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蟹工船
蟹工船
小林多喜二/オリオンブックス
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総合評価

12件)
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「おまえたちをどだい人間だなんて思っていないよ」 プロレタリア文学の代表作 序盤、425名の乗組員が見殺しにされる苛烈さに慄く 資本主義のもと人間性を剥奪され、虐使され、生命まで搾取され、交換可能な労働力として消費される労働者の描写に、著者の怒りが刻まれている 著者の小林多喜二は特高警察から残酷な拷問を受け、29歳の若さで虐殺された 自宅に戻った多喜二の遺体は、ペンを握る右人差し指が無残に折り曲げられていたそうだ 権力に抗し、弱い者や虐げられた者の側に立った若者の生命が国家権力によって奪われてしまったわけだけど、それは過去に限った話だろうか

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    投稿日: 2026.02.09
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    オホーツク海で蟹漁をする労働者たちの過酷な実態を緻密に描いた作品です。特定の人物を主人公とせず、労働者たちに次々とスポットを当てています。蟹工船に乗ったら、賃金条件を違えられ借金を負わされたり、食事や入浴もまともに与えられず、病気をしても休ませてもらえない。働けなければ暴力を受け、死んでも弔うことより資本家の利益が尊重される。搾取され続ける労働者描写に胸が苦しくなります。最後に労働者は皆で団結し、ストライキを盾に交渉と闘争する場面が描かれます。リーダー格が警察に拘束されても、労働者の中から意志を継ぐものが表れていく。小林多喜二が労働者の貧困問題を小説に提起しただけでなく、なぜ共産党に入党して行ったのか、理解できるような内容です。

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    投稿日: 2026.01.06
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    山陽小野田市の中央図書館で、所属している読書会の主催者さんが選書している本棚を見に行った。 月1で本についてのラジオも放送されている方で、その番組の中に「名著だけどまだ読んでない本を読むよ」的なコーナーがある。 聴いてると私もまだ読んでない、たぶん言われないと今後も手に取りそうもない本がたくさん紹介されるんだが、 今回の図書館の選書はちょうどそのコーナーにちなんだ本棚になっており、 放送中に気になった名著を3冊借りて帰った。 その中の1冊、蟹工船。 ただし、読みやすい現代語訳だ。 読み心地としては、西村賢太さんを読んでるみたいだった。 つらい、しんどい、寒い、汚い、苦しい、臭い、重い、痒い、痛い、不快。 酷烈な労働環境の中、極寒のカムチャッカの海を行く蟹工船。 解説によると、著者の小林多喜二は、その過酷さ、搾取される労働者の惨めな様子を描いたのではなく、なぜ労働者がそのような過酷な労働、人間性をも剥奪されるような搾取に至ったのか、その構造を描いているという。 そして、物語に明確な主人公はなく、労働者の集団が主人公になっている。 なるほど、ほんのれんラジオの戦争回で、この辺りの時代背景を聞いていたから、戦前の不景気に次ぐ不景気、急激な人口の増大によるどうしようもない当時の日本の閉塞感が痛いくらいに伝わる。 そして、ひとりひとりの心理描写がなく、行動や状況がやや唐突に描かれるあたり、読みにくくはあるが、構造を炙り出そうとする気迫に筆力を感じた。 2008年頃、非正規労働者の増大をはじめとする貧富の格差拡大により、この作品はベストセラーになったらしい。 物語は、資本主義における資本家の搾取の構造についてのみでなく、バラバラなはずだった労働者の団結を描いて幕を閉じる。ここも示唆深い。 ちょうどコテンラジオで「リンカン編」を聴いていて、中央権力に対する抵抗感の違いが、日本ではこのような文脈の上に語られるのか…、とこんな部分についても興味深く読んだ。 通読したあと、装丁を眺める。 商業的に売れなければならないのはめちゃくちゃよくわかるんだが、 ちょっと労働者のイラストをカッコよく綺麗に描きすぎてないかしら。 プロレタリア文学に於いて、この装丁はちょっと複雑なのでは?とか思ってしまった。

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    投稿日: 2025.11.03
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    ブームになった頃は読んでいなかったので、一度読んでおきたかった一冊。 新潮文庫の蟹工船・党生活者と並べて読んでみました。単語が最近の言葉に直されたりして、さりげなく理解をサポートしてくれていました。本を読み慣れているのなら、文庫の方が手触り感があるのかなと思いました。

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    投稿日: 2025.09.17
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    船にくっついているタイヤってなかなか過酷だと思う。蟹工船にもきっとくっ付いている、側面にだらしなくぶら下がっているあのタイヤのことです。海の陽射しをもろに浴び、しょっぱい海水に揉まれ、いつ他の剛体との間に挟まれるのかと、ビクビクしている。 なんと可哀想なのか、いや、別にそうでもない。別にタイヤに人権があると思っていないから、こき使っても良心は痛まない。 労働者の権利が重んじられていなかった時代、人というのは搾取の対象だった。その悲惨をリアリティもって記している。この構図が生まれたのは搾取対象が持つ苦痛への無理解によるものだったと思う。 この目線で見れば、この自分とタイヤの関係というのは、この本における資本家と労働者の関係に似ていると思う。 違うのは、タイヤは自分から悲惨さを訴える事が無い点。蟹工船では労働者が自ら状況を変えた。今回、タイヤという極端な例で例えたけど、自ら悲惨さを発信出来ない主体はたくさんある。そうした主体と使役する側の歪な関係は残る。 使役する側、それが理解を示す事で未然に救われるモノがたくさんある、そんな平等を訴えた本だったし、いつの時代になっても、対象が変わったとしても、普遍的に追い求められるテーマだと思った。

    0
    投稿日: 2025.07.29
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    現在のブラック企業、パワハラ問題など労働状況にも通じる部分があり、ある種で普遍的なテーマを扱っている作品のように思う 古典的な作品であるものの今なお評価される理由もそういうテーマ性から出ているという事がわかる 一方で作中にも記載があった『赤化』を勧める部分を槍玉に挙げる人間も少なくはないが、基本的には労働者側の目線に立って描写された小説で共産主義の基本的な理念である資産分配や革命推進まで進んでいる描写までは記載していない 故にこの小説はあくまで当時の社会問題を描き出した現在の社会派小説として機能した小説だと自分は考える また思っていた以上に残酷で暴力的な描写も目立つ為、タイトルを学校教育で知る事となる小・中学生には少々刺激的な作品であるとと思われる。 しかしその刺激的な描写があってこそ蟹漁を勤しむ労働者の過酷な労働状況が鮮明に描かれているとも言える

    1
    投稿日: 2025.03.12
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    スラよみ!シリーズ3 名作を分かり易く現代語訳 冒頭から印象深い描写に溢れていた。 志賀直哉から学んだというリアリズムを全面に押し出していて面白い。 擬態語と擬声語、比喩が効果的に使われていて自分もプロレタリアの一部になったようだった。 現代では、非正規雇用者が増えている(=十分な保証がされていない人)が増えているため、物語、引いては小林多喜二が生きた時代と少しでも重なる部分があるのかもしれない。と思った。 原文で蟹工船を読んでみたい。 今年の3月までに読む!!

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    投稿日: 2024.01.11
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    元の文章もそれほど現代文と変わるところがない近代の小説だが、それでも「現代語訳」されるだけで原文にあったどぎつさが大分薄められた気がする。 好みによるが私はその薄さのおかげで読みやすくなり、物語の全体に目配りしたり、細かな描写に気づくことができるようになった。 巻末の解説も簡潔に小林多喜二の生涯と要点が掴まれていて、いきなり青空文庫へ突撃するよりこれぐらいやさしく噛み砕いてある物の方が飲み込みやすいと思った。プロレタリア文学は往々にして内容が重たいので。

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    投稿日: 2023.01.04
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    もっと早くに読むべきだった。原作でなく現代語訳。原文だったらどんなに衝撃的だろう…と考えてしまうが、現代語訳でも非常に胸に迫ってくる。

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    投稿日: 2022.08.12
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    「航船」でなく「工船」としている点でこの航海は「航海法」のグレーゾーンと認識され、出稼ぎ労働者(船員)たちが人権なしの奴隷のような扱いを受けていたという。そんな悪しき閉じた世界が世界人権宣言が出されて20年近くも経った昭和40年代まであったというのも驚きだ(作品設定では昭和初期となっている)。 人権宣言のような秩序が生まれても、こういう「閉じた世界(権力に一般人が抗えない特別な空間)」にまでルールが浸透するには何十年もの歳月を必要とするのがわかる。でもこのような「秩序の枠組み」は時間はかかれど、ひとりひとりが望む限り着実に浸透していく。そして現代はインターネットも存在する。浸透速度は上がると信じたい。この2点は今後も持ち続けたい希望だ。

    2
    投稿日: 2022.04.08
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    ブラック企業そのものだと思った。 国のためと詭弁を吐き労働者を犠牲にする監督にはヘドが出る。 労働組合というのはやはり必要なのだと思った。 資本主義の最悪な部分が出まくっていた 生々しい描写が多かった

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    投稿日: 2016.11.13
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    昔読んだ記憶のある「蟹工船」。 久々に読むと当時とまた違った印象を抱きました。 うちにも祖先に「蟹工船」で北海道に渡った方がいるとかで、他人事ではありません…

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    投稿日: 2015.03.29