【感想】本の世界をめぐる冒険

ナカムラクニオ / NHK出版
(31件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • 文音こずむ@『はじめての』文芸部1期生

    文音こずむ@『はじめての』文芸部1期生

    本とは何か。世界中の事例を上げつつ本の起源から遡り未来に思いをはせる。知らないことだらけだ!紙の本だ電気書籍だ、それらも大事な論点だけど、本を定義し直せば、今私たちは最高の環境におかれている。気づくかどうかは……続きを読む

    投稿日:2023.11.20

  • yonogrit

    yonogrit

    499

    もうひとつ、「本」をめぐる「場」で大きな変化が起きているところがあります。 それは「図書館」です。 図書館は長いあいだ、ごく少数の人たちが利用するものでした。現在のように誰 もが利用できるようになったのは19世紀の後半です。

    私は、人生で大切なことのほとんどを「本」から学びました。2008年に東京の荻窪で「6次元」という小さなブックカフェをはじめて11年。その間に、読書会、朗読会、トーク、ライブ、編集講座や美術講座などのイベントを1000回以上開催し、世界の50か国以上の本屋さんや図書館をめぐり続けてきました。

    「本」はもともと「音で聴く」ものでした。 いきなりそんなことを言われると、現代の私たちは違和感を覚えるかもしれませ ん。しかし、過去におこなわれていたことが、意外なところで現代に継承されてい ることがあります。 例えば、いま欧米では「オーディオブック」が流行しています。オーディオブッ クとは、音声で本を読む、いわば耳で聴く「本」。デジタル化された「携帯式の語 り部」です。ナレーターや声優が朗読した美しい文章を耳だけで楽しめるので、文 も読むのが難しい人や、電車や車での移動時間が長い人、家事や作業を どが、生活のあらゆるシーンで気軽に「本」を楽しめるようになりました。

    先日、アメリカのニューヨークで、「聖書を音声で聴く読書会」に参加しました。 からオフィスの一角に30人ほどが集まって勉強するわけですが、音声で 葉を聴き、そのあと意見や感想を交換します。これならば、短い時間の中で、学び を最大限に吸収し、生かすことができます。 もしかするとこれからの未来は、本が再び人間に戻り、本を音で聴く時代がやっ てくるのかもしれません。

    私は今でも本を執筆する際に、調べもので「原本」を探すことが多く、元ネタの に元ネタを徹底的に探すことがよくあります。最初は、町の本屋さん。 に町の図書館へ行きます。そこでも探している本がないと、さらに国立 館へ行って調べものをします。結局は、1冊書き上げるまでにだいたい100冊ほどの本を購入したり借りたりして、勉強 することになります。「本(もと)にさ かのぼる」という意味で、この行為こそ 「本」という言葉の本質を体現している のかもしれません。

    本はいつの時代も、「人と人」「人と情報」をつなぐ「ひも」のような存在です。 著者がそこにいなくても、数百年後の読者は著者によって書かれた言葉を直接読むことができます。また、本として存在さえしていれば、現代の私たちは た考えにアクセスすることだってできます。それはあたかも、今は生き い著者に「出会う」経験のようでさえあります。


    このように多種多様な出版文化が「民衆のパワー」によって開花した明治時代 出版カルチャーは、現代にも受け継がれています。「コミケ(コミックラ という同人誌の即売会が4日間で73万人を集めたり、文学限定の同 「文学フリマ」が盛り上がったり、アジア最大規模の「東京アートはブックフェア」が開催されたりしている現象とも似ています。 「本が売れない」とはよく言われることです。しかし、このような盛り上がりを肌 で感じる身としては、「本当にそうなのかな?」と疑問に思うこともしばしばあり ます。

    本は「人」と「人」をつなぐ接着剤として、自 己表現ツールとして、愛されていくことになるでしょう。


    読書会という共読体験では、ほかにもいろんな読書法があります。 例えば、
    系読。関係のある書籍を系統だてて学ぶ読書。
    妄読。内容を妄想して語り合う、読まない読書。
    交読。お互いに本の内容を紹介し合う読書。

    自分以外の人にわかるように話して伝える努力を実際にしてみることで、はじめて 気付かされることが本当に多くあるものです。 さらに、人に話すことで自分の頭が整理され、本をより深く理解することができ ます。本を読んだあとには、「何が書いてあったのか」「自分にとってどういう意味 があるのか」を考えるべきです。大事なことは、本を読んでどんな知識を得るかよ り、読んだあとに何をするかです。いかにアウトプットするかが勝負なのです。読 書会は、基本的に会話というアウトプットをおこなう場なので、読書を自分のもの にするために非常に有効です。


    ちなみに、「読む」という行為が今の私たちが普通におこなう「黙読」になった のは、明治以降だと言われています。それまでは、訓練を受けた専門家が大衆に向 かって「朗読」するのが一般的だったのです。
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    投稿日:2023.07.24

  • おかゆ

    おかゆ

    本を取り巻く歴史と現状についてコンパクトにまとまっていてたいへんにありがたいです。参考文献も多くてますますありがたい。

    投稿日:2023.03.27

  • dai-4

    dai-4

    好きなシリーズの、しかも好物な”本の本”。なのにいまひとつ楽しめなかったのはなぜ…。本シリーズの場合、一冊が短いものだし、同時並行的に複数を読み進めるより、順番に読了していくって読み方の方が良いのかも。ちょっと反省。ネット世界全体が本って、確かにそうかもしれないけど、なんかちょっと…って感じ。ついていけない訳じゃないけど、なかなか受け入れられないというか、受け入れたくない価値観、ってことかな。続きを読む

    投稿日:2022.10.07

  • 1705264番目の読書家

    1705264番目の読書家

    本はもともと「音で聴く」ものだったが、記録や伝達の手段として本が誕生した。つまり本の本質は「人と人、人と情報を繋ぐ情報伝達の手段」だという。そう定義するならば、何かの情報が何かの媒体に閉じ込められた瞬間、本になるのだ。電子書籍も、インターネットも。

    時代で移り行く本の在り方だが、これからはどのような本との付き合い方があるのだろうか?
    本における世界のキーワードは「場」である。ブックカフェや読書会、図書館など本屋さんも、体感型の「知のテーマパーク」のような存在へと進化しつつある。読書というのは情報を身体に取り入れ、肉体化する営みだから、読み方は自由なのだ。

    最後には国内のブックカフェや海外の図書館の取り組みが紹介されていてとてもおもしろかった。
    いろんなところで「コミュニティ」が注目されているが、読書においても誰かと共有して知を取り入れるコミュニティが必要とされているのだろう。
    読書は歴史的な流れからみても非常に概念が広く、多様性に満ちているのだと知った。
    もっと本にまつわることを学んでいきたい

    図書館
    ・芸亭
    ・金沢文庫
    ・スウェーデンのお喋りカフェ
    ・デンマークのニューマンライブラリー
    ・デンマークのDOKKI1
    ・フィンランドのOodi

    ブックカフェメモ
    ・フォスフォレッセンス
    ・火星の庭
    ・6次元
    ・代官山蔦屋書店
    ・北京芸術区「798」の「timezone8」
    ・韓国「キョボ文庫」「テオ書店」
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    投稿日:2022.08.01

  • えんちゃん

    えんちゃん

    とっても面白かった!
    本への理解と、本との様々な関わり方を知ることができました。
    自分もいつかそういった拠点作りをしたいな、と思います。この本はその夢のバイブルです!

    投稿日:2022.07.22

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