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陽だまりの樹(4)
陽だまりの樹(4)
手塚治虫/手塚プロダクション
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総合評価

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    monkeypod
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    <全11巻通してのレビュー> 面白く一気に読める。 無骨で真面目な下級藩士である万二郎と遊び人の蘭方医である良庵の二人が主人公。幕末という時代で、開国、徳川崩壊という変局に直面した武士と、漢方医が主流の中で西洋医学の有意性を説く医師、という性格も置かれた立場も異なる二人がこの時代ならではの、己の生き方に葛藤し成長して行くストーリー。 西郷隆盛や勝海舟の様な強運でドラマチックな展開もなく、盛り上がりに欠ける為、手塚治虫作品にしてはメジャーにならなかったのも理解できる。 しかし、実在の人物を題材にしているだけあって、都合良く思い通りに進まないのが返って良い。想い人とは添え遂げられす、望まぬ結婚をしたり、気の進まない軍医になったりと、ちっとも上手くいかず散々だ。だからこそ、とても現実的で、志を幾ら高く持っても英雄になれなかったこの時代の多くの志士達の人生が伺える。それだけに余計に奥深く心に残る。

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    投稿日: 2012.05.11
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    ピヨピヨ
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    1981年から5年半に渡って連載された歴史長編。幕末好きの僕にとってはそれだけでも愛すべき作品なのですが、見事すぎる物語の巧みな構成と登場人物それぞれの魅力(義理に生きる伊武谷万次郎と人情に生きる手塚良庵の対比をはじめとして)を通して、最も好きな手塚治虫作品のひとつです。 終盤、おせきさんに最期の別れを告げに行ったあとの万次郎の無言の2ページがいかに雄弁に万次郎の心境を物語っているか。これからも、この作品を読み返すたびに手塚治虫の偉大さを思うことでしょう。

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    投稿日: 2008.04.28