【感想】日本再生のための「プランB」 医療経済学による所得倍増計画

兪炳匡 / 集英社新書
(12件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • nobuimamura

    nobuimamura

    コロナ真っ最中の2021年に書かれたものであるが、現在の2023年でも著者の悪い予想が当たった状態が続いており、さらに現在はコロナがなかったようにコロナ前の政策を邁進している。つまりプランAを突き進もうとしている。詳細なデータで世界の中で日本が経済的にも取り残されていることが改めて分かったが、アジアの中でもその低落が起こっていることが分かった。しかし現政府は明確な方向性を出せずに、経済的な格差のみならず、中央と地方の格差はますます広がるばかりである。地方も効率化優先の中央と同じことをするので、さらに衰退するばかりである。高齢化が進む我が国では、著者の言うプランBしか生き残る道がないと考えられるが、現状を考える限り道は困難である。ただ杉並区のように住民運動から地方自治を取り戻す動きも出ているので、やはり地域から運動を起こし、地方自治から変えていく動きしかないと思う。そのためには時間はないが、時間をかけても丁寧に運動を行なっていくしかないだろう。データも含めて丁寧に書かれた著書で共感でき、将来への希望も持てた書であった。続きを読む

    投稿日:2023.10.01

  • わっさん

    わっさん

    多くの文献(データ)を根拠としてプランA(米国や諸外国の成功例の「つまみ食い」的模倣。ITやAI等を駆使したイノベーション誘導型の再生策)ではなく、プランB(医療・教育・芸術を融合させた新たな分野で雇用を創出し、所得を倍増させる画期的なアイデア)を勧める。プランAがダメな事は肌感覚でも分かるのだが、対案となるプランBが正しい選択なのかは、根拠となるデータが推測値のため判断しにくい。プランBの一部分でも実績値として提示できていれば、それなりの納得感、期待感はあったのだが。自らが政治家となって提言する政策を実行して見せるか、共感を得る政治家と組んで実績を作る事が重要と思う。続きを読む

    投稿日:2023.01.21

  • komoda

    komoda

    https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents.html?isbn=978-4-08-721161-0

    投稿日:2022.04.23

  • ごい

    ごい

    経済成長を前提とした既存の路線プランAに対して、予防医療の価値を見直したリソースの再配置を提言するプランB。定量的な思考よりも、定性的な思考によるブレークスルー。その一つのヒントは「演劇」、エンタメ、アート。
    エッセンシャルワーカーの待遇改善。利他や公共福祉は無駄ではなく、持続可能な経営マネジメントとするエビデンスについて、いくつかヒントをもらった。
    また、米ドル換算GDPは、現状の実質的価値を反映しにくく、日本は第3位という認識は疑わしいとの主張はもっともだと感じる一方、この順位が低下したからと言って日本の存在意義まで低下するのかは疑問。いつも排他的で保守的、アジアの仮想敵にされつつ、米国の子分でGHQに洗脳されてナメられ続けて・・という日本はこの、のらりくらりでいることができるのも一つの価値ではないか。
    続きを読む

    投稿日:2022.03.28

  • 本は空

    本は空

    日本が様々な分野で先進国から脱落したということが詳細なデータを基に示され、メインの道(プランA)では追いつけない。そのためプランB、Cに舵を切り日本らしい生き残り方を提案している。日本のGDPが世界2位だった頃、それは皆が己や家族を犠牲にして休みや夜も返上して働いた結果だった。これからは近隣諸国と互いに手を取り尊重し合い発展する社会を目指していく。まだ机上の空論感はあるが、米国やEUとは異なる、日本やアジアだからこそ実現可能な社会を目指したい。続きを読む

    投稿日:2021.08.15

  • kumakubon

    kumakubon

    予防医療教育が経済にどう寄与しうるのかということを学ぶいい機会となりました。
    アメリカでは、予防医療を重視したされたいわゆる「オバマケア」が2010年に導入されてから、予防医療教育が大ブームかつ巨大ビジネスになっているそうです。
    Apple Watchがヘルスチェック機能を前面に売りにしていたり、GoogleがFitbitを買収してヘルス分野に力を入れていることもその証左でしょう。
    著者は、予防医療教育に演劇を取り入れる案も提案されていましたが、非常に興味深いので実践して効果を是非検証していただきたいなと思いました。
    私自身も自治体が主催する短期の演劇ワークショップに参加したことがありますが、楽しく住んでいる地域のことを学ぶことができたので、こういった活動は広がればいいなと思います。
    また、本書で紹介されている今年開講したばかりの「芸術文化観光専門職大学」は、演劇やダンスの実技を本格的に学べる初の国公立大学で、芸術文化と観光の二つの視点を活かして、地域を元気にする人材の育成に力を入れる方針だそうで、この大学の取り組みにも注目していきたいと思いました。
    ただ、4章まではプランBとして具体的にどんなプランを提案するのか分からなかったので、そこまではもやもやしながら読んでいました。
    あと、プランA(IT、AI、バイオ関連のハイテク産業の競争力向上)は失敗するリスクが高く、仮に成功したとしても国民全体の生活の向上にはつながらないとう主張は納得できましたが、プランAへの投資を減らすことに対するリスクには言及されていなかったので、そこはどう思われているか気になりました。
    そもそも、「成功」、「失敗」という言葉をよく使われていましたが、政策を成功・失敗と簡単に二分できない(当初の計画を達成したかどうかは評価できるでしょうが、計画を達成したからと言ってその政策が国民や、これから産まれる人や移ってくる人も含めた潜在的国民の生活に寄与したとは限らないでしょうし)と思うので、そこも引っかかりがありました。
    また、本書では公共事業(道路や河川等の維持・補修工事や災害復旧を含む)の経済波及効果が小さいと書かれていますが、その主張の根拠としている数値が掲載されている塚原康弘氏の論文には、「公共事業が社会のストックを増やし、将来における生産の増加に貢献するようといような長期的な効果は考慮していない。」と書かれていますが、そういった旨のことは本書には書かれておりません。
    地方経済における不適切な評価として「未来に受け取る便益を不当に低評価する計算方法」(p.157)を指摘していますが、土木を学んだ者としては、公共事業が不当に低く評価されるような書かれ方が気になったので、読まれる方はその辺りもご留意いただければと思います。
    続きを読む

    投稿日:2021.07.22

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