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日本の統治構造 官僚内閣制から議院内閣制へ
日本の統治構造 官僚内閣制から議院内閣制へ
飯尾潤/中央公論新社
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総合評価

61件)
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    非常に高く評価されているため、気になっていた本。 日本独特の政治のあり方について考察を深めることができて大変勉強になった。自民党や霞が関について理解を深めるうえでも最適な一冊。 ただ、出版されたのが2007年と、やや古い点には留意が必要。安倍政権での「官邸一強」・岸田政権での派閥解消・ここ最近の選挙結果など、現在の状況について筆者がどのようにコメントするのか気になる。 以下、特に印象に残った内容をメモ程度に記しておく。 ◯議院内閣制は、本来的には大統領制よりも権力集中的である(議会多数派と行政トップの一致)はずだが、日本ではそのイメージが希薄。 ◯日本の内閣では、各大臣はそれぞれの省庁を代表して行動するorしていた(=「官僚内閣制」)。憲法上は総理大臣の権限が強力だが、現実は必ずしもそうなっていない。自律性を持った官僚制・政府から分離した与党の存在が大きい。→意思決定の中枢が空洞化したことによる「権力核」の不在。ただし、いたずらに官邸の権力が強まれば良いという問題でもない。改革を進めるにしても、いかに民主的正統性を担保するか、が重要。 ◯政策形成の頻出パターン:官僚による下からの積み上げで政策形成がなされ、その過程で政治家への「根回し」によって民主的正統性が調達される。→安定して現実的な政策が立案され、混乱が少ない一方、部分最適の集合・マイナーチェンジにとどまり、抜本的な改革は進みづらい傾向も。これを解決すべく、近年では内閣官房や内閣府の重要性が高まってきている(橋本行革)。 ◯官僚は一定の自律性・「族議員」への影響力を有するが、自民党全体の決定には抗えない(国会は「唯一の立法機関」であるから、当たり前である)。審議がスムーズに進むよう、野党議員への配慮も必要となる。 ◯自民党内部には多様な意見があるが、全会一致方式により合意が形成され、互いに譲歩を繰り返すことで人間関係(派閥)をベースに一体性を維持している。 ◯官僚(省庁)も一枚岩ではなく、それぞれの業界の利益を代表し、政治家の支持を競い合う側面を持つ(「省庁連邦主義」)。→民間と政府の分離が、ある意味で曖昧。民間の側が、省庁を通じて政府に「浸透」できるという含意も。また、政策の実施を地方自治体や民間に委託(例: 企業が従業員や税務署に代わって複雑な納税額を計算)しているともいえるため、結果として人口あたりの公務員数はかなり少なく、一般に持たれているイメージとは違って「小さい政府」が実現されている。 ◯内閣提出法案が自民党内部で事前に賛成を得ているから、国会での審議が空洞化しているのでは?→それは少し短絡的な見方。そもそも、議院内閣制では「議会の多数派」=「内閣を構成する政党」なので、議会を通過するのは当たり前。問題は、条文の細かいところまで(所管省庁・内閣法制局・自民党の担当部局による)事前審査が行われ、議論の余地がなくなるところにある。 ◯なぜ政権交代が起こらなかったのか?→自民党内での「擬似政権交代」によるガス抜き・中選挙区制・野党への配慮。 ◯筆者の提言:本来的な「議院内閣制」への移行が望ましい。これまで「空虚な中心」であった内閣と、その補佐機構を強化する必要。責任の所在を明確にすべき。首相が独善的に決めればよいというものではなく、民意の集約を念頭に置かなければならない。 上記を実現するため、各党は「首相候補」「政権公約」(数値目標・財源・実施期限を含む)をも明示するべき。→白紙委任にならないよう、有権者と政党の間の「契約」が必要。このためにも、民意を吸い上げる政党機能の再強化が必要。中立性が求められるのは官僚だけであって、国民の間で党派性を嫌う傾向があるのは必ずしも望ましくない。 また、官僚は政治的調整の表舞台に立つべきではない。「支配者たる官僚」の威信が低下することはむしろ望ましい。一方で、専門家集団としての独立性・公益を代表する存在としての社会からの尊敬は保たれるべき。 政治家についても、政策実施(=中立性が要求されるフェーズ)において官僚の側に介入しないことが求められる。 ◯実際は?→橋本行革・選挙制度改革等により、小選挙区制に近いかたちになり、野党の合併が促される傾向にある。政権公約の発表も一般的になった。また、首相のリーダーシップが強化され、省庁の権威が低下する一方で官邸官僚の権勢向上も。 首相のリーダーシップが強まる中で、立憲的秩序の重要性も忘れてはならない(多数決にも限界がある。選挙結果にかかわらず、少数者も含め基本的人権が保障される必要)。→民主主義的要素と自由主義的要素のバランスをうまくとることで、民主政は正常に機能する。参議院の在り方についても考える必要。

    3
    投稿日: 2025.08.01
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    「日本の統治構造」 https://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51292913.html

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    投稿日: 2025.04.02
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    いま、読んでおくべき本と感じて。 今後の日本政治・行政慣習のあるべき姿について、令和の今読み返すと的を得ている部分が多く感じるが、論じられている以上の負の側面も表出しているように思える。政権交代、安倍長期政権から現在に至るまでを踏まえて、改めて筆者がどのような批評をするのか興味がある。

    0
    投稿日: 2025.01.03
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    自民党による一党優位体制が続く日本で、どのような立法・行政問題が内在しているのかを書いてる。橋本・小泉政権の改革中心で古いけど、めちゃめちゃ名著。

    1
    投稿日: 2024.09.19
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    出版が2007年と少し古いが今でも妥当する部分が多いのではないだろうか。筆者は、日本の統治機構の特徴について、人事グループによって組織された省庁による代表性とする。この点、閣僚すらも省庁の代弁者に過ぎない。もっとも、本書を読み進めれば官僚・政治への批判に徹しているわけではないことが分かる。官僚も自立的な支配層を形成しているわけではなく、所管業界との利益・相互調整関係や脆弱な政党組織に端を発する政官関係など、根深い日本社会の特質の中で官僚制が規定されている。閣僚が省庁の利益を代弁するのはそうすることが動きやすいからであり、それは自民党支配の安定に伴って閣僚ポストが専門知識などではなく褒賞として差配され、せいぜい1年程度交代してしまう面が大きい。 本書の内容はどれもどこかで聞いたことのあるようなものばかりだが、改めて通して読むことで日本の政治構造を深く理解することができた。ただ、第二次安倍政権以降の官邸主導の話は当然出てこないので、今の行政のあり方を学ぶには他の書籍を当たる必要がある。

    0
    投稿日: 2023.01.30
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    日本政治の仕組みについて、議院内閣制を中心に据え構造的な力学・問題点を解説した一冊。 大きく3部構成をなしており、第1・2章では官僚、第3・4章では与党を切り口に日本型の議院内閣制を解説する。そして第5・6・7章では比較による日本政治の分析や提言が加えられる。 各章内では読んでいて飽きることもままあったが、章ごとに明確な役割が与えられているため、全体としては議論の位置付けを見失いにくい構成となっている。 紛れもない名著と言って差し支えないだろうが、2007年発行のため現在では少々時代遅れの感が否めない。 後半で一応、小泉内閣に象徴される行政改革にも触れてはいるが、本論として扱っているのは80年代までのいわゆる55年体制になる。 現在に通ずる政治構造については竹中治堅『首相支配』が詳しいと思われ、本書はそのための前提といったところか。 しかし古さという欠点を補ってなお余りある記述の充実ぶり、そして政治上の問題を政治家や官僚個人の能力でなくその構造に求める視点は、現在でもその価値を失ってはいない。 むしろ現在の政治を考える上での文脈として従来型の自民党政治の知見は不可欠であり、日本政治を学ぶ上での「一冊目」としてまずお薦めしたい。

    0
    投稿日: 2022.04.15
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    前半は目新しさを感じなかった(学校で教師がこれの受け売りを話していたからか)。本来首相に権力が集中するはずの議院内閣制で省庁による官僚内閣制が戦前から行われてきたこと、自民党と政府の二元体制が続いて政策立案と実行の垣根が曖昧になったことで日常的な政府活動は安定するが大きい政策転換は難しくなった。二大政党制による政権選択で強固な政党が誕生し、首相に権力核が出現すれば政策課題が解決できるに違いないというのが筆者の見立てっぽい。 正直論点が多く、話の筋をぼんやりと理解した程度なので勉強しなおしてくる。特に後半はなかなか難しく読めてない気もするのでいつかもう一回読むつもりではある。効果的な政策を実現するためには何がいいのか難しいが、首相がだれであっても安定した政府運営をできるような仕組みが良い統治構造とするなら、この本を受けてなされた改革はあまりいい結果を生まなかったような... 2021/5/27

    0
    投稿日: 2022.03.23
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    その名のとおり、「日本の統治構造」について把握・確認・整理したいときに読んでおくべき基本の一冊ですね。日本における議院内閣制の特徴や、政治家と官僚の関係、二院制の構造などについて、本当に丁寧に解説されています。

    0
    投稿日: 2021.10.09
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    このレビューはネタバレを含みます。

    この本は日本の統治構造の歴史や、国際比較から、現状と課題を提示してくれる本。 日本の統治構造の現状 まず、日本は議院内閣制の国であるのだが、戦後の日本の政府構造を観察してみると、議院内閣制のカタチが本来の議院内閣制のモデルから独自に発展してきた経緯がわかる。 議院内閣制とは、一元代表制、つまり、行政権を持つ内閣が、議会の信任によってのみ成立しているということ。(大統領制は、大統領と議会が別々に選出され、民意が二元的に代表される) したがって、議院内閣制においては、権限の委任関係が以下のような1つの流れになる。 有権者→国会議員→首相→大臣→官僚 しかし、日本では、あまりに長い間政権交代が起きなかったため、本来首相の決断によって任命されるはずの大臣が、派閥の力関係が反映された上で選ばれるようになった。また、身内でポストをローテーションするために、大臣は原則1年ごとに交代する慣行も生まれた。 その結果、大臣は首相のために働くというだけではなく、派閥のために働くという動機が働くようになり、政権の主体として補助者たる官僚を使いこなすはずの大臣が、官僚から言われるままに行動する大臣へと変化することで、上記の権限の委任関係が正常に働かなくなってきた。 この状態を著者は議会を背景とする議院内閣制に対して、省庁の代表者の集まりを背景とする官僚内閣制と呼んだ。 官僚内閣制の特徴 官僚内閣制の大きな特徴は、政策立案システムにある。 通常、議院内閣制の政府の政策は、選挙結果から民意を汲み取るため、その政党が掲げるマニュフェストに準じた政策がなされる。つまり、全体の政策の方向性が事前に決まっていて、それに合わせるように個々の政策の辻褄を合わせることとなる。 しかし日本では、長い間政権交代が起きなかったため、総選挙が政権選択選挙にならず、有権者の選択によって首相や内閣が決定されることが少なかった。その結果、民意を汲み取れず、政権の目的が不明確化した。 そこで、官僚組織構造から民意を汲み取ろうとした結果が、官僚内閣制へと繋がっていくこととなった。 日本の官僚組織は、各省庁→各所轄→それぞれの所轄している業界などの諸団体へと社会的に開かれており、日々情報や要求が多方面から寄せられることになる。 また、官僚は彼らからの陳情を元に政策を策定していく。つまり、枝葉の民意を積み上げ、他部署との調整作業を通じて次第に政策が形成されてきた(省庁代表制)。 言い換えれば、官僚内閣制は、マニフェストの代替物を作り出す仕組みとして機能してきた。 官僚内閣制の問題点 上述した官僚内閣制の最大の問題点は、民意が民主的正当性を持たない形で現れることで、有権者の意向を集約し、政治家が政策を策定する機能が働きにくい点にある。 官僚内閣制における積み上げ式の政策策定では全体的な方向性が曖昧になり、既存政策の廃止や方針変換といった、トレードオフが避けられない政策の必要性が高まっている現代において機能不全が起きている。 したがって、政策を総合化し、社会の目指す方向性を明確にする決断をできる権力核が必要になる。そのためには、本来の議院内閣制の姿に軌道修正する必要性が出てくる。 今後の課題 議院内閣制を確立するためには、政党が主体となって衆議院総選挙前に政権公約を練り上げ、有権者が政党、首相候補、政策の3点セットを選ぶ事ができるようにする必要がある。 これが出来れば、権限の委任関係が明確化し、首相の地位が向上→首相と大臣の関係が同輩的色彩から上下関係の強いものに→政策の責任の所在が明確化することで、官僚の役割の変化に繋がっていく。 また、衆議院における権力の強化に伴い参議院には別の役割を担わせる必要が出てくる。生命倫理問題、死刑制度の是非、皇室制度などじっくり議論される必要のある事項や、超党派的な合意形成を必要とされる憲法改正、財政再建、外交問題等においての長期的視点からの調査提案機能を持たせ、多数派民主制を補完する制度を構想する必要性も指摘している。

    2
    投稿日: 2021.08.23
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    第29回(2007年) サントリー学芸賞・政治・経済部門受賞、TVにもよく出る有名な先生の作品。万人向けの新書ならではの良著であり、政治について語るならこのレベルは抑えておく必要はあるだろう。 ただし、民主党政権誕生やその後の憲政史上最長記録の安倍政権についての考察・記述は全くないので、増補版を期待したい所。

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    投稿日: 2021.07.14
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    『近代とは何か』の流れで、議院内閣制について学ぶつもりで読み始める。 不案内な領域なので、まだ消化しきれていないが、、 議院内閣制の理解は、民主政治の理解につながるとして、日本における議院内閣制の特徴を諸外国のモデルとも比較しながら論じた本。 各国比較を読んでのキーワードとしては、議院内閣制対大統領制、三権分立、政官の関係、小選挙区制対比例代表制 などなど・・・統治構造のモデルを学ぶというのが、本書を読む最大の意義。 先進民主政に限れば、政治体制のモデルとしては、大統領制か議院内閣制。前者は、二元代表制であり、後者は一元代表制であるというとらえかたはわかりやすい。 議院内閣制のモデルはイギリスということだが、議院とは議会であり、議会が内閣を決めるという点が、議院内閣制の基本原理。日本においては官僚内閣制として発展。以下日本の特徴を考える上での主な論点。 ・三権分立と両立 ・省庁制と数多くの「総合調整」機能。そのメリット・デメリット ・与党と政府の二元制 ・行政的政治家と政治的官僚 ・日本の政治が一党優位できた理由。・・・小・中・大選挙区制の意味 最終的には、日本の統治構造が九十年代以降完全に破綻しているという前提に立つとまで言い切れるというのちょっとした驚き。 どのような統治構造も、特に環境変化が激しい時代にあっては権力の核が必要というのは同意。

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    投稿日: 2021.06.10
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    2007年に初版が出た本であるが、現在の統治構造に当てはまる部分も多々あると感じた。 議会を背景とする議院内閣制に対する、官僚からなる省庁の代理人が集まる「官僚内閣制」、というワーディングが印象的だった。 自分も一時期霞ヶ関で働いていたが、官僚の積み上げ式の意思決定、場当たり的な政策、振り付け通りに動くだけの大臣、などを目の当たりにし驚いたが、これらに対して鋭く論評がなされる本書は爽快にすら感じた。 何よりも、民意の集約や一般化がなされないまま政策が形成されていく過程に非常に懸念をしていたところ、責任の所在(政党)や改革手法(選挙改革から意識改革まで)に触れられていた本書は、非常に勉強になった。 日本の官僚には非常に優秀な人々もおり、そのアセットを機能させないで放置するのはもったいないと思う。 日本の政治システムは改良してきたらしい。今後も改革が続けられていくことを期待したい。

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    投稿日: 2020.04.26
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    2007年の著作ということを念頭に読まなくてはいけない本。 小選挙区制の効用,「政権選択選挙」と二大政党制への期待,「民意集約型政党」への期待など。 * パイの縮小という事態の中で,旧来の積み上げ式の意思決定ではうまくいかなくなってきたという時代前提がある。 積み上げ式ではうまくいかなくなった(≒トレードオフの意思決定をしなくてはいけなくなった)という事態への対応のために,(一元代表制である≒権力集中的であるはずの)議院内閣制の「本来の機能」を活用しよう,すなわち,強い首相中心の議院内閣制に改革しよう、という提案。 首相の強化のためには,総選挙が「政党・首相候補・政策(マニフェスト)の三点セット」を有権者が選ぶものにならなくてはいけない、その「民主的統制」こそが「信託を受けた首相の地位を向上させる」のだから。 * そういえば,そんな話大学のころにあったよなぁ、、、、とか思わないでもないが。いまの事態をどう評価しているのかを追わないと使えない。

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    投稿日: 2020.04.13
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    現在は政府・与党二元体制が解消され、著者が主張する普遍的な議院内閣制へ移行しているように思われるが、現実では内閣への権力の凝集による悪影響が散見される。制度はあくまでも理念的であるため、現実においては、既存体制を微修正しながら理念に近づいていくほかないのかと感じた。

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    投稿日: 2020.03.07
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    自民党を中心とした戦後の政治を、戦前と世界にも目配せしつつ、あらゆる角度から腑分けしている。政治過程をありありと現前させる筆致は見事だ。 結論は、民意集約型政党の整備。 #備忘録 ・西洋の政治学では、国家と社会に二分法をもとに議論を展開する。国家に社会は含まれない。 ・政府・与党二元性 ・党本部の日常的な政策審議機能が重要な国は無い。党本部の建物が立派。 ・自民党の一任という仕組み ・世論調査では、あなたは何党とは、聞かず、何党を支持しますか?と聞くのが日本

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    投稿日: 2019.06.03
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    飯尾潤『日本の統治構造』中公新書 読了。議院内閣制に本来備わっているべき権力核の形成と、有権者による選択が反映された民主的統制の強化との両立を議論の根底に、国際比較を交えながら、歴史的経緯を辿りつつ現代日本政治の実態を示したもの。もっと早い時期に読んでおきたかったのが本音。 2011/01/26

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    投稿日: 2018.11.06
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    自民党について調べている流れで読んでみた一冊。 う~ん。奥が深いけど、もう少し分かりやすいと良かったなあ。(って、自分の無知を露呈しているけど。。。) でも、政治が分かりづらい仕組みになっているから国民の意識も上がらない気がする。もしかして、それが政治家たちの作戦なのかもしれないけど。下手に分かられると自分たちの思惑通りに進められらなくなるから?笑 しかし、それでは民主主義ではないってことだよな。 第29回「サントリー学芸賞受賞」作品(2007年)

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    投稿日: 2018.10.18
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    テレビで著者が話をしていて興味を持った。米国のような大統領よりも英国や日本のような首相の方が権力集中型ってつかみの話が目から鱗だったし、1~5章の分析もおもしろかった。が、本書で一番参考になったのは6~7章の「ではもっと良い議院内閣制にするにはどうすればよいか」。   ひとつは首相の権限強化で、すでにそういう方向に動いているのは誠に結構。もうひとつは政党の裾野拡大。官僚ではなく政党が民意を集約する必要があるので、単に選挙に行くという政治参加だけでなく党員として政策立案に関与する。なるほど目指す方向がよくわかった。良い本だった。

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    投稿日: 2018.10.13
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    議院内閣制と内閣制の違いなんて知らなかった。んで、右肩上がりじゃなくなった時代に統治システムが正常に機能しなくなったのも分かった。官僚制が悪いんじゃないことも分かった。難しいことが多かったので、多分あとでもう1回読む。

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    投稿日: 2018.04.29
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    このレビューはネタバレを含みます。

    憲法の本では、議院内閣制は行政と立法の共働が予定=権力が一元集中化され、機動的政策決定が可能とある。ところが、日本の現実では、議院内閣制が政策機動性のなさの要因に転化(故に、直接民主制的な大統領制への憲法改正が論点に)。こんな理念と現実の乖離が生じた理由は何?。本書は①戦前から続く国務大臣の強い行政分担管理原則(内閣法)、②統一性を欠いた各省設置法、③人事・予算獲得等で、各省庁割拠と呼ぶにふさわしく、国務大臣はこれら省庁の代弁者に過ぎぬ、その他に由来すると調理してみせる。一方、民意反映の実現如何?。 これら議院内閣制の諸問題を、主に55年体制における国会・内閣の模様から解読して見せる(与党・政府間の政策調整、野党に花を持たせられた国会運営←国会の会期制の反映、中選挙区制など)。さらに、国会・内閣の関係に関する英米など諸外国の紹介と史的変遷を踏まえ、将来像も開陳。良書とは、鋭い問題提起、丁寧な説明と比較分析、そして未来への展望のリアリティにある。最後の点を多少甘く見れば、本書も十分高得点をつけ得る書といってよいかと。著者は政策研究大学院大学教授。2007年刊。 議院内閣制だから政策決定の機動性が欠ける等といった稚拙な議論の良いカウンターか。大統領制をとろうと行政・立法間の捻れがあれば、政策実行の機動性が失われ、討論と妥協、再修正が必要なのは、米国オバマ政権・大阪市橋下市長を見れば明らか。

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    投稿日: 2017.01.24
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    1990年代の政治改革以前の日本政治が、官僚の力が強い官僚内閣制、各省庁の利権 を代表するような政治家・官僚がいる省庁代表制であり、自民党の一党体制が長らく続いたことにより、政権交代が起こらない特異な議院内閣制だったことについて論じた本。 そういった中で、同じ自民党なのに、内閣と与党を巧みに使い分けて責任逃れするような体制となっていたこと、選挙で敗北したはずの野党が政策に対する影響力を持つことで利益の再配分が行われ、それが自民党の政権を長期化することに一役買っていたことなど、なるほどど思う視点満載。 そういった中で、より実質的な議院内閣制を実現するために、1990年代以降一連の政治改革が行われ、首相の権限が強化されたことが分かった。 ただ、この首相権限に対する民主的統制として、総選挙において、政党・首相候補・政策の3点がセットで選ばれることが望ましいことなどについて論じられていた。 てか、現実生活にも応用出来そう。 改めて、政治学って、面白い! ちなみに、文章はペダンチックです。

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    投稿日: 2016.08.14
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    ■省庁の枠組みは人事をベースとしながら予算や組織運営手法でも,それぞれ自律性を主張する単位となる。そのため公共事業の分野別予算比率が長らく一定であったように,局ごとの予算枠や,局ごとの運営手法などを守ろうとする強い力が働く。 ■予算に関しては,毎年,わずかな増減を付けて調整する「漸変主義的」編成が基本。 ■予算を確保することが次へとつながるため,自らの予算を減らさず,少しでも増やすことを第一目的とする行動を生む。これは官僚制の一般的特質で,どこの国でもあること。 ■日本の省庁では所轄権限が極めて重要な意味を持つため,いわゆる「権限争議」という,自ら所轄権限を確保しようという省庁間の争いが一層激しくなる傾向がある。 ■こうなると仕事の中身よりも,予算枠や権限を確保することに関心が集中し,獲得した予算の使い道や権限の行使には,あまり関心がないという倒錯的な現象すら起こる。 ■日本政府は省庁連邦国家として把握することができる。 ■とりわけイギリス,アメリカなどの国は「後法は前法を破る」「特殊法は一般法に優先する」といった概念をもとに法令の有効性を判断して,法令相互に矛盾を気にせず,最終的には裁判による判例の蓄積で問題が解決される。日本は条文に異様なほど細かいチェックがなされ現行法令全体の整合性が保たれている。 ■もともと中央省庁のキャリア官僚は短い期間で官職を渡り歩くため,その間に新規施策を作ることに関心を集中することが多い。言い換えれば既存の政策の管理に情熱を傾ける官僚は少ない。 ■財政における国民負担率からすれば,日本の政府規模は先進諸国の中で,かなり低い水準にある。 ■欧米国家は社会における市場の失敗の除去を図る「規制指向型国家」であり,日本など東アジアでは国家が「発展指向型国家」として,社会の発展を目指し,社会諸集団と協力関係に立ちながら,社会を指導していくところに特徴があるとした。(チャーマーズ・ジョンソン) ■イギリスなどでは,官僚が大臣など上司にあたる政治家以外の国会議員と直接接触することが禁じられている。「与党」で官僚が政策を説明するのはどこの国にもみられることではない。 ■政官関係の3つの規範 ・統制の規範 ・分離の規範 ・協働の規範

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    投稿日: 2016.05.29
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    良書。現在読書中ですが、書いちゃいます。 第二次大戦中なぜあのような責任体系が不明確なまま、戦争に至ったかの1つの原因が、1885年に取り入れ明治憲法にもその存在が明記されないまま続けられた、戦前の内閣制度にある、とした点は明瞭でした。 志向していたイギリス流の議院内閣制の基礎となる、政党内閣がその権限が非常に弱められ、本来とるべき責任の所在の取り方 ”有権者→国会議員→内閣総理大臣→大臣→官僚(任命責任は大臣にあるとする考え方)” という体系が、議院内閣制であったにもかかわらず取られなかった。 体制上では東条英機内閣でさえも、各大臣という「指導者」の意思をも集約できず、しかし責任はあいまいなまま決断が遅れ、残された選択肢では対米開戦等の決定しか選べなかった。 戦時中またはその前からも、どうして責任のあいまいな政治体制が続いたのか、第1章を読んだだけで目からウロコでした。昭和初期の犬養内閣が五一五事件で倒れるまで続いた、「政党内閣風」を表面上吹かせ続けてきた議院内閣制、ひいてはとことんまで議院(議会)という責任委託先に拠れなかった内閣制度というのが、とても新鮮でした。 とはいえまだ途中なので、また読んだらアップしようーっと。完全に現時点での備忘録になってまつ。。。

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    投稿日: 2016.01.04
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    初版は2007年、議院内閣制確立のために「政権担当政党が時により交代する事態が起こり、その期待が定着するのが最も有効である。だが、それはなかなか実現しない。」(p209)と言われた時代である。国民は、自民党内における擬似政権交代によって、劇の観客としてカタルシスを味わっていたにすぎず、民主的統制を行うことはできなかった。(p112、179)一方、小選挙区制度下の小泉政権は、従来の派閥政治を破壊し、政治と国民との距離を近づけた。特に首相選びは派閥のパワーゲームでしかなかったが、小選挙区制で初めて国民は政権選択の権利を得たのである。 この後、マニフェストによる政権選択選挙によって民主党政権が誕生、選挙による政権交代が起きた。 残念ながら民主党政権による政治は、そのような「期待」を定着させるには至らなかった。現在でも安全保障政策における意見集約が始まったばかりで、「期待」には程遠い状況であると言える。 一方、官邸の権限強化は大胆な「改革」を可能にした。従来は官僚内閣制下の各省庁積み上げ方式のため、機動的な政策決定が不十分であったが、柔軟な方針転換、分野横断的な政策が可能になったのである。(p178)その中で安倍政権は金融緩和、農協改革、TPP、保守信条において強力なリーダーシップを発揮している。まさに、選挙結果がダイレクトに政策に反映されるようになった。これはある意味政権選択選挙の裏返しとしての、国民の「リスク」とも言える。 本書では衆議院選挙による政権選択選挙の実現と、内閣総理大臣(首相)の強化を説いているが(p182)、そのいずれも実現された。一方、首相の強化に見合う権力監視装置があるとは言い難い。現在民主党への根強い不信があるなか、国会にそのような機能は求められない。また、監視機能を弱めようとする政権側の動きもでてきている。政権選択選挙の担保のためにも、監視機能の充実が以前にも増して求められるだろう。

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    投稿日: 2015.06.04
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    政治学の基本の必読書一覧の一冊に本書が記載されており、本書をとった。政治学の基本的なことを非常にわかりやすく記述しており、日本の戦前戦後の政治の歴史を俯瞰しながら概要をすんなりと理解することができた。

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    投稿日: 2014.05.26
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    イギリスという国が生み出した議院内閣制を最も上手く成功させた国は日本だが、その実情は官僚内閣制であって…。という部分までは理解できた。政治家とか高級官僚を目指す人は読んだ方がいいんじゃないかなー。

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    投稿日: 2013.11.04
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    後半の筆者の主張(「決める」政治への転換こそが必要)はイマイチ納得できなかったが、統治構造の解説はとても勉強になった。初めて政治関係の話題で興味を持てた。 術語の作り方・章立ての仕方など、参考にしたい。

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    投稿日: 2013.08.09
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    今まで読んだ新書の中で最も中身が濃かった。一時期、首相公選制が話題になっていたが、その是非はともかく、この本の内容を理解した上で議論に臨むことが国民の責務かも知れない。

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    投稿日: 2013.03.26
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    著者は、日本政治専攻の先生です。期待の高い本でしたが、残念ながら、面白い本ではありませんでした。テーマは、「議院内閣制」です。日本の首相が指導力を発揮できない理由として、「議院内閣制」であることを指摘する人がいます。飯尾先生は、これは間違いだと指摘しています。「大統領制」は、権力抑制的な制度だと指摘しています。むしろ、「議院内閣制」は、指導者が権力を発揮しやすい制度だと指摘しています。では、「議院内閣制」を採用する日本において、首相が指導力を発揮できないのは何故でしょう。明治憲法下では、首相は閣僚の同輩中の首座であり、閣議は全会一致が原則だった。この制度の下では、首相の各省庁への指導力は限定的にならざる得ない。現憲法では、形式的には、首相の各省庁への指導力を発揮できるようになった。ただし、実質的に、その指導力が発揮されたことはありません。つまり、この問題は、憲法や法律等の「制度」の問題ではなく、それ以外の要素に由来すると考えた方がいいだろう。「正統性」という言葉が、キーワードになる。明治の元勲や原敬には、各省庁への指導力がありました。明治の元勲は明治維新をなしとげたという「正統性」があります。また、原敬は、政党政治を確立したという「正統性」がありました。それに対して、1党優位下の自民党の首相には、「正統性」がありません。自民党が政権を握ることには、「正統性」があります。しかし、首相には、「正統性」がありません。なぜならば、他の自民党の有力政治家と首相を分けるものがないからです。誰が自民党の総裁になっても、首相になれるのですから、これは当然です。

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    投稿日: 2012.09.20
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    官僚内閣制、世界でもっとも成功した社会主義国家などと揶揄される、日本の統治構造について、その歴史的経緯から解説した本。なかなか難解な言い回しが並んでいるが、概要を理解するためには非常によくまとまっている。 よく床屋談義においては、日本の政治家や官僚が悪企みをして云々、、といった陰謀論が好まれる傾向にあるが、憎むべきは人ではなくてその構造だろう。現状維持バイアスのかかる官僚機構、ポピュリズムが横行する政治、これらの相矛盾する権力構造が制度疲労を起こし、何の生産性もない調整業務に忙殺されているというのが根本原因なのである。 そして、三権のうちのもう1つ、司法というほとんど忘れられている権力と、第四の権力と言われるマスコミについても、より統治構造という観点から考察を深めていかなければならない。

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    投稿日: 2012.09.11
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    制度の外面的説明に終始して、問題意識がどこにあるのかわからない。 海外の制度との比較は各論的に並列して説明せずに、日本の制度を説明するために海外の制度を紹介するにとどめ、日本の制度のどこをどう改善すべきかを示すべきである。

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    投稿日: 2012.07.09
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    日本政治の仕組みを、議院内閣制の原理に立ち戻って理解できます。 最後まで軸のぶれない論で、難しい話の割にはスムースに理解できました。 現在、「日本の統治構造を変えないとだめ云々~」という意見が多くなっていますが、 その是非について考える上でも本書は役に立つと思います。 日本の政治が進まないのは本当に仕組みの問題なのか? 統治構造を雰囲気で変えないための骨太な知識が、本書で身に付くと思います。

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    投稿日: 2012.04.22
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     本書は「日本の統治構造の過去・現在を構造的に解き明かすこと」を目指したものであるが、それなりに緻密な考察を行っているが、なかなか知りたいことがわからない本に思えた。  日本の最近の総理大臣の任期は1年前後が当たり前と異常な状況が続いており、小泉総理以降すでに5人の総理が1年前後で退任している。これが一人二人ぐらいならば「下痢が止まらない」とか「漢字が読めない」とかの理由でも、ありえるかもしれないが、5人ともなると構造的な問題であるだろうと容易に想像できる。そのわけが、本書を読んでわかるかと期待したのだが、ちょっと期待はずれの思いがした。  本書では、「大統領制」と「議院内閣制」とを比較して、「議員内閣制」のほうが権力集中的であるとする。これは、一般的な理解とは真逆だが、本書の考察は論理的であると感じた。  また、日本の官僚制度や自民党政権下の政策決定のシステムについては、もちろんある程度の興味はあるが、その後の民主党政権下で、政策決定システムがどのように変化し、それがなぜ行き詰ったのかのほうが興味があるが、本書では、それには触れていない。本書の内容は古いのではないのかとも思った。  しかし、本書での「戦後日本の政治構造の問題点はどこにあるのか。…政治の方向性を決める『権力核』の不在である」との指摘は、的を得ていると感じた。リーダーシップの欠如を指摘する声は大きいが、リーダー個人の資質の問題ではなく、システムとしての「権力核」の考察をもっと掘り下げて欲しかったと思った。また、官僚制度とともに、中央と地方の権力分散の問題なども、是非わかりやすく解明して欲しいとも思った。  本書は、課題の設定は良いと思うが、内容には不満が残るものだと感じた。

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    投稿日: 2012.04.08
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    民主主義や議院内閣制という用語で普遍的に解説される枠組みがまずあり、それが日本での政治的風土文化と時代に合わせて「解釈」される程度のものを「構造」と呼ぶのは過ぎるのではないかとタイトルを見て思った。 しかし、本書は与党(自民党)・政府の二元体制の下、"政治的"官僚と"行政的"政治家が練り上げてきた「構造」は如何に責任と権力の主体を不可視なものにしたかを教えてくれる。また、単なる政治制度の「解釈」ではすまされない「構造」の根深さが今(H24現在)の政権交代の失敗に現れていることもまたよく理解できた。

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    投稿日: 2012.03.11
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    【MM239 mylibrary マイライブラリ・アウォード!2008 2009/1/21】 《次点2》『日本の統治構造~官僚内閣制から議院内閣制へ』(飯尾潤著、中公新書、2007年)      http://tinyurl.com/6qwjbh  (コメント)いわゆる「ねじれ国会」の中で停滞する行政・立法の世界を解説した1冊。日本特有の政治システムに警鐘を鳴らします。日本政治への警告という意味では、かなり前の作品である『人間を幸福にしない日本というシステム』も参考になりますし、国家予算編成において嫌と言うほど聞かされた「埋蔵金」を提唱したこの書籍も関連すると思います。   参考:『人間を幸福にしない日本というシステム』http://tinyurl.com/5gojgv      『霞が関埋蔵金男が明かす「お国の経済」』http://tinyurl.com/6xsua5

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    投稿日: 2011.12.19
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    戦後の日本で統治構造の特質を官僚内閣制、省庁代表制などととらえ、理念型としての民意の反映、権力の集中の度合いとしては、大統領制より議院内閣制の方が強力である点などを指摘する一方、比較法的に各国の代表制を整理しています。 特に新しい視点は少ないかもしれませんが、統治機構に関する制度を概観して、各種の論点を上手に整理しており、さらに官僚や族議員の実態の記述はかなり詳細に触れられており、理論と実態がバランスよく記述されておりますので、憲法での統治機構を学ぶ法律学科の学生さんや政治学を学ぶ学生さんのみならず、代表制や統治構造について関心のある社会人の方にもすすめしたい一冊です。

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    投稿日: 2011.11.08
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    今までの日本の政党、内閣、官僚の構造を丁寧にわかりやすく書いてあります。 しかも海外の制度と比較もして、最終的にあるべき日本の政党政治の姿まで述べられています。かなり理想に過ぎる気もしますが納得いきます。 途中にはねじれ国会を予想するかのような文もみられます。 自分が何も知らなかったなぁと思い知らされました。これは借りた本だけどずっと手元に置いておきたい、名著だと思います。俺みたいに統治構造何も知らない人マジでオススメです!

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    投稿日: 2011.09.19
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    官僚制の実態から、政府・与党の関係、各国の政治制度の比較まで。幅広く政治学科の学生が手にとるべき内容が網羅されている好著。 ところで、官僚制を知る楽しさがどこにあるかと言えば……「官僚たちの夏」をはじめ、「外交官・黒田康作」しかり、「相棒」しかり。ドラマがさらに深く味わえる(おい!

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    投稿日: 2011.09.18
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    このレビューはネタバレを含みます。

    議院内閣制の仕組みそのものを検証し、日本型の議院内閣制=自民党の政策決定が、官僚内閣制になっていると指摘している。 役人文化、官僚と自民党のなれあいといい、それらを変化させないと困るのではないだろうか。

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    投稿日: 2011.06.28
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    日本の現状の政治形態がどんなものか、そしてその問題点は何かを簡単に知ろうとするにはコンパクトに纏まってるし、いいんじゃないかと思う。

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    投稿日: 2011.06.13
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    このレビューはネタバレを含みます。

     日本の議院内閣制について、他国の統治構造との比較も交えつつその歴史と問題点を示した本。当書では、日本の議院内閣制は、本来のそれではなく、ある程度国民の利害を反映した官僚が内閣に関わる、議院内閣制的な「官僚内閣制」であったことが述べられている。  明治憲法下では、政党からの干渉を拒絶する「超然内閣」が正統で、昭和に至るまで憲法典も憲法的慣習も政党内閣を保証しなかった。そのため、昭和初期からの民政党、政友会のスキャンダル合戦などで政党への信頼が損なわれ、五・一五事件や二・二六事件により政党内閣(憲政の常道)が崩壊すると、政治権力や責任が分散していきます。これは独裁的であったといわれる東條内閣の日米開戦時にも当てはまった。  ここまで考慮に入れると、戦後の戦争責任が有耶無耶になって、丸山眞男が「無責任の体系」というふうに「戦争しなければ」の空気に誰もが流されて戦争責任の所在が不明確になったのも宜なるかな、と思う。  そして戦後、五十五年体制が成立し、「議院内閣制では首相選出に有権者が関与できない」との誤解が一般化し、国務大臣は「分担した組織(省庁)の長」で省庁官僚制の代理人だという風潮が一般化する。その体制下で自民党は擬似政権交代や野党への利益配分により一党優位を保ってきた。  日本は租税や医療費などの国民負担率や人口あたりの公務員数を考慮すると、世界的に小さな政府である。国民の間ではなぜか大きな政府であるという印象が強い。  これは各省庁の公益法人、特殊法人といった関連団体が多く、企業の活動がその影響を受けることが多いからであると著者は述べている。日本人は経済面では自由競争も所得再分配も嫌う、現状維持を是とする風潮があるが、これと関係があるのかもしれない。  そんな戦後の政治構造にはどのような問題点があるのか。著者は以下の3つに集約されると述べている。曰く、 1.権力核の不在  日本の官僚制は各省の各課からのボトムアップ、積み上げ(稟議制)で政策が決定されるため、権力の所在も責任も曖昧であることが多い。また、族議員が多く、与党議員が官僚制に依存して独立できなかった。 2.権力の民主的統制手段の不在  自民党が野党の実績のなさと政策の継続性を主張し、一党優位制が長らく続いたため、有権者が政権選択をするという意識が稀薄。自分たちが権力を統制する当事者だと考えていなかった。 3.政策の一貫性欠如 政府全体としての目指す方向が不明確だった。今後は議院内閣制を核としつつ、国政の中心を明確にして、政治・行政の透明性確保とコスト削減を同時に行わなければならない。 ということ。  この本は政権交代前に出版された本だが、著者は政権交代をどう思っているのやら。私は政権交代が起こった事自体は正しいし、これを今後の政治に繋げて、政治への当事者意識を強化していくべきだと思っているんですけど、どうなるのだろうか。というわけで、かなり勉強になった一冊である。

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    投稿日: 2011.06.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    [ 内容 ] 独特の官僚内閣制のもと、政治家が大胆な指導力を発揮できず、大統領制の導入さえ主張されてきた戦後日本政治。 しかし一九九〇年代以降の一連の改革は、首相に対してアメリカ大統領以上の権能を与えるなど、日本国憲法が意図した議院内閣制に変えた。 本書は、議会、内閣、首相、政治家、官僚、政党など議院内閣制の基盤を通し、その歴史的・国際的比較から、日本という国家の統治システムを明らかにするものである。 [ 目次 ] 第1章 官僚内閣制 第2章 省庁代表制 第3章 政府・与党二元体制 第4章 政権交代なき政党政治 第5章 統治機構の比較―議院内閣制と大統領制 第6章 議院内閣制の確立 第7章 政党政治の限界と意義 [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]

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    投稿日: 2011.03.28
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    現・政策研究大学院大学教授(政治学)の飯尾潤の新書。2007年度サントリー学芸賞授賞(政治・経済部門) 【構成】  第1章 官僚内閣制  第2章 省庁代表制  第3章 政府・与党二元体制  第4章 政権交代なき政党政治  第5章 統治機構の比較-議院内閣制と大統領制-  第6章 議院内閣制の確立  第7章 政党政治の限界と意義  大学の教養課程で政治学の教科書として使うのに最適な新書と言えるだろう。ほぼ予備知識無しで、戦後日本の議院内閣制の特質と問題点を簡明に説明している。  政治改革・行政改革という言葉を聞き飽きて久しいが、表面的に「官僚の私利私欲」「省庁間のセクショナリズム」「自民党の党利党略」という言葉を並べたところで、システム全体のどこに欠陥があるのかということを議論することは難しい。  本書は、官僚内閣制度と与党・政府二元体制を通じた政策決定過程を通じて、従来のシステムの問題点を明らかにしている。国会での議論が形骸化し、個々の政策レベルでは民意を反映しにくい現状をいかに改革すべきか、有権者たる我々に問題提議がなされていると言えるだろう。  終章を除けば非常に明晰な分析が加えられているが、あえて注文をつけるならば、選挙制度についての分析や55年体制下での与野党間の力関係の変化が全く説明されてない点、問題意識が国内統治=内政に限定されているためより長期的で総合的な政策決定が必要となる外交政策についてほとんど考慮されていない点は不満が残る

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    投稿日: 2011.01.22
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    日本の議会政治、内閣制度、政策立案、政治過程等を分析した本。 基本的に事実に基づいて正しい分析がしてあり、官僚の内部からも結構情報を得て書かれたのかなと言う良書。 惜しむべくは民主党に政権後退してからの混迷状態の様子がフォローされていないのが残念だが、時期的に新しすぎるので厳しいのは仕方ないかな。

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    投稿日: 2011.01.05
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    日本の統治構造を論理的に考えることができる本。 歴史的な背景が分かり、日本の独自のシステム(官僚内閣制)の役割と問題点が分かった。

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    投稿日: 2010.11.27
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    慶應SFC時代に上山信一さんの授業「パブリックガバナンス」を取っていたのですが、その時に読んだ本です。 日本の中央行政や国会の役割など海外とも比較しつつ論じられています。民主党政権になった今だからこそ、再読してみる価値がある本かもしれない。 2年前に読んだのですが、もう一度読んでみます。

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    投稿日: 2010.09.03
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    日本という国家がどのように運営されているか、権力とそのメカニズムをわかりやすく解説した本。具体的には官僚内閣制や省庁代表制といった言葉に集約されるのだが、民主主義とは常に変わり続ける(というか変わり続けなければ生存し得ない)仕組みであることがよくわかる。 この本で述べられているように様々な問題を内包しながら、小選挙区制の導入を持って(小沢さんだよね、これ考えてみたら)日本の議院内閣制が異なる方向に(良い方向だと思われる)舵を切り始めているのが事実だとすれば、現在の政権交代はあくまで過渡期なのでしょう。 問題は、先進国という主体である以上、政治側だけ改善していけばいいということでなく、経済の側面を積極的に(具体的にはもちろん経済成長)推し進めていかないと国家として成り立たないことだろうか。そういう意味で現政権があまりに実力不足なのが現状一番の課題。

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    投稿日: 2010.08.14
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     日本の統治構造の特殊性を議論し、今後の日本に求められる構造を説いた本。戦前の日本は、総理大臣の権力が強い形式だったが、戦後、官僚が中心となり、また与党が中心にもなる責任の所在が曖昧になる形式だった。さらには、与党と政府という不思議な住み分けも存在した。  それにより、ものごとに対して柔軟な対応をすることができたが、その柔軟性の限界を超えるようなことに対しては、その脆さをさらけ出してしまう。また、昨今では官僚の社会的地位の低下(世の中の人の見方として)、グローバリズムにより新たな構造が必要とされるようになった。特に、民衆と官僚のかい離や政権交代の起こりにくさなど考慮すべきものはたくさんある。  知識不足で消化不良だ。。

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    投稿日: 2010.05.31
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    「日本は官僚が支配している」とはよく聞いた話であるが、その実態、構造を正しく理解している人は少ないと思う。この本はそれを分かりやすく解説してくれている。ついでに自民党一党支配での政治構造もよくわかる。 筆者の結論は、政権交代のある健全な政党政治こそ民主的な議院内閣制をもたらす、ということ。しかし政権交代を急きすぎている気がする。民主党が健全な政党でないことは、今の時点で明白なのに。現時点で筆者はどう思っているのか、論文でも読んでみよう。

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    投稿日: 2010.05.16
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    『日本の統治構造』(飯尾潤、2007年、中公新書) 本書は、2007年までの日本の統治構造について詳細に研究している本です。非常に鋭い洞察を持って書かれていると思うのですが、残念なのは2009年の政権交代以前に書かれたものであるため、政権交代によって何がどう変わったのかということを知ることができない点です。もっとも、自民党が下野する以前の日本政治を、官僚制度という観点から分析しているので、非常に勉強にはなったのですが。 (2010年5月16日 大学院生)

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    投稿日: 2010.05.16
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    日本型多元主義論は日本の官僚制が閉じた存在ではなく、社会に深い根を持っている側面をみていた。日本の行政学にも官僚制が自己完結せず、むしろ社会集団の結節点として機能している側面を強調する議論が存在した。 日本政府は省庁連邦国家日本として把握することができる。

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    投稿日: 2009.12.23
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    議院内閣制、政党政治、政官関係などこれまでの流れや諸外国の例も交えて見事に整理されています。本当に勉強になりました(汗)。

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    投稿日: 2009.08.24
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    新書とは思えない濃い内容。 政治などに疎い人は、繰り返し読む必要がある。 その分、リターンも十分ある。 日々のニュースの背景が分かり、より深く政治を見れるようになると思う。 日本の統治構造の大きな特徴は、伝統的なボトムアップ式の合意形成であるということだ。 それは小泉内閣で崩れたはずだったが、それ以後はまた従来通りに戻ってきている。 ボトムアップ式の合意形成が悪いというわけではないが、これでは横断的な政策が取りにくい。 つまり、衰退産業が温存される可能性が大きい。 どの市場も永久ではないわけだから、沈みゆく泥船から早く逃げ出すためにもトップダウン的統治が合理的なのだろう。 統治構造の歴史的推移や、他国との比較などが面白い。

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    投稿日: 2009.08.03
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    官僚内閣制。 省庁代表制。 これまでもやもやしていた日本の統治システムに 的確な言葉を与えてくれました。 すばらしい。 ただ、クロージングにかけてやや問題意識が散漫な印象。 最後に、「本来の意味」の議院内閣制の復活を主張するのですが、 なぜそうすべきなのかもっと掘り下げた説明が欲しかったです。 後で知ったのですが、著者は地元の高校の大先輩。 身内びいきではありませんが、星5つです。

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    投稿日: 2009.07.21
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    ゼミのディベートのために読んだ本。 政治を学び始めの人が読んでも分かるような内容になっていると思います。 分りやすかったが… やっぱ興味がわかないw

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    投稿日: 2009.06.10
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    政治に関する本をはじめて読んだ。 日本の政治の仕組みを、歴史と国際比較をふまえて論じている。 「政治なんてどうせ政治家が好き勝手やってるんだけ」ってあきらめるのは簡単だが、 その気持ちをぐっとこらえて、大きくうごめく政治の世界のマクロなメカニズムを知ることができます。 議院と首相、三権分立と大統領、政治家と官僚などブレない視座からの考察を学べます。

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    投稿日: 2009.01.07
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     なにかと誤解を受けやすい議院内閣制の本質をわかりやすく説き、あわせて今後の日本政治の未来像にまで射程を延ばした、野心的な著作。最後のあたりの記述が散漫だ、というレビューが散見されるが、その通りだと思う。議院内閣制というメインテーマについても、本書だけで全部が理解できるわけでは(あたりまえながら)ない。

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    投稿日: 2008.12.17
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    日本の議院内閣制という名の官僚内閣制について詳しく述べた本。真に理解するにはおそらくそれなりに日本の現代政治史を理解しておく必要があると思えるのだが、概略がつかめるだけでも非常に面白い。日本の官僚がいかに強く、また変遷して行っているのか、昨今の官僚叩きに代表されるような負の面だけを見るのではなく、きちんと正の面を見ながら読むとバランスが取れるのではないかと思う。 http://blog.livedoor.jp/namunamu_6_3/archives/51457416.html

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    投稿日: 2008.11.03
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    初心者にも分かりやすいと思う。 3章と4章が重要。7章は取って付けた感じ。 作者の意見は「民主党に政権を」ということらしい。

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    投稿日: 2008.05.28
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    日本の政治のしくみを丁寧に解説した良書。本来、国民代表制・議院内閣制のはずの我国も、実際は省庁代表制・官僚内閣制という現実。

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    投稿日: 2008.02.04
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    文字通り、戦後の日本の社会システムを解説している。 制度上は議院内閣制と言えるのだが、実際はどうなのか、海外の例を参考にしつつも日本独自の構造を分析している。

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    投稿日: 2007.08.07