香港デモ戦記

小川善照 / 集英社新書
(11件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • riodejaneiro

    riodejaneiro

    このレビューはネタバレを含みます

    香港デモ戦記、という名前のまんま。自分自身香港にそこまで思い入れがなかったこともあり、2014年の雨傘運動はあまり追いかけていなかったが、そこまで遡っていたのはよかった。著者がつたない英語で必死にコミュニケーションをはかった的な表現が何度も出てくるのは一体なんなんだろう?と思わなくもなかった。自分自身が北京滞在を経た2019年にはかなり熱心に当時のメディアを追いかけていたのでいろいろとその頃の映像がフラッシュバックした。

    ただ何となく全体的な潮目が変わったとい思えるような出来事(救急隊の人が失明、転落して亡くなった最初の被害者、大学立て篭もり、飛行場でのたてこもり、拳銃で撃たれてしまったデモ隊、英国大使館勤務の人間が深圳で逮捕等)が触れてなかったり、それとなくさらりと書かれていたりというのが気になった。中国側で武装警官が訓練したりとかもしてた気がするし、特にイギリスやカナダにおいて現地の香港人と中国人の対立なんかも包括的になんかまとめてある読み物があったら読んでみたいものだ。

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    投稿日:2022.07.31

  • rafmon44

    rafmon44

    若者が政治に関心を持たないのは、国政が上手くいっているからであって、問題とは思わない。こうしたニュアンスが我が国の党首討論で発言されたが、私も基本的には同感だ。民主主義を維持するために、若者が立ち上がる。しかし、実際には、若者は選挙にいかない。別に矛盾している訳ではない。いつでも政治を変えられるという前提の維持こそ重要だからだ。

    中国共産党が、香港の選挙に口出しし、体裁は保ちながらも内実は共産党の指定候補者しか立候補不可能。この選挙制度に抗ったのが2014年の雨傘運動で、催涙弾やペッパースプレーの噴射を防ぐ傘がデモの象徴となった。年月流れ、本著はその後の逃亡犯条例を巡るデモを取り上げる。

    デモ隊にも民主派、自決派、本土派など、微妙に主張やアイデンティティが異なる点は国外からは見え難い。彼らの敵、理想は何か。中国共産党は、一国二制度の体面を保ちながらも、民主主義を巧みに破壊する。怖いのは、これが台湾を含む党略の成功体験になる事だ。

    上海人や広東人は政治よりも商売に関心を向けている気がしてならない。中国共産党でも別に良い。党が司法、軍隊、警察権と分離独立されず、民衆を好き勝手に逮捕して思想教育できてしまうのが怖いのだ。こう言っていたのは私の友人だが、まさに。
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    投稿日:2022.02.27

  • ありんこゆういち

    ありんこゆういち

    香港という存在は、僕にとってはやはり映画でしょうか。ジャッキーチェンを始めとする香港の映画はとても面白かった。アクションが痛快で夢中になって見ていました。
    子供の頃、国の違い何て大した違いとは思っていなかったので、中国はなんて面白い映画を作る人たちなんだろうと思っていました。
    授業では教わっていたものの大して気にも掛けていなかったので、1997年の香港返還のニュースが流れるまで、香港が英国領であったことすら忘れていました。
    民主主義で育った人々が監視社会である中国に取り込まれた時にどうなるのだろうと思っていましたが、一国二制度という方針になって50年は元の状態が保たれる事になりました。
    50年後なんて遠い未来の話のようでしたが、2047年には完全に中国本国に完全に取り込まれることになります。
    既に今自由が失われつつ有り、中国本国からの土地の買占めなどで住宅事情も悪化して、自分たちの土地で有るのに高すぎて手が出ないという状況に陥っています。移住者もどんどん増え、体制自体が中国と同化する方向に向かっている事で、既にして中国の思うがまま香港が変貌しています。
    そんな中若者が悲壮な決意でデモを繰り返し、民主主義を守る為戦っています。
    この本は、そんな学生含む若者の素の姿を描いています。日本ではきっと60年代安保の時の姿と被るのかもしれませんが、彼らにとっては真実自分たちの未来を守る戦いです。
    あとわずか27年後には完全に民主主義が消え、社会主義の監視体制の中生きて行く事になる。これは自分たちに置き換えると本当に耐えがたいし、やりきれない事です。当然文化も消える事になるでしょう。本も映画も国にお伺を立てて許されたものだけになる事でしょう。
    デモに参加した事が分かるだけでも将来に影響が出るし、へたをすると連行されたまま帰って来られないなどの事も考えられます。出版社の人たちが軒並み失踪するなど不可解な事件も起こっているそうです。そんな非常に恐ろしい状態で戦い続ける彼らの精神力は物凄い・・・。
    これからの香港の情勢にも注目していきたいと思います。
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    投稿日:2020.12.14

  • えり

    えり

    2014年の雨傘運動から、コロナ前2019年のデモまで、現地を取材し参加者の声を伝えるルポ。民主思想の中でも異なる考えを持つ派閥があることや、平和的な雨傘運動が結果を残せなかったことで、より過激な主張が支持を集めていく背景を知ることができる。続きを読む

    投稿日:2020.10.30

  • 午後のカッパ

    午後のカッパ

    2020年10月に読んだが、現時点で体系的に得られる最新の香港:中国における一国一制度に向けた、容赦ない力ずくの動き、それに対する香港人・中国本土寄りの人々との軋轢等も知ることが出来た。
    日本初の「オタク」文化が、こんな所にまで影響し、巨大な力を発揮する支えの一部になっているとは面白い。続きを読む

    投稿日:2020.10.17

  • マドメジュ

    マドメジュ

    手に取ったのは可決された翌日だった。
    市民にも警察にもそれぞれの思いがあって、自由を求めていた。
    市民たちのもどかしく命がけの活動が報われることを祈っています。
    何かできることがあれば応援したい。

    投稿日:2020.07.12

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