ビジネスの未来――エコノミーにヒューマニティを取り戻す

山口周 / プレジデント社
(22件のレビュー)

総合評価:

平均 4.6
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ブクログレビュー

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  • yukisaito

    yukisaito

    今日の日本のように、経済的な成長が頭打ちとなった社会が今後目指すべき方向性と、そこにおいて求められる新たな政策や今後のビジネスが果たすべき役割等を提言した一冊。

    産業革命以降繁栄を極めた資本主義は、物質的な豊かさの充足という当初の目的がすでに達成された今日もなお、GDPと言う不完全かつ恣意的な指標によって無限の「成長」を促す一方、経済合理性の観点からは解決が困難な社会問題や環境問題が放置されるとともに、多くの人が経済的価値のみを基盤とした労働慣行や購買・消費行動の中で人間性や文化的な豊かさを失っている現状に対し、著者は今日の先進国は「停滞」しているのではなく「成熟」した「高原社会」に軟着陸しようとしており、そこにおいては物質的・功利的価値観に基づく「インストゥルメンタル」な社会から、より人間的な感受性に根ざした充足感を高めるような「コンサマトリー」な社会を目指すべきと説く。

    そのためには、「金のために働く」のではなく真にやりたいことに没頭する「仕事のアート化」や、従来の一方向に進むバリューチェーンから、需要側と供給側が有機的につながる「バリューサイクル」の構築といった社会変容が必要であり、ユニバーサル・ベーシック・インカム等の政策が有効であるが、その根底にあるのは北欧型の「社会民主主義国家」への変革であり、何よりもまず、我々一人一人が現状のシステムを構成している主体であることを認識した上で、意識や行動を変えていかねば社会は変わらないとする著者のメッセージは、あくまでポジティブでありながらも重たく響く。
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    投稿日:2021.01.11

  • 小池 隆太

    小池 隆太

    社長研修でおすすめされた本。
    時代の変化や資本主義の限界、GCが言っていることについて、エビデンスベースで語られている。人間力やこころの発達、お金では図れない価値が益々重要になってくるとともに、今活動している方向性は間違いではないんだなと思わせてくれた。下記メモ。

    ・便利な快適な世界を→生きるに値する世界に変えていく
    ・ここ20年でなされたイノベーションは、既存の儲かっている市場へ導入するイノベーションをしただけで、社会の課題を解決する解消には必ずしも影響しておらず、むしろ社会問題を生み出す元凶となっている
    ・「交友から得られる喜びや美しいものを見たときに感じる悦楽」などに代表される「ある種のこころの状態」にどれだけ多くの人が至っているのか。が社会の進歩を測る唯一の指標になる
    ・大きく、遠く、効率的から小さく、近く、美しくへと物差しを転換する
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    投稿日:2021.01.11

  • katohirojp

    katohirojp

    このレビューはネタバレを含みます

    「美意識」を読んで以来Twitterをフォローし、Twitterを通じて読んだ、人新世の資本論、に引き続き。「贈与」とも絡み、著者の考える世界の在り方がわかってきた。
    世界観は共感できる。「人新世」よりも、さらに踏み込んだ内容で、今の世界の在り方から、著者の考える世界観への移行にとるべき行動も少し現実味を帯びてきた。
    でも、まだ、社会への実装は程遠いような気もするが。

    最近考えていることを支えるものでもあり、
    非常に腹落ち感が強かった。

    ・私たちはどこにいるのか。
    「物質的不足の解消」という課題を達成した。
    (幸福であるという回答率は80%「を超える)

    そのフェーズでは、高成長であったが、今は、その多くは解消された。ビジネスの終焉。

    「高原社会」への適応が必要。資本主義の原点である、永続的な成長は、ありえない。
    BRICSも、成長率は鈍化。4%という成長率が異常である。①%ぐらいがふつう。

    グレートリセット が命題に。(ダボス会議2020)
    みな、資本主義の限界を悟っている。

    ・私たちはどこにいくのか
    イノベーションの限界、経済成長は、イノベーションでは達成しない。格差の拡大につながるだけ。
    経済合理性曲線の中にある課題は、ビジネスが解決する。その部分は、すでにほとんどが解決された。だから、成長率が鈍化する。この先は、市場主義の限界である。

    マーケティングは、新しい不足、課題を生み出すことによる。「他人に関係なく必要な絶対的なニーズ」「他社に優越するために必要な相対的なニーズ」後者は満たされることはない。

    分業により、生産性は向上した
    しかし、それにより、仕事は労働となり、
    精神的な充足性は得られなくなった。
    → 仕事は本来、人の役に立つことであり、それ自体が尊いものであった。
    それを取り戻す。高い精神的報酬を得ること。
    LINUXの例


    ・私たちはどうするのか?
    ヒューマニティに根差した衝動、に基づいた労働と消費
    経済合理性だけでは解けない課題の解決
    未来のために今を犠牲にするのではなく、
    永遠に循環する今を豊かにみずみずしく生ききるというコンサマトリーな思考へ

    ムーア「交友から得られる喜びや美しいものを見た時に感じる悦楽などに代表されるある種の心の状態」

    ①心にやりたいことを見つけ、取り組む
    そもそも仕事は、社会利益のため、CSVとわざわざ言わなければいけないのは、社会利益につながっていないから。
    ソーシャルイノベーションの源泉は、衝動

    遊びと労働の境があいまいに。
    フロー状態に入れいるものが自分のやるべきこと

    幸福感受精の摩耗
    そのためには、いろいろなことをやって、自分の心を試す。無駄や浪費が人生には必要

    ②責任ある消費
    労働の喜びを再興させる。
    精神的な充足性と、応援にも似た贈与の関係

    ③UBIの導入
    格差の是正というだけではない。
    働くのばかばかしいというところから、
    本来やるべきではない仕事から解放する。
    不要な会社はつぶれればよし、無駄な業務はやめる→無駄な競争がなくなる→生産性も上がる

    税率が恐ろしく高くなれば、高収入であることであることに意味はなくなる。
    ある一定以上の年収では、上がっても精神的充足性は上がらないこともあるので、それ以上あげても、仕事の満足度が上がるわけでもなく、会社から見ても無駄ともいえる。
    その先は、いずれにしても、仕事に対する精神的充足性が大事になるので。じゃあ、それって何?ということを考えるのが良い。副業でもよい。お金をもらわなくてもやりたいこととは?本業で稼ぎ、副業で精神的充足性を得るという形もあり


    挑戦に必要な最低限の保証があるからこそ、ソーシャルイノベーションにチャレンジできる。


    ・実現のために
    ユニバーサルベーシックインカムの導入(税負担の改善)
    ソーシャルバランススコアカード
    教育制度の改革

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    投稿日:2021.01.11

  • すずまさ

    すずまさ

    超富裕層が、世界中の富の半分を得ている
    SNSを展開する大企業が、現職大統領のアカウントを「永久に停止」する
    日本だけでも、年間33億着の服が廃棄されている...

    このような事実を目の当たりしにて、我々の社会はどこに向かっているか、不安に思うことがある。
    まさに、「資本主義の暴走」と言える社会がこのまま加速度的に発展していくのを、本当に我々は望んでいるのだろうか。
    そうでないとしたら、我々が目指すべき社会とは...

    本書で記述される「高原社会」は、その答えになり得る社会である。空論だと言い放つ人もいるだろう。しかし、有限の地球に住みながら無限の経済成長が可能であるように振る舞う社会と、この高原社会では、果たしてどちらが実現可能性が高いのだろうか、そして、我々はどちらを目指すべきなのだろうか。

    「高原社会」を実現する為に、外側から現在の社会を破壊するのではなく、内側から社会をハックしよう。そして、暴走する資本主義を止め、人間性、人間の衝動を解放しよう。

    素晴らしい本に出会った。再読に値する。何度も読み返して、「今ここにいる自分」の一人として、次世代にバトンを渡せるように行動したい。


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    投稿日:2021.01.09

  • パチ

    パチ

    「需要の飽和」を先送りする術としてのマーケティングと、それを見て見ぬ振りをする我々の「欺瞞」についての指摘についてはドキッとしたけど、今後に向けた「労働の喜び」を回復させるための幾つかの提案には希望を感じる。考えるヒントが沢山。続きを読む

    投稿日:2021.01.06

  • コイズミマサノブ

    コイズミマサノブ

    最高。2021年で一番の名著にさっそく出会ってしまったかもしれない。厳密に言えば「名著」というよりは「自分が言われて欲しいことがまるっと掲載されている最高な本」という感じ。でも、多くの大人たちにとって生き方を考える重要な指針になると思う。

    どんな本かと聞かれれば、「なぜ現代は、フツーに働いてフツーに暮らすことがこんなにしんどいのか?どうすればそこから脱出できるのか?という問いにこたえてくれる本」と言えるだろうか。別にこれを読んだからと言って明日から生活がラクになるような処方箋じゃない。むしろ「どう生きるか?」という哲学が書かれていると思った方が近いかもしれない。

    『これ以上経済成長は見込めない高原社会』『衝動に根ざしたコンサマトリーな経済活動』などいろいろ重要なキーワードはあるけど、本当のポイントは「他人のせいにしない」「他人を変えようとしない」ということなんだろうなあ。自分で理想の社会像を描き、そのためにしたいことを実践する。それがひいては社会のシステムを変えていく。そんなリーダーシップ論を自分は受け取った。

    著者の論旨は一部論理性に欠けるところがあるかもしれない。でもそれは不十分ということを意味しない。これは別に誰かを論理的に説き伏せるために書かれた書籍ではなく、「このままじゃヤバイと思うんだよね」「こうなった方が素敵だと思うんだよね」という著者の「衝動」がベースとなっている気がする。一分の隙もないロジックに説き伏せられたい受け身な姿勢だと読みにくいかもしれない。この提案に共感し何かを実践するかどうかは、自分自身が決めなくてはいけない。意志と覚悟が問われている。
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    投稿日:2021.01.06

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