。その考察が凄いんです!シーン分析というか、背反検証というか、間違えて善良な市民が死ぬことが絶対に無いよう、あらゆるシチュエーション、外乱、環境の組み合わせを想定し、検討し、その対策を打つのです。その描写が圧巻!これはですね、実際にこういう仕事をやった人じゃないと、ここまで書けないですよ。いや、本当に。  9本の短編小説から成る本書は、前述のように、どの話も奥行きが深く、深く、深いです。深淵です。しかも、科学的描写に関しては、もう、訳が分からんとです・・・。(あ、いや、これは私の読解力と知識がショボいだけです・・・。すみません。orz)  そして、最後の解説でビビりました。完全に無防備なところに強烈パンチを喰らった感じです。なんと、東大の坂村先生。(この人って、こういう本の解説を書くんや・・・。凄い人は、凄いなぁ・・・。)←と思いました。  その解説のなかで、私の読書人生の転換期とも言える「ソフィーの世界」という、懐かしいタイトルを見つけて、また吃驚。  という訳で、色んな意味でとても美味しい本でした。(^^) (参考:評価基準) ★★★★★:座右の書である、または、座右の書とすべきである(10%) ★★★★:自分の知り合い、友人、家族全員が読んで欲しい(20%) ★★★:「費用と時間」をかけても読んで欲しい、「内容」が非常に良い(30%) ★★:暇な時間で読めば良い(20%) ★:読んでも良いが強く薦めない、他にもっと良い本がある(20%)

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    投稿日: 2013.09.26
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    短編集、イーガンを読むのは二冊目。SF部分が難解で読みづらい話も混じっているけれど、それを差し引いてもべらぼうに面白い。人間とはどういうものか、生きるとは、幸福とは何か、そういうものへの問いかけだと思う。

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    投稿日: 2013.08.24
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    短編集というだけあって、やはりどれも短くまとめられている。それは当然のことではあるが、短編集と言うのはどれも短くまとめようとしてイマイチ話にのめり込めない。(少なくとも自分は) ボーダーガードという話に至っては、専門用語だらけの未来のスポーツの話だったのか、読んでいてさっぱり意味がわからなかったのではじめの数ページで読むのをやめてしまった。 本の題名にもなっているしあわせの理由は、色々と考えさせられることがあってとても読み応えがあった。あるにはあったが、やはり一冊丸々使ってもっと掘り下げてもらいたい話でもあった。おもしろいだけに残念であった。 おそらく自分には短編集という形態は合っていないのだと思う。

    2
    投稿日: 2013.08.09
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    このレビューはネタバレを含みます。

    さすがはイーガン。 各話にいちいち登場するSF的ギミックが大変すばらしい。 「ボーダーガード」の量子サッカーとか、「道徳的ウイルス学者」のウイルスに関する説明とか。 特に面白いと思ったのは表題作の「しあわせの理由」「闇の中へ」「移相夢」「道徳的ウイルス学者」かな。 巻末の解説に「イーガン好き以外の方もぜひだまされたと思って買ってほしい」とあったけど、たぶんイーガン好き以外は「だまされた!」って思うよねw

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    投稿日: 2013.04.13
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    哲学的、倫理的なSFといった印象。 「適切な愛」「しあわせの理由」はアイデアはいいが尻すぼみで結末がいまいちだった。 「チェルノブイリの聖母」「血をわけた姉妹」が面白かった。

    0
    投稿日: 2013.03.24
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    SFっていうと、僕の中では「宇宙」「空飛ぶ車」みたいな「The科学の粋」というイメージで、さほど好きな分野じゃなかった。この本は、タイトルオンリーで若干哲学的なものを期待して買ったのだけど、科学と哲学をミックスした内容で期待を超えたものだった。 短篇集のうちタイトルの話も面白かったけども、その他も想像外のSFが様々な思考実験として登場して、読み応えもあるし楽しく考えさせられる。量子サッカーの話のようにいくら読んでも理解できないものもあったけどw、巻末の解説にもあるように「SF」という枠じゃないものとして興味深く読める。

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    投稿日: 2013.03.14
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    表題作が重くのしかかる。主人公は本当に異質な存在なのか? ひとは誰もオリジナルにはなり得ないのではないか? 奇妙な思考に追い込まれる一作。

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    投稿日: 2013.03.10
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    先日、『巨匠カラバッジオの名画を生身で再現、ナポリ』というニュースが流れたが、そのニュースを聞いたとき、真っ先に脳裏を過ぎったのが、本書収録の「愛撫」でした。 この小説は、ある芸術家がとある絵画を現実に再現するという内容。 その絵画というのがFernand Khnopffという実在する画家の「愛撫」という作品。絵画を見ると、芸術家の行動が非常にイカれていることが解ります。 それだけに脳髄に深く刻み込まれた小説でした。 さて、前回読んだグレッグ・イーガンの「祈りの海」では、アイデンティティをテーマにした作品が収録されていましたが、本書はテーマを固定化せず、多彩なテーマの下、イーガン節(いわゆる思弁系SF)を見せ付けてました。やはりイーガンは期待を裏切らないですね。 表題作や「ボーダーガード」、「適切な愛」なども十分面白いのですが、アイデア一発ものの「闇の中へ」が実に面白くて、こーゆう思弁に特化しない感じのイーガン作品が読んでみたくなりました。

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    投稿日: 2013.01.13
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    すごく緻密で、しかも哲学的な思考実験のような話が目白押し。面白いが、ちょっと苦しい。SFの存在意義のひとつを突き詰めたような本。すごい本。

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    投稿日: 2013.01.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    SF独特の表現が多くみられ、私には少し難しかった。 短編それぞれの内容が持つ主題もほぼ読み取れず、久々に自分の読解力のなさに絶望することとなった。 それでも、面白いと感じたのは、芸術の完全なる再現についての話(「愛撫」) ◆他収録作→「適切な愛」「闇の中へ」「愛撫」「道徳的ウイルス学者」「移相夢」「チェルノブイリの聖母」「ボーダー・ガード」「血をわけた姉妹」「しあわせの理由」

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    投稿日: 2012.11.10
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    SFの極北と称されるだけあって、なかなかの歯ごたえ。満腹どころの話じゃない。もしこの本にもう一篇短編があったら、確実に胃もたれしていただろうと思う。グレッグ・イーガン、恐るべし。

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    投稿日: 2012.07.14
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    収録作品の中では「闇の中へ」が一番おもしろかった。人生における時間というものを空間的に表現した舞台装置を用意し、キャラクターはその装置を体験、報告するという形式。主人公が空間内で具体的に見るもの為すこと、すべてが比喩のように読めてくるから濃密。

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    投稿日: 2012.06.28
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    「祈りの海」に続いて2冊目のイーガンですが、私にはやはりイーガンの良さ、面白さが判りません。 何がそんなにいいのか、何故高く評価されているのか。 要するにアホには判らんということでしょうか。 理系の知識が無いと話が理解できず面白くないと言われているようですが、私には物語そのものに全く面白みを感じないのです。 そうは言うものの収録作品中、「愛撫」と「ボーダーガード」は結構興味深く読めました。 「チェルノブイリの聖母」という作品がありますが、そのうち「Fukushimaの○○」という作品が書かれるようになるのかなあ、なんて思ってしまいました。何とも哀しい。

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    投稿日: 2012.04.07
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    初イーガン。 SFというかたちを取りつつも、それぞれの話の芯としては“人として生きることとはどういうことか” “自分の人生をどのように生きるか”といったことを問う内容なので、文系の私でもとっつきやすかった。 表題作がとても良い。上がって下がって上がって下がって、な人生でも“ぼくは、ここが気に入っているんだ”と言えるところにぐっときた。 収録作では他「闇の中へ」「チェルノブイリの聖母」「ボーダー・ガード」が気に入りました。

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    投稿日: 2011.09.09
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     どうも結末がしょぼいためにイマイチ乗り切れないイーガンなんだが、短編集ボリウム2を手に入れた。  脳だけを子宮で育てるというアイデアには脱帽の「適切な愛」、意味不明に近い「闇の中へ」、同様に意味不明の「愛撫」、ブラックユーモアっぽい「道徳的ウイルス学者」、脳の機械へのコピー途中を描く「移相夢」、ミステリーっぽい「チェルノブイリの聖母」、アイデア満載の「ボーダー・ガード」、双子のプラシーボ効果を描く「血をわけた姉妹」、脳をテーマとしてかなり面白い展開の(ただし結論はイマイチの)「しあわせの理由」。  なかなか面白い。でも、どうも芸風が合わないんだよなぁ。

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    投稿日: 2011.09.01
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    8月18日読了。東浩紀の著書にて推奨されており読んでみた。オーストラリアのSF作家グレッグ・イーガンの日本独自編集による短編集。手術により自らの「しあわせ」を目盛りでコントロールできるようになった主人公を描く表題作ほか、アイデンティティとは?人間とは、自意識とは?を文学的・感傷的にではなく「現在の科学の発展の延長線上にある、起こりうる未来を想定した思考実験」として描くようなSF。起承転結があり血沸き躍る、一般のエンターテインメント小説のような展開には乏しいが、科学知識・哲学に支えられた作者の人間観・問題意識はヒシヒシと伝わってくる。ディックは自意識がゆらぐ未来を悲劇的に描いたが、未来は悲劇でも喜劇でもなく、ただ「そうなってしまう」ものにすぎない、そのことの方が恐ろしいなあ。

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    投稿日: 2011.08.18
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    こういった本の醍醐味は思考実験とそこから演繹される世界観の妙。 イーガンの場合は世界観の精度が高い。 脳みそリフレッシュ

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    投稿日: 2011.07.08
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    9編の短篇集で、その中でも表題作は、ものすごく根源的な問題について考えさせられる小説。 ここで問われているのは、まさしく「しあわせの理由」だ。 人間が感じる幸福感というのは、煎じ詰めれば、その正体は脳内の化学物質が惹き起こす化学反応の産物に過ぎない。 たった数ミリグラムの脳内麻薬が、長年の修行の末に悟りを得た禅僧と同じ境涯に人間を導くのだとしたら、精神の陶冶というものに、いったいどれほどの価値があるのだろう。 たとえば、ドラッグによって夢の世界に旅した人が、そのまま現実世界に戻ってくることなく、夢から覚めないままに一生を過ごすことが出来るとしたら、その人はこの上ない幸福の中で生きることを意味するのかもしれない。 極めて個人的な嗜好に依存すると思われている、「好き嫌い」という感情でさえも、実際にはやはり化学物質によって左右され、支配されている、計量可能、操作可能なものであるなら、人間の自我というものはどうなってしまうのか、という、思考実験的なSF。 そういう、アイデンティティーの危機に直面した主人公が、試練を乗り越える様を、「もし自分がこういう状況になったら、いったいどうしたらいいんだろう。」と考えながら見守った小説だった。 ぼくは言葉につまった。目の前の人々の顔は、あまりに多くの意味に満ち、魅力の源であふれていて、どれかひとつの要素だけをとりあげることなどできない。かれらの顔はみな、賢そうで、歓喜に満ち、美しく、思慮深く、思いやりがあり、情け深く、安らかで、活気にあふれ・・人のもつ資質のうちで肯定的なものばかりが、しかし焦点を結ぶことなく、そこにホワイトノイズ化していた。(p.388) しあわせのない人生は耐えがたいが、ぼくにとってしあわせそのものは生きる目標とするに値しない。ぼくはなにがしあわせかを感じさせるかを好きに選択できるし、その結果しあわせを感じている。だが、自力で新しい自分を生みだした場合、その結果しあわせになろうが、ほかのどんな気分になろうが、ぼくの選択とその結果のすべては、つねにまちがっている可能性があるのだ。(p.404)

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    投稿日: 2010.12.07
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    推理小説風の作品があったり、ボーダー・ガードのように科学ネタがメインのものもあったりと、バリエーションが豊か。 個人的には愛撫、道徳的ウイルス学者、しあわせの理由が特に面白かった。 愛撫・・・究極に写実的な芸術とは何かを問うた作品、というように私は読みました。 しあわせの理由・・・序盤は、人間の感情なんて所詮脳内の物質の働きによるものでしかないのか、というある意味恐ろしいテーマを描いていますが、結末はなかなか泣けるものになっています。主人公が受けた奇想天外な脳手術の内容、そしてある女性と恋に落ちてからの経過が特に好きです。

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    投稿日: 2010.11.30
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    私が最初に読んだイーガンのSF.ジャンル的にはハードSFに分類されるが,科学的な知識が必須というわけでもなく,短編集でありSF初心者にも読みやすいだろう.SF好きにも十分に楽しめる作品だ. 表題作の「しあわせの理由」は,人間の根本的な存在理由とも言える『幸福』の価値観を揺さぶるような衝撃が楽しめる.

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    投稿日: 2010.10.19
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    ○概要 短編集 ○感想  「しあわせの理由」を読んで、『神さまのメモ帳』の著者はSF好きなんだろうかと思ったり。  素読しただけじゃなんともいえないんだけど、微妙に薄気味悪い後味の悪さが、というかうん、はっきりしなさすぎて気持ちわるい。

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    投稿日: 2010.10.09
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    初めて読了できたイーガン。まずその事実が素直にうれしい。面白そうな匂いはするのになぜか最後まで読めないイーガンでしたが、最後まで読めたのは短編だから要素が抽出されていたからか。ストレートに世界が描い出されているのがよかったのだろう。 内容はSFというより、文学な感じがした。

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    投稿日: 2010.10.01
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    私の大好きなSF作家、グレッグ・イーガンの短編集2つ目。 イーガンさんは基本短編のアイディア勝負なところがあるので、「ややこしい星新一だろ?」とか「小説というよりネタ帳読んでる感じ」という否定的な意見も多いのですが、個人的には「だがそれがいい」と思うわけですよ。 今回も脳がぐんにょりするような短編ばかりですが、個人的にイチオシなのは「道徳的ウィルス学者」。「男も女ももっと性に慎ましくあるべき」とか言い出した非モテ系の学者が、「みんながもっと(性的な意味で)道徳的になれるウィルス」を作ってばら撒くんですが、ちょいとした欠陥があって…という話。

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    投稿日: 2010.08.29
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    収録作「移相夢」や表題作「しあわせの理由」を読むと、所詮、人間の性格や感情なんてものは脳内の化学物質の濃度やシナプスの結合の仕方に左右されているだけであって、コピーや改造が可能なのだということがわかる。その事実の中でアイデンティティをどう保つのか?いや、アイデンティティという言葉がこの事実の中では陳腐にさえ思われる。

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    投稿日: 2010.08.14
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    素晴らしすぎる、完璧すぎる短編集。 SFでなければ描けない、様々な人々の心、哲学が表現されている。何らかの作用が、ヒトの心に病のように及ぼす影響を非常に明確に、不気味に描いており、それは読者に問いかける。 その感情は選びとったものか、選ばされたものか。 他人を気遣ったのか、自分を守ったのか。 理由か、言い訳か。 そして、両者に何の違いがあるのか。

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    投稿日: 2010.08.13
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    理論コミコミ。しっかりとしたSF短編集。最初の短編「適切な愛」で、科学的だったり医療だったりむむむ。と思っているうちに倫理的なところまでぐいぐいと惹きつけられました。ひとつひとつのお話に真摯な姿勢が見受けられる好印象な一冊。細かいことは面倒くさい人にはお勧めしづらいですが、がっつり理系風サイエンスフィクションを読みたい人は是非。

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    投稿日: 2010.05.30
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    表題作が好み。 『だれかが肩に手を触れた。くるりとふりむくと、ぼくに満面の笑みをむけている男がいた。「イエスはあなたを愛しておられます、兄弟よ! もう迷うことはありません!」……男の顔をのぞきこんだぼくは、すぐに相手がどんな状態にあるのか思いあたった。男はたまたまロイエンケファリンを自在に分泌できるようになったのだが、その自覚がないために、自分の幸福感には神聖な由来があると理屈づけたのだ。ぼくは恐怖と同情に胸を締めつけられた。少なくともかつてのぼくは、自分の幸福感が腫瘍と関係あるのを知っていた。路地でラリっている少年にしても、自分がシンナーを吸っているだけだとわかっている。 では、パブの客たちはどうだ? 自分たちのしていることを、理解しているのだろうか? 音楽、気が置けない仲間、アルコール、セックス・・・境界線はどこにある? 幸福感の理由づけが、この男のような空虚で病的なものに変わってしまう、その境界線は?」

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    投稿日: 2010.01.15
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    SFというだけで拒否する人が多いけど、これだけは読んでほしい。 私はこの短編集を読んでSFの面白さを知った。 『祈りの海』と合わせて、イーガン傑作選として永久保存版にしたい。 もう、どの話も新しくて面白くて切なくて、ヤッバイ。止まらない。 サイエンスの部分も含めて面白いのだが、分からなかったらどんどん読み飛ばしてしまえ。それでも充分に傑作だから。 とにかく、表題作の「しあわせの理由」だけでも読んでみてほしい。 それで、イーガンにはまったら次は長編を。 ああ、大好きだ。大好きだ。

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    投稿日: 2009.12.04
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    短編集。出てくる小道具を見ると、これ以上、SFらしいSFはない。量子サッカー(?)とか、やってみたいなぁ。まるきり、わからないだろうけど。 扱ってるテーマは結構普遍的。物語の構成だけを見ると、他の作家の作品の多くで扱ってる類のテーマを、他で扱っているよう(こちらが大事)に書いてるものも多かったように思う。たとえば、「適切な愛」とか「愛撫」とか「道徳的ウィルス学者」とか。 解説で坂村健がイーガンの作品はSFならぬPF、哲学小説である、みたいな事を書いてるけど、一部納得で、一部不満。互いに切っても切れぬ関係にあるものだと思うので。まあ、哲学的な面が色濃く出てる作家なのは確かだと思うけど。個人的には、徹底的に形而下だなぁ、とかいうふうに思う。 2009.04.20 読了

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    投稿日: 2009.04.20
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    短編集。 「適切な愛」「闇の中へ」「愛撫」「道徳的ウイルス学者」「位相夢」「チェルノブイリの聖母」「しあわせの理由」は読んだのですが、難しいです。 「闇の中へ」も途中で投げそうになりました。「ボーダー・ガード」は投げました。  樓主の精神状態がよくないから読んでいられないのかもしれませんが、SF理論が濃すぎて、かなり読みにくい。  でも「愛撫」「適切な愛」は好み。 「適切な愛」は、夫の脳を胎の中で保存する妻の物語。生理的嫌悪から心を守るために、彼女は色んなものを失う。 「愛撫」は人の顔をした獣と人間の絵画を現実に表現しようとした狂気の芸術家に翻弄された警察官の話。  表題の「しあわせの理由」は強制的に幸せな気分になっていた少年の物語。脳に出来た腫瘍のせいで、幸せな気分に浸れる物質が過剰生成されていた。腫瘍のせいで死にかけるが治療を受けて助かったものの、今度は脳の神経系が死んでいく病に侵され、何を見ても幸福に感じなくなる。そして、18年後、三十歳になった彼は、擬似神経を継ぎ足して感覚を取り戻すが……。  内容はかなり過酷です。  樓主は「適切な愛」を読みたくて借りたのでした。だから目的は達してます。

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    投稿日: 2008.08.25
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    適切な愛 闇の中へ 愛撫 道徳的ウィルス学者 移相夢 チェルノブイリの聖母 ボーダー・ガード 血をわけた姉妹 しあわせの理由 解説 坂村健

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    投稿日: 2008.06.11
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    自分って…何? 結局はイーガンさんって只管にそれの答えを出そうとしておりますね。でも如何せん完璧な理数人間故に板ばさみになって泣きそうなのを必死に堪えているような感じです。 不器用過ぎて、純粋過ぎてこちらもなけてきます。

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    投稿日: 2008.01.31
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    このレビューはネタバレを含みます。

    再読。今度は全部読んだ。印象に残った短編を書いておく。 「適切な愛」は夫の脳を妻が子宮のなかで保存し、二年後に肉体がクローンで作られたときに、摘出して入れるという話。母性愛という「適切な愛」を夫に感じないようにするというというところがタイトルと関わっている。 「血を分けた姉妹」は、ウィルス実験施設が爆発して、「モンテカルロ症候群」が蔓延した時代、双子の姉妹が白血病に侵され、一方にプラシーボが処方されて死ぬ。こうした臨床実験に恨み?を抱いた生き残り(ハッカー)が製薬会社をハッキングして復習をする 「チェルノブイリの聖母」はミステリー風。イタリアの依頼主のため、ロシア正教のイコンを輸送した女性が殺害され、その理由を探す探偵の話。じつは、イコンは20世紀の贋作で、チェルノブイリの放射能が入った絵の具で描かれている。それを依頼主も犯人も聖なる力があると考えている。「神とは情報のかたちで存在する」というアイデアや、探偵のつかう粒子型尾行ツールなどがでてくる。 「ボーダーガード」 遠未来の話で、不死が当然な人類と死を知っている人類のあいだの交流の話。「死によって生が意味を与えられる」という理論を幻想としている。 「しあわせの理由」 通常の「しあわせ」もこういうものじゃないかと思う。 坂村健の「記述」(無限を有限の形式に落とし込むこと)理論によるイーガン読解も興味深い。 2021年 11月 昨年、久しぶりに読んだSF、表題作は、脳腫瘍のせいで幸せを感じている主人公が治療される。治療は失敗し、脳の神経組織が破壊され情緒が生滅した数年を暮らしたあとに、義肢ならぬ義神経をつかう治療を行い、治療は成功するが、自分の幸福感の根拠が自分の人生と関係ないものであることに悩む。幸福について考えさせられる表題作である。(2007年)

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    投稿日: 2007.05.05
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    理系的発想から短いお話を作り上げていく、SFっぽいSFの短編集。 アイデアの面白さは感じるけど、物語としてはありがちなものが多かった。 が、表題作である「しあわせの理由」はよかった。 脳のディップスイッチを切り替えることによって、自分が好むものを切り替えられる主人公。 しかし、自分も実生活の上で同じようなことを試みてるんではないか? 他の話は異世界の話で自分に投影してみることが難しかったが、これはいろいろと考えさせられました。

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    投稿日: 2007.01.17
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    短編集です。イーガンの短編に対する批判的な意見でよくあるのは「ワンアイディアで突っ走って話としてちゃんとまとめてない」あたりですが、基本的に物語はおまけのようなものが多い気はしますね。確かに。アイディアはもったいないというか贅沢に使ってしまっています。ひねりを効かせたらもっと面白くなるっていうのは他の作家に任せましょう。訳文のせいもあるのか、各編の余韻は結構心地よい。 以下各編雑感 ・適切な愛 いまいち共感できない作品。しかし保険会社はどの国も同じなんだろうね。 ・闇の中へ ディック的な結末。アイディア一発。ありそうな世界。こんな設定の未来はやだなぁ。 ・愛撫 警察が使う通報分析装置が面白い。ほんの小道具だけど。最後の一行まで結構好きな作品。 ・道徳的ウイルス学者 一人芝居系スラップスティック。オチのために書かれている作品のように思えます。 ・移相夢 順列都市でも触れられたスキャン時に起きる夢を扱った一編。なんとなく世界観が深まる気がします。 ・チェルノブイリの聖母 あんまりSFじゃないですが。無宗教国家に住むものとしてはいかんとも受け取りづらい。 ・ボーダー・ガード 仮想現実世界の球技(?)に興じる人々を軸に世界を描く。仮想現実世界と、肉体があった世界の死や別れの概念の違いと相互理解がテーマなのかなぁ。たとえ肉体を持たなくても人間の精神は人間のままというあたりか。 量子サッカーのデモはこちら http://gregegan.customer.netspace.net.au/BORDER/Soccer/Soccer.html ・血を分けた姉妹 今だってこんなことは起きてるかもしれない。怖いね。メインテーマじゃないところで感心。 ・しあわせの理由 表題作、いろんなアンソロジーにも入っていますね。 アルジャーノンの花束が人工的に高められた知能を扱っているのと似ていて、人工的な感情(しあわせな気分)を扱っています。思考と感情が切り離されたとき、果たして人間らしく生きることができるのか。いや、なにが人間らしさなのかを考えさせられる一編。

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    投稿日: 2006.11.08
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    「しあわせの理由」脳腫瘍切除とそれによる神経系損失。それを修復する為の脳神経手術を受けて、自分の気分を自在に変えられる様になった男の話。結局最後はホームレスへ

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    投稿日: 2006.01.08
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    グレッグイーガン3冊目やっと読み終えました。短編集なのですが以外とボリュームがあっておもしろかったです。

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    投稿日: 2005.07.29
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     収録作品 ・『適切な愛』 ・『闇の中へ』 ・『愛撫』 ・『道徳的ウイルス学者』 ・『移相夢』 ・『チェルノブイリの聖母』 ・『ボーダー・ガード』 ・『血をわけた姉妹』 ・『しあわせの理由』  まず、全体的な感想としては、個人的にはチャンの方が好きかなぁ。  こちらの方がガジェットはSFっぽいんだけどね。  ただ、チャンのインタビューにあった、  哲学者の思考実験を科学で説明できる作家、という表現には何となく頷けた。 お気に入りは、『適切な愛』・『道徳的ウイルス学者』・『ボーダー・ガード』 特に『しあわせの理由』は、かなり日本人好みかも。

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    投稿日: 2005.01.06