【感想】新訂 徒然草

西尾実, 安良岡康作 / 岩波文庫
(20件のレビュー)

総合評価:

平均 4.1
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ブクログレビュー

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  • djuax

    djuax

    桜は満開だけを見るものではない。花咲く前の桜のつぼみの枝、散った後の花びらが残る庭にも趣がある。月は満月だけを見るものではない。雨の空に隠れた月にも趣がある。

    手紙を書くとき、字が下手でも、代筆なんてさせず、自分の文字で遠慮なく伸び伸びと書け▼何かを身に着けたいなら、笑われてもいいから、下手なうちから上級者の間に混じって平然と練習せよ。きっと上手になる。

    人を木に登らせて枝を切らせる時、木に登った人が高い場所の枝を切っている時には何も言わず、作業が終わり降りてきて軒先の高さくらいになったとき、下から「注意して降りろ」と声をかけよ。人は高くて危ない場所では恐怖心から自ずと注意するが、下まで降りてきて安心した途端、足を踏み外す。

    石清水(いわしみず)八幡宮を拝みたいと思っていた仁和寺(にんなじ)の僧。ある時、ついに参詣(さんけい)。しかし石清水八幡宮の山の麓(ふもと)にある極楽寺と高良(こうら)神社を拝んで、「石清水八幡宮はこれだけ」と勘違いして帰ってしまった。僧は仲間に言う、「石清水八幡宮は聞きしに勝る貴さでした。にしても参拝者が皆、山へ登って行ったのは何だったのでしょうか」。ちょっとしたことにも、その道の先導者はあってほしいものだ。

    筆を手にすれば自然に書き始め、楽器を手にすれば音を出したいと思う。盃を手にすればお酒が飲みたくなる。心はそれに関連したものについて動く。仮にでもよくない遊びをしてはいけない。外面に現れた言動と、内面の真理は合致している。言動が正しければ、心も正しいものとなる。

    大欲は無欲に似ている。

    生を楽しんでいない人は、死が近いことを忘れている。

    吉田兼好『徒然草』
    ※鎌倉時代。随筆/エッセー
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    投稿日:2023.06.19

  • アワヒニビブリオバトル

    アワヒニビブリオバトル

    第75回アワヒニビブリオバトル「おうち時間DEビブリオバトル」1時間目 国語で紹介された本です。オンライン開催。
    2021.05.01

    投稿日:2023.05.05

  • naosunaya

    naosunaya

    2016.1記。

    初めて通読。
    これはまさしく昔のツイッターというかSNSみたいなものだな、と。もちろんリアルタイムで回覧されていたということではないだろうが、一言言わないと「腹ふくるる」ことを書かずにはいられない、という感じ。

    読む前はもっと仏教思想に裏付けられた静かな心境を語っているのかと思ったがそうでもない。きらきらネーム考(むかしから奇をてらった名前をつける、という風潮はあったんですね)、「モテる男論」、「意識高い系って疲れる」話など、読んでいると今も昔もほんとかわらないし、「なんだよ、結局世の中のこと気になってしょうがないんじゃん」という感じで笑える。ツイッターがこの時代にあったら、兼好法師は絶対小うるさかったはず。

    一方で、やはり時代を超えてなるほどな、と思うことも多々書いてある。「充実した人生を生きるスキル(医術、武術(つまりは修練)、料理)」とかはさすが。また、六曜などの迷信について「今日はうまくいく日です、などというのは人生が連続したものであることを分かっていない」と批判する視点はやはりはっとさせられる。何より心を打たれるのはその死生観だろう。「死は突然訪れる。それはあたかも(…中略)沖の干潟が遥かに隔たっているように見えながら、いつのまにか磯から潮が満ちてくるようなものだ」と。

    透徹した哲学、人生観をもち世を厭いつつも、なんだかんだと俗世間の理不尽も放ってはおけない、そんな思いのほか人間的な作品だった。
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    投稿日:2019.01.05

  • njamota

    njamota

    吉田兼好@tsuredure_bot1さんのツイートに触発されて、読んでみた。もう最高。もちろん、高校の授業でも読んでるんだけれど、こんなに面白い本だとは知らなかった。
    人間って、兼好法師の時代からちっとも変わってないんだということがよくわかる。それは、ちっとも賢くなってない、ということだけじゃなくて、賢い人もちゃんといていろんなことがわかっているのに、それが人々の間で共有されてない、というところも一緒。迷信で人々が右往左往するのとか、今と何も違わない。そして、それを「愚かな」と思う人はすでにあの時代からいたんだよ。びっくりだよ。1000年経っても何も変わらない。本当に人間ってバカだね。続きを読む

    投稿日:2017.05.24

  • mamedaruma

    mamedaruma

    地位や名声を追い求める事に興味がない。きらびやかな高級品で着飾る事に興味がない。
    何物にも心を惑わされず、ひとりゆっくりと本でも読んでいたい。
    そんな事を思うかたなら、「徒然草」を楽しく読めると思います。

    かしこい、愚か、善い、悪い、そのような人が人に
    下す評価は絶対ではなく、すぐに消えてしまうもの。
    必死で得た地位も名声も、いずれは忘れられ消えていく。
    信頼した友さえも、掌返しで失うこともある。

    変わらないもの、絶対のものを否定したうえで、
    それでも構わない、静かで落ち着いた自信が伝わってくる文章です。

    人からの批判や評価に惑わされて疲れた時、
    自分の目標を見失った時には、
    この本が、心を慰め励ましてくれる先生になります。
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    投稿日:2017.02.23

  • Cymbeline

    Cymbeline

    このレビューはネタバレを含みます

    隠棲的なところが好みが分かれるところだ。
    枕草子的な世俗の世界のが若者にはわかりやすい。随筆というのは、きわめて主観的なものであり、老人の人生を経た文章は、味わい深くはあるが、共感しがたい。
    有職故実の類や説教臭く仏のみちを説く点もつまらない。

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    投稿日:2014.09.25

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