【感想】コンフリクト・マネジメントの教科書―職場での対立を創造的に解決する

ピーター・T・コールマン, ロバート・ファーガソン, 鈴木有香, 鈴木桂子, 八代京子 / 東洋経済新報社
(2件のレビュー)

総合評価:

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  • ikuodanaka

    ikuodanaka

    コンフリクトは、あらゆる階層、スコープに存在する。「うちはコンフリクトなどありませんよ、アットホームな職場ですから」と嘯くことがいかに虚しいかを本書は教えてくれる。
    コンフリクトというものは悪いものではなく、正しく向き合うことでより良い状態を目指せるものだ。本書ではその向き合い方について実に丁寧に、そして生々しく解説している。
    「あいつわかってねんだよなー」「○○なら当然だろ」そんな上司の机にそっと置いておきたい、そしてそんな上司と向き合っている人にこっそり渡してあげたい一冊。
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    投稿日:2021.10.09

  • カズ

    カズ

    このレビューはネタバレを含みます

    Amazonさんの推薦図書。

    感想。良かった。とても勉強になった。形式知として整えてくれた感じ。

    備忘録。
    ・コンフリクト(conflict)とは、対立や衝突、相手と意見が一致しない状況を意味する英語。

    ・コンフリクトが対等な関係で起きていることは殆どない。パワーや権力に差がある関係で生じるのが普通。

    ・権力の問題に正面から向き合わないと、コンフリクトの解消に無駄な時間が費やされ、生産性が落ちるらしい。

    ・自分がどうできるかにフォーカスした場合、①相手と意見が異なっても自分の意見を述べて相互理解を促進させ(コンフリクトの表面化)、②繰り返し内省し、③他者志向で相手をリスペクトし、④時には時間を置いて感情的なコンフリクトを冷ましてから動く、様なアプローチが良いらしい。

    ・組織におけるパワー(何か事を起こす力)の固定理論と増加理論。

    ・固定理論は、組織内のパワーは一定。課長が権力を高めれば、部下や上司のパワーが相対的な弱まる様に。そういう組織では情報が共有されず、権力で組織を動かし合う感じ。

    ・増加理論はパワーと情報を上司と部下が共有し、上司が部下をエンパワーし、主導権まで握らせることで、増加するという考え。

    ・感情の貯蔵庫。肯定感情と否定感情の2つの貯蔵庫がある。研究によれば、優れた職場においては、肯定と否定の感情が1:4。円満な家庭では1:5らしい。

    ・上司からの期待が低いと、強い心理的負担を負わせることになり、否定感情を蓄積させる。

    ・以上の前提のもと、著者らの研究で、コンフリクトをマネジメントする方法を整理してくれたのが本書、だと思う。


    ・マネジメント方法①仁愛。「部下と権力を分ち合い、意見が合わない時は話し合い、部下と上司は相互依存で、目的も揃っているので、協調が最良」というようなスタンスのこと。

    ・仁愛のキーワード。「上司であるあなたが常に正しく、全てのことに勝つ必要はない」「自分と自分のチームに自信があるならば、自分の誤り認め、他者の意見を採用する。チームワークがあれば1+1が20にだってなる。

    ・ただ、強烈なリーダシップが必要な局面(会社の危機とか)で、仁愛されてても困る。


    ・マネジメント方法②賢明。仁愛を部下の側から働きかけるイメージ。上司から権力を拝借し、またそれを推奨すること。上司に対してYESマンなわけでも、傷つける言動をとるわけでもない。適度にWin・Winに。‥うまくまとめられない。


    ・マネジメント方法③建設的支配。必要とあらば権威を部下に主張する。意見が合わなければ部下に服従させる。部下と自分の目的が異なる事を認識する。そんなスタンス。使い過ぎないように注意する。

    ・今の世の中、支配的なマネジメントは好まれないが、状況によっては必要不可欠な道具。例えば不正した部下、不当な要求をする人、やる気のない部下、とか。


    ・マネジメント方法④戦略的譲歩。相手の方が権力が強く、かつ目的が合わない上司への対処法。日々は上司の権力を借り、時に自分でパワーを作り出して乗り切る。第一秘書の様に働き、上司が自分を頼りにせざるを得ない形を目指す。また上司と合意できない時は、相手の言い分に従うように見せかける。

    ・物事はうまくいくかも知れないが、時間とチャンスの浪費にならないように注意が必要。


    ・マネジメント方法⑤自立。コンフリクトに関与せず。他社に頼る事を減らしながら良い結果を残す。人間関係よりも、自分の目的にフォーカス。自分で突き進む。


    ・以上の手法は、TPOに合わせて使い分けが望ましい。また程度感も考えたい。例えば支配を長期間強烈に使うと、組織は疲弊する。

    ・多くの人は、自分がコンフリクトに直面した時「相手がどんだけ悪く、間違っているのか」に着目しがち。そして白か黒か、善か悪か、の二者択一で議論しがち。コンフリクトの状況をもっと全体的に捉えて、冷静に考えたい。

    ・シャトル外交。関係当事者一人ひとりに個別に通い詰め、整理する。

    ・ボトムラインを常に持つ。「こうなっちゃったら、支配的アプローチに切り替える」とか。

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    投稿日:2020.10.11

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