
総合評価
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powered by ブクログ読み終わってお腹の底にズンと来るような物語だった。人間とはなんて弱く利己的なのだろうと思った。下巻でも暗い影が全体を覆っているけれど、読み進める手が止まらない。最後でなぜ「氷点」というタイトルなのかが分かった。 解説を読んだら人間の「原罪」がテーマになっているとのこと。「どんなに無垢に見える人間でも原罪と無縁な者はいない」という悲しくもどうしようもない現実を、巧みなストーリーと描写で分かりやすく伝えてくれる。 最後の最後でほんの少しでも希望が見えてよかった。 「続・氷点」は「ゆるし」がテーマとのこと。読んでみたい。
15投稿日: 2020.12.17
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人を信頼し合うこと、本音を話すこと 思い込むこと、背景を知ろうとしないこと どれもこれも難しいし、色んな形の信頼があるのだなと思った。 陽子が罪の意識で自殺したけど、人を恨むよりも自分に責任を求めてしまう人なのだと可哀想に思った。運命を呪わない陽子がすごいと思う。 さっぱりとなんでもいい方に捉えるように生きてきた陽子。 自分にはない 人の浅ましさがよく出ている人間くさい作品だと思った Twitterで見かけてよんだけど、難しい。目当ての答辞シーンまでまどろっこしくて長かったけど、よんでよかった
0投稿日: 2020.12.15
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思っていたのと違った… 陽子ちゃんが犯人の子ではないのはまぁそうだろうなと思っていた そして死んでしまうだろうと思った 助かってしまうのは本人が一番つらいのでは?
0投稿日: 2020.12.09
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4月に上巻を読んでからずっと積んでいた。 うーーーん……。 誰しもにさまざまな秘め事があり、どう考えているかは他人にはわからず、だから話し合って行動して思いやって愛をもって暮らしてゆくのだな、という感想はあるのだけれど、タイミングの問題なのかなんとなく消化不良のような……。 陽子があまりにも光の存在であの世界で唯一前を向いてる子だったからラスト間際の氷点のくだりはやめてくれ〜っって感じになってしまった。夏枝!!!!!!やめんか!!!!! いや時代の流れもあるだろうけど 結局この世界線だと殺人犯の子は色眼鏡で見られるのは変えられないってことね?本来の親が判明したら周囲の態度急変だし、北原くんも陽子は陽子だとか言った直後に殺人犯の親はたわごとだって諌めてるのがな。いやまぁ時代でしょうが……。 あと何?最後なに?北原くん捨て駒?徹とくっつくん?さすがにかわいそすぎるんだが。いや徹は徹でひたすらひたむきに陽子を愛していてこれこそ「汝の敵を〜」の体現だとは思うのだけど。ここが裏テーマだったん?パパがなしえなかった人生テーマを徹がだれに教わることなく一途に想うのが。 本ってタイミングあるから、、今読んだらなんか疑問点出てきてしまってこんな感じになってしまったけど、もしかして、もっと多感な時期あるいは子どもが同じ年頃になった時に読んだらまた違ったのかもしれないなー。 え?続編あるやん ようよう気になったら続編も読みます……。
0投稿日: 2020.09.03
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自分の父親が、育ての親啓造と夏枝の娘ルリ子を殺した犯人であることを知らされた陽子は、ルリ子が殺された川辺で睡眠薬を飲み、自殺を図る。 母親の意地悪にも耐え、明るく生きていこうと頑張っていた陽子が。 彼女自身は何の罪も犯していない。 でも彼女の遺書には、育ててくれたことへの感謝とともに、自分の中に罪を犯すかもしれない可能性があること、そのことを知ってしまった今、もう生きていくことはできないと書かれていた。そして、それが自分の中の氷点であると。 この小説は「原罪」がテーマとなっている。 原罪とは何か。 神から禁じられている知識の木の実を、蛇にそそのかされて食べたイブと、そのイブに勧められて食べたアダム。神は、命令に背いた二人に何が起こったのかを尋ねた。アダムは、神が造った女イブが自分に勧めたからだと言い、イブは、蛇から勧められたからだと言う。神は二人に質問をしたのではなく、自分が犯した罪を認め、悔い改める機会を与えたのだが、両人とも自分の非を認めずに終始責任転嫁を続けた。こうやって人間は、楽園から永久に追放される。 すべての人間は、生まれながらにしてこの罪を背負っている。イエス・キリストが十字架に磔になったことにより、その罪を贖ったとも言われている。 ・・・原罪について調べたら、ざっとこのようなことが書かれていた。キリスト教にはいろんな宗派があるし、どれが正しい(そもそも正解不正解が存在するのか?)かは分からないが、陽子にとっては、人殺しの親から生まれたということが既に自分が背負っている罪なのだ。 色々な人間が犯した罪が描かれた小説だ。 誰かが犯した罪は、また他の誰かの罪を生む。人を憎むことによって、人を愛することによって、どちらにしてもそこから醜い感情は生まれ、罪は生まれ育っていくのだ。 一時は絶望的だとみられていた陽子の容態は、数日後に回復の兆しを見せる。 実は父親は殺人犯ではなく、陽子は不倫の上に生まれた子供だったことが分かる。それでも彼女はそのことについて、再び苦しむだろう。ましてや一度、自分の中にある氷点に気づいてしまったのだから。 この世に生まれて罪を犯していない人間などいない。わたしだってそうだ。でもそれは仕方がないことだと思ってきた。 それ以前に、罪を背負って人は皆この世に生まれてくるのか。 今はよく分からない。
0投稿日: 2020.08.27
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ラストで涙してしまいました。 子は親を選べない。子に罪はない。 苦しんだ陽子を思うと本当にいたたまれない。 学歴、職業、見た目、、 そんなことで人を判断することがいかに愚かなことかを思い知ります。 自分のエゴがどれほどまでに相手を傷付けるのか。 夏枝が今の時代に生きていたら、SNSで悪口書いて追い詰めるようなことをするんだろうな、ふと、そう思います。 という感想も最早決めつけのようなもので。。 陽子のような芯のある女性に憧れる。 日本がもっと多様性が受け入れられる社会になることを願います。 あと、個人的に 女から母親になれない女性は軽蔑する傾向にあります。
0投稿日: 2020.05.31
powered by ブクログ有閑マダムの浮気もどき、夫の小物感、妻の毒母ぶり。現代の感覚からすると昼メロ丸出しのストーリーに辟易するし、誰一人として共感できる人物はいなかったが、これも本作の主題を浮き上がらせるためと思い読み進めると味が出てくる。 私はキリスト教徒ではないので、本書のテーマとされる人間の原罪云々の議論はあまり理解も共感もできなかった。 ただ、作中で辻口啓造が思い至った心情「人のことなら、返事の悪いことでも、あいさつの悪いことでも腹が立つくせに、なぜ自分のことなら許せるのだろう、と人間というものの自己中心なのにおどろいた。自分中心とは何だろう。これが罪のもとではないか」という点は印象に残った。 確かに、本作の人物(特に辻口夫妻)は「許せない」というただその思いで人の道に外れていく。またちょっとした誤解から許せないと思うことで不毛なすれ違いを生んでいく。 時代背景は異なるが、2020年の現代日本では、過剰な権利意識、被害意識と他責感で社会が押しつぶされそうになっている。崩壊寸前の日本社会を考える上で、本作の人物のおかしな人間模様は一つの示唆になるのではないだろうか。
3投稿日: 2020.03.07
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なんだこれ、なんだこれー!!!! 人を愛したい思いと上手くいかない思い、その人の幸せを願いたいのに願えない醜さ、ままならない恋愛、己の血に流れる罪の意識……人の感情を生々しく描く感じがすごくすごい(語彙力) 陽子ちゃんの悩みが崇高。結局目は覚めたんだろうか。 そして高木さん……!結局違う子だったんかい……! 最後皆が必死で陽子ちゃんを助けたいと結束したのが嬉しい気もするがなんだか複雑な感じ。ここで陽子ちゃんが助かったとしてもまたなんかゴタゴタやらかすんだろうな、この人たちは…… 夏枝の自分勝手な被害者意識がうざいと思ったけど、自分も自分の良いように解釈して人のせいにしてないか?と考えた。
3投稿日: 2020.02.27
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良かった。 徹の友人の北原も登場し、いよいよ人々の思いは複雑に絡み合う。 夏枝の身勝手さには磨きがかかり、まさにモンスターのようだった。常に自分を正当化し、被害者でいられるように都合よく解釈する。上巻の序盤は夏枝に同情していたものの、これが正体だったかと驚いた。 啓造は最初に許されない罪を犯したものの、その後は比較的冷静で、内省的な部分もあり、まあまあ共感できた。陽子への淫らな思いは駄目だが、なぜか一時的だった。 陽子が犯人の娘だったということは、信頼関係によって作られた善意の嘘であり、実は犯人の娘ではなかったというオチも、なんだそうだったのかと安心する材料にはならず、さらなる原罪というテーマへと入り込んでいくという、とても深みのある展開。
0投稿日: 2020.02.06
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死のうとしても死ねない時があるということが、ぼくには意味深いものに思われてなりません。 結局は、その人もかけがえのない存在になりたかったのだわ。もし、その人をだれかが真剣に愛していてくれたなら、その人は死んだろうか
0投稿日: 2020.01.30
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村井の高木に対する一言から、もしかしたら犯人の娘ではないかもしれないと思いながら…読んだ。 もしこの考えがあってるなら、陽子が知る前に夏枝に知らせて欲しいと思いながら読み進めた。
0投稿日: 2019.11.27
powered by ブクログ内容(「BOOK」データベースより) 海難事故で出会った宣教師の行為に心打たれた辻口は、キリスト教に惹かれていく。しかし夏枝を許せず、陽子への愛情も生まれない。夏枝は陽子に気づかれないように冷たい仕打ちを続けている。兄・徹は陽子に愛情をそそぐが、思いを自制するために友人・北原に陽子を紹介した。北原と陽子は心通わせるが、夏枝は複雑な嫉妬心から、2人に陽子の出生の秘密をぶちまけてしまう。人間の愛と罪と赦しに真正面から向き合う不朽の名作。
0投稿日: 2019.10.29
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下巻では、物語はその速度を加速させていき、あっと驚く結末となる。なんと、陽子は犯人の子どもではなかった。 自分が犯人の子であると勘違いした陽子は、これまでの全てが腑に落ちて、自分が生まれ持って負った罪を精算するかのように自殺を図る。陽子は最後まで「聖なるもの」として描かれた。 人間の未熟さが悲劇を招いたのは言うまでもないけれど、そもそもの出発点が嘘だった。ありもしない罪を信じた結果、辻口という家族は狂わされた。嘘と勘違いの恐ろしさを味わった想い。 だけどそんな悲劇の中にあっても、陽子は美しくあり続けた。それが相対的に人間の未熟さと愚かしさにハイライトを当てた。人間はどんな境遇にあっても美しくいられるのか、と考えさせられた。 (詳しくは書評ブログでどうぞ) https://www.everyday-book-reviews.com/entry/%E4%BA%BA%E7%94%9F%E3%82%92%E7%8B%82%E3%82%8F%E3%81%99%E5%98%98%E3%81%A8%E5%8B%98%E9%81%95%E3%81%84_%E6%B0%B7%E7%82%B9_%E4%B8%8B_%E4%B8%89%E6%B5%A6%E7%B6%BE%E5%AD%90
3投稿日: 2019.10.12
powered by ブクログ人間の感情の激しさを、ここまで臨場感をもって表現できるなんて、、、最後の50ページはページをめくる手が止まらなかった。圧巻の筆力。三浦綾子さんの氷点との出会いに感謝したいです。
7投稿日: 2019.10.11
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汝の敵を愛せよ 陽子の脅迫的ともいえる潔癖な生き方。 辻口の小心さ、夏江の自己中心かつ幼児的性格、徹の変質的愛情。 ルリ子が殺された事で、辻口家の歪みが次々と表面化していく。 高木、村井など登場人物の殆どに秘密、罪の種が潜んでいる。 原罪とは何か、人は罪無しでは生きていけないのか。
0投稿日: 2019.09.07
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まるで昼ドラのような展開でした。 登場人物それぞれの気持ちが分かるので、読んでいて苦しくなる場面も。 陽子は、殺人犯の子供ではなかったことが最後にわかり、おそらく一命をとりとめたはず… 続編がとても気になります。
0投稿日: 2019.03.30
powered by ブクログ✳︎「時が解決するものは、本当の解決にはならない」 ✳︎「こんな事くらいで人を恨んで、自分の心を汚したくない」 ✳︎陽子の寂しさを支えているものは、「北原さんはわたしを裏切ったけれど、わたしはあの人を裏切らなかった」ということ。北原のことで陽子の良心が責められることはなかった。 ✳︎「私の血の中を流れる罪を、ハッキリと「ゆるす」と言ってくれる権威あるものが欲しいのです。」 人をゆるすことは難しい。自分をゆるすことはもっと難しい。
1投稿日: 2019.01.12
powered by ブクログ犯人の子でなかったとしても罪の意識は拭えない、と陽子が言うように、本物の母娘であったとしてもこの確執は避けられないやつなんだよな 母が女である限り、、 同様に、啓造と徹の欲も陽子が本当の娘でも起こり得るものかもしれなくて、陽子がもらい子だからとか犯人の子だからとかいう言い訳に全員が甘えることでそれらの罪のしわ寄せが陽子にいったのだろうか 「陽子も大人になったのね。ノーコメントよ、おかあさん」はしびれるな~
0投稿日: 2017.12.20
powered by ブクログこんなにドロっドロの物語は今まで見たことないな、というくらいドロドロ。いまどきの小説でこんな物語は無いだろうなぁと思ったら1960年代の作品ということで納得。韓国でリメイクされているのいうのもなんとなくわかる。 なんとなく、キリスト教の香りがするな、と思ったら作者の三浦氏はクリスチャン。テーマも原罪。なるほど。と思う。 続編があるようなので、このまま一気に突入かな。 文学なのか、下世話な文芸なのか紙一重って感じ。でも面白い。
0投稿日: 2017.12.07
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下巻は成長していく子供たちの心理が中心.併せて,子供が成長すると同時に,発端となっている娘の殺害からも時間が経過し,夫婦の感情にも変化が生じていく様が見て取れる. 陽子が家族殺しの犯人の娘であるがゆえに陰険に接する母と,それが故に守らなければならない・幸せにならなければならないと考えて行動する兄との対照が印象に残る.終盤,陽子に対する曝露に際して北原が提示する視点は作品当初から抱いても然るべきものであったが私はついぞ気付かなかった. 下巻では啓造を通じて,聖書やキリスト教に触れる場面が目立つほか,陽子の口から語られる世界の見方も興味深い.誰もが誰かしら・何かしらの載った因果の中で災禍の引き金を引いている・引かざるを得なくなっている可能性があり,それが罪であるというのが本作品の言う「原罪」なのであろうか.
1投稿日: 2017.09.18
powered by ブクログ小川洋子さんのラジオ 今日は北海道から、この本ということで 読み直してみました なんかきちんと読んでいなかったのか ドラマを見たのか 曖昧だったのがストンとしました 「原罪」とか 重いです 「続」はどうしようかなあ 小川洋子さんの切り口が楽しみです ≪ 凍えきる 心傷つき 氷点に ≫
0投稿日: 2017.07.02
powered by ブクログ以前に読んだことがあったはずだけどうる覚えで再読。 結末をすっかり忘れていたので、新鮮な気持ちで最後の事実に驚き胸をなでおろした。 しかしまぁ、なんていう話!陽子がかわいそう過ぎる、というか周りの人間がひどすぎる。妻への復讐のために陽子を引き取る啓造もありえないけど、この妻の夏枝が最悪な女。夫が陽子を引き取った本当の目的を知った後の夏枝の豹変ぶりが怖い。 その後、何かといっては陽子に憎しみを向け(陽子は何も悪くないのに言いがかりとしか思えない自分勝手な思い込み)冷たい仕打ちを繰り返す。そのうち陽子が美しく成長するもんだから嫉妬もあってもう救いようもない。この夏枝、自分が一番じゃないと気が済まないっていうやっかいな女で。一見優しそうに見えるのも始末悪い。 頼りのお兄ちゃんの徹もだんだん恋心を抱いちゃうし、陽子が安住できる家庭環境ではない。なのに無理やりにでも前向きに生きていく陽子が健気というかかわいそうというか。本当に味方だなと思えたのは辰子くらいかな。そして北原。 北原がいて良かった。すべてを暴いて真実を手繰り寄せてくれて良かった。手遅れではないよね?最後が中途半端なところで終わってしまって。これは「続」を読まねば。
0投稿日: 2017.05.24
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
母夏枝の罪は分かりやすいが、作者が本当に描きたかったのは、父啓造、その友人高木、そして主人公陽子らの罪だろう(彼らの罪=自分の力で正しい生き方ができると思う傲慢)。社会的信用のある立派な大人であることや前向きで努力家といった性格上の美点などで解消できるほど人の罪は生易しいものではなく、どんなに善良に見える人にも罪はあるということだろう。作中には教会や宣教師が少し出てくるものの、全体としてキリスト教を前面に押し出している感じはしない。しかし、罪の理解という点で、極めてキリスト教的な作品。個人的には、主人公にいまいち感情移入できなかった。女性作家の描く女性主人公だからだろうか。
0投稿日: 2016.12.30
powered by ブクログ子供の頃からドラマなどで題名はよく見かけていたが視聴する機会が無く、図書館で本を見かけ、読むことにした。テーマが原罪であるとの情報から、さぞかし難しい小説なのだろうと思ったら、韓流ドラマのような展開(笑)。病院長の妻が青年医師と逢っている間に幼子が殺害される。妻への憎しみと「汝の敵を愛せよ」という教えへの挑戦で、殺人犯の娘を秘密裏に幼女に迎える。偶然、夫の日記を見た妻は秘密を知り、、、、。 入り組んだ人間模様と、洞爺丸台風まで登場するアップダウンの激しい展開は、まさに韓流ドラマ。Wikipediaによると、韓国でもドラマ化されているらしい(笑)
0投稿日: 2016.12.11
powered by ブクログ「原罪」がテーマという。 何かを為して罪を背負うのではなく、すでに人間の奥に潜む罪。 罪=悪という状態ではなく、抗えないもの。しかし、罰は受けざるを得ない。 この小説は誰が罪を負うべきなのか。辻口家全てが大小ありながら被ってる。
0投稿日: 2016.09.06
powered by ブクログ愛と罪と許しをテーマとした人間の心の複雑さを描いた大作だった。読み返すたびに自分の人生経験に基づいた新しい視点での発見ができると思う。
0投稿日: 2016.02.19
powered by ブクログ作者の訴えたかったことは陽子の遺書以降の本編に凝縮されているようだ。 それは宗教的で哲学的な投げかけで、しかもそれが家族と言う誰にとっても身近な親しみやすい舞台で語られていったことに多くの人が共感したり悩んだりしたためにこの本はベストセラーになったのではないか。 上巻~下巻中盤まであまり心惹かれることがなかった作品だが、それはもしかしたら今の私に幸いにも負の思いまたは辛い悩みなどがなかったからかもしれない。 これから先、自分の心が凍ってしまい生きる力がなくなるような氷点にぶち当たった時にこの本をまた手に取るときっと感じ方は変わるのだろう。 私の氷点はいったい何なのだろう。
0投稿日: 2015.12.02
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
東海ドラマみたいな、夫婦、母子、そして兄妹の愛憎劇。 なぜ、こんなドロドロした話がベストセラーになるんだろう。悪趣味だな、と思っていたが、ラストで溜飲が下がった。少しだけ。 とにかく毒母夏枝の継子いじめがひどい。 陽子の才能を潰そうとし、恋人にも嫉妬し、すこしでも幸福を得ようとすれば邪魔をして、ついには素性をばらす。そこで追い詰められた陽子がとった行動の果てに、周囲の人間たちが真実に辿り着く。 「泣かせようとする人の前で泣いたら負けになる。にっこり笑って生きていけるだけの元気を持ちたい」と高らかに宣言した気丈な少女を、あの川原へと向かわせた大人たちの罪深さ。けっして他人事とは思えない。 ここでテーマとなっている原罪とは、法に違反する罪というほどのものではないが、人間が存在する限り他者に与えつづける苦さや哀しさのこと。いじめられても一途に健気に正しい生き様を貫こうとした陽子だったが、みずからにある原罪に気づいてしまったときに決断したことが哀しい。 人格者を装った啓造も、美貌だが陰湿な夏枝も、禁断の想いをいだく徹も、そして親友を信じたが故に悲劇を招いてしまった元凶の高木も、登場者のそれぞれが加害者であり、また被害者でもある。お互いへの信頼をはきちがえ、誤解が誤解を生んでいく。 救いようのないことの連続で最後にわずかの光明がみえる。 続編があるとのことだが、読む気にもなれず、この話自体、二度と読み直したくない。作者にここまでのものを書かせようとした原動力は何なのだろう。
0投稿日: 2015.06.04
powered by ブクログ読んでいる間中、陽子が不憫でならなかった。周囲の人間たちの行動にいちいち腹が立った。 自分だったらどうするだろうかと考える余裕もない。ただ物語りの行方に集中させられた。 それほどまでに引き込まれたのは、なぜなのか。自分も同じようなことをしでかす可能性のある人間だからか。 単純に読んで楽しかった、ためになったという本とは違う凄さがある。
0投稿日: 2015.04.06
powered by ブクログ物語の中の陽子は、辛い時も人を恨み憎しむことなく真っ直ぐな性格を貫いていたが、そんな陽子が存在する以上、啓造や夏江は苦しむ。 陽子の心にも氷点はあったのです、の一文から、いくら悟ったとしても人間は人間である以上罪深きとのなのだということを伝えたかったのではないかと思いました。
0投稿日: 2015.03.29
powered by ブクログ2015年3月の暇な一日に読んだ。久しぶりに一日で読破したい、と思うような本に出会った。子供を殺した人の子供を育てることとなる、人の気持ち。人間の利己的な考え方にとても複雑な気分となる。被害者の子供として迎えられた陽子の生き方すてきだった。
0投稿日: 2015.03.29
powered by ブクログ「汝の敵を愛せよ」文字にしてみればたったの7文字、しかしこのたった7文字に一家はどれだけ苦しめられてきたのか。「原罪」をテーマとした長編小説です。法律という次元ではなく、もっと根源的な人間の「罪」とは、 「赦し」とは、そのようなことに真正面から向き合うのに適した作品ではないでしょうか。一見すると「円満」な関係であっても、実は脆く崩れてしまいそうなギリギリで均衡を保っているのではないか、そのようなことを感じました。 我が「氷点」は何処にあるのか?これからも探しつづけていきたいと思います。
0投稿日: 2015.03.02
powered by ブクログ人には誰しもある罪を犯すかもしれないという可能性すら受け入れられなかった陽子は、これまで強く見えていたけど実は誰よりも脆かった。人を信じることの大切さと同時に、信頼することで、全て間違いないと思い込む怖さも感じた。
0投稿日: 2015.01.08
powered by ブクログ表題にぴったりの作品 自分の娘を殺された家族が、その殺人犯の娘を育てる話 美しく、強くあろうとした人間にこそ災いが降りかかってくる 人物描写が細かく、行ったり来たりを繰り返す感じがある 読むならこの寒い時期
0投稿日: 2015.01.04
powered by ブクログとても寂しい なにを信じるのか それによってひとはこんなにも右往左往してしまうのか 生と死 その境目がどこにあるか分からない 自分の存在価値 考えるととても虚しい 記 20141202
0投稿日: 2014.12.02
powered by ブクログ図書館で借り待ちして何日かで読んだほど、面白かった。昔の言い回し的なのがまた、昭和を感じさせて上品さが出ていた。その上品な言葉とはうらはらな夏枝の嫉妬心、自分が1番でないと許せないという傲慢さが、それによって際立っていた。人間の猜疑心の中での清らかに無垢だった陽子。いじましいほど、前向きでいつコケるかヒヤヒヤしていたけど、その潔癖さから自殺まで自分を追い込む姿が現代の人達には理解出来ないかも。我より他人の痛みに敏感な人が増えれば憎しみ合い殺しあう事もない世の中になるかもな。続編絶対読もう。
0投稿日: 2014.12.01
powered by ブクログ我が子を殺した犯人の子を引き取って育てることにした辻口家。その後半の物語。人間の嫉妬深さ、復讐心、人を騙そうとする心をリアルに描いている。最後は親友にまでも…。中でも酷い人間として表現されているのは夏枝。かなりどうしようもない奴だと読んでいて感じたが、案外これが正直な人間の気持ちなのかもしれないとも思った(自分の中で抑えるかどうかは別にして)。 ラスト、出生の秘密を聞かされた陽子が自殺を図る場面は、どうにか一命をとりとめそうなところで終わっているので続きが気になり『続・氷点』も読みたい。
0投稿日: 2014.10.29
powered by ブクログ2014.10.05 図書館で借りて、一気に読了。 凄かった。この本の感想を上手く言葉で表すことができませんが、人間の感情という感情が深く絡み合って、とにかく息もつかせない展開にページをめくる手を止められませんでした。 誰もが罪人であり、また誰にも罪は無い。それが矛盾なく描かれているのがこの本の凄いところです。私なんかにはとても考えつかない人間の深さを描いた小説だと思います。 テーマが『原罪』ということで、『人間』とは何か、醜いところ、美しいところ、脆いところ、何もかもをまざまざと見せつけられました。 とにかく、凄い。 感想を上手く書き表せられないのがもどかしい。 人生の中で一度は読んで損は無い本です。 未読の方は読んでください。
0投稿日: 2014.10.05
powered by ブクログ下巻では、恨み嫉妬から罪の意識へとテーマが移った印象。 それに加えて、信じる・ゆるすとは何なのか考えさせられた。 ただ一つ、嫌いと言うよりかは思想自体は好きなのだけれども、キリスト教の斡旋小説のように思えてしまうのが違和感。
0投稿日: 2014.07.15
powered by ブクログ後半グッと面白くなった。 それにしても出生の秘密にはえええマジかよと思ってしまったけれども。笑 続編も読みたいと思った。 全体を通して感じるのは大衆に原罪をテーマとして与える小説としてはとても面白いし好きなんだけれども、文学と呼ぶにはどうなのかな…と思ったけれども、やっぱりキリスト教的テーマがあるゆえに外国文学のような感じがあるから日本文学っぽさを感じないのかも。
0投稿日: 2014.04.21
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
読み終わって、愚かだと断罪するのは簡単。 自己愛の強い夏枝と自分勝手な啓造を罵るのは容易い。 でも、自分が同じ立場になったとき、同じことをしない保証はない。 人は誰でも罪を犯さずには生きていけない。 例え法律で罰せられないとしても、大なり小なり人に迷惑をかけ、罪を犯しながら生きていく。 聖人君子なんていない。 とまぁ、もっともらしい言葉を言ってみたけど、「人間の原罪」について堂々と語れるほど私は人間が出来ちゃいない。 登場人物一人一人について愚かと罵れるほど私はえらくない。 が、夏枝の傲慢さと驕りと自己愛はイラッとくる。 性格の悪い美人が年取るとこうなるって感じ。 息子と同い年の青年を異性としてみるなんて、いっそ哀れに思えてならない。 まぁデブスの僻みだけどね。
0投稿日: 2014.04.04最後に泣けます。
ついに陽子の心が氷つく、 最後に陽子が反応して思わず泣いてしまいました。
1投稿日: 2014.03.08
powered by ブクログ良い子すぎる陽子にデジャブ。ハイジやと気付く。 そういえばハイジも信心深い子である。 1966年版テレビドラマを一気観し、死の淵から戻った陽子のその後が知りたくて原作を手に取ったわけだが、大層気になる終わり方をしとる。 原作も一気読みじゃわい。
0投稿日: 2014.01.20
powered by ブクログ続きが気になりすぎて、一気に読んじゃいました!登場人物の恨みや裏切り、復讐が絡み合って人間の複雑な感情が丁寧に描かれています。でも、重すぎずカラリとしてます。 続編早くよみたいです。
0投稿日: 2013.06.06
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
とても読みやすく、楽しめました。自分の本心を隠して、どんどん泥沼にハマっていく姿を見ていると、「いい加減正直になろうよ、隠さないで堂々と話し合おうよ!」と始終言いたい気持ちでした。
0投稿日: 2013.04.03
powered by ブクログ全体的に読みやすくおもしろいけど、時代の差か文章に違和感を覚える箇所がいくつかあった。 いくら医者でドイツ語を勉強しているからといって、「シェーンなフラウ」とか「ハイラーテンする」とか、日常生活で本当に使っていたのかなと疑問に思った。 腑に落ちないところは他にも。 夏枝はたしかに酷いことをしたし、はじめは啓造に共感していたけど、一番は啓造が責められるべきじゃないのかと思う。 夏枝のせいでルリ子が殺されたとか言って復讐した啓造が一番おそろしく感じた。
1投稿日: 2013.02.05
powered by ブクログ夏枝、どーしようもない。ただ、陽子もいい加減にしろ。良い子すぎて感情移入できないばかりか、自分を否定するってことは世の中の親に恵まれない子供達も否定することになるのになんで誰もそれを指摘しないのか。一番の差別者はお前だ!
0投稿日: 2012.10.05
powered by ブクログこの物語は「原罪」をテーマにしている。それはその通りで、読後には、人が生まれながらにもっている罪というものを考えさせられる。 でも、それだけでこの物語は語れないと思う。 人生に対する感じ方や考え方は、時や状況や、そのとき一緒にいる人や、さまざまなものによって変化する。だから、啓造も夏枝も陽子も、どの登場人物に対しても、場面場面によって共感できたり、反感を覚えたりする。まるで本当の人間付き合いのように。 そんな中で、私もいろんなことを感じ、考えさせられ、そしてそれが変化させられる。とても深い小説。 その中でも、自分を必要としてくれる「かけがえのない存在」が欲しいと願う陽子が、境遇もなにもかも全く違うのに私自身のような気がして、とても切なくなった。
0投稿日: 2012.09.06
powered by ブクログとにかく続きが気になって気になって一気に読み切った。啓造がいつか浮気するんじゃないかとドキドキしてたり(^_^;)物語の年代は古いのに今読んでも新鮮で斬新で古さを感じない。最後の終わり方はえぇ!?って感じだったけど…こんな終わり方なんかいっ!みたいな(笑)続氷点があるみたいなのでそっちも読もうと思う!
0投稿日: 2012.06.16
