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辞書を編む
辞書を編む
飯間浩明/光文社
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総合評価

56件)
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18
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6
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    本屋で棚をザーッと流し見していたときに、ふとタイトルが気になり手に取った本。 国語辞典編纂者(編集者ではなく編纂者)による『国語辞典とはどういう工程で作られているか、またその苦悩と面白さ』が詰まった一冊。 国語辞典ってどれも同じで語数が多ければいいんじゃない?と思っていたが、それは完全に間違いだと考えを改めさせられた。辞典それぞれに特色があって、一見無機質な辞書にも、その裏には大変人間味のあるドラマがあるのだと感じた。 堅苦しい内容に感じるかもしれないが、文章がとても読みやすくあっという間に読了してしまった。さすが国語辞典編纂者。 この本を読み終わったときにはあらゆる国語辞典を読み比べしたくなるはず。

    0
    投稿日: 2024.05.13
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    ■印象に残ったフレーズ 本当に必要なことばを集めるためには、まず、あらゆることばを、「おもしろい」と思うこと。未知のことばはもちろん、当然知っていることばでも、改めて別の面から眺めてみて、価値を再発見する。そういう姿勢が不可欠です。

    0
    投稿日: 2021.10.10
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    映画と原作の後は、実際の編纂の現場を見てみよう。これがなかなか面白い。ちなみに我が家の国語辞典は「三国第7版」です。

    1
    投稿日: 2019.10.06
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    辞書作りのドキュメンタリー作品。 この本を読めば、辞書の見方が変わります。 辞書とは、とてつもなく、地味で、途方もない努力の末に作られている、一つの作品であることがわかります。 辞書づくりは、世界(街、書籍、テレビなど)でどのようにことばが使われているか、まずは、うん千、うん万という事例を採集。でも、辞書に書くほどでもない、一般化されているとは言い難いことばたちは、辞書に入れてもらえずに、編集会議でボツにされて。生き残ったことばたちに待っているのは、定義づけ(語釈)。 この定義づけが、おもしろい。時代がかわれば、ことばの語釈もかわる。 例えば、愛。昔は「男女」の間にある思い合う心、みたいに書かれていたのですが、今は「男女の間」が取られていたり、とか。 本書の最後に、辞書とは、「ことばで世界の模型をつくること」と書いてありました。 つまり、「世界にある事象一つ一つを、私は、ことばで説明すると、こう解釈しています」と。素敵な考え方だと思いました。 良い仕事ですね、すばらしい!

    1
    投稿日: 2019.08.15
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    面白い。 辞書というものを、いろいろな人がその辞書の特色のもとに編纂して作っているという考えてみれば「当たり前のこと」を改めて認識できた。 最近は、わからない言葉が出てきたら即スマホのブラウザで検索というパターンばかりだったが、辞書を買って引いてみることにしよう。

    1
    投稿日: 2019.05.22
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    『三省堂国語辞典』の編集委員が書いた一冊。国語辞典を編集するプロセスに合わせて章を立て、それぞれ実例を挙げながら解説する。昨年12月に出版された『三省堂国語辞典第7版』の編集作業と並行して書かれただけあって、臨場感たっぷりだ。 著者によれば、辞書の編集とは、1.編集方針を立て、2.用例を採集し、3.取捨選択をして、4.語釈を書く、5.最後に手入れをする、というステップをふむのだそうだ。どのステップも面白いが、中でも語釈を書くところがいい。「右」の語釈を「南を向いた時の西にあたる方」としても「南」の語釈を「日の出る方に向かって右の方」としてしまうと循環論法に陥る。そこで「アナログ時計の文字盤に向かって一時から五時までの表示のある側」という語釈が登場し、さらに「この辞書を開いて読むときの偶数ページのある側」へと進化する。しかし、それでも満足せず、「『一』の字の書き終わりの方。『リ』の字の線の長い方」にまで至る。あくなき探究心と言葉への熱い想いを持つ辞書の編集委員たちに、敬意を表さずにはいられない。 それにしても、こんな面白い新書が4月に出ていたとは。新書の新刊はだいたい書店でチェックするのが常なんだが、この本は見落としていた。

    0
    投稿日: 2018.11.18
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    三省堂国語辞書の編纂委員が書いた「辞書を編む」は面白かった。用例採集は面白かった。カメラを持って町に出て、用例を採集するなんて。知らなかったなあ。この辞書を買ってみようかな。iPhone版もあるようだし。

    0
    投稿日: 2018.10.11
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    ・飯間さんの三省堂国語辞典と言葉に対する愛情に和む。 ・辞書の違いは語数くらいだと思っていたけど、方針があることに気づけた。 ・辞書作りの難しい点がわかる。たとえば、「右」をどう説明するか、「恋」をどう説明するか。時代の変化や、媒体の変化に応じて説明も変わってくるなど。 ・とりあえず三省堂国語辞典が欲しくなる。

    0
    投稿日: 2018.07.10
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    先週6月11日、NHKの「プロフェッショナルー仕事の流儀」でも取り上げられていた飯間さん。 番組でもワードハンティングや、データの整理、語釈執筆などの様子が紹介されていて、まさに本書での通りだったわけだが。 『三国』への愛に溢れ、相当饒舌な印象さえ受ける。 あ、勿論、悪い意味ではなく。 本書は、辞書編纂の手順に沿って、章が割り当てられている。 編集方針があって、用例採集、取捨選択、語釈を書き、既存の項目の内容を手入れする。 語釈を書く苦労を、ある意味面白おかしく紹介するあたりは、さすがだなあ、と思う。 特に「キャバクラ」のあたりは捧腹絶倒もの。 一方、考えさせられるのは最終章の「これからの国語辞典」。 紙辞書の敵は電子辞書にあらず、ウェブ上のフリーの辞典だという。 紙辞書が淘汰されてしまったり、採算が取れなくなって、高価なものになってしまったりする未来は、ちょっと嫌だ。 うまく棲み分けをしてもらいたいと望む一方で、こちらもお金を出して辞書を買うという協力をしていかなくては。

    0
    投稿日: 2018.06.17
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    そもそも「辞書の違い」って知ってますか? この本を読むまでは、収録数の違いくらいだと思っていたけど、辞書ごとに「編集方針」があるそうな。著者は「三省堂国語辞典」の編集委員ということで、三省堂国語辞典のできるまでが克明に書かれている。ちなみに、こちらの辞書は「中学生にでも分かる説明」をモットーにしている。なんだか、とっても簡単なような気もするコンセプトではあるが、なかなかに奥が深い!ちなみに、この辞書は「ものを書く人」や「スピーチ」を良くする人が言い回しなどを調べるのに、重宝するらしい。これは久しぶりに辞書を手にしたくなってきたぞ!笑 文字の専門家が書いた本だけあって、とても読みやすいのに、読み進めるごとに「なるほど!」が随所に散りばめられている。

    1
    投稿日: 2018.04.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    まず、書評をば。 読みやすく、辞書編纂への思いが感じられる。愛のある一冊。 これから先、有難さを頭の隅に感じながら、辞書を引かせて頂きます。 そして、著者 飯間氏に届けたい。 作中のパート「紙の辞書はなくなってもいいか」で、紙のよさを示す部分があります。 僕が書斎からデジタルを排除し、紙の辞書を持っている最大の理由がそこにはありません。お気づきでしょうか。 スマホ辞書は書斎では邪魔なのです。 言葉の意味を引くつもりが、逆に通知欄に

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    投稿日: 2018.02.06
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    <目次> はじめに 第1章  編集方針 第2章  用例採集 第3章  取捨選択 第4章  語釈 第5章  手入れ 第6章  これからの国語辞典 <内容> 『三省堂国語辞典』の編者の一人、飯間さんによる辞典(辞書)の作成をリアルタイムで紹介した本。著者の「実例主義」の話が面白い(第2章)。第6章は、なるほどと思った。ネット上に「ウィキペディア」の辞書版「ウィクショナリー」があるのは知らなかったが、さらに俗語辞典「日本語俗語辞書」があるとは…。本の発行が2013年なので、その後どちらも語数が増えていると思うが、『広辞苑』第7版の発行で、紙の辞書とネット辞書の違いをテレビでもやっていたように、紙は自然と調べている単語以外にも目が行くところだと思う。結果、語彙数が増えていく(ただし、活字に拒否症状のある人はつらいかな?)ことだと思うので、今後も紙の辞書の改訂をし続けてほしいな(私も活中だから⁈)。 逗子市立図書館

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    投稿日: 2018.01.14
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    例えば。「愛」は「恋」の上位という認識が一般的な感があるけど、辞書の語釈で考え且つ成り立ちも踏まえると、けしてそんなことはない。 そんなことを真面目に思案し議論する“辞書編纂者”なる人種のお仕事ドキュメント、辞書が作られる過程の体験談だ。言葉好き、辞書好きとしてはその全てがエキサイティング。 語釈も宝だが、それを書くための用例こそが、一度失われたら取り返しがつかないとか、語釈は、既にある解説を再構築しても駄目で、自分の経験まで含めて自分の言葉にしなければならないとか。うん、伝わってないと思うけど、面白いんだ!

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    投稿日: 2018.01.09
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    このレビューはネタバレを含みます。

    飯間さんの誠実な人柄が「読ませる推進力」になり、結果、辞書編纂という作業の面白みが伝わる、とても美味しい読書。 本書を要約すれば、生きた言葉を平易に説明、という編纂方針に尽きる。 その具体例が膨らみを持って紹介されるのだが、細かく教えて貰えば貰えるほど興味が湧く。 こんこんと泉のように。

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    投稿日: 2017.03.06
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     新聞やテレビから街中まで、ことばを「採集」して、一冊の辞書にまとめあげる辞書編纂者のドキュメンタリー。  昆虫や草花を集めるようにして、集めた宝物のことば達から選りすぐる。その宝物を磨くように、すんなり腑に落ちる語釈を長い時間かけて考え、現代で使われている「生きたことば」だけの辞書に仕上げていく。  「ことばだけで世界を再表現したい」と語る著者には少年のような輝いた目が想像できて、読んでるこちらもワクワク。  文体が美しく(現代日本語として読みやすくて)、ちょっとおかしなエピソードが揃っているので、かなり楽しめました。

    0
    投稿日: 2016.08.22
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    三浦しをんの著作で『舟を編む』という小説がある。本屋大賞を受賞した人気作で映画化もされたので、知っている人も多いだろう。『舟を編む』は辞書編纂を主題とした小説だが、『辞書を編む』は、正に辞書編纂という仕事について辞書編纂者自身が著したノンフィクションだ。 著者は『三省堂国語辞典』略して『三国』の編纂者で、本書はその第7版の編纂中に書かれたものだ。辞書編纂は、本、雑誌、テレビ番組、ウェブサイト、街中の看板などから膨大な数の言葉とその用例を集める用例採集から始まり、集めた言葉の取捨選択、語釈、従来の版の記述の手入れなどを行う。著者の語る各作業の手順や他の編纂者とのやり取りなどからは、辞書編纂についての著者の熱意と思い入れがよく伝わってくる。  現在、複数の出版社から何種類もの国語辞典が出版されているが、それぞれに特色がある事を皆さんは知っているだろうか。例えば『岩波国語辞典』『明鏡国語辞典』は「正しい言葉と用例」を載せる規範主義の辞書だが、『三国』は「今そこにある日本語を載せるべき」という実例主義で編纂しており、新しい言葉や言い回しを積極的に採用する。「分かりやすい語釈」も『三国』の方針だ。『新明解国語辞典』は独自の語釈が特徴で、明治以前の文献も含めて調べたいときは『広辞苑』『大辞林』『日本国語大辞典』全13巻などの大型辞典が適している。図書館は何種類もの国語辞典を所蔵しているので、本書を読んで辞書の面白さに気付いたら、手元の電子辞書だけではなく色々な辞書を引き比べてみよう。辞書の面白さと日本語の奥深さを楽しむことができるだろう。

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    投稿日: 2016.07.12
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    国語辞典をつくる際、どのような過程でつくられているかご存知だろうか。辞書をつくるにあたり、ことばを収集したり語釈を書くために街を歩きまわっている人たちがいる。その人たちのことを「編纂者」と呼ぶ。この本は編纂者の著者が辞書をつくる際の苦労を語っている。この本を読み終わったら国語辞典を読んでみたくなります。

    0
    投稿日: 2016.05.20
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    実は有名な「船を編む」未読なのですが、こっちが気になってしまい先に手を取りました。 辞書を作ってる人=言葉のプロ、だとずーっと思っていて、どうやって作ってるのか具体的なことは全くわからないけど、日本語の研究者達が室内でコツコツやっているんだろうなーなんて思っていました。 この本を読んで、変化し続ける言葉を外で地道に集めてきてるのか!とびっくりしました。 最初は楽しくてもよっぽどの根気と愛がないと、すぐ挫折しちゃいそうなくらい地道な作業なんですね、、、編纂者の方々には頭が上がりません。 時代と共に変化する生の言葉を一つ一つ見つめながら、細やかに手を入れることで辞書が出来上がっていく、素晴らしいお仕事だと思います。 学生時代から大分時間も過ぎ去りまして、紙の辞書を手に取る機会はめっきりと減ってしまいましたが、そんな今だからこそ新たな気持ちで紙の辞書をめくるというのも楽しいかもしれません。 目当ての言葉の前後に載っている言葉がまた新しい出会いなる、これも紙ならではですしね。 ところで、読書家の方は辞書を読むって本当なんでしょうかね。

    0
    投稿日: 2016.02.29
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    楽しくてためになる! ことばおたく(褒めてます)な著者の日常はことばに対するアンテナがぴんと張っていてとても素敵!本文の一文一文の重み、行間から感じられる著者の誠実で謙虚な人柄にも心惹かれました。 そして、もっとことばに敏感になろうと思いました。まずは、辞書を隈なく読みたいです。

    0
    投稿日: 2016.02.27
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    内幕ものは、どんな世界のものも面白い。国語辞書編纂の舞台裏も、その、言葉への真摯な姿に、同じものを見ていても違うものが見えていることが感じられて、興味深い。言葉の海は、深いなぁ。最近手にしていなかった国語辞書、開いてみよう。新しいものも手にしてみたいし、読み比べもしてみたい。

    3
    投稿日: 2016.01.21
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    辞書編纂の裏側をウィットに富んで書かれていて面白かった。著者の辞書編纂という仕事に対する愛情、情熱が伝わってきた。

    0
    投稿日: 2015.04.19
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    三省堂国語辞典の編纂者による辞書作りの内幕。国語辞典なんてどれでも一緒と思っていたが、取捨される言葉、その語釈など、それぞれに持つ特徴があることを知り、早速、各辞書を立ち読みで比べてみた。結果、実用上は何冊もの辞書を持つ理由はないが、知識欲を満たす意味で複数の辞書を購入する意味はある。それだけ言葉の世界は奥深い。

    0
    投稿日: 2014.10.26
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    このレビューはネタバレを含みます。

    著者は「実例主義」の国語辞典の編纂者。実例主義とは、文学作品などの(権威ある?)文献には現れなくても、広告などで巷に溢れており、一般的言葉は積極的に載せていこうという方針。

    0
    投稿日: 2014.10.06
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    20140628読了。 一昨年大ヒットした『舟を編む』の現実版。 辞書編纂にまつわるあれやこれやがわかりやすく書いてある。 今まで国語辞書を選ぶ時、何で選んでいたかというと、特に基準はなく、なんとなく。大きさであったり、収録語数であったり。 言葉を説明するとき、できるだけ簡単な言葉で言い換えるというのはできるようでなかなか難しい。難しい言葉を難しい言葉で説明するのは簡単なことなのだが、小学生にでもわかるような言葉で説明する難しさを痛感する。 しかし、これを読んで辞書編纂にはたいへんな苦労があるということがわかったのはもちろん、どんなポリシーでその辞書が編纂されているのか、その辞書がターゲットにしているのはどんな年代なのか、それぞれに違うということが認識できたので、今後は内容を見比べて本当にじぶんにあっている辞書を選びたいとおもった。 しかし、電子辞書、ネット辞書全盛のこの時代、紙の辞書をあえて選ぶ理由はなんだろうか。

    0
    投稿日: 2014.06.29
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    三省堂国語辞典の編纂に関わる飯間氏が、その改訂の過程を、丁寧に著した本。 言葉に向き合う飯間氏の真摯さがひしひしと伝わってくる良著です。 いわゆる誤用も、「誤り」とばっさり切り捨てるのではなく、日本語の変化、派生の仕方の一つととらえるなど、「今の」日本語の姿を的確にとらえようとする姿勢がよくわかります。 辞書には、言葉の「かがみ」としての2つの役割があって、そのうちの一つは「鏡」、つまり、日本語を映し出すもの、もう一つは「鑑」、つまり、日本語の規範となるものですが、三省堂国語辞典は前者の「鏡」であることを、より強く意識している、とのこと。 言葉は日々変化することを考えると、そのことに強い共感を覚えました。 それにしても、現在の三省堂国語辞典の基盤を作り上げた見坊豪紀は凄い人ですね。 この本からも、そのことがよくわかりました。

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    投稿日: 2014.06.20
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    辞書は中学生でも分かるように書く、というのが三国(三省堂国語辞典)のポリシーらしいが、この本も分かりやすい文章で書かれていてとても読みやすかった。込み入った内容もあるのに、シンプルな文章のおかげでまったく苦労を感じない。見習いたいと思った。 辞書の編纂作業のあらまし、が主な内容だが、こぼれ話や編纂にかける思いを記述した部分に著者の温かい人柄が感じられた。

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    投稿日: 2014.03.26
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     国語辞典の編纂に関しては①用語の発掘・用例採集調査、②加えるべき言葉の判定会議、③語釈の文章考案、④取捨選択など手を入れる行為などの局面から詳細に説明があり、三浦しおん「舟を編む」の世界が現実であることを示してくれる。それにしても辞書の編纂者がこんな苦労を抱えているとは夢にも思わなかった。例えばキャバクラという用語の意味を実体験するために実際に店に入るなど・・・。三省堂国語辞典:通称「三国」の特徴は何よりも「中学生にも分かる説明!6万語」、新明解の特徴その他辞書にはそれぞれの強みがあり、読み比べによってその思想の違いを実感してみると実に楽しそうである。新しい言葉でなくとも洩れている盲点のような言葉も確かにあるのかも知れない。「んーん」「あーあ」などは確かに有り得る!デジタル化の時代になり、新しい悩みが出てきていることも分かる!

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    投稿日: 2014.01.07
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    辞書引かないよなー。そもそも最近買ってないし・・・ 辞書作りの「戦い」が書かれています。 言葉ってのは生き物なので、次々と新しい言葉が出てくる。 辞書に載せるか、載せないか。 どう説明するか。大変な作業です。

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    投稿日: 2014.01.04
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    三浦しおん『舟を編む』の便乗タイトルだけど(「おわりに」でもご自身が触れています)、いたって真面目な「辞書のつくりかた」の本。『三省堂国語辞典』(通称「三国」)の編集委員である飯間さんが、『舟を編む』だけではわからない、現場から見た「辞書のつくりかた」を説明。ニーズに合わせたいろんな「国語辞典」があるんだということがよくわかる。

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    投稿日: 2013.12.22
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    辞書がどのように作られるのか、手順を追って書かれており興味深い。日常生活のあらゆる場面から、辞書に載せるための言葉を採集するプロセスは、辞書作りというイメージにはなかったので面白かった。他の辞書も同じような過程で作成されているのか、気になった。 (2013,12)

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    投稿日: 2013.12.07
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    著者が辞書の世界から手招きしているイメージがありありと浮かぶ。ただ私が普段ひくことばと本文中に挙げられた収録語が殆ど被らない。惜しい。 時期的に臨場感。今読んでよかった

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    投稿日: 2013.10.16
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     三省堂国語辞典の改訂に関わる著者による,辞書編纂の舞台裏。鏡を目指す実例主義・鑑を目指す規範主義という,辞書の特色を決める大方針から,用例採集,新規収録語の取捨選択,既存項目の手入れまで。電子辞書やオンラインのフリー辞書を見据えた辞書の未来も語る。  本書のメインは中型辞書だけど,辞書を作るのは相当な手間と時間がかかってる。特に用例採集は,編纂者の常日頃からの蓄積に頼ってて,文献調査だけでなくフィールドワークも重要。そして苦労して集めた言葉がごっそり削られる悲喜こもごもの取捨選択。これだけコストをかけても,手軽なオンライン辞書に太刀打ちできるとは限らない。なかなか厳しいな…。

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    投稿日: 2013.09.28
  • 新鮮で深淵なまいにちを

    ことばにすくなからぬ情熱を抱くひとであれば はてさて辞書とはどうつくられるのかしら? とおもわぬはづはないでしょう。 さまざまな方針で魂を与えられる辞書の中 飯間さんをふくむ編者のみなさんが 三国を世に問うまでのあれやこれやが しずかにでもダイナミックにのべられます。 これを通読に精読そして熟読したならば まちかどにあふれる看板や店先の広告 自販機につらなるあやしい文言 まえをあゆむ見知らぬひとのTシャツにおどる これまた不思議なことばの行列に スマホのレンズを向けずにはいられませんね。 えぇもちろん慎重かつ無礼のなきよう ことばの素人でも興味津々のわたしが きのうもきょうもそしてあしたも ことばの用例あつめを愉しむようになりました。 飯間さんありがとうございます ことばと自然を愛でる日々をすごす限り 退屈とは死ぬまで無縁との確信を ガッツリつかんでおります。

    0
    投稿日: 2013.09.24
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     飯間浩明 著「辞書を編む」を読みました。  著者は、「三省堂国語辞典」の辞書編纂者。2013年末に発売予定の第7版の改訂作業をめぐる知られざるエピソードを通じて辞書の魅力を伝えてくれる。  たまたま新聞で紹介されていたので、手にとってみたのですが、読み出したら止まりませんでした。  辞書の改訂にこんな人たちの苦労やドラマがあったとは、想像もできませんでした。  街中での言葉の用例採集など、少なからず言葉に関する仕事についている自分にとって、とても興味をもそそられました。  また、普段は実用的にしか辞書を扱うことはなかったのですが、この本を読んだことで、辞書の物語を想像してしまいそうです。  文庫化を待ち望んでいる、三浦しをんの「船を編む」はまだ未読なので、この本を読んだことで、一層読むのが楽しみになりました。  辞書によってその特色や魅力があることもこの本を通じて改めて考えさせられました。  そして、もちろん年末発売予定の第7版は絶対買おうと心に決めました。

    2
    投稿日: 2013.08.18
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     辞典編纂の内側を知れる本。予想を超える地道な作業。 以前「新解さんのなぞ」という本を読み、この辞書のマニアックな語釈が話題になったが、三省堂の辞書も「中学生にも理解できる」視点で工夫されたものになっているとのこと。新解さんでは、「右」は時計の文字盤の1~5のある側、と定義されていて、「左」は右の逆とあり、感動した。その手のネタもちゃんと本書にあったのでうれしい。特に言葉そのものには興味がなかったのが、この本のおかげで俄然興味が湧いたことを思い出す。で、本書を10年ほど時を経て読み、つい辞書も買ってしまった。電子辞書でもいいのかもしれないが、自分には紙媒体で「ひく」というのがいい。  見坊さんという辞書界の神的存在の人も知ることもでき、雑学マニアとして非常に意義のある本でした。

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    投稿日: 2013.08.15
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    国語辞典の編纂者の仕事ぶりが手に取るように分かり、知らないことを知る喜びが楽しかった。マニアックなこんな人たちが、言葉を大切に、日本語を支えてくれているんだな〜。 メルカリ売却

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    投稿日: 2013.07.22
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    三省堂国語辞典の編纂者である飯間浩明氏による本書。 実際の国語辞典がどのような流れでつくられているのかが 描かれています。 用例採集の際の思わぬ苦労話などから、未来の辞書の在り方まで 語られていて興味深い。 年末には出るであろう第7版の発売が今から楽しみです。

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    投稿日: 2013.07.22
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    辞書の改版過程をその担当者が語っており、とても分かり易くつづられている。「舟を編む」に便乗した感は否めないが、辞書の「現場」、日本語のでき方、というものを伝える本としては非常に良かったと思う。

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    投稿日: 2013.07.18
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    三省堂国語辞典の編纂者が、辞書の制作の過程を分りやすく一から記した新書らしい新書。 三国は、そのとき使われている言葉を平易に記すことをモットーとしているそうで、その精神で言葉を取捨選択し、語釈を書く。恋や愛も同性愛のへ認識がより一般的となった現在では、書き直して行くことになって行く。

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    投稿日: 2013.07.15
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    2013 7/13読了。大垣書店で購入。 「なんて露骨な『舟を編む』に乗っかる商法だ! でもこれたぶん面白い!」と思い店頭で見かけて即購入。案の定面白かった。 三省堂国語辞典の編纂者の一人が、用例採集・新規収録語の選択・語釈執筆・既存の語釈のメンテナンス等、辞書編纂に関わる作業について、実際に今年末に出る予定の新版の編纂作業にもとづいて解説していく本。 ・・・なんとまあ、こんなに日常的にずっと辞書編纂に関わり続ける(今まさに編纂している時期以外も、用例採集と語釈改定はずっと続けている)のか、ってところと、あと用例採集は用例欄を書くためだけじゃなくて、そもそもその用例に基づいて語釈を書いたりするんだなあ、ってところが新鮮。

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    投稿日: 2013.07.14
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    著者は『三省堂国語辞典』の編纂に携わっており、その編纂過程における話が記されている。 第1章「編集方針」、第2章「用例採集」、第3章「取捨選択」、第4章「語釈」、第5章「手入れ」、第6章「これからの国語辞典」の全6章構成。 国語辞典は様々な出版社から刊行されており、購入の際には非常に困っていた。特色がどこにあるのか、どこを見るべきなのかよくわからない。著者も言うように、「販売部数をのばすために、どうしても収録語彙数を宣伝に使わざるをえない」ようだ。では、語彙数が多ければいいのかというと、そうでないことが述べられている。大切なのは「語釈」ということ。 国語辞典に限らず、所謂「辞書」「辞典」というものは、編纂者による「語釈」がキーだと思う。その語釈をどのように作り上げるのか、ポイントは「用例採集」にあるようだ。 用例をカード化するという作業は、梅棹忠夫氏の『知的生産の技術』を思い出させる。情報の整理には、ツールが変わっても(紙媒体から電子媒体へ)、方法論はそうは変わらないようだ。 本書は辞書編纂者の熱い気持ちが反映されているように思われる。 できれば、日本における「辞書」のあり方の変遷というものも整理してほしかった。明治以降、辞書を使う人はどのような人だったのか。一般家庭に小型辞典が普及し始めたのはいつか。高度経済成長期、百科事典がブームになった時がある。このような「使う側」の変化についても言及すれば、もう少しこれからの国語辞典のあり方について述べられたのではないかと感じる。いずれにせよ年末の『三国』第7版が楽しみになった。

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    投稿日: 2013.07.08
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    辞書の改訂は世の中で使われている言葉を採取し、追加すべき言葉を厳選する一方で、辞書の編集方針に基づいて載せる必要なしとなったものを削除し、言葉の語釈を吟味し時には改める作業である。 それはまさにアップルの最近のCMにある「一つ一つの『イエス』の背後には千の『ノー』が存在する」世界である。それぞれの辞書の収録語数がなぜ「あえて」その数になっているのか?なぜそのような語釈になっているのか?それを確信を持ってしっかり説明していることが、いわゆるwiki系の辞書との大きな違いに思えてくる。 最後の章の「これからの国語辞典」は各国語辞典の立ち位置、電子辞書やwiki系を含むフリー辞書とのすみ分けなど、色々と参考になり、考えさせられる。 本書を読み終えて、いろいろな辞書を比べ読みしたくなった。クロスリファレンスや、それぞれの優劣を比べるためでなく、作り手の様々な想いを確かめるためにである。ただ、アプリ系だとユーザーインターフェイスの作り込み方にに引きずられるきらいがあるので、紙の辞書での読み比べの方が良いであろう。

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    投稿日: 2013.07.08
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    これは是非『舟を編む』とセットで読んでもらいたい一冊。 『舟を編む』で辞書編集とは何かを何となく分かったつもりでいたが、これを読んであっ本当にそういう風に辞書は編纂されているのねってことが分かった。そしてもちろん手に入れたくなったのが『三国』。やっぱり電子版じゃなくて紙辞書がいいよね。7版の出版が楽しみになった。 『三国』の「右」の語釈を読めば、この辞書の目指すところがよく分かる。思わずうなずくところあり、笑ってしまうところあり。充実の読書体験。

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    投稿日: 2013.07.01
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    辞書の編纂については考えたこともなかったですが、 かくも情熱的な思いで作られているんですね、、。 ちょっと感動しました。 第6章、ことばだけでできた世界に思いを馳せる部分が殊のほか印象的でした。

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    投稿日: 2013.06.30
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    辞書はどうやって作られるのか。 ノンフィクションです。 今、まさに作成途中の様子が描かれています。 仕事柄、辞書はお友達といっても過言ではありませんが、 今使っているのは業者さんが見本で置いていったもの。 愛着も特にありませんでしたが、 辞書の向こうには人がいるのだと思うと、 その人の思いを受け止めねばというきになります。 これからも頑張ってください。 エールを送りたくなりました。

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    投稿日: 2013.06.29
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    よくよく思い出すと高校時代、学校で購入した辞書が「三国」でした。わからない単語はwikiで調べることが当たり前になってきてきた今日この頃。改めて辞書を開いてみたくなる内容でした。 「ことばで世界の模型を作る」 著者の思いを記した6章(最終章)まで一読する価値のある本だとおもいます。

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    投稿日: 2013.06.25
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    実話版舟を編む。 リアルなところはそこそこ面白かったのだが、辞書編纂の方針と実際についてはちょっとこれええの?と思わなくはなかった。新語を中心とした日常語を収録するというのが大方針な割に古語、死語によっているというのと、言語学方面の人が中心故に、若者からずれているように感じた。「おじさんの考える今時の若者の言葉」感の強さ。切ない。 とはいえ、全体的に辞書という息の長い作品を丁寧に慎重に作り上げ、それでいてあれもこれも大事に堕せず使いやすい絞り込みを行なっている、良い。

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    投稿日: 2013.06.22
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     用例収集に関しては、すでにデジタルの時代が来ている。その方面の専門家で、さらに日本語学も分かる、そういう方が加わるべきだな。  

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    投稿日: 2013.06.13
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    舟を編むを観て、しばらく経ってから本屋さんで発見。映画にはそんなに出て来なかった語釈の大変さも分かったし、辞書毎の特色なんかもわかりやすかった。今欲しい辞書はもちろん新明解と三国。

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    投稿日: 2013.05.30
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    すごく読みやすい。辞書作りの奥深さがよくわかり、辞書に親近感が持てるようになる。著者さんの言葉に対する愛を感じる。言葉って面白い。

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    投稿日: 2013.05.24
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「簡単明瞭、利用者がぱっと見て、すとんと胸に落ちる」 来年発売の三国7は絶対欲しくなります。 「船を編む」と一緒に読むと楽しいです。 「群衆の中からも、歔欷(きょき)の声が聞えた」 「あまりにおもしろすぎるのではないか?」「一筆書きのようにさらっと説明するには、この表現が良いと考えました」

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    投稿日: 2013.05.23
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    「三省堂国語辞典」の編纂者による辞書改訂の実録。「船を編む」は未読なのですが、普段意識することのない辞書よ作り手の思いや手法を垣間見ることができる。 個人としてはCASIOの電子辞書を使用している為、広辞苑を使用することが多く、用例などが古典に偏りがちで些か不便だなあと思っていたのですが、編集方針がきっとそうなのでしょうね。三国7版が出たら現代語用に購入を検討してみよっと。

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    投稿日: 2013.05.21
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    国語辞典編纂の実際を垣間見ることができる。実際にはもっと大変なんだろうけど…。小説『舟を編む』(三浦しをん)で辞書編纂の面白さを知った人には興味深いと思う。

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    投稿日: 2013.05.20
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    全体を通してソフトな語り口で、とても読みやすい一冊だった。文章から作者のあたたかく誠実な人柄が伝わってきて、固いイメージだった辞書編纂に、親近感がわいた。『三国』が発売されたらぜひ手に取ってみたい。

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    投稿日: 2013.05.20
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    このレビューはネタバレを含みます。

    『舟を編む』からの続きで読みました。 辞書作りの過程、情熱がユーモアを交えて惜しみ無く記されています。その職人的なお仕事はとてつもなく魅力的ですが、同時に“忍耐”と“超変態的な思考”も必要なのですね♪ デジタル、インターネットなど出現で、その存在すら危ぶまれているようですが、いつまでも人々の生活の傍に残って欲しいと思いました。 同じ活用するにも、その人の嗜好やライフスタイルに合った辞書選びができるそうで。買いたくなりますよ、国語辞典。

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    投稿日: 2013.05.16
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    先日NHKのBSで「ケンボウ先生と山田先生」という、三省堂の二大辞書―『三省堂国語辞典』と『新明解国語辞典』を編纂した二人の国語学者、辞書編纂者の物語が放映された。ぼくはそれまで二人の名前はよく知っていた。見坊さんのことも多くの著書を通じて知っていた。しかし、二人が戦後大学を出てすぐ、金田一京助という(本人はほとんど辞書の編纂に興味がなかった)国語学者のもとで辞書編纂に従事し、その後たもとを分かつことになったことは知らなかった。そして、愛用する『新明解』も見坊さんがからんでいるとばかり思っていたが、見坊さんがずっとかかわってきたのは『三国』の方で、『新明解』は山田忠雄さんが中心となって編纂されてきたのだった。(さっそく本屋へ『三国』第6版を買いに行った)その『三国』は現在第6版が出ていて、今年末には第7版が出るそうだが、その7版の編纂の裏話、苦労を書いたのが本書である。用例採集といえば見坊さんの145万?の用例カードが有名だが公私に関係なく、どんなときでもカードに取るその姿勢は、とてもまねができないし、こんな人と人生をすごした奥さん、家族はたいへんだったろうなあという気がする。(今ならだれも結婚してくれないだろう。むしろ、独身を貫き通すべきだ)飯間さんは、見坊さんまではいかないまでも(むしろ奥さんの視点に助けられたりしている)、日夜カメラをもって、珍しいことばを採集し、電車の中でも雑誌を読み、該当箇所をやぶり折る作業を続ける。(ぼくも中国へ行くとカメラをもってこれはという字を撮り回るから、しばしば妻において行かれる)辞書編纂の過程で、飯間さんが最も力を注いでいるのはやはり語釈で、カピバラという動物の語釈を書くために動物園に行ったり、キャバクラを書くために(人に連れられてではあるが)現場に足を運んだりする。そういう努力も辞書の上ではせいぜい2~3行で書かなければならない。百科項目を国語辞書としてどう記述するかも興味深かった。ぼくがひとつ気になったのは、飯間さんの名前が第6版では表紙になく、裏表紙にしか出ていないということである。第7版では出ていることを期待したい。

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    投稿日: 2013.05.13