
「ヨン様」とは何か――『冬のソナタ』覚書(新潮アーカイブズ)
四方田犬彦/新潮社
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総合評価
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「冬ソナ」にハマれなかった私への名解答!
数年前から韓国ドラマを見るようになった。 面白いものが多い。 が、日本の韓流ブームのきっかけとなった『冬のソナタ』にはあまり魅力を感じなかった。 自分でも何が気に入らないのだろう、と思っていたが、本書にそのヒントがあった。 私にとって韓国ドラマの魅力とは「韓国的」であることだ。 「恨」の文化、日本人としては違和感のある歴史認識(ここまでくると笑えてきたりする)、 近代化による歪み、家父長的な社会における女性の葛藤 ・・・決して美しいものばかりではないが、とりあえず、韓国人が捉えた「韓国の固有性」が面白い。 特に自国の政治・政治家に対する手厳しい評価などは凄まじいものがある。 別に韓国に限ったことではなく、トルコであれ、ロシアであれ、 「その国らしさ」に泥臭い魅力を感じる。 が、「冬ソナ」にはそうした「固有性」がない。 普遍的なコスモポリタニズムがあり、「韓国」がない。 韓国である必然性がない。 私には何だか物足りない。 ペ・ヨンジュンの出演作品なら『初恋』(1997年KBS)の方がずっと泥臭く、 貧しく、悲しく、それ故に美しかったと思う。 (『初恋』は韓国ドラマ歴代視聴率ナンバーワンである) 韓国で冬ソナは特にヒット作でも代表作でもない。 しかし日本でヒットしたのは冬ソナ。 そもあたりが、日本人の韓国認識を考えさせられる。
3投稿日: 2014.09.02
