【感想】いっちみち―乃南アサ短編傑作選―(新潮文庫)

乃南アサ / 新潮文庫
(16件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • nt

    nt

     1998年から2020年にかけて書かれた乃南アサさんの短編小説アンソロジー。
     最初の作品は普通小説っぽくて、意外とそういう作品が並んでいるのかと思い油断して読んでいると、いきなりホラー小説みたくなったり、ミステリっぽくなったり、なかなか多彩である。読み始めた時はどんな作品なのか分からないので、読んでみてのお楽しみ、というスリルがあった。
     しかし、私はこの本に対してちょっと申し訳ないことをした。途中から、ヘンリー・ジェイムズの短編集と同時に、つまりかわりばんこに読んだのである。そうしてしまうと、ジェイムズ作品の文章の味わい深さ、物語世界の(心理的な)深さが際立ってしまい、そうすると本書の諸作はあまりにも薄っぺらく見えてしまうのだ。特に文章は読み安すぎて、音も無く流れ去っていく感じだ。この辺はもう、芸術としての格の違いとしか言いようがない。
     そんな比較をしてしまうとかわいそうだが、本書の短編は、現在の日本のエンタメ系作家が書いたものとしてじゅうぶんなレベルに達していると思う。悪くはない。
    続きを読む

    投稿日:2022.09.28

  • shushu

    shushu

    人間や家族の怖さを描いた短編集

    表題のもの以外は、ヒタヒタと怖くなるような作品。
    怖いし気持ち悪いけど、こういう事って確かにありそうと
    思わせてしまう。

    投稿日:2022.08.15

  • nanakana

    nanakana

    短編集で、いっちみち以外のお話は他で読んだことのあるお話で、20年近く前に書かれたものが多かったですが、どれも面白かったです。
    いっちみちは、最後に少し幸せな気持ちになれるお話です。その他は不思議なものや、コワッというお話でした。続きを読む

    投稿日:2022.07.30

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    人間のエゴみたいなものがぐっと詰まった短編集。
    『いっちみち』以外はちょっと怖いけど『団欒』は現実離れし過ぎててブラックユーモアたっぷりかな

    投稿日:2022.07.17

  • kimikokumiken

    kimikokumiken

    未だコロナが、終息していない。
    この本の最初を読みながら、武漢から始まった新型コロナウイルスの感染者からの話で、もう3年になるのだと・・・

    そういえば、英語では、コービック19、で、2019年の事が、感じられるのだが、・・・

    話の初めは、主人公の芳恵が、家族の引き起こした事柄で、故郷を離れて30年、そんな中、マスクを着けて帰郷するのだが、・・・夜逃げ迄しなくてはいけなかった家族。
    家族であっても、その両親の子ではないという事の後ろめたい感情の父親をなじる母親・・・忌まわしい血筋のように言われて、育ったせいか、やはり、心にわだかまりがある。
    しかし、帰りのフェリー迄に乗ったタクシーの運転手は、同級生であった。
    みんな色々人生の岐路が、あった事に・・・
    再会して欲しいと、思ってしまった。

    ルールなど、潔癖症のように、このコロナで、うがい手洗いなど、・・・有名な芸能人がコロナに罹った途端に、治療法もなく、あっけなく亡くなる事で、このコロナの怖さが、皆のウイルスに、異常なほどの感情の高ぶりが、・・・
    目に見ないばい菌、ウイルスが、どれほどこびりついているのか、・・・
    家族の中でも、共同で使用していたものも、個人個人の所有物に換えて、家族のルールを決めて行くのだが、・・・ここまでしてしまわなければいけないのか?
    家族の中で、誰かが、コロナが、感染してしまったら、どうするのだろうか。
    看病もして貰えないと、思うと、家族って何?

    青い手、、、お香を練るために染色してしまった手。
    小さい時にからかわれ、そのいじめっ子が、忽然ときえたのは、・・・・

    家族の中で、死にかけている祖父。
    しかし、後数日の命と、言われているのに、皆、誰もが、自分のしたい事に熱中で、万が一、外出時に死亡したら、・・・・4℃に設定した所に保存したら、帰宅するまでの間、大丈夫なのかも・・・・と、、、、死者の冒涜である。

    夕がすみ・・・ホラー的であり、子供らしくなく、少し嫌った人が亡くなればなんて願った事に、死を招くなんて、・・・オカルトっぽい話。

    青い夜の底で、・・・ストーカーの思いは、こんな感じなのであろうか?
    自己中心で、妄想家?

    他人の背広。ふとしたことで、赤の他人の背広を間違えて着てしまった。
    腹の立つ事で、酔っぱらってしまって、その背広の中のお金を一時 借用してしまうのだが、・・・翌日、自分の背広が、置かれてあり、それを着るのだが、・・・その背広を着た人物は、お金の借用より、凄い事をしでかしていて。

    団欒。ここまで、来ると、家族バラバラの人々が、犯罪を隠匿するために、庭に、遺体を埋める。
    一致団結も、ここまでくると怖い!!
    宮部みゆきワールドである。
    短篇が、ぎっしりと重みを増して詰められていた本である。
    続きを読む

    投稿日:2022.05.30

  • スリーピージーン

    スリーピージーン

    短編の名手。もちろん長編も優れてるけど。日常の中に狂気を描くのも上手だ。ホラーと読むもコメディと読むも読者次第と思わせる。他の文庫本で既読のものもあったが時代遅れ感はない。『いっちみち』最初はつらい内容だったけどいい話です。主人公の女性は強くてすてき。続きを読む

    投稿日:2021.12.05

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