【感想】パスタマシーンの幽霊(新潮文庫)

川上弘美 / 新潮文庫
(52件のレビュー)

総合評価:

平均 4.0
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11
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ブクログレビュー

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  • 菜の花

    菜の花

    単純に読みやすい。
    普遍的な感情が文学的な表現に昇華されていることで、登場人物に共感しつつ別世界にトリップできる感覚(物語を読んだ感覚)を味わえる。
    「黒豆」や「輪ゴム」、「パスタマシーン」などのアイテムが物語ごとに使用されていることで、一つ一つの物語が印象に残る。続きを読む

    投稿日:2024.03.24

  • かのん

    かのん

    【2024年7冊目】
    川上弘美さんワールドにどっぷりと浸れる22の短編集。短編なので、どのお話も数ページの間だけの展開にもかかわらず、濃厚な物語の世界を楽しむことができました。短編の中でもうっすら続いているものもあったりして、読んでいると「おっ、これは」となるのも良かったです。

    1番好きなのは、「ナツツバキ」でした。人間の私とコロボックル並の大きさの山口さん。違うのはその大きさだけなのに、その大きさの違いが2人にとっては、とても大きい。

    恋を軸にしながらも、それだけではなく、どこか不思議な雰囲気もありつつ、現実と虚構を行ったりきたりする物語たちを堪能させて頂きました。

    何度でもゆっくり読みたくなる一冊ですね。
    続きを読む

    投稿日:2024.01.16

  • 水尾

    水尾

    一遍一遍読むたびに、はぁとひと息ついて、余韻に浸りたくなる。なんだかわからないけど、噛み締めたくなる。

    この短編集を手に取る前に、『ざらざら』『ぼくの死体をよろしくたのむ』を読んでいたので、リンクするお話を見つけるたびに感動していた。もちろん、この短編集から読んでも十二分に楽しめると思う。
    『ざらざら』よりかはソフトな恋模様だった。
    それぞれ異なる恋愛をしていて、チープな言い方になってしまうが、面白い。

    表題作『パスタマシーンの幽霊』が特に大好きで、料理の不得意な主人公がケチャップごはんをつくるシーンが一番のお気に入りだ。短編集を読み終わってからも、この部分は何回も読み返しているし、実際に真似して作ってみたりもした。本文のかわいい言い回しを思い出しながら、それにしたがって。それで、結構おいしかったので、適当にごはんを食べたいときはこれを作るようになりました。本当に好きな短編、というか、レシピの書き方。がさつで適当なご飯なのに、主人公の説明口調が丁寧でかわいらしいんです。

    「炊きたてのごはん(炊飯器があるので、ごはんだけはふつうに炊ける。なんてありがたいことなんだろう)を茶碗によそって、バターをひとかけ、ごはんのてっぺんに落とす。……………(続く)」

    どうでしょう、ここまででも既にかわいいですよね。
    「おしょうゆ」「お箸」と丁寧に言ってるのが良い。
    「そまったへん」と適当なのも良い。
    これだけで、なんとなくの主人公の性格とかバックグラウンドが見えてくるような気がする…大袈裟だけど。
    ひらがなの使いどころと、擬音の使い方、説明の仕方が絶妙で、胸を掴まれた。暗記したいレベルで好き。
    これってもしかして、詩なの?
    このレシピ、みんなに読んでほしい…!!!!!

    まだこのケチャップごはんをつくったことがない方には、一度ぜひつくってみてほしい。おいしいから。
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    投稿日:2024.01.13

  • 朧

    川上さんの小説で思うこと。

    綺麗だけどハンカチじゃない違う布で手を拭いた気分?!みたいな感じ。
    それが心地良さと居心地の悪さの共存的な感じ。

    投稿日:2024.01.07

  • aizakinao

    aizakinao

    『ざらざら』の続編。
    ちりちりと心を焦がす残り火を、最後は自分の息でふっと消す。「恋のお葬(とむら)い」をするような短編集だった。どうして恋は、好きなればなるほど上手くいかなくなってしまうのだろう。同じくらいの「好き」じゃなくていいから、あともう少しだけ、一緒にいる口実にできるくらいの「好き」でよかったのに。

    「杏子とおかまの修三ちゃん」、「誠子さんと山口さん」の連作短編が大好き。
    続きを読む

    投稿日:2023.07.31

  • 書店ちゃん

    書店ちゃん

    久しぶりに川上弘美の作品を読んだ。
    川上弘美作品に出てくるちょっと行儀が悪かったり、性格に難アリというような主人公をチャーミングに描いているところが好きだ。作品内の他キャラクターには「チャーミングですね」とは認識されていなくとも読者にはどこか可愛く思えるし、そういう少しの「難」を抱えた読者をちょっと救う話ばかりだ。

    物語そのものは大きく変化していなくて、問題に対する心持ちだけがギュンと変わりましたよというお話が大好きなのでかなり良い作品集だったなあと感じた。

    特に表題作の「パスタマシーンの幽霊」で主人公が披露するケチャップごはん(ほかほかごはんにバターと醤油、ケチャップを回しかけて適当にぐちゃぐちゃ混ぜるもの。混ざりきってない方がケチャップだけが濃い部分とかがあって美味しい。)がめちゃくちゃわかりすぎてニヤニヤしながら読んだ。あれだよね、このごはん好きな人絶対ピザポテトとかコンソメパンチ好きだよね。

    本当にこのレシピを見て欲しいがばかりにこの本を人に薦めたい気持ちがある。私たぶんこの雑なケチャップごはんの良さをわかる人としか友達になれない。
    続きを読む

    投稿日:2023.06.17

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