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春琴抄
春琴抄
谷崎潤一郎/新潮社
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総合評価

498件)
4.1
172
148
102
17
1
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    美しい。 心理描写なんてないのに、なんでか佐助が好きになっちゃう。 夏目漱石樋口一葉がお札になって谷崎潤一郎がお札にならない理由がわかんない。作品に癖が漏れてるから?? 内容は一歩間違えれば変◯的なのに、文章が美しすぎて純文学みたくなっちゃう、それが谷崎潤一郎。

    0
    投稿日: 2025.09.23
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    このレビューはネタバレを含みます。

    我儘で気の強い春琴と崇拝にも及ぶ愛を持った佐助の物語。 私は「愛するということは、その人のために自分の命をも捧げられるということ」と定義している。 佐助は春琴のために「視力」を捨てて、彼女と同じ苦痛(彼等にとっては苦痛ではなかったが)を受け入れた。春琴が私のために死ねと言えば、彼は自分の左目を針で刺したように、自分の命でさえも春琴を想い、満足を感じながら捧げたであろう。 春琴は佐助が盲目になって以降も、依然心を開いていたのは彼に対してだけであり、「ほんとうの心を打ち明けるなら今の姿を外の人には見られてもお前にだけは見られとうないそれをようこそ察してくれました。」というセリフからも、佐助への気持ちが伺える。 物語は三人称視点で書かれており、読み進めていく間、春琴と佐助ふたりの(特に佐助に厳しく接する春琴の)気持ちが気になっていた。形式上、結婚など愛し愛される関係にはならなかったが、以上のように、私はふたりの間にはふたりだけに通ずるものが存在していたことに、美しさを感じた。 あと、あまりにも具体的で繊細であったから、 え、これ実話?違うよね、え??フィクション?すごまじかってかんじ

    0
    投稿日: 2025.09.22
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    このレビューはネタバレを含みます。

    高校生のとき初めて読んで、大学で卒論を書いた作品だから、思い入れが強く、定期的に読みたくなる。 名家に生まれながら幼少期に病気で視力を失った春琴と、長年彼女に仕えた佐助の愛の物語。 強い女性と翻弄される男性という谷崎潤一郎らしい構図だ。

    0
    投稿日: 2025.09.19
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    変な愛 究極の愛 誰にも入ることのできない恋愛! 目が見えない女の子、師弟関係だからこその、この二人でしか完成できない愛の形だなー。こんなこともあるのかぁと思った。 ここまで心で繋がりあってる相手との恋愛、イチャイチャとかは幸福度エグそうやなっと思った こういう古い言葉使いの本読んだことなかったけど、この言葉だからこそ昔の師弟関係の張り詰めた感じ、春琴ちゃんの我儘でお高くとまるお人柄が、伝わった気がした。春琴ちゃんかわいい 目プスプスは好きな人の為or好きな人像を壊したくない自分の為 どっちなんだろう。 あそこの、春琴の喜びに震える声と佐助がそれに気づいて莫大幸福を感じている描写がめっちゃ面白かった。一手一手が細かく書かれていて緊迫して時間がゆっくりすぎる感じ 古風な言葉と狂ってる偏愛が合っていて美しいまである 何回も読み直した! 誰目線やねんって感じの構図もなんか2人のインサイトを詳しく説明してくれて、春琴伝との違いが面白かった

    0
    投稿日: 2025.09.13
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    「今まで肉体の交渉はありながら師弟の差別に隔てられていた心と心とが始めてひしと抱き合い一つに流れて行くのを感じた」 この一文に佐助と春琴の愛の模様が表れていると思った。 またその後の「盲人の師弟手を取り合って空を仰ぎ遥かに遠く雲雀の声が落ちて来るのを聞いていた」の一文から、最も彼らの愛の深さ、様子を感じられた。 彼らの中でしか通じない愛の形。彼らだけの幸せの形。

    0
    投稿日: 2025.09.09
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    自分の国語力のなさを痛感しながら、意味を見ながらなんとか読めた。 なんとも、理解しがたい愛の形。 最後の10ページくらいで、怒涛の言葉が続きドキドキがとまらなかった。 はじめからか、句読点がないのに読めてしまう不思議。

    0
    投稿日: 2025.09.09
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    このレビューはネタバレを含みます。

    盲目の三味線奏者の春琴と彼女の奉公人である佐助を描いた小説。二人は師弟関係であるが、徐々にお互いに恋愛感情を抱くようになる。ところが話が進んで終盤辺りになると、彼は春琴と同じ状態になろうと針で両目を潰すという行動に走った。その際の描写は痛々しく、佐助の異常さが伝わる。

    0
    投稿日: 2025.08.31
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    このレビューはネタバレを含みます。

    盲目の娘・春琴、彼女の下男・佐助、二人だけの人生が描かれた物語。 物語の途中から佐助は春琴の弟子となり歪な師弟愛が展開され、めくるめく耽美を味わうものの、春琴が重い火傷を負い佐助が自ら眼を傷つけ盲目となる件は狂気が過ぎる。読んでて目が痛いーーー。 語り手による物語は自分の拙い想像力では鮮やかに再現できない場面もあり、ところどころ文章を楽しむことに重きを置いて読み切りました。読み慣れていない文章ですがやっぱり文豪の作品って面白いです。 佐助にとって春琴は永遠でありすべてだったんでしょうね。

    2
    投稿日: 2025.08.18
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    句読点がなくぬるっと大変なことが起こる ピュアというかエゴやんと思いましたが、書き方が面白かったです

    0
    投稿日: 2025.08.06
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    2025年7月28日読了 昔人に勧められて買い、その時読んだけど再読。何読もうかなーって思ってたらそろそろ谷崎の命日だったのでチョイス! 相変わらずすごい話だけど昔より今の方が沁みた感じします。こうなりました!お師匠様、大丈夫だよ!の所とか春琴はどれだけ安心したのだろうか。それを考えたら泣きたくなりました。 ただ晩年関係がそのままだったのは佐助がそうありたかったから〜みたいなのはちょっと切なかった。 佐助の中の春琴は永遠に変わらないけど、そうしたら見えないけど目の前にいる春琴は、佐助の頭の中の永遠の春琴を呼び起こす存在でしかないのかな?なんてちょっと考えてしまった。 でも絶対に深い愛はあったと思う。

    0
    投稿日: 2025.07.28
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    オタクは春琴抄が好きらしい(デカ主語)と聞いて、オタクなので読んでみた。 春琴、ツンデレレベル100億って感じ。二人の関係は愛というより信仰とか洗脳みたいなものだと思う。二人とも、もうお互いしか選べないというか。美しい愛!というより、互いに相手の理想の姿をぶつけあっているみたいな息苦しさを感じた。春琴は佐助ならわかってくれるだろうと慢心しているし、佐助は春琴を美しい人だと信じきってしまって、それを献身的に支えられる自分に酔っているように感じた。相手を愛しているというよりも。 「。」がところどころない特徴的な文体だったけど案外読みやすく、するする読めた。こういう文体のものを読んでいると「ムツカシイもん読んでんな〜自分!」という気持ちになって頭がよくなった気がするので楽しい。

    5
    投稿日: 2025.07.16
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    このレビューはネタバレを含みます。

    愛ではなく変愛。言葉によってこそ変愛は輝くし、変愛によってこそ言葉は輝く。歪んでなんぼの文学、そう考えると日本文学の最高峰の一つでしょう!非読書家の僕が断言します!!

    0
    投稿日: 2025.07.13
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    はじめての谷崎潤一郎でした。 美しい文章で有名なので一度は読んでみようと思って、薄いからこれなら読めそう!と思って手に取りました。 久しぶりの古典的な文章で、やっぱり私のレジェンドは芥川だなぁと思いつつも、なかなかに面白い。 注釈がかなり丁寧ですが、ほとんど文脈で読み取れる程度のもので、思ったよりも敷居が高くなかったです。 愛と狂気は紙一重だなと思いつつ、間違いなくこの2人の晩年は愛なのだなあと思いました。 谷崎潤一郎がずーっと語りかけてくるような、なんとなくダラダラした文章なのですが、それがまた心地いい感じでした。 そしてそんな描写一切ないのに、なんだか想像してしまうエロがありますね、、、。 この感じ、なんだかハマりそうです、、 次は代表作の細雪かしら、、

    0
    投稿日: 2025.06.13
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    4.2/5.0 盲目の年上S嬢と年下M男。 歪な愛の形に異様な美しさを感じた。 恋には、それまでの常識や世間体を全て吹っ飛ばすような魔力がある。 佐助が自らの目を潰し、何よりの幸せを感じるシーンに恋の偉大さと危うさを感じた。

    0
    投稿日: 2025.06.04
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    これは…今風で言うと 女王さまと下僕笑(違ったらごめんなさい) こういう文豪の名作はしっかり読むモードに入るのでいつもより時間がかかります 人を傷つけちゃいかんでしょ、と思いつつも受ける側がどう見ても喜んでるんだよなぁ だとすれば これはこれで二人の愛のかたちなので良いのかもしれない お勧めされて読んでみたけど 今までに読んだことないジャンルだったので新鮮でした

    6
    投稿日: 2025.04.17
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    このレビューはネタバレを含みます。

    作品としては短いのに読んでる途中で胃もたれする部分はあったが割と面白かった。最初は句読点カギ括弧改行がかなり大幅に省略されていて少々読みづらかったが、中盤以降は慣れていきスラスラ読めた。 佐助が春琴を真似るように暗闇の中で三味線を弾いているときからなんとなく気づいてはいたが佐助の愛情の歪み具合は異質だった。 妊娠が発覚してすぐに子供は養子に出されたため子供に関する描写が一切なかったのがなんともいえない。もうちょっと子供にフォーカスを当てた章があっても良かったと思う。 春琴の好きなものについての描写が若干読んでて疲れた。別にそこが後々の伏線になっているわけでもなかったので、そこを端折って子供について書けばいいのになー 後半15ページ辺りからの展開が早すぎてそれ以前はなんだったの???と思ってしまった。正直面白かったのはその15ページだけだった。 前半部分は結構内容が薄いのに最後の15ページでトントン拍子で話が進んでいってしまったのが少し残念。 わたしの読解力がないのかわかんないんだけど何で佐助は春琴が好きなの?という疑問だけが残るラストだった。春琴のために失明までするほど春琴がいい女だとは思えなかった。でも多分そこも含めて佐助がマゾって言われてるんだろうけど。そういう解釈で合ってる? なんか極端にこの春琴抄を評価してる人多いけど正直絶賛するほどではないと思う。まあ面白くはあった。盲が笑うと醜いみたいな描写あって時代を感じた。 映像化や漫画化もされてるみたいなのでその辺も見てみたい。

    0
    投稿日: 2025.04.17
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    以前に刺青を読んで他の谷崎作品が気になっていたものの、当時の体調と文体の相性が良くなく断念していたものを、機会あってようやく読んだ。 全体として読点句読点がほとんどなく、何処で文章が切れるのかよくわからない部分も多く、読むのにやや苦労したが、記憶とは違い極度に漢文調になっているということもなく、先述の点での骨折りがあった他はすらすらと読めた。 刺青にあった艶めかしく暗い妖しさはこの作品にはなく、読んでいる最中はずっと「いつこれが暗転するのだろう」と思っていたが、とうとう刺青のような薄暗い情念のようなものは表れずに終わり、少し呆気に取られたのだが、読み終わって暫くの後、上手く言い表せないが胸の内を満たすものがあり、優しい、ともすればぼんやりとした味わいでありながらカロリーの高い作品であったことがわかった。佐助の春琴への穏やかながらも凄絶な敬慕と愛の物語。

    0
    投稿日: 2025.04.10
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    この二人だけの愛の形。 二人だけの世界…美しい。 結局は、当人同士が満ち足りてさえ言えれば 周囲の理解なんかなくても良いんだろうな。  出来れば当人同士の心理描写で読んでみたかったけど… 解説にあったようにあえてこのような形式を取ったのであれば、それこそ二人の心情なんて、他人に知られる必要なんて無いのだろう。

    0
    投稿日: 2025.03.19
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    初めて読んだ時は何だこの気持ち悪い愛情表現はと思っていたが、この前改めて読み直すと谷崎さんの素敵な文字選びと2人の不器用な愛がなんとも愛くるしい これが谷崎ワールドなのかもしれない!!!! 洗脳!!!

    0
    投稿日: 2025.03.19
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    このレビューはネタバレを含みます。

    畢竟めしいの佐助は現実に眼を閉じ永劫不変の観念境へ飛躍したのである彼の視野には過去の記憶の世界だけがあるもし春琴が災禍のため性格を変えてしまったとしたらそう云う人間はもう春琴ではない彼はどこまでも過去の驕慢な春琴を考えるそうでなければ今も彼が見ているところの美貌の春琴が破壊されるされば結婚を欲しなかった理由は春琴よりも佐助の方にあったと思われる。佐助は現実の春琴をもって観念の春琴を喚び起す媒介としたのであるから対等の関係になることを避けて主従の礼儀を守った

    0
    投稿日: 2025.02.20
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    2025年2月9日、Googleで「女王様タイプの女性が好き」と検索したら出たサイトで谷崎潤一郎の著書を紹介してた。 https://shosetsu-maru.com/essay/dominatrix 夫・佐助をここまでの行動に至らせた春琴という女性の魅力は、いったいどこにあるのでしょう? <1.年齢不詳の美しさ> 作中で、晩年の春琴の外見はこんな風に描写されています。 輪郭の整った瓜実顔に、一つ一つ可愛い指で摘まみ上げたような小柄な今にも消えてなくなりそうな柔らかな目鼻がついている。 年恰好も三十七歳といえばそうも見えまた二十七八歳のようにも見えなくはない。 華奢な少女のような顔立ちでありながら、20代にも30代にも見える美しさをたたえている。魅力的な女性は、年齢不詳に見えるようです。 <2.裏表が激しい> 彼女はいわゆる内面の悪い方であった外に出ると思いの外愛想がよく客に招かれた時などは言語動作が至ってしとやかで色気があり家庭で佐助をいじめたり弟子を打ったり罵ったりする婦人とは受け取りかねる風情があった 客に対しては愛想よくしとやかに振る舞い、佐助に対しては打って変わって厳しく振る舞う。「それって単に性格が悪いのでは?」と思うかもしれませんが、最大のポイントは、佐助に“だけ”意地悪を言っているという点なのです。 現に佐助と春琴は、こんなやりとりをしています。 またある夏の日の午後に順番を待っている時うしろに畏まって控えていると「暑い」と独りごとを洩らした「暑うござりますなあ」とおあいそを云ってみたが何の返事もせずしばらくするとまた「暑い」という、心づいて有り合わせた団扇を取り背中の方からあおいでやるとそれで納得したようであったが少しでもあおぎ方が気が抜けるとすぐ「暑い」を繰り返した。 春琴の「暑い」はすなわち、「早く団扇で私をあおぎなさい」という意味。 佐助は、普段は人当たりのよい春琴が自分にだけ見せるワガママな一面を“甘え”と捉えたがゆえ、彼女への愛を深めてゆくのです。

    0
    投稿日: 2025.02.09
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    盲目の琴の名人春琴と丁稚の佐助、二人の恋物語。容姿端麗で琴の腕も名人並の春琴だが盲目になったことで性格も意地悪くなるが、そんな春琴の身の回りの世話をしていたのが佐助。彼女の傲慢な要求にも誠実に応える佐助。ある日春琴は何者かによって火傷を負わされ誇っていた綺麗な顔が醜いものへと変貌してしまい、その姿を佐助に見られたくないと言う。それに対して佐助は自らの眼球を針で刺し盲目となることで彼女の綺麗な姿を頭の中に留めることにする。 思ったりよりも読みやすかった。佐助の愛が凄すぎる。自分じゃ到底できない。盲目になってから見える世界があると佐助が言ってるのがまたいい。

    1
    投稿日: 2024.11.17
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    このレビューはネタバレを含みます。

    鵙屋琴(春琴)と佐助の生活と生田流の琴、三弦の芸術の話である。春琴は美人で、裕福な商家(薬種商)の娘で、芸事に天稟があった。佐助は商家の丁稚で、九歳の時に失明した春琴の手曳きとなり、ひそかに三味線も始める。それがばれて主人の前で弾かされて、春琴と師弟関係となる。佐助と春琴の間には子ができるが、春琴は佐助を父とみとめず、子供は他所にもらわれていく。春琴は琴の師匠として独立し、佐助も世話でついていく。食事、厠、風呂などの世話に按摩、楽しみである鶯や雲雀の世話など、とにかく介助の人生を送る。春琴は高慢で意地悪で、弟子や同業者などから恨みをかい、三十七歳のある日、家に侵入した謎の賊に鉄瓶の湯を顔に掛けられ、醜い容貌となり、自分の顔を佐助には見てほしくないという。佐助は瞳に縫い針を射し、失明して、春琴につくす(痛みはなかったそう)。春琴の死後、佐助は検校となるが、観念上の春琴を思いながら長寿を得て死亡する。 案外、漢文のような文章だと思った。谷崎は中国にも行っているし、『麒麟』という孔子の話もかいているから当然だろう。盲の人が賢そうに見えるという観察が書いてあるが、これは文中では佐藤春夫の説となっているが、アリストテレスの『感覚と感覚されるもの』にある指摘である。鶯の世話の話など細かくておもしろかった。また、盲となった佐助にとって春琴と別れたのも、正確にはいつかとは言えないということが書いてあって、愛とはそういうものなのかも知れないと思う。

    1
    投稿日: 2024.11.03
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    春琴の性格、体型、癖などや佐助との関係性を第三者が語る構造だが、本筋までが長く個人的には前半は飽きていた。だが、佐助の瞼にあの頃の美しい春琴が映っている描写には泣いた

    0
    投稿日: 2024.09.23
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    句読点がないが、勢いに任せてテンポよく読むことができたか。心理描写がないので、春琴や佐助の気持ちは読者が考えることとなる。

    1
    投稿日: 2024.07.27
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    美しく才のある盲目の女とそれに連れ添う男の、複雑に絡まった愛の物語。 短めではあるが、全体を通して香しい印象があり、退屈せずに読むことができる。 読者に干渉してくる作品ではなく、手記を読むような、寝かしつけるために昔話を話してもらうような作品。 句点、句読点、改行が異様に少なく、古い文体に不慣れなのもあり多少の読みづらさを感じた。 しかし、畳み掛けるような語り口は、1冊分の落語を聞いているような心地がするし、溢れんばかりの想いの描写において特に強い効果を感じた。 ページの黒さが圧巻であるし、ある種この読みづらさが面白いので、こういう本があってもいいと思う。 主従か、夫婦か、狂信か、愛としか言いようがないものを描いたこの本を、好きな人は必ずいると思った。

    1
    投稿日: 2024.07.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

    反自然主義派の中でも、谷崎が、そして本書が属する耽美派は異端な存在だ。同じく耽美派に属する永井荷風が、大逆事件を気に文学に無力感を感じ、花柳界に文字通り『耽』ったように、見たくない現実から目を背け美しい想像世界に浸る、それが耽美派である。見たいものだけ見る、その特徴を最も表しているのが春琴抄という作品だと言えよう。佐助は目を潰すことで、自らが崇拝する春琴を永遠のものとし、触覚の愛欲世界を勝ち取ったのである。その姿は、当時松子というファムファタールを見出した谷崎の姿と重なり得る。これは愛ではなく、エゴの物語であると感じた。

    1
    投稿日: 2024.05.25
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    愛というものに翻弄された男と五体満足に生まれ、蝶よ花よと大切に育てられてきたにもかかわらず、運命に翻弄されて身体的自由を奪われていく女のお話。 人を愛することの重さをずっしりと感じる、厚みの薄い本なのに読み終えた時にはぐったりするような重い愛のお話でした。 愛した人の為にどこまでも自分を犠牲にし、どんなにキツく当たられても気持ちを変えることなく尽くしぬく不変の愛情を注いだ一生と身分の差があろうが身体を張って死ぬまで守ってくれた男がずっとそばに居てくれた一生。ある意味それは究極な幸せだったのかもしれないですね。

    8
    投稿日: 2024.04.12
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    本作は「痴人の愛」と違って春琴の容色が衰えた後の話もあるんですね。悲しくなっちゃったよ、佐助どんが絶対に絶対に関係性を変えることを認めなくて。現在の春琴を受け入れることを拒否していて。 佐助が目を潰して2人でおいおいと泣いたその時は春琴にとってどんなにか嬉しかったか知らない。だけれどもそれは春琴を思ってのことではなく、佐助の中の美しい春琴を永遠のものとするためだった。春琴は盲目であの性格でだけど佐助だけはきっと自分のことを分かっていると考えていたのだろうがそれは違った、裏切られたような気分になったろうが佐助は最初から美しくない春琴なんか求めちゃいなかったんだ。佐助が最初からそうだったのか春琴の横暴な振る舞いが佐助を変えてしまったのか。私は後年の春琴を思うとやりきれないよ、孤独で孤独で佐助はそれを分からしめる絶対的な他人で、後悔ばかりが残ったんだろうと。 「痴人の愛」の後続けて読んだ。ナオミみたいに愛されたい自分の欲望と向き合うために。 容姿端麗であることは絶対条件ですね(この時点で無理)

    3
    投稿日: 2024.04.05
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    佐助は単なる被虐趣味ではなくて確かに春琴への愛があって、うんうんそうなるよねっていう納得感があってすごい

    2
    投稿日: 2024.03.19
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    被虐趣味という言葉で称されることが多い本ストーリーだが、今日の関係性でいえば、そこまで逸脱した関係性と思えない…というのが正直な感想だった。 どちらかというと…伝聞調で記される2人の間の出来事には、主観や心の機微が意識的に記載を避けられている。そのため、あまり直情的に訴えるものがないのではないか。一方で、伝聞調による行間があるからこそ、色々な経験を積んだ人には感ぜられるものが多い…甘酸っぱかったり、苦々しかったり、憧れたり…描写されていない2人の行間を人によりさまざまに味わうことができる。ここが本書の良書たる所以であり、今日に至るまで愛される作品となってる理由なのではないか。

    4
    投稿日: 2024.03.15
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    ページ数が少ないと言う意味では読みやすいと言えるけど、句読点が省略されている点では読みにくいと言える。自分は慣れない文章のリズムに苦戦して結構時間がかかった。 話自体は至ってシンプル。 心理描写も少なく物足りなさを感じるほど簡潔。 言われるほどの良さが分からなかったなと思い巻末の解説を見ると、春琴抄のその簡潔さに究極の美を感じる人が多いよう。 「百の心理解剖だの性格描写だの会話や場面だの、そんなものがなんだとの感じが強く湧いてくる」と谷崎潤一郎は苦悩したという。 昔は(今も少し)結末を有耶無耶にして「あとは皆様のご想像にお任せします……」というような投げかけの物語が大嫌いだった。もやもやするし、意地悪に考えればそれは「逃げ」なんじゃないのと思っていた。でも今はちょっと違う。 物語の延長に読み手の考える余地を残しておいてくれることは、書き手から読み手への信頼があるんじゃないかと思っている。 全部を説明しなくても分かる、情景や心理描写に言葉を尽くさなくても感じてくれる、読み手にそんな期待を持ってくれてるのではないか。 勿論人間同士言葉を尽くさなくても理解しあえるなんていうのは傲慢な考えだけど、こと芸術においては自分の思うままを表現して、それが読み手に正しく伝わった時の心の共鳴はお互いにとって何者にも変え難い瞬間だと思う。 谷崎潤一郎の独自の文体も、敢えて省かれた心理描写も、ある種の作者と読者の信頼の形であると考えるのは慢心なのかもしれない。

    10
    投稿日: 2024.03.14
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    愛には違いないのだろうけど、純愛や性愛や、世間一般我々がいう愛とはまるで違う。信仰のようでもあるが、この二人にしかありえないような、唯一無二の関係性。それが歪んで見えてしまうのは、我々が俗な愛しか持ち合わせていないからか。

    3
    投稿日: 2024.02.21
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    伯母の本棚からいただいてきたもの。昭和49年発行。100円。新潮文庫の谷崎作品のカバーはだいぶ昔からこのデザインなんですね。このデザイン好き。 さて、春琴抄。短いのと伝聞調で内面に深く立ち入りすぎないからテンポ良くて良いですね。同じ芸道ということで唄や器楽だけでなく浄瑠璃や歌舞伎の例も触れられてましたが、このシンプルだけど強力な引力を持つ話は歌や演劇など別の表現方法でも映えるんでしょう。実際繰り返し映画化もされてますし。手元にあるものの表紙折り返しのそでには1972年『讃歌』の写真が引用されてました。どれか見てみようかな。

    1
    投稿日: 2024.01.19
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    ちゃんと谷崎潤一郎を読んだのははじめてかも。 男女の具体的な描写が無いにもかかわらず、官能的な物語。この二人の物語は、もっと深く濃厚なものであろうことが、短い短編にもかかわらず、想像が展開する。これ以上の表現も説明も不要なのだろうが、まだまだこの二人の物語に身を置きたいという余韻を残す。

    4
    投稿日: 2024.01.08
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    私はこの本に今までにないほどの愛を感じた。 谷崎純一郎の作品は歪んだ愛というものが多いが、歪みはあれど純粋な愛である。

    1
    投稿日: 2024.01.04
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    容姿端麗で盲目、三味線師匠の春琴と、奉公人の佐助との重い愛の物語。 教えと称し暴力を振るう春琴に進んで仕え、自らも盲目の世界へと足を踏み入れる佐助には狂気を感じた。 背伸びをして読んでみたが難解な文体で理解度は7割程度。 世界観が好みなので他作品も手に取りたい。

    3
    投稿日: 2024.01.03
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    丁稚の佐助がその師匠春琴への忠と愛の極致に至福を見出す物語。 物語態というのが目新しく、原典の記述に著者があれこれと考察を加えながら進んでいく。句点が意図的に省かれている効果か、非常に読みやすい。 一通り読むと、冒頭の墓の情景がより美しく映じられる。春琴に侍り彼女の生活の一切に如才なく気を配る佐助の様が、自ずから墓石に投じられるのである。

    1
    投稿日: 2023.11.27
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    爆笑しながら読むくらいおもろいナオミ最後^_^ ナオミが浮気してるかも?!ってハラハラする場面何回かあったけど毎回おもろいの凄い、にやにやして読むの止まらんなる 譲治の振り回されようが滑稽、男を手玉に取って弄ぶナオミ、それを分かりきってるのに服従せずには済まない譲治の堕落っぷりが良い 最後に馬乗りになるシーンなんてふたりの関係そのもの、ここを味わうためだけの小説と言っても過言ではないくらい好きな場面

    1
    投稿日: 2023.11.26
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    人を思うこと、愛すること。 愛の形は本当にそれぞれ。 つくづくそう思える本でした。 佐助、春琴。二人の音色を聴いてみたい。

    1
    投稿日: 2023.11.20
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    文体が特徴的ですがだからこそより集中して谷崎ワールドにのめり込めました。特に佐助が災難を与えられた後の二人の掛け合いが凄まじい。 目を突き潰す行動には自分はとても及べないけど、佐助の献身の愛の深さがよくわかったというか、異常なまでに献身的で愛の深い彼にとってはこれも一つの形なんだなと変に納得した。と思ってしまうくらい、徹底して客観視しているけどとても解像度の高い谷崎の人物描写に驚き。

    2
    投稿日: 2023.11.06
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    状況描写のみに徹するのは、師弟関係の極地に達したこの男女にこちら側を介入させないためであろう。二人だけの世界。付け入る隙は一寸もない。 大小寄り添う彼らの墓参りの情景から始まるというのがなんとも泣ける。 読みにくいと思っていた読点のない文は、やがて的確で美しい情報がダムの如く押し寄せる心地良さとなり、結局はひれ伏さざるを得ない。

    3
    投稿日: 2023.10.11
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    佐助の献身が物凄い。 後半、真に繋がった2人の世界は、常人には到達することができない域なのかもしれない。

    1
    投稿日: 2023.10.03
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    日本文学において、谷崎ほど芸術家肌の小説家はいない。ヒッチコックが映画の中で多くの「実験」を行ったように、日本語という言語に愛と信頼をおき、歴史という文脈を踏まえながら「新たなもの」を生み出してきた。 今作もまさにそう。句読点を限りなく排除した文章は、一文でさえ読んでしまうともう離れることはできない。 古き日本語の艶やかな味わいがぎゅうぎゅうに詰まっている。

    0
    投稿日: 2023.09.22
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    すごかった 大切な人にどれだけ寄り添ったとしてもその人とおなじ境遇にはなれない 目が見えてしまう、どうしてもそこに隔たりを感じてしまっていたのだろうか どうにかして同じ苦しみ悲しみを感じ一緒に生きていきたいという思い、わかる気がする

    3
    投稿日: 2023.09.10
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    このレビューはネタバレを含みます。

    盲人である、主、そして師である春琴と、その弟子である佐助の2人の愛のかたちを描いた文学。 谷崎は、「不足の美」というテーマを本作の根底に散りばめているのではないかと感じた。 視力が不足している春琴、句読点が不足している文体など、通常態からの意図的な逸脱を試みている。 この「不足の美」という観点は、何でもかんでも消費しては充足感に満ちることのない現代人の空虚な心に新しい美観をもたらすのではないか。 ただ、物語作品としては特に大きな起伏はなく、佐助の目潰しも既に知っていたため、衝撃的な展開がなかった。 故、この評価、お許しを。

    1
    投稿日: 2023.08.23
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ホンタメというYouTube で紹介してて面白そうだと思い、購入。 【感想】 文章に鉤括弧がなく、流れるように読めた。 章が変わる時に句読点がなく、次の章に流れるように誘導している感じがした。 描写から春琴のわがままな性格や 佐助のお人好しな性格で、かつ春琴を想ってることが節々から伝わってくる。 佐助が自ら盲人となり、春琴抄にそのことを 告げるシーンが一番印象的で美しかった。 言葉数は少ないが、2人が心のうちで喜びを分かち合っていることが尊い。 佐助が自ら白内障になる前に、「のちに佐助が盲目となるが〜…」という表現があったが 春琴の生き様や佐助の性格を見ていく中で、 何が彼を盲人にさせるか想像が掻き立てられて、 その後の物語の展開を想像させるものになっており、先が気になるような書き方だったと思う。

    0
    投稿日: 2023.08.22
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    盲目の美しい娘、春琴と身の回りの世話をする下男佐助。三味線の師匠と弟子でもある。 春琴の美しさ、儚さがそこはかとなく文章から伝わってくる。一方で気性は激しく、気位高く、お金に厳しい。佐助を泣かせる程に体罰と厳しい指導を行う。 佐助は、仕えた最初から春琴への憧れがあり、師匠としての尊敬の念、やがて深い愛情へと変わっていく。愛おしさを表現する文章が何気なくエロい。マゾ的な性癖も感じさせる。 そんな上下関係であるはずなのに、妊娠するとは、オイオイ、どういう事か?えーっ⁈そういう事なのか?2人は否定し、ここではハッキリした事情は語られないままだ。 人から恨みを買う事になった春琴は顔に大火傷を負ってしまう。その春琴が「私を見るな」と言った為に、自らの目に針を刺し失明した佐助。あまりにショッキングだ。ヤバすぎる。 しかし、この事で2人は同じ盲人となり、同化し、より絆が深まる。ようやく肉体だけでなく心で結ばれた。(やっぱり肉体関係はあったんかーい)佐助は、不幸ではなく、幸せを得たと言うのだから、度肝を抜かれた。 そのクライマックスシーンでは、自然と涙が溢れ出てしまい、心が揺さぶられる。そこまでの愛があるのかと…。 今も大阪の町のどこかに2人のお墓がひっそりと存在しているかもしれない。 これが谷崎の耽美な世界なのか…。読後しばらく抜けきれない。 密やかで不思議な究極の愛の描き方に今後ハマりそうな予感がする。

    9
    投稿日: 2023.07.29
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    雑誌程の薄さの中に、谷崎の拘りが詰まりに詰まった美麗描写の波状攻撃。 作者の“五感”への思い入れは凡人には計り切れない。 個人的には本作に最大のリスペクトを払った中上健次の『重力の都』もお気に入り。

    4
    投稿日: 2023.07.23
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    谷崎は初めて読んだかも。今で言う「プレイ」のような男女の壮絶な愛のカタチを描いた作品。日本でこのスタイルの文学を描いたのはこの人が初だったのだろうか。さぞかし発表当時センセーショナルに世間が受け止めたのではないかと思う。そして、男女問わず反発も共感もあったのではと。 文語体が混じったり句読点の打ち方が特殊でやや読みづらいところはあるが、主人公2人の行動と秘めた想いとをつい夢中になって追いかけてしまった。 谷?アは「耽美派」と言う言葉と共に国語の授業で習ったが、耽美派の作品は教科書に載っていただろうか。源氏物語しかり、「子供にはまだ早い」部分に蓋をするような教え方をしなければ、私はもっと国語という教科が好きになっていたかもしれない。

    1
    投稿日: 2023.07.01
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    実は初の耽美派でした。愛する心ってなんだろう。句読点が極端に少ないせいで、一見読みづらくても流れるように、立ち止まることなく美しく艶めかしい情景が次々と浮かぶ。うーむ、これが谷崎。 もしかすると、佐助はまわりの人間の嗜虐心を煽る存在なのかなと。ともすればそう扱われるのは願うがゆえ。 そして余談ですが、少し昔の「牡丹と薔薇」を思い出した。目を針で突いてというのは究極の愛を謳ったような、ここからのオマージュなのかな。

    3
    投稿日: 2023.06.13
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    古めの本をあまり読まない私にとっては結構読むのが大変な本だったけれど、この100ページに満たない文章に魅力がぎゅっと詰め込まれていて、読んで良かったと思った。 解説にもあったが、この物語は「思考と官能がぴったりと重なりあい」「人間の愛の世界をくりひろげた」ものであると感じた。これも一つの愛の形だよね

    1
    投稿日: 2023.04.07
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    盲目の師匠と彼女を献身的に支える弟子の美談、かと思いきや、めっちゃ怖くて気持ち悪い話だった。句読点がかなり少ないのに読みづらさは感じられず、寧ろそのおかげでおおらかに流れるような優美な文章になっていて、さすが谷崎、、、と思った。

    1
    投稿日: 2023.03.28
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    このレビューはネタバレを含みます。

    終盤から一気に怪しい雲行きに…。でもセンセーショナルな事件に不自然さを感じさせないのがさすが!谷崎潤一郎の作品って、主人公が崇拝するヒロインにも痛烈な内面に向けた考察が展開されるのが魅力的。なんかリアル、ってすごく大事な感覚。 いや違くね? 春琴は「どんな姿になってもあなたを愛します」って言って欲しいんじゃね? とか思ってたけどSMの世界は佐助の出した答えで正解らしいですね。性的マジョリティにはわからん。でもそこが面白かった。 終わり方も秀逸。 誰だっけ、佐助の愚行を彼の功績と結びつけて賞賛したおじいさん。フツー読者としては「いやいやマゾヒストの妄想でしょ? 性的倒錯者の異常行為でしょ?」で終わらせたくなるところを分かってて指摘してる。さすが谷崎潤一郎。

    0
    投稿日: 2023.03.02
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    このレビューはネタバレを含みます。

    4.5くらい 顔に火傷を負った春琴が、目を針で突いて春琴同様盲目になった佐助に対して言った「お前にだけは見られたくなかったのだ」的な言葉が、春琴が本当に佐助のことを他の人とは違って特別に思っているのだということが伝わって好きだ。 その後、2人は子供を4人もうけたとのことだが、互いに慰め合った結果にできた子供たちなのかなと思った。エロとは違う気がする。 あんなに春琴のことを想っていたのだから、春琴の死後、佐助は廃人になったり自殺をしたりするのではないかと考えてしまったが、もし彼の目が見えていたらそうであったかもしれないけれど、盲目の佐助の瞼の裏にはずっと美しいままの春琴が焼きついていたことと、真っ暗闇の世界でずっと2人は繋がっているという気持ちがあったから天寿を全うすることができたのかなと思った。もしかすると、春琴が亡くなってからは瞼の裏に見えている美しい春琴のことを仏像とかそういうものを崇拝するような気持ちで見ていたのではないだろうか。

    1
    投稿日: 2023.03.01
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    4.3くらい 朝読の時間にちまちま 最初はちょっと読みづらいかな?って思ったけどだんだん惹き込まれていった それはほんとうか、のところの文章全部好き 思わずため息をついてしまうくらい美しい小説でした 落ち着いたらまた読み返したい

    2
    投稿日: 2023.01.13
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    LINEのオープンチャット「読書会すみれ」で輪読会の課題本として取り上げられた小説。今更ながら読みました。 本書は、ある極端な愛の形を描いた作品と紹介されるのが一般的。例えば新潮文庫の裏表紙には「被虐趣味を超え繰り広げられる絶対美の世界」と団鬼六さんの特殊なジャンルの小説の紹介みたいなことが書かれています。が、読んでみたら、素直に物語の展開に夢中になり、面白い小説であると思いました。 印象に残ったのは ①春菊の性格描写と弟子に対する非情の扱い②段落の欠如と極端に少ない句読点。ただし、音読すると心地よいリズムを感じる文章 ③佐助の心理描写と覚悟の行動 挫折のアツが強そうな小説ですが、本当に面白い小説です。ブックオフでは110万円コーナーにありますので、思い出したらお買い求めください。

    0
    投稿日: 2023.01.12
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    短めで読みやすかったし痴人の愛よりも表現が婉曲で破滅感がいきすぎてなくて好感を持てた。他を寄せ付けない神秘的で甘美で淋しい2人の間柄に惹きつけられた。自然と光景が目に浮かぶ美しい文章でした。夢見心地みたいな、ほのかに花の匂いのしそうな、人気のない、日陰のイメージがした。 「佐助は現実の春琴を以て観念の春琴を喚び起す媒介としたのであるから対等の関係になることを避けて主従の礼儀を守ったのみならず前よりも一層己を卑下し奉公の誠を尽して少しでも早く春琴が不幸を忘れ去り昔の自信を取り戻すように努め、今も昔の如く薄給に甘んじ下男同様の粗衣粗食を受け収入の全額を挙げて春琴の用に供した」ここが印象に残った、、、、。 途中からこれぞ谷崎という感じのマゾヒズムが出てきてあ〜これこれ!とニンマリした。美しいお話だった。

    2
    投稿日: 2023.01.04
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    学生時代、文学史で名前を知ってから気になってた本。 愛にもいろんな形があるんだな…よく分からない世界だ。

    1
    投稿日: 2022.12.14
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    読点と改行が少ないですが、流れるような古典の大阪言葉が声に出しても耳に心地よかったです。 大阪の人間であっても大阪の言葉は半端に文字に起こすと聞き苦しいものがありますが、この作品の言葉は美しく、それを読むだけでも価値があると思います。

    1
    投稿日: 2022.12.10
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    このレビューはネタバレを含みます。

    琴や三味線の師匠の「春琴」とその丁稚奉公をしている佐助の愛を描いた話。究極のマゾヒスト小説?と言われているらしい。

    1
    投稿日: 2022.12.05
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    面白かった。やっぱり昔の小説ということもあって読みづらい。句点がなかったり、言葉がやけに古めかしかったり。昔の言葉で更に昔のことを語るのだから尚のことよく分からないところが多かった。楽しんで読めたのは佐助の心理。狂気にも似た心酔が読んでいて面白い。春琴もまた同様。歪な愛が垣間見えるところがゾクゾクした。すごく客観的だったので余計。

    0
    投稿日: 2022.10.09
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    このレビューはネタバレを含みます。

    友だちに勧められて読む。 その前に映画をチラリと見てたので、なんとなく内容は知ってたけど、記憶とは違う部分もありました。 どこかで究極のマゾヒズムって書評をみたけど、 それは違うと思った。 これは、SとかMの話じゃなくて、究極の愛の話。 なんなら、愛される方が強いんじゃなくて、愛する方が強いとも思う。 13歳の佐助が9歳の春琴に仕えるようになって、それから死ぬまでずっと彼女を愛していたんだよなぁ。 しかも、その美しさからというから、またすごい。 だって美人は3日で飽きるっていうでしょ。しかも、春琴ってめちやくちゃ性格キツい。 お師匠さんとはいえ、暴力的だし、理不尽だし。 でも、それでもずっとずっと側についていたし、 顔を見られたくないという、春琴に対して、 両目を針で刺すというのがまた、すごい選択。 (いろんな描写をあまりせずに淡々とすすむ小説なのに、なぜか目を刺す部分だけめっちゃ描写するのは、作者の性癖?) なんだかんだで最終的に子どもを3人(4人?)作ってても、さくっと養子に出しちゃう潔さ。 子どもを愛するよりも、春琴を愛したいというあわられ。 ほんと、やばい二人です

    0
    投稿日: 2022.09.24
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ストーリーはなんとなく知っていましたが、やはり読んでおくべきだと感じました。 盲目で美しい三味線の師匠・春琴と彼女を支える奉公人の佐助。 ふたりの間にあるのは、美しい心の交流だと思ったら、全然違う。 春琴は見た目こそきれいでも、驕慢で吝嗇で、自分の意に染まないことは絶対にしない。 三味線の稽古でも、佐助をはじめとした弟子を罵るし、バチで傷が残るほど叩く。 自分の姿を見ることができないのに、高価な化粧品を使って身なりを整えさせる。 そんな春琴を、4つ年上の佐助は、例えば不憫に思ってお世話をするのならわかるが、美しい春琴を崇め、何をされても言われても、ありがたく受け入れる。 人は見た目が10割? 周囲は敵だらけの春琴がある日、熱湯を顔にかけられ二目とみられない顔になる。 春琴はもちろんこんな姿を誰にも見られたくないと思うのだが、それを知った佐助は意気揚々と自分の両眼を針で潰して、美しかった頃の春琴の面影を永遠に脳裏に焼き付けるのだ。 凄まじすぎる。 春琴の気持慮ったのではない。 自分の気持ちに正直に行動しただけだ。 人は見た目が10割? 口が堅く実直なお手伝いの女性の手を借りながら、佐助は生涯春琴の世話をする。 春琴も佐助にしか世話をさせない。 食事もトイレも入浴も。 ふたりの間には何人か子供が生まれるのだが、里子に出して終わり。 手元に置いて引き取ろうとは考えない。 ふたりだけで作り上げ、ふたりだけで完成している世界。 たった100ページほどの文庫本から、濃厚な毒が沁み出してくるようでとても怖かった。

    2
    投稿日: 2022.09.09
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    生きている春琴を媒介にして、記憶の中の春琴を想い続けるって、ある意味残酷。 春琴がようやっと心を折れかけたところで、 そんな事、以前の春琴ならしなかった!と拒否するって、春琴にとっては絶望的な気がするけど、これも愛なのか…。 そこまで愛し愛される関係は、羨ましいような少し怖いような。。 過去何度も読み返してるけど、また気が向いたら読み返そう。その時違った感想が出てくるかもしれない。

    0
    投稿日: 2022.09.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    『鵙屋春琴伝』という小冊子をもとにするという体で、三味線の師匠で盲目の美女・春琴と、それに仕える佐助を描く。幼いころからの主従であり、師弟であり、事実上の夫婦という不思議な関係。 春琴が顔に火傷を負い美貌が傷つけられると、彼女の面影を記憶に永遠に留めようと、佐助は自ら針を刺し盲目になる。マゾヒスティックな愛と官能。 改行なし、句点も少なく、見た目は驚くが、注釈は多いものの、リズムがよく意外と読みやすい。しっかりと面白さも担保されている。

    0
    投稿日: 2022.08.18
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    このレビューはネタバレを含みます。

    2021/07/09 読了。 感想は某所のブログで書いたものの再掲です! ・お、谷崎潤一郎にしては清らかぽい……? と思いましたね。といっても私が読んだことある谷崎作品は『痴人の愛』『青塚氏の話』しかないので、なんとも言えませんが。 ・読んだことある中ではわりと好みです。今のところ1位かも。近代文学なのでネタバレとか気にせずに話しちゃいますね。幼い頃に盲目になった三味線奏者、春琴に丁稚の佐助が献身的に仕える物語なんですが、まあ、谷崎ですので、マゾヒズム的な耽美ですね…… ・でも、痴人の愛よりそんなでもなかった。佐助は春琴の身の回りの世話をするうちに自分も三味線を習うようになり、春琴の弟子となります。春琴は佐助が泣き出すような激しい稽古をつけ、師弟関係、主従関係がはっきりと感じ取られるんですが、春琴が妊娠して佐助そっくりの子供を産むんですね。二人は関係を否定しているのですが…… ・この、はっきりとした師弟関係の中、肉体関係もあったことを示唆するの、き、きもちわり~~~!!!やっぱ谷崎はこうでなくっちゃ~~~!!!!と謎にテンションが上ってしまいました。二人に肉体関係があったことがきもちわり~のではなく、体を重ねる描写はないのに子を産んだという情報だけが出されるところの、妙な潔癖感がきもちわり~のです。肉体関係があったのだな、とこちら側に強制的に思わせるところがきもちわり~のです。 ・春琴は恨みを買った人物から熱湯を浴びせられ、顔に大やけどを負うんですが、そのただれた顔を見せるのを嫌がり、佐助さえ近づかせないようになります。そんな春琴のことをおもう佐助は自ら目を針で突き、失明します。この針で突くシーンも妙な丁寧さで描かれており、肉感があるのに変にさらりとしていて、谷崎~~~!!こいつ~~!!ってなりました。 ・佐助が自分も失明をした、あなたの顔はもう自分には見えない、と春琴に報告したあと、「佐助、それはほんとうか」と春琴は言い、沈黙します。ここ良かった。肉体関係がありながらも師弟関係であることで壁があった心と心が、佐助が盲目になることでようやく通じたんですねえ。 ・さっきも書いたけど、今まで読んだことある谷崎作品の中では一番好きかな…… 師弟関係とか主従関係が好きなので。でも痴人の愛はそのへんがネットリしすぎたんだよな。読んだの高校生のときだから今読んだらちょっと印象違うかも…… 春琴抄のふたりは、まあ、肉体関係がありながらも表向きはしっかりとしていたので、好みでした。

    0
    投稿日: 2022.06.19
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    自分は盲目になってまで、誰かの身の回りの世話をし続けるような献身的な愛情を持つことはないんだろうなと思うと佐助もなかなかの狂人だなと思った 句読点がほぼ省略されているのにそこまで読みにくくない文体だった

    0
    投稿日: 2022.04.08
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    黒髪(弾いた事ある!春琴に似合うなぁ) 茶音頭(大好き) やっぱり茶音頭は難曲だと知って、より一層弾きたくなってしまった。 感想ではないですね。ごめんなさい。

    1
    投稿日: 2022.04.01
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    谷崎作品の文体の美しさがつまった作品。句点を徹底的に省いた文体で読者もある種の不自由さをもって読み進めるが、読みづらさを感じるよりかはさらさらと流れるように没入できる。佐助が目しいになった事を告白する場面が特に好きで、この数分間の沈黙に春琴と佐助の全てが詰まっていると思う。非常に短い作品であるが、秘めた愛を感じる傑作。でも鳥飼い的にはペットを空に放つのはダメです、窓閉めてください。

    2
    投稿日: 2022.03.07
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    「それはほんとうか、と春琴は一語を発し長い間黙然と沈思していた佐助は此の世に生まれてから後にも先にも此の沈黙の数分間程楽しい時を生きたことがなかった」 二人の後半のやりとりには深い愛情と絆を感じずにはいられなかった

    0
    投稿日: 2022.03.06
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    ― 愛玩の雲雀の籠を開けて空へ放った照女が見ていると盲人の師弟手を取り合って空を仰ぎ遥かに遠く雲雀の声が落ちてくるのを聞いていた雲雀は頻りに啼きながら高く高く雲間へ這入りいつ迄たっても降りてこない余り長いので二人共気を揉み一時間以上も待ってみたが遂に籠に戻らなかった。― 人が何に価値を感じるのかは当然それぞれであって、佐助が一生のすべてを犠牲にして奉公したのは彼の価値観という他なく、春琴が彼を卑下しつつもあらゆる身辺のすべてを委ね添い遂げたのは彼女の価値観という他ない。それを首肯で断ずることは何人たりともできないであろう。 その愛の形というよりも思いを貫く強靭な意志にこそ常人では達せない境地があって、結末までの積み重ねの道程にこそ文学たらしめている何かがあるように思えた。 幼少期から描くことで二人の関係はいじらしく微笑ましく見え、時を経るにつれ暗く奥深い崇高な領域へと沈み込んでいった。 終盤の鶯や雲雀の描き方が何やら象徴的で情緒深い。江戸末期から明治にかけての主に上流階級の人々の生活や風俗が活き活きと描かれており、当時の日本の賑やかな町並みや人々の姿が目に浮かぶようである。 非常に巧みで豊かな表現と句読点を交えない独特な筆致は、不思議と滑るようなグルーヴを生み、心地よい読書体験を与えてくれた。

    0
    投稿日: 2022.03.04
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    川端康成はこの作品をこう評します。 ──「ただ嘆息するばかりの名作で言葉がない」 (『谷崎潤一郎氏の作品』) そうです、もう嘆息するしかないのです(笑)。今更語るまでもありますまい、谷崎文学の最高峰…だと個人的には思ってます。 有名どころの『痴人の愛』や『細雪』に比べれば短めのお話ですが、句点を極端に省いた大胆な文体で春琴と佐助の人生を追っていくわけですから、とにかく一つ一つのエピソードが強く鮮明に脳裏に焼き付くようになっています。三四時間程で読み切ってしまう分、カタルシスが半端ない! 三人称視点の作品でここまでグッとくること、なかなかないです。 最初読んだ時は、想像していたよりも綺麗な作品でびっくりした記憶があるのですが、今思えば『春琴抄』があってこそ、自分の中で谷崎文学を完成させることができたような気がします。悪魔主義だマゾヒズムだフェティシズムだ云々といったバイアスで食ってかかるようにして谷崎成分を吸収しようとしていた自分が、どこか恥ずかしくもなりました。 純粋に、春琴は逆遇の中でも絢爛と輝く素晴らしい女性ですし、佐助だって一心に春琴に尽くしたかっこいい男性だと思います。これがものすごく伝わってくる。眩しくて、「目を閉じ」たくなるくらいに肉薄してくる。読者を超越してくるんです。ですから、私はただただこの傑作に嘆息してしまうのだと思います。川端さんもそうだったんじゃないかと、烏滸がましくも思ってみたりします…。

    0
    投稿日: 2022.02.28
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    自らの目を潰すほどの忠誠心を示す佐助の姿に不思議と戦慄よりも美しさを感じる文章力の高さに驚かされる。加えて、句読点が少ないのにも関わらず読む事が苦にならならない。春琴に対する佐助の献身的な愛の形は作家自身の理想を反映したものなのだろうと感じます。

    2
    投稿日: 2022.02.28
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    句読点を大胆にカットし、独特の雰囲気を生み出しています。 師匠と弟子の、二人だけの世界。 「二人だけの世界」というのはうっとり夢見心地、なんてものではありません。 お互いがお互いに信頼している。 盲目のお師匠様はやけどで爛れた顔を「見んとおいて」と言う。佐助は「此の通り眼をつぶっております」と返す。 お師匠様が顔を見るなと言うから、佐助は針で眼を潰す。お師匠様がやれと言えば佐助はやるだけ。お師匠がダメと言えば佐助はしないだけ。たったそれだけだ。たったそれだけだから、佐助は自ら眼を潰したのだ。 単純でありながらも、凄絶な師弟愛の話。

    0
    投稿日: 2022.02.27
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    2022/2/26読了 句読点がなく読みにくいが、途中でリズムを掴んで慣れてくる。 側から見れば狂った愛なのに、美しい文章と佐助の献身さ、春琴への忠義で純愛かと思えてくるから不思議。 好きな人には好きなんだろうなぁと思いつつ、私にはこのジャンルは苦手でした。

    0
    投稿日: 2022.02.26
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    何年振りかの谷崎、春琴抄は再読。積読の中から何とはなしに手に取って、やっぱり素晴らしいと思うと共に、歳をとるにつれ、以前読んだ時よりも味わい深く感じるのかも知れない。 盲目の美女への究極の愛、醜くなった姿を見ないために、自身の両目を針で突く嗜虐的な描写、句読点で区切られずに、連綿と連ねられる典雅な文章は、まるで和紙に筆で書かれた昔の本を読んでいるかのよう。 憧れ、執着、習慣、尊崇、恋慕、慈愛、理由も根拠もなく、己の全てをただ一人の人に捧げること。良い悪いの価値判断を超えて、これもまた生きるということ。

    1
    投稿日: 2022.02.12
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    これが男女の愛の究極形の一つなのかもしれない。今の時代では身分などで結婚を見送る事も少ないので、共感するのは難しいかもしれない。この二人は結果的には幸せな人生だったのではないだろうかと望まずにはいられない。

    1
    投稿日: 2022.01.04
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    句読点が非常に少なく読みづらいのだが、その絶妙なつらつら加減により、後から思い出して書いた文章ではなく、頭に浮かんだことをその場でそのまま出力した文章のように感じる。目で見て読んでいる言葉が、まるで自分の頭から流れ出てきているようだ。 あらすじを聞くだけではとんでもない、頭のおかしいと思ってしまうような話なのに、何故惹きつけられるのだろうか?何故「美しい」と思うのだろうか? 変わらない奉仕を続ける佐助の一途さに同情するから?佐助の姿が自分の中のマゾヒスティックな部分と (共感はできずとも) 共鳴するから? この本の解説にも書かれているが、この作品は「人間はどう生きるべきか」というような哲学的主題は提示しない。ただ作者の主張する美しさが描かれるのみである。これが耽美主義と言われるものなのだろうか。 不勉強の私には分からないことばかりだが、私はこういう作品に強く惹かれることが分かった。

    3
    投稿日: 2021.12.30
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    読了後すぐには掴めない作品だった。 人を愛することは、これほど純粋で、熱狂的で、狂おしいものかと思った。

    0
    投稿日: 2021.12.30
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    「魂が震えるくらいロマンティックな恋愛小説が読みたい!!!」って思ってネットで検索したら『春琴抄』が出てきて「春琴抄!お名前はかねがね!」って読んだ。良かった! エロくない谷崎潤一郎だった。 もうまず、盲目の美少女・琴が佐助に手を引かれて師匠のところに稽古に行くのがいいよね。 春琴の、お嬢様育ちかつ天才故の傲慢さもいい。 一番好きなところは、春琴の心が次第に折れて佐助と結婚しようかと考え出すけれども、佐助の側がそれを拒むとこですね。ある意味非常に残酷というか、結局佐助が愛しているのは春琴自身というよりも、春琴を介して見る「理想の女」なんだろうな。 ひたすら美!美!美!お耽美最高~~~!!!

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    投稿日: 2021.12.29
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    紹介されていたように、句読点がほぼ無く改行がありませんでした。 自分の中で「、」や「。」を入れたつもりで読めばいいのですが、脳内で息が続かないような気になるという謎の状態に陥りました。 個人的には面白く、春琴と佐助にしか理解し合えない愛情であり、お互いがお互いをそのように育てあげた結果であるのかなと感じました。

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    投稿日: 2021.11.09
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    とても面白かった 盲目の美女に甲斐甲斐しく仕える佐助が一番やばいヤツだった 好きな人と同じになりたい気持ちはわかるけどマゾが過ぎる

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    投稿日: 2021.10.30
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    谷崎潤一郎中期の名作。 新潮文庫版は、あとがき、注釈を除外すると74ページほどの薄い文庫で、春琴抄のみが収録されています。 岩波文庫版では別作品(盲目物語)とワンセットになっているので迷ったのですが、『刺青』や『痴人の愛』を新潮文庫で保持していたので、本棚の見た目の都合で新潮文庫版を選びました。 盲目の女性三味線奏者・春琴を主役にした創作です。 「鵙屋春琴伝」という書物を手に、春琴と、その横にある佐助の墓を参り、その書に書かれた春琴の姿を語り始めるというモノローグで始まります。 大阪道修町の名家・鵙屋の次女「琴(後の春琴)」は、9歳の頃に眼病によって盲いてしまいます。 春琴は色白く姿麗しく、盲いた焦点の合わぬ伏せがちの瞳は、彼女の美貌を一層に際立たせるような記載があり、かなりの器量よしの様子なのですが、気性は荒く、手のつけられないほどのわがままを言い度々、周囲を辟易させます。 彼女の周囲には、幼少期から身の回りの世話をしていた丁稚の「佐助」がおり、どんなに虐げられようと琴から決して離れようとしない佐助との、少し倒錯したように感じられる感情が本作のメインとなります。 佐助は、衣食住はもちろん、風呂や、上厠の世話までもつきっきりで奉公を行い、また、後には芸事に於いて師弟のような関係となります。 そこでは琴は自分も未熟者であるにも関わらず、連日佐助が泣き出すほど激しい稽古を行います。 さらには性的な部分でも、二人の間に深い秘密があるような記述があります。 気性の荒い盲目の美女と、それにつきっきりで奉公する丁稚の男という、いかにも耽美主義的な大谷崎らしい作品だと思います。 二人だけのひどく歪な関係性は、一言でいうと特殊です。 その特殊性は、当事者同士でないと理解できず、傍で見ている周囲の人々には理解の及ばないことが、本作を読むことで読者には伝わってきます。 より正確にすると、"想像させられてしまう"という感じがしました。 そういう書きっぷりが非常にうまく、谷崎潤一郎の非凡さが伝わってくる文章と思いました。 また、筋がはっきりしていて、小説として面白いので、耽美的ですが、文学初心者にもおすすめできる作品です。 ただ、一点、本作の特徴として、句読点や改行を極力使わないような文章になっています。 序盤は普通に句読点も改行も用いられているのですが、途中から不自然に句読点がなくなってきて、明らかに文章の区切りで"。"と打つべきタイミングでも"。"は無く、そのまま次の文章が、特に工夫無く続きます。 妙な接続文が続くでもなく、普通の文章で句読点だけを除外しており、私的には単純に読みにくさを感じました。 古典の流暢な文章体を感じるための実験的文章などと言われているのですが、句読点はあった方が読みやすいとだけ思いました。

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    投稿日: 2021.09.26
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    面白かった〜。 文章が美しくも読みやすいし、男女の間の怪しい情念がすごい。他は知らないけどこれは第三者が語る形だから、二人の間の情念を読み解きやすい構成になってるのかな。他の谷崎作品も読んでみたい

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    投稿日: 2021.09.19
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    愛を貫くひとつの形。 佐助の献身はひたすらの愛なのだろう。対比され描かれる春琴の傲慢さから、より引き立つ。 ストーリー展開の「抄」という形式の絶妙さ。句読点他極端に少ない文章で読者の思考さえ作者の手の内にあるようだ。

    20
    投稿日: 2021.09.02
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    難しかったけど、夢中になり読了。 究極の二人の世界。 二人にしかわからない世界。 うーん。 素敵と思ってしまった自分がいることに驚きました(笑)

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    投稿日: 2021.08.07
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    初谷崎潤一郎。盲目のお師匠さんとの官能的な愛、としか知らなかったので、読み始めてびっくり。架空の「鵙屋春琴伝」という冊子片手に「私」が春琴と佐助の人生を追うルポ形式でした。なにこれめちゃくちゃ面白いやん!!(笑) 句読点がないめちゃくちゃ長い文章も、最初は少し面食らったけどすぐに慣れて、むしろこのリズムが心地いい感じに。舞台が大阪やからってのもあるかも?馴染み深い、イントネーションが脳内再生されるからかな。 いやぁ、クセになるわ。これが谷崎沼か……他のも読むよ谷崎潤一郎。

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    投稿日: 2021.08.01
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    このレビューはネタバレを含みます。

    谷崎潤一郎の名作として現代でも多くの人に読まれている作品です。盲目の三味線師匠春琴とそれに仕える佐助の愛と献身を描いた中編作品です。この作品の特徴としては、句読点が異常に少なく、流れるようにテンポよく読めることが挙げられます。また古文調でもありますが、読み始めれば思っているよりも読みやすい文章です。 語りの形式としては、佐助が記したとされる「鵙屋春琴伝」を読んだ語り手が、春琴と佐助について語るという形をとっています。語り手は、佐助の述べていることに疑いを持ち、この二人をよく知る人物や自分なりの考察を交えながら話を展開させていくという流れになっています。 内容は、大阪の薬種商である鵙屋に生まれた春琴は9歳のころに視力を失い、それもきっかけに琴や三味線の才能を開花させます。そして春琴に憧れを抱き付き添っていた佐助も彼女に三味線の稽古をしてもらうようになります。ここからの佐助の描かれ方としては、異常かとも思われるほどに春琴を崇拝し忠誠を誓う様子が被虐的に表されていきます。そんな彼の姿は「究極の愛」としても評価されています。ここからはネタバレになってしまいますが、佐助の春琴に対するそのような行動はクライマックスの方に起きています。ある夜、春琴が凶漢に襲われ顔に傷を負ってしまいます。顔を見られたくないと訴える彼女に、“必ずお顔を見ぬようにいたしますご安心なさりませ”(本文参照)と言って佐助は彼女の美しい姿をこの目に永久に保存しておこうと自分の目を潰し、自身も盲目となったのです。これはもはや単なる被虐的行為ではないように思えますね。ただこの行動は佐助が春琴の気持ちを汲み取って行った行動でもあります。盲目となったことを春琴に伝えたのち、“過日彼女が涙の流して訴えたのは、私がこんな災難にあった以上お前も盲目になってほしいと云う居であったかそこまでは忖度し難いけれども、佐助それはほんとうか”(本文参照)という彼女の喜びの声が上がっていました。しかし盲目となってからの佐助の中にある本当の彼女の姿は、真の姿なのでしょうか。理想の姿を作り上げ、一生崇拝していたのではないでしょうか。これは本当の「究極の愛」といっていいのかは断定できるものではないように思います。 

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    投稿日: 2021.07.31
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    左助の春琴への愛が痛い程に伝わってくる。 通常の人間には絶対ない浅くない深すぎる愛情。愛とかそういう言葉では言い切れないほど強い想いが綺麗に感じる。 愛があるのにそれだけじゃない深すぎる繋がりに羨ましさまで感じてしまう。

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    投稿日: 2021.07.29
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    女性に付く男が自ら眼を突く話は知っていたが、理由は知らなかった。短い小説だが、字が詰まっていて一瞥しただけで嫌気がさしたからか。何を意図して句点を大幅に省き、漢字も多く、紙面を黒くするのか。読み進めて慣れて気にならなくなったが、読んでみてこれまで読んだ著者の作品ではもっとも良かったと、感じたからかもしれない。実在した人を題材にしたことを作中で仄めかしているが、心情描写含めリアルだった。「秘密」にもある被虐性向は著者が持するものか。2021.7.18

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    投稿日: 2021.07.18
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    読んだきっかけはタイトルだけ聞いたことがあったが、読んだことがなく気になった。名作を読みたかった。分厚さが薄かった。  面白かったけど私には共感できない愛の形態だと感じた。春琴と佐助の深い奥の繋がりを感じてある種の純粋な気持ちを感じた。

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    投稿日: 2021.07.16
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    男女のこういった主従関係が好きな事に最近気づきました。(女性が上の立場で、且つ歳が近いのに限る)好みドンピシャでした。 あーでも春琴が醜くなってもそれすらも愛せるような奴であって欲しかった〜…顔を見ようとしたけど見れなかった描写は若干萎えました。(あってる?)佐助は全然見れるけど春琴が自分の顔を見て欲しくないから目を潰すってのなら良かった(願望)存在自体を愛してやってくれ〜! 句読点が驚きの少なさで読むのが少々息苦しい?ですが、楽しんで読めました。

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    投稿日: 2021.07.10
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    めっっっっちゃ好き。 お師匠はわがままドSやし佐助もどどどMやとは思う。でもこれはシンプルな愛では???? 凹凸が隙間なく合わさってるから色々な関係性で上手くいくんじゃないの。狂気でもなんでもない、ただ好きなだけ。好きな人に好きな人らしくいてほしい。っていうだけ。ただの愛。 と、私は思いました。

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    投稿日: 2021.06.22
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    このレビューはネタバレを含みます。

    谷崎潤一郎がフェチズム小説と言われる所以がわかった。 主に佐助に視点がおかれていて、佐助のお師匠さんに対する盲信がはてなかった。 けれど、佐助は本当に春琴という人物が好きなのかと疑問が残った… 美しく盲目の気丈なこいさんをフェチの対象として好きであっただけで、春琴本人を愛していたのか…? 春琴に忠実な下僕という場所が良かったから、春琴の美貌が失われてもなお居たのかな… 春琴を好きな気持ちに見せかけたナルシストな感情があったような気がして佐助はあまり好きでなかった 反対に佐助にしかすがれずに、佐助そのものを求める春琴は大変好ましかったです(笑)

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    投稿日: 2021.06.20
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    春琴抄 谷崎潤一郎 2020/12/16〜 これが耽美派というやつか。 盲目の美女である春琴と手引きの佐助の、一見歪んでいるも両者の中に確かに存在する愛というか、お互いになくてはならない存在というか、共依存というか。 常人には理解できないけれども、確かな2人の関係がそこにはある。 人間、不完全性の宿る美しさに惹かれるのは何故だろうか。 ミロのヴィーナスも、腕がもげているから、観る人が想像することで美しさを表現していると聞いた事がある。 もっと身近な例でいうと、マスクしている女性は全員美人に想像してしまう。これはちょっと話がずれているか。 ともかく、春琴が人並み外れた美貌と抜群の芸の腕前を持ちつつも盲目であるという、完全さの中に宿る不完全さが読者を魅了するんだろう。 まさに滅私奉公と言えるほど四六時中春琴の世話をし、春琴の顔が焼けただれた際には自らの目を潰す佐助。 マゾヒズムを超えた、セピアで耽美な物語。 句読点や改行が極端に少ない文章は、正直読みづらい事この上ないけど、逆に気を緩めずに物語に没入させられる。 これこそが純粋な愛だ、みたいな感想がたくさんあるけれど、この2人の間に存在する繋がりを「愛」という言葉で表現するのは安っぽい気がする。 きっとそんな事言っても佐助は否定し、春琴は烈火のごとく怒り狂うだろう。

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    投稿日: 2021.06.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    Mな男子もしくはSな女子には必見です(笑)。 句読点が余りにも少ないのでまあまあ読みにくいですが、慣れればさほど気にならなくなります。また、第三者の視点で物語が語られているので、物語上の描写とはまた違った二人の関係もあったんだろうなあといろいろ妄想しながら読むとより面白いと思います☆めっちゃプラトニックな感じで書かれていますが子供も3人産まれたみたいですし^^;。 とりあえず僕は、褒められて伸びるタイプなので春琴みたいに余り冷たくされるのは嫌です(笑)。ただ、一人の女性に対してこれほどまでに惚れ込み、尊敬し、しかもその相手に対してトイレや風呂の世話まで出来るのであれば、他に何も見えなくても幸せなのかも知れないなとちょっと思ったりしました♪・・・いや、でもやっぱさすがにトイレは自分でしてもらいたいかな^^;。

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    投稿日: 2021.03.23
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    明治時代が舞台。盲目のお嬢様と丁稚奉公の男の幼少~晩年の話。なかなか狂暴で冷酷なお嬢様に、公私ともに追従する男。 ウグイスを飼って鳴き声を楽しむ道楽があったらしいが、お嬢様は「ホーキーベカコン」と良い声でなくウグイスを所望した。私はその鳴き声のイメージが全然わからなかったので、検索したら、”ホーキーベカコン”という漫画があって、春琴抄をモチーフにした原作よりさらに激しそうな作品だ。結局鳴き声のイメージはわかないが、この単語にはみんな引っかかるのだろうと思った。

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    投稿日: 2021.03.13
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    このレビューはネタバレを含みます。

    芸術的で、文章に引き込まれる。こんな春琴にお仕えしたくなる気持ちはわかる。けれど、顔に熱湯を掛けられてからは佐助も春琴も好きじゃなかった。そこがメインテーマだと思うから、あんまり谷崎潤一郎の理想には共感できないみたい……。佐助と結婚したいなんて弱気の春琴は理想のお嬢様じゃないし、弱気の春琴には興味ないって言って理想を押し付ける佐助も従者としてそんな奴嫌い。でも傲慢だけど基本的に筋が通っていて自分では絶対に勝てない美しいものに心酔しきって崇めるのはとっても綺麗な関係だった。 文章の書き方が「読めない奴は着いてくるな」とでも言ってるようで好き。それに個人的には文章力が凄くて読むのは苦じゃなかったし、息も継げないくらい熱中したのは多分句読点改行無しで息を継がせてくれてなかったせいだと思うし……。

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    投稿日: 2021.03.12
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    さらりとした文体でありつつも、どこか雅な雰囲気が漂う谷崎潤一郎の作品。 決して良い結末とは言い難いものの、ただ二人の世界に入った師弟は、浄土の池に浮かぶ蓮華のような清らかささえ感じる。

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    投稿日: 2021.02.20