昭文社 / 書籍 (1件のレビュー)
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ahddams
「刀狩令で全国の庶民は丸腰にされ、結果的に治安が良くなった」「これは源頼朝の肖像画である」「元寇で日本軍は二度にわたる神風に助けられた」… 今までの教科書の書き方が、いかに断言で済ませてきたかがよく…分かる。 断言方式で習ってきたし、こちとらウブな子供だったから、てっきりそうだと信じちゃってたよ。「みんながみんなそうじゃない」「何も、それで全てが変わったわけじゃないんだよ!」と、史料から聞こえてきそうだ。 「『イイクニ(1192)つくろう鎌倉幕府』でなくなっている」といった消滅系から、単に大々的に捉えすぎていただけだったりと、「上書き」にも色んなタイプがあった。 ちらほら見受けられたのは、改名系だったと思う。「ヤマト政権」とか。 「大和朝廷」じゃなくて「ヤマト政権」…?字面からして違和感MAXであるが、なんでも古墳などの調査が進んだ結果、「朝廷にふさわしい政治体制を想定できないから」と改名されたらしい。また「大和」の字も、8世紀後半(奈良時代)から用いられていたとの事で、カタカナ表記となったようだ。 何だか改名って行為だけでも、時代の解像度が上がった気がする。 消滅系で一番衝撃的だったのが、「鎖国」。 なんと「鎖国」というワード自体、教科書から消えているらしい。出島(オランダ)以外にも、対馬(朝鮮)や薩摩(琉球王国)、松前(アイヌやロシア)がそれぞれ交易や交流をしていた。だから実質的には「鎖国」ではなかった…と。 でも、あの耳慣れた「鎖国」を消滅させるのって、流石にオーバーすぎない?と思うのは私だけだろうか。 時代を遡れば遡るほど、昔の政権って抜かりがなかったと思う。 黒船来航時も、幕府はオランダ風説書(これを書かせるところも抜かりがない…)によって、ペリー来航を早めに察知。ついでに対策も打っていたそう。幕府が開国・通商を進めたのも、全ては自国の発展のため。 キリスト教をブロックしたり、開国後居留地以外で外国人の商業を禁止したりと、手当たり次第日本を明け渡したりもしていない。当時だって、国力・軍事力はアメリカよりも劣っていたはずなのに、今みたいなヘコヘコ外交はしていなかった。抜かりがなかったと同時に、日本を真剣に守ろうとしていた政権だったのかもしれない。 日本海開戦時のバルチック艦隊撃破も、なかなかに抜かりがなかった。 最新鋭の無線や日本海側に設置した海底ケーブルを駆使して、バルチック艦隊を特定、迎撃に至ったという。黒船来航時の幕府もそうだけど、思っていた以上に計画的で、余計な労力を要していない。 こんなにも余裕があるように見せられちゃうと、そりゃこれからも安心して国を任せたくなるよね…。 「上書き」内容にザッと目を通したが、帰省した時の感覚と似ていた。慣れ親しんだ場所がいつの間にか違う施設に取って代わられていたり、綺麗さっぱり無くなっていたり…。 でも不思議と淋しくはない。「既存の歴史」が更新されるかもしれないと思うと、ワクワクさえしてくる。未来同様、過去だって予測不可能なのだ。続きを読む
投稿日:2025.04.02
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