【感想】ワシントン・ブラック

エシ・エデュジアン, 高見浩 / 小学館
(6件のレビュー)

総合評価:

平均 3.6
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ブクログレビュー

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  • ymm25

    ymm25

    冒険話が大好きだったけど、さも「ありえない」けど楽しいを今楽しむ気になれなかったところにくる、目まぐるしくも「ありえる」で固められた冒険譚。
    しかも主人公の関わる人間が、当然それぞれの思いを胸に主人公ありきの動きをしないリアルさのある人情劇でもあって、大人になって読みたかった物語はコレだよまさにという本。

    ポッターさんではなくジム&ルーカスで育った人には大いに刺さりそうというか刺さった。

    背景にある社会構造は暗いんだけど、希望を持たなかった少年が夢いっぱいの大人に引きずられて、思想を動かされている様に胸が熱くなる。
    ラスト、いいぞ、やってやれ!
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    投稿日:2022.03.26

  • ただ

    ただ

    ページ数のぶ厚さは関係なく、最初から最後まで、重苦しい気分だった。

    そう思ったのは、主人公の「ジョージ・ワシントン・ブラック」の設定が少年奴隷であるのも、そうなのだが、なぜか、自由の立場になったように見える後半の方が、より重苦しさが増したように感じられて、私もワシントンの心中に入り込んだようで、憂鬱気味だった。ただ、それが何なのか、いまいち分からなかった。

    物語はあまりに破天荒な展開に、やや乗り切れない感もあったし、エンディングに納得できないものもあったが、その一方で考えさせられる点もあった。

    それは、人生において、自分の答えを見付けるための偽らざる気持ちの強さだった。それが、どんなに困難で苦しく、それを得たところで、どのような意味を為すのかも分からないままであっても。

    傍から見たら、なぜと思うことでも、そこはこれまでの人生を肌で感じながら生きてきた本人にしか分からない、絶対的な領域のようなものがあるのかもしれないし、状況や環境が変わったからといって、それで幸せになるわけでもない、生きることの辛さを、違った視点から実感したような思いです。
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    投稿日:2021.09.06

  • saigehan

    saigehan

    カナダで生まれ育ったガーナ人女性が描いた作品。過酷な奴隷生活を送る少年が、雇い主の家族の一人に目をかけられて、色々と経験し、社会のあり方、仕組み、人間を知っていく内容。重々しく過激な描写は少なめで、新しい世界への、これまた過度ではない、描写が丁寧に書かれていて、とても読みやすかった。確かに黒人に生まれて酷使されるのはしんどいが、他の立場の人間もそれぞれにしんどい、と言うメッセージですかなあ。こういう本はいいなあ。ケイレブ(ネイティブアメリカンの成長)のように瑞々しかった。続きを読む

    投稿日:2021.06.07

  • ももちゃん

    ももちゃん

    黒人奴隷差別の描写は、酷すぎて目を覆いたくなります。けれど、気球に乗って国を脱出するだとか、あり得ない展開が次々あって、希望がもてる展開なので、次が知りたくて、ページをめくるのが楽しかった。

    投稿日:2021.04.20

  • アヴォカド

    アヴォカド

    冒険譚、成長譚としての面白さはもちろんあるんだけれど、それだけじゃない。前半はスピーディに展開していくが、後半からはゆったり丁寧に紡がれている印象。苦い。読み応えあり。

    投稿日:2020.12.07

  • べあべあべあ

    べあべあべあ

    このレビューはネタバレを含みます

    圧倒的な面白さ。いや、これを「面白い」という言葉で表現するのは間違っているのかもしれないのだけど、それでも「面白い」以外の言葉を当てはめようがないというかなんというか。

    かつて、当たり前のように存在した「奴隷」。ある日突然故郷からも家族からも引きはがされ知らない土地へ売り渡され、人としての扱われることもなくひたすら労働力として使われ搾取され、そして棄てられる存在。
    奴隷制度が廃止されてからも絶えることなく続く人種差別。それは遠くの国で起こっていることではなく、この日本でも日常的にみられる光景。なぜ、人は人を差別するのか。

    1830年。黒人奴隷として農園で働く少年ワシントン・ブラック。彼を「助手」として手元に置くことにした農園主の弟ティッチ。初めて「人らしい生活」や「学問」に触れ目覚めていくワッシュ少年。二人の「科学」の実験の様子や過酷な作業から解き放たれた日々が、このままずっと続けばいいのに、と思いながら読む。
    ティッチとワッシュの北に向かった逃避行。そして追手をかわしてワッシュの1人きりで生き延びていく逃亡劇。

    奴隷制度や黒人差別を横軸に、追手から逃げ延びる極限での冒険を縦軸に織り上げられたこの小説は、自分とは何か、ここにいるのは誰か、どこに向かって生きていくのか、というアイデンティティ模索の物語でもある。

    読み終わって「あぁ、どえらいもの読んだわ」と誰もが思うだろう。きっと。

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    投稿日:2020.09.25

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