【感想】通貨・租税外交 協調と攻防の真実

浅川雅嗣, 清水功哉 / 日本経済新聞出版
(2件のレビュー)

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  • higashimurayaman

    higashimurayaman

    総理秘書官の日常では、5人が交代で秘書業務を行い、予算委員会では3日位ほとんど寝られず、短時間寝るとしても官邸に泊まり込んだそうです。
    超エキサイティングな仕事ですが、私生活は無に等しい。
    今回のコロナ危機を経て、所得格差は拡大し、絶対的な貧困は増大していくと思う。
    貧困になった人々をどうやって開発に参加させるか、生活保護を支給するだけでなく、職につき生産活動に参加していただくことが持続的な経済成長にとって不可欠。そのためにはなんといっても教育が重要。それから保健医療、そうした面で人に対する投資の思いを忘れてはいけません。
    各国の中央銀行が進めた。大規模な金融緩和政策は、資産価格の上昇と言う形で富裕層に恩恵をもたらす。一方、それ以外の人々にとってのメリットは相対的に小さかった。危機が残した負の遺産。
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    投稿日:2024.03.02

  • Kamau

    Kamau

    財務官として日本経済の重要な局面でどのように事態を捉え、考え、どのように行動してきたのかを語る回想録。また、現在のアジア開発銀行総裁としての今後の抱負についても様々触れられており、大変興味深い。
    特に、BEPSを含む国際課税への関わり方と意見、またアジア開発銀行総裁としての国内税制、国際税制の両面の整備の重要性を指摘している点は、今後のアジア開銀の支援方針にも大きく影響するものと思われる。

    ・日本の為替介入の意思決定の仕組みは、日本の当局内でも意外と知られていない。例えば、介入政策は、財務省・財務官・国際局為替市場課という ライン で決められており、国際局長はその中に入っていない。

    ・実は、首脳会談でこんなことがありました。会談が始まる前に、ホワイトハウスの執務室で、安倍総理とトランプ氏が二人きりになる時間があったのです。他にいたのは、通訳だけでした。そしてその時に、総理が「為替の話は首脳同士で議論すると市場への影響がなどが大きいので、これは専門家に任せましょう」と伝えたのです。専門家というのは、麻生太郎副総理兼財務大臣と、ムニューシン米財務長官です。つまり、今後の為替の問題は、日米の財務省同士で話し合わせようということです。

    ・いずれにせよ、様々な分野で、国際的なスタンダード作りを欧米が主導してきたということだろう。欧米に有利な内容のルールが作られてきた。日本人も、もっと国際的なルールを作る側になるべきだ。それが国益にプラスになり、経済安全保障の政策となると言っても良い。

    ・今後、国際機関の運営の主導権をめぐり、欧米と中国の間の争いも激しくなりそうだ。日本は、埋没しないようにしなければならない

    ・そもそも、債務者自身が、ある債権者から全体としていくら借りているのか、必ずしも把握していないケースがあるという現状があります。ですから、債務データをもっときっちり統合管理するために、債権者は債務者の双方が協力しましょうということです。そのための技術支援は、国際通貨基金や世銀といった国際機関が行います。また、債権者には公的部門だけではなく、民間部分も含まれます。民間の債権者にも、債務国全体の債務の持続性をよく考えてもらい、これ以上融資したら、持続性が損なわれるような場合には考え直してもらう必要があります。

    ・歴史上、人類はパンデミックに何度も襲われましたが、必ず終わりが来ます。ただし、その収束までどの程度の時間がかかるかは、残念ながら終わってみないと分かりません。その間、必要な財政・金融措置をフルに発動して、恐慌を食い止め、人々が飢えないようにし、そして健全な企業が倒産しないように、非常に十分な流動性を供給していく必要があります。一つ気をつけなければならないことは、コロナというこの公衆衛生上の危機を、金融危機や通貨危機に発展させないことです。仮にそうなってしまうと、金融・資本市場がさらに実体経済に大きな影響を与えるという、負の連鎖をが起こりかねません。 各国の金融政策・金融監督上の措置や、各国が有する外貨準備、そして二国間・多国間の通貨スワップや、中央銀行間の通貨スワップも活用して、こうした状況に陥らないように、政策協調・努力を怠ってはなりません。

    ・それぞれの国内資金を動員するということは、一つには、きっちりと税収を上げるという話です。開発の最終目的は、援助資金から脱皮して、自前の資金で持続的な成長を達成することですから、そのために必要な対応策は、一つには、国内税制の整備と執行体制の強化、もう一つは国際課税ルールの改革です。後者については、今後ますます多くの多国籍企業が高い成長を続けるアジア太平洋地域に進出して、経済活動を活発に行っていくでしょうが、その際に、利益はあげるが、適正な納税がその国やされていないという事例が増えてくることが予想されます。

    ・今後は、アジア開銀にも、ぜひ税に関する専門的なノウハウを高めて、これまで以上に、税の分野で知的に貢献していきたいと思っています。ナレッジバンクという言葉がありますが、アジア開銀には、資金を融資することだけが仕事でありません。国内税制、国際税制の両面で、アジア開銀の能力を高めていけたらと思います。
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    投稿日:2020.08.23

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