
総合評価
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powered by ブクログ2022年9月読了。 ・ 表題作『トンコ』を含む3作品の短編集。 『トンコ』 高速道路で事故を起こした運搬トラックから逃げ出した一頭の豚『トンコ』 他の豚達の血臭が漂う中、姿の見えない兄弟達の声や匂いを目指し、山を登り探し始める。 『ぞんび団地』 パパとママに愛されず、ひどい仕打ちばかり受けている女の子・あっちゃん。 昔は優しいパパとママだったのに、今では廃人のようにギャンブルと薬に溺れ、ケンカばかりの毎日。 辛くて悲しい事があるとあっちゃんはある場所に向かう。 数年前にマンホールから有毒ガスが噴き出して以来、住民全てがゾンビと化した住宅地『くちなし台』 ゾンビの家族はケンカしないし、みんな仲良く歩きながら『あー』とか『うー』の言葉だけで通じ合えるあっちゃんの理想の家族像であった。 家族全員でゾンビになって、くちなし台に引っ越して、仲良く暮らすのがあっちゃんの夢。 その為に住民達に噛まれてゾンビになろうとするけれど…。 『黙契』 警察官の良樹の元に、東京の警察署から一本の電話がかかってきた。 「妹さんが亡くなられました。アパートで首を吊られまして、十日程度経っておられました」 高校を卒業し、デザイナーを目指し地方から東京の専門学校へ夢を追いかけて行った妹・絢子。 東京へ越してから一年以上、メールだけのやり取りではあったが気の合う仲間が出来た事、仲間達と夢を語り合いながら過ごす日々を楽しそうに報告していた妹。 そんな妹が自殺をするなど考えられなかった。 しかも誰にも発見されず十日間もぶら下がっていたなんて…。 最後に話した突然の深夜の電話。 絢子が発した『自殺サイン』と思わせる言葉。 『兄ちゃん、私ね、おうぎラーメンが食べたい』 その時理解出来なかったこの言葉に、一体どんな意味があったのだろうか。 ・ ・ 一応ホラー括りの短編集。 3作品とも怖いがメインではなく、悲しい話ばかりだった。 『トンコ』は自分としてはイマイチ。 『ぞんび団地』『黙契』はネグレクトや親を早くに亡くした兄妹の愛が描かれていてとても切ない気持ちにさせられた。 だが『ぞんび団地』の設定や展開は面白く、『黙契』のラストは江戸川乱歩の『蟲』を彷彿とさせる感じでとても良かった。 総じてそれなりに楽しめた作品だった。
1投稿日: 2022.10.10
powered by ブクログ3話の短編。 それぞれの作品の主人公が豚だったり、死人だったり、物語を語る『視点』が特殊で面白かった。 高速道路での事故をきっかけに逃げ出した食用豚が、大冒険の末に結局ニンゲン様に食べられるという表題作の『トンコ』が一番よかったかな。あ、オチまでいってしまった笑 ところでこの作者は結局なにが書きたかったんだろう。 私たちが食べてる豚だって生きてるんだ!だから、もっと生き物に感謝しようぜ! ではない気がする。 ただ単純に豚目線からすれば養豚場から食肉加工工場に運ばれるってホラーだよね?っていう着想からこの小説をかいたのかなーなんて思いながら読んだ。いい作品。
0投稿日: 2021.10.19
powered by ブクログホラー要素は感じなかったが、ただ切ない。 トンコそのもののセリフは無いけれど、無邪気なトンコがかわいいくて最後は泣ける。
5投稿日: 2019.11.26
powered by ブクログ短篇3つ。「角川ホラー短編賞」を受賞したことで分かる通り、ハズレ。 1作目は豚、2作目はちょっとトリッキーだけど死んだ少女、3作目は死体と、わざと感情移入しにくい物体を主人公にするという、ある意味実験的趣向があったので、星1つプラス。ただ奇をてらっただけの可能性もあるけれども。 1本目の表題作は、童話にしたかったのかもしれないが、まあよくこうグダグダとかけるね、と言いたくなるような文章が続き、最後も純文学に逃げたような話。これが賞をとるんだから、ホラー大賞のレベルが知れている。純文学系ホラーなんて、もっといい作品は山程あります。審査員はそこを褒めていたらしいけど…。 2作目は打って変わってわかりやすいが、こちらも童話。問題はこれという作品ではない。3作目も同様。 全体に、「私の怖いものを集めたから、怖いでしょう?」というような話で、アイデアのみで上滑りしている。3作目でようやく普通の小説っぽくなったのに、一次情報からその先に進まない話ばかり。困ったら過去の記憶に逃げるのは全作品共通で、そこから話を広げられていない。 タイトルと表紙でハズレっぽいなとは思ったのだけど、悪い意味でジャケットそのものの1冊。
0投稿日: 2016.08.28
powered by ブクログ3編からなる短編集。表題作『トンコ』は出荷された運送トラックが横転事故を起こし、一匹の豚が逃走するという…ただこれだけの話。一般的なホラーを期待するとトンでもない肩透かしを喰らうだろう。だがもし自分が豚だったらと視点を変えた瞬間ホラーになる面白い作品である。養豚場の世界しか知らない豚が逃走中に体験する様々な出来事は恐怖であり切なく哀しい。醜悪な人間達が純粋無垢なトンコに向ける狂気は涙を誘う。本格ホラーも書ける著者が投げた変化球本は、ホラー版『およげ!たいやきくん』である。
1投稿日: 2016.05.14
powered by ブクログ2015年、32冊目は第15回日本ホラー大賞短編賞、受賞作品含む、雀野日名子の短編集。三編収録。 これで第15回は大賞、長編賞、短編賞×2と全て読みきりました。 簡単にあらすじ&感想を……。 トンコ:輸送車輌の事故により、逃げ出した食用蓄豚のトンコ。トンコは離ればなれになった家族、兄弟を思いながらもさまようのだった。 ホラー度はほぼなし。食用蓄豚を人に置き換えて……。その変換使うなら、個人的には、もっと不条理だったり、ドロドロのホラーに仕上げていただきたかった。 ぞんび団地:小学校二年生のあっちゃんはぞんびになりたくて、ぞんび地区、くちなし台に連日通うのでした。 全体をあっちゃんの語りのように「です」「ます」調で描かれている。オチは、途中である程度気が付きました。コックリさんでもぅ少しヒネるかな(あっちゃん目線だから仕方ないが、コックリさんがチョット上位概念的存在だったりする)、とも思ったんだけど……。虐待、イジメ描写は神経逆撫でられる。 黙契:地方警察官である兄は、出張中に、東京で暮らす妹の自殺の報せを受ける。 タップリの腐乱描写の割にベタでしたね。すれ違いの兄妹の愛情。裏側で、生真面目な人が新興宗教に傾倒しやすいという警鐘が鳴ってたりする。 お気に入り順は「黙契」「ぞんび団地」「トンコ」の順かな。
0投稿日: 2015.08.10
powered by ブクログたまたまこの本の前に読んだのが重くてしょうがない本だったので、この本を二日で読み終えてしまった時、なんとも言えず気楽な気持ちになったのです。表題作以外の二作は、どこか既視感がある内容になってるけど、そもそもホラーとか推理小説は無制限に新しいネタが作られ続けていくわけでもなく、どういう語り口で進めていくか次第みたいなところもあろうし、まぁそれは良いかなぁ、と思いつつ、軽いものが読みたいところにたまたまあたって良かった。
0投稿日: 2015.08.09
powered by ブクログホラーが苦手な人でも読めるホラー… ……ホラー? トンコ 表紙とタイトルに釣られ、手に取る。 ミニブタを飼いたいと常々思っている。 トンコはミニじゃないけど。100kg超。 細かい描写で豚の仕草が目に浮かぶ。 食われる為に産まれたきょうだいたち。 わたしだって食肉だけではなく、皮革製品を使うし、プラセンタとか、豚毛のメイクブラシとか。顔の皮や足まで食べるし。牛も鶏も羊も。 可哀想とか感情がとか言葉がわかるとか、ヒューマニズムを動物に当てはめるのは馬鹿らしいと思う。理屈ではね。 感情ではどうかなって。何を想えばいいのか解らなくなったな。ホラーではない。 豚を食べているのではなくて肉を食べているんですって台詞が印象的だった。こういう奴とは関わりたくないね。 トンコ可愛かったよ。きょうだいはあんまり。 ぞんび団地 こんなゆるゆるしたゾンビものは求めてないの……。 この筆者の持ち味のひとつである擬音の使い方が裏目に出ている。 グログロのゾンビ好きには勧められない一作。 漫画チックなかわいいぞんびが好きなら勧める。 「ひみつ」は割と容易に解るし、こっくりさんは結局何なのかとか…消化不良。 黙契 うーん…まぁ、いちばんホラーらしいのはこれか。でも、怖くはない。つまらなくはなかった。 いい兄妹だね。生真面目な兄に守られすぎた妹って印象を受けた。 三編通してのテーマは家族と切なさかな。 ホラーよりも人間ドラマの方が向いてると思う。 この筆者、怖い話は苦手だそうで。 「自分としてはむしろ、怖い話を苦手とする方々が『こういう話なら楽しめる』と感じていただけるものを書いていければ…」 との発言もあり。なるほど、納得。 大森望の解説は大袈裟かつ的外れで、これがいちばん萎えた。
0投稿日: 2014.08.06
powered by ブクログ子豚のトンコが出荷途中、トラックの事故を切っ掛けに知らない世界を冒険する話しである。トンコを子豚ではなく人と置き換えるとその恐怖は倍増する、とても上手くできているお話しである。 トンコが豚舎で飼われている駄犬のマネをしてお回りをする場面がラストにあるのだが、それを見た従業員が「おまえは、そういうことをするために生まれてきたんじゃないんだ」とつぶやく、そして家畜のトンコは残酷にも出荷されるのである。なんと物悲しいことか。
0投稿日: 2014.02.11どぎつくないホラー小説
3作の短編が収録されています。 「トンコ」 人間ではなく、豚さんが主人公。豚さんの視点で物語が進みます。 当然、豚さんからすると人間が恐ろしい存在となります。 人間が、ではなく、豚さんが読む(読めればだけど)、豚さんにとってのホラー小説です。 「ゾンビ団地」 ちょっと怖かった。 ゾンビがんばれ!って ゾンビ応援していた。 「黙契」 切なく哀しいお話でした。
2投稿日: 2014.02.09
powered by ブクログ表題作『トンコ』は豚目線で考えればホラーなんやろな。人間達はヒステリックで滑稽。自分の中では豚=映画『ベイブ』やから子豚をイメージしてもうたけど、百キロ強の豚が目の前におったら確かに怖い。 『ぞんび団地』が1番好き。あっちゃんが健気でセツナイ。読んでると漫画チックなゾンビを想像してしまう。特にゾンビになる方法を探ってる時のゴンが最高。それにアイツを放置しなかったのも良かった。 『黙契』は他の2作に比べると普通のホラーかな?でもゾッとする怖さは無い。
0投稿日: 2013.09.12
powered by ブクログ無垢な存在の眼を通してこの世の怖さ、醜さ、矛盾が露わにされる。ホラーの枠を越えた秀逸な短編だと思う。
1投稿日: 2013.05.18
powered by ブクログ短編集。 怖くないホラー小説。 ホラー風味のファンタジーというか。 表題のトンコは、ぶたが主人公の逃走劇。 話の筋は違うけど雰囲気的には「かわいそうな象」的なお話。 私は割と単純な性格なので、最後のほう通勤電車で危うく泣きかけました。 他、「ぞんび団地」なんかが好みでした。ぞんびいいよねぞんび。 救いのない話がどうしても嫌!許せない!ってことはないのだけど 害意のない動物や子供なんかが出てくると 悲惨な最期にはなりませんようにって どうしても思ってしまうので、このくらいでちょうど良かった。 まぁ、ホラーとしてはそういうのちょっとずるいよなーとも思うけど。
0投稿日: 2013.05.18
powered by ブクログホラー短編3集。 ぶひ。 ぷぎぃぃ。 ・トンコ。 ホラー小説大賞短編賞を受賞したみたいだが、 どこがホラー?ってかんじ。話自体もよくわからん。 ぼととん、ぼひ。 ・ぞんび団地 可哀想な女の子のお話なのだが、ユーモラス。 漫画のネタになりそな話。 ・黙契 悲しくて不気味で泣かせる。これが一番読ませた。
0投稿日: 2013.05.17
powered by ブクログ角川ホラー小説大賞の短編賞受賞作。 自分はホラーは苦手なタチだと思ってきた。角川ホラー文庫の黒い背表紙は本棚に並べたくないと思っていた。 でも、日本ホラー小説大賞の受賞歴を見て、恒川光太郎、小林泰三、貴志祐介等が載っていたので、おや?もしかしてそんなに恐くないかも・・・と思って、この本を読んでみた。 ・・・結果、わかりやすく恐くはなかった。深く考えると恐いし、確かに描写はややグロいところもあるけど、どれもどこか切ないお話。最近のホラーの括りは、単純に恐い、気持ち悪いだけではないのですねぇ。
0投稿日: 2013.03.03
powered by ブクログ平成20年10月25日初版 目次 ・トンコ ・ぞんび団地 ・黙契 解説 大森望 第15回日本ホラー小説大賞 選評
0投稿日: 2013.02.23
powered by ブクログ三話収録。 全体を通して物悲しい雰囲気に満ちていた。 ・「トンコ」 交通事故で逃げ出した一匹の豚トンコはどこからともなく聞こえてくる兄弟豚たちの声に導かれるように野山や街中を探し歩くが、姿は見えず…聞こえてくる幻のような泣き声、街中から感じる兄弟豚のにおい。 いつのまにか、「トンコ」の気持ちになって読んでいた。巻末の評にもあったように、ホラーというより、幻想文学のかおりがした。 ・「ぞんび団地」 以前アンソロジーで読んだ作品。ぞんびになりたいと思う女の子の心情が胸が苦しくなるほどせつない。 子供が虐待される話はホントに苦手。 ・「黙契」 二人で暮らしてきた兄妹の妹が自殺してしまい、その動機を必死で理解しようとする兄が痛ましい。兄と妹(妹は死後の気持ち)が交互に語られる。 タイトルは作者の造語かな?なんとも重い言葉だ。 内容は割と好きでしたが、遺体の描写が… リアルすぎて無理。 ホラーてグロテスクな表現入れなきゃダメなのかな… 三つの中では、やはり表題作の「トンコ」がよかったです。
2投稿日: 2013.01.18
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
★トンコ 養豚場の運搬トラックから一匹の子豚が逃げ出す。その子豚・トンコは先に出荷されたきょうだいたちの臭いを頼りに森をさまようが、声は聞こえど姿は見えず。 ★ぞんび団地 親の愛情に飢えた少女は、ゾンビになりたい、と懇願する。 ★黙契 ふたりきりの兄妹。妹は自殺してしまい、残された兄はなぜ気づいてやれなかったと苦しむ。
0投稿日: 2012.11.05
powered by ブクログ短編。「トンコ」「ゾンビ団地」「黙契」と進むごとにホラー度が増していく。 ホラー小説超初心者の私がおすすめする作品は表題作「トンコ」。 全体から漂う微かな薄気味悪さがいいです!
0投稿日: 2012.08.24
powered by ブクログすき!あっちゃんは、暗い部分を子供みたいな表現してて 一見明るく感じるけどよーく考えると怖い ギャップがすごい
0投稿日: 2012.04.08
powered by ブクログホラー小説大賞の短編賞受賞作。表題作は、豚の視点から見た物語ということで一風変わった仕上がり。 収録されている『黙契』のほうが好みだったかな。怖くないホラー短編小説、という感じで。 『黙契』は、東京進学した妹と地方赴任になってる兄とのお話。両親を早くに亡くして、2人きりだった兄妹はとても仲が良く、離れて暮らしていても、妹は兄に電話やメールでこまめに近況を伝えてくるのです。明るく頑張っていたはずの妹が突然自殺して……という。
0投稿日: 2012.02.16
powered by ブクログ高速道路で運搬トラックが横転し、一匹の豚、トンコが脱走した。先に運び出された兄弟たちの匂いに導かれてさまようが、なぜか会うことはできない。彼らとの楽しい思い出を胸に、トンコはさまよい続ける……。日本ホラー小説大賞短編賞を受賞した表題作をはじめ、親の愛情に飢えた少女の物語「ぞんび団地」、究極の兄妹愛を描いた「黙契」を収録。人間の心の底の闇と哀しみを描くホラーの新旗手誕生。 第15回日本ホラー小説大賞短編賞受賞
0投稿日: 2011.10.14
powered by ブクログやるせない・・・ハッピーエンドはありえないことが予想出来るだけに、終始涙目で読みました。あまりに切なくてやめておけば良かったと思ったけど、引き込まれてしまって結局最後までやめられなかった。収録3作品ともホラーらしくはないのかもしれないし、ミステリーのような意表を衝かれるような展開もないけど、充分それぞれに魅力ある作品でした。
0投稿日: 2011.07.21
powered by ブクログホラー好きなのと、表紙の豚の絵がかわいかったので購入。 表題作『トンコ』は、食用豚の脱走劇を描いた短編。ホラーなのか、怖いのか、と言われると微妙なところ。でもこういうアプローチはいままで読んだことがなかったので面白かった。なんともいえない読後感が後を引く。 個人的には表題作よりも、同時収録されていた「ぞんび団地」が好み。ナンセンスなのにせつなくて、フワフワとした哀愁が読む者の心の奥にゆっくりと沈んでゆく。
0投稿日: 2011.06.22
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
トンコは微妙だったけど、ぞんび団地と黙契は面白かった。黙契のラストがちょっとよくわからなかったけど、最後に出てきたのは妹だったってこと?それとも主人公の妄想?なにか伏線があったのかと思って読み返してみたけど、よくわからず。
0投稿日: 2011.04.13
powered by ブクログ食用豚を主人公とした表題作の「トンコ」は寓話や童話にできそうな話で、トンコにどれくらい感情移入できるかで評価が変わってきそう。たぶんトンコにとっては、人間自体がホラーそのものだったのだろうなあとも感じます。読み終えた後は何とも切ない感じです。 ホラーとして読む分には「ぞんび団地」「黙約」が直接的に怖い。「ゾンビ団地」は語り口がです、ます調でこちらも寓話や童話のような感じなのですが、内容はしっかりとしたホラーで語り口調とのギャップが秀逸に感じました。 他の二作とはアプローチの違う「黙約」は登場人物の哀しさがよく伝わってきたよかったです。 全体を通して読了後切なさが残って、ホラーとしてだけでなく純文学としても通用しそうな作品集でした。 第15回日本ホラー小説大賞〈短編賞〉受賞作「トンコ」収録
0投稿日: 2011.04.11
powered by ブクログ表紙を書いたイラストレータが学生時代の友達なので買ってみました。怖いだけではなく、考えさせられる話でした。
0投稿日: 2011.04.10
powered by ブクログ豚が主役なのにホラー?しかも賞を受賞している…。 普段あまりホラー小説は読まないのだけど、気にならずにはいられなくて読んでみました。 お、おもしろい‥(笑) 話の内容がおもしろいというのもあるけれど、こういうアプローチの仕方もあるんだ‥という見方でのおもしろさも感じた。 ホラーは、折原一さんや鈴木光司さんの小説くらいしか読んだことがないのだけど、そういう正統派?のホラーとは違う気がする。 短編集で三作収録されてて、三作目の『黙契』は正統派だけど、表題作の『トンコ』と二作目の『ぞんび団地』は、雰囲気的にはファンタジーに近いような感覚も。 特に『ぞんび団地』は語り部が小学生の女の子であるためか、読んでいる感覚は絵本みたいなのに内容は怖いから、その不思議なギャップがおもしろいと思った。 三作とも全く作風が違うから、どれが一番好きかはとても決めがたい。 ただ、全てに共通して、“切なさ”の要素があったように思います。 ホラーなのだけど情緒のようなものも感じられるところが、日本のホラーってこうだよね、と思わせる。 ホラーやミステリ、サスペンスってやっぱり、続きが気になる!のエネルギーで読書が遅い私でもぐんぐん読める。 たまにはホラーもいいな、と。 表題作の『トンコ』はホラー要素は薄いので、苦手な人でも読めるはず。
0投稿日: 2011.01.21
powered by ブクログ感想はブログでどうぞ http://takotakora.at.webry.info/201011/article_6.html
0投稿日: 2010.11.25
powered by ブクログ角川ホラー大賞2008年短編賞受賞作、でもこわくはない。 ええ、面白かったんですよ。こんな短編でうるうる来るとは思わなかった。 豚の話でまさか・・・。 文庫本にまとめられた他の2編も達者だとは思いますが「トンコ」別格です。 テーマとか語りたいことがはっきりしてるのって大事。私が感じた「トンコ」のテーマは、定め、とか、運命の受容、ですかね。 ぜひ読むのをお勧めしたい。
0投稿日: 2010.10.16
powered by ブクログ表題作をはじめとする短編集。悲しい話が多かった。 トンコ、を読んでしばらく肉売り場で佇んでしまいそうだ。 食べ物をだからありがたくいただく。 他の作品も読みたくなった。
0投稿日: 2010.07.09
powered by ブクログホラーというよりは純文学に近い。 養豚場で育てられた豚が輸送中に逃げ出し、初めて見る外の世界で兄弟を探し回る話。 切なさとともにやるせなさを感じる物語でした。 兄弟たちの鳴き声(幻聴)を追ってその姿を探し回るトンコと、醜い豚を虐げる人間。 とにかくかなり胸を締め付けられるような感情を抱きました。 この方は表題作以外もかなりよかった。 ホラーとしては微妙ですが(毒)、これからを期待できる作家さんだと思います。
0投稿日: 2010.06.18
powered by ブクログ第15回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作です。 表題の作品のほかに、「ぞんび団地」、「黙契」が収録されています。 食用にされるために搬送される途中で逃げてしまった豚のお話です。 本当にそれだけなんです。 でも、信じられないほど面白いです。 ホラーの概念が覆ります。 逃げ出した主人公の豚の、なんと純粋な心の持ち主であることよ、と思わされることで、人間どもの身勝手さ、醜悪さが際立ってくるという仕掛けのようです。 著者は、同じテーマ・同じ登場人物・同じ設定で書いたとしてもここまで読ませる作品に仕上げられる人はそうそういないのではないだろうか、と思わせるだけの確かな筆力の持ち主であり、その証拠に、同書収録の「ぞんび団地」では、コミカルな設定の中にそこはかとない切なさが、そして、「黙契」に至っては号泣せずには読み進めることが難しい溢れる哀しさと兄弟愛が、まぐれではない著者の力量を如実に示していす。 短編というジャンルの難しさ、奥深さをまた実感した思いです。
0投稿日: 2010.02.15
powered by ブクログホラー小説大賞短編賞。……これってホラーか? とは確かに思いました。ホラー的な要素はあるけれど、ジャンルとしてはどうなのかなあ。ユーモラスでシュールで哀愁に溢れた、少し不思議な物語。 収録作「ぞんび団地」「黙契」はどこからどう見てもホラー。「ぞんび団地」は、いったいどういう展開になるのか、まるで読めませんでした。うわあ、このネタかあ~。気づかなかったぞ。でもそれを踏まえて読み返せば納得。「黙契」はじわじわと来るホラー。どの作品にも共通する要素は、「家族の絆」が描かれているということですね。切なくしんみりとさせられます。
0投稿日: 2010.01.14
powered by ブクログ切ない豚さんの長いたび。 表題作でない方のお話が現在一人暮らしの私には絵空事ではないように思えました。
0投稿日: 2009.12.01
powered by ブクログ「豚の死なない日」「僕とポーク」つながりで、読んでみる。 印象深かった部分> ぶひ。 ぷぎぎぃ。 ぼととん、ぼひ。 生姜焼き弁当からは、「M02」の臭いがした。 場長は廃材の前でしゃがむと、トンコと向きあった。 そして作業着のポケットからハンカチを取り出すと、 生姜焼きを拾い、丁寧に包んでポケットに収めた。 ------------------------------------------------------------------- 兄弟の臭いや声を追い求めてトンコが彷徨う物語。 どのへんがホラー括りなのか良く判らないが、 もしかしたら豚を殺して食べることに何の疑問も躊躇も無くなっている 人間のさまが、ホラーなのかも?
0投稿日: 2009.09.08
powered by ブクログすごく面白かった。 トンコは日本ホラー小説大賞短編賞受賞作だがホラーと聞いて思い描くような血みどろな場面は一切なくて、どこがホラーなの?と思うかんじだった。 ブタ視点で展開する話は、常にかわいい。 「ホラー部門」だよね・・と念頭において無理矢理暗い映像を思い浮かべて読んだ。 文章はかなりうまくできていて、一気に読ませる力があった。 他に収録されている2作もホラー作品で、この2つはちょっとグロイ表現もあったけど、文章がうまいので早く続きを読みたくなる。 読後はただ気持ち悪いとか後味が悪いというかんじがほとんどなく、グロイのに爽やかな、不思議な感じだった。 他の本も読んでみたい。
0投稿日: 2009.08.28
powered by ブクログ第15回の日本ホラー小説大賞短編賞受賞作。 養豚場からの搬出中に交通事故に合い、 逃げ出した一匹の豚が兄弟を求めて彷徨い、 そして捕まるまでの物語。 あらすじだけ書くと、これでどこがホラーなのかと首をかしげてしまうが、読めば納得がいくことだろう。全体的にとても哀しい話ではあった。なんせ主人公は豚なので、そこに細かい心理描写などはない。ほとんど本能的な行動が書き連ねられているだけだ。兄弟たちとの心の交流が描かれているわけでもない。そこにあるのは「個性」以前の「個体差」と呼ばれる程度の違いでしかない。しかし、それでも、兄弟たちといた養豚場の描写の後に、ただ一匹で逃走する主人公の様子が描かれるのを読むのはなにか哀しい。あるいは心情描写がない分、哀しいということの根幹がそこには描かれているのかもしれない。 確かにホラーよりは純文学に近い。しかし、まぎれもなくホラー畑の人であることは収録された他2篇を読めば明らかとなる。特に『黙契』は、ラストシーンの事象としてのおぞましさと、そこでもたらされる精神世界の美しさの相克が凄まじい。人という存在の健気さ、儚さ、美しさ、尊さを描くために、これほど醜い素材を必要とする人間は、まさにホラーの民だと言える。
0投稿日: 2009.06.21
powered by ブクログ表題作の『トンコ』はよかった。解説の人が書いていたように、トンコに感情移入した段階で不条理ホラーになるというのも納得。私なんて、いっぱつでトンコにまいっちゃいました。 ただその他の2作品が、読み進めるのがつらい暗さ。こないだ読んだ『粘膜人間』は凄惨な話なのに妙に明るいのとは対照的。怖さとかゾクゾク感を味わう前に、気持ちが萎え萎えになってしまう。その辺、なんとかして欲しいと思ってしまった。 結局、三作品の平均をとって☆3つにしました。
0投稿日: 2009.05.25
powered by ブクログ食用豚の目線から描かれる人間世界は酷く奇妙で歪んでいて 美味しいものが欲しい!とブヒブヒ鼻を鳴らすトンコたちの世界はなんてシンプルで素敵なんだろう なのに食物連鎖は常に人間を頂点にしている 皮肉なことだ ところで 「しょうが焼き」からは兄のにおいがして 「ソーセージ」からは妹のにおいがする じゃあ、トンコは何になるんだろう?
0投稿日: 2009.04.11
powered by ブクログ【第15回日本ホラー小説大賞短篇賞】 表題作のトンコもせつないし、「ぞんび団地」はどうしようもない悲しみ。 「黙契」はあたたかい涙がこぼれた。 これがホラー? 私好きかも ホラー。
0投稿日: 2009.02.23
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
【第15回日本ホラー小説大賞短編賞】 表題作の『トンコ』は、不思議なホラーでした。3つめの『黙契』は少しウルルって来た。「帰りたい」って一言が難しいんだよなぁ。 補足:黙契、ウルっとは来たけど、うわぁ;;;というか、う〜ん。ホッとした?とも違うし、良かった、とも違う。妹死んでるわけだし・・・。なんとも言えないけど、食後には読まないほうがいい、と思います。
0投稿日: 2008.12.30
powered by ブクログダ・ヴィンチ2009年1月号 「今月のプラチナ本」 第15回(2008年)日本ホラー小説大賞短編賞受賞作品。 2008年12月29日(月)読了。 2008−122。
0投稿日: 2008.12.29
powered by ブクログ3作とも、ホラーというイメージとは違っている気がした。 静かに流れる空気、哀しみ、苦しみ、切なさがうまく入り混じり、独特の雰囲気をかもし出している。 トンコの豚といい、ぞんび団地のあっちゃんといい、黙契の絢子といい、自分の中で、辛く、苦しみもがくしかすべがない弱さが共通点なのだ。
0投稿日: 2008.12.16
powered by ブクログ「トンコ」はもの悲しい話ですが、怖くはありません。 「ぞんび団地」は怖い話なのに、ゾンビに愛嬌さえ感じてしまいます。 「黙契」はこんな文体も書けるんだと驚きましたが、ラストで納得しました。 雀野日名子の紡ぎ出す物語は、いずれも私の心にしっくりくるものばかりでした。
0投稿日: 2008.11.20
powered by ブクログ短編集。『怖い』より『グロい』と思う。 すべて読み終えた後に解説を読んだら「食前食中を避けて楽しめ」とあった。まあ、そんな感じです。
0投稿日: 2008.11.20
powered by ブクログ怖くないっす。どのお話にも、悲しさ・哀しさ・切なさ・愛情の希求、切望が感じられて…三つ目のお話のラスト、すごい印象的。
0投稿日: 2008.11.09
