Reader Store

総合評価

553件)
3.0
44
101
208
116
41
  • isutabiのアイコン
    isutabi
    "powered by"booklog

    〔戦争〕戦争というものは基本的には政治の失敗の結果発生するもんやと思うけどここでの戦争は行政上のテクニックのひとつとして両町の協力のもと発生している戦争事業。実体の見えない戦争に主人公の北原修路はどうも釈然としないまま。いったいこの戦争はなんなのか? 〔香西瑞希〕町役場の職員で北原とともにとなり町に潜入する。あくまでも行政としての戦争を遂行しようとしている。その感情は? 北原にとっての「運命の女」になるか。 〔日常〕《考えてみれば、日常というものは、そんなものではなかろうか。僕たちは、自覚のないままに、まわりまわって誰かの血の上に安住し、誰かの死の上に地歩を築いているのだ。》p.230 ■簡単な単語集 【北原修路】主人公。舞坂町在住。戦時特別偵察業務従事者に任命された。 【香西瑞希】役所から北原に電話で従軍の意志を確認してきた女性。後に任務として北原と(仮の)夫婦となりとなり町で暮らす。弟がいる。 【佐々木】協力者。 【主任】北原の会社の上司。紛争地で兵士だったという噂がある。飄々とした言動だが生死の境界がないタイプのようでもある。 【筒井】戦争コンサルティング会社社員。営業畑のようだ。 【となり町】舞坂町と戦争状態に入った。 【智希】鳴海の元恋人。いまても半恋人。 【鳴海舞】とあるコンサルティング会社に勤めているがモチベーションを上げにくい状態。智希の元恋人。 【西川】鳴海の上司。チーフ。あるコンサルティング会社の営業社員。 【本田】北原の勤める会社の事務員。 【舞坂町/まいさかちょう】北原が住んでいる町。 【前田善朗】となり町戦争推進室室長補佐。 【室園絹子】となり町戦争推進室室長。 【森見町】舞坂町と戦争をしたとなり町。 【矢加部岩恒】舞坂町長。 【郵便局】舞坂町ととなり町は郵便の集配区域としては同じなので互いに郵便には手を出せない。

    0
    投稿日: 2025.07.03
  • ナツキチフミタロウのアイコン
    ナツキチフミタロウ
    "powered by"booklog

    我々の日常の営みが、回り回って何処かで起きてる戦争に繋がっている、というお話。 終盤で繰り返し述べられていたように、それを自覚してるのかしていないのかは大きな違いであり また、自覚した上でその人がどうする?ってことなのかな? 読んでて、香西さんを始めとする役場の方々の余りにも淡々とした立ち回りのせいか、主人公同様、戦場にいるって実感が、終盤で幾つかの事実が明らかになるまで湧きませんでした。 が、実際の我々も、遠い国で今行われている戦争に対する認識なんて、こんなものかもしれません。 我事になるまではね。

    0
    投稿日: 2025.05.29
  • ちゃーりーのアイコン
    ちゃーりー
    "powered by"booklog

    魅力的な設定ではあるんだけど、もうひとつ世界観に入り込めなかった。 ファンタジーにしては現実味があり過ぎて、でもノンフィクションだと感じてしまうほどの現実味は無くて。 読んでいて『なぜそうなる?』『なぜそう思える?』という沸いてくるハテナが止まらなかった。 それでも、最後まで読めてしまう不思議な本だった。

    0
    投稿日: 2025.05.23
  • lostmanliarのアイコン
    lostmanliar
    "powered by"booklog

    タイトルに惹かれた。 勝手な先入観から、軽い感じの、どちらかと言えばコメディに近い内容なのかと思って読み始めた。 違う。 明らかに違う。 非常に真剣だ。 発泡スチロールの石だと思って持ち上げようとしたら、本物の石で、全然持ち上がらない。みたいな。 しかし、最後まで飽きずに読めた。 読んで良かった。 しかし、いかなる理由でも戦争はやっちゃダメだ。それは揺るがない。

    0
    投稿日: 2025.04.06
  • さつまいものアイコン
    さつまいも
    "powered by"booklog

    学生の時、姉の本棚から勝手に借りて読んだ本。思い出したのでここにメモする。なんとなく、ご飯を食べながら本を読む習慣がある、みたいな描写とか、ヒロインの服装の描写の感じとか好きだった気がする

    0
    投稿日: 2025.03.24
  • タカーシのアイコン
    タカーシ
    "powered by"booklog

    となり町との戦争がはじまる、という冗談みたいな始まりからシリアスに… 戦争に対する実感が全くわかないまま、戦争に巻き込まれ、自分の身の危険や誰かの死を通じて何とかリアリティを感じるという、今も他国て起きている戦争に対する自分の感じ方に似ていて、嫌な親近感を覚えた。 また、血や叫び声なとを描かないことで、すぐ側の痛みを想像させるような書き方が、かえってこの本のテーマの一つの「リアリティがないまま戦争に巻き込まれていく」様を助長していくようで、読み進めていくスピードが上がった。 それだけじゃなく、ほのかな恋物語もあって楽しさも感じられるのだが、これもまさに実際のどこかの戦時にもありそうで… と、色々興味深かったので他の作品も読んでみたくなった。

    1
    投稿日: 2025.03.18
  • 人間のアイコン
    人間
    "powered by"booklog

    正直あんまりよく分かんなかったけど、主人公と同じ状況だと思えばなんかリアルかも。 性描写が必要だったか、ただのエロシーンか考えるのが今年の抱負なんだけど、これはいらなかった気がするなー

    0
    投稿日: 2025.03.12
  • タローハナのアイコン
    タローハナ
    "powered by"booklog

    このレビューはネタバレを含みます。

    何を伝える物語なのか、何のための戦争だったのかがいまいちわからなかったです。 中盤、主任の経歴が物語を面白くしてくれると期待して読み進めましたが、最後までいつの間にか終わっていました。 題材は面白そうなのに、という感じでした。

    0
    投稿日: 2025.01.05
  • 吆のアイコン
    "powered by"booklog

    ニュースの中でしか知らない他国の戦争や紛争 それが隣町と自分の住む町とで行われることになったとしたら……という壮大なもしも話。 舞台を身近に置くことで、直接手を下していなくても自分が戦争に加担していることをより明確にしてくれる……。 作者は村上春樹が多分好き

    2
    投稿日: 2024.10.11
  • yoshi2013のアイコン
    yoshi2013
    "powered by"booklog

    戦争を自治体の施策として運用したら、という大胆な発想。自治体の対応についてはリアルに描かれており参考になりました。例えて言えば「シン・ゴジラ」のよう。 一方で、肝心の戦争の目的が地域振興という言葉で片付けられていたり、それなりに死者が出ているがどのようにして亡くなられているのかがよくわからないまま。後半は恋愛ものへと推移するが、一緒に住み始めるところの面白い展開の割に曖昧な終焉が残念。 文章はとても好印象でした。

    5
    投稿日: 2024.09.11
  • キウイのアイコン
    キウイ
    "powered by"booklog

    事業としての戦争 その設定は面白かった。目の前で人が死ぬ、とかそんなのを見ないまま始まり終わる戦争。 ただ女性の描写がファンタジーすぎて嫌 都合が良すぎる、いい匂いがしてキレイな裸で向こう主体で進む性行為、主人公に都合が良すぎて女性側が主人公に引かれる描写もなく私も納得できなくてモヤモヤした もう少し考えて見た 女性だけでなくて、登場人物の描写が薄い 人柄、考え方の癖とか見えてきにくい どんな人かの描写って難しいんだ

    1
    投稿日: 2024.05.29
  • 1966788番目の読書家のアイコン
    1966788番目の読書家
    "powered by"booklog

    この本は今までの戦争を題材したものとは一線を画している。従来のものは戦争と日常を切り離して描いておりどこか現実味を帯びなかったからだ。しかし、この本は日常の延長線上に戦争があると伝えてくれた。

    0
    投稿日: 2024.03.26
  • lionsaのアイコン
    lionsa
    "powered by"booklog

    人が合法的(?)に殺される「戦争」というイベントが、公共事業として計画的に予算主義で行われる、そんな物語でした。戦争と役人に対する批判アンチテーゼと感じ、面白かったです。 私個人としてはそれ以上でもそれ以外でもなく星2つとしました。

    0
    投稿日: 2024.02.23
  • ふうたのアイコン
    ふうた
    "powered by"booklog

    文章にリアリティがあって、ハラハラドキドキした。 「考えてみれば、日常というものは、そんなものではなかろうか。僕たちは、自覚のないままに、まわりまわって誰かの血の上に安住し、誰かの死の上に地歩を築いているのだ」

    0
    投稿日: 2024.01.20
  • レモンのアイコン
    レモン
    "powered by"booklog

     となり町と自治体の公共事業として戦争する舞坂町に住む主人公。戦況も報じられず、大義名分やそもそもの戦争の是非について論じられることなく、日常の延長線上に戦争が行われている。偵察任務を命じられた主人公ですら、となり町との戦争を実感することなく、いつも通り仕事に行き生活している。個人が実感できない事象は存在していないことと同義である怖さ。自覚がないままに戦争に加担し、間接的に誰かを殺しているかもしれない恐ろしさも感じる。香西さんが1番の犠牲者なのに市職員として感情を押し殺している様が切ない。文庫書き下ろしの別章も良かった。

    1
    投稿日: 2024.01.11
  • なおのアイコン
    なお
    "powered by"booklog

    なぜか勝手に、主人公が子供の冒険もの的な作品と思いこんでいたから、だいぶ違った。設定も構成も面白くはあったけれど、小説というよりはただただ、じわじわと考えさせられる本という感じ。 主人公の「戦争」に対する感覚には、共感する部分が多かった。

    0
    投稿日: 2023.12.29
  • planets13のアイコン
    planets13
    "powered by"booklog

    知らずに手を染めるのも、知って手を染めるのも、後から知らさせるよりはマシ...かなぁ。それにしても、非現実的なのはまだいいけど、読み終えて奇妙な虚しさが残る。

    0
    投稿日: 2023.12.24
  • 猿田彦のアイコン
    猿田彦
    "powered by"booklog

    最初はワクワク、ドキドキで次の展開が気になりながら読み進めていたが、だんだん観念的な話しばっかりで読み終わってみたらなんかあんまり面白くなかった印象しか残っていない。

    0
    投稿日: 2023.10.13
  • もちこのアイコン
    もちこ
    "powered by"booklog

    「戦争」は「日常」の対極にあるのではなく、「日常」の延長戦にあるのだという意識をもつべきだと訴えられた。 「戦争」という言葉を聞くだけで、言い伝えられたイメージに固執していると、私たちは本当に、自分の歩んでいる道がどこへ続いているものなのかを見失ってしまう気がする。

    3
    投稿日: 2023.08.05
  • 太田豊太郎のアイコン
    太田豊太郎
    "powered by"booklog

    このレビューはネタバレを含みます。

    地域振興事業の一環としてとなり町と戦争を始める舞坂町。しかし開戦の9月1日になっても一見何の変化もない。そんな中僕に、戦時特別偵察業務従事者の任命書が届く。 役所の決めた通りに淡々と進められる戦争。戦争があることを前提として受け入れてしまっている住民たち。戦争はとなり町との協力のもと何年も前から計画され、大きく経済を動かす。その裏で目に見えないまま増えていく戦死者数。クリーンセンターことゴミ焼却場で処分されることになった戦死者の遺体。香西さんの弟の遺体を包んでいた防水袋は、その元恋人が「地域振興事業」のために発注したものだった。誰もが無意識のうちに戦争に手を貸している。 平和に生きているようなこの日常の裏側で進行している「戦争」を、文字通り戦争として描いた作品だと思った。料金を滞納してガスと水道を止められ、餓死した家族の話が象徴しているように、お役所仕事をする側にはそうしないと回らない現実があるし、その結果個別の配慮がされずに社会の片隅で犠牲になる人もいる。何気ない日常が、他方で戦争に加担している。便利な生活を求めた結果のコンビニが環境を破壊するように。不要な物を買わないようにしようと謳ったところで、それをみんなが実行すれば経済が破綻するように。そうした構造的な暴力、無意識の加害に目を向けることが主題だと思った。リアルが感じられない世界、この資本主義社会、現代社会を生きる上でどうしようもない、他者の犠牲の上に成り立つ自分の生活。それを、自分の手は汚れていないなどと思ってはいけない。そういうことを、となり町との戦争という形で見事に描き切った作品だと思う。

    1
    投稿日: 2023.03.12
  • えとぴりかのアイコン
    えとぴりか
    "powered by"booklog

    通常、戦争を描いた作品はその戦争の残酷さ、非日常さをまざまざと描くものが多い。 しかし、この作品は違う。主人公は戦争が行われているという実感をはっきりとは得ないまま、偵察業務を行い、そして戦争を終える。同じ戦争に対しても、仕方の無いものだと受け入れる者、憤りを感じながら正義のために参加しようとするもの、単に面白いものと笑うものなど様々な人の視点が見受けられる。そういう様々な人間がいて、巻き込んで、戦争という「2つの町の共同事業」が完遂された。 戦争と日常は違うものではなく、日常の延長線上に戦争があるという文が印象的だった。

    1
    投稿日: 2023.02.22
  • すーのアイコン
    すー
    "powered by"booklog

    このレビューはネタバレを含みます。

    北原にとって戦死者数という数字以外に実感するものの無いとなり町との戦争は、日本に住んでいる私達にとってのロシアとウクライナの戦争のようなものかも知れないと思いました。実際には多くの人々が犠牲になっているにも関わらず、自分が当事者にならないことにはどこか他人事のような捉え方しか出来ない姿は自分の姿にも重なると思いました。

    1
    投稿日: 2023.01.25
  • みさきのアイコン
    みさき
    "powered by"booklog

    となり町との戦争だから実感を伴わないことに違和感を感じるが、では、相手が遠くの国ならどうなのか。当事国でなければ加担していないと言えるのか。そのリアリティをすぐ隣まで引っ張ってきてしまった、そんな本。

    2
    投稿日: 2022.12.30
  • tikuoのアイコン
    tikuo
    "powered by"booklog

    町の広報誌をふと見ると「9/1から、隣の町との戦争が始まります」と書かれていた。9月を過ぎた後も戦争の気配はなかったが、広報誌には「死亡(うち戦死者)」という記載が。そこへ、偵察役への就任に関する通知が届く…。 タイトルから何となくああ言うのかな?と思わせられるのは、筒井康隆や小松左京を読んできたからだと思う。気配がなく、夜間のみに行われ、一般市民には被害が出ないようにするという、夜間工事のような戦争。時々差し込まれる、役所的な書類フォーマットなど、なるほど、面白いことを考えるものだなあと感心した。 一方で、テーマ的にも熱くなる部分がほしいところであるが、それを架空のような掴めない話を掴みに行くようにしたいのか、突然襲い来るパニックのようなものにしたいのかがわからぬまま、どんどん進んでいき、気がついたら終戦を迎える。 役所の書類や決済のバカバカしさ、町興しをパロディにしているというところは評価できる点ではあるし、縦書きの中に差し込まれる横書きのシュール感なども成功しているものの、読者はテーマ的にも、ハラハラする何かが欲しいのではないかと思う。そこを曖昧なままにしてしまったせいで、比較的評価が低くなってしまったことは否めない。 個人的にはまあまあ楽しめたし、そういうネタとして一部は使わせてもらおうかと思ったところがある。そこまでたどり着けない人も少なくないだろうという作品だ。 個人的に、本編は★4か★3か悩むところであったが、最後に別章として、大して面白くないエピソードを付け、無理やり伏線を拾おうとしたのでマイナス。本編で評価が低かったからと、蛇に足を描くような真似はしないほうが良い。 レビューを書くに当たり、映画化とか舞台化というのを目にしたが、この作品で面白いのは公文書のパロディによる温度差なので、そこを取っ払ったら龍に目を欠くといったところである。

    0
    投稿日: 2022.06.02
  • pote.potekoのアイコン
    pote.poteko
    "powered by"booklog

    町の広報誌でとなり町との戦争が始まることを知る。開戦日にとなり町との境を車で通ってみるが普段と変わらない。銃撃音もしなければ何かが破壊された様子もない。職場でも誰も話題にしていない。結局まだ始まっていないのかもなと思っていると、広報誌のすみには「死亡23人(うち戦死者12人)」の文字が。 なぜ戦争をしているのか? どこで戦争が行われているのか? 本当に戦争をしているのか? 主人公が抱く疑問を同じように考えているうちに物語に引き込まれる。 この話にはわかりやすい悲しみや怒りというのはほとんど出てこない。読み心地を例えるならば、水面下で何かがうごめいているような感覚だけがずっとある、という感じ。 とはいえ、抽象的な世界に読者が放り出されるようなことはなく、文章はとても読みやすい。 戦争というものが中々見えてこないのに、主人公目線の世界はあくまで具体的に描かれているという構成が、文学ならではの表現で素晴らしいと感じた。

    0
    投稿日: 2022.04.03
  • じゅうのアイコン
    じゅう
    "powered by"booklog

    「三崎 亜記」の『となり町戦争』を読みました。 第17回小説すばる新人賞受賞作ですし、映画化もされているので、ご存知の方も多い作品だと思います。 隣の町と戦争をするという奇抜な設定の中で、フツーのサラリーマンである主人公が、戦時中という実感のないまま、流れに任せて戦争に巻き込まれて行く姿が淡々と描かれており、なかなか興味深く読めました。 -----story------------- ある日届いた「となり町」との戦争の知らせ。 僕は町役場から敵地偵察を任ぜられた。 だが音も光も気配も感じられず、戦時下の実感を持てないまま。 それでも戦争は着実に進んでいた―。 ----------------------- 実感のない戦争に巻き込まれ、次第に戦争がリアルに忍び寄る不気味さが恐ろしいですねぇ。 静かに、でも確実に戦争が身近に迫ってくる展開は、、、 いきなりガツーンとくるよりも効果的ですね。 でも、本当にリアルな戦争を感じる前に終戦。 戦時中の行動を振り返ると、直接的に戦闘には関わっていないものの、間接的に戦争に加担し、そのために多くの人が命を失ったことに、あとから気付くという展開。 自分は無関係だ!と思っている事象について、無意識のうちに何らかの影響を与えているってことは多々あると思います。 改めて、そのことに気付かされる物語でした。 文庫化の際、追加された別章での「西川」チーフの言葉、、、 『あなたは、わからないふりをして、現実を見ないようにしているだけではないですか?めぐり巡って、あなたは誰かの死に手を貸しているかもしれませんよ。要は、それを自覚しているか、していないかの差だけです』 この台詞が、本作品の全てを物語っているような気がしましたね。 そうそう、なんだか「筒井康隆」作品の匂いを感じる作品でした。 機会があれば映画も観てみたいですね。

    0
    投稿日: 2022.04.01
  • 夕芽のアイコン
    夕芽
    "powered by"booklog

    このレビューはネタバレを含みます。

    今までに体験したことのない読後感だった。 服のボタンを掛け違えたような、何かおかしな感じ。 『となり町戦争』 三崎亜紀 (集英社文庫) 舞坂町に住む「僕」は、ある日、町の広報誌「広報まいさか」で、となり町との戦争が始まることを知る。 しかし、開戦日が過ぎても町の様子はいつもと変わらず、人々は普段通りに生活していて、とても戦争中とは思えなかった。 ただ、戦死者だけが静かに増え続けていることを「広報まいさか」で知るのみである。 そんなある日、「僕」に町役場から「偵察業務任命書」が届く。 偵察業務の遂行のため、「僕」と役場の戦争推進室の「香西さん」は、業務上の結婚をし、スパイとしてとなり町へ潜入する。 あくまで地域活性化のための行政の事業の一環として、戦争が非常に事務的に行われているのだ。 あまりにも静かで目に見えない戦争に対して、 「戦争とは互いに敵対し、殺しあうことではないのか?」 と「僕」は思う。 「ぼくには、この町がやっている戦争ってものがまったく見えてこないし、いったい何のために戦っているのかも見当がつかない」 主人公のこのセリフは、そのまま読者の思いとなって物語は進んでいく。 しかし、結局最後まで核心部分が描かれることはなく、具体的な戦闘シーンもないまま、目に見えない戦争は終わる。 “戦争=悪”ということを、子供の頃から叩き込まれている、戦争を知らない私たち。 その良識に立ったうえで、「銃声が一発も聞こえず、血が一滴も流れない」戦争を作者は描いた。 これは、作者が「自分が戦争を描けないことを逆手にとった物語」なのだそうだ。 この発想はすごいな。 お役所仕事の何たるかを徹底的に描き切っているのもすごい。 しかしながら、蒔いた種を刈り取っていないようなところも多々あって、不完全燃焼な感じもする。 公社の査察の時、「闘争心育成樹」のみが持ち去られ、またもとに戻されていたのはなぜなんだろう。 そもそもなぜ「僕」のところに任命書が届いたのか? 文庫版だけの書き下ろしサイドストーリーが、最後に収録されている。 「香西さんの戦死した弟の元彼女」の視点で、本編と連動して、もう一つの「となり町戦争」が描かれる。 (彼女が“元”なのは、たぶん話を感情的にややこしくしないためではないだろうか。) 「僕」以外にも、この戦争に疑問を持っている人間がいることにホッとする。 これはなかなかよかった。 もっといろんな立場の人間の視点で書かれたのも読んでみたい。 それほどつかみどころがなく、何だかよく分からない物語なのだ。 「ほんの少しだけずれているのに何がずれているのかわからない」 と主人公が言うシーンがある。 そんな“ずれ”や“わからなさ”が潜む日常。 だからこその不安とか、気持ち悪さのようなもの。 それが、この物語の意図するところなんじゃないだろうか。 戦争と平和が同じカテゴリーに属していて、主任の言うように、殺すのも殺さないのも結局は同じこと、だというのは、常識に囚われている頭には考えさせられるものがあった。 しかしながら、このとなり町戦争による戦死者は250 名にものぼっていて、そのあたりがどうもすっきりしない読後感の原因の一つになっているのは間違いない。 無感情にさらりと描かれた戦争の不気味さが、いつまでも心に残った。

    0
    投稿日: 2022.03.18
  • 咲原かなみのアイコン
    咲原かなみ
    "powered by"booklog

    見えないのに、何でこんなに怖いんだろう。 見えないから怖いのか。戦争だから怖いのか。 近くであるのは分かってる。でも、現実としてはいまいちよく分からない。その感覚が、実は一番怖いのかもしれないと思った。

    0
    投稿日: 2022.03.10
  • 1675436番目の訪問者ですのアイコン
    1675436番目の訪問者です
    "powered by"booklog

    いわゆる公共事業として、役所がとなり町との戦争を淡々と遂行する世界。いまいち実感が持てないまま、見えない戦争は着実に進んでいる。そこに主人公始め、人々は巻き込まれていく・・・。という話。非常に読みやすくズンズン読み進められます。 戦争というショッキングなものと、となり町という身近なものを組み合わせたタイトルの妙。 戦争という大きな動きに実感が持てないまま進んでいく様は、現代の日本の社会問題と私たちの関わり方を表している素晴らしいストーリー、、、と三分の二までは思えるのですが、、、 最後の方の結の部分で、言い方は悪いですがズッこける思いでした。 淡々と、しかし確実に話が広がる中、どんどん残りページ数が少なくなっていくにつれ『これはどんなふうに着地させるのか・・?』『いや着地出来るのか・・・?』とドキドキした時間は非常に楽しいものでした。 それだけに最後は『いや!!!これが戦争なんだねじゃねーよ!!!』という鳩尾がググッとなる一種の笑いみたいな感情になってしまいました。 ちなみに私は映画版を見た事はありませんが、そちらを見ているとまた感想は違うのかなとも。

    0
    投稿日: 2022.01.24
  • halcyonのアイコン
    halcyon
    "powered by"booklog

    確かにとなり町と「戦争」をしているのだけど、その「戦争」の姿がはっきりとしない。 いつの間にか始まり けど実感はなく いつの間にか終わってる なんなら主人公の空想だったのではないかとさえ思えるほどの抽象的な世界です。

    1
    投稿日: 2021.12.09
  • 永杜のアイコン
    永杜
    "powered by"booklog

    ある日、突然となり町と戦争が始まった。 街の会報で知ったというのに、日常が続きます。 会社の上司は、別の国で戦争体験者、という事で 度々主人公と会話しています。 スパイ活動をするように、と任命され 偽装結婚する事になり…。 終着地点はどこだろう、と読み進めていましたが 戦争の掃除というか、後片付けというか。 そこだけが感じられ、主人公の知らない場所で 顔見知りがさようならしてみた、という感じで終了。 主人公と一緒に、わけがわからない状態で 戦争をしていたんだな、という気持ちだけ かかえた状態で終了してしまいました。

    0
    投稿日: 2021.11.08
  • こめ※まーくのアイコン
    こめ※まーく
    "powered by"booklog

    浅井りょうさんが雑誌で紹介していたことがきっかけでこの本を読んでみた。 隣町と戦争をしている話。戦争を地域事業の一環として役所が条例に乗っ取って手続きを進めている。 主人公は偵察の役として町から任命されたが、実際に戦争をしている様子を見ることはなく、最後まで戦争していることを実感することがなかった。 しかし、戦死者は確かにいて、主人公を助けるために亡くなった人もいたので、実感することはないが戦争の痛みは感じていた。 見えないものは存在しない。 そんな訳がないのに、実感できないものを見ることの難しさについて考えさせられた。

    0
    投稿日: 2021.10.31
  • トモミのアイコン
    トモミ
    "powered by"booklog

    香西さんと主人公のやりとりにだけあるリアリティと、起きている戦争のリアリティの無さの差が見事だった。

    0
    投稿日: 2021.09.22
  • ぽんすこのアイコン
    ぽんすこ
    "powered by"booklog

    戦争は日常の延長にあるもので決して対極に位置するのではない、というメッセージが強く表れていてあまり実感はできなかったが印象に残った。「闘争心育成樹」という名前の頼りない針葉樹も印象的だった。

    1
    投稿日: 2021.04.05
  • gaacoのアイコン
    gaaco
    "powered by"booklog

    地域振興のため、日本各地で隣町同士が戦争をする。 コンサル会社が双方につき、両町で何年も前から協議して開戦と終戦までも話し合われている――。 こんな突拍子もない設定だが、私は奇妙なことに受け入れられた。 この書き手のデビュー作だそうだが、作品世界の破たんもないし、整理されていて、とても読みやすった。 戦争が始まっても、日常生活に何の変化もないことに戸惑い、良心の呵責に近い苛立ちを抱える主人公、「僕」。 確かに、太平洋戦争の写真のような、焼け野原やきのこ雲がそこに現出するわけではない。 何となく、この感じがわかる気がする。 本作が世に出たのは2003年だそうだ。 とすれば、同時多発テロからイラク戦争へという、あの時期だ。 航空機が世界貿易センタービルに突っ込んだのを、ほぼリアルタイムで見ていた。 あの時、私は暢気に月9ドラマを見ていた。 突然画面が変わり、あの場面が流れた。 最初はパニックムービーの一場面かとさえ思った。 飛行機にも、ビルにも大勢の人がいて、あの瞬間、命が失われたと理解できるまで、少し時間がかかった。 こういう、過酷な現実から隔てられた感覚と、そのことへの後ろめたさを、この作品は描こうとしているのだろうか、というのは読みこみすぎだろうか? ただ、主人公はちょっといただけない。 彼は、となり町を偵察する任務に任命され、市役所職員の女性、香西さんと夫婦を偽装してとなり町のアパートに潜入する。 彼は敵の「査察」から佐々木さんの自己犠牲により逃れ、戦争のリアルを感じ取る経験をする。 けれど、戦争の痛みは、終戦により夫婦の偽装を解かれ香西さんを失う痛みに回収されてしまう。 えっ? あなたの痛みは、そこに収斂してしまうの? 怖いのは、外国での戦争経験から、人を殺すことに何のためらいも持たない心性を身につけた主任や、戦争の円滑な遂行を追求する行政の論理の方だった。

    1
    投稿日: 2021.03.14
  • mmitomi666のアイコン
    mmitomi666
    "powered by"booklog

    今度は小説すばる新人賞受賞作品。こういう肩書きに弱いらしい。 舞台は舞坂という架空の町。年号も架空。とはいえほぼ現代日本と考えて良い舞台。 ある日、突然「となり町との戦争が開始されました」という報せが町役場から出される。 しかし、舞坂からとなり町へ通勤している主人公には全く“戦争”の気配は感じられない。 自分の町という、最もローカルな集合体が行っているにも関わらず、どこか遠くの出来事のようだった。 そんな中、主人公に「偵察業務を任命する」と、町役場からの通達が来た。 彼は実感の無いまま「となり町との戦争」に参加する事になる。。。 という物語の入り。 この後バリバリの戦争モノになるかというと、そうはならない。 主人公は偵察業務という、ある意味戦争の最前線に居ながら、 リアルな戦争と言うものを感じる事が出来ない。 なぜなら周囲は至って平和で、日常になんら支障をきたしていないのである。 「本当に戦争が行われているのだろうか?」 「そもそも、なぜとなり町と戦争するのだろうか?」 「他の人はどう感じているのだろうか?」 という、当然の疑問が沸いて出る。 主人公はそんな疑問を持ちながら、なぜか形式上の結婚をする事になった町役場の香西さんと共に過ごしていく。 香西さんは 「となり町との戦争は町の発展の為の事業・政策であり、殺しあうことが目的ではない。」 という“お上の事情”しか説明してくれない。 しかし時折り見せる内面の葛藤を、主人公は徐々に感じ取るようになる。 香西さんは最初「固い女性事務員」のようなイメージだったのだが、 物語の終盤、非常に魅力的な女性になっていた。簡単に言うと香西さん萌え〜である。 主人公と香西さんの関係も、物語の読みどころの一つかもしれない。 そして最終的に戦争は終わる訳なのだが、 結局主人公は「リアルな戦争」をほとんど体感していない。 途中で死体を遺棄する場面や、ついさっき話した人物が殺されたりする場面もあるのだが、 主人公は直接見ていない。(描写も直接的には書かれていない。) それでも公共事業として、町の発展の為に町興しレベルで戦争が行われている。 これは架空の話とはいえ、何か恐ろしい感じもする。 現に、「戦争」でなくても、我々の無関心のままに市町村レベルで得体の知れない公共事業が行われている可能性もあるのだ。 そういう意味ではリアリティのある内容であろう。 著者の狙いは「直接関わっていなくても、あなたはどこかで間接的に戦争に参加し、人を殺めているかもしれない」 と問題提起することだろう。 それは文庫本にのみ掲載された「別章」を読んでもわかる。 その点については確かに考えさせられる。 物語としては全体に緩やかな空気が感じられ、戦争というよりかは香西さんとの心の交流の方がメイン。 主人公の上司の過去や連続通り魔殺人の件はあんまりいらないかな、と感じた。 文体が拙いとか色々ネットで批判されてたりするが、新人なんだし着眼点は見事の一言でしょう。3点。

    0
    投稿日: 2021.03.14
  • はるちちのアイコン
    はるちち
    "powered by"booklog

    話の本質に触れられるようで、触れられないような透明な薄い膜に覆われたような筆致。 わからないふりをして、現実を見ないようにしている? そうかもしれない。今この時起きている戦争は、テレビを流しながらのんびり本を読んでいる私には他人事で無い事に等しい。 戦争だけじゃない、虐待・貧困・難病など本人ではどうしようもない現実の中でもがき苦しんでいる人はいるはずなのに。 それを知らなかった事にして生きていきたくないと物語の登場人物は言うが、自分にできる事は、なんなのか?自分の手で守れるものは何なのか?考え始めると、自分がちっぽけで無力な存在に感じてくる。せいぜい自分の手の届く範囲にいる家族と生活を守るくらい、か。 でも人の命を土台に発展してきた人類の歴史があったのだとしても、命ほど尊いものはない。 それが分かる今、戦争という人の血が流れる形で人類の発展などしてはならない。

    4
    投稿日: 2021.02.21
  • Yuricoのアイコン
    Yurico
    "powered by"booklog

    ある日、突然にとなり町との戦争がはじまった。だが、銃声も聞こえず、目に見える流血もなく、人々は平穏な日常を送っていた。それでも、町の広報紙に発表される戦死者数は静かに増え続ける。そんな戦争に現実感を抱けずにいた「僕」に、町役場から一通の任命書が届いた…。見えない戦争を描き、第17回小説すばる新人賞を受賞した傑作。

    0
    投稿日: 2021.01.30
  • ヒナソウのアイコン
    ヒナソウ
    "powered by"booklog

    見えない戦争、感じることのできない戦争、新聞やニュースで伝えられるだけの戦争。数字だけの戦死者。映画やドラマで見るリアルっぽい戦争に流す涙。第二次世界大戦後の平和な日本では、戦争ってそんなものかもしれない。でも今日もどこかで繰り広げられてる戦乱、もしかしたら自分も遠い因果で関わっているかもしれない戦争。戦争反対って何か、戦争の悪を自分は本当に理解しているのか。戦争に対する概念を根底から揺さぶられる物語。

    0
    投稿日: 2020.09.12
  • kazekaoru21のアイコン
    kazekaoru21
    "powered by"booklog

    となり町で目に見えない戦争がはじまる。 一企業の社員、北原はこの戦争にあたり、「偵察業務」を任命される。敵地への潜入のため便宜上の結婚をすることとなる。随分前に読んだ。私的には、今一つだった。いまだ図書館で見かけるし、息子の本棚にもあった。

    3
    投稿日: 2020.06.13
  • ゆかたこのアイコン
    ゆかたこ
    "powered by"booklog

    となり町との戦争が始まった。 それなのに日常はまったく変わらず、その戦争をリアルに感じ取れない主人公。 だけど戦死者の数は日に日に増えていく…。 戦争と言われて想像するものはとっても悲惨な光景だけれど、 この本ではそれを感じることなく ただ淡々と行政政策の一環として戦争がすすめられていることが、 物語として斬新だなと思いました。 ただ、途中から話の筋が曲がったような? 題名的に、色々と考えさせられる内容かなと思ったけど、意外にしっくりこない終わり方でした。

    0
    投稿日: 2020.05.13
  • かずさんのアイコン
    かずさん
    "powered by"booklog

    町の公共事業の一環として、となり町との戦争が開始した。 しかし町には銃声が鳴り響くこともなく、死人が倒れているわけでもない。 ただただ平穏な暮らしが続く中で町内会の掲示板だけが戦死者の増加を告げる。 ホントに戦争が起きているのか―? そんなことを考えていた主人公の元に町役場から“任務”が告げられる。 目には見えない戦争。 しかし、確実に忍び寄るとなり町の脅威。 手に汗握るストーリーに衝撃のラスト…。 個人的には1番怖いのは主人公の上司。

    0
    投稿日: 2020.03.17
  • せにやんのアイコン
    せにやん
    "powered by"booklog

    飛ばし読みしてしまう内容「個人的に」だけど 三崎さんの本は1行1行ちゃんと読んでいる不思議。 何かわからない正体のものを ずっと追っているからなんだと思うけど。 短いストーリーだからか、 たまに設定や台詞とかに 無理があると思った。

    1
    投稿日: 2020.03.09
  • あと ふつかのアイコン
    あと ふつか
    "powered by"booklog

    日本は戦争を放棄していながら、軍需産業を通して戦争に関与していることを想起する内容だが、ドラマチックな変化を起こす強権が排除された法治国家を舞台に小説を書く手法のひとつとして、秩序を立ててドラマチックな変化がもたらされること(秩序だっている以上、急激な変化ではない。)を描いているのか。 ただひたすらに静謐な作風が現代的であり、心地よい。

    0
    投稿日: 2020.02.11
  • ありんこゆういちのアイコン
    ありんこゆういち
    "powered by"booklog

    あらすじ ある日、突然にとなり町との戦争がはじまった。だが、銃声も聞こえず、目に見える流血もなく、人々は平穏な日常を送っていた。それでも、町の広報紙に発表される戦死者数は静かに増え続ける。そんな戦争に現実感を抱けずにいた「僕」に、町役場から一通の任命書が届いた…。見えない戦争を描き、第17回小説すばる新人賞を受賞した傑作。文庫版だけの特別書き下ろしサイドストーリーを収録。

    1
    投稿日: 2019.11.05
  • kenta5089のアイコン
    kenta5089
    "powered by"booklog

    個人的にあまり記憶に残らなかった作品。 評価見ても分かれている模様。 本棚の奥に眠ってしまった。すまん。

    0
    投稿日: 2019.10.02
  • zuumiiのアイコン
    zuumii
    "powered by"booklog

    タイトルのインパクトはすごい!しかし実態が掴みづらい戦争がすぐ近くで起こっているという状況。スリルよりも不安感が強い。読後感も考えさせられる。 要所要所で出てくる、書面の作りもどこか現実離れしている設定をリアルに感じさせるエッセンスになっていて面白い。

    0
    投稿日: 2019.10.02
  • アメノのアイコン
    アメノ
    "powered by"booklog

    中学生の頃に読んで、偶におぼろげながら思い出します。 読んだ時は面白いという感想は持てなかったけど、10年たっても記憶の隅に引っかかって、目に見えない社会的な出来事とか、誰かのこととか、ニュースを読んでいると思いだす。

    0
    投稿日: 2019.08.26
  • robin1101のアイコン
    robin1101
    "powered by"booklog

    設定に興味があったので、購入。 周りでは壮絶な状況なのに淡々とした文章で物語は進行している。不思議な世界だなと読んではいましたが、よくよく考えてみると、現実でも似ているなと思うところがありました。 現実でのニュースでは、「◯人が死亡」や「◯人がケガ」などと報じられているが、実際に目撃したわけではないのにその情報を信じて、「あー可哀想」とか「お気の毒に」などと思ってしまいます。何故信じてしまうのかというと、その報道やテレビ局などに信用性があるから。これを聞いたことのない所が報道しても信じられるかどうかはわかりません。 日常に戦争という非日常な世界が加わっていますが、事務業務ばかりという何とも言えない世界観に引き込まれましたが、そんなに盛り上がりがなく、疑問を持ちながらも読後しましたので、モヤモヤ感は当時あったように記憶しています。 一言では語れない様々な思いがこの本には詰まっていました。淡々としている分、不気味さもありますし、不条理さがあったり、違和感が生まれたりと良い意味でモヤモヤ感を醸し出してくれます。 そういう意味では、結構昔に読みましたが、後を引く面白さがあるなと思いました。

    0
    投稿日: 2019.08.04
  • bukurogoodのアイコン
    bukurogood
    "powered by"booklog

    このレビューはネタバレを含みます。

    自分が実感のないまま戦争に加担し、知らぬ間に戦争が終わる。この蚊帳の外感が現実のメタファーの様だった。

    0
    投稿日: 2019.07.31
  • Ryoheiのアイコン
    Ryohei
    "powered by"booklog

    このレビューはネタバレを含みます。

    「戦争」という人の死をも合理化するイベントが行政事業として、当たり前のように、淡々と進められていくことに、「偵察」という形で関与しながらもリアルを感じられずにもがく「僕」。戦争という名を借りているものの、不合理であっても目的のために強引に進めている行政と、それを無批判に受け容れている現代社会を強く映し出している。 文庫版の「別章」は蛇足に思えるが、上手く内容を咀嚼できない読者を代弁した話であり、P259の「関わっていようがいまいが、誰かを間接的に殺している」、P272の「「現実」に生きているつもりで、全く見ていなかった」という表現が印象的。 心情描写のレトリックも巧みで、P114のチーズの味気なさ、P166のブラックコーヒーの苦さは、戦争を実感できていない「僕」の心情を表す表現として非常に面白い。

    0
    投稿日: 2019.07.10
  • ぽっぽのアイコン
    ぽっぽ
    "powered by"booklog

    このレビューはネタバレを含みます。

    となり町との戦争がはじまる。 ***** ある日、突然となり町との戦争が始まった。 戦争がすぐ側で起きていることに現実味を感じることができぬ中、広報紙に発表される戦死者の数は確実に増えていく。 戦争は確かに今起こっていることなのだ-。 そんな中、”僕”のもとに”戦時特別偵察業務従事者”の任命書が役場から届いた。 ***** 何の前触れもなく、地域の広報紙にぽつんと掲載される戦争の告知。 やがて、戦争開戦の日を迎えても、町が崩壊している様子もないし、人々はいつも通りに生活している気がする。 本当に戦争なんてやっているの??と疑問を抱く主人公。 数日後、広報紙には戦死者の数が掲載されており、”戦争”の気配を僅かに感じることになる。 見えない戦争、そのテーマはとても興味深く、楽しみにしておりました。 間接的に、時に直接的に、現実ではないかのような戦争に関わる登場人物たち。 そんな小説を読んだ私はさらにさらに間接的に関わっているような気がして…感覚が鈍く、薄い。 登場人物たちがリアルに感じることのできない状況はさらにリアルに感じることができなくなった。 何か、距離を感じてしまったぞ?? リアルではない戦争を描くにあたり、物語の輪郭までもぼやけてしまっているような気がする。 文章の雰囲気、描き方はとても丁寧で、いいと思うのだけれど、”戦争のリアル”が迫ってこないの。 それが逆に怖いことなのかもしれない。 淡々とした香西さん(役場の女性)、そして、彼女の弟のキャラクターなんて、けっこう好きなんだけれどなぁ。 面白くない!ことはないのですが、何だか壁を感じつつ、読了。

    1
    投稿日: 2019.06.10
  • Στέφανοςのアイコン
    Στέφανος
    "powered by"booklog

    小説すばる新人賞 となり町との戦争がはじまる◆偵察業務◆分室での業務◆査察◆戦争の終わり◆終章◆別章

    0
    投稿日: 2019.05.04
  • sinsinsinのアイコン
    sinsinsin
    "powered by"booklog

    戦争は、日常と切り離された対局にあるのではなく、日常の延長上にあるのだ。 この言葉の為の作品だったのだろう。 別章がなければまた違った作品になったのだろうが、追記された為に完成度は高くなった。 色々と考えさせられる作品だ。 ある日、突然にとなり町との戦争がはじまった。だが、銃声も聞こえず、目に見える流血もなく、人々は平穏な日常を送っていた。それでも、町の広報紙に発表される戦死者数は静かに増え続ける。そんな戦争に現実感を抱けずにいた「僕」に、町役場から一通の任命書が届いた…。見えない戦争を描き、第17回小説すばる新人賞を受賞した傑作。文庫版だけの特別書き下ろしサイドストーリーも収録。

    1
    投稿日: 2019.04.30
  • kakaneのアイコン
    kakane
    "powered by"booklog

    戦争と誰もがもつ日常の関係を主題に考えさせられる小説。 肌感覚を伴わないとなり町との戦争だが、だかららこそ見えない感じられない恐怖に無関心で無責任に日々暮らすことを問題視している。ザワザワと心が騒めく印象深い読書だった。

    9
    投稿日: 2019.03.24
  • ゆうじボーイのアイコン
    ゆうじボーイ
    "powered by"booklog

    現代日本でもし国内戦争があったらというif小説なのかな? 戦争があるのかないのか、誰がいつどうやって殺されてるのか明記しておらず、読者にすべて解釈を委ねるという感じの本なので、読む人によって好みが別れると思う。ちなみにぼくにはつまらなかった。 公務文書が多数登場するので、公務ファンの人は気に入ると思うよ

    0
    投稿日: 2018.11.16
  • ぱのこめのアイコン
    ぱのこめ
    "powered by"booklog

    町同士の戦争が「公共の事業」として行われる世界で、主人公が偵察任務に従事する話。開戦したにも関わらず日常は相変わらず平凡なままで、でも自分の知らないところで増えていく戦死者の数というギャップに対して、主人公が戦争の意義を問うたり、戦争を「自分ごと化」していくのがメインのストーリー。 同じ作者の『失われた町』が個人的には結構面白かったので読んでみましたが、今作はそこまで面白くはなかったです。エンターテイメント性や面白さよりは、筆者の強い問題意識みたいなものを感じる作品でした。

    0
    投稿日: 2018.10.22
  • nekotunaのアイコン
    nekotuna
    "powered by"booklog

    当たり前の日常の中に潜む非日常を描いた作品。 組織の論理の中で物事は矮小化し業務化していくのだなあ。 これと同じような事は(どの事象、レベルであれ)起きているような気がする。 ネットでのレビューを見ると、とある事(表現をぼかします)に否定的意見が多いけれど、 あれは感じることができない非現実な戦争に飲み込まれていく主人公と香西さんのあがらいではなかったのかなと思うけど...深読みしすぎかな? 香西さんが業務の一環として行っていただけとは思いたくないな(笑) 昔読んだ小林恭二の「電話男」とか中井英夫の「電線世界」や大場惑の「メイズィング・ゲーム」を思い出した。

    0
    投稿日: 2018.10.14
  • ikezawaのアイコン
    ikezawa
    "powered by"booklog

    突然始まった「目に見えない戦争」に巻き込まれる主人公 役所からは事務的に淡々と 偵察業務の辞令が来たり 広報紙で戦死者数が知らされる。 数字で伝わってきても実感がわかない、体感できない戦争 戦争は公共事業で、殺人が戦争行為の場合は、犯罪にならないなど、事象をルール化したり、請負業者がいたりと三崎ワールドが展開される。 戦争によって感情を殺してしまった人、日常と戦争の区別がつかなくなった人などが出てきて、これまた自分だったら、と考えさせられる。 「となり町戦争」とは ニュースで見る事件事故の様なものを指していると思う。実感のわかない。 自分に置き換えても日々に忙殺されてテレビで見ても忘れていく事件、事故 のことを考えてしまう。 この本の事も忘れてしまうだろうか… 戦争を感じて「痛み」を得る主人公の描写に 伊藤計劃さんの「虐殺器官」を思い起こした。

    1
    投稿日: 2018.08.07
  • 橘のアイコン
    "powered by"booklog

    読み友さんが三崎さんを読まれていて、久しぶりに再読しました。 ぼんやりとした筋しか覚えていませんでしたが、こんなに静かなお話だったのだと思いました。今回も引き込まれて読みました。 主人公にとって、見えないまま始まり、見えないまま終わった、舞坂町と森見町の戦争。地域振興の為に協力して戦争を遂行する…勝ち負けではなく、事業として。 なんとなく、テレビの向こうで起きている戦争と同じように感じました。 でも、別章の香西さんの弟のような視点は持っていなきゃいけないなと思いました。「戦争と日常とを切り離して考えてしまうのは、とても危険なことだと僕は思う。今の自分のこの一歩が、果たしてどちらに向かっているのかを自覚しないまま生きることになるからね」。なかなか今の生活では難しいと思いますが、忘れないでいたい。 これからも、何度でも読みます。

    1
    投稿日: 2018.06.17
  • 2006takahiroのアイコン
    2006takahiro
    "powered by"booklog

    ある日、突然にとなり町との戦争がはじまった。だが、銃声も聞こえず、目に見える流血もなく、人々は平穏な日常を送っていた。それでも、町の広報紙に発表される戦死者数は静かに増え続ける。そんな戦争に現実感を抱けずにいた「僕」に、町役場から一通の任命書が届いた…。

    0
    投稿日: 2018.06.12
  • mokamocaのアイコン
    mokamoca
    "powered by"booklog

    突然始まったとなり町との戦争。 それは町の広報紙で告知されており、見た目には変わったことなく、それでも次の広報紙では戦死者数が増えていくという静かである意味不気味なものだった。 そんな形で描かれている中には強いメッセージを感じた。 日々どこかで起こっている災害や事故や事件。それらは実際に体験していない人には現実味がなく、すぐに忘れ去られてしまうもの。 あなたもそうでしょ?と言われているようだった。 2018.4.17

    0
    投稿日: 2018.04.18
  • てん。のアイコン
    てん。
    "powered by"booklog

    ドンパチと派手な戦争ではなく 静かに粛々と始まり 目に見えない 人間の内なるものの「なにか」と戦っているような感じ 消えた上司、弟の死に方はどうだったのか、主人公と同じく謎が何一つ解決せぬまま終わった。 自分の想像力のなさなんだろうか・・・

    0
    投稿日: 2018.04.11
  • 飛べないヤマセミのアイコン
    飛べないヤマセミ
    "powered by"booklog

    物語に全く入っていけず、途中でやめようかと思った作品。知らず知らずのうちに戦争に加担しているんだと作者は言いたいのか?よくわからん…

    0
    投稿日: 2018.01.25
  • 宮村陸のアイコン
    宮村陸
    "powered by"booklog

    このレビューはネタバレを含みます。

    再読。戦争とは何かを平和な世界の視点からあらためて問い直す。戦争とは目に見えるものだけでなく、見えないものがもうすでにここにあるのだと、私たちの手はすでに血に濡れているのだと自覚することを促す。デビュー作から「居留地」という言葉が一瞬登場し、すでに三崎ワールドの地図にこの舞台も組み込まれていたことに驚いた。私的作家シリーズ①村上春樹②宮部みゆき③恩田陸④伊坂幸太郎⑤三浦しをん⑥湊かなえ⑦万城目学に続いて第8弾スタートです。

    0
    投稿日: 2018.01.11
  • あやこのアイコン
    あやこ
    "powered by"booklog

    となり町との戦争が始まる-- 実感も湧かないまま主人公・北原は役所からの通知により、偵察業務を行うこととなる。 目に見えてはなんらいつもと変わらない風景ながら、広報誌に載る戦死者の数だけが間違いなく戦争状態にあるのだと感じさせてくれていた。 地域振興としての戦争。というのが、全くない話ではないかもしれないな、ということが絶妙に気持ち悪かった。

    1
    投稿日: 2018.01.10
  • mococo34のアイコン
    mococo34
    "powered by"booklog

    読み終わったものの、しっくりきていない作品。筆者が伝えたいことがよくわからなかった。それか私自身の感度の問題…

    0
    投稿日: 2017.10.03
  • species5618のアイコン
    species5618
    "powered by"booklog

    となり町と戦争、、、という仕掛けはともかく 妙に生々しいお役所感 と思ったら三崎氏は、元公務員(というか執筆当時は現職)なのですね

    0
    投稿日: 2017.09.10
  • dai115jpのアイコン
    dai115jp
    "powered by"booklog

    このレビューはネタバレを含みます。

    設定や始まりはすごくいいと思います。隣町と戦争が始まったのに何も変わらない毎日。いかにもお役所仕事的な戦争の進め方も興味を引きました。香西さんとの生活もなんかいい感じで進むのかな、と期待しつつも、戦争に関しては主人公並にピンときませんでした。戦争のイメージにとらわれすぎなのかもしれませんが、どう読んで行けばいいかわからないまま終了、という感じです。

    0
    投稿日: 2017.07.18
  • ぽのアイコン
    "powered by"booklog

    なかなかひどい小説だった。 戦争と擬似結婚の結びつきは確かにバタイユ的な観点でとらえればこじつけが可能であるが、いくらテクストと作者を切り離すことが前提であるとはいえ、これは流石に作者の狙いではあり得ないし、読めば読むほどに、くどい内面描写やめちゃくちゃな比喩に、苛立ちが湧いてくる。 となり町との見えない戦争という設定はおもしろい。 それでカフカのようななにもわからないまま戦争に巻きこまれてゆくといった展開を期待したのだが、心理描写がむだに多いのと、いちいち説教くさくて作者の思想があからさまににじみ出ているのとで、最初に感じられた不条理さや不可思議さといったものがどんどん削がれてゆく。 説明しすぎたり、皮肉のやり方が露骨すぎたりするために、痛快な寓話としても機能していない。 そういうところは読者に任せておけばよい。 物語はしだいに香西さんという本来事務的関係であったはずの女性との恋愛に割かれるようになり、ずいぶんと童貞くさい解決にみちびかれる。 似たような表現が多いのや、なんだかこちらがそわそわするような文章が散見されるのにも辟易する。 コートを着てマフラーを巻いている女性に〈まるで初夏の花のような〉なんて比喩を与えるか?! こうなると、靴音が描かれることが多いのも、たんなる作家の稚拙な癖なのか、それとも見えない戦争=視覚の否定=聴覚による認識という構図のもとに意識されたものなのかわからない。 このタイトルだけを与えて、ほかの優れた作家が描いたのなら、それがいわゆる純文学であろうとエンタメであろうと、もっとおもしろいものが出来上がったろうに、とおもう。

    0
    投稿日: 2017.06.19
  • bleuskyのアイコン
    bleusky
    "powered by"booklog

    ある日、となり町との戦争が始まった。 しかし、そこには銃声もなければ流血もない。静かで見えない戦争の中で、日増しに戦死者だけが増えていく…。 上記のような紹介文に惹かれて読んでみた。 ディティールの細かい描写は面白く、設定された世界観への親しみが湧く。 戦争は、銃弾が飛び交い、建物が崩れ落ち、流血した人々が逃げ惑う、といったイメージと切り離せない(と思う)。 しかし、戦争というものの実態は、見えない所で着々と進行する計画と利益であり、私たちがイメージするほど陰惨ではなく乾いている…、という物語からの暗示は、平和な生活を送る身にこそ空しさとなって伝わってくる。 人の血は赤いということさえ忘れてしまう無関心さこそが、一番の恐怖なのかなと感じる。 物語としては、最後まで現実的な戦争に触れることができない「僕」。 破壊という行為では実感できなかったものを、恋人(とまでは呼べないかもしれないが)を失うことによって初めて実感する「僕」。 プロットとしては分かりやすい流れなだけに、やや消化しきれないうやむやな部分を残しつつ結末を導いた感があるのが残念。

    1
    投稿日: 2017.04.10
  • nrksndのアイコン
    nrksnd
    "powered by"booklog

    「これが戦争なんだね」 読了した今もうまく説明にできない。ただ、自分が思い描く「戦争」はTVや教科書による情報により作られた「イメージ」であって、それは戦争の定義とはならないこと。実際に体験したことのないのだから、私にとって戦争は「ない」ものであり、しかしそれは同時にそこに「ある」と言うことと同じだという、とうっすらと理解した。これがはたして著者が伝えたかったことなのわからないけど。理解したいのにできない自分がもどかしい。

    1
    投稿日: 2017.01.08
  • ヒロセマリのアイコン
    ヒロセマリ
    "powered by"booklog

    お役所的な、戦争事業。 すばる文学賞受賞シリーズ。第17回、2004年です。はい、覚えておりますよ。で映画化したのも覚えておりますが、全く見てません。三崎さんの作品も、初めて読みます。 図書館戦争とごっちゃになりかけてたけど、いきなりとなりの町と戦争おっぱじめる話です。 でもね、すごい淡々としてた。直接的な戦争感、結構太平洋戦争がらみの本読んできてますけどそういった感じは全くなし。お役所的、戦争。 すごい役所感覚を持った人が書いているんだろうなぁと思ったら、案の定市役所で勤めながら書き上げた作品とのこと。 県庁の星(これは学生時代読んだな)を一瞬思い出すも、こちらを書かれた桂望実さんはフリーライター経験とのことだから、取材して書き上げたのかな。 戦争感が無いのに、町のたよりの文字として重なっていく死体の数。 アイマスクや、段ボールのおかげでぎりぎり、見えずにどすんという感触くらいしか、主人公は死を経験できないのです。 だけども人が死んでいく、自分がぼんやりしていたその裏で。 主人公も、この本を読む我々も、だからこそ考える。 戦争とは? 国でも、町役場でも、決めたことに巻き込まれるのは一人一人の住民であるということをつまびらかにしながら、あっけなく終わってしまう戦争という事業。 やっぱりお役所苦手だなぁと思いながら読み終えて思ったのは香西さんは、主人公との生活方が仕事なのか、隣町の町長の息子と結婚する方が仕事なのか?ということ。 主人公サイドで読んでいたので、香西さんはその実、この業務のどこをどう感じていたのか気になっちゃます。 ちょっと、すべてがクリーンに解決しちゃう感じがありましたけど、デビュー作だからなのか、今もそうなのか?若干、気になるところではあります。 読み終わってから調べて江口洋介と原田知世が実写化したと知りびっくり。そんな大人の人の話だったのか。 10年前だとしても、もう少し若めの人たちの話かと思ってました。

    0
    投稿日: 2016.11.20
  • tko.mのアイコン
    tko.m
    "powered by"booklog

    多分、駄目な人は最初の数ページでもう駄目だと思います。はまる人はどっぷりはまるでしょうし。そういう突飛な作品です。ちなみに僕は後者。 ある日唐突に始まったとなり町との戦争。実感の無いままに主人公がズルズルと引き込まれ、生と死の淵に追いやられる様が怖いです。途中までこれ、お役所仕事をネタにしたコメディだと思っていたのですが、いやぁ、ブラックジョークもここまでやられるとホラーですね。 惜しむらくは「終章」で、ここだけ筆致が違うような気がしてどうにも引っかかりました。倉庫街界隈の街並みの描写は完全に蛇足ですし、主題をストレートに押し出しすぎたような気がします。でも、ラストシーンは割と好きなんですけどね。 肩肘張らずに読んだつもりが、なにかしっくりしない感触が残ると言う、不思議な作品です。

    0
    投稿日: 2016.11.18
  • kayakingbirdのアイコン
    kayakingbird
    "powered by"booklog

    戦争という事業が平然と淡々と行われ 市民も違和感なく受け入れていく --------- 二つの町がどちらも戦争計画を立案した 15年ほど前には、協力して戦争事業を遂行する協定書が結ばれた 両町職員による定期的な勉強会も開催された ----------- 「戦争」だから違和感を感じるが 医療問題、福祉問題、雇用問題… 別に置き換えたら?

    0
    投稿日: 2016.07.19
  • tpteamoonyのアイコン
    tpteamoony
    "powered by"booklog

    2016/07/11読了。 何年も前に買ったのに、全然読んでなかった本。 セリフが、聞こえてくるような書き方。 映像化に向いてるのかなと思った。 たまに、すごく気合の入った文章がある感じ。 こんな風にいつの間にか始まっていて、 一般人には反対することも思い付かないことってあるのかもしれないな。 誰か偉い人の意志があれば、 静かに少しずつ、 人の死が絡むようなことも受け入れてしまうのが大衆なのかな。 切ない話。

    1
    投稿日: 2016.07.11
  • kumapoooooのアイコン
    kumapooooo
    "powered by"booklog

    ちょいとばかし青臭いのかもしれんなぁ、と思いつつも、けっこう好き。大体青臭いのって良いじゃない、年を取ったからか、そういうのに憧れてしまうのかな、あの頃は良かった、的な。戦争反対と唱えつつも、隣の国で戦争やっててもまぁそんなに気にならないし、自分たちが戦争しなければ良いし、もっと遠く離れたところの戦争なんてもはや知ろうともしない、だってうちらとは関係ないし、と言いつつも、このグローバルな世界で無関係なんてことなんてないさ、風が吹けば桶屋がなんとやらってやつですわ。あー、くさいー、くさいって最高。

    0
    投稿日: 2016.06.04
  • sumirouyのアイコン
    sumirouy
    "powered by"booklog

    このレビューはネタバレを含みます。

    この本の装丁がいいと「小泉今日子の書評集」で書いたあったので、早速図書館で借りてみた。なるほど、冬ののどかな河川敷を表現した青い空、、散歩するには打って付けの風景だが・・・人が一人もいない、それが、本の内容と合致するかのような感じだ。さて、内容ですが、いきなりの役所からの「戦時特別偵察業務」の任命。有無を言わせぬ書き出しにちょっと驚く。後は、主人公と役所の女性「香西さん」との擬似結婚となかなか展開が面白い。戦争という思いテーマにかかわらず淡々と話が進む。ただ、私には一体何を言いたいのかよくわからなかった。

    0
    投稿日: 2016.04.23
  • c0v0fのアイコン
    c0v0f
    "powered by"booklog

    2016/2/29読了。 目に見えてないけど戦争が進んでいる、という話で、かつ登場人物についての情報が少ないため、感情移入して読むこともできず、戦争についても、戦死者がどのような状況で何で死んでいったのかもわからず…。 現実味がない題材でも、入り込める本と入り込めない本があるが、この本は後者だった。 漢字の羅列も多く、最近読書をはじめた私には難しかった。

    0
    投稿日: 2016.02.29
  • Sugarのアイコン
    Sugar
    "powered by"booklog

    なにかの比喩なのかと思っていたら、本当に隣町と戦争してた しかも、自治体ごとに行政が遂行していた。 じわじわと、気持ち悪さと怖さが募る感じのお話し。 戦争とは、日常と切り離したところにあるのではなく、日常の延長線上にある……そんな怖さ

    0
    投稿日: 2016.02.13
  • えものアイコン
    えも
    "powered by"booklog

    一言で言えないような小説。 「戦争」を今までになかった形で描いてると思う。 これを読んで学んだことは 「戦争はすごく曖昧なもの」ってこと。 姿形があるわけでもなく 日常で実際に感じ取れるものでもない それはとなり町との戦争じゃなくって 今の日本での「戦争」も同じなんじゃないかなぁ〜って思った。 学んだことも「戦争」と同じくらい曖昧だけど でも読んだら、絶対に何かを得られる そういう作品でした。

    0
    投稿日: 2016.01.22
  • lemongrasslalaのアイコン
    lemongrasslala
    "powered by"booklog

    2日で読了 大体内容は全部読む前から分かってしまったけど、確かに戦争っていつの間にか巻き込まれてしまうものなんだろうなと考えさせられた。 みんな、動物や魚の死のおかげで生きているという事に、何となく気付いていながら目を向けないでいる。 生きている事で知らないうちに誰かを傷つけたり、いつの間にか加担したりしている。 戦争だって政治だって、他人事だと捉えず自分の事として当事者意識を持たないと何も変わらない。

    0
    投稿日: 2016.01.10
  • wakana1122のアイコン
    wakana1122
    "powered by"booklog

    実態の見えない戦争に実感のないまま参加する主人公。 サイドストーリーが解説のような内容だった。 見て見ぬ振りをしていること、確かに戦争は起こっているのに他人事であること、考えさせられた。 2015.11.18

    0
    投稿日: 2015.11.18
  • わをんのアイコン
    わをん
    "powered by"booklog

    なんだか、何のために始まってなぜ終わったのかがよく分からない戦争だった。 それぞれにそれぞれの「戦争」があるということや、戦争と日常の考え方は非常に納得できるものがあり、深く考えさせられることも多かったのだけれど。 実態の掴めない「戦争」に、やっぱりリアルさは感じられなかった。 でも、だからこそ逆にリアルなのかもしれない。 実際に似たような戦争が起きた時、香西やその弟、主任のような関わり方をする可能性は高くない。 むしろ、主人公のような立場になる確率の方がよほど高いだろう。 そうなったときに感じること、出会うこと、陥ること、それらがこの本に書かれていた気がする。

    0
    投稿日: 2015.11.13
  • Mr poopのアイコン
    Mr poop
    "powered by"booklog

    作者の戦争に対する思いが感じられた。知らないとこの罪。実は私達も知らないうちに戦争に加担しているのかもしれない。目の前には映らないかもしれないが、今日もどこかで戦争は始まり、多くの人が苦しんでいる。このことを考えることができた。日本の政治にも興味を持たなきゃな… 香西さんのキャラが好きでした。何だか上手くいってほしかったけどそこも戦争によって上手くいかない…なんかスッキリしませんでした。

    0
    投稿日: 2015.10.09
  • jotoのアイコン
    joto
    "powered by"booklog

    戦争というのは既に自分の近くで静かに起こっているのかもしれない。あるいは巻き込まれているかもしれない。何も変わらない毎日の中で確実に人が死んでいる、戦争が起こっている。不思議な世界。 2015/8/22 読了

    0
    投稿日: 2015.08.23
  • 鳴海のアイコン
    鳴海
    "powered by"booklog

    誰にも感情移入できぬまま本編が終わった。 戦争に関わる人間が皆徹底して「諦め」もしくは戦争に対しての「けじめ」のようなものを持っているため、読んでいても状況を受け入れられず理解もできない(したくない?)ため主人公同様の気持ちになる。 大きく失われたものがないわりには、あまりにも救いがないと感じた。 別章は短いながらも読み応えがあった。 伏線回収をしつつ、本編以上の無情さがあった。 結局戦争の恩恵が何も感じられないし、なんだったんだろう…。

    0
    投稿日: 2015.08.09
  • mayubon64のアイコン
    mayubon64
    "powered by"booklog

    重感のない作品だったけれど この作品でさらりと流れる言葉たちは 知っているのに忘れていたものだ もっとずっしりと、重く、さしてほしい 戦争や死を意識せずに生きていたら いつかきっと意識せずに戦争を始め 意識せずに人を死なせてしまうんだ。 269 「戦争と日常とを切り離して考えてしまうのは、とても危険なことだと僕は思う。今の自分のこの一歩が、果たしてどちらに向かっているのかを自覚しないまま生きることになるからね。」 122「どうぞ、戦争の音を、光を、気配を、感じ取ってください。」

    0
    投稿日: 2015.06.28
  • 六彦のアイコン
    六彦
    "powered by"booklog

    ふわっとした読み応えだったけど、こんな風に戦争が「もう決まったもの」としてはっきりした形もなく迫ってきたら、私たちは反対とか賛成とか言う間もなく、ふんわりと巻き込まれてしまうのかな。と思った。

    0
    投稿日: 2015.04.21
  • 出雲一寸のアイコン
    出雲一寸
    "powered by"booklog

    読書録「となり町戦争」3 著者 三崎亜記 出版 集英社文庫 p58より引用 “今回の戦争事業も、確かに短視的にみれば 百人の犠牲は大きいかもしれません。しかし 私たち行政を担う者は、常に五年先、十年先 の町のありようを視野に入れて動いていかね ばならないのです。」” 目次から抜粋引用 “となり町との戦争がはじまる  偵察業務  分室での業務  査察  戦争の終わり”  突然始まったとなり町との戦争と、それに 合わせて動かざるをえない人々の様子を描い た、長編小説。  毎月届く町の広報に、まるで年中行事のよ うに載っていた、となり町との戦争のお知ら せ。それを見て主人公がした心配は、通勤に ついてという危機感のないものだった…。  上記の引用は、戦争を担当する行政職員の 一言。ある日突然、何の前触れもなしに、大 きな災害に見舞われて、何もかもなくなる。 自然とともに生きている以上、このような状 況とは隣り合わせでしょうから、五年や十年 も先のことは誰にもわからないでしょう。 だからと言って、あまりにも刹那的に生きる のも、弊害が大きいでしょう。 一日一日、より良くなるように過ごして生き たいものですね。  世の中が色々と騒がしくなっていますが、 情報に流されること無く、目の前の日常を しっかりと確かめながら進まなければならな いなと思いました。 ーーーーー

    0
    投稿日: 2015.02.23
  • はらだ教授のアイコン
    はらだ教授
    "powered by"booklog

    戦争は公共事業だ、 戦死者は土木工事中で事故死した人と同じ、 という考え方で、となり町との戦争が始まる。 自分はやっぱり理解できないけれど、 そういう人たちが政治や経済の中枢にいるうちは、戦争はなくならないと思う。

    0
    投稿日: 2015.01.30
  • こじまるのアイコン
    こじまる
    "powered by"booklog

    このレビューはネタバレを含みます。

    あらすじの時点で、ちょっと自分とはタイプが違うかなとは思ったのですが、やはり・・という感じでした。 賞(小説すばる)の有無は関係ないんですよね。 自分に合う、合わないってあるものなので。 きっと奥の深い、読めば読み込むほど隠された意味とかそういうものがわかるのだと思う。 でもそこまで読み込む気力が・・・。 あえて、表面上で感想を言うなら戦争ってなんだろうねってこと。特に身近でおこっているものではないけど、いま問題のイスラム国。 こういう話はここではちょっと・・・なんですがね。 戦死者は増えていき、もちろん日本にいる自分が巻き込まれるような危機感を覚えているわけではない。 でも実際にシリアに行った二人が人質になり、生死がわからない状態。匿う人、裏切る人、普通である人がそこに巻き込まれ、命をかけているという現状。 これが実際に日本で起こらないと、今後のことなんてわからない。情報は操作され、そのうち自分は何に対して憎しみを抱き戦っているのかわからなくなりそう。 それでも、「正義のため」「日本のため」どんな理由を掲げているにしても、きっとそれに向かって人は信じ込み、戦うことになるんだろうな。 命の重みなんてそこにあるんだろうか。 平和な国をと願う。 でも命の重みを私はどのように受け止めているのか、わからない。そう思わされた。

    0
    投稿日: 2015.01.27
  • HIGASHIのアイコン
    HIGASHI
    "powered by"booklog

    内容は結構あっさりとした感じ。それでも意外に後味はしっかり残っている。なかなか面白い設定なのでもう1、2コ展開が欲しかったとは思うが。 戦争の悲惨さは勿論、自分たちの目には見えていない世界のどこかで今でも誰かが傷つき、誰かが悲しんでいる現実が確かにあることを、そしてまた平和の尊さを、改めてぼんやりと考えていた読後。

    0
    投稿日: 2015.01.06
  • fketのアイコン
    fket
    "powered by"booklog

    先に『失われた町』を読んで面白いと思い、この作品も読んでみました。 なんだけど『失われた町』を読み終えたときの衝撃が大きすぎたせいか、 若干期待はずれだったような。 最終的にどちらも同じような話に思えてしまった。 こっちを先に読んでいたらまた何か違った印象を受けたかも知れない、 と言ったところ。 20071009

    0
    投稿日: 2014.12.21
  • smile0930のアイコン
    smile0930
    "powered by"booklog

    再読2回目。 この作家の本は、SFと読めばよいのか寓話と読めばよいのか迷う。ま、読み手の心ひとつやとは思うけど。

    0
    投稿日: 2014.11.20
  • りんご花のアイコン
    りんご花
    "powered by"booklog

    じわじわと戦争の重みを感じ、うすら寒さを覚えます。特に戦争の直接表現は全くといっていいほどなく、ただ淡々と結果だけがするりと出てくるので、ニュースで世界のどこかで起きている戦争と変わりない実感のなさ。ただ、確実にここで起きているという事がまざまざとわかってしまう。すぐ隣にある死を感じられてホラーを読むより怖い部分もありました。

    0
    投稿日: 2014.11.10
  • (・ω・)のアイコン
    (・ω・)
    "powered by"booklog

    冒頭を立ち読みしたときは面白そうでわくわく購入しました。 一応、風呂敷たためないパターン警戒してたけど、風呂敷じゃなくてミニタオル広げてたたんだって感じに何も広がらず終わったのがものすごく消化不良です。 内容はかなり簡素なのに意味なくセックス描写があるのが、童貞の妄想っぽくて寒いです。 がっかりしました。 簡素で深みがないぶん、いくらでも勝手に深読みすることができるので、何かを語りたい場合の道具にはできそうだと思いました。

    0
    投稿日: 2014.11.05
  • nyaraaanのアイコン
    nyaraaan
    "powered by"booklog

    となり街と戦争をするという意外性、世にも奇妙な世界。戦争へ対するメッセージ、お役所仕事、愛、と話題はあっても重み、深みにかける話。だから何だ?お役所仕事な文書を見せたかっただけなんじゃない?オカルトな世界観にしたほうがよっぽど良かったと思う。

    0
    投稿日: 2014.10.29
  • yamahatake325のアイコン
    yamahatake325
    "powered by"booklog

    戦争や平和がテーマではないと読みます。「与えられた仕事」それが理不尽なものでも無意味なものでも、仕事をやりきることは果たして…それに抗うのは青二才なのか。割り切れるようになったら大人なのか。「時計仕掛けのオレンジ」なのかも。

    0
    投稿日: 2014.10.10
  • megmilk999のアイコン
    megmilk999
    "powered by"booklog

    となり町戦争というのは、何かの比喩で、暗示にあふれた小説なのかな、と思っていたけど、 読後3年ぐらい経過すると、実際に起きたことだったかなと思ったりした。 現実感というのは私にとってはそのぐらい曖昧で、その瞬間をつかんでいないと、すぐに現実か、非現実か、判断がつかなくなる。 たぶんそういうこと。

    0
    投稿日: 2014.10.05