
総合評価
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体育会系拳骨作家が描くポップでキュートなアクションモノ
筋肉モリモリマッチョマンの不死者やおっさんサイボーグが主人公だったりするこの作者の中では珍しい、可愛い女の子が主人公の一品。作品としての概要は、幼い頃からそれと知らされずエージェントとしての訓練を積まされてきた主人公・チカルが、身に着けた格闘術や射撃技術を使ってジャンジャンバリバリ大暴れする――というものなのだが、チカルがドの付く天然だったり周囲の人間がチカルのエージェントとしての技量がまだ未熟だとして秘匿・保護しようとしたりするため、終盤まで大立ち回りを見せつける機会に恵まれずやや中弛みしてしまうのが残念か。また結構設定がエゲツない上チカル以外の人間関係がドロドロとしているので、単純なアクションヒロインモノとして読むと不満が残る可能性がある。 その分アクションシーンはスーツアクター経験のある著者・大迫純一氏の面目躍如といったところで、地に足の着いた演出とにかく魅せる。敵味方を問わず、戦闘描写がするすると頭に入ってくるのは流石の一言である。また、とにかくチカルが可愛い! チビでつるぺたでツインテールでド天然という、かなりあくどいキャラなのに嫌味なく描けているのは大迫市のキャラクター描写が巧みなためだろう。 タイトルで述べた通り、今作は大迫氏が意図してライトなノリに仕上げてあるため、人によってはそれを寒いと感じてしまう人もいるかもしれない。また、一巻完結の読み切りに仕上げてあるため物語は終わっていない。要するに『俺達の戦いはこれからだ!』であり、これまた人によっては消化不良に感じる人もいることだろう。 手放しで勧められる作品ではないが、圧巻の戦闘描写と見事なキャラ造型でグイグイ牽引する魅力的な作品でもあり、埋もれさせておくのは甚だ勿体ない。『戦うヒロイン』が好きな方には是非お勧めしたいと思う。 最後になるが、『最終エージェントチカル』は、既に紙の単行本では入手が極めて困難である。大迫純一氏のファンはコレクションの意味も込めて、買ってみるのはいかがだろうか。 失望はさせない。 にやり。
0投稿日: 2014.08.07
