【感想】ウーバー戦記:いかにして台頭し席巻し社会から憎まれたか

マイク・アイザック, 秋山勝 / 草思社
(8件のレビュー)

総合評価:

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  • 偉大なスタートアップの起業家か、詐欺師か、クソ野郎か

    独創的なアイデアや最先端の技術によって、世の中を根本から創り変えているのだというのは全くの幻想で、やっていることはまさに勝つためなら何でもござれの犯罪行為。
    投資家から集めた資金を採算度外視で新規開拓先に集中投下し、無料の端末やアプリを配ってユーザーの個人情報を根こそぎ収集し、競合他社やその街の行政、警察、政治家を徹底的に尾行し監視する。

    ウーバーをめぐる物語とは、旧態依然として停滞した運輸業界にテクノロジーの力で風穴を開けるという、革命的な正義の戦いというのは尊大な思い上がりで、後に残ったのはただただ不道徳的で、むなしさに満ちた虚業の栄枯盛衰物語。

    「人を搾取するクソ野郎」で「あからさまな女性蔑視主義者」。イケイケの体育会契系気質で、「殺るか、殺られるか」という残酷非情で剝き出しの闘争心を称揚する創業者のカラニックをいかにウーバーから追い出すことができたかが、本書では縷々書かれているのだが、戦いに勝ったとされるガーリーをはじめとする取締役の面々に果たして罪はないのか?
    ガッツがあり好戦的でふさわしいとCEOを任せて後押しししてきたのは彼らであり、カラニックのやる不法行為を黙認していたのもそう。
    世間からの予想を超える反発の高まりに抗しきれず、追放そして裁判で訴えるというところまで行くのだが、なんとも呆れさせられる。

    果たしてカラニック以外の人間が、ここまで会社を大きくできたのかどうかも疑問。
    サバン症候群のような特異な数学能力を持ち、暗算であっという間に問題を解いてしまう。
    早熟で、セールスの才能にも恵まれるが、どこか感情的に欠落した部分も。
    休日に関係なく、毎日18時間ぶっ通しで働くワーカーホリック。
    歩きながら考え、トラックを何周もしても尽きぬスタミナ。
    そしてショーマンで、投資家も含め、出会った人間を引きつけるカリスマも持っている。
    反面、社員への思いやりは皆無で、とてつもなく自分勝手なゲス野郎でもある。

    象徴的なのは、乗車料金の値下げというウーバーによる発表が、ドライバーにもたらす影響を一顧だにせず、乗客の急増につながるとただ喜んでいるカラニックの姿勢で、恨まれて当然だろうなと感じたし、他人を犠牲にしなければ成功しないという気風は、社員に共通する企業文化となっていた。
    マレーシア支社に勤務する女性スタッフが帰社中に地元のギャングから後を付けられ、「このままではレイプされる」と助けを求めると、上司から「心配しなくていい。ウーバーにはすばらしい医療保険がある」、「医療費は会社が負担する」と返信があったというから、ほんと信じられない話。
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    投稿日:2022.04.13

ブクログレビュー

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  • MY

    MY

    ウーバーの事業モデルはスマホテクノロジーを基盤した、紛れもない破壊的イノベーションである。モビリティアズアサービスどれだけ人々の暮らしに利便性をもたらしたか、測り知れないものがある。この事業の創業者はその隠れた価値顕在化させた。同時に、その価値に対する人並み外れたエゴの為、最終的に会社を追われる事になる。人生においては、その様にして平均回帰の原則働く。平均値を上げるのは最終的には本人の心。続きを読む

    投稿日:2024.05.22

  • mnagaku

    mnagaku

    理系ゴリラみたいな話、日本だと聞かない気がするけど、この違いがあれなんかな。これWeWorkやんとか思いながら読んでたら、最後に言及されてた。

    投稿日:2022.09.23

  • Maxy

    Maxy

    だいぶんと時間がかかったけれど、最後まで読みたくなる内容だった。
    トラビス・カラニックはUberを生み出したことと、それを世界に広げて自動運転や配送などのサービスの未来の姿を作るロードマップを示したことは、歴史に名を残すアントレプレナーだろう。
    しかし会社経営にはモラルが必要であり、最後は人の信頼を失ってしまうと、取り返すことは不可能と心得ておかなければならない、教訓であろう。
    ドラマ化された映像も見てみたい。
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    投稿日:2022.09.05

  • hollyleaf

    hollyleaf

    トラビス・カラニック=シリコンバレーのトランプ

    既得権益の上にあぐらをかいてのほほ~んとしていたタクシー業界とこれを取り巻く利害関係者と闘い、「移動」にイノベーションを起こしたことは称賛すべきだと思う。しかし、その手法は唾棄すべきもので、シリコンバレーでは「結果がすべて」で「殺るか、殺られるか」がルール(『ハッスル・カルチャー』)になっていた(やや言い過ぎか?)ことを知り、シリコンバレー(含むベンチャーキャピタル)に幻滅した。

    ウーバーのビジネスモデルがドライバーに対する会社の責任を最小化することで成り立っていること、「結果がすべて」でパワハラ、セクハラ不問(女性社員にドラッグを無理強いとか信じられん!)、結果のためなら法律違反もOK、顧客・競合・行政等々の情報はすべて吸い上げる・・・目を覆うばかりの所業。

    CEOの座を追われてからも、復帰を目論んで動くあたり、「選挙は盗まれた」と言っているトランプそのまま。

    著者はシリコンバレーの『ハッスル・カルチャー』は今も健在である、と言う。スタートアップの王国は第二のカラニックを生むのだろうか?

    500頁強とボリュームがあるが、面白いのでどんどん読み進める。テレビドラマ化されたのも納得。

    GEのイメルトがカラニック後継候補だったとか、カラニック騒動に乗じてウーバー株式を手に入れた孫正義とか、舞台裏の話も非常に興味深い。



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    投稿日:2022.06.11

  • chocococoa

    chocococoa

    今や世界中に浸透してきた配車サービスの元祖であるUberが、既存勢力とどのような戦いを繰り広げ、社内でどのような意思決定をして、どのような社内政治があったのか、生々しく取材した一冊。まるでフィクションのような臨場感で、500ページ近くあるが、一気に読み進めた。

    カラニックの尖った個性による、Uberの急激な成長と、信じられないようなスキャンダルの嵐。

    街中に走るウーバーイーツの配達員を統率する頂点で、一部の人によるこのような争いが繰り広げられていると思うと、世界が二分されている事を感じた。

    米国の有名な財界人、スタートアップ業界の中心人物、孫正義さんなどがUberとどのように関わってきたのかも、生々しく描いてある部分も興味深かった。

    全てのスタートアップがUberと同じとは思わないが、スタートアップ業界の文化を理解するためには貴重な一冊。
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    投稿日:2022.05.05

  • ヨッシィ

    ヨッシィ

    本書によると「ウーバーはデジタルテクノロジーで既存の業界の秩序やビジネスモデルを破壊する「ディスラプター(破壊的企業)」の典型だといわれている。」とありますが、本書を読み進めているとウーバーの創業者であるトラビス・カラニックはディスラプターを体現した人物であることが数多くのエピソードから伺えます。成長著しい企業が好戦的なのは当然ですが、シリコンバレーのユニコーン企業と聞いて白人男性中心のセクハラ上等なマッチョな企業カルチャーとは縁遠いと思っていましたが、ウーバーは日本で言えば「イケイケどんどんな!企業」だったんですね。百聞は一読にしかずです。日本でウーバーというと新型コロナ以降の街中で自転車こいで一生懸命働いているドライバーに目が行きがちですが、本書はそのシステムを運営する側(資本家側)の物語です。企業活動というものはあつかう物・コンテンツが変わってもその営みをするのは人間だから本質的には昔も今も変わらないと思いました。カラニック時代のウーバーのバリューには惹かれものがあります。私が気に入ったのは、中でも「いつも押しまくれ」「超気合いを入れろ」の二つですね!続きを読む

    投稿日:2022.04.23

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