【感想】密やかな炎

セレステ・イング, 井上里 / 早川書房
(5件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • Hiro

    Hiro

    Podcast「文学ラジオ空飛び猫たち」を聴いて興味を持ち、さっそく図書館で借りた。紹介されていた通り「炎の勢いで読み終えた」。正反対の生き方をする正反対の女性たち。すごく面白い!完全に没入できる作品。ドラマのように展開が早く、読んでいてイライラすることがない。ドラマもあるようなので、機会があれば見てみたい。続きを読む

    投稿日:2025.06.16

  • autumn522aki

    autumn522aki

    母と子のアンバランスな愛情… 情緒がリアリティに満ち溢れ、ジワリジワリと染みわたる #密やかな炎

    ■あらすじ
    オハイオ州シェイカー・ハイツに住むリチャードソン一家。母エレナは子どもたちに規律を重んじるよう厳しく接し、理想の家庭を追い求める女性だった。

    ある日、一家の借家に母娘ミアとパールが引っ越してくる。有色人種で芸術家のミアは経済的に苦しい生活を送っている。安定した暮らしに憧れているミアは、裕福なリチャードソン一家の子どもたちと交流を深めていく。

    やがてこのリチャードソンの大きな邸宅が、火事になってしまうのだが…

    ■きっと読みたくなるレビュー
    ダークでやたら現実味あふれるホームドラマ。

    豪邸に住んでいるリチャードソン一家、誰もがうらやむ裕福な生活を送っている。父、母、子ども四人、端から見るとそれぞれが幸せな人生を送っているように見えるが、末っ子のイジーだけは価値観が一致していない様子。そこへウォレン母娘が関わってくるうちに、生き方や関係性に歪みがでてきて… というストーリー。

    本作は物語が次々展開するエンタメ小説というより、人間の心情を丁寧に描いた純文学の要素が色濃いです。キャラクターが思った以上に行動したり、心の移ろいがあって、どんどん引き込まれちゃいましたね。

    どこかで会ったことがあるようなキャラクターばかりで、魅力的な部分はもちろん、人として足りてない部分や欠点などもよーく描けているんですよ。あーこんな奴、自分の周りにもいたなって気がしてくる。

    ウォレン母娘のミアとパールは応援したくなりますね~。話が進むにつれ過去の事実が明らかになってくるんですが、人生ってほんと不公平ってのがよくわかる。神様は頑張ってる人に微笑むと信じたい。

    リチャードソン一家の面々には… ひとりずつ説教させてもらう。

    ○長女レキシー
    人生で一番大切なのは人間関係です。困ってるときに助けてくれるのは家族や友達なんですよ。

    ○長男トリップ
    信義を貫く意識を持ちましょう、ティーンな男子だからって許されることばかりではありません。

    ○次男ムーディ
    思い通りにいかないことがあっても、胸を張って生きることが、次の幸せにつながります。

    ○末っ子イジー
    まだ高校一年生ですか、自分自身と付き合っていく覚悟をもってください。

    ○母エリナ
    当然この人にも文句言いたいんだけど、実は一番共感できるんだよなー。私も子どもに対して、つい自分の価値観を押し付けちゃったりするんですよね。その子の良い所を伸ばして上げるのが大事だとは頭では分かってるんだけど。

    ○父ビル
    一家の大黒柱ですよね、あんたが一番悪いと思うわ。

    そして本作一番のテーマである母と子の関係性ですよ。深みとリアリティに満ち溢れていて、読み進めるほどにジワリジワリとからだ全体に染みわたってくる。

    エリナと各々の子どもたち、ミアとパールらのアンバランスな愛情はもちろん、実は他の「母と子」も描かれるんです。もっと言うと母子の関係をなくすようなことも…

    子どもというのは、まず父と母が愛し合って授かる。その後母親がお腹を痛めながら出産し、昼夜問わず世話をし続け、大人になるまで日々成長を見守っていくもの。切っても切れない関係性なはずのに、なんでこんなにもこの物語の母娘たちは切り刻まれているのでしょうか。

    ちなみにTVドラマ化もされてるみたいですね、予告編見たけど面白そう! 機会があったら見てみたいです。

    ■私とこの物語の対話
    人間の欲望を満たしたいと思うのは、恐怖に対する裏返しなんすよね。さらに不安なると、他人から奪ってまで欲しくなるもんなんです。少なくとも人を傷つけたくはないですよね。読書はいつも学ぶことが多い。

    生きる上で大切なこととは… 自分の生きる道や価値観を見失わないこと、身の丈にあった生き方をすること、近くにいる人を思いやること。
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    投稿日:2025.06.14

  • masayan

    masayan

    このレビューはネタバレを含みます

    上手いな、この人。登場人物(特にお金持ちの奥様たち)の造形が戯画的ではあるものの、十分に楽しめる内容になっている。それにしても、失って初めて気づくってのはよくある話だけど、作中の〇〇夫人はあまりにも鈍感にすぎるんじゃないかな。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2025.06.07

  • アヴォカド

    アヴォカド

    読みごたえがあった。美しく整備された街で、裕福で美しい暮らしを営む家族の表面と、そこにやってきた異質な母娘によって嫌でも見えてくる内部。経済的な格差、人種、性別、母娘の関係、いろんなものが突きつけられる。

    え、それは明かされないんだ?と言うモヤモヤの残ることもいくつかあったが、現実はえてしてそう言うもので。解決されたりされなかったり、わかったような気になったりわからなかったり、そうやって進んでいくよね。
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    投稿日:2025.05.18

  • nijntje

    nijntje

    このレビューはネタバレを含みます

    失ったものはもう戻らない。
    何を得て、何を諦めて失うのか。
    2つの家族はまったく違う環境下で生活している。どちらの家族が正しいなんてことはない。しかし子供達にとって、どちらの方が生きやすいかと言われるとまた違ってくるのだろう。
    出てくるキャラクターたちはみな魅力的で、
    描写がこと細かく、まるでキャラクターたちが自分の友人のように見えてきました。
    そんな彼らが選ぶものは何なのか。
    家族なのか、友情なのか、恋人なのか。
    はたまた、、、?
    火事を巡って、その原因は、犯人は誰なのか。
    過去に遡って真実を探していくミステリー。
    私は特にミアの過去シーンに驚き、
    息を呑んでしまいました。

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    投稿日:2025.05.11

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