
総合評価
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powered by ブクログあらゆる本で引用されてる古典なのでずっと気になっていて、いざ手に取って読んでみたが、いやはやなんとも素晴らしい。 SNS中毒、スマホゲーム中毒、フェイクニュース、陰謀論、ポピュリズム、トランプ現象など昨今の問題を理解する上で必読と言える。 ビジネス書では研究エビデンスを本文中に盛り込むことが多いが、取ってつけたような形が多く、読みにくいし印象に残りにくい。その点、本書は項それ自体のテーマを裏付ける研究であるし、著者本人が考えて生み出した研究であるから固有のエピソードもあって面白い。 やはり一次情報は強い。 身近な人を思い浮かべると、システム1優位な人もシステム2優位な人も思い浮かぶ。 しかし本書の別の項の例を読むと、今度は同じ人であっても、THEシステム1的なあの人も、あの部分はシステム2的だな、などと思い出されたりする。 となると、単純にAさんはシステム1でばかり考える、といった評価はやはり短絡的だ。誰しもがコンディションや環境条件などによってシステム1と2をコロコロと使い分けていて、ただAさんの目立つ一面が1だったり2だったりして、私が偶然そこを頻繁に、ないし強く印象付けられているだけなのだろう。 プライミングに関する記述は非常に編集工学的だ。 自分の思考は、事前に何らかの形でインプットされた別の情報によって左右される、という事実が、自己という枠が非個体的であることに繋がる。 起きてすぐに耳にしたTVのある音楽フレーズが一日中頭に流れ続けたり、ふと広告から目に入った食べ物が食べたくなってランチ選びに影響したり、夢に見た内容がポジティブなものかネガティブなものかでその日のテンションが変わったり。 絶えず目から耳から肌から伝わってくる情報、更には養老孟司がいうような脳内で情報をグルグル回すことで生まれる情報もある。 こうして自分と他者、自分と世界の境目というのが非常に流動的で、液体同士が混ざり合うような構造をしていることが分かる。 文化資本の差が子供の人生に影響する度合は数値化しにくいが、プライミングの強力さを考えると相当な影響力だろう。 その一方で、平均への回帰の存在もまた良くも悪くも刺激的だ。 変数が少ないものや、直近の未来予測などには相関関係が大きくみられるのに対し、変数が増えるほど関係は薄くなり、運要素の大きい、確率の問題に収束していく。結果、平均へと回帰していくと。 生殖細胞のDNA組み換えの際のランダム性によって平均へ回帰し、身長が高い人同士が交配し続けても巨人にならないように、プライミングによる影響も、社会で求められるスキルの変化や、子どもの素質といった変数によって大いに回帰しうる。 SNSや悪書に触れる機会量が自分を毒していくことへの注意意識と、その逆に「結局そこまで悪いことばかりではない」という安心を同時に得られた一冊だった。
4投稿日: 2025.07.23
powered by ブクログ「速い思考と遅い思考」 https://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51755301.html
0投稿日: 2025.06.30
powered by ブクログ原典としての価値はあるのだと思うが、いかんせん長すぎる。本を読むという行為のブロッカーになってしまい、メンタルに良くないので、スキップする判断をした。 この本に興味があるなら、まず「セルフトーク・マネジメントのすすめ / 鈴木義幸」あたりを読んでみることをお勧めします。たぶんそれで申し分ないです。 さらに原典にあたって掘り下げていきたい場合に、さらに本書を紐解けばいいのかなと思います。
0投稿日: 2025.06.17
powered by ブクログ【書名】 ファストアンドスロー上 ダニエル・カーネマン 【目的】 自身のバイアスに自覚的になり、自身の判断エラーを防ぎたい。 そのために、システム1、システム2という概念を知り、判断エラー事例に触れる。 結論、辛かったがその分何かが身についた気がする。 【要点】 アンカリング効果、プライミング、問題の過度な単純化、平均回帰、ハロー効果、後知恵効果、が事例を通じてどう判断エラーにいたるか提示されている。 多くの直観に反する実験結果が提示されている。 【印象に残ったポイント】 わたしの理解力だと、難解で読みにくい。 ただ、数々の書籍で参照されていた本書の概念が身体知的にインストールできた気がする。 【具体的に生活や仕事にどう活かすか】 自分を疑い、システム1で安直に判断してるんじゃないか?とシステム2を動作させる。 【ふりかえり・気づき】 知ってはいたけど、以前に比べると本書の概念を活用できている気がする。 ファクトフルネスなんかも、合わせて読むとより、自分へ実装できそうな気がする。 わざわざ読むか迷ったが、本からの学びは、向き合った労力と有意に関係すると実感した。 読みにくい本書に対し、システム2を動員し長時間向き合ったおかげか(辛かった)、本書で提示されている概念が頭から取り出しやすくなった気がする。
8投稿日: 2025.03.19
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
研究結果や人間の心理からどのようにして判断を行っているかの仕組みが詳しく書かれている。難しい内容。下巻もあるので読んでみようと思う。システム1、システム2
0投稿日: 2025.01.30
powered by ブクログ残念ながら、ある会社の将来性を評価するスキルだけでは、株取引で成功するには十分ではない。なぜなら、株取引における重要な問題は、その会社に関する情報がすでに株価に織り込まれているかどうかを見極めることだから!
6投稿日: 2024.06.13
powered by ブクログ行動心理学の先駆け的な本らしい。訳本の読みづらさはある。正しく判断するためには人間が陥りやすいバイアスを学ばなきゃだめ。
0投稿日: 2024.05.25
powered by ブクログダニエル・カーネマンの本作は楽しみにしていたのだが、読むのが遅く、実際読み始めると、既に聞いたような話ばかり。流行り過ぎて、日本の新書で引用されまくったせいだ。著者に罪は無い。また、原典の良さもある。しかし、大部分ネタバレしている。それでも楽しんで読む。 脳の思考回路について。システム1は自動操縦モード。システム2は熟慮モード。ヒューリスティックで直感的、かつ低コストで判断が必要なため、通常システム1で物事を考える。しかし、騙されないように慎重にシステム2を作動する。印象論で人を査定する1に対し、客観性や比較により冷静に判断する2。 人間は生まれた時から、因果関係の印象を受けやすくできているらしい。図形同士が喧嘩をしたり、いじめをしたりするシーンを見たときに、それを解説するような言葉がなくても、人間は図形に感情移入をしてそのストーリーを作り出す。 身体的な反応でも、いずれのシステムを作動させているか分かる。知的努力に対する身体的な反応として瞳孔が開く。2桁の掛け算をやっている時、瞳孔がかなり広がる。心拍数も増える。そしてシステム2を使ってより高度な問題を解いているときには、視界が狭まるのだという。 対して、システム1は利己的な選択をしやすく、挑発的な言葉遣いをしやすい。社会的な状況について、表面的な判断をしやすいことも確かめられている。この辺は感覚的にもよく分かる。認知が容易な時、真実だと錯覚し、心地よく感じるのだ。 トルストイの書いた『ハリネズミと狐』。ハリネズミはある世界観を持っていて、どんな出来事も一環したフレームワークで説明する。自分の見方に従わない人には我慢がならず、自分の予測には自信満々。いつも明確な意見を持っている対して、狐は複雑な思考をする。 システム1がメインで生きている人は案外多い。論理的ではなく、騙され易いし、感情的で会話にならない場合も多々。一人の人間ならまだしも、集団がシステム1を共有した場合は危うい。誤った群衆心理は宗教的で恐怖だ。
31投稿日: 2024.05.02
powered by ブクログダニエル・カーネマン。人びとの日常における判断がいかにいいかげんかわかり、とても面白い。 大筋は認知的錯覚について説明し、それをさらに3つの観点から説明している。下巻は経済学との関連が多く難しかったが、実験や例えなどが大量に散りばめられておりページをめくるたびにへぇ~と感じるだろう。翻訳もので上下巻だが尻込みせず読んでほしい。
0投稿日: 2023.06.20
powered by ブクログ面白い本だった。 人間が周りの環境に影響を受け、いかにいい加減な判断をしているかという事が良くわかった。 確かにアンカー効果みたいなのは、オークションでの言い値では感じる事である。 しかしその影響を取り払う事ができないのが人間なのだろう。
0投稿日: 2021.12.18
powered by ブクログ# ヒトの思考・判断プロセスに一石を投じた名著 ## 面白かったところ * `1 + 1` の解と `24 × 17` の解が導かれるまでの時間差異から、ヒトの思考には少なくとも2つ以上存在する。などの研究結果がとても興味を唆られた点 * ヒトの思考や判断には特徴があって、それを理解していた上で異なる行動を図ろうとしても並々ならぬ注意力が必要だと知れる点 ## 微妙だったところ * シンプルに、記述量が多く理解が難しい。これはまだ上巻で下巻も同程度の分量で存在する ## 感想 学生時代、後輩に勧められて購入した一冊。当時の自分の読書レベルでは到底太刀打ちできなかった苦い思い出から一念発起して再度読書に挑戦。 前半部分は、特に自分を通じてヒトの特徴的な癖を体感しながら学習することがでた。 後半部分では、もう少し俯瞰してヒトの思考・判断行動を観察。理解はできても納得は難しいヒトの行動を魁に、世の中の事象に切り込んでいく様子を垣間見ることができ、読み応えがあった。 下巻もとても楽しみである。
0投稿日: 2021.10.02
powered by ブクログ意思決定、行動経済学の本。この本については多くの方が書評しているので省略するが、内容は様々な類書やメディアで引用されているので、既に知っている記述も多かった。文章がやや難しく感じたが、頑張って読むだけの価値はある。人生の重大な局面で、自分の意思決定に必ず役に立つ本だと思う。
0投稿日: 2021.08.21
powered by ブクログ行動経済学に興味がある人ならきっと聞いたことのある本であるし、そうでなくとも、出てくる話や実験をどこかで耳にしたことがある人は少なくないはず。 でも、そんなことは抜きにぜひ読んでほしい一冊。掛け値なしに面白い。 直感や熟考といった私たちの様々な思考の形態が、実際のところどんな働きをしているのか。 数々のユーモアあふれる実験結果とともに、筆者が紐解いてくれる。 読み進めるうちに、自分の身近な例で思い当たることも色々と出てきて、より引き込まれるだろう。 余談だが、上下巻としてもかなりのページ数と文章量があり、正直なところ物理的にそれなりに重い。 比較的平易な翻訳がされているので、手段があるならオーディオブックを探して聞くのも有効な手かと。 ※自分は上巻途中から耳に切り替え
0投稿日: 2021.04.10
powered by ブクログ自分で決定してると思っていることの、なんと無意識の気分(システム1)に誘導されていることが多いんだろう!本書をよむと、いかに直感がでたらめなのかよく分かる。迷ったら直感に従うことを心情にしてる人こそ読むべき。
0投稿日: 2020.10.04
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
人間はシステム1により、直感的な判断をせざるを得ない。しかし、その判断は正しくない場合があり、ヒューリスティクスの誤用や平均への回帰を無視してしまう。 また、自分の専門的な分野での決定では過剰な自信が現れ、アルゴリズムよりも低い精度になってしまう。 自信過剰にならず、錯覚を起こさず(起こしてもそれを認識できるようにし)、統計的な手法を重視して意思決定を行なっていきたい。
1投稿日: 2020.06.14
powered by ブクログプライミング効果 確証バイアス ハロー効果 メンタル・ショットガン 質問の置き換え 少数の法則 アンカリング効果 利用可能性ヒューリスティック 代表性ヒューリスティック 基準率 平均回帰 後知恵バイアス 妥当性の錯覚 これらがキーワード。 システム1、システム2の働きを理解した上で、認知のエラーを見越して直感に頼らずデータから読み取ることが大切だと学んだ。、
0投稿日: 2019.05.27
powered by ブクログ行動経済学の基礎となるプロスペクト理論の提唱者の手になる,現実における経済主体としての個人の振る舞いを説いた本.上巻は理論の基礎をなす,人間の特質として見られる思考の2つのシステムについて解説する.タイトルだと脳の仕組みから説明を試みているような印象もあるが,ここで挙げられている2つのシステムは,行動に対して,こうしたモジュールがあれば説明できるという基盤で提唱されているトップダウン的なもので,それがどのような作用に由来するかという,ボトムアップ的な,脳神経科学からの裏付けはない点には留意が必要.これまで体得している知識や経験に基づいて,無意識で瞬時に判断を下すシステム1だが,実際には知識や経験を記憶する段階でも無意識に取捨選択や歪曲が行われていること,また問いのほうを答えやすいものにすり替えてしまうことがあり,本質的にバイアスを抱えている.一方システム2は地道な論理的思考や数的処理などを担うものの,遅い上に労力がかかることから,システム1を必ずしも適切に統御することができない.総じて個々の場面でバイアスを修正するためには,それが可能な分野においてシステム1が正しく判断を下せるようにスキルの研鑽を積むと共に,システム2を稼働させる気力と強い意志が不可欠というところか.ただ,人の職業を推測する問題で,基準率が与えられた上に本人の特徴情報が加えられたとき,それを判断基準に入れてはいけないという部分は,ステレオタイプだとしても,根拠がある情報であればそれは判断に含めていいのでは,と考えられ,すぐには首肯しかねた.
0投稿日: 2018.12.27
powered by ブクログシステム1(無意識)とシステム2(意識)を解説してくれる本。しかしすごいボリュームです。豊富な実例を持って、システム1、2の働きの違いを示してくれます。まだ行動経済学という言葉がはっきりしない頃の書でしょうか。この本にまとまっている実例をキッカケにして行動経済学は勃興していったのかと思いました。
0投稿日: 2018.11.12
powered by ブクログユーザビリティなるものの研究と応用実践を生業の一部としている者として、大変興味深く読ませていただいた。行動経済学もユーザビリティも人間の認知を探求する認知心理学を母体としているので同じバックグラウンドを持つのだと思い知らされた感がある。 また著者は「システム1」の働きや特徴を熟知しているからこそ、システム1/システム2という表現をうまく使いこなし、読者のシステム1に直接働きかけることを意識的に行っている。この点が最も感銘を受けた箇所でもある。
1投稿日: 2018.10.13
powered by ブクログシステム1とシステム2。速い思考と遅い思考。意思決定を行う際にわれわれは直感による速い思考を行っている。直感の出番がない場合には論理で考える。これが遅い思考である。直感は自動的に連想を働かして結論をだす。それは論理的思考でもないし統計的思考でもない。ただうまくストーリーができていればよい。われわれはそれを自信をもって正しいと思い込む。ちゃんと論理的思考の出番があれば間違わなかったはずの結論も直感を信じたために間違えた結論を下す。また思考には色々なバイアスがあり、それによって間違った結論を出してしまう。このようにわれわれの意思決定の仕組みを解き明かした心理学者にしてノーベル経済学賞受賞者の一般読者向けの著作。
0投稿日: 2018.10.11
powered by ブクログ直感型思考と熟慮思考に関しての研究。人間の判断がどれだけ周りの影響を受けているかが書かれている。判断するとき周りにおいてあるものとか、事前に見たものとかに影響されてるんだなあ。例えばSO◽︎Pの四角の中には、事前に洗うと聞いていたらSOAP、食べると聞いていたらSOUPと答える確率が高いとか。
0投稿日: 2018.07.16
powered by ブクログマイケルルイスの本の主人公であるダニエル・カーネマンによる人間の意思決定の研究を解説した本である。 マイケルルイスの本を読んだ後だけに、すんなりと読むことができた。実際、ルイス本は、本書の抜粋ではないかと思うくらいだ。 人間の意思決定は、直感的で感情的なファースト思考のシステム1と、意識的で論理的だが怠惰なロー思考のシステム2から成ると説いている。そこから本書の題名が来ている。 様々な例を挙げてそれを説明するが、自身でも心当たりのあるケースもあり、十分説得力がある。なにしろノーベル賞を受賞しているのだ。 もっと本書を読み込んで、自分の行動や思考を分析し、難しいかもしれないが自分を変えてみたい気がする。それには、もっと理解を深めないといけないが。 とても興味深い内容で、おすすめできる本である。
0投稿日: 2017.11.07
powered by ブクログノーベル経済学賞(正しくはないのだが)をとった心理学者の本。訳本でもあり、最初のほうはかなり読みづらかった。統計の話になってからは、興味深く読ませてもらいました。下巻を直ぐに読みたいとまでは、思えませんでした。
0投稿日: 2017.09.23
powered by ブクログファスト(システム1)とスロー(システム2)の状態説明。 ハロー効果、平均回帰。行動経済学では投資家の心理など。 著者は、認知心理学者でノーベル経済学賞受賞者。 C0011
0投稿日: 2016.08.10
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
実に面白い。以前から経済学的な綺麗なモデル(例:完全競争)に比べ、「人間とは?」を的確に捉えた一冊。この本を読むまでは、システム1ではなく、システム2を使う習慣を身に付けることが大事だと思っていたが、肝心のシステム2が実はシステム1に騙されやすいことを知った。では、どうすれば人間は論理的に思考できるのか、考えさせられる。
0投稿日: 2016.06.18
powered by ブクログ意思決定における判断の誤りについての教科書のような本です。上下巻でなんやかんや読了(下巻のサイエンス誌掲載の論文含む)まで数ヶ月かかってしまいました。バイアスやヒューリスティックについて、読みやすい文章で書かれています。
0投稿日: 2016.02.17
powered by ブクログ名著の誉れ高い本だけに、やはり内容の詰まり具合が半端ではない。それにしても上巻でこんなにいろいろ書いて、下巻に書くネタあるんかいな、と心配するくらい。
0投稿日: 2016.01.31
powered by ブクログ自動で働く速いシステム?、怠惰で遅く努力を要するシステム?。人間は、経済学でいう「合理的かつ利己的で選好が変わらない」エコンとは全く異なる存在である。 各章、オフィスでの井戸端会議会話例で締めくくられていますが、読み終えてなるほどと思いました。オフィスでの意志決定が良質なものになれば、人間の社会は変わり得るのだと。
0投稿日: 2015.10.04
powered by ブクログ人は速い思考(直感)と遅い思考(論理的な判断、塾考)をどのように使い分けているか、それらはどのような特徴を持つのか、欠点や得意な事、陥りやすい癖はなどが詳しく書かれている。認知心理学者で行動経済学の大家、心理学者にしてノーベル経済学賞受賞者ダニエル カーネマンによる。行動経済学の入門書としてはオリジネーターの書籍だけあって網羅的に詳しくのっていた。
0投稿日: 2015.07.03
powered by ブクログ元々行動経済学は非常に興味を持っていた分野で、その創設者でノーベル経済学賞受賞者のカーネマン自身の書いた本ということで、非常に期待を持って読み始めましたが、期待に違わぬ面白さ。長い本でしたが、一気に読み通しました。上巻の第1章では、この本の表題になっている「速い思考」(直感)と「遅い思考」(熟考)の特性や意思決定における役割などが述べられていましたが、これは行動経済学の文脈ではこれまであまり聞いたことがなく、興味深く読みました。 第2章のヒューリスティクスとバイアスはこれまでたっぷり読んできた話でしたが、これまであまり知らなかった例や考え方も豊富に取り上げられており、こちらも勉強になりました。
0投稿日: 2015.03.17
powered by ブクログ何度も読み返したい良書。 ダン・アリエリーの「予想通り不合理」を読んでヒューリスティクス、認知バイアスなどに興味をもったが、本書は横断的に人間の思考、意思決定について書かれている。 各章毎に内容が分かれているので、興味のある部分だけ読んでも楽しめる。
0投稿日: 2015.02.22
powered by ブクログ認知心理学の権威による著書。 人の判断にまつわる研究の成果を詳しく記した本。ファスト&スローと言われると脊髄反射と脳かと早とちりするけど、実際には脳を構成する2つの思考システムのこと。ファストは直感的な判断を司る自動運転プログラム群、システム1。スローはいわゆる人間的な知的決断を下すシステム2。それぞれのシステムの持つ長所と短所。問題の解決に関してそれぞれのシステムがどう関与するかが詳しく調べられている。 上巻で見られる大きな結論としては、人の脳は統計的に正しい判断を行う事が大変難しいシステムだ、という事。本質的には偏見を避けることはできず、余程の注意と教養を持ってしても是正は困難。 また、言ってみれば脳の脆弱性とも言える問題点が数多く紹介されているが、これらの弱点を突くことで印象操作や洗脳といった事がいともたやすく実践されうるし、実際マーケティングなどの分野では既に広く使われている。政治や宗教に転用されれば、戦争や虐殺にも繋がる。ある意味、核より恐ろしい研究かもしれない。 有名な平均回帰の話や、投資のプロの実力は猿以下という話も書かれていた。 しかし脳の仕組みというのは思っている以上に組織や計算機の構成法に似ている。それがこの世界の物理法則の上でやっていく最適な方法だからなのか、人の持つ先入観が計算機の設計や脳の理解に影響した結果なのかは興味深いところ。
0投稿日: 2014.12.23
powered by ブクログ第一部 井戸端会議において他人や最終的には自分自身について、判断や選択のエラーを突き止め理解する能力を高めるのが本書の目的 システム1(早い思考)とシステム2(遅い思考) 「注意を払う」とよく言うが、これはまさに当を得た表現である。というのも、注意は限度額の決まった予算のようなものだからだ。この予算はさまざまな活動に配分できるが、予算オーバーは失敗につながる。努力を要する作業の場合、多数の活動が互いに邪魔し合うという特徴があるため、同時にこなすのは難しく、ときには不可能である。 瞳孔は知的エネルギーの消費量を刻々と教えてくれる 認知心理学で重要な発見の一つに、あるタスクから別のタスクに切り替えるのは困難、とりわけ時間的余裕がないときに セルフコントロールには注意と努力が必要、だから思考や行動にコントロールがシステム2の仕事になっている 自分がどんな気分のときも、つねにやさしく親切にしなさいという忠告はまことに当を得ている 見覚え、聞き覚えといった感覚は、単純だが強力な「過去性」という性質を帯びており、そのために、以前の経験が鏡に直接映し出されているように感じる 誰かに嘘を信じさせたいときの確実な方法は、何度も繰り返すことである。聞き慣れたことは真実と混同されやすいからだ 遠隔性連想検査は、認知容易性とポジティブな感情の関係について、さらに多くのことを教えてくれる 判断の独立性を保つ原則は、会議だと、前もって出席者全員に自分の意見を簡単にまとめて提出してもらうことだ 自分の見たものが全てだ(WYSIATI)(what you see is all there is) システム1の特徴 ・印象、感覚、傾向を形成する。システム2に承認されれば、これらは確信、態度、意志となる。 ・自動的かつ高速に機能する。努力はほとんど伴わない。主体的にコントロールする感覚はない。 ・特定のパターンが感知(探索)されたときに注意するよう、システム2によってプログラム可能である。 ・適切な訓練を積めば、専門技能を磨き、それに基づく反応や直感を形成できる。 ・連想記憶で活性化された観念の整合的なパターンを形成する。 ・認知が容易なとき、真実だと錯覚し、心地よく感じ、警戒を解く。 ・驚きの感覚を抱くことで、通常と異常を識別する。 ・因果関係や意志の存在を推定したり発明したりする。 ・両義性を無視したり、疑いを排除したりする。 ・信じたことを裏付けしようとするバイアスがある(確証バイアス)。 ・感情的な印象ですべてを評価しようとする(ハロー効果)。 ・手元の情報だけを重視し、手元にないものを無視する(「自分の見たものがすべて」WTSIATI)。 ・いくつかの項目について日常モニタリングを行う。 ・セットとプロトタイプでカテゴリーを代表する。平均はできるが合計はできない。 ・異なる単位のレベル合わせができる(たとえば、大きさを音量で表す)。 ・意図する以上の情報処理を自動的に行う(メンタル・ショットガン)。 ・難しい質問を簡単な質問に置き換えることがある(ヒューリスティック質問)。 ・状態よりも変化に敏感である(プロスペクト理論)。 ・低い確率に過大な重みをつける。 ・感応度の逓減を示す(心理物理学)。 ・利得より損失に強く反応する(損失回避)。 ・関連する意識決定問題を狭くフレームし、個別に扱う。 第二部 私たちは、人生で遭遇する大半のことをランダムであるという事実を、どうしても認めたくないのである ある未知の数値を見積もる前に何らかの特定の数値を示されると、その数値の近くにとどまる。この効果をアンカリング効果という 交渉におけるアンカリング効果に対抗する方法として、反対のことを考える。 リスクを定義することは権力を行使することにほかならない 第三部 予測は可能だとする錯覚はいっこうに消え去る気配がない 均等重みづけ方式は重回帰式を上回る 「アナタはなぜチェックリストを使わないのか?ー重大な局面で”正しい決断”をする方法」アトゥール・ガワンデ 「小さな本」ポール・ミール
0投稿日: 2014.12.02
powered by ブクログ人間の判断がどういう場合に歪むのかを書いている。 歪みの力は極めて強く、それを免れるのは困難。 知っておくべき内容。
0投稿日: 2014.11.15
powered by ブクログ下巻の半分ぐらいで挫折した まあそうだろうという結論に 心理学実験の詳細な裏付けがあり そこがただの自己啓発本やビジネス書とは ちがう ただいちいちなるほどと思うのだが やたらなんとかバイアスがあって 頭が整理できなくなるのだ 読み込んでバイアスを整理できれば なんというか一段上の自分になれそうな気さえ するのだがいかんせん物量が とにかく いままでのビジネス書なんて これ1冊で吹っ飛んでしまうんじゃないか ビジネス書読んだことないが いずれ購入・再読が必要そうだ ダイジェスト版・電子書籍版希望
0投稿日: 2014.10.04
powered by ブクログとても面白い。 行動経済学についての著作物は数多くあれど、書店に並ぶものは、美味しいところだけを集めただけのものが大多数だ。 一方、この本は、行動経済学の分野で数多くの業績を上げている大家自らが綴った、行動経済学の集大成とも言えるものだ。 必要にして十分なボリュームで、人間の意思決定について深く考えさせられるものがある。 この分野は、まだまだフロンティアの段階なので、何がわかっていて何がわかっていないのかということを認識しておくことは重要だろう。 そういった意味では、この著作は、行動経済学に興味を持っている人であれば、必読の名著だと言えると思う。
0投稿日: 2014.08.02
powered by ブクログ2014年60冊目。 人の思考を「システム1(直感・感情的な速い思考)」と「システム2(論理的な遅い思考)」に分け、両者の働きを多くの実験結果から読み解いた本。 人間の思考は楽をしたがり、事象に意味付けをせずにはいられないが故に様々なバイアスに取り付かれているのだと知った。 主観的な要素を駆使した予測以上に、簡単な数式に機械的に当てはめた答えの方が正しい場合が多いという。 自分の思考を信じられなくなってしまうような内容だが、知らないでいるよりは絶対に知っていた方が良いと思う。
0投稿日: 2014.06.20
powered by ブクログとても面白くて興味深くて、日々の自分の判断、引いては人生に影響を与えそう。 ただ、もっとコンパクトに要点だけを纏めた、読後用の本が欲しい。
1投稿日: 2014.05.30
powered by ブクログ「ファスト&スロー 上 あなたの意思はどのように決まるか?」 この本では脳には2つのタイプの脳があり、それらを追求することで人間の持つ意思決定の仕組みを知ることが本書の目的である。 脳には「システム1」と「システム2」がある。 システム1…自動的に高速で働き、努力は全く不要か、必要であってもわずかである。また、自分の方からコントロールしている感覚は一切ない。(P32引用) システム2…複雑な計算など頭を使わなければできない困難な知的活動にしかるべき注意を割り充てる。システム2の働きは、代理、選択、集中などの主観的経験と関連付けられることが多い。(P32引用) 次からは脳の仕組みに関するいくつかの効果を述べる。 1.怠け者のコントローラー システム1は、努力なく自動的に使用されている。システム2はなにかに意識的に集中しなければ使うことができない。また、システム2が忙しく活用されているときにその他のことを考えるにはシステム1が使用される。そのため、思い付いたことを考えなしに口にする、深く考えずに発言をする人などはシステム2が忙殺されておりシステム1が活用されていないか、システム2をそもそも使っていないのである。 2.連想マシン この章ではプライミング効果について取り上げている。最初に取り上げるものが「プラス」のものであれば後に「マイナス」のものを聞いても「プラス」にとらえやすい傾向があるだろう。逆もまたしかりである。また、「高齢者」などの言葉を見ただけでも自分は足が遅くなったりする。誰でも人は、自分自身が意思決定を行っていると思っているがそうではない。無意識に意思決定をしていることも多々あるのである。なんらかの「先行刺激」に私たちは誘導される。 3.認知容易性 私たちは慣れ親しんだ言葉に対して信頼性をもちなじみやすくなる。慣れ親しんだものに対して記憶は取り出しやすくすぐに理解する。たとえば スイス ケーキ 小屋 きっチーズケーキを思い浮かべたに違いない。私たちが慣れ親しんだものをすぐに浮かべるのだ。逆に関連性のない馴染みない者同士の言葉ではすぐには浮かばずシステム2が働く。他にもたとえとしては「フォントが読みにくいという理由だけで、彼らの事業計画を却下するのは、ちょっとひどいのでは?」など〇〇だからこうということに対して疑問を持つことが大切である。 4.基準、驚き、因果関係 システム1はいつも情報を複数に処理しアップデートをしているようなものだ。どんな大きな事件が起こっても2度同じことが起これば驚かない。基準が緩くなっているからだ。また、システム1は瞬時に物事の因果関係をつなぐ。これは便利な時もあるが、なんにでも因果関係を結びつけようとするのはいささか危険である。何か不祥事があった際の理由など…。 5.結論に飛びつくマシン システム1は起こった物事をなんでも信じようとする。それに対してシステム2は材料を提供する。そしてストーリーを作りすぐに結論を出す。これはシステム2が忙殺されているとき、システム1がなんでも信じてしまうことを意味している。 また、私たちは見たものがすべてであり、それらしい情報が出されてしまっては信用してしまう。本当に必要な裏付けがそろっているのかなどプレゼンテーションの際には注意をしてほしい。「ハロー効果」…最初に良い印象を受けるとその良いことに影響されてなんでも良いように見えてしまうこと。 6.判断はこう下される 今までの経験をもとに判断は下される。(この顔の形の人は優しいなど…) また、あまりに難しい問題の時に人は問われていることに対してもっともらしい他の質問に対する答えを用意する。自分の応えることについては疑ってかからなければいけない。 「メンタル・ショットガン」…脳は常に目に映るすべてのものに対して情報処理を行っている。システム2が意識的に銃口を傾けなればである。それはあたかも散弾のようであり、そのために正常な意思決定ができなかったり、意思決定が遅くなることもある。 7.より簡単な質問に答える 難しい問題に直面した時、脳はその問題よりも簡単な質問に問題を置き換え答える。また、「感情ヒューリスティック」というものがあり一度気に入ってしまったものに対しては、デメリットよりもメリットばかり見てしまうこともある。私たちは、常に自分自身がそのような坂国陥亭愛花考えなくてはいけない。 8.少数の法則 脳は目の前に起こった少ない標本数で物事を判断し全体の標本数を見ない。(この経営者は3回連続事業を成功させている。次も成功するなど)あまり標本巣を気にせずに内容の因果関係の身を強く見る傾向もある。 9.アンカー アンカーとは人々が参考にする基準である。たとえばフリーマーケットでものを買う際の値段など。妻女から高い(けれど高すぎて買うのをやめるほどでもない)値段にするとものを高く売れるということ。ぎゃくもしかり。人は最初に知った数字にとても影響を受ける。 10.利用可能性ヒューリスティック 私たちは思い出しやすさによって、その物事に対する規模をきめる。これが利用可能性ヒューリスティックである。たとえば、最近ニュースで立て続けに飛行機事故のニュースを見た時には、人は飛行機に乗ることに危機感を持つ。いつも乗る時と危険度の確率は変わらないにも関わらずだ。 11.利用可能性、感情、リスク 上記と同じで利用可能性によって感情の持ち方やリスクの感じ方が違うということ。 12.トム・Wの専攻 これは代表制についての論議である。私たちは受付嬢が有能そうで、家具が素晴らしく、芝生が刈られているからといっていい会社だとは限らない。それはあなた自身が持つ「代表性」に基づいて決められている。いい会社はこうであるという代表制を私たちは持っているがそれに惑わされてはいけない。 13.リンダ 「過ぎたるは及ばざるがごとし」ものをつけすぎるとかって安く見えたり、物事を正しく判断できなくなる。沢山の文章をつけてもっともらしさを増やし、正しく判断できなくなることがある。本質を見なくてはならない。 14.原因と統計 人は全体から子を推論することには不熱心だが、まさにそれと釣り合うように個から全体を推論することには熱心である。人は統計結果ら自分に当てはめることはできない。個別の事例を知った時に初めて自分に当てはめ全体を見ることができるのだ。 15.平均への回帰 両親から生まれる子供は両親と同じ身長にはならない。身長が高い親から生まれたなら平均並みの身長に少し近づいた身長になる。どんなに良い結果でも必ず、平均をとるために悪い結果も起こりやすいということ。 16.直観的予測の修正 直感芋とすく判断に対しての修正はそれとはまったく逆のことを自分に質問することである。標準情報(平均など)を参考に相関関係数なども考慮に入れ物事を統計的に考える。 17.わかったつもり 私たち人間はどの物事に対しても意味づけをしたがる。過去のことに対してもだ。そのために結果を知ってそれは○〇でこうなることはわかっていた。と思ってはいけない。成功したのがたまたまであっても〇〇が関係していると勝手に意味づけをする。結果として誤った成功体験を記憶してしまうこともある。だから成功したからその要因を探るのではなく本当にそれはよかったのかということから考えなくてはならない。過去成功したからとこれからも同じく成功するわけではない。 18.妥当性の錯覚 自分の中でストーリを作ってしまってあまりにも流れが良いから自信を持つ働き。 19.直感 対 アルゴリズム 技能を積んだ人たちの長年の勘よりも統計的(簡単な計算式でも)に答えを出した方が正しいこと絵ある確率が高い。これは30年にわたって研究された結果である。しかし、手術の成否など、こうすれば高い確率で救えるからなど、統計的に処理されたがために納得がいかないなどの問題も起こりやすい。
0投稿日: 2014.05.28
powered by ブクログかなりの良書。読めば、人生を二倍豊かにする事ができます。 それと同時に、人間の思考の限界とそれをどうする事もできない事を、これでもかと教えてくれる本。 具体例がこれでもかと出てくるので、イチイチ再認識しながら読め、理解も深まります。 統計や確率が絡んだ時、確実にあなたの直感は間違っています。
0投稿日: 2014.05.25
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
読んでみての感想は、「人間って奇妙な生き物だよなあ」ってこと。自分自身の行動の中に驚きを感じる。自分が自分の意志で決めていると思っているのに、こんなにも意思決定に影響を与ええるものがたくさんあるんだ。 心理学なので、心理学用語(フローとかハロー効果とかアンカリングとかプライミング効果とか)をたくさん知ることができるのはもちろん、自分の決断や行動を見直すきっかけをくれる。最初に見た・聞いた数字とかに影響されていないかなとか。 論文なので、それを証明する実験結果も掲載されているので、納得感もある。
0投稿日: 2014.03.21
powered by ブクログ直感的・感情的な思考をシステム1(速い思考)、意識的、論理的な思考をシステム2(遅い思考)と名付け、それぞれどんなタイミングで働き、作用し、ぶつかりあうかを解説しながら、意思決定の仕組みを解き明かそうする。 大抵、直感と呼ばれるシステム1が判断し、システム2は時間をかけて動く。システム2は怠け者で消耗するので、体調や精神状態、外部要因に左右されてしまう。 システム1には、プライミング効果、慣れ親しんだもの、因果関係の推定や発明、信じたことを裏付けようとする確証バイアス、感情的な印象で評価しようとするハロー効果、常時様々な事象をモニタリングしてカテゴライズしたり置き換えをしたり、質問を置き換えたりという特徴がある。 また判断のヒューリスティクスを紹介しながら、統計的な思考の難しさが語られる(ヒューリスティクスとは「困難な質問に対して、適切ではあるが往々にして不完全な答えを見つけるための簡単な手続き」)。小さな標本に騙されてしまうこと、アンカリング効果、身近な例を基準にしてしまう利用可能性、ステレオタイプな代表性が基準率を見逃してしまうこと、もっともらしさによる見誤り、統計より因果を優先させること、平均回帰の理解の難しさがある。 そして人間の思考には、自分が知っていることについて過剰な自信を持つという弱点があることが語られる。後知恵による修正、自分の評価は妥当だと信じてしまいがちなこと、直感は統計アルゴリズムに負ける事例が多々あることが語られる。ここから先は下巻に。
0投稿日: 2014.03.21
powered by ブクログシステム1:直感とシステム2:熟考。行動経済学の総括。 標本数における信頼性の検定は、実のところ、この行動経済学の実験でこそ、きちんと検証されるべきものだろう。本書に及んでもまだ、インパクトのある事例について繰り返し検証されているのか不明である。 プライミング、アンカリングの効能たるや恐るべし。マスコミをはじめとする各種調査の数値は、質問の順序、内容を精査して、意図的・無意識にかかわらずプライミング、アンカリングによって操作されていないか確認する必要がある。
0投稿日: 2014.03.09
powered by ブクログ[関連リンク] ダニエル・カーネマン『ファスト&スロー : あなたの意思はどのように決まるか?』 - 基本読書: http://d.hatena.ne.jp/huyukiitoichi/20121128/1354112460
0投稿日: 2014.02.13
powered by ブクログ「ファスト&スロー-あなたの意志はどのように決まるか?-」の読書会 日付:2013/12/16 作成者:とことこ(大塚 拓) 〇この本を一言で表すと? 人間のいい加減かつ複雑な意思決定方法を実例を交えてわかりやすく説明した本 〇全体の感想・その他 ・システム1(早い思考)とシステム2(遅い思考)に分けて考えるの画期的でわかりやすい。意志力や思考力が無限である・有限であるとの議論の矛盾点がこのファスト&スローで説明できるのではないか。 ・人は現状から悪くなる点はなかなか受け入れられない。この原理が便利になったが豊かさが失われていく社会なのかと思った。 ・画期的な理論であることに間違いないが、本書で辛辣に説明しているベルヌーイやビジョナリー・カンパニー、マルコム・グラットウェルほど売れる本にはならないと思われる。 →人はいい加減でも経験から納得できる因果関係の説明のほうが好まれるのではないか 〇よかった点 ・説明の仕方や実例もとてもわかりやすい。各章の具体例がとても腑に落ちるし、面白い。 ・プロスペクト理論の欠陥(下84)(落胆や失望の勘定)を認識し、説明しているところが潔くてよい →これも理論的に納得のできる解明がされるときが楽しみ ・直感とは認識以上でも以下でもない(下12)。記憶や経験の豊富さが大事でこれから積上げていきたい ・平均以上か以下かは簡単か難しいかで変わる(下46)。対人関係が苦手な人が多いことが納得 ・誉めることと叱ることの士官からの反論について的当てでの説明はすごく納得させられた。(上259)→一方で少しひっかかる点もある。誉める叱るについて、参照点の考慮や個人の特性の考慮はされないのかなど。 〇突っ込みどころ・気になる点 ・統計学者の権威を騙せたことを喜んで理論の正しさを説明(上219)しているが、その一人の統計学者が騙せなかったらどうするつもりだったのか?ちなみに生徒の騙された割合はそっくりと記述だけ ・作者のストーリーが多く、冗長になっている感がある。ただし、それが行動経済理論に訴えかけた説明なのかもしれない。 〇実践してみようと思うこと ・会議が始める前に先に参加者の意見をまとめておくこと。(上127)(自由討論だと最初の発言者の意見に寄った考えになるというのはすごく納得) ・プロの投資評論家の意見は鵜呑みにしない。(上312)(プロに巻き上げられないように) ・過ぎたるは及ばざるがごとし。(上236)(並列比較と単品比較の例はわかりやすい) ・同じ意味でも損失より利益という言葉(下211)を多く使っていこうと思う ・説明する順番(上124)とピーク・エンドの法則(下218)は常に意識しようと思う。プレゼンでも 〇みんなで議論したいこと ・下126 四分割のパターン リスク追及とリスク回避のみんなの意見 ・上258 誉めると叱る、それぞれの効用や効果について
0投稿日: 2014.01.152000文字では紹介しきれない
著者はノーベル経済学賞をとった心理学者。似た様なテーマの選択の科学、錯覚の科学も良かったが1冊だけ読むならこちらがおすすめです。ただしボリュームはあるけど。 まずはシステム1(fast)とシステム2(slow)という本書の主人公?の紹介から。 システム1は自動で働き直感的な判断を支配する。話をしながら歩いても前から来た人とぶつからないのも、人の顔をぱっと見て感情を読み取るのも簡単な計算に即答するのもシステム1。難しいことができないと言うのではなく訓練によって高度な技能もシステム1が支配できるようになる。例えば羽生さんが一目で指し手が見えたり、イチローが瞬間的に打球の行方を判断したりといったこともできる。ただしシステム1は注意深くなく簡単な結論に飛びつきがちである。自信満々の政治家は頼もしく見えるが統計的には自信たっぷりの態度と成果にはなんら関係がない。 システム2は注意力を要する雑音の中で特定の人の声を聞き分ける、2桁のかけ算をするなど。例えば歩きながら1桁のかけ算は問題なくできる。しかし多くの人は歩きながら2桁のかけ算をしようとするとリソースがシステム2に集中するため足が止まってしまう。難しいことをするかどうかではなく集中力を振り向けることに関連する。面白いことにシステム2が働くときには瞳孔が開くらしい。 人の話を注意して聞いているか、聞き流してるかは目を見りゃわかると言うことですな。しかしシステム2は怠け者で疲れてくるとシステム1の直感的な答えを受け入れるようになる。 問題1 バットとボールは合わせて1ドル10セントです。 バットはボールより1ドル高いです。 ではボールはいくらでしょう。 直感的に浮かんだ答えが間違っていたとしたらそれはシステム2が怠けてシステム1に判断を任せてしまったからだ。 認知容易性 中身が全く同じだとしても手書きで字が汚かったり、フォントが小さく改行もなくて読みにくかったりすると印象が悪く、中身自体の評価を落とされてしまう。見た目の悪さがシステム2を呼び起こしてしまうようだ。 単純接触効果 繰り返し聞かされた言葉にはなんとなく好意を持ってしまう。コマーシャルや選挙演説もこれを狙っている。好きなコマーシャルを見て笑顔になるとシステム1の働きで何となく商品に好意を覚えるが、名前を連呼するだけのおっさんの話は無意識にしかめ面になり、きちんとシステム2が監視するので好意は持てないということか。ざまあみろ。 結論に飛びつくマシン 本文中で時々実験をさせられる。 ABC,ANN aproached the bank,121314と3つの文字が並んでおり、さあどんな仕掛けだろうと見ていたが気がつかなかった。 Bと13が全く同じ字だったのだ。システム1は自動連想でBと13をそれぞれ認識してしまった。 アンカリング効果 未知の数字を見積もる時にある数字が提示されるとその数字がアンカー(いかり)となって見積もり結果に影響を与える。昔タイに行った時にパッチもんの時計を買ったことがある。3000バーツと言うので一声300バーツと言ったらあっさりOK。ふっかけられるのは分かっているが3000がアンカーで、1/10と見積もったわけだ。ではスタートが5000や1000だったらいくらと答えたのだろうか。あるいは100や30000だったら?多分それ以上相手にしなかったと思うあまりにも外れた数字はアンカーにならない。 じゃあどうやって交渉するのか? 「そこで私は交渉術のクラスで、次のように教えている。相手が途方もない値段を吹っかけてきたと感じたら、同じように途方もない安値で応じてはだめだ。値段の差が大きすぎて、交渉で歩み寄るのは難しい。それよりも効果的なのは、大げさに文句を言い、憤然と席を立つか、そうする素振りをすることだ。そうやって、そんな数字をもとにして交渉を続ける気はさらさらないことを、自分にも相手にもはっきりと示す。」
1投稿日: 2014.01.01自信を揺らがせ、深い自省の念を抱かせる好著
脳は、因果関係が大好きだが統計的な推論にはとんと弱く、偶然の罠にもたやすく陥る。後講釈も大好きで、一貫したストーリーを作りたがるが、予想外の出来事が起こるとたちどころに記憶を消去し修正する。 平均への回帰なんて説明では満足できず、そのため直感は、不可避的にバイアスがかかる。だけどその修正は、ホームランを打つチャンスを減じてしまう。 「主観的な自信は感覚であって判断ではない」が印象的。 これからはある予測や行為に自信を感じたら、それは正しいことだからではなく、脳がつじつまが合ってると喜んでいるに過ぎないと思おう。 著者は、直感を信じるなと言ってるのではない。過信するなと言ってる。過去や歴史を十分に理解し教訓が得れるなんていうのは幻想だし、将来や未来を知り得るとというのも思い込みにすぎない。倫理的にも社会規範的にも支持される行為であっても、われわれが本来備えている見方と合致しなければ、その望ましい結果にまで目を瞑ることになる。 社会も、標準業務から逸脱したがらない役所の連中や慣例通りの治療に満足する医師のように、リスク回避に走る生き方が一般的になりつつある一方で、一発逆転の無謀な賭けに出るギャンブラーが時に無批判で賞賛されている。 ニスベットとボージダの「人助け実験」の結果は考えさせられる。統計的な数字に納得しても、いざ感じの良い被験者を見ると、そんなことはすっかり忘れてしまうのは、総論賛成各論反対のいまの政界や、財政再建のために増税が必要だと分かっていもいざ報道で低所得層にどれだけ負担が増すかを知ると先延ばしする心性に通じている。 本書の端々で「自分がこの分野の第一人者である」ことを読者に分からせる書き方。 最後に著者近影を見て、鼻の穴の大きなドナルドダッグみたいな顔だと思った。 読み通すのに時間がかかるのは仕方がない。頭では分かったつもりなのにそう見えてしまう有名な錯視の2本の線を終始見続けてるよう。自信は打ち砕かれ、何をよりどころとすれば良いのか(統計か?)途方に暮れるのだから。 本書を読んで、深い自省の念を抱くか、自覚的に利用してやろうというよこしまな気持ちが芽生えるかは読者次第。
3投稿日: 2013.12.11
powered by ブクログ人の脳の認識には2種類あってどちらも大体うまく動いているが、時々変になる。 2種類あるうちの1つ(システム1)は働き者でいつも認識してすばやく反応するが、つじつまあわせしたりして間違えをしてしまう。もうひとつ(システム2)は熟考できるがめんどくさがり屋でシステム1の反応を(よく考えればわかるのに)そのまま間違った認識としてしまう。
0投稿日: 2013.12.10
powered by ブクログ「あなたはいつだって、行動にはその人の一般的な傾向や性格特性が反映されているのだと解釈したがる。」 とても面白い本。人の判断機能を2つに分け、それぞれ直感的(ファスト)、論理的(スロー)としてる。提示された数字にはどこまでもひっぱれる(アンカー効果)ので、なにかを数字を提示するときには望む方に大きくひっぱとけばよい。ほかにも、代表性により、人はより少ない方に可能性があると考えてしまうということや、後知恵効果が面白かった。本書の中でも一番の面白い項目は、“平均への回帰”だと思われる。良いと悪いの総和は、平均の総和と同じである。また、”アルゴリズム”は”直感”に現実的には優るが、心情的には”直感”が”アルゴリズム”に優る。合理的な人間はいない。 何事にも運が大切だ!
0投稿日: 2013.12.07
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ダニエル・カーネマンが意思決定に付いて論じている。 ブームとなっている意思力にもつながる。 序盤で述べている「速い思考」と「遅い思考」という概念だけでも十分に読む価値がある。 このことを認識しておくことが、本人にとっても他人と接する際もどれほど大切かがよくわかり、頭の中で雑多になっていることをまとめてくれる。 「速い思考」で処理されるものを意思によって妨げることはできず、単に知識によっていったん処理された事柄をそうではないのではないかと疑いをかけるしかないのだと。 人は成功体験や失敗体験によって、思考が固着する。だからこそ、悪いときは、本当に悪いのか?よいときは、本当によいのか?と疑ってみることが重要であることの裏付けだ。 人は思っているより、自分の直感に自信過剰なのである。 この二つの思考を認知し、意識的に働かせる訓練が必要だと感じる。 人の行動や思考の特徴である様々な理論が登場するが、「平均への回帰」という考え方も面白い。 よくできた場合はほめる。すると奢ってしまうからその直後うまくできにくくなる。できなかった場合に叱る。その場合は、平均レベルではできるようになる。するとほめてはいけない、叱るべきだという話になる。しかし、単に平均への回帰が起こっただけなのだ。
0投稿日: 2013.11.24
powered by ブクログ行動経済学のユニークな心理実験だけでなく、伝統的な経済学の理論に矛盾するために無視され続けても研究を続け、ついにノーベル賞を取るまでの歴史が面白い。筆者の心境も描かれており、研究者の人間的な面にも共感できる。 上巻は、認知バイアスについての様々な実験と、それをシステム1、2というアナロジーでシンプルに説明しようとする。実際にはそんなシステムはなく、理論でもなんでもないのだが、バイアスを理解して活用するには便利な考え方である。
0投稿日: 2013.11.16
powered by ブクログノーベル経済学賞受賞者のダニエル・カーネマンの著書。 行動経済学は、心理学と類似しています。 人の経済活動は、いかに心に左右されて不合理であるかをズバリ指摘しています。 人の行動を2パターンに分けて、システム1とシステム2と命名しています。 システム1は、習慣化された行動のことです。深く考えずに行う直感的な行動といってもよいでしょう。おそらく子供のときからの躾や教育により自然と身につけたものです。 直感とは認識以上でもなければ認識以下でもないからです。 システム2は、思考の末に行う行動のことです。思慮分別に基づいた理性的な行動ということです。 しかし、人は考えることでエネルギーを使うことをさける怠けもので反射的なシステム1の行動をとることが多くなります。 動物的な一面がでてしまうのでしょう。 自分がどのような行動パターン、思考パターンを持っているかを振り返ることはとても重要です。 失敗を回避するために役に立つからです。 成功者は、よく自分のこと(システム1)を理解しているものだと思います。
0投稿日: 2013.10.31
powered by ブクログ行動経済学の創始者としてノーベル経済学賞を受賞した心理学者、ダニエル・カーネマンの、認知心理学(及び行動経済学)に関する入門書、の上巻。 上巻はほぼ認知心理学の研究成果の話で、人間がいかにシステマティックに認知エラーを起こすかという事を、実例を交えて分かりやすく解説してくれる、誰が読んでも面白い認知心理学の入門書になっていると思う。 行動経済学に興味が無いなら、上巻だけ読むのも良い気がする。 認知の仕組みは、早い思考と遅い思考の二重過程で出来ている、という話は、実感としてもわかりやすくて、目から鱗が沢山落ちる実例も豊富な、素晴らしい本。
0投稿日: 2013.10.20
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
判断を下すとき、私たちの脳はどのように動いているのか。この上巻はほぼその話です。脳の機能を2つに分け(不断無意識でも勤勉に動いて判断を下している1と、熟考する怠け者2)、意識して2を動かしていないと勝手に1が判断して、それが大体は合っているのですが、重大な間違いをしていることも多い。 最後下巻に続く3部で、上記知識を元に、直感より統計のほうが良い判断を下すという事例を上げていっています。 著者は心理学者で統計学者では無いのですが、この上巻の内容だけでは、統計学的判断が優勢で、心理学(特に臨床)には否定的です。これが下巻でどのように反転するのか、しないのか、楽しみです。
0投稿日: 2013.09.26
powered by ブクログNobel経済学賞のDaniel Kahnemanの著作である。 彼は行動心理学と呼ばれる分野の創始者として有名であるが、本書はこの分野の現在までに得られている結果を紹介している。 素晴らしいところは、学術的な結果というのは往々にして一般の状況には応用しにくく、ただの知識で終わってしまうパターンが多いのであるが、本書は過去の実験結果から一般的に何が言えるのかを還元して説明している点である。 本書の結論としては、人間の直感というのは非常にあやふやであるということである。 注意したいのは、それがダメだいうことではなく、人間を人間らしくしているは正に「直感」であるし(例えば、将棋の羽生さんも直感力という書籍も出していますし)、直感が正しいことは多々あります。 でも、ある種の問題に対しては直感は正しく機能しないことが多いのです。 本書を読んで、直感では上手くいかない分野を覚えておけば、少し考えて(本書で言うシステム2を用いて)意思決定をしたほうがうまくいく場合があり日常生活やビジネスで利用価値が高い。
0投稿日: 2013.09.01
powered by ブクログ平均への回帰は、当然のことなのに 実生活では、そうは思っていないっていう 言われてみれば、確かにそう でも、平均がどの辺りなのかっていう予測が甘いんだね もっと注意深くならないと、間違った判断をし続けてしまうのだな
0投稿日: 2013.07.29
powered by ブクログ行動経済学の重鎮ダニエル・カーネマンの一般向けに書かれた主著。内容は心理学の分野に属する研究だが、経済学の分野にも大きな影響を与えており、著者にはノーベル経済学賞が授与されている。著者の仕事が経済学の分野で評価されているのは、経済学の前提とされていた経済合理的個人に対して、実際の人間の行動の「いい加減さ」を説得力のある形で提示し、行動経済学という新しい研究分野を切り開いたからに他ならない。 著者は、本書の目的を「認知心理学と社会心理学の新たな発展を踏まえて、脳の働きが今日どのように捉えられているかを紹介する」ことであるとする。プロスペクト理論、利用可能性ヒューリスティックス、プライミング、アンカリング、メンタル・ショットガンなど、近年著者らを中心に行動経済学の分野で明らかになった概念が網羅的に紹介されている。 行動経済学の分野では、慎重にデザインされた実験により、いくつもの心理学上の新しい知見を得てきた。その原理を原始的な下位層の「システム1」と熟慮を伴う上位層の「システム2」の二階層システムによって説明できるとした本書は、この分野に興味がある人は必読書と言える。上下巻に分かれた大部の書だが、訳も村井章子さんで読みやすい。 上巻の第一部では、本書のベースとなる「システム1」と「システム2」の概念について書かれている。本書のタイトルの『ファスト&スロー』は、この「システム1」と「システム2」をそれぞれ示したものだ。この用語自体は心理学で広く使われている用語らしいが、一般向け書籍にも関わらずあえて「本能」と「理性」を例にとらないところは、本書で余計な先入観なく読んでほしいというところの現れのように思われる。よく読むと「本能」と「理性」とは異なることも分かる。そのシステムがどのように動くのか生物学的な仕組みは解明されていないが、二階層のシステムが存在するとして仮定すると、すべてのことが上手く説明できるという類の理論だ。二階層システムにおける鍵はおそらく「システム1」の方だが、この自動的な処理が想像を超えてかなり広くかつ複雑な領域まで動いていることが示される。いわゆる「本能」という言葉で想起されるものとはこの点で大きく違う。ちなみに「システム1」の能力は、生得的なものに限定されるものではない。自転車の運転やプロスポーツ選手やプロ棋士のように十分に鍛えることができるものだ。 「システム1」の仕組みは、進化の過程で得られたものでもあり、大抵は驚くほどうまく動く。しかし、そのトレードオフとして「システム1」はその本質からまず言明や状況を信用するところから始まるため、非常に容易にだまされるもので、ヒューリスティックやバイアスに捕われて系統的に誤るものである。一方、「システム2」の特徴は動員するのに注意力という努力を必要とするという点で「システム1」と明確に区別される。人間の行動において、この「システム1」と「システム2」を使って効率的にものごとを判断して選択すべく調整が働くことになる。「システム2」がしっかりと「システム1」をモニタして制御するべきなのだが、「システム2」は生来の怠け者のため、結局あっさりとだまされることが多いものであると理解することが大切だ。本書では、多様な事例でそのことが示される。エインズリーの『誘惑される意志』の双曲割引やシモンズの『錯覚の科学』の主張にもよく合致する。 第二部では、人間がいかにヒューリスティックとバイアスに引きずられて統計を正しく扱うのが苦手かについて説明している。それは本書の主役である「システム1」と「システム2」の仕組みに依存している。とにかく直感に頼る場合、目立つ事象やまやかしのパターンに簡単に惑わされる。自動的に働く「システム1」が常に動いて、そちらの方向に引き込もうとするのに「システム2」は多くの場合抗えない。 さらに、アンカリングの持つ強い拘束力を示す実験の数々が紹介される。アンカリングとは最初に提示された数値に縛られる傾向のことである。それが全くあり得ない数字であっても効果がある。例えばガンジーが亡くなった年齢を推定する質問の前に、ガンジーが亡くなった年齢は144歳より上か下かという質問を挟むだけで、その元の質問の回答値が有意に上がることがわかっている。モロッコの露天商がべらぼうな値段から交渉を開始するのも全く合理的である。さらには、全く関係のない数字であってさえも、続く独立した質問の推定に影響を与えることが示される。これはシステム2の仕事にシステム1の仕事が無意識に影響を受けていることを示す例である。 第三部は、「自信過剰」というサブタイトルが付いているが、専門家と呼ばれる人々の判断について疑義が示される。特に金融業界に対して辛辣だ。『ブラック・スワン』で批判された金融業界が陥ったわなについても「システム1」と「システム2」によって説明付けている。 下巻は、第四部が選択行動について、第五部が二つの自己について。盛りだくさん。 ---- 「システム1」の特徴が第一部の最後にまとめられていたので書き写す。 ・印象、感覚、傾向を形成する。システム2に承認されれば、これらは確信、態度、意志となる。 ・自動的かつ高速に機能する。努力はほとんど伴わない。主体的にコントロールする感覚はない。 ・特定のパターンが感知(探索)されたときに注意するよう、システム2によってプログラム可能である。 ・適切な訓練を積めば、専門技能を磨き、それに基づきく反応や直観を形成できる。 ・連想記憶で活性化された観念の整合的なパターンを形成する。 ・認知が容易なとき、真実だと錯覚し、心地よく感じ、警戒を解く。 ・驚きの感覚を抱くことで、通常と異常を識別する。 ・因果関係や意志の存在を推定したり発明したりする。 ・両義性を無視したり、疑いを排除したりする。 ・信じたことを裏付けようとするバイアスがある(確証バイアス)。 ・感情的な印象ですべてを評価しようとする(ハロー効果)。 ・手元の情報だけを重視し、手元になりものを無視する(「自分の見たものがすべて」WYSIATI)。 ・いくつかの項目について日常モニタリングを行う。 ・セットをプロトタイプでカテゴリーを代表する。平均はできるが合計はできない。 ・意図する以上の情報処理を自動的に行う(メンタル・ショットガン)。 ・難しい質問を簡単な質問に置き換えることがある(ヒューリスティック質問)。 ・状態よりも変化に敏感である(プロスペクト理論)。 ・低い確率に課題な重みをつける。 ・感応度の逓減を示す(心理物理学)。 ・利得より損失に強く反応する(損失回避)。 ・関連する意思決定問題を狭くしフレームし、個別に扱う。 ----
1投稿日: 2013.07.28
powered by ブクログシステム1とシステム2 システム1 自動的に働く 印象・直感・意志・感触を生み出してはシステム2に供給する システム2 通常は努力を低レベルに抑えた快適モードで作動している、システム2がゴーサインを出せば、印象や直感は確信に変わり、衝動は意志的な行動に変わる システム1が遭遇すると、システム2が応援に駆り出され、問題解決に役立つ緻密で的確な処理を行う チャブリス&シモンズ「錯覚の科学」 白シャツチームと黒シャツチームのバスケットボール システム1の世界では、デスクスタンドがジャンプしたり、猫が吠えたり、ゴリラがバスケットボールのコートを横切ったりはしない。ゴリラ実験では、予想外の刺激を察知するにはある程度の注意力が必要だということを示した。驚きは注意を喚起し、それに集中させる。きっとあなたは目を開き、記憶の中を探して、つじつまの合った説明をつけようとすることだろう。システム2はまた、あなた自身の行動を常に監視する任務も負っている。怒っているときに礼儀正しくふるまわせるのも、夜運転しているときに警告を発するのも、こうした監視の働きである システム1とシステム2の分担は、きわめて効率的にできている。すなわち、努力を最小化し成果を最適化するようになっている。ほとんどの場合に仕事の配分がうまく行くのは、システム1がだいたいにおいてうまくやっているからだ。慣れ親しんだ状況についてシステム1が作り上げたモデルは正確で、目先の予測もおおむね正しい。難題が降り掛かって来たときの最初の反応も機敏で、だいたいは適切である。ただしシステム1にはバイアスもある。バイアスとは、ある特定の状況で決まって起きる系統的エラーのことである。システム1は本来の質問を易しい質問に置き換えて答えようとするきらいがあるうえ、論理や統計はほとんどわかっていない。システム1のもう一つの欠陥は、スイッチオフできないことである。たとえば自分の国の言葉が画面上に現れたら、注意が完全にほかのことに向いているときは別として、ついつい読まずにはいられない 連想 プライミング効果 人間は、真実性の錯覚を生む表面的な要因のいくつかは克服することができる。ただしそれは、そうしなければならないと強く動機づけられたときだけである。ほとんどの場合には、怠け者のシステム2はシステム1の提案をあっさり受け入れ、そのまま突き進む ハロー効果 自信過剰、フレーミング効果、基準無視 少数の法則 アンカリング効果 利用可能性ヒューリスティクス 感情ヒューリスティクスは、白黒のはっきりした世界をこしらえあげ、私たちの世界を単純化する 因果関係が大好きな脳 平均回帰
0投稿日: 2013.07.26
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ネタバレばかりです。 |私達は日々、無意識な意思決定を半ば、自動的に行なっている。 ・直感的、感情的な”ファスト思考(システム1)” ・意識的、論理的な”スロー思考(システム2)” この2つの比喩をたくみに使いながら、意思決定のしくみを解き明かし、 私たちの判断がいかに錯覚の影響を受けているのか浮き彫りにしていく。 |システム1は自動的に高速で働き、努力は全く不要か、必要であってもわずかである。自分からコントロールしている感覚は無い。 システム2は、頭を使わないと出来ない困難な知的活動にしかるべき注意を割り当てる。 |プラス3問題(例:4239→7562のように各桁に3+して一定のリズムで読み上げる)を行うと、瞳孔が50%大きくなり、心拍数も上がった。 とても不可能な問題になると、瞳孔は開くのを辞め、収縮する。 (瞳孔は、知的努力に伴う身体的覚醒の良い指標になる) |最小努力の法則・・・ある目標を達成するのに、複数の方法が存在する場合、最終的に最も少ない努力で済む方法を選ぶ。経済でいうと、努力=コストである。 |自我消耗・・・システム2が忙殺されている時、システム2のセルフコントロール力が低下し、システム1の行動に影響力を持つようになる。 (システム1は甘党である。) 何かを無理やり頑張った後で、次の難題が降りかかった時、 あなたはセルフコントロールしたくなくなるか、うまく出来なくなる。 (朝はシステム2が元気だが、夕方・残業時間には、システム2の監視が緩み、システム1寄りの安易な結論を出してしまいがち) |思考とセルフコントロール マシュマロテスト・・・4歳児の目の前にマシュマロが置いてある。 これはベルを押せば、いつ食べてもいいよ。でも15分間食べずにいたら ご褒美としてもう1個あげる。という条件。 15分我慢すれば、2個もらえるという簡単なことも4歳児には難題。 子どもたちは、マシュマロから意識を遠ざける為に、数を数える、目を背ける、等、色々な方法で意識をそらそうとした。 この誘惑に勝った子供は、認知的タスクで高水準の実行制御能力を示す。 (つまり小さい頃から、自分の思い通りにならないこと、我慢させること訓練しておかないと、ダメな大人になる確率UP) |システム1は、騙されやすく、信じたがるバイアスを備えている。 疑ってかかり、信じないと判断するのはシステム2の仕事だが、 しかし、システム2は時に忙しく、だいたい怠けている。 |連想記憶の働きは、確証バイアスを助長する。 自分の新年を肯定する証拠を意図的に探すことを確証方略と呼ばれ、システム2はこのやり方で仮説を検証する。 「仮説は反証により検証せよ」、と頭で判っていながら、自分の信念に一致しそうなデータばかりを探す。 |ハロー効果 ある人の全てを、自分の目で確かめていないことまで含めて 好意的に(または悪意的に)感じる傾向。 (彼のプレゼンテーションの上手さから、ハロー効果の影響を受けているよ。彼のマネジメント能力については何も知らないでしょ) |限られた手元情報に基いて、結論に飛びつく傾向は、直感思考を理解する上で非常に重要。この傾向は、自分の"見たものがすべて"と決め手かかり、見えないものは存在しない、とばかりに探そうともしないことに由来する。 システム1は印象や直感のもとになる情報の質にも量にも無頓着であり、 システム2は怠け者であるがゆえに、システム2がゴーサインを出すのも想像がつく。 (たった1人のコンサルトからの報告に基づいている情報を、全てだと信じるのは危険だ、過去の実績があるからと言って、この報告には裏付ける情報は殆ど無いよ。) |自信過剰・・・手持ちの情報の量や質は、主観的な自信とは無関係である。自信の裏付けは、筋の通った説明がつくかどうか。一貫性のある活性パターンを評価し、疑いや両義性を排除しようとする。 フレーミング効果・・・同じ情報も提示の仕方が違うだけで、違う感情を掻き立てることが多い。 ”手術1ヶ月後の生存率は90%”< "手術1ヶ月後の死亡率は10%" 後者のほうが、危険な印象を受ける(が意味は同じ) |システム1の日常モニタリング能力 システム1は生命体が生き延びるために常時評価するようになった。 今はどんな状況か、何か危険な、もしくはチャンスがありそうか・・・。 サバンナのガゼルに比べれば、都会で生活する人間にはここまでの緊急性は必要だいが、原始時代には必須の能力だろう。 これは、今、敵と味方を瞬時に見分ける能力として使われている。 私たちは、見知らぬ人の顔をひと目みただけで、生死を決しかねない重大な事実を評価する能力、それは1つは、どの程度支配力を持っているか、もう1つは、どの程度信頼出来るのか、つまり、友好的か敵対的かを、 判断する。評価対象は相手の顔の造作である。 (選挙で勝つのは、顔の印象の良い人。顔の印象で、人は能力があるかどうかを見極めている) |メンタルショットガン・・・システム1は、システム2が命じたことだけに照準をあわせられない。 システム1は、常に多くの情報処理を同時に行う。 目を開けている時は、常に、脳は見えているものを3次元で表現し、空間的な位置や宅超を把握する。この処理には意志は不要で、勝手に処理してしまうもの。 |ヒューリスティック質問 人間は複雑なことにも直感的に意見を言うことが出来る。 それは、複雑な質問に対して、簡単な質問に置き換えて、答えているから。 システム1が感じる、答えの出しようも無い質問に対して、怠け者のシステム2の負担を最小限に抑える為に、単純な問に置き換えて答えを導いている。 しかし、これは、本来答えるべき、質問に答えていないことに気が付かないこともある。また、置き換えた質問の答えが直感的に浮かぶことから、当初の質問が難しかったことさえ気が付かない。 |感情的な要素が絡むと、システム2はシステム1の感情を批判するよりも、擁護に回る傾向が強まる。番人というより、保証人となってしまう。 |統計に関する直感を疑え システム1は、ある種の思考を極めて上手くやってのける。なんの苦労もなく、自動的に複数の事象の因果関係を突き止める。実際に因果関係が存在しないとしても・・・。 統計に関する直感は疑いの目で見ること、印象を信じるのは辞めて、出来るかぎり計算を行うこと。 |アンカー効果 何らかの数字を見せられると、その数字の影響を受けてしまうこと。 (相手に1度提示された金額の影響を受けて、適正な金額を見誤るようなこと) ・調整プロセス・・・アンカーとなる数字を基準と考えてしまい、自分の感じる適正な数字へ近づけて行く方法 ・プライミング効果・・・例えば"ガンジーが114歳まで生きていましたか?"と聞かれた時、前者の調整プロセスで考える人は殆どいない。しかし、114歳→高齢までは生きた、という連想が発生した可能性は高い。 |アンカリング効果の具体例・・・ スーパーにて、定価から10%OFF、限定2個まで。といった文言がならぶと 基準が曖昧になり、売上を伸ばすことに貢献する。 訴訟問題にて・・・上限を100万$までと設定することで、 大企業は、100万$付近までで抑えることが出来てメリットだが、 中小企業は、些細な案件でも、100万$を基準に考えられてしまうため、デメリットのほうが大きくなることが多い。 |具体例を思い出す容易さは、システム1のヒューリスティックとなる。 システム2が関与して、容易さよりも思い出した例の内容に注意を集中するようにならえば、ヒューリスティックを排除される。 システム1に安易に従ってしまう人は、システム1を厳しく監視している人よりも、利用可能性バイアスにかかりやすい。 |被験者の判断は報道によって、歪められている。そもそも報道されるニュースには、新奇性があるとか、感情に訴えるといったバイアスがかかっている。 |私たちは、リスクを完全に無視するか、むやみに重大視するかの両極端になる。 どれだけ心配するかは、起きる確率と釣り合う訳ではない。 両親がイメージするのは、ニュースで見聞きした悲劇的な事件の確率計算の分子だけ。分母については考えない。 |代表性の罪 代表性に基づく直感はたいてい精度が高い。しかし、第一の罪: 起こりそうにない(基準率の低い)事象なのに、代表性の直感のみで きっと起こるだろうと錯覚してしまうこと。 第2は、直感的な印象(システム1)は、証拠の診断結果(システム2)を課題評価しがちになる。 自分の見たものが全て、に連想一貫性が重なると、自分のストーリーを信じやすくなる。 |リンダ問題・・・"もっともらしさ"を無批判に、"起こりやすさ"に置き換える行為は、そのもっともらしいシナリオに基いて予測しようと言う時に致命的な判断ミスとなる。 一貫性、もっともらしさ、起こりやすさ(確率)の概念は簡単に混同してしまう。 |過ぎたるは及ばざるが如し問題 セットA:①高価な商品+②安価で欠陥のある商品のオマケのセット。 セットB:①高価な商品だけのセット このAvsBを並べて比較すると、セットAを高価値に判断した。 しかし、A、Bを別々に価値を判断すると、Aの安価な商品がマイナスの影響を引き起こし、Aのほうが価値がないと判断されてしまった。 (オマケのせいで、全体的に安っぽくなってしまった) 比較する時は、直接、数字を並べて比較することで、システム1よりも2を働かせるように心掛ける。 |原因と統計 基準率には、2種類ある。 ・統計的基準率・・・これは母集団に関する事実だが、無視されがち。 ・因果的基準率・・・ケース固有の情報で、予測を変える効果がある。 |人間観を変えるのは難しい。まして、自分は思ったより下劣な人間だ、と考えを改めるのはますます難しい。 |被験者は、全体→個を推論することには、不熱心だが、個→全体を推論することには、熱心。 |平均への回帰 成功=才能+幸運 大成功=少しだけ多くの才能+多くの幸運 という仮説を立てて、 ゴルフトーナメントを考える。 初日に平均以上のスコアの選手=平均を超える才能+初日の幸運 初日に平均以下のスコアの選手=平均を下回る才能+初日の不運 から、2日目のスコアを正しく予想するならば、 平均以上の選手は、2日続けて、幸運が続く可能性は低いことから、初日ほどのスコアは期待出来ない。 平均以下の選手は、初日よりスコアは上がることが考えられう。 このように平均に近づくパターンを指して平均回帰と呼ぶ。 2つの変数の相関が不完全な時は、必ず平均への回帰が起こる。 つまりに、相関と回帰は別々の概念であるということ。 |2つのシステムから見た回帰 根拠薄弱な情報から偏った予測を行うのは、システム1のなせる技である。システム1は手元情報から作り出せるストーリーの筋が通っている時ほど自信を持つので、自信過剰な判断を下す。だからこそ、注意しなければいけない。 平均回帰は理解し難い問題である。これは、システム2を訓練し、システム1が行う、手持ち情報から直感的にマッチさせる方法がいかに危険かを考える必要がある。 |ハロー効果の再確認 たった1つの目立つ特徴についての判断に、全ての脂質に対する評価を一致させるよう仕向けること。評価に過剰ないっかんせいを持たせる働き。 |後知恵バイアス 最初の信念を再構築するように指示された被験者は、結局、現在の意見で間に合わせた(置き換えの例)。しかも、自分が当初そうは考えていなかったことを認めようとしなかった。別名、"私はずっと前から知っていた効果"。実際に事が起きてから、それに合わせて過去の自分の考えを修正する傾向が人間にはある。 |結果バイアス 悪い結果が出てしまうと、その決定を下した時点で、その判断は妥当であったかどうか、という視点から評価することはほぼ不可能となる。 (じつはリスクが高く、それを知っていたはずだ、と考えがち) ことが起きる前は、慎重に思えた行動も、事が起きてしまってからは、無責任で怠慢に見えたりするものだ(震災の原子力発電所にしかり) このことが、お役所的なやり方に走る原因となり、リスク回避を助長する一方で、無責任なリスク追求者に不当な見返りをもたらすようになる。 |運がもたらす影響力 企業の成功や心配の物語が、読者の心を捉えて離さないのは、 脳が欲しているものを与えてくれるからである。 勝利にも敗北にも明らかな原因がありますよ、運だの必然的な平均回帰だのは無視して構いませんよ、という(誤った)メッセージである。 こうした物語は、"分かったような気になる"錯覚を誘導し、あっという間に価値の無くなる教訓を読者に垂れる。それを読者は皆、信じたがっている。 |妥当性の錯覚 自分の見たものが全て効果。私たちは、観察した行動から受けた印象に過剰な自信を頂いた。 振り返ってみて衝撃なのは、自分達に予測能力など無いことを一般的な事実として知っていたのに、個別のケースになると自信が揺るがなかったことである。これは、人間が全体→個を推論したがらない、という理論に当てはまる。自信は錯覚であり、自信があるのは、情報に整合性があって、情報処理が認知的に容易であるからに過ぎない。 |世界は予測不能である ポイントは、将来の予測は当たらない、と言うことではない。 第1の収穫は、予測不能なのだから、予測エラーは避けられない。 第2は、強い主観的な自信がいくらあっても、それは予測精度を保証するものでは無い。 |直感と計算式 ・人間による判断を計算式で代用することが可能であれば、少なくとも1度は検討してみるべきだ(システム1の直感を排除すべき) ・細かい所までよく見て、判断を下しているつもりらしい、だが、項目別のスコアを単純に足し合わせるほうが、たぶんいい結果が出るよ。 ・応募者の過去の実績について、重み付けをどうするかは面接前に決めておこう。さもないと、面接で受けた印象を過度に重視してしまう結果になってしまうよ。 最後に感想・・・ 人間の錯覚や、判断を下すフローが良く分かる、大変興味深い内容でした。いかに、巷の評価や直感のいい加減さが理解出来ます。 下巻もあるということで、早速読んでみたいと思います。
0投稿日: 2013.07.05
powered by ブクログ脳の仕組みとして衝動的で直感的なシステム1と論理思考能力を備えたシステム2の関わりを考察した本。下巻から先に読んでしまったため、システムの概要を後から復習的に押さえる形となった。通読してみて、改めて自分がシステム1にいかに偏った判断をしているかを痛感させられた。
0投稿日: 2013.07.01
powered by ブクログ数ページ毎に出てくるクイズで見事にはまる。難しい話を読み手に伝える技術に感動します。それを伝える翻訳にも。
0投稿日: 2013.06.22
powered by ブクログ自分が自分自身で決めていると思っている「意思」も実は色々な要因、外因に左右されているというもの。 最初は読みづらかったが、たまにはこういうものも読まなくてはなと頑張って読むと、理解し面白くなってくる。レビューは下巻で。
0投稿日: 2013.05.25
powered by ブクログ面白い、そして怖い一冊。 著者の本に興味あった上に、 諸々の書評で取り上げられておもしろそうだったので挑戦するも、 実際に読むとどんどん引き込まれる。 このシステム1・2って捉え方はもちろん、 難しそうな話だけど、章ごとに具体的な面白い実験や例を挙げてくれるので、 読書慣れしてない人でも、割とサクサク読めそう。 ただ、ここまで思考や判断への疑問符を投げられると、 今までの、そしてこれからの自分の思考や判断に懐疑的になってしまうよな~ 色んな分野に応用していける内容だと思うので、 どなたにでもオススメしたい一冊。
0投稿日: 2013.05.23
powered by ブクログ経済学でノーベル賞を受賞したということで、経済分野における心理学の応用と思っていたら完全なる心理の本であった。認知心理学の専門と記載していたが、認知心理学だけでなく心理学すべての領域をカバーしているので、心理学入門書としては最適であると思われる。
0投稿日: 2013.05.17
powered by ブクログ単なる相関関係を因果関係と思い込むのは人間の本能。 というよりも、辻褄を合わせさも因果関係があるかのように頭の中で無意識の内に構成する(でっち上げる)能力が人間にはあるということ。 様々なバイアスからは逃げようがないようだ。統計的事実を提示するなど証拠を示しても自分の判断についての自信は揺らぐことがないようだ。
0投稿日: 2013.05.07
powered by ブクログ心理学者にしてノーベル経済学賞を受賞した著者の本。経済学は「人間は合理的な存在」であることを大前提にしているが、人間は自分たちが思っている以上に「様々な思い違いや錯誤」をしまくっていることを実例と実験例をこれでもかと示す。「なるほど〜」と思うことしきり。例えば、人は同じ金額でも得られる利益よりも、損失の方を過大に評価するのだという。TPP問題とか「この視点がないとわからないよな〜」と妙に納得。ただ上下巻合わせて700ページはかなりの労力。電車の行き帰りでかなりかかりました。
0投稿日: 2013.05.03
powered by ブクログ人の意思決定がどう行われるかという本です。かなり読み応えがありますが、とても興味深い話ばかりです。下巻も買いたいと思います。。。
0投稿日: 2013.04.26
powered by ブクログ意思決定のプロセスには、早い決断と遅い決断があり、人はそれぞれを使い分ける。実験心理学の本。具体例がたくさん挙がっており、つい納得のおもしろさと人間のすごさを感じる。ボリュームが相当あるので疲れないように。
0投稿日: 2013.04.07
powered by ブクログ意思決定論を専門にする認知心理学者だが、プロスペクト理論の創始者であり、行動経済学の先駆者&代表的な学者としてノーベル経済学賞
0投稿日: 2013.04.07
powered by ブクログ第一部の感想 システム1はパターンマッチを高速で行い、そこに意思は介在しない。 システム2は例外事項を処理する。 処理された事項はパターンとしてシステム1に登録され、類似の体験を繰り返す事によってパターンはより強固になる。つまり自動運転しやすくなる。 通常はシステム1による自動運転が行われている。 システム2はパターン化するために因果関係、整合性を好む。 果たして人がストーリー(理由)を好む理由はここにある。 (自我はシステム2で発生する) しかし理由は常に後付けで行われる。 システム1は最適解と思われるものを瞬時に選択するが、その解は過去に最も役にたった(安全を確保できた)事例を選んでいるに過ぎない。 p168 サンプリングにおける誤りは母集団が均質であり、直感的に充分に納得できる量を取り出すなら、どこを切り取っても構成要員の割合は変わらないと言う思い込みに起因する。 p258 平均への回帰はやや誤解を与える表現だと思う。mean=並の方がマシでは。並外れた事象は並へと収束すると理解したが、ではその並がどこにあるのかという点には言及されていない。ここで例示されるのは進行中の事象であり、常に母集団は増え続ける。併行して平均もまた変動を続けるであろうから、そこへの言及は意味をなさないのであろう。であるなら平均や回帰といった表現はここで言及している対象の理解の妨げとなろう。 人は事象の理解にあたって単純な因果関係を求めたがるが、実際には偶然の累積によってその事象は起こる。 理由や因果関係はむしろ全て後付けされたものに過ぎない。 それが再利用できる限りにおいて、科学のような普遍性を持つものとして理解され、我々の日常において事象が再生産される。 その普遍性が崩れた時(=ブラックスワン)、新しい理由が探される。 p320 「世界は予測不能である」これ。
0投稿日: 2013.04.02
powered by ブクログ人間は様々なバイアスに基づいて直感を信じているので、バイアスを補正して考えましょう。弱点を理解しておくことで間違った判断がおきにくくなることがこの本を読むことで理解できました。 人間は直感で処理する機能(ファスト)と、直感で判断できないときに処理する機能(スロー)に分かれているらしい。 意思決定はファスト機能からスロー機能に必要な情報が渡されスロー機能が決定している。体が勝手にうごくもの車の運転などは意思決定は必要ないのでファスト機能だけで処理しているが、狭い道の運転と行った場合はスロー機能が処理をすることになる。 ファストな機能は、五感の入力並列で受け取り瞬間で処理する。スローな機能は、ファストができない計算や判断といった複雑なことができるが同時に1つのことが処理できないし、時間がかかるため、平常時は動いていない。 ファストな機能がすべての情報をスロー機能に送る訳ではないのでバイアスが生まれてしまう。
0投稿日: 2013.03.30
powered by ブクログノーベル経済学賞を受賞した認知心理学、行動経済学の権威の著書です。 彼の業績をもとに、人の意思決定に関して、まとめられています。人の避けられない、認知的特性、どうしても生じるバイアスを開設しています。彼曰く、そのシステムは、システム1とシステム2に分けれらるとのことです。ヒューリスティックなどは、関連する本を読んでいない人は知らないかもしれません。 アンカーの部分では、国連加盟国に占めるアフリカ諸国の比率を、ルーレットで決めた(実際は事前に10か65でとまるように設定)数字より大きいかを聞き、その後実際の比率を言ってもらうと、質問と全く無関係の事前の数字10、65の影響を受ける、10を見せれらると平均25%、65を見せられると平均45%と答えるというもので、人間の意思決定の思考がいかにいい加減かを示しています。 下巻も楽しみに読みたいと思います。
0投稿日: 2013.03.28
powered by ブクログ認知的錯覚について様々な種類が紹介されている。 話の軸は「システム1(直感)とシステム2(熟慮)型の認知」、「エコン(経済人)とヒューマン(普通の人間)」、「経験する自己と記憶する自己」 幸せの感じ方の議論が「経験する自己と記憶する自己」の流れであり重要
0投稿日: 2013.03.14
powered by ブクログ良書。豊富な実例に基づき各種バイアスへの説明があるのはもちろんの事、タレブの著書(ブラック・スワン)を引き合いに出し不確実性などへも言及している。 他にも様々な著書(例えばルイスのマネーボールなど)に触れながら話をすすめているので、興味が湧いた本があったら読んでみるのも良いかも。(巻末に参考文献が載ってないのが惜しい?) 以下に興味深かった記述を抜き書き 第9章 より簡単な質問に答える ◆原注にカーネマンとギーゲレンツアーの意見の違いについて記載あり ギーゲレンツアーが強調するように、彼の扱うヒューリスティクスと、エイモスと私か研究してきたヒューリスティクスとは異なる。またギーゲレンツァーは、ヒューリスティクスが不可避的に伴うバイアスよりも、ヒューリスティクスの正確さに注目している。 迅速・簡素ヒューリスティクスの正確性を裏付けるために行われた調査の多くは、統計的なシミュレーションを使ってそれらが現実の生活の場面で通用することを示しているが、そうしたヒューリスティクスの心理学的現実性を示すデータは乏しく、議論の余地がある。 彼らのアプローチで最も注目すべき発見は、再認ヒューリスティックである。再認ヒューリスティックは、有名な実験で説明されている。 被験者は2つの都市のうちどちらが大きいかを質問される。すると、片方の都市だけを知っていた被験者は、知っているのだからこちらのほうが大きいだろうと推論する。この再認ヒューリスティックは、被験者が自分の知っている都市は大きいとわかっている場合には、きわめてうまく働く。逆に、自分の知っている都市が小さいとわかっている場合には、当然ながら、知らないほうの都市を大きいと答えることになる。すなわち被験者は理論に反して、再認以外の手がかりも活用することになる。以下を参照されたい。 DanielM. Oppenheimer, “Not So Fast! (and Not So Frugal!):Rethinking the Recognition Heuristic," Cognition 90 (2003):B1-B9. 彼らの理論の弱点は、私たちが脳について知っていることから判断する限り、ヒューリスティクスが簡素である必要はまったくないことである。 脳は大量の情報を並行処理できるので、情報を切り捨てなくとも正確で速い判断を下すことは可能である。さらに、チェスの名手に関する初期の研究から判明したように、スキルとは、少ない情報を活用する術を学習していることではない。むしろ逆である。スキルとは、大量の情報を素早く効率的に処理する能力であることが多い。 第10章 少数の法則 ◆アメリカの3141の郡で腎臓がんの出現率を調べた所、顕著なパターンが発見された。 ?出現率が低い郡の大半は、中西部、南部、西武の農村部にあり、人口密度が低い。 →ガンを余り見かけないのは田舎のキレイな環境のおかげ? (大気汚染はなく、水もキレイで、添加物の入っていない新鮮な食品が手に入るなど) ?出現率が高い群を調べた所、大半は中西部、南部、西武の農村部にあり、人口密度が低い。 →ガンを多く見かけるのは、田舎の貧しい環境のせい? (質の高い医療を受け難く、高脂肪の食事、酒の飲み過ぎ、タバコの吸いすぎが良くないなど) ※鍵となる原因は、田舎のライフスタイルではなく、「単に人口が少ない」こと。 →人口の少ない群でのガンの出現率は、実際には高くも低くもない。ただある年の標本抽出の偶然により、そう見えるだけ。 (小さい標本のときには極端なケースが観察されやすい) ◆ペンシルバニア州の1662の学校を調べた所、成績上位50校のうち6校が小さかった。(通常の4倍の出現率) →小さな学校のほうが、大きな学校に比べて生徒一人ひとりに注意が行き届き、勉学意欲を高められるなど、よい教育を提供でき、従って優秀な生徒を輩出できる? ※小さい学校の成績は平均を上回るわけではない、単に「バラつきが大きい」だけ。(成績の最も悪い学校の特徴も、やはり小さい学校) →上記の話からの類推として、アジャイル開発が成功している様にみえるのも、小チームだから単に優劣のバラつきが大きく、その上振れしている上澄み(成功しているチーム)だけが目に入るからなのだろうか? 第19章 わかったつもり ◆後知恵バイアス 後知恵バイアスは、意思決定者の評価に致命的な影響を与える。評価をする側は、決定にいたるまでのプロセスが適切だったかどうかではなく、結果がよかったか悪かったかで決定の質を判断することになるからだ。 たとえば、リスクの低い外科手術の最中に予想外の事故が起き、患者が死亡したとしよう。すると陪審員は、事後になってから、手術はじつはリスクが高かったのであり、執刀医はそのことを十分知っていたはずだと考えやすい。このような「結果バイアス」が入り込むと、意思決定を適切に評価すること、すなわち決定を下した時点でそれは妥当だったのか、という視点から評価することはほとんど不可能になってしまう。 後知恵は、医者、ファイナンシャルアドバイザー、三塁コーチ、CEO、ソーシャルワーカー、外交官、政治家など、他人の代わりに決定を下す人々に、とりわけ残酷に作用する。 私たちは、決定自体はよかったのに実行がまずかった場合でも、意思決定者を非難しがちである。また、すぐれた決定が後から見れば当たり前のように見える場合には、意思決定者をほとんど賞賛しない。ここには明らかに、結果バイアスが存在する。結果が悪いと、ちゃんと前兆があったのになぜ気づかなかったのか、とお客は彼らを責める。その前兆なるものは、事後になって初めて見える代物であることを忘れているのだ。 ◆後知恵バイアスの悪影響 標準的な業務手続きに従ってさえいれば後からとやかく言われる心配はない、というわけで、自分の決定が後知恵で詮索されやすいと承知している意思決定者は、お役所的なやり方に走りがちになり、リスクをとることをひどくいやがるようになる。 医療過誤訴訟がひんぱんに行われるようになるにつれ、医師は多くの面で手続きを変え、検査の回数を増やし、患者を専門医へ回すようになり、さほど役に立ちそうもなくても慣例通りの治療を施すようになった。 これらは患者に恩恵をもたらすと言う よりは、医師の立場を守るものであって、利益相反の可能性は否めない。こうしたわけだから、説明 責任を増やすことはよい面ばかりとは言い切れない。
0投稿日: 2013.03.03
powered by ブクログ人の意思決定の仕組みについて述べられている。人は物事を決断する時2つのシステムを利用する。無意識に直感で即判断するシステム1と複雑なため頭で考える必要があるシステム2である。本書は上巻で、各システムの特徴・統計に従うのは難しい・人間の思考は過去のイメージに左右されがちである。の3点について主に述べられる。本書を読み進めると専門家の人間味あふれる判断に比べ、計算式の絶対的な判断のほうが優れていることがわかると共に、いかに人がハロー効果に従って物事を判断しているのかがわかる。人生は選択・判断の連続である。ゆえに、本書で学んだ判断価値を活かし、生活していきたいと感じた。
0投稿日: 2013.02.27
powered by ブクログノーベル経済学賞をとった心理学者カーネマンの本。人間の思考を、直観や経験に頼る「システム1」と、熟考や統計的処理を行う「システム2」という2分類法を使って説明し、人々は日常的にシステム1を使って思考をしていることが多く、その際に、ヒューリスティックやバイアスによって誤った解答を見いだすことを説明した。具体的なヒューリスティック、バイアスの例を紹介してくれており、わかりやすい。本の最後では、「ヒューリスティックとバイアス」を回避する方法は残念ながらほぼないと言っており悲観的。
0投稿日: 2013.02.23
powered by ブクログ読んでいる途中だが面白い! 心理学に興味が出てきた。人ってそういうものなんだ。 ノーベル賞受賞のダニエル・カーネマンの本。
0投稿日: 2013.02.23
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
意志の強い人にとっても弱い人にとって気になるのは、意志はどうやって決まるのか。その遺志について「システム1」、と「システム2」に分けて著者は迫っていく。1は、著館的、感情的な速い思考」、2は「意識的、論理的な遅い思考」のことを意味する。 思考とはさみは使いようと言えるが、思考を勘違いして悪い方向に使う人もいればよい方向に使う人もいる。著者も述べているが、企業の経営者や起業家に自信過剰な人が多いそうだ。俺様(私)が一番という大いなる勘違いがあるからこそ新しい事業を始めたり、企業買収を行うための原動力になる。勘違いも使いようによってはよい方向に働くから捨てたものではない。まあ、そういう経営者のもとで働く社員はたまったものではない。オフィス中で、胃薬が手放せないという人であふれかえっていることだろう。 システム2は著者によると「怠け者のコントローラー」で、考える作業が伴う分スロースターターでエンジンがかかるのが遅い。自分の本能の赴くまま行動したがる古い脳に対抗するには、深呼吸したり、ちょっとアイディアを寝かしてから判断した方がよいということか。 気を付けた方がいいと思ったのが、「自分の見た者がすべてだ」と思うことだ。それを避けるには、アンテナを高く張り巡らして、いろいろな角度がラ物事を考えて、様々な立場の意見を取り入れる必要があり、エネルギーが必要になる。そうなるとやはり、健康的な生活を営むことの重要性に改めて気づかされる。健全な肉体に健全な思考が宿るというからなあ。
0投稿日: 2013.02.18
powered by ブクログ行動経済学の本。こちらは、上下で圧倒されます。システム1(早い思考)とシステム2(遅い思考)で人間は動く。で、しばしば専門家が間違えるのは、システム1だ。バイアスにやられる例がこんなに出てくる本は見たことがない。『ずる』を読んだあとに読むのが正解。
0投稿日: 2013.02.11
powered by ブクログ長いが、良書。 心理と経済が密接に関わっている。 株、不動産、為替。全て。 それに対する防御の方向がわかった。
0投稿日: 2013.02.04
powered by ブクログレビューはブログにて http://ameblo.jp/w92-3/entry-11449822202.html
0投稿日: 2013.01.19
powered by ブクログいわゆる「行動経済学」や「心理経済学」に興味があるので購入してみたが、素晴らしい本だと思う。この本の主眼は、頭を使わない、いわゆる「直観・勘」をシステム1、実際に思考、計算・論理等を目的として「頭を働かせる状態」をシステム2に大別し、この両システムを分析しているところである。 僕なんかは怠惰な人間なので、システム2をほとんど使用しない生活を送っているのだが、この本によれば人間というのはシステム2を利用したがらないとの(つまりは「頭を使わない」のが普通である)ことで、少し安堵をした。いわゆる「直観」の方が優れているのではないかというのは誰にでも経験あると思う。例えば、試験等で最初に選んだ答えの方が正しかったのに、見直して「やっぱりこっち」と変えたら、結果間違いで、最初に選んでいた方が正解だったとか、そういう経験ってありませんか?僕は結構あります。で、その経験側を裏付けるような実証例や研究等が豊富に例証してある一方、システム1が起こしやすい間違い等についても深く分析してある。 人間の「ありがちな」行動について、多くの分析を行っているので「心理学」「行動学」の本としても楽しめると思う。また、各章が10~15頁で読みやすく飽きずに読め、各章最後に「まとめ」がついているのも嬉しい。時間がなければこの「まとめ」だけ読んでも良いかもしれない。 またこの本の良いところは、米国の著作にありがちな「つまらないたとえ話」が少ないところだ。 第16章以降の「平均回帰」なんて、読んでて面白かったなぁ。最初は少し退屈かもしれないけど、無理に全部理解しようとせずに、読んでて理解できる箇所だけ拾い読みするだけでも良いと思う。 上巻は主に「システム1」についての記載に多くを費やしたとのことなので、「システム2」が主眼となる下巻も大変楽しみである。理論経済学や計量経済学なんかより、はるかに有用な経済学上の学問領域であるこの最新の学説をここまで解りやすく書いた本は、他に無いはずだ!
0投稿日: 2013.01.14
powered by ブクログヒトが物事を認知する際に反射的に行う「システム1」と意識的に行う「システム2」についての記述を軸に、バイアスとヒューリスティックスについて述べられている。 わたしにとっては日常生活でもそうだが、特に診療における診断を考える上で意識した方がいいポイントがいくつもあった。(特に「ハロー効果」と「後知恵バイアス」) 下巻も楽しみに読もう。
0投稿日: 2013.01.10
powered by ブクログ人間は常に合理的なわけでなく、直感的(というか無意識的というか)なシステム1で多くの処理を行っている。他方、意識的な脳の働きはシステム2と呼ばれ、怠け者である。 システム1は高速に処理ができるし効率がいいのだが、バイアスがかかっており、時にこれが誤りの元となる。 という感じで、これまでの人間観をひっくり返される感じで目から鱗。 個人的には趣味の競馬予想における思考のバイアスにあてはめながら読み、首肯するところが多かった。
0投稿日: 2013.01.06
powered by ブクログプライム効果やヒューリスティック、アンカー効果など行動経済学の中での基礎理論を詳しく学べる。 人間には、日常観察や本能で判断する部分(システム1)と論理的分析的な部分(システム2)がある。認知的な負荷がかかる判断が必要な場合意識的な判断が無意識的なシステム1二影響されることがある。判断困難なものを容易に判断可能な経験済みなものに置き換えたり(ヒューリスティック)、する。 代表性ヒューリスティック
0投稿日: 2012.11.28
