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車谷長吉の人生相談 人生の救い
車谷長吉の人生相談 人生の救い
車谷長吉/朝日新聞出版
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総合評価

35件)
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    いずれ死ぬ、ということを覚悟した時から真の人生が始まる。始まることなく人生を終える人も多い。 人生に救いなどない。 鼻呼吸ができず、口呼吸のみの苦しさも共感。 救いのない人生を、どう生きるか。 読み終えて、さ、生きるか、と思える人生相談。

    2
    投稿日: 2024.05.20
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    文庫の帯に加藤シゲアキが推薦文を寄せていたので読んでみた。 著者は2015年に亡くなった直木賞作家の車谷長吉。 朝日新聞土曜版に連載されていたもので、読者からの悩みに車谷氏が答えるというシンプルな人生相談形式なのだが、この回答のぶっ飛び具合がなかなか凄い。 一例を挙げると、定期的に教え子の女子生徒に恋心を抱いてしまうという妻子持ちの高校教師に対して 「生が破綻した時に、はじめて人生が始まるのです。」 「好きになった女生徒と出来てしまえば、それでよいのです。」 「阿呆になるのが一番よいのです。あなたは小利口な人です。」 と唆したと思えば、人の不幸を望んでしまう自身の心を入れ替えたいという主婦に対して 「まず思ったのは、この人は一生救われないな、ということでした。」 「あなたは人生の不幸を乗り越える力がありません。愚痴死が待っているだけです。」 と吐き捨て、妻が新興宗教にハマってしまった会社員に対しても 「夫であるあなたが説得することは出来ないでしょう。」 と身も蓋も無いことを書くという、真剣に悩んで相談を寄せた者からしてみたら唖然とするであろう回答ばかりなんだけど、第三者として読んでいる分には実に面白くて笑えてしまうのである。 特に「美禰子」のくだりは最高。まさか夏目漱石先生もダッチワイフに名前を拝借されるとは思っていなかったでしょうに。 初版から10年以上経っているけど、時代の経過を感じさせない魅力が本書にはあると思う。それは恐らく、世間一般でいうところの「道徳」とは対極にある、人間としての真理を突いた部分があるからではなかろうか。

    1
    投稿日: 2023.08.06
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    素晴らしい本に出会いました。知らないままでいずにすんでよかった!朝日新聞に連載された車谷長吉さんの人生相談。ただ、なんとか悩みにこたえようとする人生相談とはまったく違う。ある悩みへの車谷さんの返答の冒頭が「あなたの相談を読んで、この人は一生救われないなと思いました」…!さらには車谷さん自身が重度の障害者であり、生まれつき鼻で息ができないという。手術のときは「失明してもよい」という同意書にサインをしたという。これではどんな悩みも吹き飛んでしまう。つまりは、人生には悩みがあって当たり前。解決しようなんて虫がいいんじゃないですかと。そんなメッセージを感じます。なにかに悩んだら、駆け込み寺のようにこの本を手に取りたいと思います。毒を持って毒を制す、ワクチンのような一冊。

    0
    投稿日: 2023.07.24
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    「豪快に殺している」という言葉の通り、全く相談に乗っていない新しい人生相談。解説が素晴らしい。 何を聞いても、普通に考えて私の人生のほうがもっと辛いよ?そもそも人生に救いなんて求めてるの?そんなのないのに?と作者に返される相談者。それだけならきっと途中で本を閉じますが、最後まで読んでしまうのは時折ハッとする言葉があるからだと思います。

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    投稿日: 2022.12.21
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    この本は結構前に読んで、読むのは辛かったんだけどこの本の言葉はずっと心に残っている。 人生には救いがないけど救われるものもあって欲しい。

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    投稿日: 2022.02.19
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    大半を通勤バスの中で読んでいたので、 声を出して笑い出しそうなところを、 堪えるのが大変だった。 読みすすめるにつれて、 車谷長吉という魂から紡がれた言葉が、 いつだって柱となり、 普遍性を生み出していることに慄き、 心の底からため息が出た。 身も蓋もないような言葉の連なりなのだが、 それが一貫していると、 究極的な真理とおもいやりを体現するようだった。 特に10代、もしくは20代前半の相談者への、 優しさたるや。

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    投稿日: 2020.12.12
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    先天的な障害と貧乏と…色々薪炭を舐めて仏の道に明るい作者の前にあっては、どんな質問も薄っぺらで、どう一蹴されるのか心配になってしまう。それでいて爽快。

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    投稿日: 2019.10.14
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    植本一子さんの書籍に出てきたので気になって読み、ちょっと納得。 複数の回答で同じ話が出てくるのがミニマルなグルーヴを生んでいて、よい。

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    投稿日: 2019.09.02
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    むちゃくちゃな解答も多いけど、なるほどなと思うものも多い。 「私は障害者だから…」という部分がなんか気に食わないけど、でも実際はそうだなぁと思った。 世の中、綺麗ごとでは済まないんだと思う。 「人の幸福の第一は人から愛されること、第二は健康です。第三は必要最低限度のお金です。」 という所から、幸せって無くなってはじめて気づくものだから、肝に銘じておこうと思った。

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    投稿日: 2019.08.07
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    車谷長吉さん・・・破天荒な半生と現在の静かな生活。それは理想形のひとつ。人生とは正解などないもの、そのときどきに応じて根拠めいたものを考えて行動はするけれど、結果はさまざま。そういう意味では、人生の無常感を感じさせてくれる小説群。そこから出てくる人生相談もまた、無常を知らずして生きることの虚しさを語る。

    0
    投稿日: 2018.10.13
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    「人としてこの世に生まれてきたことには、一切の救いはありません」 車谷さんが答える、新聞のお悩み相談をまとめたものですが、とても面白かったです。 悩みの相談に、更に深いところから答えるというような一冊でしたが、読んでいるうちに心が落ち着いてきました。 悩み相談の解決にはなってないよなぁ…と思いますが、仏教の教えもあり、穏やかな気持ちです。 生きていれば悩み苦しみは尽きないですが、人生そんなものだそう。生きます。

    0
    投稿日: 2018.07.19
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    2015年に69歳で逝去した車谷長吉が、朝日新聞で連載していた人生相談をまとめた一冊。 とはいうものの極めてアクの強い作風を持ち、「人生が破綻していく最中でも人間は甘美を感じることができる」という人生観を持つ著者のことであり、一般的な人生相談からはあまりにかけ離れている。 例えば夫の浮気を知りながら世間体を気にする余りに身動きが取れなくなっている女性に対する助言はこのように語られる。これが真理だとしても、なかなかここまでストレートにアドバイスをできる人間はこの世にはいないだろう。 「自分の世間体など捨ててしまえばよいのです。恥をかいて、醜態をさらせばいいのです。道の真ん中で、夫とその女に怒鳴り散らせばよいのです。泣きわめけばよいのです。そして近所の人たちに事実を知ってもらえばよいのです。その女の家へ怒鳴り込んでいき、女の夫にも知ってもらえばよいのです。そうすれば気が楽になりますよ」 (本書p98) それでも、新聞という媒体のせいか、ときたま投稿される中学生・高校生からの悩みに対する助言は慈悲深く、この二面性にも彼の人間観が強く出ているように思う。

    0
    投稿日: 2018.07.08
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「いやあ、今日も車谷先生、豪快に殺したはるわ~」  万城目学による所感。先日、万城目の『ザ・万地固め』の中に本書の”解説”が丸々収録されていた。それを読んで、こりゃ面白そうと読んでみたもの。確かに、面白かった。  人生相談ものは、なんと言っても悩みそのものより回答者の人となりが出る回答っぷりが見もの(読みもの?!)。お題を与えられて答える、いわば大喜利のようなもんだ。  古くは中島らもの『明るい悩み相談室』にハマり、最近読んだものでは、伊集院静の『悩むが花』が痛快だった。楠木健による、いかにも胡散臭い回答だらけの『好きなようにしてください』も、ある意味、こうした人生悩み相談の本質がよく分かる。その楠木自身が引用しているように、「結局は「がんばろうぜ」になる相談(水野タケシ)」ということだ。  が、この車谷長吉は、ちょっと違う。かなり違う。万城目が言うように、ほとんど相談になってない。それどころか「がんばろうぜ」も言ってない。思いっきり相談者へのダメ出しオンパレードだ。 相談者に対して「あなたはxxxな人間だ」と言い切る。曰く、 「あなたはなまくらな人です。」 「あなたは小利口な人です。」 「あなたの夫は駄目な男です。」 「この人は一生救われないな」  万城目じゃなくても、 「いやあ、豪快に殺したはるわ~」  となるわな、こりゃ。  万城目の解説をさらに引用すると 「悩み事と言う精神の暗き淵から発せられた訴えに対し、さらなる奈落から回答する。まったく新しい悩み事相談のかたちを、車谷さんは作り出したのではなかろうか。」  これに尽きる。  が、己の艱難辛苦を舐めた人生の実体験、仏教徒としての、ほとんど悟りの境地から発せられる言葉の数々は、実に重いし、真実を突いているようで、相談者もぐうの音も出ない趣きがある。  とある悩みで、このままでは人生が破綻してしまうという相談には、 「世の多くの人は、自分の生はこの世に誕生した時に始まった、と考えていますが、実はそうではありません。生が破綻した時に、はじめて人生が始まるのです。」  とむしろ破局へ進めと言う。   行動を起こさず、何か良い対処方法を訪ねてくるような質問者には、行動を起こせと言い、 「その結果、重大なことが起きれば、その責任はあなたが取ればいいのです。いやなことに黙って耐えるよりは、ずっと気持ちが楽になるはずです。 人間世界には、楽な道はありません。」  と、喝破。  夫の浮気を相談してきた主婦が、世間に後ろ指をさされないよう上手くやめさせられないかと相談してきたら、世間体を気にする相談者をまず責める。 「だから、あなたの夫はそこにつけ込んで、浮気を繰り返してきたのです。責任の半分はあなたにあります。(中略)まず反省すべきはあなたです。」  すごい!すごいぞ、車谷先生!!!!  ある意味、ちゃんと回答してるとも言える。人生の救いを提示しているんじゃなかろうか。  言われた本人は、相談する前よりもいっそ落ち込みそうだけど(笑)  そんな車谷さんだけど、心を落ち着かせるため、精神の安定を得るために、奈良を訪ねるよう言ってくれるのは、いいね。 「私は仏教徒なので、奈良県の大和盆地のお寺を訪ね歩くのが好きです。(中略)一人で行けば、心静まる時間が得られます。あなたにもぜひお勧めいたします。」  著者の作品は過去1冊しか読んでいないが、人となりを分かった上で、改めて読んでみようと、少し、思った。

    0
    投稿日: 2017.09.23
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    新聞で連載されていたのをまとめたものですねぇ…自分は車谷さんのファンですのでまあ、楽しめましたかね…。基本的に絶望の中に居るというか、もう生きている、その状態が車谷さんにとっては苦痛なんだそうで、そうした視点から回答するものですから、相談者からしたらもう…絶望と言いますかね、突き放されたような感じを受けるんじゃないでしょうか? 社畜死ね!! ヽ(・ω・)/ズコー でもまあ、僕も個人的には車谷さん側の人間でしてアレですね、悩んでもしょうがないと言いますか…こういう、人生相談とか、他人に相談して答えをもらうっていう考え自体アレかと…まあ、他人に相談して少し気が楽になる、そういう意味合いであればいいのですけれども、本気のアドヴァイスをもらうというのはちょっと違う気がしますねぇ…さようなら。 ヽ(・ω・)/ズコー

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    投稿日: 2017.02.03
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    新聞に連載されていたらしい、人生相談の文庫化。 最近は新聞を取っていないので、そのようなコーナーがまだあることにまず驚く。 昔は興味深く読んだものだけど。 しかし、ふと思った… 本当に一般人の投稿なのか? それにしては文体が統一されすぎている気がしないでもないが、本当だと信じるとして。 車谷氏は、それぞれのお悩みにつき、ある時は毒舌でもって切り捨て、ある時は真摯に相談に乗っているように見せかけながらも、韜晦しているのでは?と思わせる。 その回答は一見、「言ってること違うじゃない!」という感じなのだが、実は「言いたい事」は全部同じなのかもしれない。 「あなたより救われない人がいます」 「人間はいつか死にます」 「人は死ぬまで変わりません」 「悩みは解消されないので、他の事を考えましょう」 「新興宗教は金儲けでやってるんだけど、あなたがお金払っていい気持ちになれるなら、自己責任でどーぞ」 つまり、半眼でこう言っています。 『さだめじゃ』 後ろの方には、若い人からの相談が載っていて、さすがに人生経験の少ない彼らに対しては、良い大人として回答しているように思いました。

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    投稿日: 2016.12.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    凡百の人生相談と違ってオモロいぞ。 問題の解決になってるかどうかはともかく、相談事に対する回答の基本パターンが「人生なんてしんどいもんで、エエことなんてそうあるもんじゃない。銭金欲望で幸せにあろうとしたら身を崩す。しんどい思いを楽しみなさい」だもんなぁ。 救いのない回答が救いになる。仏教の原点ここにあり! 極楽浄土に行くために、お布施払ったり、高い金払って戒名付けたり、そういうのは仏教の原点から外れてるってことだろうなぁ。 俺は、現世の楽しいことを楽しみたいと思いますけどね

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    投稿日: 2015.09.23
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    そもそもにおいて仏教は生きている人間に優しくない。踊り唱えりゃ誰もが死後にゃ極楽浄土、極悪人も死ねば平等に仏様なのに対して現世はひたすら一切皆苦、そこには福祉やボランティアの思想は微塵も存在しない。だいたい人間の想像力ってのは人種・宗教を問わず天国より地獄に向いているんだよ。そんな人生ハードモードな視点からの悩み相談ぶった切りは当然の様に面白く、表紙を見返したら思わずタイトルが「人生の呪い」と見えてしまうほど。とはいえ十代からの質問には丁寧に返している辺りは情を感じて思わずほろろとしてしまう。ずるい。

    0
    投稿日: 2015.04.02
  • 良薬は口に苦し

    「教え子の女生徒が恋しいんです」 「小説が書きたいです」 朝日新聞「悩みのるつぼ」には、70代の老人から小学生の女の子まで、老若男女が相談を寄せています。 それに対して車谷は、「親身になって寄り添うように…」などといった手ぬるいものではなく、バッサバッサと切れ味のよい回答で相談者を一刀両断していきます。 家庭を持っているにも関わらず教え子への想いが止められない高校教諭には、「恐れずに、仕事も家庭も失ってみたら」とアドバイス。 小説を書きたいという悩みには、善人には小説は書けない、と言い放つ。書くこと以外のすべてを捨てなければ小説は書けない、というのが車谷の作家論。 簡単には相手を肯定せず、毒のにじんだ言葉で相手を貫く車谷。 でも、「人間は所詮、こういう生き物だ」と述べるような彼の姿勢は、厳しい言葉を正面から受け止めることで、明日を生きていく希望を得ることができるのです。 悩んでいる時こそ、刺激的な彼の言葉はいい活力剤になる。

    3
    投稿日: 2015.02.04
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     岡田斗司夫さんの本のなかでちらと話が出ていたので、興味を持って手に取ってみた。聞きしにまさるダイタンな回答。これは…タイトル詐欺です。 「人生の救い(なんてものはありません。来世に期待して、今はきっちり苦しんで生き抜いてください)」 とでも言うべきか。  どん底まで落ちて痛い目を見なければ、人間そうは変われないし、そこからが本当の人生ですよ、なんて、苦労人に言われたら「ははぁ~」と頷くしかない。  投稿者の人生相談の筈なのに、気づいたら車谷さんの人生の話になっているあたりがツッコみどころ。でも、面白い人だなと引き込まれる。

    1
    投稿日: 2014.08.05
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    回答者の車谷さんの歩んで来た人生が壮絶過ぎて、相談者の悩みが霞んでしまう。 相談に対し、ご自身の苦悩や人生経験を述べられ、 「人生に救いはないのだから、ありのまま今の自分を受け入れ、阿呆になり黙々と生きなさい」 と諭す、斬新な回答スタイル。 車谷さんの苦悩が桁違いに大きいので、相談者の悩みはちっぽけに思われ、昇華される。 まさに毒をもって毒を制す! 解説で万城目さんがこのことを、「殺す」と表現されていたのが可笑しかった。 「人の不幸を望んでしまいます」という相談には、 「子供が不治の病にかかるとか、夫が事故死するとか、  苦い思いを舐めない限り救われないでしょう。  あなたに待っているのは愚痴死だけ」と、ほとんど呪いのような言葉が....。 ホント、殺してはるわ〜(笑) かと思えば、結婚するまでは寂しくて木目込み人形を抱いて寝ていたとか、 「ほんまかいな?」というエピソードもちょいちょい挟まれ、 冗談なのか真面目に言っているのか分からない、ぎりぎりのラインがまた可笑しい。 車谷さんのことは今まで知らなかったが、俄然興味を持った次第です。 私も山歩きが好きで、奈良にもよく出掛けますが、 いつか山で「うれしいひなまつり」の歌声に遭遇したいものです。

    2
    投稿日: 2014.03.22
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    まあ、おかしな人生相談であります。相談するほうも何かまともな答えは期待していない風でもあり、基本誰も救われていないのだけれど、なんだか気分はよくなるのですね。父が女性の下着を隠し持っている、という娘からの相談に、申し訳ないけれど笑いました。

    1
    投稿日: 2014.03.13
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    本の雑誌別冊、文庫王国2014を見て参考に買う。電子書籍として読むことを前提に選んだがかなり面白い人生相談だった。 とはいえ梅原猛とかを読んである程度仏教の知識があったので著者の癖のある回答にはあまり驚かなかった。むしろすんなり受け入れて読めた。 苦界、餓鬼道所詮は、人間孤独さ。というところだろうか。 ただ日々色々なことに感謝するのみです。

    0
    投稿日: 2014.01.29
  • 人生は最大の挫折をもって初めて始まる

    朝日新聞で連載されていた読者投稿の身上相談とその回答をまとめたものです。 正直なところ、すべてに共感できるということはありませんでしたし、参考にできない回答もいくつかあったのですが、著者の考え方を知ることはできました。 全体を通して感じるのが、著者特有の人生観です。 「最大の挫折を通じて初めて、真の人生が始まる」「真の人生が始まらないまま、一生を終える人が9割」という言葉は、自分の心にも痛切に響きました。 そして、著者の考え方に従えば、私の人生も始まらないのだろうと。 常識や世間体で自らの首を絞めている人であれば、そういったものを投げ捨てても生きていけることを教えられるし、背中を押してもらえる一冊になるだろうと思います。 ただ、何もかもを捨てて世間から後ろ指を指される(著者の言い方をすると「阿呆になる」)生き方ができるかというと別問題ですし、できなくても――楽にはなれないかもしれませんが――やはり生きていけるわけです。 そのあたりは、著者の生き方もひとつの考え方と受け入れて、自分の生き方、考え方を選んでいきたいと思いました。

    7
    投稿日: 2014.01.02
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    ブログに掲載しました。 http://boketen.seesaa.net/article/383998582.html ブッダ原理主義作家、人生に救いはないことを説く 朝日新聞土曜別冊beに連載された、車谷長吉の人生相談。 掲載時(2009年4月~2012年3月)から、それまでのどんな人生相談にもなかったスタンスで読者を驚かせた。 なんらかの「救い」や「癒し」を求めてやってくる人たちを、おだやかに励ましたり、さとしたりするのが普通の人生相談というもの。 車谷は、人の世は生きるに値しないし、人生に救いなどないと、自分に照らして断言する。

    0
    投稿日: 2013.12.31
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    愛読する朝日新聞の身の上相談コーナー。「おすすめ文庫王国」で炎の営業杉江さんが推していて、これも本になっていたのを知った。杉江さんの言うとおり、車谷長吉さんの回答はいつも同じ。でも読ませる。これはもう「芸」です。 なんといってもすごいのは、車谷氏自身は、人をおもしろがらせようとか、ウケようとか思って書いているわけではない(と思える)ところ。そして、その誰に対しても同じ答えである「人としてこの世に生まれたことには、一切の救いはありません」という言葉に、その絶望的な響きとは裏腹の、突き抜けた励ましを感じてしまうところ。 しかしそれにしても、思わず「え~!?」と声の出る箇所がいくつか。 「うちの嫁はんは三日に一度は『くうちゃん、長生きしてね』と言うています。『くうちゃん』とは、私のことです」 くうちゃん…。 「この夏も、青森県の山の中で、小学校で習った唱歌を歌ってきました。独りで。気が晴れ晴れとしました。私は『うれしいひなまつり』という歌が好きです」 「私が結婚したのは四十八歳の秋でした。それまでは毎日毎晩、寂しく、夜は木目込み人形を抱いて寝ていました」 この人形には「美禰子」って名前をつけてたんだって。うーむ。

    2
    投稿日: 2013.12.18
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    前半は厳しいなあ、人生相談になってるのかいな?と思って読み進める。後半の若い女性たちの相談事に対する回答は共感できる部分が多かった。苦労の上に成り立った回答には圧倒された。

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    投稿日: 2013.10.01
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    何かね、人生相談いうより、人生両断という感じで。どこか辛口、でも、救いの真実の言葉が心地よい。新しい感覚の癒され感覚であった。

    0
    投稿日: 2013.07.18
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    【メモ】解説 万城目学 すすめられて読んだ。 笑えるのに、笑ってだけいちゃいけないかな、とちょっと落ち着かなくなる。と、思っていたところ、万城目氏の解説が見事にこの感覚を言語化していた。 じたばたせずに阿呆になれるよう精進せねばなあ。

    0
    投稿日: 2013.05.17
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    解説の万城目学が書いているように、悩みを次々と殺していく、車谷長吉さんのお悩み相談。 朝日新聞の連載のときも、車谷さんの当番回が来るのがいつも楽しみでした。 もはや悩みの回答になっていませんが、妙に痛快で、読みながらふっと笑ってしまえる不思議。 中年には絶望的な切り返しがおおいけれど、まだまだ先が長い若者にはあたたかい目線があったりするのも、なんだか和みます。 読んでいるうちに、「私の悩みなんて、たいしたことないのかもしれないなぁ」と思えてきます。 個人的に一番好きなのは、「同僚の女性がむかつきます」の回答。 傑作だと思います。 車谷さんに言われちゃうと、もう山登りして歌うしかないかなと思えてくる(笑)

    0
    投稿日: 2013.04.30
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    このレビューはネタバレを含みます。

    回答の意味がよく分からないところがありましたが、悩みを人に解決して貰おうと言うのが無理な相談なのかと思いました。

    0
    投稿日: 2013.04.30
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    赤目四十八瀧心中未遂を読んだ時は その面白さに釘付けになり、いままでなぜこんな素晴らしい作家をしらなかったのだろうと思ったものだった。 白洲正子さんの本に夢中になっていたころ、 車谷さんのことが書いてあって、 あんたって怖い、とあの白州さんが言っていたほどの人・・・というのが 頭の片隅に引っかかっていて、 あ、と思いだして図書館で探したらこの本が一冊あったのだった。 性欲は強いものの、相反して他の欲にたいする欲望のなさに、底知れぬ恐怖を感じて釘付けになったのだ。 欲望のなさとは、死を思い浮かべるが、死も、死にたいという欲望のひとつである。 しかし・・・恐れ(あるいは畏れ?笑)を感じた作家さんが、新聞の人生相談の回答者になっているということを知り、矢も楯もたまらずアマゾンに注文・・・ 一人目の相談にたいする回答を読んで、この人、仏教徒かなと思った。 途中で自分は仏教徒だという記述があったが、まず多用している文句は、 「救いはありません。」「阿呆になるのが一番です」 「この世は苦の世界です」 「奈良盆地あたりの散策をお勧めします」 教え子の女生徒が恋しいんですという40歳の高校教師には 「恐れずに、家庭も仕事も失ってみたら」 そうするとはじめて人間の生とは何かということが見え、この世の本当の姿が見えるという。 人の不幸を望んでしまうという46歳主婦には 「何も問題のない家庭をお持ちなのだから、まず自分が不幸になって苦い思いをなめる以外に救いの途はない。あなたには人生の不幸を乗り越える力がありません。愚痴死が待っているだけです。あなたには一切の救いがないのです。」 相談内容にもよるので、もちろん温かい回答もある。 72さいの祖父に困っているという12歳の女の子には、 「おじいさんをとがめてはいけませんよ、お父さんやお母さんに相談してみましょう。」 父が女性の下着を持っているという18歳女子高生には、 「父上の一番良い所をみてあげて。それがあなたの救いにもなります。」 人生相談の回答って難しいなあと思っていたけれど、車谷さんの回答は全部筋が通っている。 結局は自分を救うのは自分であるということなのだ。 自分を救えるような自分におなりなさいということだ。

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    投稿日: 2013.04.28
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    この本を読み始めてすぐに、頬を平手で叩かれたような感覚に陥った。 目が覚めるとはこういうことか。 最初の相談についての答えは、自分の不運を嘆くことは考えが甘い、覚悟がないとけんもほろろである。相談者の悩みに寄り添って回答するありがち悩み相談とは一線を画している。 もうぐうの音もでない。 この本は車谷長吉が朝日新聞の悩み相談で回答したものをまとめたものである。 朝日新聞が車谷先生を起用した心意気はあっぱれ。 こんなこと言っちゃっていいの?とハラハラするほどの珍回答(?)続出。 教え子の女性とが恋しいとの相談には、恐れずに仕事も家庭も失ってみたらと説く!! 人生には救いがない。その救いのない人生を、救いを求めて生きるのが人の一生だと繰り返し本書では語られる。 この作者の信念があってこその回答だと思うと実に深い。 小さなことでクヨクヨするなと叱咤激励してくれるこの本は、私の大事な大事な本になった。 最後の万城目学のあとがきがまたいい。この二人は奈良に共通項があるんだなとニヤニヤしてしまった。 車谷さんの小説は読んだことがないが、これは読まずにいられない。一刻も早く!

    21
    投稿日: 2013.04.20
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    ぜんぜん相談の回答になっていないのがいいのかなと思った。 「私は「うれしいひなまつり」という歌が好きです」 というのが面白かった。

    0
    投稿日: 2013.02.24
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    もー車谷長吉すばらしすぎる。。。人畜無害なタイトルと装丁がかえって凶悪なこの劇薬毒薬感。救いなんてどこにもない。 話題になった女生徒に恋した高校教師の相談ももちろん収録。これは何度読んでも傑作。(知らない人はググって読むべし)

    1
    投稿日: 2013.02.09
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    相談してはいけない相手。相談しても無駄な人。っていう人がそれぞれいると思う。 車谷長吉は、絶対に相談なんかしちゃいけない奴だと私は思う。 教え子の女子生徒が好きで好きで堪らず、「情動を抑えられません。どうしたらいいのでしょうか」という40歳の高校教師の深刻な悩みに、 「破綻して、職業も名誉も家庭も失った時、はじめて人間とはなにかということが見えるのです。あなたは高校の教師だそうですが、好きになった女生徒と出来てしまえばよいのです」 と、とんでもない、不道徳極まりない解決策をけしかけている。 こんなのが毎週朝日新聞の別刷りの紙面に連載されていたんだそうな。それが一冊にまとめられたのがコレなのだが、天下の朝日新聞が呆れたもんだ、などと言うつもりは、ない。 だって、痛快ではないか。 先の高校教師への回答は、 「そうすると、はじめて人間の生とはなにかとういことが見え、この世の本当の姿が見えるのです」 と締められている。 『人生の救い』というタイトルは、逆説的なタイトルではなくて、真に「人生」と大上段に構えるだけの深みがある気がする。こういう突き抜けた説法を目の当たりにしてしまうと、凡百の人生相談などはたんなる処世上の薄っぺらな解決策の安売りに見えてしまう。 車谷長吉は、西村賢太が現れるまで我が国の私小説作家の最後の生き残りだった。田山花袋以来連綿と生き伸びてきた私小説作家という絶滅危惧種の最後の一人が、それこそ人に知られずに埋もれた存在だったのを発見し、世に最初に知らしめたのは稀代の目利き白洲正子だった。彼女は、奈良や三重あたりの山奥だとかから、ゴミ扱いされていた能面やら古磁器やらの逸品を探し当てたのと同じ手法で、天下一品の旦那、次郎のことも掘り当てている。その目利きが「私が最初にめっけたんだからね」と、車谷との対談の中で言っていた。鶴川にある旧白洲邸に残されている書斎に、車谷の『塩壺の匙』があった。これは、白洲正子が掘り当てた車谷の最初の傑作で、本棚の一冊は著者からの献本であろう。裏表紙を開いたら、贈り主の名と感謝の言葉が書いてあるはずだ。ただ、傾きかけたその本棚に手を触れることは禁じられているから、確かめることはできなかったが間違いあるまい。 そんなわけで、その人の眼を信頼している目利きが見出したというのだから読んでみるか、と読み始めたのが『塩壺の匙』だ。その毒と棘を持った私小説ぶりは衝撃だった。 ただ、残念だったのは、その「毒」と「棘」は著者の周囲と著者自身を刺す棘でもあり、自らの息の根も止めかねない毒でもあったことだ。 些細な名誉棄損で訴えられ敗訴し、幾つかの作品だけを世に出しただけで車谷は私小説作家としての筆を折った。 その後いったいどうしているのだろう。と、消息を気にしていたのだが、こんな形で「毒」を含みすぎた危ない人生相談で糊口をしのいでいたのだろうか(またしても失礼、おゆるしを)。 たしかショウペンハウエルったと思うのだが、大戦末期のナチス独裁下の知識人の在り方について、面白い箴言を残している。  国家社会主義(ナチスのテーゼ)的であることと、知的であることと、誠実であることは鼎立しがたい(三つとも同時に成り立たせることはできない)。 つまり、 国家社会主義的で知的でもあるならば、その人は誠実ではない。 国家社会主義的で誠実でもあるならば、その人は知的ではない。 知的でなおかつ誠実であるならば、そのひとは国家社会主義的ではありえない。  私はこの言い得て妙なロジックの「国家社会主義的」のところを「私小説作家」と言い換えてみると、車谷長吉の私小説断筆宣言の顛末に得心がいく気がする。 なまじ慶應の文学部なんかを出てしまったインテリである彼は、作中暴露してしまった秘事の当事者を傷つけてしまったことをまじめに反省してしまう。つまり知的で誠実であった彼は、私小説を書き続けることができなくて当然だったのだ。  車谷さんの、時には実名をあげて人の人生の醜さを暴露していたような往時の小説作品の続編を私たちはもう読むことはできない。 だが、「亭主がじじいのくせに浮気しやがって」とか、「父親が女性の下着を集めていて、でも父のことは嫌いじゃなくて」とかの相談が寄せられ、回答者の車谷さんが自らの人生を引き合いに、いっそどん底に落ちてみなはれ、みたいに答える。 かつて、稀代の目利き白洲正子が見出した、類例のない「毒」の魅力を湛えた車谷長吉の文学世界は、しっかりここに命脈を保っていた。  この一冊で紹介された「悩みのるつぼ」なる連載は、まだ続いているのだろうか。 新聞の定期購読はとっくに止めてしまった我が家だが、来週の土曜、朝日新聞朝刊は買ってみようと思う。

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    投稿日: 2013.02.03