【感想】テミスの不確かな法廷

直島翔 / 角川書店単行本
(20件のレビュー)

総合評価:

平均 3.2
1
5
9
3
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ブクログレビュー

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  • ナオ

    ナオ

    社会に交わり、 ままならぬ心身と向き合い、 罪を裁く。

    任官七年目の裁判官、安堂清春(あんどうきよはる)は、東京からY地裁に赴任して半年。幼い頃、発達障害と診断され、主治医のアドバイスを受け、自身の特性と向き合ってきた。
    市長候補が襲われた詐欺未遂と傷害事件、ほほ笑みながら夫殺害を告白する女性教師、「娘は誰かに殺された」と主張する父親……。さまざまな事件と人との出会いを通じて、安堂は裁判官として、そしてひとりの人間として成長していく。



    発達障害を持つ裁判官が、いろんな人と出会って事件を見ていく話。なかなか面白かった。小さい頃に、いい医者に会えて、療育をして、今もテレビ電話で困ったら相談するいい関係になっている。発達障害の衝動的な動作が出てしまうときの対処や思考をどうにしかして追い出して、仕事に勤しむ安堂は本当にすごいなと思った。
    特に、集中しないといけないときに思考が散漫になってしまう現象のことを「小鳥さんの時間」と呼んでるのは可愛かったし、なるほどなぁと思った。


    事件は、現市長が副市長だったときの傷害事件や妻が夫を殺した事件、そして大規模強盗事件の3つ。これがすごかったなぁと思った。意外な真相を安堂が解いていくけど、安堂だけの力ではなく、検察官の古川や弁護士の小野崎と力を合わせていくかんじが良かった。


    そして、安堂は自分を「土星人」と称して、周りの人を「地球人」として、「あぁ、こういうとき地球人はこうなんだ」と勉強していくかんじがすごく良かったなぁと思ったりした。自分の障害と向き合っているのいいなぁ。


    しかし、2話目の「恋ってどんなものかしら」の最後が怖かった。ゾッとした。彼女の気持ちを考えると可哀想な気もするんだけど、まさかな結末だった。


    安堂と小野崎の仲も気になるし、古川との戦いというか裁判へ向けてのタッグももう一度みたいなぁ。続編とかないのかなと思ったりした。



    2025.5.3 読了
    続きを読む

    投稿日:2025.05.03

  • あびえす

    あびえす

    このレビューはネタバレを含みます

    主人公が発達障害の判事補の小説。
    ADHDやASDを持っているが、サヴァン症候群のような能力も持っている主人公。
    これが発達障害への偏見に繋がるか少し心配ではあるが、発達障害者が主人公の小説は少ないから身近に感じられるところもあるかもしれない。

    著者は司法担当の新聞社勤務だったらしく、そのような知識は豊富で法廷シーンはリアルに進んでいく印象があった。
    発達障害の特性については良く勉強されているように思えたが、当事者はこのような考え方をするだろうか?等十人十色なのは理解してるがついつい疑問に思う。

    ストーリーとしてはそれぞれの話毎にテーマが違く、面白いとは思ったが法廷については興味が持てず。
    終わり方も陳腐というか何というか。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2025.02.21

  • ゆっこ

    ゆっこ

    安堂裁判官は自閉症と注意欠如多動症の定型発達者である。安堂さんの思考や行動、衝動がどのように襲ってくるのか、また、いかに気をつけて生活しなければならないのかが、とてもよく伝わった。自分と他人の見えている景色は違うというが、ここまで違うのだなと知れて良かったと思う。本で扱ってる地域は私の地元だったこともあり、景色がありありと目に浮かんで、楽しめた。しかし、裁判官でありながら刑事の様な行動など、裁判の緊張感みたいなのがあまり読んでいて感じられなかったなと思った。続きを読む

    投稿日:2025.02.13

  • mokoma

    mokoma

    このレビューはネタバレを含みます

    発達障害と診断された裁判官が独自の視点で事件の解決の糸口をみつけるとともに、人と関わり人として成長する物語。あまり発達障害を理解できていないが、土星人の例えが分かりやすかった。定型発達者という言葉を初めて知った。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2025.02.02

  • yuko

    yuko

    発達障害の特性を持つ裁判官、安堂清春。
    彼の視点からストーリーが進むため、ASDやADHDを持つ人の見え方や日常の困りごとがよくわかる。

    特性ゆえ「ちょっと変わった奴」である安堂だが彼のストイックなまでの自分の律し方や定型発達社会に溶け込む努力は頭が下がるし
    何より彼の誠実さが読んでいて心地よい。

    ほんの小さな、見過ごしてしまいそうなヒントを
    その特性をもあって見逃さない。
    今までにないタイプのリーガルミステリー。

    ラストはほんわか。
    安堂&小野崎の法曹カップルのその後も見てみたい。
    続きを読む

    投稿日:2025.01.17

  • びびこ

    びびこ

    発達障がいを乗り越えながら
    与えられた仕事を頑張っている主人公。
    症状と上手に付き合いながら前に進んでいく様子を暖かく見守りたいです。

    投稿日:2024.11.30

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