アン・クレア・レゾット, 横山和江 / 岩波書店 (19件のレビュー)
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羊さん
1800年代の米国、ボストン沖にある小さな島には耳の聞こえない遺伝性のろう者の割合がとても多かった。島に住む人々は、聴者もろう者も独自の手話で会話をしていた。そんな歴史的事実を踏まえたフィクション。 …11歳のメアリーはろう者だが、手話を使った会話で不自由なく暮らしている。そんな島にろう者が多い島の調査に若い科学者がやって来る。 前半は、島で友人や家族と普通に暮らすメアリーを描く。それは、いつの時代にもある11歳の少女らしい楽しみと悩みのある日々だった。後半、人さらいのようにして科学者に連れ去られてしまったメアリーの脱出劇に、手に汗握る思いで読んだ。 ろう者に対する偏見と誤解が今以上だった時代。それでも、心ある人たちの理解に支えられ、島へと帰ることができる。科学的な理解が進んでいなかった時代とはいえ、若い科学者の態度に呆然とする思いだった。振り返って、現代でも似たような偏見は本当にないのか、あらためて気をつけなくてはと思う。続きを読む
投稿日:2025.06.14
koringo
1805年米マーサズ・ヴィンヤード島チルマール。 聾者と聴者が手話という共通言語で共に暮らす島が実際にあったそうだ。 メアリーは家族や友人関係など悩みを抱えながらも、想像力豊かな、普通の11歳の少女だ…。 ある日、島外から来た自称研究者によりボストンに連れ去られ、聾者への凄まじい偏見差別に直面する。 メアリーがどうなるのか、不安と緊張の連続だ。 ここで描かれる差別は、障害者だけでなく、先住民、自由黒人への人種差別などもある。 「障害は本人にあるのではなく、本人を取り巻く社会の側にある」その言葉を噛みしめる内容だった。島と街の社会の違いがその事を示している。続きを読む
投稿日:2024.09.18
ばななサンド
読書会で、偶然、マーサズ・ヴィンヤード島に関する本を連続して取り上げた。「ケイレブ」と「目で見ることばで話をさせて」である。どちらも素晴らしい作品だった。島は観光地とのことなので、いつか行ってみたい。… 「目で見ることばで話をさせて」 ろう者が多かったこの島では、独自の手話が発達し、ろう者も健常者も不都合なく暮らしていた。 ボーダーレスな社会のあり方にヒントをくれる本だと思う。続きを読む
投稿日:2024.05.22
run
このレビューはネタバレを含みます
19世紀初頭、アメリカのボストン南東部に位置するマーサズ・ヴィンヤード島に暮らす11歳の少女メアリーが主人公。この島では、みんなが手話で会話する。耳が聞こえても聞こえなくても差別なし。ただし、先住民族であるワンパノアグ族への感情は人それぞれだ。 島の住民の4人に1人の割合でろう者がいるという事で調査に訪れた若い科学者アンドリューの偏見により、メアリーは辛い目にあう。 ボストンでは耳が聞こえない人を何もできない障害者とみなし、乞食になるくらいが関の山だと思われていた。まだまだ、先住民族にも黒人にも、人権がなかった時代。アンドリューのように考える人は多かったのだろう。 それにしてもメアリーが救出された時には安堵して、涙がこぼれてしまった。 メアリーのお父さんは人格者だなぁと感心してしまう。そして、そんなお父さんに支えられてメアリーはきっといい影響を与える大人になれるだろうと思う。 偶然にも「ケイレブ」の舞台であるマーサズ・ヴィンヤード島が舞台で、ワンパノアグ族の名前も出てきて、ビックリ!ケイレブよりも後の時代なのだが。 島中の人たちが手話で会話をし、普通に学校に行き、生活していて、「誰がろう者なのかわからなくなる」というようなセリフが出て来るが、素晴らしいと思った。また、あとがきにろう者や手話についての本なども紹介されている。
投稿日:2024.05.16
a_ru
ろう者と聴者が手話を共通言語として使う島が舞台。主人公メアリーの、島では耳が聞こえないことを気にすることはなかったのに、ボストンから若い科学者が調査といって島に来たことで偏見を感じるようになり、その後ある事件で更に外の世界の残酷さにさらされる場面にハラハラしました。またそもそも島でも、部族や人種への差別意識を持つ人がいたり、それへの疑問をメアリーは友達や母親と共感できないわだかまりがあったりして、知らないうちに持ち疑ったことのない偏見は厄介で人を傷つけるのだと思った。 手話が共通言語の地域がありそこでの暮らしやコミュニケーションの仕方が描かれていたのも興味深かかったけど、自分の罪悪感や困難に立ち向かう一人の女の子の成長していく姿により惹き込まれました。
投稿日:2024.03.05
赤木かん子【公式】
マーサズ・ヴィンヤード島、という島をご存知でしょうか? アメリカの小さな島なのですが、遺伝性難聴で25人のうち一人が難聴だったため、島民全員が、聴こえる人も聴こえない人も独自に発達した手話を使っていた…ことが19世紀に発見され、世界的に有名になりました。 この本はその島を舞台に、耳の聞こえない一人の女の子を主人公にした、歴史フィクションです。 ということは、でてくる場所や出来事はおおむね本当にあったことだ、ということですね。 島にいる時はごく普通の暮らしをしていたのに、ボストンに連れて行かれた彼女は耳が聞こえないイコール知的に遅れている扱いをされ、ひどい目にあいます。 アメリカですら、手話が認められたのは1980年代ですから(なんとかして口話をさせようとしたため、手話が禁じられていた時代もあったようです)その無知と偏見と差別と戦うのは大変なことだったでしょう。 彼女が少し大きくなって自分からボストンに出ていく続編もあるそうで(未訳)どんな大人になったのか知りたいので、この本も売れると良いな、と思います。 (^o^) 一巻が売れないと2巻は出ないからね。 もっとマーサズ・ヴィンヤード島について知りたければ 「みんなが手話で話した島」 という一般書(というのは図書館用語で、大人の本、という意味です)があります。 一緒に 「僕らには僕らの言葉がある」 というマンガもどうぞ。 これを読むと、これは昔の話じゃなくて、今だに日本でも戦わなきゃいけない問題のままなんだなぁ、と思います。 自分が加害者側に加担しないためにも知識は必要です。 2024/01/05 更新続きを読む
投稿日:2024.01.04
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