【感想】兄が遺した恋のゆくえ【電子限定かきおろし付】

このレビューはネタバレを含みます

幼い頃から兄の友人に懐いていた弟×亡き兄の恋人(Ω)。再会BL。

オメガバースですが、行為描写なしです。重くなく読みやすい一冊。
オメガバースの成り立ちから逃れるように世間から離れ、βとΩの二人でも穏やかに暮らせるよう買った少し不便な田舎の一軒家で、兄亡きあとも一人で暮らしている恋人の様子を見にやって来た弟……といった環境なので、一般的なオメガバースらしい話ではありません。
Ωがβと暮らすために、αに会わずに済むように生活していたところ、パートナーを亡くしてしまう。そこに絡む、弟(本作攻め)の無自覚初恋のお話ですが、それだけではなく兄への敬愛も感じ取れ、あまりBLらしい話でもないのかも知れません。
書影の印象より内容はほのぼのしていますし、第一印象で好みかも、と思う人にほどもしかして合わないのでは？ 好きな人ほど手に取る機会が少ないかも。と感じました。(私は好みではないと思い避けてましたが偶然読むに至り、思いのほか好きでした)
BLを楽しむというより、オメガバースの世界でオメガバースを否定する兄と恋人のやり方と、弟くんの今回の行動の背景を楽しむ作品だったなと思います。そういう意味では個人的には好みでしたし、面白かったです。
妙にゆるいのと、兄も恋人も弟も、三人ともお互いを好きなことはわかるのでシリアスになりきらない雰囲気です。内心、ちょっと微笑ましい。

とらのあなリバーシブルカードは『夏の距離感』。

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