Reader Store
夕星の皇子、明星の天子 <壱>
夕星の皇子、明星の天子 <壱>
小坂伊吹/KADOKAWA
作品詳細ページへ戻る

総合評価

4件)
4.5
3
0
1
0
0
  • 男性は古代史マンガをあまり読まないのか?と思った!

    自分は飛鳥時代の漫画に関しては結構詳しいと思っていたのだが、本書を知らなかった時点でまだまだなのだろう(笑) 紹介して下さった方、ありがとうございます! ここで、飛鳥時代〜奈良時代初期を扱った漫画を思いあたるものを挙げてみると(順は特に意味なし) ・里中満智子『天上の虹〜持統天皇物語』(『長屋王残照記録』、『女帝の手記』なども) ・長岡良子『古代幻想ロマンシリーズ』 ・河村恵利『明日香の王女』 ・大和和紀『天の涯て地の限り』 ・山岸涼子『日出処の天子』 ・池田理代子『聖徳太子』 ・・・など圧倒的に「少女漫画」に属すものが多い。 (そういえば、宝塚にも『あかねさす紫のはな』とか『飛鳥夕映え』など飛鳥ものが多い!) 最近出た園村昌弘・中村真理子『天智と天武』などが例外か? 何でだろう、男性は古代史に興味ないのか?それとも上記のような漫画は男性にも読まれているのか? まあ、ともかく、少女漫画誌ではない媒体で古代史ものが出ていることは嬉しい。 さて、本書、目の付け所が面白い。 主人公は「漢皇子」という実在しているがどういう人なのかはよくわからない人である。 故に歴史創作系では大胆な想像に基づいて描かれることが多い。 たとえば、黒岩重吾の『落日の王子』(小説)では大王(皇極天皇)と入鹿の子、という設定、 『天智と天武』では漢という名前は使っていないがやはり同様の設定。(でも全然違う展開) が、こちらでは別の設定がなされており(こちらが日本書紀寄りの設定だが)、入鹿は仇にあたる。 そこももちろん面白いのだが、上に列挙したような漫画を読んでいてもあまりスポットライトが当てられることの少なかった 蘇我日向、高向玄理などを大きく取り上げているのが面白い。 中大兄のようにどこにもかならず出てくるような人は、他とは違った感じに描かれている。 『明日香の王女』のぐーたら美形で冷酷なときは冷酷な中大兄とちょっと通じるんだけど、 また違った味が出ている。というか、中大兄が誰かに「兄上」と言っていること自体新鮮だ!(笑) 飛鳥もの少女漫画を読みすぎてお腹いっぱいのお姉様方にも、 飛鳥もの、というか少女漫画などとは縁の無い歴史好きの男性にも楽しんで読めるのではないかと思う。

    7
    投稿日: 2014.09.14
  • 大化の改新あたりのお話

    日本の時代コミックと言えば、戦国時代が圧倒的に多く、後はるろ剣のようや幕末から明治、戦後を舞台にしたものが思い当たりますが、これは蘇我入鹿や中大兄皇子が登場する大化の改新までの物語で、珍しい時代コミックと言えると思います。 主人公は中大兄皇子か中臣鎌足かと思いきや、漢皇子(あやのみこ) という、葛城皇子(後々の中大兄皇子)の兄にあたる人物で、実在ではあったものの記録があまり残されていない皇子です。 昨今の歴史コミックの中でも、人物画はかなりクオリティが高いと感じました。 蘇我入鹿については諸説あるものの、ここでは教科書通り"悪いヤツ"として描かれてます(笑) ただし話の合間に挿入されている著者の解説では、入鹿や鎌足についての最近の見方について触れられており、興味深く読むことができました。 大河ドラマを観ていてもわかるように、日本人の歴史的関心がとかく戦国・幕末に偏っている中、こうした一見需要の少なさそうな時代に焦点をあてられた著者の意気込みに感服すると共に、楽しい作品を読ませて頂いた事に感謝したいと思います。

    2
    投稿日: 2014.03.04
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    大海人皇子=漢皇子という説をとった漫画を読みたいとずっと思っていましたので即かってしまいました。 けど、二巻読んだら≠だったようです。 でも面白くてよかった。 個人的に兄上大好きな葛城が好きです。

    0
    投稿日: 2010.06.29
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    大化の改新の話。 私の、日本史史上一番好きな時代である。いや、正確には、もう少し後の、天武天皇やら持統天皇の辺りで、大津皇子が好きなんだが。 主人公は、厩戸王(聖徳太子)の孫とされる漢皇子。それから、葛城皇子(中大兄皇子)。漢が大海人(後の天武天皇)であるという説もあるようですが、とりあえず、ここでは中大兄皇子の異母兄のようです。 葛城の人となりについては諸説様々な解釈があって、本人が生きていたのが遥か昔である以上、真偽はどれだかわからないわけですが。私は、割とこの解釈が好きかも。単なる冷徹な人として描かれることも多いんですが、そうじゃない方が好き。 好きな時代でもあるので、今後、大化の改新そのものがどういうふうに描かれるのか、とても気になります。

    0
    投稿日: 2010.06.28