
総合評価
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powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
自分の子を人に可愛がられたまらなく嬉しく思う気持ちは私も親になった時に理解できるのだろうか。 博士の「いかん!子供は親の傍にいなくては!」と、自宅に呼び嬉々としてルートの相手をする。親子で出された数学の問題を解く。10年一緒にいられなかった家族の時間を作り上げ取り戻していく。 野球のルールがわかっていればもっと状況を描き楽しむことが出来たと思う。
8投稿日: 2024.09.21
powered by ブクログ博士と家政婦、その子ども√との ふれあいの作品。 博士の不器用なところなどもあるが、√への無償の愛や、愛情表現等がとても丁寧に現せれている。 数式を用いた愛情表現には、とても感心させられた。心が温かくなる作品
1投稿日: 2024.09.16
powered by ブクログ数学的な事は中々理解に苦しみましたが、博士と家政婦その子供√の人間模様はとてもほっこりしました。ハラハラもさせられたし、時に笑、時に涙でとても良い作品でした。
2投稿日: 2024.09.16
powered by ブクログ旅のお供本で読みました。読み進めているうちに、数字の奥深さに魅了されます。第一人者でありながら謙虚に探求し続ける姿勢を持ち、人に温かい博士。ジーンとくるラストでした。読後は素数と完全数が気になって仕方ない(^^)
14投稿日: 2024.09.16
powered by ブクログとにかく優しい話。 ルート君に対して無償の愛を捧げる博士がまた優しい。特にこの話は大きなトラブルとか出来事は起きないけど、むしろそういうのが起きないから読後感が良かったのかもしれない。 切ないけど悲しさは無いそんな物語でした。
3投稿日: 2024.09.14
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
私がもし街中で博士を見たら、思わず避けてしまうかもしれないなと思ったので、人の中身や本質をしっかり見られているルートくんとお母さんは素晴らしいなと思った。 高校時代に数学で挫折してから、なかなか数学を解く気になれなかったが、博士の説明とそれを聞いたお母さんの感情描写を読んでいて、心が温かくなった。もし挫折する前に博士のような人に出会えていたら、学問の面白さをより知れたのかなとか、数学の出来だけとにかく悪かったため、わからないことをわからないと言い出すことができなかった高校時代を思うと、ちゃんと疑問を一つ一つ解消できていればな、とか、考えさせられた。 理系の人々が語る数学の美しさについて初めて納得というか、理解できた気がする。共感できるほど数学の出来がよくない自分をすごく読みながら悔やんでいた。にぎやかなカフェの中で読み始めたが、久しぶりに没頭して読みきることができた小説だった。読み切った後、私も友愛数を帰りの電車で考えてみようかなと思えたり、久々に数学の教科書を開いてみてもいいかもしれないと、数学に前向きになれたような気がする。誕生日パーティーの部分では思わず涙が出てきたときに、ここで泣ける感性がある自分に安心した。最後に博士がなくなる部分まで描かれるのかなと思っていたがすごくあいまいだったのが意外だなと思ったが、つかの間の幸せな終わり方でふわふわ温かい気持ちで読み切ることができたので良かったなと思った。 心がしんどくなって人の温かさに触れたくなったときにぜひ購入して手元に置いておきたい一冊だった。
1投稿日: 2024.09.12
powered by ブクログ「僕の記憶は80分しかもたない」博士の背広の袖には、そう書かれた古びたメモが書き留められていたー記憶力を失った博士にとって私は常に新しい家政婦。しかし、私の10歳の息子が加わり、ぎこちない日々は驚きと歓びに満ちたものに変わった。 事故後に起こる新たな出来事を80分しか記憶することができません。なので事故が起きる前の記憶は残っています。だから、1億までの素数や完全数を言い当てたり、懸賞金がかかっている数学の問題などはすぐに解けます。博士の記憶が80分しか持たないのに私の10歳の息子のことはよく覚えています。自分がどんだけ難しい問題を解いている時や考え事をしていても息子が話しかけるとすべてを中断して息子の話を一生懸命耳を傾けます。このこと以外にも博士の子供想いなところは描かれています。 数学の話だけでなく野球の話もあり自分的には読んでてすごい面白かったです。
2投稿日: 2024.09.10
powered by ブクログドラマチックな展開があるわけではないけれど、著者の筆力(特に比喩)で数学の豊かな世界に引き込まれます。
3投稿日: 2024.09.08
powered by ブクログ数字で遊びたくなった。 博士のことが好きなのが伝わってきた。 気持ちが良かった。 博士も2人が好きだったのが伝わってきた。 あの瞬間の心地が良かった。 忘れたくなかっただろうなぁ。。
2投稿日: 2024.09.05
powered by ブクログこんなに綺麗な描写があるんだと思うくらいの綺麗な文章。0の美しさ、数学の美しさに気づくことができる。血が繋がってるだけじゃない、登場人物たちの人間らしさや美しさがギュッと詰まったとっても綺麗な本でした、あったかい気持ちになれた!
4投稿日: 2024.09.02
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
博士と私、息子 恋人や友達、家族とは異なる、数字で結ばれた不思議な関係に生まれた慕わしいという感情。 つい、「私」の視点で読んでしまうが、80分しか記憶がもたない博士自身のもどかしさ、寂しさを思うと、「私」や息子との出会いは日々の生活に暖かさ与えていたのだと思う。 これも10年近く前に読んだ本だったと思う。
1投稿日: 2024.09.01
powered by ブクログただただ悲しい博士の置かれた状況にも関わらずそこには全てを包み込むような暖かさが感じられる。記憶を失っても変わらないもの、人の愛を信じたくなった。
1投稿日: 2024.09.01
powered by ブクログ『ことり』を読んでから、小川洋子さんに興味を持ち、映画化もされているこの本を読んでみた 本当に、暖かく優しい、だけど切ない文章を書く人だなと思う 言葉がスっと入ってきてくれて、情景が自分の中で沢山浮かび上がる感じもすごく好き 人間の美しい部分がよく描かれていて、読了した時に胸がいっぱいになった 何度でも読みたい、大切にしたい本。
3投稿日: 2024.08.25
powered by ブクログとても面白かった。80分しか記憶が保たない数学者の博士と家政婦の主人公・主人公の息子ルートたちの物語。話の節々に数学的な要素が組み込まれており、数学に馴染みのない人でも楽しく読めると思う。博士と家政婦をつなぐ220と284という友愛数、博士とルートをつなぐ714と715という素数(714がベーブルースの記録でそれを超えたのがハンクアーロン、博士は自分が714で古い記録として新しいものが打ち破ることに感銘していた)、博士が大好きな江夏の背番号28が完全数など博士がたびたび披露する数学話は興味深かった。80分しか記憶が保たないって本人もだけどその人に接する人も心苦しいよな。
3投稿日: 2024.08.23
powered by ブクログ小学生以来20年ぶり2回目の読了。 前回読んだ時はルート目線で読んでたけど、今回は母親目線で読んでいた。 些細な規律に目を向けたくなる本、 自分の存在を過小評価する博士に敬服。
3投稿日: 2024.08.23
powered by ブクログ2024 ぶっ通しで3時間くらい読んで読了。期待しすぎてしまって、読み終えた後も思いの外…という感想だったなあ…80分で記憶が消えてしまうなんて儚いよねえ
1投稿日: 2024.08.20
powered by ブクログ素敵なお話 言葉がすらすら頭に入って映像になる感覚がした これをもっと前に読んでたらもっと数学好きになってた気がする またいつか読みたい
3投稿日: 2024.08.19
powered by ブクログ484 ★4.5・・・3665 小川洋子ってほんと興味深い小説家だなと感じる。言葉の仕事をしてるのにそれを信じ切ってなくて、言葉では表せない世界観の美しさとかを書こうとするから。 小川 洋子 1962(昭和37)年、岡山県生れ。早稲田大学第一文学部卒。1988年「揚羽蝶が壊れる時」で海燕新人文学賞を受賞。1991(平成3)年「妊娠カレンダー」で芥川賞受賞。主な著書に『やさしい訴え』『ホテル・アイリス』『沈黙博物館』『アンネ・フランクの記憶』『薬指の標本』『夜明けの縁をさ迷う人々』『猫を抱いて象と泳ぐ』等。2004年『博士の愛した数式』で読売文学賞、本屋大賞を受賞。『ブラフマンの埋葬』で泉鏡花文学賞、2006年『ミーナの行進』で谷崎潤一郎賞受賞。翻訳された作品も多く、海外での評価も高い。 博士の愛した数式(新潮文庫) by 小川洋子 いつどんな場合でも、博士が私たちに求めるのは正解だけではなかった。何も答えられずに黙りこくってしまうより、苦し紛れに突拍子もない間違いを犯した時の方が、むしろ喜んだ。そこから元々の問題をしのぐ新たな問題が発生すると、尚一層喜んだ。彼には正しい間違いというものについての独自なセンスがあり、いくら考えても正解を出せないでいる時こそ、私たちに自信を与えることができた。 彼はこの世に背広以外の洋服があるのを知らなかったのかもしれない。他人がどんな装いをしているかなど興味はなく、まして自分の見かけにこだわって無駄な時間を消費するなど考えられなかったのだろう。朝起きて洋服ダンスを開け、クリーニングのビニールに包まれていない背広を着る、それだけで十分だった。三着の背広はどれも、ダークな色合と着古してくたびれた感じが博士の雰囲気によくマッチし、ほとんど皮膚の一部と化しているかのようでさえあった。 かつて馘になった九人の家政婦仲間たちの話から、少しずつ集めた情報によると、母屋の老婦人は未亡人で、亡くなったご主人と博士が兄弟の関係にあるようだった。両親が早く他界したにもかかわらず、博士がイギリスのケンブリッジ大学にまで留学し、数学の勉強を続けられたのは、親の残した織物工場をお兄さんが苦労して大きくし、一回り年下の弟のために学費を出してくれたからだった。博士号を取り(彼は正真正銘の博士だった)、大学の数学研究所に就職も決まってようやく自立できた矢先、お兄さんは急性肝炎で死んでしまう。残された未亡人は子供がいなかったため、工場をたたみ、跡地にマンションを建て、家賃収入での暮らしをはじめる。それぞれの穏やかな生活を一変させたのは、博士が四十七歳の時巻き込まれた交通事故だった。博士の運転する車に、対向車線から居眠り運転の車が衝突し、彼は脳に回復不能のダメージを受ける。結果、研究所の職を失った。以来、数学雑誌の懸賞問題を解いてわずかばかりの賞金を稼ぐ以外収入はなく、結婚もしないまま、六十四になる現在に至るまでずっと、未亡人の援助の元から離れられずにいる、というわけらしかった。 「論文なんて大層なものじゃない。アマチュアの数学マニア向け雑誌に載っている問題を解いて、楽しんでいるだけだよ。運がよければ、お金がもらえる。大富豪の数学愛好家が、賞金を出しているんだ」 博士は自分の身体をあちこち点検し、左ポケットの口に留めたメモに視線を落とした。「そうか……。今日『JOURNAL of MATHEMATICS』の 37 へ、証明を送ったのか……。うん、よしよし」 つまり私たちが何の心配もなく話せるのは、数学についてだけだった。学校へ行っていた頃から数学は教科書を見ただけで寒気がするくらい嫌いだったが、博士が教えてくれる数の問題は、素直に頭に入った。家政婦として雇い主の興味に合わせようとしたからではなく、教え方が上手だったせいだ。数式を前にして彼が発する驚嘆のため息や、美を讃える言葉や、瞳の輝きは、それだけで意味深かった。 「僕、クラスで一番背が低いんだ」 「気にすることはない。今はエネルギーを蓄える時で、それが爆発すれば、一気に大きくなれる。そのうち骨の伸びる音が、ギシギシ聞こえてくるようになるよ」 「博士もそうだった?」 「いや、残念ながら、おじさんの場合は、どうやら、余計な方向にエネルギーを無駄遣いしてしまったらしい」 生まれた時からルートは、抱擁されることの少ない赤ん坊だった。産院の、小舟のような形の透明なベッドに収まった赤ん坊を見た時、自分の中にわいたのは、喜びよりも怖れに近いものだった。生まれてからまだ数時間しか経っておらず、まぶたにも、耳たぶにも、踵にも、さっきまで羊水に浸かっていたふやけた感じが残っていた。目は半ば閉じられていたが、眠ってはいないらしく、大きすぎて身体に馴染まない産着からはみ出た手足を、小刻みに動かしていた。まるで、間違った場所に置き去りにされた不満を、誰かに訴えているかのようだった。 数学の才能と関係があるのかないのかは不明だが、博士には不思議な能力があった。まず一つは、言葉を瞬時に逆さまにすることができた。 いつだったか、ルートが回文を作る国語の宿題に四苦八苦している時だった。 「言葉を反対から読めば、意味がなくなるのは当たり前だよ。たけやぶやけた、ってそんなこと一体誰が言うの? だいたい、竹藪が火事で焼けたところなんて見たことない。ねえ、博士」 「いなとこたみてんなろことたけやでじかがぶやけた」 呼び名はすぐ分かっても、公式の意味を理解するのには困難が伴った。私は書架の間に立ったまま、公式に関わりのあるページを何回も読み直した。特に難しい部分は、博士に教えられた通り、声に出して読んでみた。相変わらず数学のコーナーには私一人きりだったので、誰にも迷惑を掛けずにすんだ。数学書の隙間に吸い込まれてゆく自分の声に、私は耳を澄ませた。 πは分かる。円周率だ。iも博士に教えてもらった。-1の平方根で、虚数。厄介なのはeだった。eもπと同じ循環しない無理数で、数学で最も重要な定数の一つであるらしい。 まず、対数とは何か、からはじめなければならない。対数とは、定数を何乗すれば任意の数になるかという、指数の値である。ちなみに、定数の方は〝底〟と呼ばれる。例えば、底が 10 ならば、100の対数(lo 100)は、100= 私は本の重みで痺れてきた手を休め、ページをめくり直し、十八世紀最大の数学者だというレオンハルト・オイラーについて思いを馳せた。彼について私は何も知らないが、この公式一つを手にしただけで、彼の体温に触れたような気がする。オイラーは不自然極まりない概念を用い、一つの公式を編み出した。無関係にしか見えない数の間に、自然な結び付きを発見した。 オイラーの公式は暗闇に光る一筋の流星だった。暗黒の洞窟に刻まれた詩の一行だった。そこに込められた美しさに打たれながら、私はメモ用紙を定期入れに仕舞った。 図書館の階段を降りる時、ふと振り返ってみたが、相変わらず数学のコーナーに人影はなく、そんなにも美しいものたちが隠れていることなど誰にも知られないままに、しんとしていた。 次の日も図書館へ行った。もう一つだけ、前からずっと心に引っ掛かっていることを調べるためだった。私は一九七五年の地方新聞の縮刷版を取り出し、分厚い冊子のページを、根気よく一ページ一ページめくっていった。一九七五年九月二十四日付け地域版に、目指す記事は載っていた。 二十三日午後4時 10 分ごろ、○○町3丁目の国道2号線で、△△運輸の軽トラック=××運転手( 28)がセンターラインをオーバーして対向車線にはみ出し、○○大学数学研究所教授△△さん( 47)運転の乗用車と正面衝突。△△さんは頭を強く打ち重体。助手席に乗っていた義姉××さん( 55)は左足骨折の重傷。トラックの運転手も額などに軽いけがをした。警察では居眠り運転が原因とみてトラックの運転手から事情を聴き…… 私は冊子を閉じた。未亡人が突く、杖の音を思い出していた。 数学は理科学系なのだから、雷の知識も私よりは多いはずだと思ったのだが、読みは外れたようだった。 「今日の一番星は輪郭がぼやけていた。そういう日はたいてい天気が崩れるのだ」 博士の答えは数学的厳密さとはかけ離れたものだった。 そうしている間にも雨足は強くなり、止め様もなく次々稲光が発生し、雷鳴が窓ガラスを震わせた。
1投稿日: 2024.08.16
powered by ブクログ物語の中で大きな出来事は起きない。 家政婦・子供・博士の3人の日常を描いているだけだが、読後もじわじわ心に染みるものがある。 運命や絆といったありふれた言葉を数学的に表現するとこうも美しくなるのかと感銘を受けた。
3投稿日: 2024.08.14
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
そこまで大きい事件とかは起こらないけど、日々の博士と「私」とルートの関係性が読んでいて心地いいというか、なんか温かい感じで、私も世界に引き込まれて楽しく読書ができました。数学の難しいところはよくわからないところもあったけど、数字のおもしろさがちょっとわかった気がします。数学がよくわかる人にとっては、よりおもしろい作品だと思います。
4投稿日: 2024.08.11
powered by ブクログ小川洋子さんの作品が大好きです。 所々難しい数式が出てきますが、それすらも美しいと思わせられました。数学博士とその家政婦とその息子、その三人の関係が、永遠に心に刻まれる永遠の友達のようで最後はとても切なくなりました。
3投稿日: 2024.08.11
powered by ブクログ博士とルート、そして義姉と私の関係性の変わらない部分と変わった部分がするりと流れていく読み味が素晴らしかったです。
3投稿日: 2024.08.10
powered by ブクログ完全数28に引き寄せられて出逢っていく様が神秘的ですらあった。 出会うべきして出会った博士と家政婦とルート、そして江夏。 解説を読んで、、。 老数学者、家政婦の「私」とその10歳の息子の三点が、数学と阪神タイガースという二色の紐で結ばれ三角形をなしている。生ない数学が物語を重層化している。阪神タイガースが加わることでユーモアが入り、墨絵に色彩を加え油絵に変えている。しかも江夏の背番号が28だった事実によって、数学と阪神タイガース、そして3人たちが固く結ばれていく。
3投稿日: 2024.08.07
powered by ブクログ①あたたかい気持ちになる作品。3人の中心人物が相手を慮る気持ちが描写されている! ②80分という記憶時間の中で、大切なことを思い出そうとする博士のいじらしさを感じれる! ③この世の中の事、何でもないような事にしっかりと目を向け、考える大切さを知った。学びたい欲が高まる!
1投稿日: 2024.08.06
powered by ブクログどんな心も優しく包み込んで温めてくれるような物語。 常に優しい博士だからこそルートと母親とうまくやっていけるのだと思う。 数学好きじゃなくても、野球好きじゃなくても読んでほしい。 私も常に人に優しく、でも自分の好きなことにはとことん夢中になれるような人になりたい。
2投稿日: 2024.08.03
powered by ブクログ設定がほんとにグッとくる。 切ないけど"可哀想"なんて簡単な言葉で勝手に解釈したら失礼だから、んー、なんと言えばいいのかという気持ちでいっぱいの、モヤモヤ引っかかるところがあった。 一生懸命80分の記憶を溢れないようにしているおじいさんの姿想像するだけで胸が苦しくなる。 ルートに対しての愛も切なくて苦しかった。それよりルートは大人な子どもでまじ幸せになってほしい。
8投稿日: 2024.08.02
powered by ブクログあまり書けばネタバレに繋がるし、私自身別に書評が得意でもないので端的にレビューをする。 数学好き(高校卒業レベル)で野球が得意でない私でも、ある程度楽しんで読めた。 読後感は「あぁ、文学を読んだな」と言った感じである。疲れるか疲れないかで言えば、普段そんなに本を読まないので疲れる。でも悪くない疲労感。 数学嫌いで野球も好きでなく興味無い人であればこの本は読めない…少なからず読み進めるのに手こずるだろう。
11投稿日: 2024.07.28
powered by ブクログ数学が好きな方から借りて、自分は数学が好きではないから半信半疑で読み始めた。理解ができるか不安だったけど、数学を通して人間性を感じられる本。ルートも母親も博士もみんなが優しい。
1投稿日: 2024.07.27
powered by ブクログ80分しか記憶がもたない博士ですが、毎回毎回、数学への情熱や幼い子供への愛情が蘇るのが素敵だと思いました。むしろ毎回毎回同じことを確認するのが愛しいです。 とりたてて大きな出来事が起こるわけではないのですが、優しい気持ちになる物語です。
17投稿日: 2024.07.23
powered by ブクログ何年振りかの再読。博士、主人公、ルートの空気感が好きな作品。設定は日本だが、離れ、書斎、おいしそうな洋食などが登場するため、ヨーロッパにいるのかなという感覚にもなる。
1投稿日: 2024.07.22
powered by ブクログ今まで出会ったことのない、本当に美しい物語でした。美しい物語、なんて語彙が貧相すぎて恥ずかしくなるくらい、まさにこの物語の中心を貫く数式のように精密に織り上げられ厳かに佇んでいるような、そんなお話です。大げさでなく10ページに一度の頻度で涙が出ました。場面の展開や台詞で感情が高ぶらされるのではなく、場面の描写で涙が出たのは初めてです。 本当に、言葉への感性、日常のあらゆるものへの感性が飛び抜けているのだと思います。特別なことは何もない何気ない場面を表すのに、自分には絶対に思いもつかない言葉で表現されるその美しさに終始、心を打たれました。 恥ずかしながら小川洋子さんの著書を手に取るのは本作が初めてなので、他の作品も全て読みたいと思います。
3投稿日: 2024.07.22
powered by ブクログ新潮文庫の100冊をきっかけに。 記憶が80分しか持たない老博士の元に派遣された家政婦の私と息子の物語。 3人が数学を通じて親交を深めていく過程が面白かった。いろいろな数式が出てきて、数学嫌いの私でも興味深い内容だった。 数学と一見関係のない野球と数学の繋がりが見えたのも面白かった。 3人のお互いがお互いを思いやりながら接している様に心が温かくなった。 読んだ後、優しい気持ちになれる物語だった。 ✎︎____________ 数字は相手と握手をするために差し出す右手であり、同時に自分の身を保護するオーバーでもあった。(p.14) 子供の、ただいま、の声を聞くほど幸せなことはない(p.73) 博士の授業でもう一つ不思議なのは、彼が分からないという言葉を惜し気もなく使うことだった。分からないのは恥ではなく、新たな真理への道標だった。(p.100) カクテル光線を浴びた球場は、天から舞い降りてきた宇宙船だった。(p.139) 実生活の役に立たないからこそ、数学の秩序は美しいのだ(p.178) 物質にも自然現象にも感情にも左右されない、永遠の真実は、目には見えないのだ。数学はその姿を解明し、表現することができる。なにものもそれを邪魔できない(pp.179~180) 子供の心配をするのが、親に課せられた一番の試練だ(p.216) 途中止めしたら、絶対正解にはたどり着けないんだよ(p.250)
22投稿日: 2024.07.22
powered by ブクログあたたかい気持ちになった。子どもには優しくしたい。対数あたりはギリギリ理解できたけど野球のルールを全く知らないので野球に詳しかったらもっと細かいところまで楽しめたかな〜と思った。
1投稿日: 2024.07.16
powered by ブクログ書店で見かけ手に取った1冊。 博士の愛した数式、学問としての数字だけでなく、登場人物である私やルート達のことも同じように愛していたことが伝わる作品だと感じました。 80分しか記憶が持たない博士と登場人物達が紡ぐ物語は、悲しさと優しさが詰まった愛のお話であり、とても素敵な作品に出会えたと感じました。
1投稿日: 2024.07.14
powered by ブクログ令和ロマンのくるまさんが100ボケ100ツッコミで相方をルートと呼んだボケをした時にケムリさんがすかさずこの本の名前を出してツッコミしたときはしびれた
1投稿日: 2024.07.13
powered by ブクログ小川洋子さんの文体が好き。 少し崩れたショートケーキや錆びたドアノブのように、もとは完全なる形だったがどこか欠けてしまったものや人を描くことに長けている。
1投稿日: 2024.07.12
powered by ブクログ古い本で、初の本屋大賞受賞作の作品 とても面白かった。 数学がところどころ出てきて、正直よくわからないこともある。 けど、人の想いが優しく確かに伝わって来る。 全体的に優しさに溢れた作品だと思いました。 とても素敵だった。
1投稿日: 2024.07.11
powered by ブクログ再読。たぶん10何年ぶり。穏やかでちょっぴり悲しいけどあたたかいお話だという印象を受けたけど、やっぱり合ってた。 話題は数学と博士とルートと家政婦と阪神タイガース。阪神タイガースがやたらと美しくきれいに見える話はそうそうない。80分しか記憶が持たない博士だから、「靴のサイズはいくつだ」と記憶が初期化されるのを見ると切なくなる。ラジオから流れる阪神タイガースの実況が余計に虚しさを増長させる。 でも博士と阪神タイガースの試合を見に行ったことや、ルートの誕生日祝いを一緒にしたことは決してムダじゃない。記憶がもたないから何もしないということをこのお話では通用しない。数字の不思議を一生懸命考えてる時のように、穏やかに過ごす時間を大事にしているのだ。今、そのときを大事にしてる。 数学なんてすぐに役に立たないかもしれない。 意味のないものを愛しく大切にする姿は、なんて人間らしいんだろう。
1投稿日: 2024.07.08
powered by ブクログとても良かった。 博士には与えるものよりも、与えられるものが多かったんだと、主人公そしてルートとの関係性からも読み取れた。 劇的な展開はなくとも、日々の積み重ねがこの関係性を築き上げたのだと思い、最後の場面はジーンと来た。 自分の誕生日が28日でそれ以外の思い入れはなかったが、物語に絡んだ美しい数字だと発見があった。誕生日のたびに思い出すと思う。
1投稿日: 2024.07.07
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
完全に自分ごとなんだけど、小説の最後が腑に落ちる終わり方じゃないと自分の中でのその小説の評価や印象が変わるんだなって思った。 博士は本当にチャーミングで実直で素敵な人。 この物語の登場人物同士の関係性って、言葉では100%を表すことはできないような、そんな感じ。 もちろん「愛」には絶対変わりないんだろうけど、それをあえて言葉で明言せずに終わらせるのはすごくいいなと思った。それを言葉で表してしまうと、もうそれはその言葉の関係性以外の何者でもなくなってしまうから。 終わり方については自分の中ではだいぶ唐突で、できればその後のこととか、思い出して耽っているところとかの描写が欲しかった。けど、そもそもこの小説の語り口調が主人公の過去の記憶であって、そこまでの描写はいらないのかなとも考えた。
1投稿日: 2024.07.06
powered by ブクログすごくほっこりする内容! たまにはこういう本もいいなと思った! ただわたし的には途中数学が難しくて、読んでるけど頭に入ってこなかったくて、読み終えるまでに少し時間がかかってしまった笑
5投稿日: 2024.07.05
powered by ブクログ数字に対する意識、ひいてはありふれた情報に対する意識が変わる小説だった。博士は天才数学者で、どんな数字にも意味をもたらし、ワクワクするような解説をしてくれる。博士自身が数学を愛していることがわかり、私も数学に詳しくなったような気になった。数学史上最も美しいと言われるオイラーの公式は、思わず人に話したくなる公式だ。完全数は、素敵な数字で、人類が発見した偉大な功績だ。 数字には役割があり、意思がある。心にゆとりを持ち、何気ない数字を愛せるようになりたい。
2投稿日: 2024.07.02
powered by ブクログ博士のの聡明さや病気の悲しさ、主人公、息子ルート、博士の間にある優しさが淡々とした柔らかな日常に描かれていて素敵な物語。話の終わり方が優しくて好き。
1投稿日: 2024.07.01
powered by ブクログ何度読んでも心があたたかく、切なくなります。 人と人の絆や愛情って素敵だと思わせてくれる大好きな作品です。
25投稿日: 2024.06.30
powered by ブクログ数学の知識は全くなく、公式が出てきてもよくわからない… でも、数字に魅了される人がいる意味がなんとなくわかるような気がする。 悪い事、人が出てこなく穏やかに読めた。
2投稿日: 2024.06.20
powered by ブクログこういうハートウォーミングな作品は定期的に読むべきだな。特に小さな子を持つ親が読むと感情移入が倍増する。した。
1投稿日: 2024.06.16
powered by ブクログ大好きな本。 80分しか記憶が持たない数学者と、家政婦さん、その一人息子ルート君のお話し。 美しく神秘的な数学の世界を共通言語として、ときには誕生日から素数の話になったり、タイガースの防御率の話になったり。 ルートと呼ばれるほど平らな頭を、博士がくしゃくしゃと撫でる。 80分しか記憶が持たない、大変な悲劇だけれど、それでも変わらない博士の優しさに、読み返す度に心がホッとする。
2投稿日: 2024.06.13
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
第一回本屋大賞を受賞したタイミングで母が買ってきたこの本を21年前に読んでいる。 小川洋子さんの「猫を抱いて象と泳ぐ」を昨年読んで、どこかで読んだような文章だと感じていたが「博士の愛した数式」と同じ作家と気付けないまま過ごしていました。 妻が読み終わったこの本が本棚に追加され、横目でなんとなく見ると小川洋子さんの名前が、同じ作者だったのかと気づく。 ただ「猫を抱いて象と泳ぐ」がすごく面白いが、読み応えがありすぎて連続して小川洋子さんの作品を読むのを避けていました。 いくつかの小説を挟み、重い腰を上げてこの本を読み始めたのが昨晩でした。読み始めると美しい文体で語られる物語が続き、すぐに引き込まれてしまい。結局2日間で読み終えてしまいました。 家政婦の女性が主人公で、様々な家庭で家政婦業をしていた。あるとき、ブラックリスト?に載った今まで何人もの家政婦をチェンジしてきた偏屈な男性の家を担当することになる。 どんな男が現れるかと思うと物腰の柔らかい老人だった。しかし、その老人は80分しか記憶が持たないことを雇い主に聞かされる。 そのことが原因で今までの家政婦とはウマが合わず、不名誉な記録を作ってしまったのだろう。 かつて数学者であった博士は、80分毎に主人公へ数字の質問を投げかける。靴のサイズや誕生日などだその数字を聞くと、その数字がいかに特別であるかを教えてくれる。簡単なものでいうと靴のサイズの24は4の階乗であること。 あるいは主人公の誕生日である2月20日=220と博士が学生時代に学長賞をもらった記念の腕時計に刻印された284という数字は友愛数で大変珍しい組み合わせであることなどだ。 主人公に息子がいることを知ると博士は、子供を家に連れて来いとひどくあわてて見せた。博士にとっては子供とは無限に無性の愛情を注ぐ対象であり、何がなくとも守るべき対象なのだ。 こうして、家政婦とその息子、博士の不思議な生活が始まっていったのだった。 数学と野球(阪神タイガースの江夏)、子供を愛する博士の人柄から生まれる繋がりが確かに存在する。 記憶が持たない博士には積み上げていけるものなどないと思ってしまいがちだが、生活の中で確かに紡がれる軌跡があることに気づくことができる。 良い作品である。
2投稿日: 2024.06.12
powered by ブクログ小川先生の表現力。綺麗で心にスっと入ってきます。 友愛数なんて知らなかったけど、ここまで数字にときめくなんて…笑 博士の人間味のある感じも、ルートへの愛情も全てが美しかったです。
10投稿日: 2024.06.09
powered by ブクログ読んでいる途中から、もう、大好きだって人に言ってまわりたくなるような本だった。 私には野球の知識が皆無と言っていいほど無いのが残念だが、一昨年母親になったばかりの私には博士のルートに対する愛情が尊く思えてしかたなかった。 数学は学生時代から好きな方だったが、「数字」の綺麗さをこんなに感じたことはなかったと思う。
35投稿日: 2024.06.06
powered by ブクログ47歳の時の交通事故で脳に障害をうけ 記憶が80分しかもたない64歳の元数学教授の博士 そこへ派遣されたシングルマザーの家政婦と10歳の息子 この3人と博士の義理の姉 主な登場人物はこれだけ 博士と家政婦とその息子の日々の暮らしが描かれています *・゜゚・*:.。..。.:*・*・゜゚・*:.。..。.:*・*・゜゚・*:.。..。.:*・' 性別 年齢関係なく血の繋がりがなくても 家族になれる…家族のような… 性別 年齢 職業関係なく友達になれる友情のような… ひとに寄り添うってこういうことかな… 80分で記憶がリセットされる博士の悲しみや失望もありますが最後まで読んで悲しい気もちではなく温かい気もちが残りました 博士の人柄 家政婦さんやその息子に対する(特に子どもへの)愛情、敬意のようなものを感じ また家政婦さんと息子も博士に対して親しみや敬意のきもちをもって接していて 無償の愛のような何かを感じました あと この物語 登場人物の名前がひとりもついていない…それでも各キャラの姿が目に浮かび生き生きと動き出す… ここもすごいところだと思います 記憶が80分でなくなってしまう博士 毎日が「はじめまして」…いや2時間後にはもう 「はじめまして」になるけど それでも博士、家政婦さん その息子3人の絆が深まってお互いかけがえのない存在になっていくような… あと虎党の私にとって 掛布、真弓の名前が思いがけず見られたのもよかった(笑) 友情、家族愛 家族のかたち 色んなことを温かい気もちで読むことができました
2投稿日: 2024.06.04
powered by ブクログ心温まる優しい話。博士もルートも家政婦も未亡人も、みんな博士の人柄に惹かれてみんな優しくなったよう。そんな生き方がいい。
1投稿日: 2024.06.03
powered by ブクログ伝説の第一回本屋大賞受賞作!ついに読めました! 第一回にふさわしい本当に素敵で心の温まるお話でした。 家政婦さん(私)とルートと博士の物語。博士は80分しか記憶が持たない数学者。そんな博士のもとに家政婦として赴任した私とその息子であるルートの、絆と優しさの詰まったお話です。 博士と私の雇用する側とされる側でしかない細く不完全な結びつきを、数学と野球を通して深め、「完全」にしていく過程がとても面白かったです。 私は数学に苦手意識を持っていましたが、この本に登場する数字たちはそれぞれ魅力があって、読んでいて、数学ってもしかして面白いのかも?となりました!少し切ないですが本当に素敵な物語です。 小川洋子さんの他の作品も読んでみたいなと思いました。
23投稿日: 2024.06.03
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
80分しか記憶が保てない博士と、家政婦の私、息子のルート。3人のどこか切なくて胸を締めつけられるが、どこまでも、あたたかい話だった。 記憶が保てず、積み重なっていくものが無い博士だが、ルートに対して深い愛情を示し、ルートもまた、博士に対して深い信頼と理解を示す。二人の関係が本当に素敵だった。 そして、博士にかかると、数字は個性を持ち、数式は意思を持っているように美しく感じる。 この先、何度も読み返したくなる話だった。 「220の約数の和は284。284の約数の和は220。友愛数だ。滅多に存在しない組み合わせだよ。神の計らいを受けた絆で結ばれあった数字なんだ。美しいと思わないかい?君の誕生日と、ぼくの手首に刻まれた数字が、これほど見事なチェーンでつながり合っているなんて」 「君はルートだよ。どんな数字でも嫌がらず自分の中にかくまってやる、実に寛大な記号、ルートだ」 「毎朝、目が覚めて服を着るたび、博士は自分が罹っている病を、自らが書いたメモによって宣告される。昨日の自分は時間の縁に墜落し、もう二度と取り返せないと知り、打ちひしがれる。毎日毎日、たった一人ベッドの上で、彼がこんな残酷な宣告を受け続けていた事実に、私は一度も思いを馳せたことがなかった」 「彼はルートを素数と同じように扱った。素数がすべての自然数を成り立たせる素になっているように、子供を自分たち大人にとって必要不可欠な原子と考えた。自分が今ここに存在できるのは、子供達のおかげだと信じていた」
81投稿日: 2024.06.03
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
主人公とその息子「ルート」が、記憶保持80分の数学博士と心を通わせる物語。 限られた時間の中でいかに絆を深めるか、重要なことは何か教えられた。 博士の記憶保持時間が短くなり、施設へ入所しても親交は途切れず、ルートの道標となって行く博士は彼にとって大きな存在となる。心温まる物語。 2024/05/26
17投稿日: 2024.05.26
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ほっこり。とてもいい話だった。 数学が好きになりそうになる話 結局博士が義姉を納得させた式は何だったんだろう?
1投稿日: 2024.05.19
powered by ブクログ47歳の時に交通事故にあい脳に障がいを受け記憶が80分しかもたない、64歳の元数学教授と家政婦のシングルマザーとその息子のお話。 血のつがなりなんて関係ない家族愛のお話。 息子のルートが素直でいい子で癒されたなぁ…
20投稿日: 2024.05.19
powered by ブクログ有名な本だったけど読んだことはなかったので読みました。 事故の後遺症で80分しか記憶がもたない博士と、家政婦とその息子との物語。 年齢や性別、そして血の繋がりが無くても関係ない友情のような、家族愛のようなものを感じた。
3投稿日: 2024.05.19
powered by ブクログ有名で、第1回本屋大賞受賞作でもある本作をやっと読めた。 80分で記憶を失う博士が 子供に対してはとても優しい眼差しを向けていて、 子供であるルートも博士を信頼しているところがよい。 あたたかい物語だった。
11投稿日: 2024.05.16
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
「記憶が不自由なのです。」記憶障害。2024年現在、記憶に関するドラマを観ることが多くなった。 例えば、不慮の事故で脳を損傷した主人公は、過去2年間の記憶をすべて失い、新しい記憶も1日限り、寝て起きたら前日の記憶がなくなってしまう記憶障害。毎朝起きて机の上の日記を読み、失った記憶を覚え直すことから1日が始まる、と。アンメットというドラマである。 脳研究が進み、一般のわたしたちも脳の仕組みや記憶のことに触れる機会が増えたように感じる。 この作品はもう20年近くも前の作品。記憶障害の人が主たる登場人物に設定されていることに驚く。 「数式」を愛するとは?と読み始めた。「xx愛」と表現されるが、「数式愛」とはどのようなものか。その感覚が自分に理解できるのだろうか、と思っていると、靴のサイズの「24」が「潔い数字だ。4の階乗だ」電話番号が「1億までの間に存在する素数の個数に等しい」など、偶然、運命、宿命を感じさせる一致が数字を通して2人をつなげていく。10歳の息子が加わり、3人の不思議な日常が始まる。年代を超えた阪神タイガースファンであることのつながりが賑やかで楽しいエピソードが絡まってくる。 誕生日のケーキに立てるロウソクがお店の手違いで用意できずに、息子が1人で取りに行った。時間がかかっていて帰りが遅いことを心配する博士。えっ?!息子が事故で・・・?
0投稿日: 2024.05.15
powered by ブクログ博士と家政婦とその子供と物語。数学と物語がここまでマッチするとは思わなかった。家族愛のようなものを感じた。泣く物語と帯に記載があったが自分は泣けなかった。
1投稿日: 2024.05.15
powered by ブクログ数学と文学のつながりをここまで鮮やかに表現できるものかと驚いた。かつ、人間の定義した概念と人間の思考、真理について考えさせられる話だった。
3投稿日: 2024.05.10
powered by ブクログもう何度も読みましたが、その度に、人に寄り添うとはこういうことなんだと教わります。とても、とても温かい物語です。映画で博士役をなさった寺尾聰さんは、私の学生時代の王子様。そして虎党歴が半世紀を越える私にとって、お守りのような小説です。
20投稿日: 2024.05.08
powered by ブクログ記憶を保てない博士とそこに働きにきた家政婦とその子供の話でした。博士の病気は深刻で記憶がリセットされた時の博士の悲しみなどが描かれていましたが、最後まで読み終えて驚いたのが、悲しい気持ちではなく、博士の家政婦の子供に対する愛情と敬意をとても強く感じ、心が温かくなる作品だった事です。 暗く辛い病気の話なのに、それ以上に博士の愛情や静かな落ち着いた優しさを感じました。
2投稿日: 2024.05.06
powered by ブクログ相手に対する親しみと敬愛の気持ちを示し、相手の不運をともに悲しみ幸運をともに祝う。そんな友情?や絆は同年代でなくとも同性でなくとも体や心の不自由を持っていてもあるんだな、というより自分にない特性を持っている相手との方が強い絆になるのかもしれないなと思った。 そして、子どもの純粋さとかひたむきさとか素直さが持つ力ってすごいなとも思った。
2投稿日: 2024.05.03
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
博士と私とルートの特別でいて友愛な関係性を覗ける、そんな一冊だった。 80分で記憶が戻ってしまう博士に対して、私やルートは哀れみや同情とも違う配慮を見せるが、大人の私よりもルートの方が自然にそして敏感に対応している。博識な博士からはもちろんだが、まだ小さなルートに気づかされることも蔑ろにしてはいけない。
1投稿日: 2024.05.02
powered by ブクログ80分しか記憶が持たないという儚い博士の生涯を描いた物語。 これはある意味、本当の意味での一期一会なのではないかと感じた。 同時に過去や現在に縛られず「今」を生きるということの大切さを知った。
1投稿日: 2024.04.27
powered by ブクログ数学に対する言語化できないような手触り、肌感覚が美しい言葉で表現されている。その繊細な数学の対極にあるような阪神タイガース。にもかかわらずうまくマッチしている不思議な世界。
1投稿日: 2024.04.24
powered by ブクログ80分で記憶がなくなる数学博士との日常が描かれている。 ずっと日常生活の描写が続くのに飽きることなく読める。 登場人物の愛に溢れるキャラクターに惹かれるからかもしれない。 数学博士は小難しく対応が難しそうだが、謙遜し、数学や人に対して愛に溢れる憎めない様子に思わず微笑んでしまう。 それに博士の子どもたちへの無償の愛には感動する。
2投稿日: 2024.04.23
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
そもそも、小説を中学生の朝読書ぶりに読んだけど面白かった。友愛数はハグしてるとか、双子の数のやつをお揃いの服きて手繋いでるとか、病院で博士泣いちゃうとことか、君が料理を作ってるのを見るのが好きなんだ とか……すごすぎる。綺麗な文だなと思ってそこの行だけ何回も読み直すシーンがいっぱいあった。面白かった。 追記 読み直したけど人生ベストの本かも、これ なんか物語が 愛 すぎて涙出てくる。大切に繰り返し読もうと思います
1投稿日: 2024.04.22
powered by ブクログ私が中高生の頃、おすすめ100冊とかによく載っていたので、タイトルは知っていたが今日初めて読んだ。なんて暖かい、心を包まれるような物語だろう。数学って、どちらかというと無機質なんてイメージだが、ここではその美しさが暖かいつながりをうんでいる。 博士の記憶は80分しか持たない。 その80分の中で、数字が博士と家政婦の主人公、息子のルートをつなげてくれる。 ルートと博士の友達としての絆が素晴らしい。 そして、何とも美しい数学の世界。完全数とか考えたことなかったな。高校の頃、担任の数学教師が、黒板に書いた数式を見て、美しいだろ!って言っていたことをふと思い出した。最初、はぁ!?って思っていたが、びっくりするほどスムーズな式で解が出たとき、すごく気持ちよかった感覚は覚えてる。 この物語、面白いのが登場人物の名前は1人も出ていない。博士、とか、ルート、とか、未亡人としか表現されていないが、ひとりひとりの姿がありありと頭に浮かぶのだ。これぞ、文学の力だなぁ。
34投稿日: 2024.04.17
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
物語が進んでも博士の病気が治ることはないし、なにか奇跡が起こるわけでもない。反対に博士の記憶はどんどん短くなるし、タイガースは負けが続くようになる。でも、博士が生きた意味、出逢った意味は確かにあったのだと最後まで読んで1番強く感じる
3投稿日: 2024.04.14
powered by ブクログ出てくる方々が皆、慈愛に溢れている。 「妊娠カレンダー」や「薬指の標本」では 登場人物の、背景の仄暗さや得ないの知れなさが 小川さんの淡々とした筆致が相まって ひんやり冷たい印象でしたが、 本作はとーっても温かい。 本作に出てくる方たちのように 見てくれで判断するのではなく、 相手の心の奥底や、その心を取り囲むものを 優しく労わる接し方を大切にすれば 世界はもっと温かくなるね。
2投稿日: 2024.04.14
powered by ブクログ事故により記憶が80分しか保てない数学博士の世話をすることになった家政婦が主人公。いくらお世話をしても決して記憶に残らない状況下、どのように接すればいいのか。 この難しいテーマに対し、何かを求めることもなく、自然体で過ごしていく中で、主人公と息子(ルート)は様々な気づきを得ていく。阪神タイガースや数学(特に素数)のエピソードを絡めつつ、人と接することはどういうことかを考えるきっかけを与えてくれた作品。
1投稿日: 2024.04.12
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
穏やかな時間を感じられる一冊 あまり、小説は得意ではないけれどタイトルが有名だったので読んでみた 80分の記憶の仕組みがいまいちピンとこないのは、文章の理解力がないからかな 80分過ぎると事故のときに戻るイメージなんだろうか とはいえ、そんな博士との間にできる友情に、こちらまで穏やかな気持ちになれた 数学ネタは軽く読み飛ばし
1投稿日: 2024.04.12
powered by ブクログ起承転結が鮮やかに、それぞれの人や世の中の真理に対する愛に満ち溢れ、愛の美しさを感じられる小説でした。特に博士の子どもに対する愛の形は個人的に印象深い。 質問されることを喜び、ただ単に答えを示すだけでなく、質問した相手に誇りを与えることができ、子供は大人よりもずっと難しい問題で悩んでいると信じていた
1投稿日: 2024.04.06
powered by ブクログ再読。とは言っても、前に読んだのは中学生のときかな。その頃よりも、この本を好きだなぁと感じられた。 なんてせつなくて温かい物語だろう。 また10年後とかに読み直したい。
1投稿日: 2024.04.06
powered by ブクログあらすじからして、感動ものかあ……とちょっと敬遠していたけど、思ったよりも距離感を大事にしながらほろりとくる暖かいお話だった。数学の内容は苦手過ぎて理解に少しかかったけど、博士に教えてもらった内容を日常で探してしまうのはもう愛だよなあと思った。ルートくんと博士の関係も、家政婦さんと博士の関係も、どれも本当に素敵だった。最後の誕生日からラストまではなんかずっと泣きそうになるのを耐えながら読んでしまった。ルートくんの職業、記憶がもたなくなってもきっと嬉しくてたまらないことだったんだろうな。読んで良かった。
1投稿日: 2024.04.02
powered by ブクログ私も元々素数が好きで、自分が生まれた年が素数なのが自慢(人に言っても羨ましがられないと思うけど)。この本を読んで完全数という存在も教えてもらい、自分の子どもの生まれた日が28日なので、なんか褒められた気分になった。ルートは全てを包むとか、虚数は心の中にあるとか、数学に愛が溢れていた。博士が子どもを大切にするところも、とっても好き。途中から、3人の生活がいつまでも続かないんだろうなと予感させられ、野球観戦の後とか、9月11日とかドキドキした。ラストのシーンは自然と涙した
1投稿日: 2024.03.31
powered by ブクログ名作だと聞き続けて、やっと読んだ。 120分で失われる記憶。気の毒と思っても 向き合い続けたら、いつのまにか自分に必要な存在になっていく。 関係性が変わっていく描写がすごく丁寧で名作と言われる所以がわかった気がする。 また時間が経てば読みたくなるだろうな。
1投稿日: 2024.03.30
powered by ブクログ数学や数式を面白いと感じられたのは初めてです。数式を美しいと表現できる感性が素晴らしい。全ては視点次第なんだと思いました。
2投稿日: 2024.03.25
powered by ブクログとても温かく、なのに何故か泣きたくなるような、不思議な気持ちになる物語でした。 80分しか記憶がもたない数学の博士と、博士の元で働く家政婦と、その息子の何気ない日々のお話し。 博士は記憶が80分でなくなり、毎日が「はじめまして」の状態になるにも関わらず、3人の絆は日々深まっていくような、家政婦やその息子だけでなく博士にとっても2人がかけがえのない存在になっていくような、とても素敵で温もりのあるお話しでした。
2投稿日: 2024.03.24
powered by ブクログ面白かった!博士と√と私との短い生活が垣間見れた。数学の面白さと登場人物のやり取りに魅力されていくうちにすぐに読み終わった。
2投稿日: 2024.03.23
powered by ブクログ切ないのに、心が温かくなる。 博士は変わった人だけど、とても優しくて愛ある人。私も博士のように素直な気持ちを忘れずに生きていきたい。
3投稿日: 2024.03.21
powered by ブクログ有名な本だったので手に取ってみたがほのぼのした雰囲気だけで終わった印象。 博士よりも変わった家政婦さんだなぁと思った。
8投稿日: 2024.03.17
powered by ブクログ心がキュッとなるほど悲しいのに、じんわり温かくもあり、ラストには幸せを感じられる素敵なお話。 難しい数学と記憶がもたないという博士という重くなりそうな組み合わせの中に、阪神タイガースという絶妙なスパイス。 タイガースファンとしてもうれしい。
7投稿日: 2024.03.17
powered by ブクログ2024/3/17 中学生の時に初めて読んで、とても心を揺さぶられた記憶。 この本はずっと売りに出さずに持っている。 数学は元々好きだったけど、この本を読んでから少し数字が綺麗に見えて、もっと数学が好きになったのを思い出した。 また読み返してちゃんと感想を書きたい。
3投稿日: 2024.03.17
powered by ブクログ記憶が80分しかもたない数学の博士と家政婦親子との心温まるやりとり。 生涯、愛した数学と女性と共に過ごせて博士の人生は幸せだったのかもしれない。
3投稿日: 2024.03.12
powered by ブクログ記憶が80分しか持たない数学の博士の所に通う、家政婦とその息子の話。 博士は話題のきっかけに数字を使い、数式の美しさをよく二人に説明する。その表現が詩的で、博士の優しさと言うか、暖かさみたいなものを感じさせる。 博士の記憶は持たないけど、三人は仲良くなる。家政婦さんとその息子も博士が大好きで、決して気を遣うだけじゃない、仲の良い友人同士の様なやりとりが素敵。 数学って凛としてるよな、と思った。
3投稿日: 2024.03.12
powered by ブクログ数学の博士があるとき、記憶が80分しか保てなくなる。そのため、忘れないように体中にいろんな付箋紙を貼りまくっている。家政婦さんも毎朝はじめまして。でも博士はその家政婦さんの息子に無償の愛情を注ぐ。江夏豊のプロ野球カードの件や、ラストの大人になった家政婦さんの息子との邂逅など思い出に残る感動作。
3投稿日: 2024.03.12
powered by ブクログだいぶ昔に読んでめちゃくちゃ面白かった記憶が残ってる。なのに内容をなんとなくしか思い出せない。再読したい。
6投稿日: 2024.03.11
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
自分は理系に進んだため、数列やオイラーの定理など聞き馴染みのある用語が物語に深く関わっていて楽しく読むことができた。現在の私が読んでも楽しいのだが、もう少し若く進路に悩む子どもたちにもお勧めできる一冊だ。数学は一般に嫌煙され、一部のレベルの高い人々が楽しむものだというイメージだった。しかし、この本の美しい文学的側面と数学が絡み合う絶妙なストーリーによって数学をより身近に感じることができるようになった。
4投稿日: 2024.03.10
powered by ブクログ数学を苦手と感じていた学生の時に出会いたかった。 数学、数字の考え方が変わる。 そして3人の距離感が絶妙で 心温まりつつももどかしさを感じてしまう。 優しくて切なくて考えさせられる1冊。
49投稿日: 2024.03.07
powered by ブクログ何か欠けている3人が補い合いながら特別な時間が流れている。そんなほっこりするお話しだった。 やっぱり心温まる系がすきだ。
6投稿日: 2024.03.03
powered by ブクログ約5年ぶりの再読だが、全く作品の輝きは衰えず、むしろ前回以上に読後の衝撃があった。 博士のどこまでも純粋な素直さと、それに感化されて同じくひたむきに生きる母子のたくましさがとても素敵です。 2024.03.03
4投稿日: 2024.03.03
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
数学が大好きな老人と家政婦とその息子のお話 80分タイマーが壊れたあたりから不穏な雰囲気が漂ってて怖かったけど、受け入れて思い出を思い出として扱い、関係も切らさなくて良かった 博士の純粋で底知れぬ数学と子供への愛情や徐々に見えてくる人柄素敵すぎる ルートと家政婦さんもそれと同等の愛で接していて心洗われた
3投稿日: 2024.02.28
powered by ブクログ数学が大好きだった中学生ぐらいのときによめてたらなーと思った。聞いたことはあったけどなんか手に取ったことはなかった。もっと早く出会いたかった一冊。
3投稿日: 2024.02.27
powered by ブクログ記憶が残らない博士に堅実に向き合う親子の優しさ、博士のルートに対する敬愛や時折り見せる人間味が絡み合い、他人でも家族のように優しくなれる関係があるんだなぁとほっこりした気持ちになれた。
6投稿日: 2024.02.25
powered by ブクログ個人的には数学が苦手です。が、もし昔この本を読んでから数学に触れていたとしたら、苦手意識も多少無くなったのかなと。はさておき、博士の記憶が80分しか持たなくても、数学と阪神タイガースを通じて積むがれる友情。必読です
3投稿日: 2024.02.24
powered by ブクログ「数学の目的は真実を見出すことのみ」 永遠の真実が目に見えないことを知っている博士が「永遠に愛するN」は本当に永遠に愛されてるんだろうな 「いちばんたいせつなことは、目に見えない」 みんなそれがわかってるんだね
5投稿日: 2024.02.21
