【感想】北関東の異界 エスニック国道354号線―絶品メシとリアル日本―

室橋裕和 / 新潮社
(21件のレビュー)

総合評価:

平均 3.9
6
5
8
0
0

ブクログレビュー

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  • 1439134番目の読書家

    1439134番目の読書家

    このレビューはネタバレを含みます

    この本はロードムービーの体裁をとりながら地域の外国人の中に入ってメシを共にし、暮らしを考察しています。
    日本の中古車を途上国に売るビジネスを始めたのはパキスタン人で近隣のイスラム教国民に広がっていったが、昨今日本人も中古車を買うようになって値が上がり儲からなくなっているそうです。
    北関東在住時たくさんの外国人を見ましたがどの国の方かどんな暮らしをしているのか全く分かりませんでした。
    この本で袖を擦れ合った外国人たちがどんな人たちのか朧げながら分かってきました。
    景気や政治に振り回される立場の弱い非正規雇用の外国人たちがトランプ関税によってこれからどう影響を受けるのか心配でなりません。

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    投稿日:2025.05.26

  • ひらっこ

    ひらっこ

    国道354号沿いで営まれる、多民族が撹拌されたミックスジュースみたいな人間模様。異文化メシが主役というよりは、日本に住む外国人の実態ルポという感じ。

    外国人の多く住む場所であっても、彼らと地元の人との間に、実際はそれほど交流はないという。
    元々、日本は島国だし人口の多さ的に内需もそこそこ強いから、大抵の日本人は日本人同士だけの交流でも事が足りてきた、という背景が大きいのもあるのかな?
    文化の違いから、ほんの少し理解し合うだけにも労力がかかったり、お互い神経使うのも分かってるからこその距離感。そして距離感があるからこその軋轢も。
    その中で、異文化から来た人たちによる、なじむための根気強い苦労とか、「目の前に困っている人がいたら助けたい」と、仲立ちをする民間の人たち。お互いに、ありゃりゃ、や、やれやれ、もありつつ、面白さや温かさを感じる場面も確かに存在している。

    タイへの移住経験もある著者は、日本人と「外国人」双方の体温を知っている。シビアな現実に触れる一方で、聞き慣れない異文化メシを食べてみたいとも思わせる、どこか陽気なルポでした。
    異文化を「異質」と頭で排除するのではなく、足で歩き共に飲み食いしながら、彼らのリアルと向き合って書かれている。
    著者の「カレー移民の謎」も面白かった!
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    投稿日:2025.04.27

  • miegoreng

    miegoreng

    面白かった。
    アジア料理が食べたくなった。
    今住んでるところは研究所関連の外国人
    が多いので層が違うけど、
    船で働いていた時を思い出した。
    結局、お互いを知ることが何より大事で
    それが当たり前だと思う続きを読む

    投稿日:2025.02.24

  • 有井 努 Tsutomu Arii

    有井 努 Tsutomu Arii

    副題に「絶滅メシとリアルな日本」とあるので、
    ちょっと変わった雰囲気の街を巡るガイド本か
    な、と思ってしまいまたが全然違います。

    国道354線は群馬県高崎市から栃木県の南を通
    って、茨城県の霞ヶ浦へ抜けていく北関東を横
    断する道です。

    この沿道に共通するキーワードは「移民の街」
    です。

    もちろん日本は表向きは移民を受け入れていな
    いですが、バブルの頃の不法滞在者や最近では
    技能研修生など、形や名称を変えて日本人の人
    手不足を補ってきた歴史があります。

    そのような人たちがそのまま日本に住み着いて
    いる場所がこの沿道なのです。

    その国籍は、イラン、バングラディシュ、パキ
    スタンそしてベトナムなど多岐にわたります。

    それらの街を訪れ、歴史と日本来訪の実態を余
    すことなくルポするノンフィクションです。

    訪れる街で共通して聞かれる言葉は「日本は人
    手不足と言うけれど、日本の若者は働かない。
    ブラブラしているだけ」です。

    「大丈夫か?ニッポン」と心配になってしまう
    一冊です。
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    投稿日:2024.10.16

  • ken567

    ken567

    制度や言葉をいろいろ取り繕っても雇用調整しやすい形で外国人労働者を利用している日本。無理解からトラブルも発生するし、待遇の酷さから犯罪に走る外国人もいる。
    ネガティブな面が取り上げられることが多い話題だが、この本では逞しく生きる外国人とそのコミュニティ、日本人との交流、多様な人々の生き様の面白さ、といったポジティブな面も多く取り上げている。
    単によくわからない人たち、として排除するような社会にはなってはいけないと思う。
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    投稿日:2024.09.16

  • Hideyasu

    Hideyasu

    群馬県高崎市から茨城県鉾田市を結ぶ国道354号に沿って、アジア各国から来日したエスニックグループが形成しているコミュニティを訪ね歩くルポ。

    宗教施設、お祭り、飲み屋などでその土地に暮らす外国人や2世の人たちとの話す内容。筆者はタイで暮らしたことがあるため、タイ人との交流が厚め。そのほかにもブラジル、スリランカ、ベトナム、ロヒンギャ(ミャンマー)、パキスタンなどの方々が登場。

    今SNSでは川口のクルド人の傍若無人というか日本人の価値観とは相容れない行動が話題だが、この本の切り口は北関東のエスニックグループのみなさんがいかにして日本に融合しようとしているか(というか過去30年に融合してきたか)という視線から。

    しかし難民問題についてはチャプターを一つ立てている。北関東では、コロナにより技能実習生の入国が止まったために難民申請中の「特定活動」者が増えたものの、技能実習生の受け入れが再開されたために難民/特定活動の人たちは減っていくだろう、というのが本書の見立て。
    続きを読む

    投稿日:2024.09.09

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