【感想】ミンツバーグの組織論

ヘンリー・ミンツバーグ, 池村千秋 / ダイヤモンド社
(9件のレビュー)

総合評価:

平均 4.3
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ブクログレビュー

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  • cmano8

    cmano8

    組織を7つに大別し、その違いから、組織ダイナミズムを学ぶ、的な本。
    大別していることで批判が上がっていること、大別しているが自社に当てはめる場合にはカスタマイズすることが大前提であること(大抵はハイブリットであること)、など、大家でありながらただの学術論ではない感じが、良かった。

    小ネタ的な横道がすごい多いけど、重要箇所のボールドや括弧書きで後ろに持ってきたりなど、訳者・編集者の努力によって、そんなに煩わしくなく読めた。感謝。
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    投稿日:2025.04.26

  • Ogawa Koichi

    Ogawa Koichi

    巨匠ミンツバーグ教授による組織論。今まで組織構造の解説書籍を数多く読んできたが、これが原点だったか。
    そういう意味では、基本的なところが書かれているし、本書から派生していく数々の組織理論を他の書籍で先に読んでいたためか、「どこかで見た理論だな」という既視感があった。
    私もすでに50代後半に突入し、長年会社員を勤めてきた間に染み付いたものがあるのだろう。
    「理解したつもり」という思考が、実は一番良くないのは分かっている。
    しかし、それを自覚するのは、本当に難しい。
    どこかで見た組織論だと評するのもおこがましい限りだが、「原点」故に目新しさが感じられなかったのは事実。
    ただし、ここは基本のキに立ち返り、自らの社会人人生で経験した各組織を振り返りながら見つめ直してみようと思った。
    改めて思い返してみると、自分が所属した数々のチームもバラエティに富んでいたものだ。
    自分がメンバー側の時代もあるし、もちろんリーダーやマネジャーを経験したこともある。
    大きな成果を出せて自信に繋がった組織もあれば、メンバーは優秀にも関わらず、仲たがいして空中分解に近い形の組織もあった。
    組織論という切り口で、成果を出せたかどうかの基準で振り返ってみるのも、非常に面白い。
    過去の若い時代に、これら理論を理解していて、実践してみたら上手くいったのだろうか。
    そんなことを想像してみるだけで、これは結構学びになるものだ。
    本書では、組織の形態について、大きく4種に分けられると解説をしているのだが、これは実体験と照らしてみても違和感はない。
    ①パーソナル型、②プログラム型、③プロフェッショナル型、④プロジェクト型
    私はバックオフィス部門の経歴が長かったため、②の組織に馴染みがあるが、私の所属する会社の業界自体は③④で機能している部分が大きいため、そこに対してもアレルギーは感じない。
    本書でも、明確に4種に分かれる訳ではなく、実際はそれぞれが重なり合ったり、交互に行き来したりもする訳なので、ここまで単純な話ではないだろうと思う。
    これらは機能で特徴を分類しているが、いずれにしても「文化の土台」があるのだという。
    ①パーソナル型は分かりやすい。
    文化も何も、カリスマ経営者がいて、その社長が独裁者のごとく全てを決めていく。
    社長の考えによって、部下は振り回される訳であるが、その「社長の考え」こそが、ズバリ企業の文化そのものだ。
    こだわりの料理を提供している飲食店などは分かりやすい例であるが、それに留まらない。
    大企業であったとしても、カリスマ経営者が一代で築いた会社であれば、その社長の生き様そのものが企業文化として蓄積されていることが多いと思う。
    当然、その良し悪しはある訳であるが、創業時の理念も含めて、受け継がれる大事な文化は確実に存在する。
    人間が集まって形成される「組織」という形態は、非常に奥深い。
    人間1人1人の意志が、その組織に対してどのように影響を与えているのか。
    組織全体が一つの意識のようにまとまる時もあるが、それは一体どういうことなのか。
    今まで上手く機能していた集団が、たった1人メンバーが入れ替わっただけで機能不全に陥る場合もある。それはなぜなのか?
    「組織」と聞いて、すぐにイメージしやすいのは、軍隊かもしれない。
    1人1人高度に訓練して実力を付けたとしても、結局戦争に勝たなければ意味がない。
    集団として最強になるために、どういう組織を構築し、機能させなければいけないのか。
    人類史において、戦争の歴史は非常に長いため、ノウハウが多く蓄積されている。
    会社などの組織も、ベースは軍隊から来ているかもしれないが、それも時代とともに、少しずつ変化しているのを感じてしまう。
    端的に言えば、④のプロジェクト型が今後は主流になりそうな気がしている。
    DAOなどは正にプロジェクト型の典型例だが、ブロックチェーン技術の発展によって、これら組織形態を作り易くなったのは事実だ。
    ファンコミュニティ。オンラインサロン。
    名称は様々ではあるが、かつてのような上意下達の軍隊組織とはどうも異なる。
    それぞれが自主的に、自分の価値観と共感する心地よい仲間たちとチームを組んで、目的達成に向けて協力していく。
    大昔の芸能人を応援するファンクラブと、今のアーティストを推すファンコミュニティは、だいぶ様相が異なると思う。(ファンクラブの形態が進化しているとも言える)
    「好きだから応援する」というだけに留まらず、そのアーティストの将来の夢に共感し、その実現を、自分の夢のように重ねて支えていく。
    「共犯」という言葉がよく利用されるが、まさに「共に」という意味が強いことが現代的らしい。
    今後は様々な組織形態が「共に」の要素がより強化されていくはずだ。
    「この組織に所属していて大丈夫だろうか」
    「この人たちと一緒にいて、働けるだろうか」
    この感覚を優先することは、今では当たり前の感覚であるが、組織を運営する経営側が意識する必要があるだろう。
    だからストーリーを語らなければいけないし、ビジョン・パーパスを掲げる重要性があることも辻褄が合う。
    大昔は結婚すら親や血縁が決めていたし、就職先だって他人に決められたところに入社していた。
    そして一度そこに入れば「郷に従え」で、滅私奉公のごとく尽くしに尽くした。
    その要素は今ではほとんどなくなっているが、今後もより変化が強化されていくことは間違いない。
    組織の形態を、「クラフト(技)」「アート」「サイエンス」の三軸で分析する手法は面白いと感じた。
    これは自己分析にも応用できる。
    自分なりの解釈であるが、「クラフト」が「行動」寄り、「アート」が「感情」寄り、「サイエンス」が「理論」寄り、と見てみると理解が深まった。
    人間なので、どこかに偏るのもバランスは悪いが、その人の特徴は非常に出やすい。
    会社の部門によっても、クラフト・アート・サイエンスという3軸のバランスを意識するのは必要かもしれないと感じる。
    その部署、その仕事に向いた3軸の交差点は必ずあるはずだからだ。
    原点とも言える組織論であるが、基本だからこそ、応用に展開しやすい。
    組織形態に唯一の正解はないのだが、大いに参考にできる。
    (2025/2/24月)
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    投稿日:2025.04.19

  • soki

    soki

    組織には特徴に応じた型があり、それぞれの型には力学や落とし穴がある。唯一無二の理想的な組織構造はなく、型を理解して組み合わせながら改善し続ける事の重要性を説いている。

    投稿日:2025.04.09

  • katak-ai

    katak-ai

    組織=共通のミッションを追及するために組み立てられた集団的行動
       人と人の関係のパターン

    ウェブ型の組織 マネジメントはあらゆる場所であらゆる人が
    組織の3要素 アート クラフト サイエンス 

    4つの組織形態
    1.パーソナル型組織  アップル スタートアップ 小規模な組織
     カリスマ性 大きな全体像と細部に精通  独裁政府の増加

    2.プログラム型組織  成熟したシンプルで安定した環境 外部からコントロール 
     業務コア:シンプル・専門特化・反復性 →疎外感 人間関係
     アナリスト:業務設計 →官僚制 戦略の形成と実行部の分離

    3.プロフェッショナル型組織
     トレーニングによる標準化 専門職の自立性 高度の分権化 サポートスタッフ多
     カテゴリー分けの狭間の問題 成果の数値化の難しさ 変化への抵抗

    4,プロジェクト型組織  顧客ニーズを診断し 新しいものを作りだす
     想定外の想定 互いのかかわり方を変化させていく
     曖昧さと権力の分散による対立や駆け引き 非効率性からの成果
     
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    投稿日:2025.01.07

  • DI

    DI

    このレビューはネタバレを含みます

    組織には型があると教えられた一冊。冒頭の「効率的なオーケストラ」の例は、笑い話のように思えて、自身もこのような見当違いの示唆出しを行っていないのか、身につまされる思いであった(例: 20人のバイオリン演奏者が全く同じ楽譜を演奏しているのは無駄であり、削減できるはずだ)。
    本書を踏まえた個人的な行動変容は主に2点。1点目は、新規事業や戦略の創出などを議論する場合、必ず組織の型を念頭に置くこと。スタートアップのようなパーソナル型と、大企業に象徴されるプログラム型の組織を一緒くたに比較し、差異分析を行ったとしても、意味のある示唆出しに繋がらない可能性が高い。夫々の組織形態の特徴を理解の上、どの粒度で比較を行うのかを慎重に検討する必要がある。2点目は、コンサルとしてクライアントの組織変革に携わる中で、全てをプログラム型組織への移行で解決しないようにすること。本書で学んだ通り、プログラム型と馴染まない組織も当然存在する中で、特にコンサルはこの傾向/指向性があると想定。プログラム型組織になっていないのであれば、それなりの文脈/理由があるはずであり、仮にクライアント内でのルール/意思決定構造等が明確化されていなかった(≒プログラム型ではない)としても、一度「なぜこれまでルールや意思決定構造が明確化されてこなかったのか?」を問いかけ、解の方向性を慎重にすべき。

    特に印象に残った箇所は以下の通り
    ・「ハブやウェブやセットをチェーンに縛りつけることはやめにしよう」(p.43)
    ・「本当に批判されるべきなのは、戦略の形成と実行を切り離す発想そのものだ。このような発想は、戦略をつくる人たちが十分な情報をもっていて、しかも、状況が十分に安定していたり、予測可能性が十分に高かったりして、戦略の実行段階で戦略をつくり直す必要が生じないことを前提にしている」(p.128)
    ・「経営コンサルタント、政府機関の職員、企業のCEO、そして経営専門誌の編集者は、プログラム型組織こそが組織だと思い込んでいる。そのため、アドホクラシーは組織の体を成していないように思えるのだろう」(p.152)
    ・「プロフェッショナル型組織で働くマネジャーは、組織内のどの階層にあっても、専門職たちを監督するのではなく、支援することを役割としている」(p.176)
    ・「重要な結論は、組織がどの程度有効に機能できるかは、どれくらい矛盾をマネジメントできるかにかかっているということだ。異なる力が競い合うことによって対立が生じている場合は、そこから目をそらすのではなく、その状況をしっかり見据えて、対立を緩和しなくてはならない」(p.260)
    ・「影響力をもつ外部の勢力や、内部のアナリストたちはしばしば、そうすべきでないにもかかわらず、プログラム型ではない組織をプログラム型組織へ転換させようとする」(p.271)

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    投稿日:2024.11.14

  • 千葉経済大学総合図書館

    千葉経済大学総合図書館

    配架場所・貸出状況はこちらからご確認ください。
    https://www.cku.ac.jp/CARIN/CARINOPACLINK.HTM?AL=10279867

    投稿日:2024.11.07

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