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洒落者たちのイギリス史
洒落者たちのイギリス史
川北稔/平凡社
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総合評価

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    イギリスの贅沢禁止法を通して、身分社会の崩壊の過程と毛織物産業の発展を記していたことが印象に残った。著者は「身分」から「富」へと、贅沢禁止法の規定が変化することから、舶来品であった奢侈品の上流階級に対する貧者の憧れが、経済社会としての需要を促進させ、産業革命に至ったと考えている。個人的に、田舎のジェントリたちが規制されない新規産業を開拓し続けたことが、ファッションが法に勝利した原因とも言えることが興味深い。近世以降のイングランドの発展は、立憲民主制に支えられたことも大きいが、舶来品の国産化に成功したという日本にも共通する点である、島国であったことも大きな要因であると考える。

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    投稿日: 2025.08.02
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    ファッションに注目した近世社会経済史。「フランス・オランダなど大陸西欧諸国に対して従属的であったイギリスで、なぜ工業化がいち早く進んだのか?」という問いに対して、身分制秩序の崩壊→「舶来品」信仰を抱えた大衆的な消費市場の形成に答えの一つを見出す。つまり、高級イメージに洗練されたパリ・モードではなく、野暮ったく大衆的なロンドン・モードだからこそ、工業化がもたらされたのであった。

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    投稿日: 2020.07.22
  • ファッションと贅沢禁止令と社会の変化

    歴史上、あちこちの国や地域で度々出されてきた「贅沢禁止令」。近世イギリスもまた例外ではなく、たびたび議会に提出されては否決されたり可決に至ったりしています。本書はその贅沢禁止令の可否から近世イギリス社会の変化を読み解いていきます。 「近世イギリスの贅沢禁止令」というと、我々とは縁遠いテーマの様に思われますが、背景にある考えを理解すると、決して我々とも無縁ではないということが分かります。新入社員が安物のスーツから始めて、少しずつ良いものにしていく、それでいて上司より高いスーツや腕時計は遠慮する、そんな有形無形の圧力も、根底にあるのは贅沢禁止令と同じ「既存秩序の維持」という考えです。社会が変動し、既存の身分秩序が揺らぐとき、地位の表象としてのファッションにどのような影響と圧力があるのか、それは現代の我々にとっても無関係ではありえません。その点で本書は現在においても読む価値のある本だと言えます。 元々、著者の初期の名著と名高い『工業化の歴史的前提』と一連のものとして構想されていたとのことですが、一般向けに再構成され、特に歴史が専門でなくとも問題はないでしょう。

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    投稿日: 2016.09.16