デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場

河野啓 / 集英社学芸単行本
(26件のレビュー)

総合評価:

平均 3.9
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ブクログレビュー

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  • キムチ27

    キムチ27

    全体的に、TV界の方が綴った印象はいい意味で強かった。文字で栗城劇場を見ているようで。元々、栗城氏は痛い印象に移り、亡くなった時「あー、やはり」という気が無いとは言えなかった。

    アルピニスト野口氏がネパールで遭遇した時「何かしら、死の影を背負っているような印象が有った」内容の文を読んだ事が有る。
    栗城氏自身が「ここまで来て、もう引き返せない」という形で玉砕したのではないかとも感じた。栗城エヴェレスト劇場は本人が自ら幕引きをしたところで終焉・・地球は彼の命分だけ、軽くなってしまった。

    色々な批判的意見が多い中、私としては色々な方のネットやインタヴューで栗城氏の本体を浮かび上がらせる手法を用いていることは正解だと思う。
    栗城氏に同感した人、反感を持った人、侮蔑の感情を持った人・・色々な方がいる中で、読み手がコアの部分を感じ取って合掌したらいいのでは。
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    投稿日:2021.03.25

  • 1/35少年

    1/35少年

    栗城さんのことはSNSで批判されている時代に少し聞いたことがある、くらいの知識で読みました。全編通して栗城さんへの厳しい意見が綴られている印象なのでファンの方にはツラそうだなと思う。栗城さんの思いとか考えたらちょっと読後に沈みました。栗城さんに思い入れがない自分には面白い本でした。続きを読む

    投稿日:2021.03.15

  • ニコ

    ニコ

     二〇二〇年第十八回開高健ノンフィクション賞はこの作品だった。ネットでこの本を見つけた時、正直に言って躊躇いがあった。普段ジャンルを問わず読書をしている僕にとって初読みではありません。ただ登山そのものが未知なる世界だった。

     登りたいという夢を馳せ、命を懸ける登山家は世界中に多くいる。栗城史多という人も多くの中の一人、過去に六大陸最高峰を制覇してきた強者だったことは確かだ。エベレストだけは違ったのか?残念なことに彼については何も知らなかった。

     標高八八四八m。気温マイナス35℃。酸素は地上の三分の一。これだけの数値だけでは本当の過酷さが分からない。
     通常空気は、約八割が窒素、約二割が酸素で、それが三分の一になると、人の身体に及ぼす影響はどうなのか?
     二〇〇八年秋のマナスル(八一六三m)への山行の途中、標高六三六〇m地点でSpO²(経皮的動脈血酸素飽和度)医療用の測定器で計測した。肺や心臓の機能が低下すると、この値も下がってくる。九十六%から九十八%が健康な人の標準値、九十%以下になると呼吸不全に陥る危険信号。
     本人の無線からベースキャンプで受けた情報では、「きのうSpO²が六十三と悪く、頭が痛くてダメでした」と報告された。

     これが正に「デス・ゾーン」(死の領域)

     脳神経外科医で、自らも山岳愛好家の越前谷幸平さんによると、「脳は特に低酸素に弱い」と書いている。「七千~八千mの高さの低酸素で登山者が死なないのは、下からゆっくり時間をかけて体を慣らしながら登っているのです」と説明しています。

     栗城さんはエベレストへ過去七回も挑戦している。断念せざるを得ない状況はいくつもあり批判も多い。婚約者と別れた。凍傷で指を九本失ったのは誇りとはならない。八回目、是か非でも登頂を果たしたいという願いは、それらを越えたのか?
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    投稿日:2021.03.13

  • えすみず

    えすみず

    栗城さんという人を俺は知らなかった。
    読んでいて苦しくなってきた。何がそうさせたんだろうか?分からない。この本がどこまで本当なのか創作なのかも分からない。だけど栗城さんの本当の心が1番分からない。ま、誰の心も分からないけどね。続きを読む

    投稿日:2021.03.08

  • カルリン書房

    カルリン書房

    衝撃的な内容だった
    栗城史多のエベレスト挑戦の舞台裏
    登山家の物語には《なぜ》と思わせる内容が
    多いけど、栗城史多のエベレスト挑戦ほど
    《なぜ》と考えさせられる

    栗城史多は「ニートのアルピニスト」として
    突然現れた
    それまでの登山家のイメージはまったくなく、
    純朴な青年然とした佇まいで、孤独に山と闘う
    姿は衝撃だった
    そして“夢の共有”を叫ぶ彼にみんな自分を重ねていた
    エベレスト登頂のライブ配信はワクワクした
    2009年の1回目、頂上の遥か手前でのアタック
    断念は、それでも感動して次はと期待した
    2回目も同様に早々に断念、「諦めるのがはやすぎないか?」と思った
    案の定ネット民に叩かれ、彼のライブ配信を
    追うことをやめた

    著者も同様で、最初は栗城の熱意に共感し
    彼を追い続けたがエベレスト初挑戦あたりから離れ、10年ぶりに栗城史多と向き合った

    その後も栗城史多はエベレストに挑戦し続ける、
    凍傷で指を9本も切断しながら8回目のエベレストで命を落とした
    彼の死は衝撃だったけど、ある意味死に場所を
    探してたんだと納得した、でも真実はそうではなかった…

    なぜエベレスト登頂に、無酸素単独登頂に
    こだわったのか? 
    最期は厳冬期南西壁無酸素単独登頂の挑戦だったけど、まさか『神々の山嶺』のまんまパクリだったなんて、あまりに陳腐すぎる
    羽生ですら成し遂げられなかったのに、結局8000mを超えることができなかった栗城がなぜ達成できると思ったのか?

    《あなた山に登るの、好きですか?》

    最初は好きだったと思う、なにも技術がないのにデナリを登りきり、アッという間に6サミット制覇したあたりは本人も楽しかったし“夢の共有”を実感できてたはず
    それからエベレストに挑みネット民から賛否を浴びて、もはや誰のためになんのために登るのかわからなくなっていただろう

    死んだ人のことをとやかく言いたくはないけど、真実を知ることができて良かったと思う
    《なぜ》そこまでエベレストに、無酸素単独にこだわったのか?

    タイトルの『デス•ゾーン』は山のことではない、栗城史多のエベレスト挑戦のことなのか
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    投稿日:2021.03.07

  • full3

    full3

    七大陸最高峰 無酸素単独制覇を目指した栗城は2018 年にエベレストで亡くなる。彼の番組を作ろうとしたテレビディレクターが、栗城の真の姿に迫るドキュメント。

    綿密な取材をもとにした渾身の一作。素晴らしい。何度もうーむと唸ってしまった。

    読むと決めてる人は以下ネタバレするので、スルーして下され。

    分かったことを箇条書きにすると、

    1.彼はエベレストに登れるような実力はなかった。努力してから挑むというよりも、先に南西壁という超難関ルートから登るという「妄想」にかられていた。
    2.「無酸素」と謳いながらどうも酸素を吸っていたようだ。
    3.「単独」とは言えないような大人数のサポートを受け、自分で背負える荷物もシェルパに持たせたり、ザイルもシェルパに張ってもらっていた。
    4.凍傷で手の指を失うが、事故ではなく、わざとやった可能性がある。
    5.政財界のあちこちにコネを作り、クライマーというよりビジネスマンに近い。
    6.スピリチュアル系にハマり、占い師にいつ頂上をアタックすべきか訊いていた。
    7.メールの返信をしない、電話に出ない、当日ドタキャンをする。

    こんな風にまとめてしまうと身も蓋もないが、著者は言葉を選びながら、故人の尊厳を傷つけないよう慎重に書いている。自分の近い知り合いに似た言動をする者がいて、ある種の「症候群」なのかも知れないと思った。
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    投稿日:2021.02.28

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