水澤都加佐 / ディスカヴァー・トゥエンティワン (2件のレビュー)
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よのなか
大人援助職ではないが、依存症者との向き合い方やサポートの為の環境作りや考え方など、参考になる部分が多かった
投稿日:2023.02.05
whiteprizm
このレビューはネタバレを含みます
・否認の言葉の裏にある本音をいかに感じとるか、引き出すかが援助のポイントになります。否認の言葉を真に受けると、まきこまれたり、頭にきたりしてしまいます。けれど、当人は心のどこかで苦しみ、助けをもとめているのを忘れないでください。 ・まず、よくない対応は、否認をなんとかやぶろうと思って説得することです。あるいは感情的にものを言ったり、「これだけ言ってもわからないのか!」とか、「あなた、子どもや奥さんのこと、どう思っているの!」と怒りをぶつけてしまうことです。そうすると本人はますます殻に閉じこもります。 それに、依存症者を説得しようとしても、とうてい勝てません。依存症者と一時間話していると、おそらく59分間は否定的なことしか言わないでしょう。「お酒なんかやめられない」、「ギャンブルなんからめられない」、「借金を返せなかったら死ねばいい」、「家を出ていくしかない」などなど。取りつく島がないほど、ネガティブなことばかり言うのです。あなたが依存症者と話したことがあるなら、「そう、そう」とうなずいているはずです。 けれど、じっと話を聞いていると、肯定的なことが一言、二言入ってきます。 たとえば、「いや、子どものことを考えるとかわいそうだと思ったこともあるよ。でも結局やめられないんだ。もう子どもは女房にまかすしかないよ」などと…。 援助者はこのときを見逃してはダメです。 ・初期介入をする前に抑えておかなければならないことがあります。それは依存症者の周囲の「イネイブラー」の存在です。 依存症のことで相談にくるのは、圧倒的に家族や関係者です。依存症者が相談に来ない理由はお話ししましたが、これにはもうひとつの問題が含まれています。それは、本人が困るべきものを、本人に代わって家族や関係者が困っているという関係です。 ・アルコール依存症者の家族の場合、多くは三段階のイネイブリングをしていきます。 まず、飲酒をコントロールしようとします。つまり節酒させようとする。外で飲むと心配なので家で飲むようにしむけたり、飲みすぎないように説教したりします。酒を薄めたり、飲んだ量を調べたり、酒をかくしたり、酒を捨てたりもします。 次の段階では、飲酒の理由をコントロールしようとします。機嫌をとったり、悩みを聞いてなぐさめたり、他の趣味を持たせようとします。しっかりさせようと結婚をすすめたり、援助して店を出させたりします。 そして三段階目は、飲酒の結果をコントロールします。とうとう後始末に追われるようになるのです。飲み屋のツケを払う、会社に言いわけをする、迷惑をかけた近所の人に謝る、酔いつぶれた人を介抱する、酔ってこわしたものを片づける、という具合です。 このような家族の必死の努力はどうして報われないのでしょうか。 お酒を捨てたり、隠したりすると、依存症者はもっと上手にお酒を手に入れようと逆に必死になります。非難されれば、傷つき、怒り、それがまた飲む口実になってしまいます。実行しないおどしをくり返せば、どうせ口だけだと、たかをくくって飲み続けます。ほかのことで解決を図ろうとすれば、問題の本質に直面することなく飲み続けられます。家族が脅しに屈すると、脅せば酒やお金が手に入ることを覚え、暴言・暴力がエスカレートします。尻ぬぐいすれば、本人がばつの悪い思いをせずに飲み続けることができます。本人の知らない間に後始末をすれば、反省することなく飲み続けます。借金の肩代わりをすれば、金銭的に困らずに飲み続けます。 イネイブラーとなった家族は、本人や家族を支えているつもりが、じつは依存症という病気を支え、進行させてしまう結果を招くのです。 ・酔っているときにいくら介入をしても無駄です。飲み始める時間が迫っているときもそうです。早く飲みたくてイライラしていて、聞く耳をもちません。ギャンブル依存の場合は、やりたくてうずうずしているときは何を言っても心に届きません。 介入に適しているのは、アルコール依存なら、しらふになって自分の行動を後悔したり、将来の不安にかられているときです。体調をくずして飲めずにいるときも、身体的につらいので、周囲の言葉を受け入れやすいでしょう。ギャンブル依存なら、負けが続き、落ち込んでいる時のほうが人の話を聞き入れるはずです。 介入の場所は、できるだけ中立的なところを選んでください。 ・日本で先駆的に依存症の治療を専門的に始めた病院では、当時よく「三本柱」などと言って、抗酒剤の服用と通院、自助グループへの参加が回復のためのキイだ、とされていました。入院期間はおよそ三か月。それが次第に全国に波及していったのです。 …しかし、患者、家族が抱えている基本的な課題、たとえば自己否定感、見捨てられ不安、罪悪感、無力感、さびしさ、深い悲しみ、空虚感、怒りといった、いわば依存症につきものの問題の解決なしには、再発の防止やクロス・アディクションの帽子はむずかしいのです。問題が解決しないまま、自助グループにつなげていることもあるように感ぜられます。
投稿日:2016.11.02
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