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わたしを離さないで Never Let Me Go
わたしを離さないで Never Let Me Go
カズオ・イシグロ、土屋政雄/早川書房
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総合評価

1355件)
4.0
404
456
285
45
12
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    「わたしを離さないで」カズオ・イシグロ/土屋政雄 訳 生命倫理と人生譚。霧色。 時代は90年〜00年代頃と思われる設定で、かつ、クローン技術により臓器移植提供のための人工人間が育てられ、使命を負わされている社会のお話。 イギリスの田園地帯の育成施設ヘールシャムで育てられた”提供者”の子供達と、その周囲にいる大人達の成長と葛藤を精巧な筆致で描いています。 クローン人間といってもあくまでも一人の人間として、感性豊かに育てられている、傍目にはただの全寮制の学校としか見えません。 しかし物語は、提供者のひとりであるキャシー・Hが多感な子供時代に過ごした寮生活(彼、彼女達には養育上の親はいない)、その中での普通の思春期の出来事と、どこか歪んだ規則のもとでの出来事が織り交ぜられながら、読者の倫理感に問いかけます。 漂う空気感は恩田さんの理瀬シリーズに似ているものがあります。 架空の社会状況なのに、一人称ですんなり入れる読み口。しかも訳文で。 良かったです。(4)

    0
    投稿日: 2015.01.19
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    近未来の設定で作品中に敢えて共感する気はなかった。 でも、この感情的な登場人物が夢を見る中でとても切ない気持ちになった。 この作品が「展示品」であると考えて 「わたしを離さないで」はテープであり音楽。 そして作品中に存在するもの、であることで 本と私に共通点を持たせてくれる。 この世界が遠くないことを感じてしまう。

    1
    投稿日: 2015.01.17
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    好きな本というのではないが、衝撃。とても繊細。 訳がよいと思う。 カズオイシグロのほかの本も読んでみたい。 表紙はカセットテープなんだ。

    0
    投稿日: 2015.01.14
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    ここ最近読んだ本の中ではベストワン。是非なんの予備知識もなく読んでください。人間の心理って不可解だし時折不可解だったりすると思うんだけどそこさえも瑞々しく、生々しくリアルに描いた作品。緻密に緻密に積み上げて、そこからの感動に繋がる読後感、最高!

    0
    投稿日: 2015.01.06
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    理不尽な状況を扱うお話は多いです。 で、根が単純なんで、そーいうのにはちゃんと憤りを感じます。でもって我が身がそれに直面した時に悔しい思いをしないように、~やめようとか~しておこうとか~できるようにしておこうとかって改めて思うわけで。 これが私の読書の数少ない効用なんですが、 この話は・・・・参った。 まあ、十年やそこらは大丈夫でも、我が人生の晩年にこういう世界がこないとも確信できないのに、うーん。 ・・・どうしようがあるのかしらん? ・・・うーん困った。

    0
    投稿日: 2015.01.06
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    ある運命の為に生きている少年少女の話 真綿で心臓を締め上げられるようなひどく苦しい、救いのない話 不思議なことに、読んで時間が経つほど胸に響いてきた 教わっているようで教わっていない これに尽きる 幸福な物語ではないがいい作品

    0
    投稿日: 2015.01.04
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    非常に読むのに難渋したけれど、ついに最後まで読むことができた。でも本当に難渋して、同名の映画を見て、イメージを膨らませて、それからなんとか読んだ。 とても設定が奇抜であり(けれども今後絶対無いとは言い切れないあたりがこの作品の怖さ)、本はその状況説明なくいきなり主人公の語りが始まるために、状況把握がとても困難だった。それから文体も(おそらく訳本だからなのだろうけれど)、読みづらくて大変だった。 読み終わってみて面白かったかと聞かれると何とも言えないとしか言えない。ユニークな作品ではあるけれど。 ただ読んでみて悪くはないと思う。

    0
    投稿日: 2015.01.01
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    解説にある、「抑制の効いた」という評価がぴったりだと思った。淡々と語られる回想の中で徐々に明らかになっていくヘールシャムの秘密と現実は残酷で、いつの間にかキャシーたちと同じ「提供者」の目線になって読んでいた私も、ひどくやるせない気持ちになりました。 回想がやがて現実の描写に近づくラスト、これまでなくしてきたものが見つかるという場所・ノーフォーク。風に乗って飛ばされてくるゴミが有刺鉄線に引っかかってはためいているところ。映画で観たときもすごく印象的だったけれど、小説も素晴らしかった。 映画を観た後に読んだからか、子供時代は青い草と霧がかった閉ざされた場所のイメージで、それ以降はイギリスのどんよりした冬の曇り空と枯れた草原のイメージ。

    1
    投稿日: 2014.12.18
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    読書体験を一変させた自分史上もっとも重要な一冊。この本にまつわる個人的エピソードも重要性を増大させてるけど。 静謐、極限まで抑制の効いた文体と裏腹に衝撃的なもの語は、随一。ブッカー賞受賞作家の名は伊達ではないのです。

    0
    投稿日: 2014.11.09
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     物語の「落ち」が一種の謎で、そこにショッキングなおどろきがあるとは思わない。確かに核心は伏せられたままで話が進んでいく。しかしそれは、単にミステリ風な味付けをしているとかサプライズを狙っているとかそういう要素は感じられず、主人公たちの思いを読者に追体験させるという意図だと思う。読者も最初は薄々と、物語が進むにつれかなりの確信を持って主人公たちの運命を予想する。それは、主人公たちが自己存在の意味を成長と共に知ってゆくことにぴったりと重なる。だから、推理小説的な意味で「意外な結末」の趣向ではないが、文学的な意味合いで「ネタバレ不可」の作品である。(ここまで書いたこと自体がネタバレだとなってしまったらごめんなさい)  とても静かで美しい青春小説である。主人公の語り口がよいのだろう。流れにすっと乗っていくことができる。冒頭から、すぐに物語に入り込んでいけた。この感情移入が、物語が進むにつれて胸を締め付けてくるもとになるのだけれど。伸すトラジックな追想の美しさにだまされてはいけない。裏にあるのは、押し殺した強い憤りである。怒りである。読んでる最中や読み終わった直後よりむしろ、時間をおいて何度も心をよぎってくる。そしてそれと同時に、生きていることのかけがえのなさや、生きる中で出会うほんのちょっとしたことへのいとおしさが心を締め付けてくる。  傑作だと思う。

    3
    投稿日: 2014.11.08
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    前半からしばらくは、急激な展開もなく話が進んでいく。その中で、わずかに違和感を提示しつつも登場人物への共感を呼ぶ描写が丁寧に綴られている。 この共感が問題だ。 この共感が、実はそれ自体巨大な伏線だったのだろうか。自分はキャシーやトミーの気持ちに寄り添っていたはずなのに、彼女らの世界においては「向こう側」の立場にいる人間なのだ。自分は「提供者」でもましてや「介護者」でもない。 たぶん、他にも色々とすくい取れるところがあると思うけど、読み終えた直後の感想としてはこんなところ。 他の人の書評が楽しみ。

    1
    投稿日: 2014.10.15
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    エミリ先生でさえ、キャシーたちのまだたくさんありそうな疑問に答えるより、キャビネットの方が気になっているくらいであり、クローン達の悲しい運命を強調している気がする。

    0
    投稿日: 2014.10.12
  • SF好きでも納得

    SFを書いたことのない作家の書くSF的な物語は、大抵設定が不自然でストーリーも想像力も陳腐だ。 イシグロのこの作品もSF的な物語で、やはり例に漏れず設定が不自然だ。 ところが、この小説はその不自然さが気にならない。 自分がいつか死ぬことは誰もが知っているが、不治の病にでもならない限りそんなことは考えない。 この物語は、登場人物達が、確実に訪れる「死」を子供の頃から受け入れて日々を生きている。 ただし、いつ死んでもいいように後悔しない生き方をするとか、そんな物語ではない。 我々と同じなのだ。 そこに、我々が如何に「死」を忌避して生きているのかを目の当たりにする。 我々と同じ彼らが、諦観以外の人生観を持っていて欲しい。そう願わずにいられない物語だ。

    1
    投稿日: 2014.10.05
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    不思議な物語。 読み進むと全容が明かされる流れになっている。 この作風はすごいと思う。 提供者か介護人になるためだけに、生まれ、生き、看取る。 生きることの意味を考えさせられる。将来の子どもたちの未来についてである。 ヒトと呼ぶべきか?)クローン技術の成功で、このような未来があるかもしれない。奴隷制度と同じような印象をもった。 宗教色や倫理観は感じない。生活感もない。日々過ぎていくだけ。 セックスは快楽のためか?愛情表現なのか? 現在の医療では、臓器再生の可能性が見えてきた。朗報と受け取りたい。

    5
    投稿日: 2014.10.01
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    クックの緋色の記憶を思い出した、回想形式のミステリ ゆっくりと丁寧に時間をかけて積み上げられたレンガ造りの建物のよう でも間のレンガをひとつ抜いただけで全て崩れ落ちそうな脆さを常に抱えてる ミステリ?SF?心理ドラマ? 不思議な世界を味わった 翻訳が素晴らしかった ものすごく自然できれいな日本語でした

    0
    投稿日: 2014.09.28
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    このなんともし難いラストが私は好きです。 感情を抑えた文章も好き。 話の内容は重い。この例に限らず自分の利益を優先することはあるし、利用される立場に立つこともある。 やれるだけのことはやったんか。と自分に問いかけてみるのもいいかも知れない。

    1
    投稿日: 2014.09.28
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    2014.09.22読了。 今年28冊目。 ようやく見つけたこの本。 といっても内容は全く知らずに読んだ。 淡々と描かれているけど、かなり残酷でやるせない... ヘールシャムから介護人の仕事を終えるまでの仲間との関係や出来事が提供者のことが事細かく描かれている。 特に幼少時代からコテージまでの心理描写は共感できるものも多く、こんな気持ちになったことある!というシーンが多々あった。 子どもの頃の私はキャシーと少し似ていたのかもしれない。 けど私だったらルースとは絶対友達ではいられないと思う。 あんなの友達とは言えない。 そこはやっぱり不自然で、キャシーを含む提供を最終目的とした彼らだからそうなのかなとも思う。 キャシー目線で語られているのでそれほど深刻さだったり絶望は感じられないけれど、事実は本当に残酷だし、彼らにそれほどの絶望感がないのも不自然に感じられる。 それは絶望させないようにと努力してきたエミリ先生たちや、ヘールシャムという施設のおかげだったのかもしれない。 けれど読んでいる私からすればそれにより残酷さが際立っていたような気がする。 そしてどうしても、わたしがキャシーの立場だったらと考えて暗い気持ちになってしまった。 私にとっては切ない、やるせない、絶望に尽きる一冊だった。

    0
    投稿日: 2014.09.22
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     物語の後半になるにつれて、主人公たちは(精神的に)より自由に。状況はより過酷になっていきます。  子供の頃になんとなしに知っていた事実を、大人になって実感することの残酷さを垣間見ることができます。  最初は正直、読みにくかったです。なんか不自然だなと思うのですが、氷解せずに物語が進み、主人公の心理とともに、じぶん(読者)の理解もすすむ。そんな本です。読んでる途中の不自然さが気持ち悪く、こんな感じを受けた本は初めてです。  再読には勇気がいるなと思いましたが、事実を知っている分、違う視点で見ることができて面白そうだと思いました。  カズオ・イシグロさんの本は、同じ著者か?って疑いたくなることが多々ありましたが、この本の解説で納得しました。(本人がそのように作品に取り組まれているようです。)

    0
    投稿日: 2014.09.20
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    一気読みです。 其処まで要るか?と云う位の心理描写。 正直に云えば、最後まで誰一人好きになれないと言う 渋い小説でした… だからこそ、緻密な人間描写にのめり込んだ 挙句のラストが余計に辛い。 御馳走様でした。

    0
    投稿日: 2014.09.19
  • 映画よりさきに読みたいが

    この小説を原作とした映画を先に見てしまったので、だいたいの内容は分かった状態で読み進めることになりました。 もし先に本を読んでいたらパズルのピースを集めるように少しずつ、少しずつキャシー(語り手)の誠実な言葉の端々からみえてくる小説の中の世界観を追っていく行程をもっとたのしめただろうな、と思います。 でも、内容を知っていても作家の文章力、構成力、世界観がすばらしく、しっかりとした読書体験をあじわえます。泣きに泣き、それでもしっとりとした読後感。再読しています。

    1
    投稿日: 2014.09.09
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    幼少期から、主人公たちの成長と人間関係の変化が緻密に描かれている。 ちょっとしたセリフ、そのニュアンス、その時の仕草でお互いの関係がさっと変わってしまう。そんなところまで…!と思わず唸りたくなる丁寧な描写にいちいち驚く。 そしてその人間関係の輪の外側は、まったく見えない暗闇。どうしてこんなに閉ざされているんだろう?この子達に親はいないのか?と不思議に思いながら読み進めていくと徐々に全容が明らかになっていく。不可解さも感じないほどしれっと入り込んでくる単語の意味も。

    0
    投稿日: 2014.09.06
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    映画化したときに新聞の批評を読んで、この小説のテーマと最終的な結末はわかっていたけれど、かえってそれで助かった。 知っていなかったら、絶対に読まなかったと思う。 よかれと思ってだましていた。困難の中、信念を持って慈善活動をしている自分たちしか見えていなかったから、子供たちへの嫌悪をひた隠しにして、見せかけの配慮や偽物の関心しか与えることがなかった。 だから子供たちも、手遅れになるまで偽物の関係しか築くことができなかったんだ。 ルースがいなかったらこの物語は成立しないけれど、ルースとキャシーは、少なくとも子供~青年時代は、絶対に友達じゃない。 ルースが亡くなる直前に、二人はやっと友達になれたんじゃないのかな。 トミーとキャシーもそう。 時間が無くなってからやっと、偽物の関係にかかずらっている暇はないとわかって、自分たちの気持ちに向き合えるようになったんだろう。 ヘイムシャルを出た子供たちは、人里離れた粗末なシェアハウスで共同生活を送る。 そこで、自分たちは人並みな人生を手に入れられないと、あきらめがつくまで過ごすのだ。 彼らが持つことのできる社会とのつながりは、本とテレビだけだ。普通の人々が暮らす町に遊びに行くことはできる。 けれど、提供者の子供たちと普通の人々の間には、ガラスのように目に見えない壁がある。 彼らは読んだ本の数で優劣を競い合おうとする。本をたくさん読めば読んだだけ、透明な壁の向こうに近づくことできる気がしていた。 けれど本も彼らに希望を与えはしない。

    0
    投稿日: 2014.09.05
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    とりとめのない学生たちのやりとりを子細に描いた青春群像劇かと思いきや、生命倫理について問題を突きつけられるお話。ドライに生きている主人公にはやや人間味を感じられないが、アクが強く感情豊かな周辺のキャラクターの人間臭さをひきたてている。

    0
    投稿日: 2014.08.28
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    日の名残といい、この作品といい、訳者さんがいい!もちろんカズオ・イシグロもすごいのだろうけれど、翻訳されたとは思えない流暢な文章に驚かされる。 ストーリーは大事件が起こってハラハラするようなものではなく、主人公の独白、回想で淡々と進んで行くものなので、つまらないと思うかもしれない。 ただ、その時々の登場人物の心の機微が細かに描かれてあったり、徐々にこの小説の世界が明かされていったり、本当に丁寧に描かれているので、それに引き込まれた。 ヘールシャムや展覧館などの謎が分かり、そうして結局最後には運命に抗えず、トミーも使命を終え、一人になったキャシーもその運命の時を待つ…切なすぎる。 それにしてもタイトル、わたしを離さないで。キャシーがその歌詞を歌ってるシーンが物語の前半と後半に出てくるけど、どうしてこれをタイトルにしたのだろう。 字句通りにわたしを主人公のキャシーだと解釈したら、離さないでとは何から?トミー?ヘールシャム?ルース?だとすると、どれからも最後は物理的に離れている。深い。

    0
    投稿日: 2014.08.26
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    このレビューはネタバレを含みます。

    じわじわと真実が明らかになっていく感じが面白かった。 真実は特に衝撃的なことでもない。だがヘールシャムが世論と戦って負けたようなことが、世界のどこかでも日常的に起きているのだろうと感じた。 ちなみに私は、エミリ先生の考え方に共感できる。

    0
    投稿日: 2014.08.24
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    とある「使命」を果たすため、隔離され“健康には特別注意して”育てられるこどもたち。彼らが「提供者」と呼ばれるクローン人間であることがぼんやりと明らかになってくる筆致に心が静まる、おそろしくも哀しい近未来の物語。  「提供者」に頼らなくてもよい世の中になりますように、iPS研究が進むことを祈ります。

    0
    投稿日: 2014.08.22
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    自分の記憶のなかにも、ヘールシャムが、あるような気がする。あの記憶は、あの感覚は、いつかのキャシーにとってのヘールシャムと同じようなものなんじゃないかと、思ったりした。

    0
    投稿日: 2014.08.18
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    よくあるあるってなるような人間関係のすっきりとはいかない、裏をよみとるやりとりや、自分の周りにある天気とか、木々の様子とか。訳者さんの力が大きいだろうけど、自分の日常があるみたいな描写でした。けれどそんな空気の中の真ん中にあるのは奇異な、おぞましい彼ら自身で、主人公も語り口はつらつらとしていて感情的ではないけど、だからこそ読んでるこちらはよけいにもの悲しさを感じました。

    0
    投稿日: 2014.08.07
  • 予備知識なしで読むことをおススメします

    この物語は「提供者」の介護をしているキャシーの回想からスタートします。 「提供者」とは何の「提供者」なのか? 主人公が出身のへールシャムとはどんな場所なのか? 出だしからわからない言葉に翻弄されますが、少しずつ謎が解き明かされて、終盤には驚愕の事実が判明します。 もしかしたら、なんとなく予想できてしまう内容かもしれません。 それでも、癌患者の「疑い」と、医師から宣告される「事実」との間に大きな隔たりがあるように、キャシーもまた大きなショックを受けます。 決して暗く陰鬱な話が続くわけではなく、物語の大半は眩いばかりの青春の輝きを放っています。 だからこそ、後から覆しようのない運命が重くのしかかってくるわけですが・・・ 電子書籍にはめずらしい解説付きです。読み終わってもなお残る謎に思いを巡らせてみてください。

    9
    投稿日: 2014.08.04
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    2014.07.31 以前から、ざっくり知っていましたが、まさに衝撃的な内容。クローンの側からアプローチしており著者の想像力の高さと、設定のすごさに感服です。

    0
    投稿日: 2014.07.31
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    ずっと何かに覆われたような思いで読んでいて、設定が分かった時の衝撃と、さらに深まる静かな重苦しさ。すごいなと思った一冊でした。

    0
    投稿日: 2014.07.26
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    非常に重い内容で読み進めるのが苦しかった。文章自体は読みやすく、素晴らしい本だと思った。友達にも勧めた。

    0
    投稿日: 2014.07.25
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    以前に原作を読み、さらに蜷川演出の舞台を観て、原作を再読しました。とんでもなくSFな内容なのに、この静謐さ、抑えられた哀しみ、の描写のすごさを改めて感じます。何度読んでもそうだと思う。本当に哀しいお話です…

    1
    投稿日: 2014.07.10
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    「提供者」として生まれた主人公の独白で淡々と綴られる彼らの運命と、少しずつ明らかになる特別な世界感。 出産後の入院中に読みました。 作中、全身を波打つ痛みに抗いながらも苦痛を受け入れて友人に看取られながら息を引き取るシーンでふとお産の瞬間を思い出した。 壮絶な意識の中で痛みに抗いながら、それを受け入れる。妊娠は病気でもなければ分娩は医療行為でもない。そしてその場の誰もが新しい命の誕生を待ち望みながら。 シャケだったら役目を終えて死んでしまうところ。 助産師さんの「生と死はどちらも痛みを伴うもの。痛みには理由があるの。」という言葉。 生と死は表裏の関係なんて月並な表現も少し違って聞こえた。 このタイミングで手にとったのも何かの縁かもしれない。 https://m.youtube.com/watch?v=LE9ny5VDt1c 映画版の予告はこちら。

    0
    投稿日: 2014.07.07
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    運命に抗わず、ただ静かに微かな希望だけを抱く。なぜ、武器を取って戦わないのか。諦めにも似た、閉塞的な世界。まるで伊藤計劃の世界観に、村上春樹の喪失感を重ねたようだ。これらの作家が好きで、まだイシグロワールドに踏み込んだことがなければ、楽しみが未だ残されていたということだ。 以下、本文とは関係ない。 戦後の日本。原爆症患者への死の宣告。数年後に死すべき運命。赤紙による徴兵。特攻参加による死すべき運命。国家の暴力は、一部の人間を犠牲にし、被害者は抗えない。そうこうしている内に、領土を失い、疎開地を無くす。拠り所も失い、風船はバラバラになる。しかし、運命は変わらない。たまの慰安婦との行為や国からの補償が救いか。少しでも生きたい。その条件は、平和による愛の帰結だ。しかし、叶わぬ。最後は、自らの運命を提供し 尽くし 消えるのだ。

    2
    投稿日: 2014.06.29
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    途中でとても心が震えたのですが、読み進むにつれて、不安というか、「マダム」の気持ちになります。 舞台を先に見てしまったので結末は知っていたのですが、いたたまれないです。 でも目をそらすこともダメな気がします。

    3
    投稿日: 2014.06.28
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    とても不思議な話でした。 心に響いてくるものは確かにありました。共感も出来る。でもそれは一体なんだろう? 何度でも読みたいと思える本でした。 映画化もされているようなので是非観てみたいです。

    0
    投稿日: 2014.06.18
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    映画、原作、舞台の順に観た。 原作のキャシーは淡々とし過ぎていて苦手。映画なり舞台なり演技する女優さんに色付けられて感情移入できるキャラクターになる。そして映画では嫌いだったルースを原作で好きになった。こんな風にしてしか生きられなかったんだな、と。こじれることもあったけど、キャシーとルースの間には確かに友情があった。 この物語で好きなのは失うところ。彼女たちは人生らしい人生を与えられず、ただ全てを奪われる。ヘイルシャムの閉鎖は子供時代の喪失。ヘイルシャムは学校であり家であり、子供時代の全て。生家も青春を過ごした場所も無くなるなんて、自分のルーツを失うような気持ちじゃないだろうか。帰る場所、心の拠り所を無くすような。そして恋人や友人たちが自分より先に逝ってしまう。ひとり取り残され最後は自分もいなくなる。 でもこうした失ったものって私たちにもあると思う。もう戻ることのない思い出、会いたいのに二度と会えない人。この物語の「ノーフォーク」のように、失った全てが流れ着く場所があれば… 私にも思い出が流れ着く場所がどこかにあるような気がして、共感してしまう。胸が苦しくなるのに愛しい物語。ずっと胸に抱いていたい物語だ。

    0
    投稿日: 2014.06.16
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    2014/06/13読了 だらだらと読んでしまった… 少しミステリめいたところがあって、ヘールシャム、提供者、保護官、介護人が何を意味するのかは少しずつ明らかになる。 語り手のキャシーは無機質な人間ではなく感情の起伏が確かに描かれているのに、入り込めない(共感できないともできるともつかない)距離感が、物語の難しさによるのかな。 4度目の提供で終わる、のは、どういうことなのか、薄ぼんやりした想像でとどめておきたい。

    0
    投稿日: 2014.06.14
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    ひたすらに愛を求め続ける物語。 なかなか飲み込めない話。わかったようで、全然わからない。でも、そのわからなさが心地よいかもしれない。まず、背景が全然明かされないから、初見は戸惑う。結局最後まで読んで、どういうことかはわかったけど、わからないこともたくさん。映画が話題になってから読んだから、ある程度知っていて、それでついてこられたのかも。まったくの白紙で読んだら、わからなさすぎて、きっとすべてを捨てて一気に読み切ったと思う。白紙状態で読みたかった。不可能だけど。 私(キャシー)とルースとトミーの間にある愛情。家族の愛情といえると思う。恋愛の情とは違う。

    0
    投稿日: 2014.06.08
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    読んでいる最中何度も気分が悪くなってしまった。 喉の奥をグッと何かで押されてるような、頭がじんわり痛いような…。 内容も、日本語訳も自分とは相性が悪い。

    0
    投稿日: 2014.06.05
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    静かに、淡々と語られる介護人キャシーの独白…。少しずつ、明らかになっていく真実。彼女の冷静な語り口が、この世界の奇妙な不思議な雰囲気を際立たせている。 まるで私もヘールシャムで過ごしたかのような気がした。それくらいに、幼少のころから青春期までの、感情や人間関係が身近で苦しい。 ルースのようにプライドの塊のような子もいたし、トミーのようにまっすぐすぎる子もいた。 眩しいくらいの希望を持ちながら、現実はとてつもなく残酷だ。 この物語の秘密は序盤で明らかになるが、前情報なしに読んでほしい。 久しぶりに寝る時間を削って、読書をした。読ませる力を感じる本だった。 ☆あらすじ☆ 優秀な介護人キャシー・Hは「提供者」と呼ばれる 人々の世話をしている。生まれ育った施設ヘール シャムの親友トミーやルースも提供者だった。 キャシーは施設での奇妙な日々に思いをめぐら す。図画工作に力を入れた授業、毎週の健康診 断、保護官と呼ばれる教師たちのぎこちない態 度…。彼女の回想はヘールシャムの残酷な真実を明 かしていく―全読書人の魂を揺さぶる、ブッカー 賞作家の新たなる代表作。

    3
    投稿日: 2014.06.05
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    キャシーの回想によってヘールシャムでのできごとが静かに語られていく。徐々に、実態が分かっていき、キャシーやその友達も、その流れに沿って進みだす。 劇的なことが展開するわけではないが、少しずつ判明していく過酷な事実に圧倒され、怖ささえ覚える。

    0
    投稿日: 2014.05.21
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ★3.5かな。 すごく独特の世界観。静かに、淡々と物語が進む。本当はすべてが山場で合ってもいいくらいの内容にもかかわらず。この語り口調によって、より恐怖を感じた。

    1
    投稿日: 2014.05.19
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    とても静かな物語。先に映画を見ていたので、映画だけでは分からなかった部分の補完も含めて、生き切る、ということが描かれていると思いました。悲観的でもない、かといって楽観的でもない。運命に抗うのではなく、例え用意された結末が既に決まっていたとしても、誰かを愛したりすることはできる可能性、ポシブルは確かにあった。一度きりの人生だから後悔しないように生き切りたいと思わせられる作品でした。

    0
    投稿日: 2014.05.14
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    諦めるということは、逆に言うとほんの僅かの希望が残っているということだ。そのほんのちっぽけな希望もないことを知りながらそれでもその希望を大切にする。主人公たちにはそれしかできないから。 仲間を介護し、最後は自身も人間への提供者として生きることしかできない彼女たちの「わたし」は魂であり、そして希望なのだ。 人は彼女たちを離し、彼女たちは小さな希望を離し、残滓のような思いは様々な形になり最後に流れ着き集まる。人にとってはガラクタのような形でも、それが彼女たちの生きていた証だ。 人が神の領域に達し、人間の傲慢さや我儘が自分たちが作った作品に、魂を込めながらも、それ自身が魂を持たないことを望みコントロールできなくなると勝手に慄き、隔離する。作られた側は、決まった段階を経て死に至る。その過程は人と同じだ。ただ、そこには小さな事件はあっても、大きなハプニングはなく、それに苦しむことも 楽しむこともなく、淡々と処理されていく。それは生きる目的の喪失だ。生きる努力の放棄だ。 それでも、生まれてしまった人も彼女たちも、死を身近に感じ始めた時に「生きる」ということに正面から向き合う。それは、速いか遅いかだけでなく、重さも軽さも伴う。死を先延ばしにし現実を生きる人間と、現実の死に直面しすぐに終わる未来を生きる彼女たち。理不尽な生命の食物連鎖は人も動物もそれがロボットであったとしてさえも頂点に君臨するものに捧げられる。下層の者達はただその魂を離すことさえも自由ではない。その無常感こそがこの物語を読んだ人たちの性別や年令、国籍も越えて支持される普遍性の根源なのだと思う。

    3
    投稿日: 2014.05.11
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    淡々と進む文章で、不思議な世界を描いている。 再読したら違う感想を持つんだろうな、というのが今回の感想。 山場の部分も平坦な流れで、劇的な結末を期待していたので、物足りなさを感じた。

    0
    投稿日: 2014.05.08
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    一体どういった物語なのか分からないまま読み進める。 何となく『提供者』や『介護人』といったワードから“それ”なのかと予感を抱き、実際“それ”であったことが明かされた後も、物語がどう進んでいくのかが掴めない。 ただただ、惹き付けられながら頁を捲る。 読み終えた今も、何処かへ心がさまよっている。

    1
    投稿日: 2014.05.03
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    評価は星3.5。 本を買う前にレビューを読んでしまっていて、どんなに衝撃的な結末が書いてあるのか、いまかいまかと待っていたけど、思ったほどの山はなく終わった感じ。でも、臓器提供のために作られたクローンの人たちの話というところでは、確かに衝撃的な内容である。 不気味で不思議な世界観は小川洋子に似てると思ったし、他の人を助けるために作られたという話は、映画「私のなかのあなた」を思い出させた。この本の方が先だろうけど。

    0
    投稿日: 2014.04.19
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    こんなこと絶対にあってはならないと思う反面、実際にあるのでは?と疑ってしまうくらい練られたストーリーに胸が締めつけられた作品でした。Never let me go‥私はBill Evansバージョンで聴きました。今度はボーカルで聴いてみよう。

    0
    投稿日: 2014.04.13
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    このレビューはネタバレを含みます。

    今までにない感じ。 これは誰かに薦めたい。 でも誰にでも薦められる作品ではない。 P. 127 ついに来た。 薄々感じてはいたけれど、やはりはっきりと言葉にされるとグサッと来る。 P. 213 ポシブル。 そういうことか・・・。 P. 256 そうなの? お金持ちの、じゃないんだ。 新しい世界を見た、という思いに満たされた。 --- 優秀な介護人キャシー・Hは「提供者」と呼ばれる人々の世話をしている。生まれ育った施設ヘールシャムの親友トミーやルースも提供者だった。キャシーは施設での奇妙な日々に思いをめぐらす。図画工作に力を入れた授業、毎週の健康診断、保護官と呼ばれる教師たちのぎこちない態度……。彼女の回想はヘールシャムの残酷な真実を明かしていく--全読書人の魂を揺さぶる、ブッカー賞作家の新たなる代表作。

    0
    投稿日: 2014.04.07
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    アマゾンで高評価だったので読んでみたのですが、 とにかく長編で内容がすごーく長いのですが、 全体的に哀愁というか刹那というか暗いような雰囲気が 最初から最後まで漂っています。 最後くらいまでいってようやく全体像が見えてきますが、 ヘールシャムという孤児院のような学校で完全保護下の元、 成長したキャシー、ルース、トミーを中心とした話です。 あんまり書くとネタばれしますが、 この孤児院にいる生徒は全員クローンで生まれた人間であり、 最初から臓器提供するためだけに生まれてきたということでした。。。 最後は提供者となって、臓器を提供し、一生を終えるという話です。 文中では、使命を終えたと表現されていますが。 上記状況を全く知らずに生き、使命を終えるということを知り、憤りを感じながら受け入れるキャシーやトミーの感情の描写が あまりに淡々としていてなんだか残酷でした。。。 科学の進歩と人道に反する行為がクロスした世界観の作品です。 なんだかすっきりしない感じはしますが、最後にもやもやした感じは解ける作品です。

    0
    投稿日: 2014.04.05
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    村上春樹の「雑文集」を読んでカズオ・イシグロに興味を持ち、初めて読んでみた。久しぶりに小説(文学、かな)の力を見せつけられたというか。

    0
    投稿日: 2014.03.29
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    本の表紙が気に入ったという理由だけで積んだままにしておいたけれど、表紙とタイトルからは想像できない話の進み具合にどんどん引き込まれていってしまった。現実的では無い設定を静かに畳み掛けるように語る主人公と、リアリティを支える細やかな詳細と表現。いつかこういうことがおこりそうだけど誰も想像したことがないであろうことをテーマに添えていることも興味深い。そして後半読みすすめるほどに息苦しくなっていくのに読むことを止められなかった。物語の吸引力が凄まじく、感情が遠心力でバラバラにされてしまった。カズオ・イシグロの作品ははじめてだけどどうしてこの作家がこんなにも評価されているのかが分かった。こころに残る一冊。内容を忘れることはないけれど、きっと何度も読み返すと思う。

    1
    投稿日: 2014.03.28
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    提供者として作られた運命を受け入れ成長し、数度の提供で使命を終える提供者。神もなく救いもない運命に憤るトミーの叫びと、荒れ狂うトミーを唯々抱き抑えるキャシーの姿に、涙とともに言いようのない怒りがこみ上げた。 提供者候補であり介護人であるキャッシーの淡々とした語りが、本書の世界をよりリアルなものとしている。 遺伝子操作、クローン技術、IPS細胞やSTAP細胞と神の領域に達した生命科学技術に、将来においてこのような悲劇が起きてはならないと強く感じた。

    0
    投稿日: 2014.03.19
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    女性のモノローグで物語は進む。この女性の語り口が、いるよねこんな人(^_^;) 話はなるほど感はある。 盛り上がりがない。 唐突感ある。

    0
    投稿日: 2014.03.14
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    カズオ・イシグロの六つ目の長編小説。 しっかり読ませてもらった。しずかな語り口ではあるが、少しずつ少しずつ状況の深刻さが明らかになっていく。後半、第3部にみなぎる緊張感は見事だ。大変良い小説だと思った。 ぼくが興味深かったのは、”運命(使命)を自覚し受け入れる”というテーマだ。この問題は凄絶な葛藤を経なければならないと同時に、一般的にはヒロイズムの領域でもあるだろう。筆者は、しかし、葛藤そのものを深く描くわけでもないし、自己犠牲的なヒロイズムを描き出そうともしていない。登場人物たちはあっさりと運命にしたがっているようにすら見える。ライオンにつかまったインパラがさしたる抵抗をせずに、喰われることをあきらめているのにも似ている。読者は「その場から逃げればいいじゃないか」と叫ぶのは簡単だ。しかし、外界から閉ざされた場所で教育をほどこされてきた彼らは、友を制裁するのに頭をガラス窓に押さえつけて周囲の森を見せるくらいだ。逃げられない・逃げようとしないのはここではリアリズムだ。息つまるほどの。 長編小説でしか味わえない感動をあたえてくれる一冊。 ブログ ACH & PFUI より転載 http://achpfui.com/pfui/?p=127

    0
    投稿日: 2014.03.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    施設ヘールシャムで育つ子供たち。外界と隔絶されたこの場所で、彼らはある目的のために育てられていた。 10年後、かつて施設で生活していたキャシーは施設を出て優秀な介護人となっていた。そこへ旧友であり親友であったルースとトミーが介護される側として現れ再会することになる。かつての旧友は立派な“提供者”となっていた。そしてキャシー自身もまた-。 徐々に明らかになるヘールシャムの真実。人権とは、普通とは、生きる意味とは。自分の身体であるにも関わらず、自分の意思とは異なる次元で切り刻まれる。彼らにとって自己とは何か。自身のアイデンティティが揺さぶられる感覚に陥った。 施設と彼らの関係性だけにフォーカスし、それ以外の内容は一切削ぎ落したストーリー。キャシーによる淡々とした独白が妙に際立ち、その静寂さが不気味で引き込まれた。

    6
    投稿日: 2014.03.01
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    生徒達の作品は作者がどんな人間かを物語る、というのは解る。 しかし、それが本当に愛し合っている二人を見分ける手だてになる、 というトミーの考えは、飛躍しすぎていて無理がある。 それとも彼は論理的思考ができない人間だったということ?なんだかよく解らない。 整合性が取れない話は消化不良だ。 私なら友達さえ願い下げの、自己中で意地悪なルース。 そんなルースに時には媚びてまで、親友関係を続けたい主人公キャスもつかみ所がない。 誰ひとり共感できないまま、最後まで話に入り込めなかった。 心が荒むのも仕方ないが、もう少し魅力的な人物に描かれていたら...。

    1
    投稿日: 2014.02.28
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     『日の名残り』があまりに面白かったので、続けて読んだ本。  何の予備知識もなく読んだから、当初は子どもたちの成長物語、青春物語なのかと思った。ただ学校の設定が妙に閉鎖された世界だったので、もしかしてアーミッシュみたいに何か宗教的な理由から、俗世間と隔絶した社会に生きる子どもたちの話なのか?とも思った。それでも文章が上手いからあまり気にせずにスラスラと読み進めていくうちに、意味ありげな単語が出てきた。     「提供者」     もうこの単語が出てきた時点で、ああそういう設定か、とたぶん誰でもわかる。その話の先にある結末も、まあある程度は予想できる。だからといって、この小説の良さは少しも損なわれない。そもそもミステリーではないし。それが早い段階でわかったとことろで興は削がれない。テーマはそこにないと思う。  いったいどれだけの人が子ども時代、青年時代に描いた夢をかなえることができるのだろうか。 「夢はきっと叶う」と夢をかなえた人は言う。でも実際は夢をかなえられる人なんて、ほんの一握りだ。夢を追い続ければ夢が叶うわけではなく、ただ夢をかなえる競争にエントリーできるだけだ。そして突きつけらる現実は冷淡な場合がほとんどだ。  そう考えると、この架空の物語にでてくる主人公たちと現実に生きる私達との間に、いったいどれだけの差異があるのだろうか。  彼らは「提供者」という宿命から逃れられずに、限定的な人生を歩むことを余儀なくされている。しかし、彼らはその宿命を受け入れながらも、かすかに希望を抱きもする。クライマックスで、キャシーとトミーという二人の主人公は、自らの宿命を打破することができるかもしれないわずかな可能性に賭け、行動を起こす。結果は・・・  この物語が人の心を揺さぶるのだとしたら、この主人公たちの行動が読者自らの経験とダブるからだろう。誰だって夢を信じた時期はある。そしていつの間にか夢をあきらめて、現実と折り合いをつけている自分に気づく。  大人になると、夢を叶える物語より、夢が破れても、それでもまだ堪えて生きている、という物語のほうが心に沁みる。 寅さんだって、毎回失恋しているからいいのであって、成就してたら、つらくもなんともないし、傑作にならない。  この小説を読んでいたら、南木桂士の『医学生』を思い出してしまった。設定はもちろん違うけど、読後感がとても似ている。  切なくて、心を離さない傑作だ。

    0
    投稿日: 2014.02.19
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    『日の名残り』以来の、カズオ・イシグロ作品になります。 本当は、もっと読みたいんですが、海外文学は少々お高くて・・・。 蜷川幸雄氏の演出で舞台化されるという事で、やっと購入しました。 そして、何故もっと早く読まなかったのだろう、と。 淡々と語られる文章が、やはり、淡々と運命を受け入れる生徒たちの心情をあらわしているようで、かえって悲しさを感じます。 そうなるに至ったのは、保護官たちによる教育の結果なのか、ひそかに恐れられている、「普通」とは異なる彼らの特性なのかは、わかりませんが・・・。 大好きな『ミネハハ』に通ずる雰囲気もあるので、あちらが好きでこちらを未読な方には、是非おすすめしたいです。

    7
    投稿日: 2014.02.11
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    終盤まで読むのがしんどいと聞いていたけれど、ここまできついとは思わなかったw 話の流れがわからなくて「介護者?」「提供者?」みたいなはてな続きで… でもそのはてなが解明されたときにものすごくすっきりした。 人間関係に注目して読むといいのかもしれない。 特にあの三人。 2度目読むときは違った見方で読めるからいいかもしれない。

    0
    投稿日: 2014.02.09
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    慣れない文体というか、あまりこんな感じの本を読んだ事がなかったからか、読み進めるのに時間がかかった。なんとも言えない感覚と詳細な情景が、印象的。

    0
    投稿日: 2014.01.21
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    限られた生をどのように生きていけばいいのか、とても考えさせられた。 読み終わるまで1年くらいかかってしまい、あまり深く読めなかったので、またいつか読み直してみたい。

    0
    投稿日: 2014.01.12
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    友情小説 一方のほのめかしと他方の思いこみ 感慨を攫ってやさしく言語化できる人って憧れる。なりたい。

    0
    投稿日: 2014.01.12
  • わたしを焦らさないで・・・衝撃の世界に絶句。でも青春小説のワクワク感も・・・

    代表作の「日の名残り」が執事の独白だったので冒頭からの介護人の感傷的な想い出語りから、これも感動的な福祉っぽい物語かと思ったが、読み進めても状況が掴めず、さらに謎は深まり、その甘い読みは心憎く、ほろ苦く裏切られエンディングまで、お陰で一気に読了となった。「Never Let Me Go」の収録されたカセットテープを巡る青春小説のワクワク感、精緻で巧みな数多くの伏線、思い返すと頭クラクラで目が冴え翌日は寝不足で酷く疲れた。文章&創作力ともにスゴイ!

    4
    投稿日: 2014.01.04
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    のどかな郊外の風景が淡々と綴られていく冒頭から、すうっと物語に入り込むと、むしろ少し前の時代の長閑で厳粛な風物詩を読んでいる様な錯覚に陥るのだが、本当の設定は、実は荒涼とした近未来になるのだと気づいていくとき、文字通り、背筋がじわりと寒くなる恐ろしさを感じるところに、この小説のまずはの目的がひそんでいる。 そう考えると、広義でのSFの要素もあると思うのだが、そういった「戦慄する設定」のインパクトを乗り越えて読んでみると、誰もが持っている、人が生まれる事、生きていく事(死ぬ瞬間まで生きていかなければならない事)という、取捨選択が殆ど叶わない宿命についての、静謐ともいえる無常観や、それらの宿命を受け入れる事の出来る人間の強さなどについても感じ入るところがあり、とても重層的な読後感のある作品だった。 映画化もされたようだが、個人的には、視覚的に整理された「内容(あら筋)」を楽しむ前に、是非一度、やや難読感のある文章を読み解く楽しさを味わって欲しいと思う。

    1
    投稿日: 2014.01.03
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    読み終わったときの衝撃はすごい。 こんな世界があるのかと思って。 この人の頭の中はどうなんだろう。深海に潜るみたい。 なんせ、真実が分かる前まではみずみずしい感情の生きざまを どこか不自然な世界観ながらも描いていたから。 固定され閉鎖されている精神世界の中で育つこどもたちの 成長と青春の感情はどこの世界でも変わらない。 それを淡々とした語り口調で表現できるのが 背景が分かる最後の方に差し掛かってから読了 にかけて衝撃に似た感動を覚えた。 へたなミステリーよりもぞくぞくするミステリーだし かといって文学よりも文学的な気がする。

    0
    投稿日: 2014.01.03
  • わたしを泣かさないで

    3人の人生、青春の話です。序盤は謎が多いが中盤ぐらいでどんな世界なのか段々と判明していきます。皆悩みつつ自分達の使命を受け入れている所が恐ろしい。抗えない運命と分かってて夢を語る姿には泣けてきます。こんな世界にはしたくないものだ。

    2
    投稿日: 2013.12.17
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    2013年12月6日読了。イギリスで生まれ育った日本人カズオ・イシグロのブッカー賞受賞作。村上春樹がインタビューの中で「近年最も感銘を受けた作品」と激賞していたので読んでみた。優秀な「介護人」キャシー・Hが振り返る、幼少時代を友人たちと過ごした「ヘールシャム」にまつわる思い出たち。イギリス版「おもひでぽろぽろ」と言えなくもない構成だが、キャシーの記憶の一つ一つに感じる痛み・純粋さともどかしさ、無力感とか希望・絶望が美しく端正な文章でつづられ、圧倒されてしまった・・・。ミステリ小説ではないし作者は「ネタばらししてもいいよ」というスタンスのようだが、これは確かに人には言いたくないし、自分も予備知識なしで読んでよかった。読み終わって少し時間がたち、この小説の主人公は実はキャシーではなかったのではないか、と思った瞬間の胸苦しさが忘れがたい・・・。「共感する」「夢を見る」ことが残酷であるとは、考えたことがなかった。

    0
    投稿日: 2013.12.06
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    冒頭から介護人という単語が出てきたので、これは福祉的な…そういう感じの重いやつか……と、若干身構えて読み始めたのですが、これが驚くほど心地よい裏切りがありまして、気がつけばどっぷりとその世界の中に浸っていました。 10ページ目ぐらいまで読んで、なんか変だこの話は……ということに気付いてしまったら、あとはもう作者の思う壺で、仕掛けられた謎を知るためにぐいぐいと読み進めてしまいます。 物語の核心となる状況に対し、なぜこんなことがあるのか、なぜ誰も抗わないのか、といったことには一切触れられないのも良かったです。物語は、あくまで主人公たちの小さな世界を中心に語られるのです。セカイ系。

    4
    投稿日: 2013.11.24
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    ずぅっと気になって読みたかった一冊。カズオ・イシグロ二冊目。しかし、ああ〜これわたしの好きなタイプの小説だぁ〜。小説を読む醍醐味そのもののような作品だ…。できるだけ前情報無く読むのが良いとのことでここには何も書けないけど、キャスとルースの関係はなんともリアルで愛おしいです。青春時代やり直したようなぐったり感。良質な読後感。

    0
    投稿日: 2013.11.16
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    “介護人”を辞めることにしたキャシーが、自身の思い出や子供の頃からの友人たちのことを独白しているというスタイルで綴られる物語。 キャシーが子供の頃に過ごした施設のこと。 施設での親友たちとの楽しかった思い出やトラブルのこと。 施設から巣立ったキャシーが“介護人”としてどう働き、“提供者”となった友人たちがどう過ごしたかということ。 淡々と静かに、感情を高ぶらせることなく語る彼女の口調は穏やかだけど、その言葉の端々や思い出のエピソードの中に、彼女たちが過酷で残酷な運命を背負っていることが垣間見える。 彼女らのその運命の輪郭が見え始めるとその非人道さに驚愕するが、それよりも衝撃なのは、彼女たちがその運命を当たり前のこととして受け入れているように見えることかもしれない。 一見、牧歌的で退屈な物語に見えるが、実はとても未来的なSF作品。

    1
    投稿日: 2013.11.15
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    なんといってもルース…でも結局一番仲がいいのがルース…そんでルースが手に入れたかったのはどう考えてもトミーよりキャシー。 友情って不思議なものですね。

    1
    投稿日: 2013.11.15
  • 不思議な感覚の近未来世界

    なかなか評価が分かれるところである。読み始めてみると最初の人物設定に戸惑ってしまう。「提供者」とか「介護人」とかの意味ありげな表現で紹介している。読み進めばわかってくるだろうと中間地点くらいまできてもなかなか種明かしをしてくれない。ようやくわかるのが終盤間近である。あぁ、そうだったのか。そこまでじらした割には、あまり驚きはしなかった。うっすらとは感じ取っていたのかもしれない。ま、そういう世の中になってしまうのかな、とも思える近未来の生命医学を予見した衝撃的な小説ではあるが・・・。

    2
    投稿日: 2013.11.10
  • 怖いくらいに淡々と

    読んでいる間ずっと切ない気持ち 淡々と物語は進んでいき 淡々と伏線が回収されてく 読後も切なさが後を引く。

    2
    投稿日: 2013.11.06
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    昔語りを丁寧に繰り返し、一人称の主人公・キャスから見たヘールシャムの仲間たちの姿がありありと浮かび、深い立体感を演出している。その割に、愛―それも男女の情愛に、寄宿舎の子供たちの運命の解決策を委ねようとしたところが、何とも陳腐に感じられてしまう。 こどもの頃、とりたてて大人から説明されなくても、直観としてつかんでいた理。その、手ごたえなくおぼろげな雰囲気がよく再現されていて、この物語の謎の部分も、物語序盤から繰り返し婉曲的な言い回しでの言及がある。そのため、中盤や終盤に、話中ではっきりとその説明がなされる場面があるが、ぼんやりと理解していたことの確認を得るといった程度の印象であり、衝撃的というほどのものではない。その仕掛けが、丁寧で美しいと感じた。

    1
    投稿日: 2013.11.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    医療用クローンとして育てられ、ある程度成長した後に本物の人間たちのために臓器提供をしなければならない(その結果死ぬ運命にある)クローン人間たちの物語。秘密が暴かれていくスリルはあれども、読み終わって振り返ると、あんまり面白くなかったかな。

    0
    投稿日: 2013.10.23
  • ゆっくりと判明する世界

    自分の人生について思い悩むことは誰しもあるはずです。そして今後の自分の人生なんてはっきり言って、分かりません。しかしこの作品で登場する「提供者」と呼ばれる人物たちの運命は、決定されています。しかも残酷で抗いようがないものです。 読み進めるうちに読者は、提供者の運命や小説内の世界観が少しずつ分かっていく構成です。 じわりじわりと進んでいき、最後に深く心を揺さぶられる結末を迎えていきます。 己の生きる意味、他者への影響などこの作品から得られるものは人それぞれだと思います。深い小説です。

    6
    投稿日: 2013.10.16
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    映画をだいぶ前に観て良かったけど改めて原作を読むとこの作品の素晴らしさに感銘を受ける…心の機微は文章からのほうがより深く伝わる。わかってても読み進めると切なく心が締め付けられる物語を堪能。また、映画も再鑑賞したい。

    1
    投稿日: 2013.10.11
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    久々の翻訳小説。普段はあまり読まないのではじめは少し違和感があったけど、すぐに慣れてぐいぐい引き込まれてしまった。物語の抱えている謎、同時にそれはストーリーの核となる事実。捲る度にドキドキ。最後は切ない。うーん、面白かった。20131009

    0
    投稿日: 2013.10.09
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    映画化したということ意外の情報は一切知らずに読んでみました。まさかこういう話だったとは...。 主人公の静かな語り口が心地よいのですが、読み終えたときにはなんだか寂しさを感じさせる小説です。

    0
    投稿日: 2013.10.06
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    語り部であるキャシーの口から語られる内容は、 まるでごく普通の“平凡な”男女の日常だ。 癇癪を起こしやすくグループになじめない愚鈍なトミー、 常に他者より優位に立とうとするルース、 そして2人に愛情を抱きつつ、彼らの欠点にいらつくキャシー。 嫉妬、虚栄心、焦燥感、羞恥心・・・ 心の揺らぎは耐えず、情動的で、ゆえに平凡な人物たちである。 しかしそれゆえに、自分と寸分違わぬ平凡な彼らが存在する、 残酷な運命がすでに日常と化した世界の悲壮さが、 水のように静かに作品を覆う。

    1
    投稿日: 2013.10.04
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    解説を読んでしまうと感想が引っ張られてしまうなぁ。でもこの話のえもいわれぬ雰囲気を抑制と表現できるのが分かったのは素直に感動したな。 本当に謎自体はあっさりと解けてしまって、あぁそういうものか…なんて読み進めてしまうのだけども。やっぱりその謎はよくわからないくらい大きな影響があって。それをあっさり見せる抑制が衝撃と対比されるような。 なに言ってるかわからないので自分の感想をちゃんと書こう。あくまで一人称で進むことがものすごく印象に残っている。私はこう思ったけどあなたはきっとこう思ったのではないかしらでもやっぱり違うかもね。みたいな、微妙な孤独や諦めや距離感のニュアンスを感じて、なぜか心を締め付けられる。私を離さないでという言葉はいつか必ず離れてしまうと悟っているから生まれるんだきっと。

    0
    投稿日: 2013.09.29
  • 寒気が忍び寄る

    透明感ある文章が恐ろしい

    2
    投稿日: 2013.09.26
  • こんなことがもしもあったら

    実は映画、観ちゃいました。映画もすごく良かったので、小説も是非読みたくなって。 さすがカズオ・イシグロです。「日の名残り」然り、なんともいえない情緒があります。イギリスならではのどんよりとした空、荒涼とした田園風景、石造りの建物、寂しげな海岸、などなど。読み進んでいくうちにどんどん頭の中でフィルムが回っていくよう。 重要なストーリーですが、こんなことがあったら今の若者は自殺してしまうんじゃないか?と思えるようなあり得ない話です。少しSFチックで、現実的に言えば、臓器提供の倫理感の話でもあり。。。将来、生きていく目的も見いだせない若者が、それでももがき苦しみながら人間らしく生きようとする姿に心打たれます。普通に成長して、恋して結婚して、子どもを産み育み・・・と少しでも幸せな人生を送ろうとする。とても切ない話です。 映画がかなり良かったので、両方おススメです。どちらが先か・・・うーん、小説でしょう。

    5
    投稿日: 2013.09.25
  • 「二人の記憶を失うことは絶対にありません」

    著者は長崎県生まれ、英国に帰化し英語で執筆している。ブッカー賞の「日の名残り」は映画化された。小説はクローン人間による臓器提供システムがある、未来社会の話だ。 ただ、臓器提供システムの背景が見えない点が私には不満であった。背景が抽象的過ぎるため、物語の現実感が希薄になったように思う。しかし、作家の関心は、人の「記憶や思いで」にあるようで、臓器システムではなさそうだ。その点では成功しており、登場人物である提供者と介護人の思いは濃密に伝わってくる。 翻訳はよく、読みやすい。

    2
    投稿日: 2013.09.25
  • 小難しいことは、読んでから考えた方がいい。

    この物語では、一枚一枚皮を剥いでいくように真実がむき出しになっていきます。 焦らないで(ページをとばしたりしないで)、かみしめて読んだほうがいいとおもう。 賛否両論ありますが、少なくとも読んだことが時間の無駄と感じるようなことはないです。

    2
    投稿日: 2013.09.24
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    カズオ・イシグロの優しさと悲哀の詰まった本。キャシーの繊細な視線が胸を締め付けられる。映画の予告を観、あのグレイと薄い蒼の色合いはまさにこの本の根底に流れる静けさだと感じた。

    0
    投稿日: 2013.09.23
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    このレビューはネタバレを含みます。

    小説を読むよりも前に映画を見てしまったのだけど、映画は原作にかなり忠実で、しかも原作の持つ趣もよく伝えていたと思う。ただし、語り手であり、主人公でもあるキャスをはじめとした登場人物たちの心の表現の微細さは小説ならではである。生きることの意味を問いかける本書のテーマは、この特異な構想の中でみごとに描き出されているといえるだろう。ヘールシャムからノーフォークにいたるまで、その情景は常に冬枯れたかのような光景であり、一人称体で淡々とした語りの手法も成功しているだろう。

    0
    投稿日: 2013.09.23
  • 誰のために人生を生きている?

    宗教的な意味でもなく、何の比喩でもない、文字通り”自分の人生が自分のものではなく、他人のためのもの”だったら自分はどうするだろうか。 子どもは親を選べないというが、この物語においては親どころかその後の人生すら自ら選ぶことができない。イギリスの海沿いの街、ヘールシャムという施設で生まれ育ったキャシーと親友だったルースとトミー。”提供者”と呼ばれる彼女たちは、いまいる”自分”を感じ合いながら、沸き上がる”自分”の感情で予め決められた運命に抗い始めます。 普通に日常を過ごす私たちにとって、異常で壮絶で恐怖ですらあるその事実が、カズオ・イシグロの静かで穏やかな言葉の運びによってゆっくりと語られる。どうでもいいような些細な事が彼女たちの心を揺さぶり、生きるとは何を意味するのかを底の底からすくい取って読者の前に差し出すのです。 長い、オチが読めると言った批判もあるようですが、丁寧にディテールを積み重ねることが、”ひとりの人間”を描くためには必要なのではないでしょうか。

    10
    投稿日: 2013.09.20
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    淡々とした語りで徐々に明かされていくのですが、その内容に驚愕。キーワードを連発して読者に推測させるこの書き方には、ぐいぐい惹きこまれました。考えるほどに恐ろしくすらなるのですが、それはやはり、自分がマダム側の人間だからでしょうか。

    0
    投稿日: 2013.08.24
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    中盤は少しダラダラして長いという印象があったが、終盤のまとめかたが素晴らしくよかった。 物語は主人公キャシーの思い出の振り返りという形式で進んでいく。その中身や心情の動きは細やかで丁寧だったが、正直だるいと感じる箇所もあった。 展開は読めるのだが、わかっていてもラストには感動(というか切なさ)を強く感じさせてストーリーは抜群だなと思う。内容は、現実でありえそうでありえないというパラレルワールド的なイギリスが舞台で、人間の尊厳や生きるとはの葛藤がよく書かれていた。

    0
    投稿日: 2013.07.20
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    このレビューはネタバレを含みます。

    言葉でうまく感想を言えないほど良い小説だと思う ただ訴えたいメッセージがあるならそれを言った方がいい。 小説は、そうじゃないから小説という形しかとれないからそうなってる。 直接生きる意味とか科学技術の発展の危機を訴えているわけじゃない。なのに、どんなに言われても、この小説のほうがもっと自由、人生、選択、善悪、人間について知っていて、真に迫る。すごい。エンターテイメントとしての小説ではない。人生において大切な一冊になる本。そういう本。

    1
    投稿日: 2013.07.19
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    SF的状況は使い古された設定だが、全般的に漂う抑鬱感、学園生活の描写や心理的な深め方が素晴らしい。 登場人物の抱えるもやもや度合い、周囲の人間に対する心持ち、意外とこうなんだろうと納得できて好感。 同時代の作家として読めて良かったと思える一冊。訳も良い。古典になり得る。

    0
    投稿日: 2013.07.19
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    映画を見て、その牧歌的な雰囲気に惹かれ原作も読んでみることに。 主人公たちの残酷な運命と対象的に、語られている日常生活はあまりに現実的で身近。特にヘールシャムでの女の子同士のやりとりなど、私自身の小学生時代を思い出させます。提供者である彼らが人格を持った人間であると実感させられ、切なくやるせない気持ちになりました。 かなり淡々とした調子で語られる主人公の回想は緻密でよく練られています。 SF小説に分類されるようですが、読後に静かに余韻に浸りたくなるような、胸が締め付けられるような、切なさを感じる作品です。映画もその雰囲気はよく出せていたと思います。

    1
    投稿日: 2013.07.17
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    「映画化された話題の作品」というくらいの予備知識しか持たずに読みました。 最初のうちは、登場人物たちが、いったいなにものなのかもよくわからず、謎めいたまま読んでいたのですが、読み進めるうちに、いろいろな事実が少しずつわかってきます。 作者の頭の中で作り上げられた空想の世界に驚き、ほとんど予備知識を持たずに読んだのは正解だったと思いました。 空想の世界といっても、恋や友情、登場人物たちの成長、科学と倫理の葛藤など、描かれていることはリアルで、胸に迫るものがあります。 「わたしを離さないで」と、どんなに願い、祈っても、失われていくものをつなぎとめることは出来ません。 美しい風景も、懐かしい思い出も、いつかは消え、終わりがきます。 人は、科学の発展により、多くの便利さや豊かさを手に入れてきましたが、それと引きかえに失ったものもあるでしょう。 架空の世界でありながら、懐かしさ、切なさ、悲しさが胸を打つお話でした。 読み終わったあと、映画も観ました。 物語の細部は小説を読んだ方がわかるのですが、映画の方は、登場人物たちの非情な運命がそのまま映像となり映し出され、その衝撃が心を揺さぶりました。 ネットで検索すれば、詳しいあらすじなど、いろいろ調べることはできますが、個人的には、あまり内容を知らずに読んだり、観たりした方がいい作品だと思いました。

    2
    投稿日: 2013.07.15
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    近未来かなっと思うとそうではなく、カセットテープとか今や過去って感じのが出てきて不思議。 読みすすめるうち、彼らの境遇を思うと胸が苦しくなってきた。 なぜ、彼らは反乱を起こしたりやけを起こしたりしないのだろうか? それらも洗脳されているのだろうか? 人間らしく子ども時代を過させる、それは本当に人道的なことなのだろうか。もしかしたらかなり残酷なことなのではないのかとも思ってしまう。読んだあと色んな矛盾と切なさが、ごっちゃになってしまった。

    0
    投稿日: 2013.07.10
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    「提供者」としてこの世に生をうけた子どもたち。 そこに有るべきはずの未来は当たり前のように無く、穏やかに全てを受け入れ、自らの役目を果たすため生きる。 教育、エゴ、自我。 ただ悲しいだけでなく、痛みを感じるだけでなく、はてしなく凪いだような、濁りや曇り、淀みのない物語。

    0
    投稿日: 2013.07.08
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    主人公であるキャシーが昔のことを回想して語るという形式で書かれた長編。どことなく謎めいた雰囲気があり、提供とは、ヘールシャムとはなにか、そして主人公たちはどういった存在であるか、が少しずつ明らかにされていきます。 介護人や提供者、ヘールシャムという謎の施設なとがはっきりと語られないまま話が進んでいくので、主人公の回想について行けず、第一部ではあまり話に引き込まれませんでした。最後もなんとなくしっくりこない感じ… とは言え、他の作品も読んで見たいような気になったので、星3つです。2013.07.04

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    投稿日: 2013.07.05
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