【感想】実践 日々のアナキズム 世界に抗う土着の秩序の作り方

ジェームズ・C・スコット, 清水展, 日下渉, 中溝和弥 / 岩波書店
(11件のレビュー)

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ブクログレビュー

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  • あかいおと

    あかいおと

    昨年亡くなった政治学者・人類学者のジェームズ・C・スコットの著書

    アナキズムは無政府主義として知られるが、その極端なイメージとは裏腹のサブタイトル「世界に抗う土着の秩序の作り方」に地に足のついた印象を受けた
    生きる上で、数々の選択をする上で新たな指針を示してくれるものと思い購入

    ここでのアナキズムとは、支配なき状態で個々人が自律性を発揮できるより良い社会を作ろうとするスタンスのことを指すようだ

    歴史上、社会は暴動により大きく動かされてきたが、同時に個々の自律した(意思ある)判断や行動を通して行う静かなる権威への対抗もまた、じりじりと社会を動かし得るのだ

    自分のように日々社会に対する不満を持ちながらフラストレーションを蓄積している人は、本書のメッセージを力強いエールとして受け取ることと思う

    これは個人的な感想だが「都会に住み、大企業に就職する」という選択が勝者の条件として一般化されつつある中、あえて右に倣わず自律を優先した自分の選択にも自信を持つことができた
    続きを読む

    投稿日:2025.01.09

  • 観領

    観領

    ますますごく少数の人間が、圧倒的な権力と富を独占する世の中になっていく歴史の奔流に、抗うすべはあるのか?

    歴史を振り返れば、革命という名の世直し運動は、それが倒そうとする権力よりも圧倒的に大きな暴力抜きには生じ得なかった。

    支配、強制、暴力ぬきに、自由を守る戦い方というのは、ありえるのか?

    ありえる、というのがアナキストだ。
    この本の著者は、篤実で平明な語り口で、実践的な処方箋を断章の形で提示してくれている。

    私の目からウロコが落ちたのは、プチ・ブルジョアジーの役割への注目である。
    バリントン・ムーアは次のように言っているという。
    「急進主義の主要な社会基盤は農民と都市下層職人である。これらの事実から、人間の自由の源泉は、マルクスが見たように権力をまさに握ろうとしている諸階級の大望の中だけでなく、おそらくそれ以上に、進歩という波によってまさに押し流されかけている階級の断末魔の声のうちにこそあるという、結論を引き出せるかもしれない。」

    闇深い現代という時代を生き抜くための、希望の書。
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    投稿日:2024.08.04

  • Jura

    Jura

    自分が、国家権力、慣習、会社のルールなど、様々なことに無意識に囚われ、思考や行動を誘発されていることがよくわかった。

    また、歴史や人の行動を説明する際に、後付けで物語を作ってしまうこともそのとおりだと改めて思った。ひとり一人の複雑な心理や思考、行動の集合体で社会が変わり続けている。意味付けは十分に注意しなければならないとも思った。

    自分の頭で
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    投稿日:2024.01.26

  • Y子

    Y子

    面白かった!
    特に最初の章の、いざというときのために日頃からちょっとしたルール違反(信号無視)をしておこうと行動する内容がお気に入り。その後にアナキストの先輩に諌められたところまで含めて面白い。

    投稿日:2023.10.16

  • 読む摘むことば

    読む摘むことば

    布団の中から蜂起せよ、からのこちら。

    車の来ない交差点で、赤信号であっても自分で安全かどうかを判断して渡るように、「理に適わなぬ」些細な法律を破ること、それが著者の言う「アナキスト柔軟体操」。

    の中の、これって変じゃない?って思うことにいったん態度を保留して、即反応せずに、自分の頭で考えてから行動することがアナキストの態度なんじゃないかと思った.続きを読む

    投稿日:2023.02.20

  • Go Extreme

    Go Extreme

    アナキズムとは特別な政治運動でも革命でもなく,日々の暮らしの中から社会を変えていく実践である――東南アジアでのフィールドワークを通じて,国家の束縛から離れた社会のあり方を希求してきた政治学・人類学の泰斗スコットが,西欧文明社会で暮らす自らの経験からたどり着いた実践的アナキズムのエッセンスを,軽妙洒脱に説き明かす.

    はじめに
     アナキストの懐疑の眼,もしくはアナキストのように眺めること
     組織の逆説
     社会科学の実践に対するアナキストの懐疑の眼
     一つ,もしくは二つのご注意

    第一章 無秩序と「カリスマ」の利用
     断章1 アナキスト柔軟体操というスコットの法則
     断章2 不服従の重要性について
     断章3 さらに不服従について
     断章4 広告「リーダーがあなた方の導きに喜んで従うつもりで,支持者を求めています」

    第二章 土着の秩序と公式の秩序
     断章5 土着と公式,二つの「知る」方法
     断章6 公的な知と管理の風景
     断章7 土着的なるものの柔靱な反発
     断章8 無秩序な都市の魅力
     断章9 整然さの裏の無秩序・混沌
     断章10 アナキスト不倶戴天の敵

    第三章 人間の生産
     断章11 遊びと開放性
     断章12 なんて無知でばかげているんだ! 不確実性と適応性
     断章13 GHP :総人間生産量
     断章14 介護施設
     断章15 制度のなかの人生という病理
     断章16 穏やかな,直感に反した事例――赤信号の除去

    第四章 プチ・ブルジョアジーへの万歳二唱
     断章17 中傷されてきた階級を紹介する
     断章18 軽蔑の病因論
     断章19 プチ・ブルジョアジーの夢――財産という魅惑
     断章20 プチ・ブルジョアジーのさほど小さくはない機能
     断章21 「無料の昼食」,プチ・ブルジョアジーの親切

    第五章 政治のために
     断章22 討論と質――質の計量的測定に対する反論
     断章23 もしそうなったら……? 監査社会の夢想
     断章24 当てにならず,必然的に劣化する
     断章25 民主主義,業績,政治の終焉
     断章26 政治を弁護する

    第六章 個別性と流動性
     断章27 小口の善意と同情
     断章28 個別性,流動性,そして偶発性を取り戻す
     断章29 歴史の虚偽をめぐる政治学
    続きを読む

    投稿日:2022.11.18

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