【感想】インターネット文明

村井純 / 岩波新書
(11件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • pnictide

    pnictide

    オープンソースインテリジェンス。ヒト・モノー繋げるプラットフォーム。パケット交換のARPANETとUNIX OSの誕生。4.2BSDの開発による両技術の出会いとインターネット誕生。日本はデジタルディバイドによる弱者を切り捨てない。一方、中国はドラスティックに変われる。北極海沿岸のインターネット上の地政学。海底ケーブルの敷設と切断。データ流量より、データ保存・ストアの方が課題。続きを読む

    投稿日:2025.06.14

  • あわい

    あわい

    タイトルからして文明論かと思いきや、ほぼ著者の自伝であった。
    しかし、著者がインターネットと共に歩んでいるような人であるからして、ある程度インターネット史をなぞることは出来て面白い。

    しかし、海底ケーブルについて、著者は中国やロシアなど侵略的な大国が故意に切断するメリットは薄いという立場だったが、現状は中国がそれ用の船を用意してケーブル切断に勤しんでおり、それに関してはハズレだったな。続きを読む

    投稿日:2025.05.07

  • amano225

    amano225

    もうすぐ変転するという、梅田の清風堂書店に行ったら、村井純氏の新書がでてると知ったので思わず購入して読んだ。

    自分も2000年前後からインターネットに浸っている人間なので、インターネットについてはそれなりに知ってるつもりだったけど、さすがにインターネットの父の視点は自分なんかよりよっぽどか深い話だなと思った。

    2019年に東京工業大学のDLabがまとめた「未来シナリオ」に、2040年のシナリオでは「ほとんどの仕事はオンライン化され、旅をしながら働くことができるようになる」「おうち完結生活」と書いてあったという話が面白かった。それが、コロナ禍によって、わずか1,2年のうちに現実になったという。
    そう考えると、やっぱり新型コロナウイルスの影響って大きかったよなと思う。それまで、新型コロナウイルスが流行するまでは、何度も会議のために新幹線で東京出張(自分は大阪住まい)していたけど、コロナが収まった今ではZoomで会議している。コロナ禍がなければ、今でも東京に行かないといけなかったのだろうか。

    光ファイバー網が一般家庭まで届いてない国はあまりないという話は、驚いた。普通に、欧米のほうが普及しているものかと。アメリカの場合、州によってだいぶ変わってそうではあるけど、どうなんだろう。

    インターネットのある世界を一度でも味わった人は、それ以前の世界にはもう戻れないというのは、本当にそうだよなと思う。
    インターネットが無かったら自分の人生も違っていたのだろうな。いい方向か悪い方向かは分からないけど。

    後、ARPANETとUNIXの歴史を並行して解説しているのも面白かった。同じ時期に生まれたけど、全く別物として進化してきたそう。それが、4.2BSD(1983年)というUNIX系のOSでひとつになったのだとか。このOSによって、一般の人がネットワークへのアクセス手段を使えるようになったということなのかな。

    それと、慶応義塾大学のSFCは1990年時点で、その時点ですべての学生にパソコンを持たせることを考えて、すべての席に電源とイーサネットのコネクタがあったのだとか。著者によると、世界の五年先を行ってたとのこと。名前をよく聞くけど、やっぱりSFCってすごいところなんだなぁ。

    後、オリンピックもインターネットの普及に貢献したとか。コロナ禍もそうだけど、やっぱり、世界中が関心を持つできごとがあると、技術の普及が早まるのだろうな。

    他に、IPv6の開発に最も精力的に取り組んでいたのは日本だとか。その割にはあまり普及してないような気がしたけど、それでも世界でみてみると普及してるほうなのか。

    著者がインターネット(というより、Web)で縦書きができるように尽力している間に、中国が縦書きを非公式化したと書いてあって驚いた。今の中国って横書きがメインなのか。調べてみると、新聞も横書きになっているらしい。ずっと中国語は縦書きのイメージがあったので、横書き文化になってるなんて知らなかった。

    後、海底ケーブルについての話が結構なページを設けて書かれてあったのだけど、これも面白かった。
    北極海で氷が溶けているから、海底ケーブルが引けるようになったとか(「アークティックケーブル」というらしい)。今までイヌイットの集落は、インターネットにアクセスすることが難しかったけど、北極海で海底ケーブルを通すことができたら、イヌイットでもインターネットにアクセスできるのだとか。
    あれ? でも、南極の昭和基地ではインターネットが使えてると思うのだけど、南極ではなんで繋がるんだろう。南極で繋がるなら、今でも北極でも繋がりそうなもんだけど。

    他にも、海底ケーブルにはROADMという技術革新があったとのことで、日本を取り囲む海底ケーブルのの自由度が飛躍的に増したのだとか。海底ケーブルの世界では、日本は重要な拠点なんだろうな。

    ただし、海底ケーブルは地震などで切断されてしまうことが多いらしくて、東日本大震災では20か所以上も切断されたのだとか。それだけ切断されても、インターネットが使えなくなったなんて話は聞かなかったから、やっぱりインターネットの仕組みってすごいよなと思う。
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    投稿日:2025.03.02

  • tulips

    tulips

     最近(2024年9月)出版された、今ではあたりまえで欠かせないものとなったインターネットにおける、技術と政治の歴史について語られている本です。日本についての話が主ですが、インターネットとそれに伴う技術・データなどに対する各国の動きについても語られています。著者の村井氏は1900年代からインターネットに携わる研究者であり、インターネットの普及活動や、サイバー空間についての政策にも関わってきた経歴を持っています。この本は、そんな村井氏が実際に見てきた経験に基づいて書かれています。
     新書なので誰でも読みやすいように書かれていますが、その内容は情報系の学生にとっても退屈しないものになっています。むしろ、具体的な技術の話も多く登場するので、講義で習ったことが実際に世の中で役立っているという事を実感できて、より楽しいかもしれません。インターネットの発展は、社会を大きく変えてきました。本書でその辿ってきた道を体感し、これからのインターネットのさらなる可能性に、ぜひ思いを馳せてください。
    (ラーニング・アドバイザー/情報理工 YAGAWA)

    ▼筑波大学附属図書館の所蔵情報はこちら
    https://www.tulips.tsukuba.ac.jp/opac/volume/4218084
    続きを読む

    投稿日:2025.02.18

  • 田中久太郎

    田中久太郎

    1995年に出された村井先生の「インターネット」から約30年。その長きにわたって一線を走ってきた村井先生だからこそ書ける本。
    COVID-19のパンデミックとウクライナ侵攻という新たな事件を通して、インターネットのあり方を考えさせられた。続きを読む

    投稿日:2025.02.03

  • 探耽(たんたん)

    探耽(たんたん)

    インフラの一つと言えるインターネットについて、国内外で活躍された著者が語る一冊。
    インターネットがなければ維持できない社会をインターネット文明と呼び、テクノロジーと共に生きる未来を提唱しています。
    ンターネットが何であるかの説明から始まり、多様性が無くなるか分断が起きるかの懸念、個人情報などの国内における扱い、外交としての技術、などが綴られています。
    日本はインターネット先進国であって、それ程後れを取っている国ではないそうです。
    各国が自国に合った方針で進めた結果としてアメリカが台頭しましたが、アメリカとの接続が切れたとしても地球規模のネットワークは維持されます。
    インターネットが無い時代を思い出すことはできても戻ることはできない現代、各自が適切に使っていく意識を持つことが必要だと考えさせられました。
    続きを読む

    投稿日:2025.01.26

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