【感想】地球、この複雑なる惑星に暮らすこと

養老孟司, ヤマザキマリ / 文春e-book
(17件のレビュー)

総合評価:

平均 3.7
2
9
5
1
0

ブクログレビュー

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  • Chanrisa

    Chanrisa

    このレビューはネタバレを含みます

    自分の人生を計画したい人があまりにも多すぎると。そうではなく、人生はひとりでに「なる」のだということ。
    自己とははじめからあるものではなく、生きて行くうちにひとりでにできていくものなのだ。それをやる前からそれをすれば何を得られるのか、それは自分のためには必要かなど考えてしまうのは、現代病の一種だなと思う。
    自分の知りたいことだけを知りたい、ジャンルに括りたがって、自分のなかで簡潔に完結させたがる。予定調和な人生を望む・・。私含め現代人に当てはまることが多くて、どきっとさせられた。仕事だけでなく生活でも効率化を求めるあまり、人生も効率で考えるようになってしまっているのかな・・。
    自分の人生も思考も、計画的にレベルアップさせたいというような。

    さらに刺さったのは、日本人は「何か自分のかわりに言ってくれる人を書籍やメディアの中でいつも探している」ということ。日本人は人の活字化された言葉の中に答えを探す民族で、出版文化が発達しているのもその影響では、と。けれどそれは自分の思考を放棄していること、その責任を持ちたくないということに繋がる。読書は好きだけれど、自分で考えず好きな言葉をただ追っているだけの読書をしているのは、とんでもなく怠惰なことなのだと気付けた。
    読書の目的も、もうちょっと考え直さないとだな。

    もっと自分自身で考えて、自分の言葉で生きていかなければ、所詮は借り物の思考、借り物の言葉で生きることになり、魅力的な人間にはなれないなと思った。

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    投稿日:2024.02.04

  • 瑠璃花@紫苑

    瑠璃花@紫苑

    Audibleで途中まで聞いて、サブスクを解除してからも気になっていた一冊。

    趣味の話から現代社会論まで、とても幅が広い連続対談集。養老先生も、ヤマザキさんも、すっごい読書家だ。すごくいろんなことを考えていらして、面白い。

    『考えるのはカッコ悪い』

    とか、

    『賢そうな顔しやがって』

    とか、果ては、

    『暇だからいいわねー。』

    だとか揶揄されるのは、いつから始まったんだろう。この本を読んでいると、考えることを止めたら、人間の一番面白いところをかっぱらわれることじゃないかと感じてしまう。考える材料として、知識は必要なのにそれが悪いみたいな言い草。なんだかものを考えていると悪いみたいな世の中で、こういう言説をよくぶっかけられるガキンチョだった私は、いよいよそれが加速していて、大人になっても、ごそごそした気持ちになる。

    そして同時に、知識だけ、机上の論理だけで物事をひねくり回すのも、大概にしておいた方が良いんじゃなかろうかとも思うのだ。時間をかけてじっくり考えた方がいいことほど、ほったらかして。合わない鋳型に現状をはめ込もうとする。考えないで良いことや、シンプルにしたらいいことは、いきなりAIに考えさせようとか言い出す。ホントはみんな、ちょっと変って思っているのに。全然上手く止まれない。私達は、進行方向に崖があるのに進んでいく、ブリキのおもちゃのようだ。

    この対談集が面白いのは、ほいっと気に入りのジャケットでも着るような気楽さで、虫の標本作りからコロナ禍のことまで、考えたり、話したり、味わったりしてるから。

    読もうよ。考えようよ。見ようよ。そして、話そう?そして、頭の中の屁理屈は、ダンボールに入れようよ。

    ちなみに、関係ないことだけど、AIで文章書くのは、アウトライン作るにはいいと思うの。でも、完成したものの良し悪し、完成度、自分らしさの味は、自分が判断して、手を入れる力がなくちゃだめと思うのだ。全否定も丸投げもよろしくない。

    ほどよさって、人間しか持っていないのだ。それは、やっぱり、考えて、関わって、話して。面白がって。粘ったり諦めたりを、上手にやっていかなきゃ、知的生命体として枯れていくんじゃないか。この本を読んでいるとそんなことを思った。

    自分より優れている人の話を聞くほど面白いものはないが、この本もそういう一冊。中身は深いけど気軽に読めるので、もしよかったらどうぞ。
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    投稿日:2023.04.13

  • Anne

    Anne

    あまりにも学びの多い本である

    水不足問題
    イスラエル側に収まるように凸凹線が引かれて
    デコのところに井戸がある
    イスラエルの一人勝ち
    古代ローマから続いている
    ヨルダン渓谷は水に恵まれた水源だけれど
    水を全部吸い上げてイスラエルのテルアビブまで送る水ビジネスをしている

    この構造は、古代ローマから続いている

    水源を握る=覇権を握る

    ローマ人たちが水道を引いてインフラ設備という
    外交を盾にローマ帝国の領土内に張り巡らせた
    ローマ帝国外から蛮族がやってきたときに
    まず水道を破壊した

    人間と同じ、ドブネズミも水がなければ生きれない

    ルーブルを訪れたわたしは、名画や彫刻の数々の中に、古今東西の画家たちの生き様を絵で生きる覚悟を強く見た

    プリニウスは、虫の記述について誤ってるところがある。虫については、やっぱり最初にきちんと見たのはファーブルです。


    アミーカ アミーコ
    男女複数アミーチ で誤魔化す

    日本 自白が証言、証拠
    感情と言葉が一緒になっているから
    西洋 自分の心と言葉は離れている
    関節があるため真っ赤な嘘がつける
    気持ちと言葉を切り離そうとすると、官庁用語や軍隊擁護になるけれど気持ちがこもってないから
    土下座しろってなる

    アメリカでコンピュータが生まれた理由
    日本では生まれなかった理由

    ぶれない説得力のある人体描こうとすると解剖学を知っていないとかけない
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    投稿日:2023.03.04

  • hito-koto

    hito-koto

    このレビューはネタバレを含みます

     人間の身体は60兆の細胞から。40年人体の勉強をしてきたけど、わかるわけがない。薬飲んで、その成分がどこに行き、どう効くかなんて誰にもわからない。わかるわけがない。昆虫愛好家のお二人、養老孟司さんとヤマザキマリさんの対談です。ありとあらゆるテーマについてw。「地球、この複雑な惑星に暮らすこと」、2022.5発行。①昆虫は、犬や猫と違って、一切合切の意志の疎通ができない。人間の存在など全く慮らない。②人間は猫の言いなり。猫は犬を超えたw。猫は地球で最大の支配力を持った生き物(^-^)

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    投稿日:2023.02.21

  • コルベット

    コルベット

    海外の出版業が不況の
    なか、

    日本の出版業は活気が
    ある。

    その理由について
    マリさんが説きます。

    日本の教育は、
    自分の考えを言語化し
    それを発言する弁証法
    に力を入れていない。

    だからみんな、
    自分の代わりになにか
    言ってくれる人を、

    書籍やメディアの中に
    いつも探しているから
    だと。

    私はその「みんな」に
    すっぽりはまってるな・・・

    それはそうと、
    読んでいる間ずーっと
    養老先生の肉声が脳内
    で再生されていました(笑

    あとがきで、ご自分を
    「くたびれた爺さん」と
    称する養老先生。

    いつまでも、
    お元気でメディアに発信
    し続けてほしいです。
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    投稿日:2023.02.10

  • mattaku

    mattaku

    共通の趣味である虫の話から、mRNAワクチンの影響、生活環境を殺菌してしまうと免疫系が訓練不足でアレルギーが増える、医者にかかると寿命が縮まる、暗号を全部解読したことがナチにバレないように住民を避難させず犠牲にしたコヴェントリーの空襲の秘話等々、現代社会の虚実と危うさを多角的縦横無尽に語り合う二人の博識に感服させられる。続きを読む

    投稿日:2023.01.26

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